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ALSHARD ff Campaign Replay

――あなたはどうしたいの? この世界を……――

アルベルト:今のは……。

――あなたがもし、この世界を救うためにと誓うなら、我等はチカラを貸しましょう――

アルベルト:それは……。

――ただし、その代償をあなたは支払う事になる。あなたは失う事になる……それでも誓いますか――

アルベルト:……誓う! ……為なら、僕は何を失っても良い!!!

 眩いばかりの煌白がアルベルトを包み込む。
  荒れ狂っていた精霊たちがその実体を取り、そして――


帝国暦2006。
1598年のグスタフ・ヨーゼスU世今上帝即位によって、
真帝国のミッドガルド統一は、一気に、本格的世界制服へと発展した。
誰もが疑わなかった、カバラで勝る真帝国の勝利。
が、人々の予測は大きく裏切られ、
領土拡張政策はクエスター達によって、一進一退のまま、すでに400年が過ぎようとしていた。

MIDGALD MILLENNIUM

                     PHASE−02「平和への翼」

◆プリプレイ◆

GM:それではアルシャードffキャンペーン『ミッドガルド・ミレニアム』の第二話を始めます。
一同:『わ〜〜!!』
アルベルト:GM! PLが違います!
GM:はい。今回の話はアルベルトが主軸です。なのでセッション参加のPCもアルベルト中心に集ってもらいました。
バサラ:それで俺がいるわけか。
アルベルト:でもヒューベロンドさんがいませんよ?
バサラ:なっ!? まさかアイツ……逃げたか!
GM:いや、大人役は2人もいらないので今日は登場しません。
アルベルト:そうだったんだ……。じゃあここにいる残り2人のPLさんは?
GM:それは今回予告を読んでから説明ってことで――


今回予告――

ドヴェルグ空賊団。
真帝国の補給隊、企業の輸送船、そして一般人を乗せた飛空挺さえ問答無用で襲撃する悪人集団。
少なくとも、真帝国では子供達にそう教えている。

真帝国はとある空賊団の頭を捕縛することに成功する。
一方、頭領を捕えられた空賊団は、その逆襲に真帝国の要人を誘拐した。
そして空賊団から突きつけられる人質の交換条件。

真帝国は空賊団の出した引き換え条件を飲み、その頭をムント高地へ搬送する事となった。
しかし、そこで待ち構えていたのは……紫電に瞬く古き魔獣の咆哮だった。

ミッドガルド・ミレニアム第二話『平和への翼』
キミの翼が、神話へ続く。



ダルトン:なるほど、それで儂にドヴェルグをやれと依頼があったのか。
GM:そうです。ダルトンは予告で登場した"真帝国に捕まった空賊団の頭"で参加してもらいます。
ダルトン:もう捕まってるのか(笑)
GM:捕まっています。アルベルトやバサラとは敵同士スタートなので、上手くやってくれる事を祈ってます。
ダルトン:祈るだけかGM。
アルベルト:空賊団退治ですね! 頑張りましょうバサラさん!
バサラ:空賊なぞ真帝国に盾突くゴミです。坊ちゃんが出る必要はありません。
アルベルト:そんなぁ(笑)
ダルトン:ゴミだと?……言ってくれるな真帝国の若造が。
バサラ:俺はアルフだ。貴様のようなゴミに若造呼ばわりされる程、年若くは無い。
ダルトン:ふん、ロックの魂も理解せぬ馬鹿者どもは、儂から言わせりゃ皆若造じゃ。
バサラ:貴様……。
GM:まぁまぁ、そういう事はセッションが始まってからお願いします。
アルベルト:というか、そんなんで最後は協力し合えるんでしょうか?
GM:そこはPLを信じるって事で(笑)
バサラ:ああ、信じると良い。
ダルトン:任せておけ。
GM:………………。
アルベルト:それで、最後の1人はどういったポジションなのでしょう?
GM:ああ、簡単に言ってアルベルトのクラスメイトです。
アルベルト:クラスメイト?
GM:今回の話は第一話『少年時代』から5年後。アルベルトが真帝国の軍務学校で勉強している頃の話です。
アルベルト:軍務学校? じゃあ僕はまだ軍人では……。
GM:はい、軍人じゃありません。まだ学生です。
アルベルト:そんな……それじゃあ、それじゃあ……また加護も?
GM:はい、使えません。
アルベルト:(ガーン)
ラケル:大丈夫ですよアルベルト。データ的な活躍は10LVのお二人に任せて、私達は私達にしかできない活躍をしましょう。
アルベルト:うん、そうだね。ここで凹んでいるわけにはいかない……って、10LV!?
GM:はい。今回からアルシャードff上級ルールブック『アール・ヴァル・アルダff』を導入するので、試験的にダルトンとバサラは10LVキャラにしてもらいます。
ダルトン:空賊団の頭であり、賞金首としても有名なら、それぐらいあってもおかしくあるまいて。
バサラ:ドヴェルグと同等なのが癪に障るが……とりあえず成長はさせてしまおう(笑)
アルベルト:うわぁ……。これはもう逆に弱い事を武器に楽しもう(笑)
ラケル:その考え方は有りですね(笑)
GM:では新キャラのダルトンとラケルは自己紹介をお願いします。

◆自己紹介◆

ラケル=クラード(ファイター/サムライ/サムライ)

ラケル:
では私から……名前はラケル=クラード。本編で15歳の設定なので、今日は12歳ですね。
アルベルト:ああ、僕より1歳年下なんだ。
ラケル:でも軍務学校じゃ同学年ですよ?
アルベルト:わかった。
ラケル:白い肌に漆黒の髪。瞳は焦げ茶色をした人間の女性。ミッドガルド生まれでヤシマ人の血を引いています。
バサラ:ヤシマ? じゃあもしかしてクラスは……。
ラケル:はい。ファイター1のサムライ2です。
バサラ:≪タケミカズチ≫が2つか! ≪イドゥン≫持ちのヒューがいないこのメンツではキツイな(笑)
ラケル:構いません。それも修行になります。自分に厳しいサムライ風味な女の子なので。
バサラ:そうか。じゃあ任せた。
GM:境遇が[武者修行]でクエストが[修羅道]だものね?
アルベルト:なんでそんな求道者な人生を(笑)
ラケル:私の家は真帝国内のとある下級貴族なのですが、このままだと将来、私はどこかの家の御曹司と政略結婚する事になりそうだったんです。それが嫌で実力主義の軍に入ろうと軍務学校に通っています。
アルベルト:ああ、なんか苦労人っぽい。
ダルトン:なかなか良い根性しているではないか。
ラケル:自分の運命は、自分で切り開きます!
GM:頑張って下さい。
ラケル:頑張ります! ……あ、ただ、いつも人生の転機となる事が起こる前には、必ずと言って謎の女性を見るんです。私はその女性の事をまったく覚えていないのですが……。
バサラ:コネクションが「忘却」で奈落の使途グナーデか。
ラケル:自分とどんな関係があるかはキャンペーン中に考えるって事で、今は何も考えていません。
GM:了解です。
ラケル:シャードの形状なども、まだクエスターに覚醒してないので未決定です。次回までには考えておきます。
ダルトン(ドヴェルグ/ハンター/ファイター)

GM:
次はドヴェルグ。
ダルトン:ムント高地を根城にする空賊団が1つ。ダルトン空賊団の頭領、"黒戦斧の"ダルトンとは儂のことだ。
バサラ:はっ! 聞いた事無いな。
ダルトン:積層都市で惰眠を貪るモヤシに知られる名は持ってはおらぬ。
バサラ:………………。
GM:ダルトンは義賊だったりしますか?
ダルトン:いいや、商船、軍艦、輸送船、なんでも襲う。生粋の空賊だ。
GM:クラスは?
ダルトン:ドヴェルグ=ハンター=ファイターで、ごついベルトのバックルに黒いシャードがはまっておる。
アルベルト:ベルトなんですか? "黒戦斧"って言うからアックスだと……。
ダルトン:ああ、生まれが鍛冶職人でな。自分の武器は全て自らの手で生み出し研磨しておる。街についたら武器屋を見て周るのが、さりげない趣味だ(笑)
ラケル:そういうのがあると親近感でますね(笑)
ダルトン:そう思われるのは心外だ。だからこそ、その趣味についてはおおっぴらに公言しておらん。
ラケル:了解です。
GM:一応、コネクションなどもあれば教えて下さい。
ダルトン:ムント高地最大の空賊団"グラント空賊団"の大頭グラントに、コネクションを持っておる。
バサラ:あの"銀の腕"のグラントにか!?
アルベルト:凄い人なんですか?
バサラ:ええ、このムント高地で最強最悪と呼ばれる大空賊団のリーダーです。
ダルトン:そう思っておるのは貴様ら真帝国の奴等だけだ。儂等にとっては誰よりも頼りになる兄貴分だしな。
バサラ:ふん。
ダルトン:グラントにはかつて助けられた事があってな。儂はその恩を今でも忘れてはおらん。
GM:でもグラントは――「ん? そんな昔のこたぁ忘れたぜ。それよりギグの準備は抜かりねぇな!!」とか言って気にしてなさそうだけど(笑)
ダルトン:ありうる(笑) それでも儂はその恩を忘れん、恩は一生かかっても返す! それが儂の流儀じゃ!

◆特Aクラス◆

アルベルトとディアンが出会ってから5年の月日が流れた。
――帝国暦2002年。
13歳となったアルベルトは、父親の統括する積層都市ヨハネ=パトモスを離れ、
帝都グラズヘイムの軍務学校へと入学していた。
父親にもディアンにも、もう丸々2年は会っていない。
最初の頃は途方も無い寂しさを感じたりもしたが、今では新しい友人もでき充実した毎日を送っていた。
アルベルト:僕は軍務学校に入っていたのですね! でも2年しか経ってないんじゃ、まだまだヒヨッ子実習生って所ですか?
GM:いや、キミは真面目な努力家だし、もともとのセンスも手伝って成績は常にトップだ。
アルベルト:おお!?
GM:そんなキミだからか、特別Aクラスへの編入が最近決まった。
アルベルト:特Aクラス!?
バサラ:なんかエリートな匂いが(笑)
GM:エリートですから(笑) まぁそれからすぐに学校の先生に呼ばれ、意志を確認されます。行くか行かないか……のね。普通クラスの友達と離れる事にはなるし。
アルベルト:もちろん行きます。僕はこの国を一刻も早く守れるようになりたい。
GM:うむ、ではキミは特別Aクラスへと編入されました。
アルベルト:よし……回りは年上ばかりな気もするけど、頑張ろう!
ダルトン:しっかし……苛められそうなパターンだ(笑)
アルベルト:ええっ!?
GM:確かに苛められそうだね(笑)
ラケル:そこは私の出番です。アルベルトの前に出て――やめなさい。真帝国軍は実力主義のはず、もしアルベルトが気に入らないのなら実力で示せばいい――と、アルベルトより年若い私が言います(笑)
バサラ:(←年上の落ちこぼれ)『貴様……なまいきな!』『てめぇも飛び級組だったな?』『二度とナマ言えねぇようにしてやる!』
アルベルト:危ない!!――って言うか、3人もいるし(笑)
ラケル:じゃあそれを一瞬で組み伏せます! 軍で習った格闘術ではなく、家で覚えたヤシマ流の護身術で。
GM:では自称先輩が投げ飛ばされよう。そのまま逃げていきます。
ラケル:残り2人!
アルベルト:ああ、じゃあラケルが振り向くと残り2人は僕が倒していたって事にしたい(笑)
ラケル:振り向いて驚こう――えっ……あなた、そんな強いのに……どうして何も言い返さないの!
アルベルト:いや、僕が手を出さなければ誰も怪我をしないですむだろう? 確かに僕は少々痛いかもしれないけど……これぐらい我慢できるしね。
ダルトン:(ナレーション口調)――それが、アルベルトとラケル、やがて真帝国にこの人ありと言われる2人の出会いであった……――
GM:いや、それは解らんけど(笑)
アルベルト:ここは男の僕から自己紹介をしよう――僕……いや、私はアルベルト=ガラール、13歳。つい先日、このクラスへ編入されました。
ラケル:えっと……私の名前はラケル。ラケル=クラード。12歳だからあなたの方が年上…ですね――と、微笑みながら握手の手をだそう――これから宜しく。
アルベルト:握手し返す――ああ、どうやら私達は目を付けられているようだしね、せめて一緒に…仲良くやって行こう――と、そこで一緒について来ていたシグルドがラケルにまとわりつきます。
ラケル:じゃあ両手で抱き上げよう――わぁ、かわいい……。
アルベルト:シグルドって言うんだ。小さい頃からの私の友達なんだ。
ラケル:へぇ…私はラケル、宜しくね?
GM:「ワンッ♪」――とシグルドが吠えたところで一度シーンを切りましょう。

◆空賊掃討戦◆

ムント高地、とある岩山。
"黒戦斧"ダルトンが仕切るダルトン空賊団は、今日も晴れ渡る空の下、自分達の自慢の船に次々と乗り込んでいく。
ダルトン:野郎どもノリ遅れんな! ムントのギグは待っちゃくれねーからな!!――と船に乗り込む団員たちを急かそう。
GM:団員たちは皆一様に「おうっ!!」と熱気むんむんで乗り込みます。が、そこに副頭領のギガンがやってきます。
ダルトン:おう、どうしたギガン! 今日は真帝国の輸送船団が大入りだ! ライブに遅刻は大ブーイングだぜ?
GM:「お頭、実は耳よりな情報を仕入れてよ……真帝国の輸送船団を囮に、G=M社が貴重な品を乗せて別ルートでココを越えるって話だ」
ダルトン:なんだと? そいつぁマジなんだろーな?
GM:「ああ、高い金払ったチケットだ。嘘じゃねぇ……。だけど、今からギグの予定を変えるってのももったいねぇ。どうだろう、半分の手勢を俺に預けてくれねぇか? そうしたらG=M社の方には俺が乱入してくる」
ダルトン:半分か……いいだろう。真帝国のへっぴり腰連中なんざ、半分もいれば十分だ。お前はそっちで大暴れしな!
GM:「ああ、任せとけ!!」
ダルトン:よし! お前ら、出発だ!!!


副頭領のギガンに半分の船を預け、残りの半分で真帝国の輸送船を襲撃しようと出発したダルトン達だったが、予定のポイントで真帝国の艦影を発見した時、誰もが背に戦慄を覚えた。
そこに出現したは、いつものような数隻の輸送船とその護衛船ではなく。
大小合わせ百隻近い飛空挺の大艦隊だった。
ダルトン:百隻だと!? まさか罠だって言うのか!
GM:そうです。空賊団討伐のために編成された大艦隊です。すでに人型戦車に使われるカバラ砲にて、ダルトン空賊団の船は1隻、また1隻と撃沈していきます。
ダルトン:くそっ! お前ぇら! ドヴェルグのロック魂、こんな所で終わらすんじゃねーぞ!!
バサラ:(←空賊団の一員)『ガラム隊、ギム隊、撃墜されました……。お頭ぁ! このままじゃ持たねぇ!!』
ダルトン:ちっ、せめてギガンの奴もこっちに居りゃあ何とかなったんだが……。
バサラ:『お頭ぁ!!』
ダルトン:うるせぇ黙らねーか! ……よし、今から真帝国の奴等を黙らせる。お前らはその隙をついて全船引き上げだ!
バサラ:『でも、隙なんで……どうやって!?』
ダルトン:通信管を握って、全員に連絡――『野郎ども! 今から儂が真帝国のクソどもに本物のロックってやつを見せてやる! 奴等が儂のギグに酔いしれてる間に、お前ぇらは全力で引き上げろ! これは命令だ! 無視しやがった奴はぶっ殺す! いいな!!』――通信終わり! そして黒戦斧を抱え自分の船の風読みに言う――おい、このまままっすぐ、あの一番でかい船に突っ込め。
バサラ:『何を言って……お頭ぁ!!』
ダルトン:うるせぇ、黙って儂の言う事を聞け! お前ぇらは脱出艇でこの船を降りろ。あとは儂がなんとかする!
バサラ:『お頭ぁ! あんたまさか死ぬ気じゃ!?』
ダルトン:馬鹿野郎、この儂を誰だと思ってる? 儂の事を信じろ。そしてアジトで儂の帰りを待っていろ! すぐに戻って来てやる!!
GM:ではその言葉で船員達は脱出艇で逃げ出します。最後に風読みが船のエンジンである雷石(に宿るシルフ)に直進するよう言い、大戦艦へと船は突き進みます。
ダルトン:儂は船首に仁王立ちになり、ぐんぐんと迫ってくる大戦艦を睨み――さぁ来い! 最高のギグをお見舞いするぜ!!
GM:真帝国軍からの艦砲射撃は終わらず、船の各所が次々に爆発して行きます。
ダルトン:なら最後に船が大爆発する瞬間に≪テイクオフ≫!! そして大空から大艦隊向かって黒戦斧を振り降ろす――ロックンローーーーール!!!!!

◆特別課外授業◆

アルベルトが特別Aクラスへ編入してから半年が経った。
すでに授業についてこられなくなってクラスから去る者が何人も出ている中、
アルベルトとラケルは最年少ながらトップの成績を修めていた。
そんなある日、2人は職員室へと呼び出しを受ける。
GM:と、アルベルトとラケルがやってくると、そこには先生のほかに真帝国軍の軍服を着た軍人がいます。
アルベルト:教わった敬礼をします。
ラケル:同じく。
GM:すると先生は――「アルベルト、ラケル、キミ達はクラスでも特別に優秀だ。よって少し早いが特別課外授業に参加してもらう事にした」
アルベルト:特別課外授業……ですか?
GM:「ああ、だが安心しろ。別に戦闘に参加しろと言っているわけじゃない。軍の飛空挺に乗り、我等が軍の手助けを行ってもらいたい」
ラケル:戦闘以外の……でしょうか?
GM:「そうだ」――と先生が答え、そこからは横に立つ軍人が説明します――「このたび、我ら第33輸送中隊は、とある任務でムント高地へ赴く。キミ達は我らと共に船に乗り同行してもらい、いくつか手伝ってもらいたい。主に雑務が多くなるだろうが、それでも良い勉強にはなるだろう」
アルベルト:はい、光栄です。
ラケル:できうる限り尽力致します。
GM:「出発は――」



GM:――と説明がされたのが一昨日の事。すでにアルベルトとラケルは第33輸送中隊の飛空挺に乗っています。
アルベルト:いきなり空の上だ(笑)
ラケル:見てアルベルト! ミョルニル山が見えてきた。
アルベルト:本当だ……けっこう北までやって来たんだなぁ――と雑務の掃除でもしつつ。
GM:すると一般兵がキミ達を見つけて――「ああ、ちょっと良いか?」
アルベルト:はい、なんでしょうか?
GM:「実は捕虜に飯の時間なんだが、人手が足りなくてさ。代わりに行ってくれないか? 捕虜の飯だと言えば食堂でも牢部屋でも話は通じる」
アルベルト:わかりました。
ラケル:あの……人手が足りないって、何かあったのですか?
GM:「ああ、空賊の斥候がうろついているらしい。警戒態勢でいろと、上からお達しがあってさ」
ラケル:空賊……ドヴェルグですか。
GM:「大丈夫。この船は捕虜の護送船だからな、ドヴェルグ達も仲間ごと俺らを撃ったりはしない、安心していい」
ラケル:……わかりました。
GM:では兵士の人は忙しそうに走っていきます。
アルベルト:ドヴェルグが仲間ごと……って事は、捕虜はドヴェルグの空賊かな?
ラケル:たぶん、そうじゃないでしょうか。とりあえず掃除を終わらせて食堂に行きましょう。
アルベルト:ああ、そうだね。
GM:と、すでに掃除も終わって食堂で捕虜用の食事を貰った事にして構いません。
アルベルト:じゃあ食器と料理の乗ったトレーを持っていよう。
ラケル:牢部屋の番兵さんには私が説明します。
GM:なら普通に入れてもらえる。中には鉄格子で区切られた部屋がいくつもあるけど、そこにいるのはたった1人だ。
ダルトン:登場するぞ?――ほう、やっと飯か……待ちくたびれたぞ?――ズズーンッと背景に擬音が入るように堂々とプレッシャーをかけよう(笑)
ラケル:プレッシャーなんだ(笑)
アルベルト:くっ…なんて威圧感なんだ!?――と思いつつもなんとか食事を牢屋に入れよう。
ダルトン:儂は無言で食べ始める。
アルベルト:それをじっと見てる。
ラケル:見てるの!?――アルベルト、私達の仕事は終わりです。早くこの部屋を出ましょう。
アルベルト:ん、あ、ああ……――と生返事でドヴェルグを見てる。
ダルトン:じゃあ一通り喰い終わってから――まったく、腹が空いてなけりゃ、こんな味気無い飯なんぞ食いはしないのだがな……おい、小僧――アルベルトを睨もう。
アルベルト:に、睨み返します。
ダルトン:ニヤリ――そういきり立つな? 小僧、お前何かこの儂に聞きたい事でもあるんじゃないか?
ラケル:アルベルト?
ダルトン:口の中をもごもご舌で掃除しつつ、片目だけ開けて促す。
アルベルト:お前は……お前達空賊は、なんで他の船を襲う。
ダルトン:それは目を点にしよう。
アルベルト:どうして平和に暮らそうとしている人たちを襲撃するんだ。軍が討伐に向かった事に抵抗するのは解る。だけど、お前達は企業の輸送船だろうと、一般の定期便だろうとお構いなしだ!
ダルトン:…ガッハッハッハッハッハッ……――と大笑いしよう。
アルベルト:何が可笑しい!!
ダルトン:小僧、お前の言う平和ってなぁ何だ? 武器を輸送する企業どもは平和なのか? どこかで戦争がおっ始まっている中、のんびり観光旅行で定期便に乗っている奴等が平和なのか?
アルベルト:それは……――
ダルトン:すくなくとも、儂らドヴェルグは誰もが平和に暮らしている。立場が変われば見方も変わる。平和ほど不平等なものは無い。
アルベルト:不平等だなんて……そんな事は無い! 少なくとも僕たちは――
GM:と言った所で外から爆発音が聞こえ、船体が揺れます。
ラケル:きゃッ!?
アルベルト:ラケル!!
ダルトン:ぐっ――転がらないようにバランス取るぞ、こけたらかっこ悪い。
ラケル:大丈夫です……それより今のは?
アルベルト:まさかとは思うけど……――

◆人質奪還任務◆

積層都市ヨハネ=パトモス。
その都市を仕切る枢機卿の執務室へ、義手をつけた巨人族(アルフ)の青年が入ってい来る。
灰緑の瞳に銀の髪、レオニード=ガラール枢機卿の右腕、バサラ少佐である。
バサラ:ただ今参りました。
GM:「ああ、待っていたぞバサラ」
バサラ:はっ。
GM:「突然な話になるが、キミには帝都へ赴いてもらいたい」
バサラ:帝都……グラズヘイムへですか? しかし、猊下が出席なさる式典はまだ先では?
GM:「いや、今回は私の護衛ではない。とある軍事作戦の助っ人として派遣する」
バサラ:助っ人……ですか。
GM:「つい先日、ムント高地で悪名高いとある空賊団の頭を捕縛した。しかし、その頭を取り返えそうと今度は真帝国の要人が、生き残った空賊どもに捕まってしまってな」
バサラ:お言葉ながら、そのような輩に捕まる要人など、切り捨てて構わないかと。
GM:「かもしれん……だが、そうもいかない人物でな……」
バサラ:黙っておこう。これ以上は軍規に違反しそうだ(笑)
GM:「昨日、その空賊団から要人と捕虜の人質交換が要求されてきたらしい。普通なら無視するところだが……」
バサラ:まさか……条件を飲む、と?
GM:「ああ、そのまさかだ。それだけその要人が、真帝国にとって無くてはならない人物であり……それだけの功績を持った男だと言うわけだ」
バサラ:わかりました。私はその護送船に乗り込み、可能な限り尽力致します……しかし、そのような要人に恩を売るような行為に、猊下が横槍を入れること……他の枢機卿が黙っておりますでしょうか?
GM:「その点に関しては問題無い。お前も任地に到着すればその理由もわかろう」
バサラ:……はっ、それでは――部屋を退出しよう。



GM:そして今、バサラは第33輸送中隊の飛空挺にいます。
バサラ:艦長席の横に立ちながら、乗船メンバーの一覧表をピラピラ見ていよう。そして坊ちゃんの名前を見つけ――ふぅ、なるほど……親馬鹿と見られるなら何も問題は無い……か。
GM:「どうかしたか少佐?」――艦長が聞こう。
バサラ:いや、なんでもありません。
GM:「そうか……しかしガラール卿も人の親だな。やはり自分の子は可愛いと見える。だが少佐、この船に乗っている限り、子息であろうと準兵である事に変わりは無い。特別扱いは遠慮してくれ」
バサラ:ええ、わかっています。私はこの船の生存率を高めるために存在する駒……そう思ってもらって構いません。
GM:その言葉に自尊心をくすぐられた艦長は満足します。
バサラ:それより、交換条件を突きつけてきた敵について教えてもらえますか?
GM:「ここの船倉に捕えているダルトン空賊団の生き残りだ。なんでも副船長のギガンとか名乗っているらしい」
バサラ:ダルトン空賊団は全滅させたと聞きましたが?
GM:「残念だが我らは殲滅戦に参加してなかったのでね……詳しい事はわからんよ。ただ、どうも空賊団の半数は残っていたと報告にある」――と言った所で、空賊団の斥候がうろちょろしていると連絡が入り、船の兵士は全員警戒態勢を取ります。
バサラ:私はどうしましょう?
GM:「ああ、好きにしていて構わん。何かあってもこちらには奴等の頭領がいるんだ。空賊団も攻撃はしてこれまい」
バサラ:……では――と、公私混同だが坊ちゃんの様子でも見てこよう(笑)
GM:その瞬間! 砲撃の音と共に激しい揺れが船体を襲います。
バサラ:咄嗟に近くの椅子に手をついて状況を確認する。
ラケル:(一般兵)『左舷被弾、第3エンジン停止しました。航行に支障はありません……』
GM:「どうした! いったい何があった!!」――と艦長が怒鳴ると同時、雲間からドヴェルグたちが使う飛空挺がわんさと現れます。
ラケル:(一般兵)『空賊…?…ひぃふぅみぃ……数約20! 空賊団の奇襲です!!』
GM:「馬鹿な! こちらに人質がいる事を知らないのか!? どこの空賊団だ!!!」
ダルトン:まったくだ(笑) 儂が乗っているのにどこの馬鹿だ(笑)
GM:ああ、空賊艇には交差した黒戦斧に髑髏マークがはためいています。
ダルトン:儂の空賊団じゃないか(笑)
GM:そうこうするうちに、バシャーンッ!! とガラスを突き破って艦橋にドヴェルグが突っ込んできます。艦長は咄嗟のことにアタフタ。
バサラ:ちっ……≪奇襲攻撃≫≪ライトソード≫≪アストラルサポート≫で突入してきたドヴェルグを斬りつけ、勢いのまま窓の外に放り投げる!!
GM:(コロコロ)……こちらの回避は12です。
バサラ:……ふん、クリティカルで絶対命中だ。
GM:それならバリンッ――と再び窓を突き破ってそのドヴェルグは落ちて行きます。
バサラ:何をしている! 各艦の陣形を立て直せ! このままじゃ空賊どもの良い餌食だ!!
GM:「はっ!? 通信兵、全艦に通達!――」――と艦長も復帰します。
バサラ:よし。俺は急いで坊ちゃんの下へ。

◆災厄の襲撃◆

ダルトン空賊団の生き残り達は、副頭領ギガンの立てた作戦通りに真帝国の護送船へ奇襲をかけていた。
「真帝国の奴等が、素直にお頭たちを交換すると思うか?……だから、やられる前にやるんだ」
ギガンの作戦は成功し、電撃戦による奇襲はすでに半数の護衛艦を屠りさっていた。
すでに数人の空賊は、敵本艦への突入に成功し、ダルトン救出は目前だった。
そう、あの災厄がやって来るまで……――
GM:と言うわけでマスターシーンです。
一同:『おお!?』
GM:勢いで一気に攻め続ける空賊達、しかしその飛空挺軍を一条の閃光が奔りぬけ、一瞬後……閃光の通った場所にいた船が次々に大爆発を起こす!!
ダルトン:(空賊)『ギガンさん!! い、今のは!?』
GM:「落ち着きやがれ!!」――とギガンが言うと共に、その閃光を吐いた主がゆっくりと姿を現す。それはこの世界で誰もが恐怖する存在、奈落より以前からずっと人々が畏れを抱き続けた相手……。
バサラ:ああ、それは廊下を走りながら窓の外を見て俺が呟く(笑)――なっ! ドラゴン……だと!?
GM:じゃあ一瞬カメラがバサラにカットインしつつ、再びドラゴンに向けられます。ドラゴンは大きく雄叫びをあげ戦場を恐慌状態に陥らせると、再び息を吸い巨大な雷撃のブレスを放ちます。
ラケル:(空賊)『お、おかしらぁあああああーーーー!!!!』――消滅(笑)
GM:そんな感じ(笑) ギガンは全ての船に通達をいれます――「やろうども良く聞け! 真帝国の奴等、最初からこれを用意してやがったんだ! このままじゃ全滅しちまう、撤退だ!!」
ダルトン:何!? それはギガンの横にいたドヴェルグが――『でもギガンさん! お頭は! お頭はどうするんです!!』
GM:「うるせぇ! 命あってのものだねだ! それともてめぇ、お頭がこれしきの事で死ぬとでも思ってんのか!」
ダルトン:『い、いえ………』
GM:「わかったら行くぞ!」――そう言って仕切り直すギガン。しかし、その口元に邪悪な笑みが浮かんでいる事に、気がつく仲間達はいなかった……。

◆空からの脱出◆

ダルトン:何がどうなっておる!!
アルベルト:私に聞かれても……――と不安そうに。
ラケル:とりあえず誰かに聞いてみましょう――と外に出て番兵さんにでも聞いてみます。通信ぐらいは受けて状況を把握してそうだし。
バサラ:そこに駆け込んでこよう――大丈夫ですか! 坊ちゃん!!
アルベルト:え……バサラさん!? どうしてここに!
バサラ:猊下に頼まれこの船に乗っていたのです。それより早く脱出しましょう。
アルベルト:え、どういう事ですか? それに、いったい何が起こってるんですか!
バサラ:船が空賊の奇襲を受けました。さらに奴等はサンダードラゴンまで手懐けています。
ダルトン:そうなのか!?……あ、プレイヤー台詞ね?
バサラ:いや、俺から見ればサンダードラゴンはお前等が連れて来たと思うだろう。
GM:そうですね、マスターシーンでは空賊の船がやられていましたが、ドラゴンは真帝国にも無差別に攻撃しています。
バサラ:先ほど、第6、第8エンジンに被弾するのが見えました。この船はもう長くありません。脱出します。
アルベルト:そんな! みんなが戦っている中、私達だけ逃げるなんて出来ません!!
バサラ:……いえ、坊ちゃん達だけが逃げるのではありません――と言うとダルトンの牢屋をライトソードで破壊。
GM:ガランガランと鉄格子が転がります。
ダルトン:貴様……どういうつもりだ。
バサラ:忌々しいが、お前は大事な人質だ。我等が軍の要人と交換するまで、貴様には生きていてもらわねば困る。
ダルトン:目を細めよう――人質交換なんて聞いてないしな。
バサラ:坊ちゃん、我々はこの人質を連れて脱出します。今、真帝国の要人がこいつらに囚われています。このドヴェルグはその要人の交換に必要になるのです。そして……空賊とドラゴンの急襲で他の者は手一杯、戦う事もできない学生兵だからこそ、自分のやるべき事をするのです。
ラケル:アルベルト、行きましょう。
アルベルト:……うん、わかった。ダルトンさんを引っ張って行きます。
ダルトン:儂は拘束具なんだよな……――おい小僧、自分で歩ける。引っ張るな。
アルベルト:じゃあ引っ張らない。本気でやられたら無理だし。
GM:では少し経ってキミ達は小型の脱出艇に乗り込みます。そこで全員【幸運】で判定して下さい。難易度は10ね。
アルベルト:(コロコロ)……成功。
バサラ:無論成功。
ダルトン:……普通に成功だ。
ラケル:……ごめんなさい、失敗しました。
GM:失敗した人は1D6の実ダメージを受けておいて下さい。そして小型艇が脱出すると共に、第33輸送中隊の母艦が大爆発を起こします。
アルベルト:ああ!?
GM:小型艇がその余波で錐揉み状態です。
バサラ:坊ちゃん、しっかり捕まっていて下さい!――とキツイ顔しつつ何とか墜落だけは避けたい!!

◆不時着◆

GM:小型艇は森の中へと墜落します。
ダルトン:小型艇の運転もまともにできんとはな、空を知らん軍人はこれだからいかん。
バサラ:くっ、縛られてる分際で偉そうな!――と言った所で墜落と衝撃かな?
ラケル:その衝撃で投げ出されましょう。
アルベルト:ラケル!!
黒い尾を引いて小型の脱出艇がムント高地中腹の森へと不時着する。
激突のショックで割れた窓から1人の少女が投げ出された。
アルベルト:小型艇が止まったら、すぐに降りてラケルに駆け寄ります!
ラケル:少し制服がボロボロになりつつも、私は無事です。
アルベルト:ラケル、大丈夫かい?
ラケル:じゃあ足を怪我しました。さっき私だけ4点入りましたし――ええ、大丈…ううっ! 足を、挫いてしまったようです。
アルベルト:動かないで……――服を破って固定します。
ラケル:すいません、アルベルト。
アルベルト:いや、気にしないで……それより歩ける?
ラケル:少し足を引きずりますが別に歩けます――ええ、大丈夫です。
アルベルト:………………。途中から肩をかそう。それで不時着した小型艇まで戻ろう。
GM:では小型艇の方ですね。
バサラ:動きそうか?
GM:無理ですね。完全に壊れています。
バサラ:ち、これはもう駄目か。現在地は? 近くに街はあるか?
GM:小型艇のレーダーを最後に見た限りだと、交易が盛んなティントという街に、数日歩けば到着できますね。
バサラ:人質交換の約束の場所へは?
GM:そこまでなら半日も歩けばつくでしょう。
バサラ:微妙な距離だな……。
アルベルト:ではラケルと一緒に戻ってきます――バサラさん、小型艇は動きそうですか?
バサラ:いや、これは無理ですね。
アルベルト:そう……ですか。
バサラ:しかしご安心を。この度の任務、その目的地までなら半日も歩けば到着します。
アルベルト:半日……。あのバサラさん、街とかには戻れないのですか? ラケルが足を挫いてしまって、できれば病院へ行きたいんです。
バサラ:ラケル?――とアルベルトの学友を見て――おい貴様、目的地まで半日だ。歩けるな?
ダルトン:口調がぜんぜん違うしな(笑)
バサラ:当たり前だ。アルベルト坊ちゃんはともかく、その辺の学生ごときになぜ俺が敬語を使わねばならん(笑)
ラケル:えっと、気丈に敬礼してから言います――はい。問題ありません。
バサラ:では行こう。
アルベルト:バサラさん!
ラケル:アルベルト、あなたのテーピングで十分です。私も軍人になろうとしている1人です、コレぐらいで音を上げたりはしません。
アルベルト:だけど、ラケル!
ラケル:アルベルトの肩を離して1人で立ちます。痛みは我慢して顔に出しません――ほら、何も問題ありませんよ?
アルベルト:………………。
ダルトン:そこらで出てこよう……縛られたままの格好で、鉄くずをどけながら――怪我をしたのか? 治療するには良い場所がある。教えてやろうか?
GM:……そうですね、落下場所や風景から、ダルトンは自分達の集落へ行くのも不可能じゃないと判断できます。だいたい1日って所かな。
ダルトン:ここからなら1日も歩かずに儂らのアジトに行ける。そこなら薬も回復薬もあるぞ?
バサラ:空賊ごときがでしゃばるな。誰がそんな事を信じる。
ダルトン:ふん、ここいらは儂らのテリトリーだ。子連れのお前さん1人で何ができる?
ラケル:子供?
バサラ:何ができるかだと? まだ学生だが未来の帝国を背負って立つ者達だ。我等が臣民の子を侮辱するならば…貴様、その命惜しくないようだな。
ダルトン:強がりを……儂を殺せば、お前さん方のお偉いさんも死ぬんじゃないのか?――ニヤリ。
バサラ:なぜそれを!?
ダルトン:儂を生かしたまま連れて行く……その意味を考えれば自ずと答えは見えるわい。
バサラ:ちっ、これだから賊は!!
アルベルト:バサラさん、私達はこれからどうするのですか?
バサラ:……坊ちゃん、我等の任務を正確にご存知ですか?
アルベルト:ラケルと顔を見合わせよう。
ラケル:ええ、知らされていません。
バサラ:じゃあ説明したって事で――……――と言うわけです。
アルベルト:帝国軍の要人が!?
ラケル:交換場所へ急ぎましょう。時間に遅れてその方が殺されては大変な事になります。
アルベルト:でもラケル……足が……。
ラケル:ううん、大丈夫。行きましょうバサラ少佐。
バサラ:よし。これより交換場所へ向かう。約半日の旅程になるが、約束の時間に遅れるわけにはいかん、4時間で踏破する。
アルベルト&ラケル:『はいっ!』

◆小さな友達◆

ドヴェルグ達との交換場所に向かう一行。
ムント高地の森の中は背の高い針葉樹が多い。とても……とても静かだった。
その森の中を歩いていると、まるで下界から切り離された別世界のような気になってくる。
2時間ほど歩いたところで、バサラは偵察と方向確認の為に1人で先へ行ってしまった。
アルベルト達は、その間に僅かばかりの休息を取る事にする。
GM:次はラケルのシーンです。登場難易度は10。
バサラ:……登場失敗(笑) 俺は方向を確認したり偵察したり、1人で先行しているって事で。坊ちゃん達は捕虜の監視をお願いします。
アルベルト:私は成功した――はい、解りました(笑)
ダルトン:儂は成功だ――ふん、誰も逃げ出したりはせん。
アルベルト:たとえそうだとしても、縄を解くわけにはいきません。
ダルトン:ふん、生真面目な事だ。
アルベルト:気にしません。それより――ラケル、足は大丈夫かい? とりあえず……そこの岩にでも座ってて。
ラケル:ええ、そうします――と岩に腰掛けます。そうすると痛みが蘇ってくるのでしょうねぇ(笑) ああ、私がシーンプレイヤーじゃなかったら舞台裏で治したのに!
アルベルト:ラケルのブーツを外すと真っ赤に腫れてるんだろうなぁ……――待ってて、何か冷やす物……と言っても水さえ無いし……。
GM:ではアルベルトは【知覚】の難易度12で振ってください。
アルベルト:……はい、出ました。13です。
GM:近くから水の流れる音がします。
アルベルト:そっちを見に行きます。
ラケル:気をつけて下さい。
GM:ではアルベルトは水場へ行きました。ラケルとダルトンは【知覚】の難易度10で振って下さい。
ダルトン:……失敗した。
ラケル:私は成功です。
GM:近くの草むらにガサゴソと何かが隠れている気配がします。
ラケル:そこにいるのは誰です。出てきなさい。
GM:ガサゴソ揺れていますが、出てきません。
ラケル:立ち上がって草むらを見に行きます。
そこには白い肌の体長50cmほどの子ドラゴンがいた。
GM:コツン――とキミの顔に何かが当たる。パチンと弾けて静電気程度に痛い。
ラケル:<雷>のブレスを吐いた?(笑)
GM:見れば翼を怪我しているようですね。一生懸命にキミから逃げようと這っています。
ダルトン:なるほど、さっきのドラゴンはこやつを探していたというわけだな。
ラケル:ドラゴンは授業ではどのように習ったのでしょうか?
GM:帝国に害なす魔獣の中でもトップクラスの戦闘力を持つ……とされていたけど、今では真帝国軍"蛇の目"アンジェラ=ローゼンベルクの名とともに、真帝国の臣民であると説明されている。
ラケル:なるほど……。
アルベルト:そこで帰って来よう――ラケル!!
ラケル:アルベルト……このドラゴンが……。
アルベルト:ドラゴンだって!?
ダルトン:遠くから声をかけよう――さっさと殺した方が良いぞ。さっきのドラゴンがここに来れば、儂らはひとたまりも無い。
アルベルト:た、確かに――と剣を振りかぶります。
GM:子ドラゴンは『キューキュー』と泣きながら逃げようと這っています。
アルベルト:うわ……やりづらい……――どうしよう。
ラケル:ではポンと肩に手を置いて――やめましょう。今、この子は脅威ではありません。
アルベルト:そう、だね。
ダルトン:良いのか? それはいずれ大きく育ち、先ほどのような被害をお前達は受ける事になるのだぞ?
アルベルト:う゛。
ラケル:いいじゃないですか――子ドラゴンの元に座って、それなりの枝を拾って、今度は自分の服を破って翼に添え木をします。
GM:子ドラゴンは猛烈に悲鳴を上げてブレスを吐きまくります(笑)――1D6点ね。
ラケル:……3点、痛い(笑) でも我慢して目を見つめたらそのまま添え木を完了させる。
アルベルト:ラケル……。
ラケル:確かに、この子はいずれ敵になるかもしれません。でも、今は私達もこの子も同じです。怪我をしているのを見てみぬふりをするわけにはいきません。
アルベルト:うん、そうだな。
ラケル:でも、私達にできるのはここまでですね。子ドラゴンさんとはここでお別れです。
GM:そんな所で休憩終了のバサラの声が聞こえる。出発らしい。
アルベルト:じゃあ濡らしてきたタオルでラケルの足に当ててから、ダルトンさんと並んでバサラさんのいる方へ行こう。
ラケル:そうですね――ところで子ドラゴンは?
GM:アルベルトとラケルの後を追うように、ひょこひょこ這って来ます。
ラケル:………………。――私は子ドラゴンの元に戻って――あなたは、あなたの同族の下へ帰りなさい。真帝国でドラゴンは臣民とされているけど、それでもあなたと一緒に行くわけにはいかない。
GM:子ドラゴンはキミが戻ってきたのを喜んでいるようだ――『キューキュー♪』
ラケル:………………。
アルベルト:ラケルー! 大丈夫かーい?――と先に進みつつ声をかける。
ラケル:ええ、大丈夫です!――返事してからアルベルト達の方へ戻ります。
GM:『キューキュー!』――子ドラゴンは必死にラケルに追いつこうと這って来ます。
ラケル:………………。しかた無いですね……戻って子ドラゴンを抱えてからアルベルト達を追いかけます――あなたの怪我を、治すまでの間だけですからね。
GM:『キューキュー♪』

◆真帝国の要人◆

空賊団に指定された人質交換の約束の場所。
山腹にあったその大きな岩棚で出来た広場は、今、吹き抜ける風の音しかしない。
大きく破壊された跡が生々しく残り、そして――
GM:全てのドヴェルグが死亡しています。
ダルトン:なにが……起こったって言うんだ!?
GM:その死亡しているドヴェルグ達は、ダルトン空賊団の仲間達だね。皆、ダルトンが命を賭けて逃した野郎どもだ。
ダルトン:誰が……誰かこんなことを!!!
バサラ:ドラゴン……か?
GM:そういう爪痕は見られませんね。巨大な何かで押しつぶしたような……巨大なトンカチで叩きまわった……そんな感じ。
アルベルト:いったい……何があって……。
GM:そこで全員【知覚】で判定して下さい。難易度は10です。
アルベルト:クリティカル!
GM:なら小さいけど息使いが聞こえます。激戦でできたであろう岩の山からだ。
アルベルト:走っていく。岩を急いでどかす!
バサラ:何も言わず手伝う。
アルベルト達がその瓦礫をどけると、ボロボロの制服を着た帝国軍人が現れた。
中年のハゲ頭で、鼻の下には髭。ずいぶんと太った男だった。
GM:「ぐはぁ……助かった」
アルベルト:えっと貴方は?
GM:「その制服、軍務学校の生徒か?」
アルベルト:はい、帝都グラズヘイム軍務学校に所属するアルベルト=ガラールです。
GM:「ガラール?」
バサラ:坊ちゃん、この方は――
GM:と、バサラの口を中年軍人は塞ぎ、ちょっと学生2人から離れた所へ連れて行きます。
アルベルト:???



バサラ:閣下……あの、なにか?
GM:「あの少年、もしやガラール枢機卿のご子息か?」
バサラ:はい。閣下とドヴェルグ空賊の頭を交換する任務に研修員としてご同行しています――と説明は全部した。
GM:「なんだと!? では我等が帝国軍はドラゴンにやられ、ここから街まで徒歩で帰れと!?」
バサラ:はい。申し訳ありませんが……。
GM:「まぁ仕方無い……それと貴様」
バサラ:バサラと言います――襟元の階級章を見せつつ。
GM:「バサラ少佐。わしの名はガラール卿のご子息の前では出さないようにせよ」
バサラ:それは……なぜ?
GM:「軍団長たるわしが捕まったなど、学生の耳に入れて良いわけがあるか!」
バサラ:……了解致しました。では何とお呼びすれば?
GM:「……ムート閣下と呼ぶように」



バサラ:戻ってこよう。
アルベルト:どうしたんですか、バサラさん?
バサラ:ああ、現状をこの方……ムート閣下にご説明していたのです。
GM:「うむ、キミ達はまだ学生のようだが、気軽にムート閣下と呼ぶように」
アルベルト:は…はぁ。わかりました。
ラケル:それよりムート閣下。ここで何が起こったのです?
GM:「なにやら同士討ちのようだったな。ドヴェルグ達は最初油断しておったが、急に騒ぎ出して殺し合いを始めたようだ。もっとも、わしは目隠しされていたので襲撃者の顔は見れなかったのだが……」
バサラ:あの……なぜ、それで生きて?
GM:「ああ、誰ぞが放った範囲攻撃で近くの岩が崩れてな、悪運強く生き埋めになり助かったのだ」
バサラ:………………。
ダルトン:最初は油断?
GM:「ところで、さっきから気になっていたのだが……そのドラゴンはなんだ?」
アルベルト:ああ、怪我をしていたので助けたのです。
バサラ:閣下が殺せと言うなら殺しますが?
アルベルト:バサラさん!――と言おうとして我慢。
GM:ムート閣下は少し悩んでから――「いや、放っておこう。少佐、我等が帝国の飛空挺がドラゴンにやられたと言っていたな?」
バサラ:は。
GM:「ならばその子ドラゴンは何かに使えるかもしれん」
ラケル:人質に使う気だ……。
GM:子ドラゴンはキューキューと無邪気に鳴いています。
アルベルト:でも、今あの子を捨てるわけにもいかないし……。
ラケル:アルベルト……あなたは。
アルベルト:ん?
ラケル:じっと見つめてから――いいえ、何でもありません。
アルベルト:不思議そうにしていよう。
ラケル:心の中で――アルベルト、あなたは優しすぎます。
バサラ:さて、とりあえず要人たるムート閣下は助け出せた。これからどこへ行くか……か。
GM:選択肢は2つ。1つ目はダルトンのアジトへ行く。2つ目は遠いけど街まで行くパターン。
ラケル:でも、普通空賊のアジトには行かないのでは?
ダルトン:一応悩むなら、そこが近くにある事は言ってやる。
バサラ:閣下は?
GM:空賊のアジトなんて誰が行くか! と言いつつ、数日も歩くのは嫌だなぁ……とかそんな感じ。
バサラ:我が儘大王だなぁ(笑)
アルベルト:素直にダルトンさんのアジトに行けばいいんじゃないですか? ムート閣下も無事だったんだし、約束通りダルトンさんを解放してあげても良いと思います。
ダルトン:おお、アルベルトとか言ったな。良い心意気じゃないか。約束は守るぞ? それが空の男だ。お前さん、良い空賊になれるぜ?――ニヤリ(笑)
アルベルト:複雑な顔をします。
ラケル:確かに、褒めてくれてるんでしょうけど、あまり嬉しくありませんね(笑)
バサラ:しかし坊ちゃん、このダルトンという男は帝国でも賞金首です。信じて良いのですか?
アルベルト:それは……。
ラケル:と、ここで私がフラっと倒れます。
GM:それは近くに居たムート閣下が支えてあげましょう――「おい、どうした!?」
ラケル:いつの間にか汗びっしょりで、熱があります。ただの捻挫と言いつつ、実は熱があったという事で。
アルベルト:ラケル!?
GM:子ドラゴンも心配してやって来ます。
ラケル:はぁ……はぁ……――と息使い荒く(笑)
GM:「どうやら、怪我をしたまま無理をしたようだな。ホワイトメイジはいないのか?」
バサラ:はい。残念ながら――ヒューの奴がいれば……と歯噛みします。
ダルトン:儂らのアジトに行けば、ヒールを使える者もいるぞ?
バサラ:………………。
アルベルト:行きましょうバサラさん、ムート閣下。この状態のラケルに数日かけて街まで行軍させるわけにはいかない。
バサラ:ダルトンに向かって――本当に、罠では無いのだろうな?
ダルトン:ロッカーに二言は無い。
バサラ:ムート閣下を見よう。
GM:では、閣下は太い腹をよっこらしょっと揺らしながら立ち上がり――「ドヴェルグの集落に向かう」
アルベルト:ムート閣下!
GM:「そいつの拘束具を外してやれ」
少し歩いて――
バサラ:閣下、なぜ見捨てなかったのです?
GM:「正式な軍人では無いのだろう? 臣民を守るのは我らが真帝国軍の務め……それ以外に理由があるのか?」
バサラ:……いえ。閣下を誤解していたようです。申し訳ありませんでした。
GM:「何を今更……それにな、ドヴェルグの集落といえば、飛空挺の1隻や2隻置いてあるだろう。それを奪って街へ帰った方が何倍も早いしな」
バサラ:………………。

◆空賊のアジト◆

ダルトンの案内に任せ歩く事半日。
途中で夜営を行いつつ、到着したのは岩山の大空洞といったドヴェルグ独自の集落だった。
しかし、そこに人の活気は無い。
寂しげな風が岩穴を通り抜ける音が、たとえようも無く響くだけだった……。
ダルトン:野郎どもーーー!――叫ぶが?
GM:シーン…――と静まりかえって、人の気配も無いね。
アルベルト:誰もいないのか?
ラケル:皆、船で出てるとかでしょうか?
バサラ:確かに、ドヴェルグの空賊は一年の大半を飛空挺の上で過ごすと聞く。
ダルトン:馬鹿を言うな。確かにそれはある意味で正しい。だがな、真帝国とやりあおうって一大事に、戦士以外の家族まで船に乗せる馬鹿がどこにいる!
バサラ:ふん。では誰もいないのはどうしてだ? 我らが真帝国に恐れをなして、全員で逃げ出したんじゃないか?
ダルトン:そんな……そんなわけがあるか!!――洞窟の中に走って入っていく。
アルベルト:ラケル、私達も行こう。薬をもらわないといけない。
ラケル:ではアルベルトについて行きます。
GM:バサラは?
バサラ:そうだな……ムート閣下の目的通り、飛空挺を探すかな?
GM:ではムート閣下はバサラについて行きましょう。そしてダルトン、キミは奇妙に感じます。
ダルトン:ん?
GM:つい先日まで暮らしていたのに、慌てていなくなった感じです。
ダルトン:慌ててこのアジトを捨てたのか?
アルベルト:ダルトンさん!――追いついて来て――あの、薬は……。
ダルトン:そこの棚にある茶色い小瓶のを使え、それで十分なはずだ。
アルベルト:ありがとうございます――さっそくラケルに使おう。
ラケル:ではポーションだったのでしょう。演出な怪我ですし治った事にします――もう、大丈夫です。心配をかけました。
アルベルト:いや、それなら良いよ……。ところでダルトンさん、ここの人たちは何かに追われていたんですか? あ、いえ、真帝国って話ならそれまでなんですが……。
ダルトン:ふん、真帝国などいつもの事だ。その程度では逃げ出さん。
GM:そこで【理知】で判定して下さい。難易度は10。ダルトンのみ5でいいです。
ダルトン:馬鹿にしておるのか?……成功だ。
アルベルト:僕も成功。
ラケル:……失敗。部屋にある珍しいものに目を奪われています(笑)
GM:ドヴェルグの一番の天敵……実はそれはドラゴンです。
アルベルト:ああ〜なるほど、たしかに生活圏とかかぶってそうですしね。
ダルトン:儂らも奴等も、お宝を集める習性があるしな。……そうか、あのサンダードラゴンか。あれを真帝国が手なずけておると考えると、ここを慌てて逃げたのも納得だな。
アルベルト:思わずラケルと一緒にいる子ドラゴンを見よう……この子を囮にして、親ドラゴンを意のままにしているなんて信じたくない。
ラケル:ああ、私はさっきと同じ瓶の薬で、子ドラゴンの翼を治します。
GM:じゃあ子ドラゴンは『キューキュー♪』と元気になりました。
ダルトン:アルベルトに問おう――小僧、お前さん達真帝国の軍人は、誰も彼も自分達が正しいと口を揃えて豪語しおる。だがな、もしあのドラゴンをその子ドラゴンを使って使役していたなら……それは本当に正しい行いなのか?
アルベルト:それは……――それは……黙ります。言葉が思いつきません。
バサラ:そこで割って入ろう――坊ちゃーん! こちらに来て下さい! 飛空挺がありましたよー!



そこは断崖に面して刳り抜かれた、ドヴェルグの技術が使われた飛空挺の発着場だった。
通常なら十数隻の船が停泊できそうな場所だが、今はがらんとしており吹き抜けの空だけが見える。
その発着場に小型の船が1隻だけ取り残されていた。
バサラ:小型の飛空挺の前で待っている。
GM:アルベルトやラケルがやってくると、あまり見たことの無い飛空挺ですね。カバラ技術がほとんど使われていないようなイメージを受ける。
アルベルト:あの…バサラさん、これって……?
バサラ:ドヴェルグ達の飛空挺ですね。我々には見慣れない船かもしれませんが。
ダルトン:船を撫でながら言おう――ほう、こいつが残っておったか。
ラケル:特別な船なのですか?
ダルトン:儂らの船はお前さん達と違い、リアクターで動くものではなく、雷石を使ったエンジンで動いておる。それは知っておるか?
アルベルト:たしか……雷の精(シルフ)を封じ込めた特殊な石で、その精霊の力で飛ぶと。
ダルトン:その通りだ。この船は飛空挺乗りになったばかりの子供が、その操船技術を学ぶための練習船だな。
バサラ:練習船か……しかし、船はこれぐらいだしな……。おいドヴェルグ、動かせるか?
ダルトン:儂を誰だと思っておる。この程度は髭が生える前から乗り回しておるわ!――と言うわけで動くのか?
GM:【器用】で難易度12の判定をどうぞ。成功すれば小型艇が動きます。
ダルトン:……よし、成功だ。さっそく通信機を使いたい。
GM:ああ、それはあるかも……可能です。
ダルトン:「聞こえるか? おい、誰か……聞こえるか?」
GM:【幸運】で難易度10。
ダルトン:……成功――「こちらダルトン空賊団"黒戦斧"のダルトンだ。誰か応答しろ!!」
GM:ではすぐに返答があります――『ガガ……ガ……の声は! 頭!? 頭ですかい!? 無事だったんですか!』
ダルトン:「ああ、俺は無事だ。それよりお前等はどうだ?」
GM:『へい、帝国軍のドラゴンに教われて半数が堕ちましたが……まだまだしぶとい奴等が半分は残ってます』
ダルトン:「そうか。こっちは帝国兵を逆に捕まえてある。
GM:『さすがお頭!!』
バサラ:(険悪に)捕まえてる……だと?
アルベルト:バサラさん、抑えて(笑)
ラケル:ああ、でもダルトンさんの傍から――どうしてダルトンさんが乗ってる船を襲ってきたのか、聞いてくれませんか?――と。
ダルトン:頷いて――「おい、それより、なぜ交渉ポイントに着く前に襲撃して来た」
GM:『ああ、すいません……でもあれは「等帝国が約束を守るわけねぇ!」ってなぐあいで、ギガン副頭領が……。そ、それに実際、ドラゴンなんて隠し玉を真帝国は用意してやがりましたし……』
ダルトン:……今、ギガンは何処にいる?
GM:『あのドラゴン騒ぎで皆バラバラになっちまいまして……副頭領の船はいまだに捜索中です。まぁ生きった場合はいつものようにティントで合流するって事になっていやすが……』
ダルトン:そうか……。ところで儂は今アジトにいるんだが、女子供はいやしねぇし、ついでに船も一隻とねぇ! どうなってやがる!?
GM:『あ、そりゃあドラゴンが出たんで、足の速い船が急いで戻って皆を船に回収したんでさぁ』
ダルトン:そういう事か……それなら良い。
GM:『それよりアジトにいるんですよね? そのまま動かないでください、今から行きます』
ダルトン:ああ、頼む。

◆捕虜?◆

ダルトンの仲間である空賊の飛空挺が到着し、アルベルト達もその船に乗る事となった。
しかし、真帝国人のアルベルト達が普通に乗船できるはずもなく……――
バサラ:ガキッ!――と壁を殴りつける!――おのれ、あのドヴェルグが!!
GM:「まったくだ! このわしに対し、再びこのような扱い……軍に戻ったら空賊どもを根絶やしにしてくれる!!!」――とムート閣下もお冠だ。
アルベルト:えっと……バサラさんもムート閣下も落ち着いて……。
アルベルト達は飛空挺船倉に作られた一室に監禁されていた。
その部屋は窓さえない質素な作りで、ソレ専用の牢獄としか思えない。
つまり、ダルトンの連絡したとおり、アルベルト達は捕虜として投獄されたのである。
アルベルト:ダルトンさんも本気で私達を殺そうなんて思ってないでしょうし、ティントに着いたら解放してくれますよ?
バサラ:甘いですな坊ちゃん。機械神への信仰すらない空のゴミどもは、すでに恩義さえ忘れておりますとも。
アルベルト:いや、ダルトンさんに恩なんて売った覚え無い気もしますが……(笑)
バサラ:はぁ……しかし、坊ちゃんが言うならば信じましょう。
GM:「しかしだな、バサラ少佐!」
バサラ:閣下。もしもの時は私が強引にここから脱出の手筈は整えます。ご安心を。
GM:「う、うむ、キミがそう言うのならば……まぁ、あれだ、わしもこの程度で声を荒げるなど、大人げなかったと言うところか」
アルベルト:ふぅ……って息をつこう。それからラケルの方を向いて――ラケル、大丈夫かい?
ラケル:え、ええ……。――と、そうだGM、この船に乗り込む時に空賊達にドラゴンの子は取り上げられた事にして良いですか?
GM:え、なんで?
ラケル:さっきドラゴンは空賊の天敵って言っていたので、引き離されるだろうと……。そうすれば、ここから脱出するモチベーションも増しますし(笑)
GM:なるほど(笑)
ダルトン:儂はかまわんぞ。たぶん、子分どもが――『これがあのドラゴンの呼び水かよ! 頭! ティントに着いたらさっさと闇商人に売っちまいましょう。危険でさぁ!』――と。
ラケル:そんな! やめて下さい!
バサラ:(いきなり子分)『うるせぇ! 捕虜は黙ってろ!! ねぇ頭?』
ダルトン:ああ、かまわねぇ、やっちまえ。
ラケル:ダルトンさん!?
ダルトン:儂はアルベルト達を船倉に監禁すると、ドラゴンの子は子分に任せて艦橋へとすたすた行っちゃう。
GM:……と、そんな事があったのか(笑)
ラケル:ありました(笑)
アルベルト:じゃあもう一度、ラケルに――大丈夫だよ、ティントに到着したら子ドラゴンと一緒に解放してくれるよ。そう信じよう?
ラケル:……本当に、そう思っていますか?
アルベルト:え?
ラケル:あの子の親は空賊達に船もたくさん撃墜していました。それでなくとも、ドラゴンはドヴェルグ達の天敵です。私達を解放はしても、あの子は……。
アルベルト:それは……――ラケルが正論かなぁ、口ごもる。
GM:「なにを言うか、ドラゴンは確かに我等が臣民ではある。だが、だからといってわし等の命をかけてまで助けるようなモノでもあるまい」
ラケル:ムート閣下……お言葉ですが、あのドラゴンは自分の未来さえ、まだ自分で切り開く力の無い子供です。もしドラゴンが臣民だとおっしゃるのならば、その道を切り開くために命を賭すのが、我等が軍人の務めでは無いでしょうか?
GM:「む、むむぅ……」――閣下は黙ります。
ラケル:申し訳ありません。学生の分際で真帝国を支える閣下に口ごたえを……。
GM:「………………」
バサラ:坊ちゃんはどう思われますか?
アルベルト:私は……ダルトンさんを信じたい。
ラケル:アルベルト……。
アルベルト:でも、ラケルが言うのも正論だと思う。……だから――

◆ダルトンvsバサラ◆

ムント高地の空を1隻の飛空挺が飛ぶ。
いつもなら獲物の護衛艦を狙う小回りの効く奇襲艦だが、その艦橋にはいつもより威風堂々としたドヴェルグが座っていた。
  "黒戦斧のダルトン"……ダルトン空賊団の頭領である。
ダルトン:踏ん反り返って、ニヤリと笑おう――やはり、儂らにはロックな空が似合いだな! ホームに帰ってきた気がしてココロが落ち着くってもんだ!
GM:「へい、お頭!!」
ダルトン:よし、他の仲間と合流する! 全速力でティントへ向かえ野郎ども!!
GM:「ヤーーー!!!」――と、久しぶりに空を堪能していると、通伝管から慌てた子分の声が聞こえてきます。
ダルトン:どうした! もっと落ち着いてモノを話しやがれ!!――管を掴んで怒鳴ろう(笑)
GM:「す、すいやせん! あの、頭領が捕えた真帝国の捕虜達が……」
ダルトン:あいつらがどうした!
GM:「そ、それが……監禁部屋を強引に脱出! 奴等、自分の装備品を武器庫で回収して暴れまわっています!!」
ダルトン:なんだと!?――と、心の中じゃ(ちっ、大人しくしていれば無事ティントへと送り届けたものを……)と。
GM:「どうしやすか!!」
ダルトン:船は予定通りティントを目指せ! 全速力だ!!――と愛用の黒戦斧を肩に持って艦橋を出て行こうか。
GM:「お頭! どこへ行かれるんでさぁ?」
ダルトン:なに、行儀をしらん犬どもに、ちょっとした教育をしに行くだけだ。



GM:ではいったんシーンを切って、アルベルト達です。脱出に気がついた空賊達が、我先に…と襲い掛かってきます。
ラケル:気絶させます。
GM:うむ、エキストラなので気絶した事で良いです。
アルベルト:ドラゴンの子が捕えられているような、そういう部屋ってありますか? 目星がつかないなら適当に襲ってきた空賊を締め上げて聞き出します。
GM:それなら解った事にして良い。子ドラゴンは木箱に入れて、宝を入れておく宝物庫に投げこんであるらしい。
ラケル:急ぎます!
アルベルト:待ってラケル!!
ラケル:待たずに宝物庫の扉を開けて、木箱を探します。
ダルトン:そこで登場! 宝物庫の扉を開くと、子ドラゴンの入った木箱に腰掛けた儂がいる――来ちまったようだな。
ラケル:はい。
アルベルト:……ダルトンさん!?
バサラ:………………。
ダルトン:なぁおい。大人しく出て行くっつーなら好きにしろ。だがな、儂らの邪魔をするってーのなら遠慮はしねーぜ?
ラケル:その子を返して下さい。
ダルトン:今は儂らのもんだ。――これで示してみな――と斧を構える。
ラケル:なら軍刀に手をかけます。
ダルトン:それを抜いたら本気とみなすぞ? いいんだな嬢ちゃん――ゴゴゴっと10LVの威圧感を解放しよう。
ラケル:くっ!
アルベルト:ラケル……ここは……。
ラケル:でも!
アルベルト:ダルトンさん……どうして力でぶつかり合う方法しか無いのですか? 私達は人間です。話し合う事だってできる。
ダルトン:解っておらんな。力を示さねば通れぬ道もある……現に、お主らの真帝国は、武力を持って世界征服を進めているではないか。片方が力を持つ限り、それに対するものもまた力を示す必要があるのだ。
アルベルト:そんな事は……そんな事はありません! 戦うだけじゃなく、手を取り合ってこの世界を平和にする事だってできる!
ダルトン:無理だ。お主らが武力でもって統治する限りな。口先だけの綺麗事なら誰にでも言える。
アルベルト:違う……無理なんかじゃない! 確かにそれは奇麗事かもしれない。凄い難しい事なんだってことも解っています。でも、奇麗事でも、いつかは叶えられるはずです!
ダルトン:ふん、今の世界で……力なき理想など絵空事に過ぎん。だからこそ、この世界に理想郷(アスガルド)は訪れぬのだ。
アルベルト:それは……。
ダルトン:お主達は、今の発展を自分達のおかげかと思っておるのかもしれん……。空を翔る巨大戦艦、天を突く積層都市、特別な力無くとも動かせるカバラ機器の数々……。だがな、その発展の裏にどれだけの戦いがあったか知っておるのか? その結果、真帝国に支配された者たちの末路を。
アルベルト:ヨハネ=パトモスを知っているし素直に言おう――末路じゃありません! 彼等だって積層都市に住み、その生活は格段に向上しました。安全さも便利さも桁違いです!……確かに、山々の緑や湖の青さはありませんが、それでも得たものの大きさを考えれば問題無いはずです!
ダルトン:犠牲の上に成り立つ平和……か?
アルベルト:犠牲だなんて私は……。
ダルトン:もし、今の平和が何かしらの代償で成り立ったとするならば、これから先もお前達はその代償を様々な形で払うことになるだろう。なぜなら、力で手に入れる理想には、必ず犠牲が伴うからだ。
アルベルト:そうじゃありません。今は……確かに力で手に入れた部分もあるでしょう。でもいつか! いつか本当の平和を手に入れる事ができれば、誰かが傷つくような犠牲は無くなるんです!
ダルトン:誰が……それを保証できる。
アルベルト:それは私たち真帝国が!
ダルトン:自分の目で見たわけでも無いのに、偉そうに語るでないわ!!!
アルベルト:う゛……なら、私が平和にして見せます。私が保証してみせます!
ラケル:アルベルト……。
ダルトン:真っ直ぐな若い眼で見られて視線を外そう――帝国軍の軍人が、皆お主のような者達だったらな……。
アルベルト:ダルトンさん……。
ダルトン:だが! それとこれとは話が別だ。いつかの未来に"力と犠牲"がなくなろうと、今この時はその2つが必要なのだ。ただでお主らを見逃すわけにはいかぬ。
アルベルト:そんな!?
バサラ:坊ちゃんの前へ出よう――坊ちゃん、今のお姿を猊下にお見せできないのが、私は残念でなりませんよ。
アルベルト:バサラさん?
バサラ:さてドヴェルグ、力を示されたいのなら俺がやってやる。空を飛び回るだけのゴミが……真帝国軍に盾突いた事、後悔するが良い。
ダルトン:ほぅ……お前さんが相手か? それなら遠慮はせんぞ?――木箱から立ち上がろう。
バサラ:遠慮だと? できるものならやってみろ――≪ライトソード≫≪ダークソード≫を起動させて斬りかかる!!
GM:では戦闘として処理しましょう。行動値無視してバサラの命中から行こうか。
バサラ:では瞬時に距離を詰めて≪アストラル・サポート≫……クリティカル! 絶対命中!
アルベルト:は、早い!?
ダルトン:……6ゾロ、儂もクリティカルだ。
バサラ:なにっ!?
ダルトン:そっちの二刀流を黒戦斧で受けきった――ほう、ここまで儂を焦らせたのは、お前が始めてだ。なかなかやるじゃねーか?
バサラ:……それは俺の台詞だ。この初撃を止める奴に会ったのは……久方ぶりだ。
ダルトン:なら、今度はこっちから行くぜ! おらぁ!!――18命中。
バサラ:……21で回避!
アルベルト:その一瞬の攻防を見て驚愕しよう――桁が違い過ぎる!? 私達じゃ……。
ラケル:ええ、割って入るだけで足手まといです……。
バサラ:ゴミが! どうやら本気で――
バサラがダルトンの技量に感嘆しつつ、本気で打ち込もうと身構えた瞬間だった。
ドゴォオオオンッ!!!
飛空挺全体が轟音とともに、揺れ動く。
GM:その瞬間、船体が砲撃を受けたかのような衝撃を受けます。
ラケル:バランスを崩して壁に手をつきます。
アルベルト:私も同じく――な! いったい何が!?
ダルトン:あいつら! なにやってやがる!?――バサラ無視して、部屋にある通伝管をつかんで叫ぶ!
GM:『お頭!? 艦橋に来てくだせぇ! 仲間が、仲間の船がこっちに向かって――』
ダルトン:おい! どういう事だ!? ……ちっ!――通信管を離してバサラに言おう――ギグは一時お預けだ!
バサラ:逃げるのか?
ダルトン:ソレどころじゃねーんでな――バキッと木箱を壊して子ドラゴンを渡そう。
ラケル:受け取ります。
ダルトン:逃げるならさっさと逃げな――儂は艦橋へ走る。
ラケル:……アルベルト。
アルベルト:うん、私達も行こう。バサラさん!
バサラ:ブンッ……とソードをおさめて――坊ちゃんがそう仰るなら。
GM:「なっ!? 何を言っておる! 今のうちに逃げて」――ムート閣下が騒ぎます。
バサラ:ドスッ!――峰打ちで気絶させ肩に担ぐ。そして艦橋へ。

◆ギガン副頭領◆

飛空挺艦橋。
ダルトンとアルベルト達がそこへ到着すると、窓の外をもう1隻、飛空挺が併走しているのが見えた。
その併走している飛空挺から、どうやらこちらは砲撃を受けているようだった。
ダルトン:どういう事だ!?
GM:「それが……あれはギガン副頭領の船です! なぜかウチらの砲撃してくるんでさぁ!!」
ダルトン:ギガンの船に通信を――『おい、ギガン! どういうつもりだ! 儂がいる船に喧嘩売るたぁ!』
GM:それは通信が返ってきます――『うるせぇよ老いぼれ! てめぇがいつまでもくたばらネェから、こうやって俺様自ら出向く事になったんじゃねーか!!』
ダルトン:眉を潜めましょう――……なんだと!?
GM:『帝国に捕まっても死なねぇ、ドラゴンに襲わせても死なねぇ!』
ダルトン:そういう事か……全ては貴様の。儂を裏切って……どうなるか解ってるんだろうなぁ!!!
GM:『はっ、死ぬのはお前だ! 仲間と共に仲良く堕ちな!!!』――ブチンッ。通信が切れます。
ダルトン:クソッ!! あの野郎……裏切りやがった!!!
GM:ドガーンッ! と砲撃は続きます――「お頭!? 機関部に被弾! このままじゃ……墜落します!」
ダルトン:このまま墜落すると、どれぐらいのダメージになる?
GM:1人1000点ぐらいかな?
ダルトン:別にブレイクすれば問題無いか。
バサラ:確かに(笑)
アルベルト:………………。
ラケル:………………。
バサラ:はっ!? 坊ちゃん達はクエスターにまだなってなかった(笑)
GM:ついでにムート閣下も死ぬぞ。
バサラ:おい、ドヴェルグ! なんとかできないのか!!
ダルトン:できるならやってる! おい、せめて不時着できねーか!?
GM:「無理です! 雷力で動いている飛空挺っすよ! それが故障したらもう……」
ダルトン:ちっ……なら――お前等! あっちの船にこっちの船をぶつけろ! ギガンの船に強引に連結する!!
GM:なるほど、そう来たか。
ダルトン:できないかGM?
GM:いや、面白い(笑) 子分たちはビビリながらもキミの指示に従います――「へ、へいっ!!」
ダルトン:慎重に行け、一発勝負だからな!
GM:判定は【反射】かな? 難易度は12ってことで。
ダルトン:ここで失敗するわけにはいかねー! 行くぜ野郎ども!(コロコロ)……よっしゃ成功!
機関部をやられたダルトンの船が、煙を上げながらも照準を合わせる。
そして、ダルトンの号令とともに急速に横滑りを開始すると、見事にギガンの船へ横付けした。
GM:さっきの砲撃以上の衝撃が走り、飛空挺同士が肩を組むように接舷します。
ダルトン:甲板に出て片足を縁に乗せながら――おいギガン、裏切り者がどうなるか……わかってんだろうなぁ?
GM:「おのれ老いぼれ!!!」――甲板にギガンも出てきます。
ダルトン:ギガン、てめぇのその船、儂らがありがたく頂くぜ? ロックンロール!!!――飛び上がって斧で襲い掛かる!
GM:ではギガンはダルトンの一撃を受け止めきれず、吹っ飛びます――ガッ……「っくしょう!」
ダルトン:儂に勝とうなんざ、1万年早ぇんだよ!!

◆今できる事を◆

ダルトンの飛空挺の艦橋では、アルベルト達4人が落ちつかなげに状況を傍観していた。
敵の船へとダルトンが飛び移って行き、敵のボスと戦闘を開始しようとしている。
こちらに残った空賊の船員達は、なんとか自船を航行可能にできないか右往左往していた。
GM:空賊の船員達は、緊急事態に忙しくなりキミ達の事は無視しているね。子ドラゴンがラケルの腕で暴れたりもしている。
ラケル:落ち着いて、大丈夫ですから。だから――と子ドラゴンを宥めます。
GM:キューキューと騒がしい。
アルベルト:バサラさん、私達にできる事は無いのでしょうか……このままじゃ、みんな……。
バサラ:ムート閣下、最悪この船で不時着する事になるでしょう。船員達への指示をお願いします。
GM:「わ、わしにか!?」
バサラ:閣下ならこのような状況の打開策も、さぞ経験して来たでしょう。
GM:「うむ、まぁな……いいだろう。おいそこの雑兵! 艦内に通伝しろ、この船で戦う事は諦めて、最低限の浮力揚力を確保、不時着準備に入れ」
ラケル:もう不時着前提(笑)
GM:「あたりまえだ! まずはわしの安全と命が最優先だ! その為にこの船を無事に地上へ着陸させる事を第一に考えよ!」
アルベルト:凄い自分勝手な論理だ……でも、船が助かるのはいいのかな?(笑)
GM:空賊達も、真帝国の奴に言われてムカッとした顔をするけど、すぐに不時着に向けて行動を開始する。今までは何をすればいいかわからず右往左往していただけなので、目的が決まれば一致団結は早い。
バサラ:よし――頷いて俺は艦橋を出よう。
アルベルト:バサラさんは?
バサラ:ええ、クソドヴェルグに手を貸すのは不名誉ですが、坊ちゃん達の命には代えられませんからね――ダルトンが対峙するドヴェルグを睨み――敵を殲滅して来ます――艦橋を出て、強引に接舷しているギガンの船の方乗り移る!
GM:OK。
アルベルト:バサラさん!
バサラ:坊ちゃん達はムート閣下を――と、隣の船に飛び移った。シーン的には退場。
GM:では遺されたアルベルトとラケルかな?
アルベルト:私達は……何もできないのか!?
GM:ムート閣下は意味無く罵声を、船員達はムート閣下を無視して不時着準備に大忙し、そして子ドラゴンは暴れ続け、さらに何か吠えるのに必死だ。
ラケル:なら私は、子ドラゴンをなんとか抑えています。皆の邪魔をするわけにはいきません。
アルベルト:私は……。
ラケル:アルベルト、私達はまだ学生です。今は……悔しいけど、我慢しましょう。
アルベルト:それは……――拳を握って――いや、駄目だ! たとえ何もできなくとも、私はやれる事をやりたい!!
ラケル:でも、私達にできる事なんか……。
アルベルト:ラケル、このドヴェルグの船って雷石って言う特殊な魔法アイテムが動力源だったよね?
ラケル:ええ……確かそうだったけど……それが?
アルベルト:これでも専攻は精霊学なんだ。私でもできる事があるかもしれない……ラケルはここに居て!――機関部へと走って行く!
ラケル:アルベルト!!!

◆空賊の決闘◆

飛空挺の上で、"裏切りの空賊"ギガンと"黒戦斧の"ダルトンが、一進一退の決闘を行っていた。
しかし、同条件だったのは初めの数合のみ。
今や、ダルトンの周りにはギガンの他に、その言葉に踊らされた空賊達まで敵に回ってしまっている。
孤立無援……――せめてギガンと刺し違えて……。
ギリギリの考えが頭に浮かんだ時、数人の空賊を打ち払い、1人のアルフがダルトンの横に並ぶ。
ダルトン:真帝国の若造が! 何をしに来た!
バサラ:無論、真帝国にたかる害虫を……駆除しに来たまでだ――≪ライトソード≫≪ダークソード≫の2刀をヴィンと出現させ、周囲の空賊を牽制する。
GM:さっきもダルトンに言ったが、ギガンの周りには3体のトループがいる。ギガンに共感した裏切り者達ですね。それでは戦闘に入りますか。
ダルトン:ふん、余計なお節介を……。
GM:では【行動値】が高い順に動きますが……最初のイニチアチブプロセスで、ギガンは≪イーヴァルディ≫を使用します。
バサラ:来るぞ!!!
GM:どこからともなく、黒い雷がダルトンとバサラを急襲します(コロコロ)……低い! 9点の<神>だめーじ!!
ダルトン:フン! その程度、痛くも痒くも無いわ!
バサラ:ふっ……俺も舐められたものだ。
GM:「くっ」
ダルトン:ギガン、よぉ〜く覚えておけ。船1隻ごときで、儂をなんとかできると思ったら大きな間違いだ。今度があれば、真帝国のように1艦隊程度は連れて来い!
GM:「おのれ老いぼれが……許さん! 貴様等! 俺様の空賊団で良いポジション欲しいなら、さっさとあの老いぼれの首を取って来い!!!」――と、トループが動きます。
ダルトン:ならそのイニシアで≪イーヴァルディ≫使用……15点(笑)
GM:それは……ザコ空賊達が全滅だ。
ダルトン:ギガン、野暮は無しにしようや? 儂を倒したいなら、その自慢の斧で来い!!
GM:「おのれ……」
バサラ::≪アストラルサポート≫≪奇襲攻撃≫を組み合わせ2刀流ライトソードで攻撃……クリティカル! ギガンがダルトンの攻撃に驚いた瞬間、その真後ろに出現して切り裂く!! ダメージは……6662、<光>の52点だ!!
GM:では真後ろからザクっと斬られ致命傷を受けます――「まさか俺様が!? だが、こんなトロコで……俺様の力はまだまだ尽きぬ!!」――セリフと共に致命傷な傷から、ゾワッと奈落が噴出します。
バサラ:あの力は……奈落か!?
ダルトン:馬鹿が! 自分さえ見失いやがって!!!
GM:「うおおおおお」――再び≪イーヴァルディ≫!!……2人に16点!
バサラ:く、今回はでかいな。
GM:そして自らの行動で≪タッチザスカイ≫≪ウィンドミル≫≪インザスカイ≫そして≪ロックンロール≫!!……範囲攻撃の命中15!
バサラ:ふん……回避だ。気がつけば距離を取っている。
ダルトン:儂は15でギリギリ回避! 黒戦斧でダメージを全て受けきった!――次はこちらの番だ!
GM:「甘い! 俺様の本当の力は……これからだ!!」――と最後の≪イーヴァルディ≫をダルトンのイニシアタイミングで使用!……ダメージは14点!!
ダルトン:その程度で!!――儂はまだ大丈夫だ。
バサラ:ぐはぁ……――俺は倒れた。アルフが基本だから【耐久力】は低いんだ。ブレイクして膝立ちになる。
GM:「やはり、老いぼれ、てめぇだけは一筋縄でいかねぇようだ」
ダルトン:本当のドヴェルグの力、格の違いって奴を見せてやるぜ――≪テイクオフ≫≪ロックンロール≫……命中は19!
GM:それは……あたる。
ダルトン:≪猛攻≫使ってダメージは30点だ!
GM:こちらも斧で受けるが、その防御を突き破ってダルトンの黒戦斧がギガンの肩口を切り裂く!――「ぐあっ……さすがは頭だった男……。だが、ここで終わるわけには……俺様もいかないんでな!!」

――2ターン目

GM:ギガンは速攻で≪フレイヤ≫使用! ≪タッチザスカイ≫≪ウィンドミル≫≪インザスカイ≫そして≪ロックンロール≫!!……命中は2人まとめて18!
バサラ:回避できない。このままじゃ危険か……加護≪ヘイムダル≫使用、回避をクリティカルにする。
ダルトン:儂は耐える! ダメージ来い!!
GM:ならダルトンへのダメージに≪トール≫を乗せる……65点<神>ダメージ。
ダルトン:≪ティール≫使用でダメージ0!――いいもん持ってンじゃねーか、だが!! しょせんはその程度!!
バサラ:≪アストラルサポート≫で普通に攻撃……17命中。
GM:「てめぇは引っ込んでろ! これは俺様と老いぼれの男のギグだ!」――≪ヘイムダル≫使用で回避クリティカル! バサラの攻撃をかいくぐり、カウンター気味に範囲攻撃……≪タッチザスカイ≫≪ウィンドミル≫≪インザスカイ≫そして≪ロックンロール≫!!
バサラ:そんなもの……――加護≪ヘイムダル≫でクリティカル回避。紙一重で避けるが、前髪が数本飛ばされる。
ダルトン:おい若造! まだ死ぬんじゃねーぞ!
バサラ:貴様に言われるまでも無い。
ダルトン:その強がりを聞いて安心した。ギガンに向き直りながら――さ、て、と、……ギガン。狙いは儂だろう? もっとちゃんと狙わんか!!
GM:「ほう……ならば、俺様の力を思い知れ!」――ギガンの斧が奈落に包まれたと思うと、そこから黒い衝撃波がダルトンに直撃します。直接10D分のダメージを叩き込む!――≪ニョルド≫!!
ダルトン:くっ……これは!?――さすがに倒れた。
GM:「みたか老いぼれ、これからは俺様達の時代なんだよ! さっさと引っ込んでろ!」
ダルトン:お前達の…時代ねぇ……。確かに、任せられるなら信じてやっても良いが……。
GM:「ちっ、しぶとい……」
ダルトン:やはり駄目だな。貴様には信じられる信念も理想も無い。夢の無い若者に、次代は担えるか!!――ガシッと黒戦斧を構え直す! ブレイク!!
バサラ:俺の攻撃か……加護≪フレイ≫を使用する。さっきギガンが使った≪ニョルド≫をコピーする! 空賊の十八番たる上空からの攻撃だ! ギガンに影が重なり見上げると、そこには2刀を振り下ろす俺がいる!!
GM:「何!?」
ダルトン:ギガンが上を見上げた瞬間、儂も超低空で走りこみ、ギガンの下からかち上げるように切り裂く! バサラの≪ニョルド≫に≪トール≫を乗せるぞ!
GM:「そんな……馬鹿な!?」
バサラ:ダメージはもろもろ合わせて……69点、<神>ダメージだ!
GM:それで終わりか……――「お、おのれ……俺様が……最強なのに……」
ダルトン:ふん、分不相応な欲望を持たねば、そうなることもなかったものを……。



GM:ギガンが倒れた所で、戦闘は一時解除します。
バサラ:ヴ、ヴン……と2刀をしまおう。
ダルトン:哀れだな……ギガンよ。裏切らなければ、こんな事にはならなかっただろうに。
GM:その言葉に倒れているギガンは、口元から血を流しつつニヤリとします。
ダルトン:
GM:「くくく……それで俺様に勝ったつもりか?」
ダルトン:……なにが言いたい。
GM:「くっくっくっ……どうやら、勝利の女神は、お前にだってそっぽを向いたようだ……」――言うと共に、後方から激昂するような魔獣の雄叫びが響き渡ります!
ダルトン:まさか!?
バサラ:今の咆哮は……ドラゴンか!?
GM:その通り、空を翔る飛空挺の後方。真っ白なドラゴンが目を赤く染めながら追いかけてきます。第33輸送中隊を壊滅させたサンダードラゴンだ。
ダルトン:おい真帝国の若造。
バサラ:なんだドヴェルグ。
ダルトン:あとどのくらい、戦う力を残している。
バサラ:残念だか、貴様を殴り倒す程度しか残ってないな……そういう貴様はどうだ。
ダルトン:ああ、こちらも残念ながら、お主を黙らせる程度しか残っておらん。
バサラ:ちっ……打つ手無し…か。
GM:「ダルトン……一緒に行こうじゃねぇか? 地獄に行くには、1人じゃ寂しいからなぁ?」――そうギガンは呟くと、懐に手を伸ばし"何か"のスイッチを入れます。それと共にダルトンとバサラが乗っている、このギガンの船の機関部が爆発を起こします。
バサラ:元の船に……ダルトンの船に飛び移る。
ダルトン:ギガンよ。逝くなら1人で逝くんだな。単独ライブも……たまにゃあ悪く無いってもんだ。……じゃあな――儂も元の船にジャンプする。
GM:ではギガンと共に、ギガンの船は黒煙をあげつつ墜落していき、その途中で大爆発します。
ダルトン:一瞬だけ寂しそうな目をしよう……。
バサラ:俺は後方のドラゴンを睨む――さて、アレをどうするか……か。
ダルトン:若造の横に並ぼう、それだけじゃない……ギガンの砲撃でこちらの機関部も火を噴いておる。ドラゴンにやられなくとも墜落する可能性は高い。
バサラ:ふっ……ずいぶんと絶望的な状況になったもんだ――言いながら船尾へ移動。
ダルトン:同じく移動――それでも、ここは儂らが何とかするしかあるまい。

◆風と雷の精◆

飛空挺の機関部。
整備役のドヴェルグの制止を振り切りアルベルトがそこに入ると、そこは荒れ狂う台風の真っ只中な状況だった。
艦内だと言うのに風は気を抜けば吹き飛ばされそうな程吹き荒れ、バチバチと中央の雷石からは放電がほどばしる。
アルベルト:うっ……これが本物の……精霊の力!
GM:すでに機関部は大変な事になっており、整備役のドヴェルグも退避しています。
アルベルト:僕1人か……――中に入ろう。
GM:気を抜けば吹き飛ばされそうな程の強風と、白青磁色の雷が荒れ狂っています。その暴虐な自然現象が、普段は見えない精霊たちの具現化のようにも感じる。
アルベルト:中央には雷石があるんですよね?
GM:今にも破裂しそうなほど輝いている雷石があります。
アルベルト:1歩1歩そこに向かって歩く――頼むシルフ達! 落ち着いてくれ!
GM:普通に雷石まで辿りつくのも危険だが……それでも進むかい?
アルベルト:進む。それが今の僕にできる唯一の事だと思うから。
GM:じゃあ【精神】で計3回抵抗して欲しい。難易度は10。失敗した場合2D6の実ダメージ。
アルベルト:(コロコロ)……成功――僕は……キミ達と争いに来たわけじゃない。僕の話を……聞いて欲しいんだ。
GM:では2回目。
アルベルト:……失敗。……6点痛い――キミ達が何に対して起こっているのか僕にはわからない……でも、もし僕にできる事があるのなら、僕はキミ達の力になろう。だから……。
GM:最後3回目。
アルベルト:ぐあ、また失敗……今度は10点だ――だから……。だから今は、落ち着いて僕の話を聞いてくれ!!!
その時、奇跡は起こる。
それは定められた運命だったのか、予定された宿命か……。
荒れ狂う精霊たちが一時的に静寂を取り戻し、あたかもアルベルトの声に耳を傾けたようだった。
GM:精霊たちは静かになります。
アルベルト:じゃ、じゃあ――精霊たちよ。今、この船には僕の大切な仲間達が乗っている。そして、このままじゃ全員がこの船と一緒に死んでしまうんだ……頼む、力を貸して欲しい。仲間を守るために。皆を救うために!
GM:では少しの沈黙の後、どこからかキミは声が聞こえてきます――

――あなたはどうしたいの? この世界を……――

アルベルト:今のは……シルフ???

――あなたがもし、この世界を救うためにと誓うなら、我等はチカラを貸しましょう――

アルベルト:それは……。

――ただし、その代償をあなたは支払う事になる。あなたは失う事になる……それでも誓いますか――

アルベルト:……誓う! 仲間を救う為なら、世界を救う為なら、僕は何を失っても良い!!!

 眩いばかりの煌白がアルベルトを包み込む。
  機関部に荒れ狂っていた精霊たちがその実体を取り、そして――

GM:黄色い光がアルベルトの耳に凝縮されシャードとなります。
アルベルト:じゃあ私は羽が背中から生え異形化しています。
GM:では最後に、精霊の呟くような声が遠くから聞こえます……。

――世界の為に、我等の力が必要になれば、我等は常に汝の力と……――

アルベルト:クエスターに覚醒ですね……何かを失った気もするけど……。
GM:それと共に、精霊たちが感じていた風景をキミは把握する。ありていにいってサンダードラゴンが迫っているのをキミは感じる。
アルベルト:目を開くと同時、背中の翼が待機状態から起動。キッ!と上空を見上げるとダクトとかを通って船外へ飛び出す!!!

◆平和への翼◆

満身創痍、そして神の加護さえ失い。
それでも目の前には、巨大なドラゴンが迫り来る。
半絶望的な戦い……そう呼ぶに相応しい状況だった。
GM:ではクライマックスと行きましょう。……とはいえ、ちょっとシナリオの予定とは違っちゃってますが(笑)
ラケル:何か違ったんですか?
GM:まぁギガンなんてすぐに倒して、ドラゴンvsアルベルト&バサラ&ダルトンを予定してたんだけどね〜。
ダルトン:無茶言うな! すでに満身創痍だ!(笑)
バサラ:ああ、加護も打ち尽くしたのに、倒せるか!
アルベルト:というか、LV10の2人と一緒には戦えないですよ……。
GM:いや、ドラゴン戦で探索者(クエスター)に覚醒する予定だったから。雷石なんて忘れてたし(笑) それにアルベルトは加護だけ見ればLVなんて関係ないほど強力な3つだしね。
ラケル:確かに加護だけみるなら。
バサラ:それより予定外の場所で覚醒したのか、アルベルトは(笑)
GM:と、言うわけで……とにかくクライマックスです。飛空挺に迫り来るサンダードラゴン! 船尾にて絶望的な戦いに挑もうとするバサラとダルトン。ラケルとアルベルトは登場自由です。
アルベルト:なら――
ダルトン:いや、ここは先に儂らの会話を入れてくれ。
バサラ:……そうだな(笑)――まったく、最後の最後で一緒に戦う相棒がドヴェルグだとはな。
ダルトン:待て待て、ここはすでにドラゴンに挑み、遠距離のブレスでやられている事にせんか?(笑)
バサラ:それだ!!! なら俺達は体中からブスブスと煙を上げ倒れていよう。
ダルトン:おい、若造……まだ死んでおらぬな?――グググっと腕立ての要領で上半身を持ち上げる。
バサラ:あ、当たり前だ……この程度でくたばったら、あとで友に何を言われるか……――膝立ちになろう。
ダルトン:ほ、ほう……直撃とはいえ、あの雷撃を受けてまだ動けるか……ほんの少しだけ……見直してやろう――立ち上がろう。
バサラ:は…っ! き、貴様に……見直されなどする必要は…ない!――同じく立ち上がる。
ダルトン:さ、さて……第2ラウンドと……――と、そこまで語った所で、杖代わりに体重を預けていた愛用の黒戦斧がボキリと折れるんだ。そのまま儂はバランスを崩して倒れる。
バサラ:ふ、ふふ……所詮はドヴェルグか。し、真帝国軍(ヴァーレスライヒ)の力……そこから見ているがいい――と、意識を集中して≪マイクロブラックホール≫を使おうとするが悲鳴を上げて倒れ込む!――グアッ!?……レ、レセプターが……許容限界を超えたか……。
GM:じゃあサンダードラゴンはキミ達が向かってこないのを知り、再び飛空挺へ進行を開始します。
ダルトン:くっ……ここには儂の仲間が……。
バサラ:ぼ、坊ちゃん……。

――あとは……私がなんとかします――

アルベルト:そう、2人の耳には確かに声が届くんです。それと共に凄い勢いで"何か"が2人の間をすり抜けて、ドラゴンの方へ向かって飛んで行きます!!
バサラ:い、今のは……!?
ダルトン:ほ、ほう……これは驚いた……。
GM:ではアルベルト登場ですね。
アルベルト:私は2人の間を抜け、翼をはためかすとドラゴンへと迫ります!
GM:新しい敵に対しドラゴンは目を赤く輝かせると、スゥ〜っと大きく息を吸い込みます。ドラゴンの周囲がパチパチと放電を開始する。
バサラ:ま、まずい……ブレスが……来る!
アルベルト:剣を抜き放って、そのまま突っ込みます! ≪トール≫で相殺とかできませんかね?
GM:そうだな……こちらのブレスが18+3D6だから、期待値の約倍、60点以上のダメージが叩き出せたら相殺して良いよ?
アルベルト:それなら≪ニョルド≫も使って(コロコロ)……合計72点!
GM:ならアルベルトが白雷のブレスに突っ込むと、その一刀にて空を割る! ドラゴンのブレスが飛空挺を避けるように四散した。
バサラ:なっ!?
ダルトン:あれは……雷の……シルフの力か!?
アルベルト:そのまま勢いを殺さずドラゴンの目の前まで行きます!――ドラゴンよ! 落ち着いて私の話を聞いて欲しい!
GM:ドラゴンは渾身の一撃を受け流された事で、少し冷静さを取り戻しましょう。
アルベルト:うん……お前は、自分の子を探しているのだろう?
GM:『そう……我が眷属を人間の手から取り戻すために……邪魔をするなら、人間。容赦はしない!』――最後は半分咆哮を上げながら。
アルベルト:じゃあビリビリとプレッシャーを感じながら――その子は私達が保護している。だから、暴れるのは止めてくれ!
ラケル:そこで登場ですね。甲板に出て、遠くのドラゴンとアルベルトに驚いていると、腕の中の子ドラゴンが飛んで行ってしまうのです。
GM:では間も無くして、アルベルトを通り過ぎて子ドラゴンはサンダードラゴンと合流を果たします。
ラケル:良かった……。
アルベルト:私も一安心と落ち着こう。
GM:程なくしてドラゴンが言います――『お前が助けてくれたと言うのか……我が眷属を……』
アルベルト:恩を売る気は無い。あなた方には本当に申し訳ない事した。原因は私達人間にあるのだから……。
GM:『謝るな……。反省すら我は求めん。なぜなら……人間とは常にそういう生き物だからだ』
アルベルト:そうかもしれない……あなた方、長寿の者から見れば、私達は等しく無力な存在かもしれない。だけど、忘れないで欲しい……私達も生きているんだ。あなたが、この子を奪われて怒り狂ったように、私達も自分の仲間が傷つけられれば怒る。
GM:『その気持ちは……理解できる』
アルベルト:あなたはこの子を救う為に、たくさんの人間を殺した。私達にそれを責めることはできないのはわかっている……だからお願いだ。その子を連れてそのまま帰ってはもらえないだろうか?
GM:『私は何も求めない……だが、感謝は忘れない。小さき人間よ、その想いに偽りが無いのならば……我は汝との約束を決して破りはしないだろう』――子ドラゴンもキューと鳴いて別れを告げます。

◆握手◆

ティントの街。
その街外れにて、"黒戦斧の"ダルトン率いる空賊団の飛空挺がずらりと勢ぞろいしていた。
アルベルト達4人の前には、いまや戦友たるダルトンと、生き残ったドヴェルグ達が並んでいる。
ダルトン:あんたらには、返しきれない恩を受けちまったようだな。この恩は一生かかっても返すぜ? それが儂の流儀だからな――視線で後ろを指し、助かった仲間達は笑顔だ。
バサラ:ふん、ならば真帝国に従え。
ダルトン:何を言う? 儂が恩を受けたのは"あんたら"であって"真帝国"じゃあなぃ。
バサラ:……屁理屈を(笑)
ダルトン:嬢ちゃん。あんたがあの時、ドラゴンを助けなかったら……あのドラゴンは見逃しちゃくれなかったろうよ。ありがとよ。
ラケル:いえ、私はただ……。それに、私も勉強になりました。どんな強敵だろうと、背負う者がいれば諦める必要は無いって……。
ダルトン:ふふ……お前さんはまだ若い、そう結論つけるのは早すぎるさ。
ラケル:そう……ですね(笑)
ダルトン:アルベルト……――とそっちを見よう。
アルベルト:ダルトンさん……。
ダルトン:お主の……アルベルトのおかげだ。感謝している。
アルベルト:ダルトンさん。
ダルトン:何かあったらいつでも来い? お前さんなら郎党全員で歓迎してやる!!
アルベルト:……はい! ありがとうございます。
ダルトン:それと……飛空挺の船倉で言った事、忘れるんじゃないぞ?
アルベルト:ええ、今は帝国とドヴェルグ……完全には理解し合えないかもしれませんが、いつか必ず、私たちが真の平和を手に入れたとき……その時は……。
ダルトン:ああ、きっとできるさ……お前さんが諦めないのなら、な――手を出そう。
アルベルト:じゃあ握り返す。
真帝国の若き学生と、ドヴェルグ空賊団頭領の奇妙な信頼。
アルベルトが選んだ道は、このミッドガルドにおいて極めて困難な未来である。
それでも……アルベルトは先へ進む。
その背中に、平和の翼を背負って……――。

◆キャラクターデータ◆

アルベルト=ガラール
クエスターLV:4
クラス:ファイター3/エレメンタラー1
加護:トール/トール/ニョルド
年齢:16  性別:男  種族:人間
身長/体重:179cm/kg  髪:灰茶  瞳:緑  肌:白
体力:16 反射:13 知覚:13 理知:9 意思:10 幸運:12
シャード:色彩≪黄≫ /形状≪三十面体≫ /場所≪ピアス≫
ライフパス:
出自:芸術家/特徴:審美眼
境遇:秘密/クエスト:真実の探索
邂逅:慕情/コネクション:ヴィルヘイム=グーデリアン大佐
特技:≪戦士の手≫1/≪猛攻≫1/≪異形化≫1/≪契約(シルフ)≫/≪ヘヴィウェポン≫1/≪戦士の眼≫
装備:グレートソード、バックラー、プロテクター
備考:真帝国枢機卿レオニード・ガラールの1人息子。成績優秀才色兼備なエリート学生。



ラケル=クラード
クエスターLV:4
クラス:ファイター1/サムライ2
加護:トール/タケミカズチ/タケミカズチ
年齢:15  性別:女  種族:人間
身長/体重:165cm/kg  髪:漆黒  瞳:焦げ茶  肌:白
体力:16 反射:15 知覚:12 理知:9 意思:9 幸運:12
シャード:無し
ライフパス:
出自:ミッドガルド生まれ/特徴:ニセヤシマ知識
境遇:武者修行/クエスト:修羅道
邂逅:忘却/コネクション:グナーデ
特技:≪戦士の手≫1/≪猛攻≫1/≪士魂≫1/≪両手持ち≫1/≪剣槍≫2/≪縮地≫3
装備:軍刀(打刀)、篭手(バックラー)、プロテクター
備考:ヤシマ人の血を引く、真帝国の没落貴族が1人娘。政略結婚が嫌で実力主義の真帝国軍を目指す。



バサラ
クエスターLV:10
クラス:アルフ6/スカウト4
加護:フレイ/ヘイムダル/ヘイムダル
年齢:20(外見)  性別:男  種族:アルフ
身長/体重:180cm/kg  髪:銀  瞳:灰緑  肌:白
体力:10 反射:14 知覚:14 理知:11 意思:10 幸運:15
シャード:色彩≪炎色≫ /形状≪義肢のデザインライン≫ /場所≪オートメイル(腕)≫
ライフパス:
出自:帝国兵/特徴:義肢(左腕)
境遇:修行/クエスト:強い奴を探す
邂逅:主人/コネクション:レオニード=ガラール枢機卿
特技:≪デジャヴ≫1/≪レーザーソード≫1/≪アストラルサポート≫4/≪ダークソード≫1/≪パーソナルバリア≫5/≪アストラルブースター≫5/≪ダブルウェポン≫1/≪奇襲攻撃≫1/≪フェイドアウェイ≫2/≪マイクロブラックホール≫1/≪感覚強化≫1/≪韋駄天≫4
装備:レーザーソード、ダークソード、プロテクター、ムーンストーン
備考:ウートガルドを追放されたアルフ。親真帝国派であり、レオニード枢機卿に忠誠を誓っている。



ダルトン
クエスターLV:10
クラス:ドヴェルグ4/ハンター3/ファイター3
加護:イーヴァルディ/ティール/トール
年齢:50(外見)  性別:男  種族:ドヴェルグ
身長/体重:150cm/70kg  髪:茶  瞳:茶  肌:浅黒い
体力:16 反射:13 知覚:13 理知:9 意思:10 幸運:12
シャード:色彩≪黒≫ /形状≪立方体≫ /場所≪ベルトのバックル≫
ライフパス:
出自:鍛冶職人/特徴:武具知識
境遇:トレジャーハンター/クエスト:財宝を手に入れる
邂逅:恩人/コネクション:銀の腕のグラント
特技:≪ウォークライ≫1/≪テイクオフ≫1/≪ロックンロール≫1/≪戦士の手≫1/≪猛攻≫1/≪ヒートフラット≫4/≪エアウォーク≫2/≪ビックアックス≫3/≪カバーリング≫1/≪クリーチャー知識≫1/≪ディフェンダー≫2/≪コンバットマスタリー≫3/≪なぎ払い≫2/≪戦士の眼≫3
装備:バトルアックス、スケイルメイル
備考:"黒戦斧の"ダルトンと異名を取る。ダルトン空賊団の頭領。情に厚く仲間思いだが頑固な一面も。


ALSHARD ff Campaign Replay
MIDGALD MILLENNIUM
PHASE−02「平和への翼」
FIN


次回予告――

そして物語は現代へ……。
アルベルトと出会ってから8年が経ち、ディアン=ノースウィンドは1人、荒野を旅していた。
傍らには常に相棒のパンツァーを伴い。
訪れたのはとある辺境の街。
そこでは、真帝国軍による強引な反帝国組織(プリムローズ)狩りが行われていた。
「さぁ、これをお持ちよ? きっとキミの力になる……」
謎の少年から渡される藍色の欠片。
それはやがて、もう1つの希望となる。

ミッドガルド・ミレニアム 第3話『囚われの姫君』

キミよ、希望と共に神話へ向え。



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