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BEAST BIND NEW TESTAMENT  〜新約・魔獣の絆〜
――我信ずれば魔――
現代社会……この世界は一見平和に見え、またありきたりな毎日が続いているように見える。
しかし、世界には常に影の…闇の部分が存在した。
そこに存在するは人ならざるもの。すなわち『魔』――魔獣達である。
魔の世界に生くるは自らを信じ、自らの為に生きる。それ総じてエゴと呼ぶ。

――人信ずれば愛――
そんな闇の世界には、完全に闇に染まらず…かと言って日の光の下にも出られない者達もいる。
魔獣でありながら人として生きようとする者。人間をはみ出す力を持ちながらも人間を捨てられない者。
彼等は生粋の魔獣達から蔑視され、半端な魔物――半魔と呼ばれた。
半魔達に残された一片の人間性…彼等はそれを大切にしながら生きている。それを総じて絆と呼ぶ。
2004年9月5日セッション録音
シナリオ『人と魔物の境界線』リプレイ


人と魔物の 境界線 ボーダーライン


◆キャラクター紹介

■プレセッション■

GM:それではビーストバインド・ニューテスタメントのリプレイを取りたいと思います。
一同:おお〜〜!
GM:ではまず、世界観……と行きたいのですが西蓮もSINも神埼も昔のビーストバインドを知ってるから大丈夫かな?
神崎直也:大学入った頃で散々やったもんな(笑)
SIN:まさに魔獣の絆世代でした(笑)
八岐:あの〜私はわからないのですが……。
西蓮:そうか、八岐は沢山遊んでいた時期と違うんだな。じゃあGM説明しなきゃ(笑)
八岐:お願いします。
GM:まぁそんな説明を入れるために呼んだとも言うが(笑)
※解説1 「新約・魔獣の絆」
 こういった解説において、今回プレイする「新約・魔獣の絆」の説明を補助的に入れていこうと思う。このシステムはかつて出た「ビーストバインド〜魔獣の絆〜」というシステムの後継版である。もちろんその世界観も引き継いでいる。舞台は現代、ただし日の当たらぬ影の場所では人知れず魔物達が生きる世界。そんな魔物の中にも半端者はいる。魔物でありながら人の心を持つ者、人間と言う種族が好きな者、人の枠を超えた力に目覚めし人間……彼等は総じて半端な魔物――半魔と呼ばれる。むろんPCは全員半魔である。
八岐:魔物をやるのですね。
GM:正確には魔物でありながら人間社会に紛れて生きている者…かな。
八岐:なんか魔物なのに人間社会で生きるって大変そうですね(笑)
神崎直也:その辺りが良いんだよ(笑)
SIN:めんどくさい人間関係とかですよね。
GM:はい。魔物は自分の事しか考えません。それが自分のアイデンティティだからです――すなわちエゴ! しかし人間は他人との繋がりでこそアイデンティティを得るのです。それが絆!
八岐:はぁ。
西蓮:まぁ説明はあとに置いておいて、現代の人間社会に紛れている魔物をプレイすると思っておけば、とりあえずはOKでしょう?
GM:そうですね。
八岐:わかりました。
GM:ではキャラクター作成へと入りましょうか。

◆キャラクター作成

  きつねやきつね、お前の家族を殺したのは私だよ。
  恨みがあるなら出ておいで。私の望みを叶えてくれたら、なんでも一つ願いを聞くよ。

  今は潰れたその劇場には1つの噂があった。
  狂った狐が劇をする。狂った狐が笛を吹く。
  興味本位で覗いた者に、音色に釣られて来た者に、
  願いを叶えて破滅を届ける……そんな噂が。

  「なるほど…家族一緒に、ずっと暮らしていきたい……と?」
  「わかりました。あなた様のお望み、叶えましょう」

  恐れよりも希望が勝る。少年は願いを言った。
  狐は言った。こっちに来いと。
  境界線を越えた先に破滅が待つ事を知らずに、少年は足を踏み出した。

  「ビーストバインド NEW TESTAMENT」
  『人と魔物の境界線』  汝、己の獣と向き合わん。

GM:――と、言うのが今回やるシナリオのトレーラー(予告)です。
神崎直也:潰れた劇場にまつわる都市伝説か……とりあえずそいつが敵だな(笑)
西蓮:まぁ明らかにそんな予告でしたし(笑)
SIN:NPCはヒロインじゃなくて少年みたいですね。
神崎直也:とりあえずPC3でやります。
八岐:PC3?
神崎直也:いや、GMがハンドアウトを広げているから(笑)
GM:どのハンドアウトをやるかは、せめてこっちが読み上げてからにしてくれ(笑)
  ではPC1のハンドアウト――


PC1用ハンドアウト
カヴァー:探偵  エゴ:崎守優斗(さきもり・ゆうと)  関係:救済
  キミは探偵だった。お金を貰えば何でもやるが、何も貰えなくともおせっかいを焼いてしまう事がある。そんなキミだったからか、返り血で真っ赤に染まった小学生の少年を見つけた時、事情も聞かずに事務所まで連れて来てしまった。尋常じゃない事件が起こっている事はわかる。少年は崎守優斗と名乗った。

SIN:
探偵ですか! 基本ですね(笑)
GM:ちなみにこの少年の通う小学校は、小中高とエスカレーター式でして小学校でもブレザーの制服を着ています。
西蓮:GMの趣味ですか?
GM:なんでそうなる(笑)



PC2用ハンドアウト
カヴァー:自衛隊退魔部隊  絆:崎守優太郎(さきもり・ゆうたろう)  関係:尊敬
  自衛隊退魔部隊にキミは所属している。崎守優太郎は部隊の小隊長だった。彼は魔物であるキミに対して常に便宜を図り気遣ってくれた。彼の家族の団欒に呼ばれた事もある。――ある夜、キミは緊急出動を受けた。目的地に向かう途中、キミはどこに向かっているか気が付いてしまう……崎守隊長の家だった。

西蓮:
自衛隊退魔部隊!? そこに所属しているんですか?
八岐:凄い所なのですか?
GM:この世界では魔物の存在は隠蔽されているんだ。もちろん魔物自体も自分達の正体を隠すけど、魔物がおおっぴらに事件を起こすケースも多々ある。そんな時に隠蔽に走るのは人間の組織なんだが――
SIN:この退魔部隊は悪即斬! 魔物の起こした事件は関係者を全て抹消してなかった事にする単純明快武力行使組織です。
八岐:え? そんな組織に身を置いているのですか? 無理っぽい気がするのですけど?(笑)
GM:まぁなんでそこにいるかは、キャラクターを作ってから背景とかとあわせて決めてくれ。



PC3用ハンドアウト
カヴァー:特になし  エゴ:崎守優希(さきもり・ゆうき)  関係:肉欲
  キミは友人のショーコさん(新約・魔獣の絆 P202)に頼まれて、一人の少女を家路まで帰す説得をするはめになった。少女の名前は崎守優希、今年中学一年生になった女の子で幽霊や妖怪を信じている子である。不思議と共感の持てる少女だった。少しだけ同じ世界の匂いがするのも気に入った理由の一つだ。

神崎直也:
よし! それは俺がやる!
西蓮:早いですって! まだ最後のハンドアウト読んでないじゃないですか!(笑)
神崎直也:いや、もういい。
GM:そういわれても困ります(笑)
神崎直也:でも今回はお姉さん的なポジションをやろうと思ってたし、カヴァーも好きに決めていいみたいだし、ちょうどいいんだよ(笑)
SIN:ある意味凄いカンです(笑)
GM:とにかく最後のハンドアウト言うからね――



PC4用ハンドアウト
カヴァー:特になし  エゴ:狂芸師"釣狐"  関係:救済
  とある廃劇場にまつわる噂話、そんな都市伝説から生まれた魔物・狂芸師釣狐と戦ったのはいまから一ヶ月前の事だ。ギリギリまで追い詰めたが不意を衝かれて逃げられてしまった。今だ釣狐の行方はわかっていない。ただ一つ解っているのは、奴は人間が狂う様を見るのが大好きだと言うことだ。

SIN:噂の都市伝説ですね。
GM:まぁこの中で好きなのを選んでくれ。
神崎直也:よし! 迷うけど俺はPC3で(笑)
西蓮:まぁPC3はそこで良いとして……って、いつの間にかPC2もなくなってる!(笑)
八岐:上官から命令が来そうな退魔部隊をやります。魔獣の絆は良くわからないので受身でも動ける立場でやらせて下さい(笑)
GM:まぁここにいる殆どが経験1回かゼロ回だけどな。
SIN:残るはPC1とPC4か……。
西蓮:なら探偵をやります。PC4はSINに任せます。
SIN:了解した!
GM:では決まりましたね。次はプライマリとセカンダリの2つのブラッドを選んでもらいます。
神崎直也:ブラッド? なんだそれは?
※解説2 「ブラッド」
 魔物の血族や血に連なる者…という意味。
魔物としての本質をあらわすプライマリと、補助的な意味合いのセカンダリがあり、PCはその2つを用意されている11種のブラッドから選ぶ。
「魔器族」「不死者」「超人類」「来訪者」「精霊族」「神族」「魔族」「獣族」「機械族」 「魔法使い」「伝説の住人」があり、その組み合わせでどんな魔物なのかを表現するのだ。
SIN:メインクラスとサブクラスって感じですね。
八岐:えっと……「伝説の住人」と「精霊族」を選びたいのですが、プライマリ/セカンダリが「伝説の住人/精霊族」と「精霊族/伝説の住人」によって違いが出るのでしょうか?
GM:出ます。
神崎直也:出るんか(笑)
GM:プライマリが「伝説の住人」なら、自然現象に関係した都市伝説。プライマリが「精霊族」だと、昔からその土地にある土着の伝説って感じだね。
神崎直也:ずいぶんと差がでるなぁ。
西蓮:俺は「魔器族/魔器族」で重ね取りします。
GM:重ねて同じブラッドを取る場合をトゥルーブラッドと呼びます。ブラッドが決まったらカヴァーを選んでください。
八岐:自衛隊退魔部隊ってカヴァー一覧表に無いのですけど?
GM:それは「警察」か「傭兵」もしくは「その他」のカヴァーを選んでくれ。
八岐:わかりました。
GM:カヴァーが決定したら、能力値、技能、行動値、FP(フレッシュポイント……肉体的HPと精神的HPの両方の役目を担う魔物の耐久力)、さらに人間性は13と書いて下さい。
八岐:人間性?
GM:その魔物が人間社会にどれだけ適応しているかって値。基本的にプレイ中に消費されていき、これがエンディングで0以下だった場合にNPCになります。今は気にしないでいいよ。
それが終わったら次はアーツを取ります。アーツはそれぞれのブラッドごとにある特殊能力(業/技)です。プライマリから5つ、セカンダリから3つ、またそれぞれから自動取得アーツを一つずつ取得して下さい。トゥルーブラッドの場合は自動取得を1つと自由に残り9つを取得して下さい。
神崎直也:このHAってのはなんだ? これもアーツか?
GM:ハイパーアーツ(略してHA)と言って魔物の力を100%以上発揮するアーツです。プライマリブラッドから2つ、セカンダリブラッドから1つを選択して下さい。または一般アーツと呼ばれるどんな魔物でも取得可能なものをあるので、そちらから取得するのもアリです。そこまで決まったら装備を決定してデータ的な部分は終了です。
八岐:自衛隊なのでコンバットスーツですかね。
神崎直也:俺は車取得しよう。無免許っぽいけど(笑)
………………………………………………………………………………………………
GM:次はキャラクターの背景です。出自と特徴、絆とエゴを取得します。
西蓮:出自表は「出自表(愛)」と「出自表(罪)」がありますね。
GM:「出自表(愛)」は表向きだけでも人間として生まれてきた(育った)場合、「出自表(罪)」は魔物として生まれてきた場合です。
西蓮:かつて生きていた人間の遺志をついで、その人の戸籍を使っている場合ってのもありですか? それで「出自表(愛)」を振るの。
GM:まぁありでしょう。
神崎直也:俺は完全に魔物だな。結構長生きにしたいし。
GM:ロール・オア・チョイスだから好きに選んでいいよ。迷う場合にダイス振ってくれ。
………………………………………………………………………………………………
SIN:最後は絆とエゴですね。
八岐:絆とエゴ?
※解説3 「絆とエゴ」
 他人との繋がりを絆と言い、絆があるからPC達は半魔として人間社会で生活が可能なのだ。絆とは他人の為に動く原動力である。
その反対に、エゴはその者の中にある欲求そのものである。魔物はエゴに従い自分の理によって行動する。自分の為に行う全てはエゴである。
GM:ダイスで振ってみてもいいし、自分で選んでも良い。とにかく絆とエゴをそれぞれ1つずつ取得してくれ。
SIN:じゃあ私は振りましょう(コロコロ)……絆が[家族]で(コロコロ)……エゴが[闘争]か。
GM:その対象をそのまま書き写してもいいし、自分で好きに作っても良い。
SIN:[家族]は表に書いてあるまま大上鳴(新約・魔獣の絆 P201)にします。人狼族の女の子です。エゴの[闘争]は対象を"強き者"としてもいいですか?
GM:別にかまいませんよ。存分に戦いたいキャラをやって下さい。
八岐:そして退魔部隊の私に見つかって射殺されると(笑)
神崎直也:あ〜〜アリだね(笑)
西蓮:アリなんだ(笑)
GM:次は八岐がやってみる?
八岐:(コロコロ)……絆がショーコさんで[憧憬]。エゴが魔の力の[開封]らしいです。
GM:魔物としての力を開封したいって内心では思っているキャラだね。
八岐:じゃあ退魔部隊に入隊した理由がソレです。私は自分の持つ本当の力を封じられているんです、その鍵を退魔部隊の一番偉い人に掴まれているって、そんな設定で。
GM:OK。今回のシナリオにはあまり出てこなさそうな設定ではあるがな(笑)
八岐:あ、ショーコさんと知り合いって事は、神崎さんのキャラとも知り合いですね。
神崎直也:絆で持ってるからそうなるのかな?
GM:まぁあとでPC間でも絆を取ってもらうから、その時に詳しく決めてくれ。
八岐:了解しました。
神崎直也:えっと俺の絆(コロコロ)……愛。エゴは(コロコロ)……愛(一同爆笑)
西蓮:両方同じじゃないですか!(笑)
神崎直也:いや、微妙に違うぞ。絆は[献身]でエゴは[渇望]だ(笑)
SIN:何か違うんですか?
神崎直也:そうだなぁ……他人に対する愛が献身。神様から愛されたいって思う心が渇望だ。
GM:天使系のキャラだね(笑)
神崎直也:ああ、そうするつもりだ。ってか本当は夢魔をやるつもりだったんだがな(笑)
SIN:180度違うし。
西蓮:あ、俺のキャラはもう決まってます。考えてきたので(笑) 絆は肉欲で[節制]、エゴは"今は居ないあなた"で[報復]です。かつては鎧だった魔物をやるつもりなので、歴代の持ち主を殺した者を――しいては全ての人間を殺したいという衝動があるのです。
神崎直也:ダメじゃんそれ。おい退魔部隊、ここに危険人物がいるぞ(笑)
八岐:ですね(笑)
西蓮:違う! そういうエゴを抱えながらも、人間社会で生きたいと思っている半魔をやるんだよ!
GM:まぁそれもビーストバインドな半魔だしね。では絆も書いた所でキャラクター作成は終了です。


和泉 一蓮    イズミ イチレン    (魔物の正式名称:武者鎧一式大太刀拵え)
  武者鎧一式(太刀含む)だった物が魂を得て魔物化した。変異時こそ元の姿に戻るが、普段は20代後半の優男である。今も自分を使うに値する主人を探しておりその延長で探偵業を営む。最後の主人は魔物との戦いで死亡しており、その戸籍を使って人間社会に溶け込んでいる。約束は守る男。一人称は「俺」。



御厨 華那    ミクリア カナ    (魔物の通り名:烈風の公女)
  力の源を抑えられ自衛隊退魔部隊でコキ使われている特殊な半魔。なぜ退魔部隊が処分しないのかは謎。江戸時代に池袋周辺で流行った辻斬り(かまいたち)の噂――『人斬り公家姫』の伝説から生まれた。人間関係においては好き嫌いが激しい性格。普段は23歳の女性である。一人称は「私」



沙汰 アン    サタ アン    (魔物の真名:"かどわかすモノ"サタン)
  旧約聖書の時代から生きている神族。ヤハウェの配下であり、人間に試練という名の堕落を与える事を命じられた天使。堕落した人間の名は全て帳簿に記録してあるらしい。普段は弁護士として腕を振るう28歳の女性だが、基本的に仕事を選り好みするので大して儲かってはいない。一人称は「アタシ」。



貴島 雷蔵    キジマ ライゾウ    (魔物の本名:レオニス)
  40の親父であり、警視庁史料編纂課という閑職部署にいる刑事。しかし別名「死霊課」の異名を持つその部署は、警察の中でも魔物の起こした事件を専門に扱う部署である。雷蔵は相応な年齢外見だが部署内では下っ端である。本性は外来系の狼男(人狼)で戦いを好む感情派。一人称は「オレ」。



――PC間の絆/エゴの取得――
一蓮 華那 絆[守護] ――かつて初代主人が守っていた"姫"という存在に華那が似ている。
華那 アン エゴ[劣等感] ――アンの方が胸が大きい。
アン 雷蔵 エゴ[軽蔑] ――戦うしか能の無い雷蔵のことをバカにしている。
雷蔵 一蓮 絆[信頼] ――共に魔物と戦った事のある戦友らしい。

 ※基本的にPC間は絆で取得した方がプレイは円滑に進みます。
   しかし今回のリプレイではPL同士が顔見知りな事もあり、エゴで取得しています。

◆キャラクターデータ

人の名:和泉一蓮    イズミ イチレン     男27歳     
魔の名:武者鎧一式大太刀拵え
ブラッド:魔器族(アーティファクト)/魔器族(アーティファクト)
カヴァー:探偵  出自:一子相伝  変異:さまよう鎧
絆 :肉欲[節制]
エゴ:今は居ないあなた[報復]
HA:≪剣魂一擲≫≪電光石火≫≪ヴォイド≫
能力値: 【体力】12/4 【敏捷】12/4 【感情】6/2 【知性】9/3 【社会】8/2
技能: <白兵>2/6 <射撃>2/6   <知覚>1/4 <裏社会>1/3
  <耐性>2/6 <運動>2/6
【FP】21  【人間性】15  【行動値】10
アーツ:
≪魔器の使い手≫、≪魔剣≫、≪祓魔の力≫、≪ふたつの至宝(魔鎧)≫、≪大小拵え≫、≪業物≫、
≪練成の記憶≫、≪分裂≫、≪護りの剣≫、≪封印解除≫、≪人の心≫




人の名:御厨華那    ミクリア カナ    女23歳
魔の名:烈風の公女
ブラッド:精霊族(スピリット)/伝説の住人(レジェンド)
カヴァー:自衛隊退魔部隊(その他)  出自:公子  変異:風を纏った公家の姫君
絆 :ショーコさん[憧憬]
エゴ:魔の力[開封]
HA:≪許されし芽≫≪世界霊魂≫≪遠くからの声援≫
能力値: 【体力】10/3 【敏捷】9/3 【感情】9/3 【知性】10/3 【社会】9/3
技能: <白兵>2/5 <射撃>1/4 <意志>1/4 <知識>1/4 <交渉>1/4
    <運動>1/4 <魔力>1/4 <知覚>1/4 <魔物>1/4
【FP】19  【人間性】13  【行動値】9
アーツ:
≪都市伝説≫、≪カテゴリー・エア≫、≪クリフハンガー≫、≪コスチューム≫、≪同化≫、≪青天の霹靂≫、≪精霊壁≫Lv2、≪生得武器:白兵≫、≪精霊剣≫




人の名:沙汰アン    サタ アン    女28歳
魔の名:"かどわかすモノ"サタン
ブラッド:神族(セレスティアル)/魔族(デーモン)
カヴァー:弁護士(ネゴシエーター)  出自:記録者  変異:光輪・白翼の出現
絆 :愛[献身]
エゴ:愛[渇望]
HA:≪勝利への賛歌≫≪アドベント≫≪歪曲する真実≫
能力値: 【体力】9/3 【敏捷】8/2 【感情】12/4 【知性】9/3 【社会】18/6
技能: <白兵>1/4 <運動>1/3 <意志>1/5 <知識>1/4 <交渉>3/9
      <魔力>2/6   <裏社会>1/7
【FP】21  【人間性】13  【行動値】8
アーツ:
≪御使い≫、≪誘惑者≫、≪飛行能力≫、≪特務天使≫、≪後光≫、≪信仰≫、
≪ブースト&ウィーク(弱点光)≫、≪魂の契約書≫、≪爵位≫、≪不和の芽≫




人の名:貴島雷蔵    キジマ ライゾウ    男40歳
魔の名:レオニス
ブラッド:獣族(ビースト)/獣族(ビースト)
カヴァー:警察官/死霊課  出自:魔の血脈  変異:巨大な狼
絆 :大上鳴[家族]
エゴ:強き者[闘争]
HA:≪獣の盾≫≪獣の生命≫≪神獣撃≫
能力値: 【体力】13/6 【敏捷】11/5 【感情】9/3 【知性】6/2 【社会】8/2
技能: <白兵>2/8 <運動>2/7 <意志>1/4 <知覚>1/3 <警察>1/3
  <耐性>2/8       <魔物>1/3
【FP】27  【人間性】10  【行動値】10
アーツ:
≪牙を持つもの≫、≪切り裂くもの≫Lv3、≪獣化≫、≪ナインライブズ≫、≪恐怖の咆哮≫、≪闘争本能≫、≪音よりも疾きもの≫、≪超獣変身≫、≪キメラブラッド:駆け抜けるもの≫、≪魔の心≫

■オープニング■

◆貴島雷蔵                                         キジマ ライゾウ

池袋のとある路地裏にその劇場はあった。すでに潰れてから久しい劇場では、今、高らかに笛が吹き鳴らされ、やっと辿り着いた挑戦者を歓迎していた。死霊課の刑事である貴島雷蔵を。
GM:最初のシーンは貴島雷蔵! キミの目の前にはキツネの能面をかぶり古風な着物を着た魔物"釣狐(つりぎつね)"がいる。場所は池袋の潰れた劇場。キミが劇場に入ってきたのに気が付き、釣狐は吹いていた横笛を置き――「これはこれは――
アン:(遮って)ねぇ、せっかくだからエロ&バイオレンス&バカの担当を決めようよ!
雷蔵:おい! いきなりシーンをぶった切るなよ!(笑)
アン:ああ、ごめんごめん(笑) まぁ兎に角決めましょう! アタシはエロだから!
GM:ご、強引なやっちゃなぁ(笑)
華那:じゃあ私は退魔部隊だしバイオレンスかな?
一蓮:なら俺はバカですか(笑)
雷蔵:オレは――
アン:エロで(一同爆笑)
雷蔵:ちょっと待て! これでも40の親父だぞ!? 人狼だぞ!?
一蓮:毛深そうですね。
雷蔵:おう、狼だからな。
アン:エロー。
華那:えろーー。
雷蔵:わけわからんぞ!(笑)
GM:まぁ雷蔵がエロかろうが、そんな事はどうでもいい。さっさとシーンの続きやるぞ!(笑)
一同:りょうかーーい!
雷蔵:ぉおおい! なんでオレはどうでもいいんだ!(笑)
GM:(無視して)「これはこれは死霊課の」
雷蔵:やっと追い詰めたぜ、これ以上は好きにさせねぇ!(←反応は早い)
GM:「おやおや、まさか一人でこのわたくしと戦うと? 仲間はどうしたのです?」
雷蔵:貴様を倒すのに仲間はいらん、オレ一人で十分だ。
GM:「友達がいない方ですねぇ」
雷蔵:……余計なお世話だ。
一蓮:って友達いないのかよ(笑)
雷蔵:40過ぎのおじさんは孤独なんだよ、上司には苛められるし電車では痴漢に間違えられるし(笑)
GM:と、そこで知覚判定して下さい。難易度8ね。
※解説4 「判定」
 使用する技能を使う能力判定値に、その技能のレベルを足した値が[判定値]となる。その値に2D6のダイス目を足した値が、難易度以上であれば判定は成功である。
雷蔵:(コロコロ)……7だ。失敗した。
GM:釣狐はキミの後ろに視線を向け――「おやおや、やはり連れて来たのではありませんか? これはまた、小さなお友達だ」
雷蔵:そっちを見るぞ。気づいてなかったし。
GM:男の子と女の子の兄弟だね。幼稚園ぐらいかな。親の目の盗んで、この壊れた劇場を探検しに来た。そんな感じ。ちなみに崎守優斗と優希じゃないです。ただのチョイ役です。
雷蔵:チッ!
GM:「歓迎しますよ」――と釣狐は黒い波動を子供に投げつける。
雷蔵:かばうぞ!
アン:できるの? アーツがいるんじゃない?
GM:アーツがなくても未行動状態ならかばえる。この行為をすると行動済みになるけどね。
雷蔵:黒い波動は背中で受けるぞ。――ぐっ!?
GM:その衝撃でキミの上半身が黒い炎に焼かれる。肌がチリチリ言うね。子供達は――「え?」「なになに?」
雷蔵:しばらく目を瞑っていろ!
一蓮:(子供)「狼がしゃべった!?」
雷蔵:いや、まだ魔獣化してないから人間に見えるはず(笑) 釣狐の方を睨むぞ。
GM:そこにはすでに釣狐の姿は無い。声だけが劇場に響く――「やれやれ、その甘さが命取りになりますよ。今回はこれぐらいで公演を中断致しましょう。次会う機会をお楽しみに……」――釣狐の気配が消えます。
雷蔵:貴様のほうこそ楽しみにしておけ、次会う時は容赦しない。
GM:その声はむなしく劇場に響くだけだ。
雷蔵:子供達に向き直って――大丈夫だったか?
GM:「うん」「ありがとう」
アン:ん? ちょっと待て…人間状態で上半身焼かれたなら、今服も燃えて裸じゃん!(笑)
華那:(女の子)「裸のおじさんイヤーーー!!」(一同爆笑)
一蓮:(男の子)「えんがちょー」(一同爆笑)
雷蔵:なんでオレがそう言われなくちゃならないんだ! 命の恩人だろうよ!
アン:(ナレーション風)その日、少年と少女の心に決して消えないトラウマが残った(一同爆笑)
雷蔵:だからどーしてオチをつける! 今のシーンは絶対かっこいいシーンじゃないか!(笑)
GM:しょうがないよ雷蔵君、なんせキミは……エロ担当だからな(爆笑)
一蓮:ついでにバカの担当もキミに譲ろう(笑)
雷蔵:いらねーよ!(笑) 40過ぎのおじさんを皆で寄って集って苛めないでくれ!(笑)
GM:まぁまぁ。では貴島雷蔵のSAを渡そう。キミのSAは――「釣狐を倒す」
※解説5 「SA(スピリチュアル・アンカー)」
 そのキャラクターの行動指針や存在証明、また短期間・長期間における目的、果ては「運命」の広義で使われる。実際にはGMから渡されるそのセッション中における、そのPCが"達成すべき事"である。これをセッション中に達成できれば、あとで経験点となる。

◆和泉一蓮                                         イズミ イチレン

池袋のとある雑居ビルの6F。和泉一蓮の探偵事務所はそこにあった。この日は珍しい事に事務所の中では一蓮の他に一人の少年がいた。もっとも依頼人……というわけではなかったが。
一蓮:先に言っておくが、俺の事務所のすぐ近くには潰れた劇場があるんだ。
GM:劇場? ……って、さっき雷蔵が戦ってたアノ劇場か(笑)
一蓮:そう(笑) 潰れる前は良く通っていたんだ。昔の芸能をやってくれる劇場で懐かしい想いに駆られるのでね。
GM:まぁ別にいいが……で、ついさっきの事です。日課の夜の散歩をしている最中、とある道の壁によっかかっている血だらけの少年を見つけました。
一蓮:なんだって? いやハンドアウトで知ってるけど(笑)
GM:しかも通りの先からは、沢山の慣れた匂い――血の匂いが漂ってくる。その数は尋常じゃない。
一蓮:そんな状態ならあきらかに魔物がらみだろう。さて、どうするか――
GM:と、言った所でキミは少年を事務所につれて帰ってきてしまいました。
一蓮:早いな(笑) が、まぁあの場所に置いておくわけにもいかないし、魔物絡みなら警察に連絡するのもまずいしな。
GM:で、今キミの目の前で少年が体育座りしながら震えている。
一蓮:じゃあ紅茶を出したりして緊張を解こうと試みるぞ。
GM:少年は口を付けないね。
一蓮:毒なんて入っていないぜ。と同じく自分用に淹れておいた紅茶を飲もう。
GM:一蓮のそれを聞いて、少年はおずおずと紅茶を口に運び――「熱っ…」
一蓮:ああ、すまない。いつもの調子で淹れちまった。まぁ別にあせる必要も無いんだ、ゆっくり冷ましてから飲みな。
GM:「……うん」――そう言ってから少しずつゆっくり少年は紅茶を飲みます。
一蓮:今の時刻は? もう朝か?
GM:まだ夜中の1時と言った所ですね。少年を拾ったのは2時間前の11時ぐらいです。
一蓮:ふむ。
GM:少年は紅茶を冷ましながら飲み終わり――「あの……ぼく……」
一蓮:落ち着いたか?
GM:「……はい。ありがとうございます」――小学生のわりに礼儀正しく言葉使いも丁寧だ。
一蓮:良い所の子供なのだろうか? まぁいい……キミがなぜあんな状態であそこにいたか……少し教えてくれないか? 俺はこの街で探偵をやっている。あの状況は普通じゃなかった。
GM:「………………」少年は口を噤みます。
一蓮:はぁ……言いたくないなら別に言わないでも構わないぜ。
GM:「………………」
一蓮:まぁ安心しろ、だからって警察に通報するって事もしない。職業柄ああいった事には慣れているからな。
GM:では少年は少しおどろいたような、それでいて悲しいような声で――「ごめんなさい。覚えていないんだ……気が付いたら、血だらけれで……」――<知識>で判定して下さい。難易度は7です。
一蓮:<知識>の技能は0レベルだけど判定可能なの?
GM:0レベルの判定は可能です。ただしクリティカルはしないって制限があります。
一蓮:なるほど(コロコロ)……成功だ。
GM:では少年はショックから来る一時的な混乱で、記憶が飛んでいるだろうと経験からわかっていいです。朝になれば戻るんじゃないかな?
一蓮:無理に思い出す必要は無いぜ、今はゆっくり休め。そして明日になったら話してくれ。
GM:「おじさん?」
一蓮:おじ……俺の名は和泉。お前を見つけたのも何かの縁だ。自分の紅茶をグイッと飲んで、事務所の床に転がります。いつもはソファーで寝ているのですが、きっと少年が使うので(笑)
GM:「おじ……いずみさん……あの、その……」
一蓮:寝ろと言っただろう? ゆっくり休め。俺は一度でも縁があった奴を見捨てたりはしない。助けてやるよ。約束する。
GM:「……うん。ありがとう」――やがて少年の穏やかな寝息が聞こえてきます。
一蓮:やれやれとんだ拾いモノをしちまったな、俺のお人よしにも程がある……とか思いながら寝よう。
GM:ではSAを渡しましょう。「優斗を助ける」
そして、朝日が十分に昇ってから目を覚ました一蓮。その日のテーブルには一枚の置手紙があった。まだ漢字を覚えていないのか、つたない平仮名で――「ありかとう いづみさん   さきもり ゆうと」

◆沙汰アン                                             サタ アン

小中高とエスカレーター式のとある学校の屋上。時刻は夜。その貯水庫の影で沙汰アンとその半魔としての友人である学校の怪談幽霊ショーコは会っていた。
GM:ちなみにショーコさんってのいうのは学校を守る守護精霊であり、女子高生の姿で高等部の学生に紛れてたりします。
アン:公式に載ってるNPCなわけね。
GM:ショーコさんの特殊能力は「誰か一人多い」と感じさせながらも、会話の輪に入っていても誰にも気が付かれないってものです。
アン:ああ、あの怪談ね――で、ショーコ……アタシを呼ぶってどういうわけ?
GM:「ごめんなさい。学校の側をあなたの車が通るのを見つけたものだから」――笑顔で。
アン:だからって急に飛び出してくる事ないでしょう? もうちょっとで事故になるところだったじゃない!(笑)
GM:そうだったのか。まぁキミがそういうと、ショーコさんは口に人差し指を当てて静かにするように言って、貯水庫の影から屋上の奥を覗くように言う。
アン:? じゃあ見てみようかな。
GM:すると懐中電灯を持った小学生か中学生ぐらいの女の子がキョロキョロなにかを探している。
アン:なに、あの子?
GM:「どこにも勘の鋭い子っていてね。どうも私が混じっている事に気が付いちゃったみたいなの」
アン:ええ!?
GM:と、耳を澄ませば――「幽霊は本当にいるんだよ〜出てきていいよ〜〜」(笑)
アン:それで? アタシにどうして欲しいわけ?
GM:「もうこんな時間でしょ?」――時間はすでに夜の10時――「そろそろ家に帰さないと危険だし。あなたに説得して欲しいの」
アン:ショーコ…あなたじゃ……って無理か。わかったわ、アタシがやってみる。
GM:「ありがとう。恩に着るわ」
アン:じゃあ少女の方へ行くわよ――「ちょっと、そこに誰かいるの?」
GM:「出たな幽霊!?」少女の懐中電灯がキミを照らします。
アン:うう…違うわ、アタシは幽霊なんかじゃないわよ? と光にまぶしがりながら言います。
GM:「じゃあ誰? 警備員さん? それとも先生?」
アン:名刺を渡して言おう――アタシは弁護士なの、この学校に幽霊が出るって依頼を受けてちょっと調べに来たの。
GM:「へぇおばさん弁護士なんだぁ」
アン:お、おばさん――名刺に書いてあるでしょ? アタシは沙汰アンって言うのよ。と色っぽく。
GM:「ふぅ〜ん」
雷蔵:いまいち伝わらなかったな(笑)
アン:………………。まぁとにかく、こんな夜中にこんなところにいたら駄目じゃない。親はどうしたの? そろそろ帰らないと心配しているんじゃない?
GM:「今日は夜の11時までに帰れば大丈夫なの。普段帰ってこないお父さんが弟の誕生日だからって帰ってきてくれるから……」――と、最後はなぜか寂しそうに。
アン:寂しそう?――だったらこんな所で時間を潰してないで、早く帰ったほうがいいんじゃない?
GM:「それは……そうだけど……ほら、まだ10時だし、あと30分は大丈夫だし……」
アン:もしかして、家に帰りたくないの? 弟さんの誕生日パーティーがあるんでしょう?
GM:「うん。弟の誕生日は祝ってあげたい……でも、パーティーまでは家にいたくないの」
アン:よかったらお姉さんが相談に乗ってあげましょうか? これでも弁護士さんだからそういう話は多いのよ?
一蓮:そうなの?
アン:ああ、アタシは離婚沙汰とかしかやらないから(笑)
雷蔵:本気で趣味だな。
GM:ではその少女はアンの言葉にうなずいて――「うん。そうだね。幽霊も見つからなかったし、遅刻したら優斗が可哀想だし帰ろうかな」
アン:じゃあお姉さんの車で送って行ってあげるわ。夜道は危険だしね。
GM:「ありがとうおばさん!」
アン:えっと……
GM:「わたし崎守優希って言うの」
アン:優希ちゃん、できればアタシも名前で呼んで欲しいなぁ。友達っぽく(笑)
GM:「友達っぽく? じゃあ……アンさん?」
一蓮:あんさん? どこの二人称ですか(笑)
GM:じゃあちょっと可愛く――「アンちゃん」
一同:『アン(兄)ちゃん!?』(一同爆笑)
GM:じゃあどう呼べっちゅうねん!(笑)
華那:普通に沙汰から取って"さっちゃん"でいいのでは?
GM:「じゃあさっちゃんって言うね」
少女――崎守優希の話によれば、現在、お父さんとお母さんは離婚をするとかでギクシャクしているらしい。なので家に帰りたくと言う。ちなみに崎守家は池袋駅から少し高級住宅街に入った所にあるらしく、アンは車をゆっくり走らせた。
アン:離婚か……奇しくもアタシの領分ね(笑)
一蓮:あんたは本当に天使か!(笑)
アン:れっきとした天使です……それで優希ちゃん、どうしてお父さんとお母さんは離婚なんて?
GM:「わからない……でも、お父さんはほとんど毎日仕事が忙しくて帰ってこないし、帰ってきてもすごく夜遅くで、朝早く出かけちゃうの……もしかしたらそれが原因かも」
アン:そっか。
GM:「うん………」
アン:………………。
GM:「………………」
アン:………………。ところで、あなたはどこで幽霊騒ぎを聞きつけたの?
GM:「わたし、昔から幽霊とか見えるの…とくにこの前見たセーラー服の幽霊さんは強く感じたの」
アン:(ショーコね……)
GM:「みんなは嘘だって言うけど、わたし見えるんだ。さっちゃんは信じてくれる?」
アン:さぁどうかしら?
GM:「本当だよ? 信じてよ〜」
アン:ええ、優希ちゃんがそう言うなら信じるわ。
GM:「あ、ありがと」……と優希はなぜかうつむきます。
アン:どうしたの?
GM:「ううん、そんなにすぐに信じてくれる人いなかったから……うれしくって♪」
アン:(良い笑顔ね)って思いながら、少し声のトーンを落として――お父さんとお母さんに、優希ちゃんの気持ちは言ってみた?
GM:「え?」
アン:お父さんとお母さんに別れてほしくないって言ってみた?
GM:「ううん。言ってない……私のことはお母さん心配してくれないし……」
アン:ぐっ、なんか地雷だったのかな?――でも、きっと心配してるわ。せっかくの弟の誕生日の準備に、優希ちゃんがいないんだから。
GM:「うん、そうだと……いいな」
アン:じゃあ、試してみよっか? と言ってぜんぜん逆の方向にハンドルを切ります。
GM:へ?
アン:今の優希ちゃんのセリフ?(笑)
GM:違います(笑)え〜〜と、優希はデスね――「駄目だよ、今日は弟の…優斗の誕生日だし!?」
アン:だったらなお更じゃない? 弟の誕生日なんて大事な日に、あなたが帰ってこなかったらきっと心配してると思うな
GM:「そう……かな?」
アン:「ええ、女の子はちょっとぐらい大胆じゃないとね」
そうして、アンは優希を連れ去った。
一蓮:って、いいのGM!? めちゃくちゃ焦ってない!?(一同爆笑)
雷蔵:誘拐だーーー!!!(笑)
GM:ま、なんとかなるだろう。
華那:もうシナリオ脱線したんですか!?(笑)
GM:いや、そんな事はないぞ、そんな事は(笑)
アン:しょうがないじゃない。優希ちゃんはエゴなのよ! しかも[肉欲]だし(笑)
  沙汰アンのSA――「優希を守る」

◆御厨華那                                           ミクリア カナ

目の前で処理された魔物の死体が、仲間達によって運ばれていく。捕殺された魔物は死体さえ残らないだろう。自衛隊退魔部隊に求められるのは殲滅であるから。
GM:その日の夜。時刻は八時。やっと一つの事件が解決して全てを文字通り闇に葬りました。作業も一区切りというところで、キミの直接の上司であり部隊の小隊長である崎守優太郎がやってきます。歳は30半ばって所です。
華那:お疲れ様です隊長。
GM:「ああ、なんとか早く片付いて助かったよ」
華那:今日の夜は確かお子さんの……。
GM:「下の子の誕生日さ。よく覚えていたな(笑)」
華那:それはもう、隊長のお子様ですから…と何故か恥ずかしがる私。
アン:恥ずかしがる!? なんでだ!
雷蔵:関係ないじゃないか!?
華那:崎守さんはダンディーな感じで渋いおじさんなんです。もう妻子持ちでも良いって感じで(笑)
GM:そうなんだ。
雷蔵:くっ…同じおやじ仲間なのに扱いが違う!?
華那:(雷蔵を見て)………………ふっ(一同爆笑)
雷蔵:おい! 鼻で笑っただろ!? なんだその差別チックな目は!!(笑)
GM:「優斗も楽しみにしているだろうからな。それに優希の奴にも久々に会うことになるしな」
華那:そうですね、家族サービスしてきてください。また時間が空いたら私も呼んで下さいね♪
GM:「ああ、わかった。お前が来ると子供達も喜ぶしな」――って家に来た事あるのか!?
華那:あります。優希ちゃんとも優斗くんとも私は仲良しです。
GM:そうだったのか……では、そんなこんなで崎守隊長は帰っていきます。ちなみにキミは夜勤当番なので今日は帰れません。
華那:これも仕事です。
その夜、夜勤でもあった華那は緊急の出動を受ける。 数人のメンバーと共に車に乗り込み現場へと急ぐ。
GM:事件現場に向かっている所です。
雷蔵:死霊課より先にそっちが出張るのか?
GM:ああ、オープニングの事後処理をしていた退魔部隊員がたまたま発見したんだ。それでそのままなし崩し的に退魔部隊が動くことに。
雷蔵:まぁいいか、死霊課と退魔部隊は仲が悪いから、こっちに連絡するわけないしな。
華那:仲が悪いのですか? どうして?
一蓮:雷蔵がいるから(笑)
アン:ワンワンがエロいから(一同爆笑)
雷蔵:ええい! 嘘を言うな嘘を!(笑)
GM:簡単に言うと、死霊課は例え魔物関係の事件でもまずは交渉から入るんだ。対して退魔部隊は、魔物絡みの時点で関係者含みすべて滅殺! 行動理念が違うんだ。
華那:それで仲が悪いのですね。
GM:そういう事。で、キミは現場に向かっているんだが、その道に見覚えがある。そしてその道の先に誰の家があるかも。
華那:そんな……今日は優斗君の誕生日で、隊長もうれしそうに……。と現場についてつぶやきます。
GM:もう現場か(笑) だがそのとおり、隊長の家は十字路の一角にあるんだが、その十字路に面した4軒の家に住む全員が、誰が誰だかわからないほど引き千切られ肉片と化している。
華那:他の隊員に聞きましょう――隊長は見つかりましたか?
GM:「いや、今だ不明だ。なんせこんな状況じゃ誰が誰だか」
華那:じゃあ最後にうれしそうに家族の元へ帰っていく隊長の笑顔を思い出します。
 御厨華那のSA――「事件を調べる」

■ミドル・フェイズ■

◆警視庁死霊課のエプロンデカ

釣狐を逃してから一ヶ月が経っていた。今日も今日とて貴島雷蔵40歳は、一ヶ月前のことを理由に、上司から苛められていた。
雷蔵:いきなり苛められてるのか!?
アン:(死霊課の上司)『貴島君、実は生活課の方から地域の美化活動の仕事が回ってきていてね』
雷蔵:は、はぁ。なんで生活課?
アン:(上司)『キミに○○地区の清掃に行ってもらいたい。これは命令だ』
雷蔵:はぁ!? なんでですか! 刑事の仕事じゃないですよ!
アン:(上司)『一ヶ月前、あそこまで釣狐を追い詰めておいて取り逃したキミに、拒否権は無い』
雷蔵:くっ……確かに、あれはオレの失態ですが。……わかりました。行ってまいります。
アン:(上司)『あ、そうそう、これの着用が義務つけられている。生活課からも言われているんでな、頼むよ』――とエプロンが渡されます。
雷蔵:………………これは?
アン:(上司)『正装だ。頼むよ……ぷっ』(一同爆笑)
雷蔵:やっぱいじめじゃん!!!(笑)
GM:では今、雷蔵は○○地区に箒とチリトリを持ってきています。
雷蔵:エプロン姿で掃除してますよ。(←ちゃっかりエプロンは装着)
アン:制服にエプロン……エロイな(笑)
雷蔵:あんたが言ったんだろうが!(一同爆笑)
GM:近所を通るおばさん達が――「せいがでますねぇ」
雷蔵:いえいえ、お買い物ですか? 車には気をつけて下さいね――と挨拶すませて掃除を続行するか。
アン:(登校中の小学生)――「なんか制服にエプロンのエロいのがいるぞー!」(一同爆笑)
雷蔵:まてコラ! これでも警察官だぞ!(笑)
一蓮:ってか話が面白すぎて進みませんよ(笑)
アン:それもそうね、ちょっと黙っていてあげるわ(笑)
GM:では落ち着いた所で雷蔵は難易度8で知覚判定をどうぞ。
雷蔵:(コロコロ)……9成功。
GM:釣狐が屋根伝いに高級住宅街のある方向へピョンピョンと跳んでいくのを見たね。
雷蔵:釣狐!? あいつがどーして! 箒とチリトリを置いて急いで追いかけるぞ!
一蓮:箒とチリトリ置いてって……意外と余裕だな雷蔵(笑)
GM:追いかけていくと、その進行方向から嗅ぎ慣れた匂いがしてきます……血の匂いです。
雷蔵:この匂い……血か!
GM:と、そろそろ血の匂いがきつくなってきたところで、戦闘服を着た連中に道を塞がれます――「なんだ貴様、そこで止まれ!!」
雷蔵:まさか……自衛隊?
GM:その通り。
アン:非常線が張られているのね。
雷蔵:オレは警視庁の刑事だ。指名手配犯を追っているところだ。そこを通せ!
GM:「うるさい。刑事だろうが総理大臣だろうが、ここを通すわけにはいかん。さっさと別の道を探して追いかけるんだな」
雷蔵:なっ!
GM:ちなみに登場難易度は7です。
華那:では登場しますね。
※解説6 「登場判定」
 そのシーンに登場したいPCは【社会】の能力値判定を行い、GMが示唆する登場難易度以上を振る必要がある。これに成功すれば登場が可能になるのだ。
ちなみにシーンに登場しないでいると(舞台裏)、PCは変わりにFPを1D6だけ回復することができる。
華那:(コロコロ)……成功! 何か騒がしいから来てみました。同僚に並んで言いましょう――ただいまこの道は自衛隊が封鎖中です。一般人は侵入禁止となっております。別の道をお探し下さい。
雷蔵:オレは警察だ。犯人がこちらに逃げてきたので追跡中だと言っているだろう。行かせてもらうぞ!
華那:駄目です。そんな制服にエプロン着けているようなエロい警官がいてたまりますか!(一同爆笑)
GM:そういや箒とチリトリは置いて来ていたが、エプロンはつけっぱなしだな(笑)
雷蔵:……忘れてたー!(笑)
アン:バカね。
一蓮:やっぱバカの称号もキミに贈呈だな。
雷蔵:い、いらねー(笑) とりあえずエプロンを投げ捨てて強引に行くぞ。
華那:では支給されている退魔ライフルを構えます。一般人だろうと容赦をしないのが退魔部隊という事ですし、引き金に指をかけて――それ以上踏み込んだ場合……。
雷蔵:ピクっと足を止めよう。こいつの殺気に本気の匂いを感じ取ったぞ。あ、そのライフルとか退魔って事は特殊なんだよな? ならそこからこいつらが悪名高い退魔部隊だと気付けないか?
GM:まぁ雷蔵は死霊課ですし、気が付いていいでしょう。あのライフルは退魔部隊だけに支給されている特注品だ。
雷蔵:なるほどな、つまりこの先の事件はソレがらみって事か。強引に行くのはやめよう。このままじゃ釣狐を追ってやぶへびになる。
華那:銃を下ろしましょう。
雷蔵:わかったよ。オレが遠回りすればいいんだろ! この頭の固い分からず屋どもめ!
華那:ご協力感謝します。
雷蔵:くっそ、退魔部隊が!!
GM:と、いった所でシーンを終了しましょう。
雷蔵:シーンが終わったから華那に絆を結ぶぞ?
華那:絆を結ぶ?
※解説7 「絆を結ぶ」
 シーン終了時、PCは対象をひとりだけ選んで新しく絆を持つ事ができる。この際、対象はPCでもNPCでも構わない。その対象に対して絆チェック(※解説8参照)を行い、成功した場合は絆欄に、失敗した場合はエゴ欄にその対象への絆が芽生える。
雷蔵:エゴで取りたいぞ。
華那:私もエゴがいいです。
GM:絆判定の意味ないじゃん。まぁいいや一応絆チェックの難易度25で二人とも振って下さい。
一蓮:え? 絆チェックって難易度20じゃないの?
GM:ルールブックに「GMはそのPCのロールプレイ等によって難易度を変えて良い」って書いてあるんだ。だから今回のロールプレイを鑑みて高く設定。
一蓮:なるほど。
華那:(コロコロ)……はい失敗です。エプロン警官にエゴ[軽蔑]です。
雷蔵:……オレも失敗。この分からず屋にエゴで[反逆]な。

◆弟の影

崎守優希を車で送る……といいつつ、結局朝まで連れまわすという行為に走った女弁護士沙汰アン。お前本当に天使か?
アン:と、言うわけで一晩中連れまわしました(笑)
GM:「う、う〜〜ん……! おはようさっちゃん♪」――車の中で起きました。
アン:おはよう優希ちゃん――車の中で起きる。アタシはずっと優希ちゃんを見ていました。それはもう子供を慈しむ母親の瞳で!
雷蔵:エゴ[肉欲]じゃん。
アン:うるさい! ワンワンはここにいないんだから黙ってなさい!
GM:「ねぇそろそろお父さん心配してないかなぁ。優斗の誕生日はどうなったんだろう……」
アン:連絡は無い? 携帯にメールとか入っているんじゃない?
GM:「わたし携帯持ってないよ。うちのお父さん厳しいし」
アン:それは連絡こないわね(笑) よし、じゃあ帰ろっか?
GM:「うん♪」――もうすっかり優希もアンに絆を持ってしまったなぁ……では車で走らせて優希の案内で家に帰る途中。ちょうど池袋の駅前まで来た所で、知覚判定8以上お願いします。
アン:(コロコロ)……9!
GM:「あ!」と窓の外を見ていた優希が声をあげます。
アン:どうしたの? エプロンでも着た警官がいた?(一同爆笑)
雷蔵:オレに登場しろと!?(笑)
GM:いえ、優希の視線を追えば、その先には人ごみに紛れるように小学一年生ぐらいの、どこか優希に似た男の子がいました。
アン:あの子は……。
GM:「優斗! ねぇさっちゃん車を止めて!」
アン:どうしたの? って聞きつつ車をすぐに脇に寄せてとめます。
GM:すると返事する間もなく優希は車を降りて人ごみの中に入って行きます。
アン:ちょっと優希ちゃん!? アタシも急いで後を追うわ。
GM:ここの登場判定は5です。アンは少し行くとキョロキョロしている優希を見つけていいです。
アン:どうしたの優希ちゃん?
GM:「今、今……優斗がいたの!」
アン:優斗? あなたの弟がこんな所に?
GM:「うん、今のは絶対優斗だった……わたしが見間違えるはずないもん!」
アン:でも――
一蓮:(コロコロ)……登場する。そしてアンにぶつかろう――あ! ドカっ!
アン:前につんのめりながら……ちょっと何するのよ?
一蓮:悪い、ぶつかるつもりはなかったんだ。いや、つもりだったけど(笑)
アン:どっちよ(笑)
GM:まぁぶつかりました。
一蓮:なぁあんた、ここら辺で小学生ぐらいの男の子を見なかったか?
アン:もしかして崎守優斗くんのこと?
一蓮:あいつを知っているのか?
GM:「おじさん、優斗を知ってるの!? 優斗はわたしの弟なの、今ここで見かけた気がしたんだけど、どうしてあの子がここにいるの?」
一蓮:実は夕べ道に迷っているところを保護したんだ。あんな小さな子を一人、夜道に置き去りにするわけにもいかなくってね。
GM:「優斗が迷子に……もしかしてわたしを捜しに来て迷子になっちゃったのかな……わたしが家に帰らなかったから……」
アン:(←なぜかソッポを向いている)
一蓮:ところでキミは?
GM:「わたしは崎守優希」
一蓮:なるほど、確かにお姉さんだ。……で、あんたは? この子の母親か?
アン:アタシはこういうものよ。と名刺を出しましょう。
一蓮:あ、これはどうも(笑) と探偵家業の低姿勢モードに入ってこっちも名刺を(笑)
雷蔵:営業だなぁ(笑)
一蓮:ウチは俺しか所員がいないから貧乏なんだよ!(笑)
アン:和泉一蓮…聞いた事の無い探偵ね。
一蓮:貧乏で暇なんだよ! 仕事くれ弁護士(笑)
GM:「探偵さんなの! お願い優斗を捜して!」
一蓮:ああ、言われずとも捜すつもりだ。彼は少々……いや、なんでもない。
アン:………………。怪しいと思いつつも探偵なので利用としようと黙っています。あ、そうだ探偵さん、あなた携帯持ってるかしら?
一蓮:ん? ああ、依頼人との打ち合わせに必須だから持っているが。
アン:ちょっと優希ちゃんの家に電話してみてくれないかしら? 優希ちゃんはまだ携帯とか持たされていないのよ。
一蓮:沙汰さん、あんたは持ってないのか?
アン:ええ、ゴメンナサイ――と嘘付きます。本当はちゃんと持ってるけど、アタシが掛けても親御さんに連れ回した説明できないし(笑)
一蓮:じゃあ電話しよう。
GM:『プープープー』と繋がりません。何度やっても同じです。
一蓮:コンセントか電話線か、どちらにせよ電話は無理だな。
アン:そっか……優希ちゃん、やっぱり一度家に戻ってみましょう?
GM:「でも優斗がこの辺りに」
一蓮:優斗の事は俺に任せてくれて構わない。
GM:「え? でも……なんで……」
一蓮:さっきキミが言っただろう?『優斗を捜して』ってな。受けた依頼は必ずこなす、それが俺の探偵としての信条でね。
華那:かっこいいなぁ。
アン:あとで絆を取る事にするわ(笑)
一蓮:じゃあ俺はこれで、ちょっと知り合いの警察官がいてね、そいつにも協力してもらうことにする。さっきの名刺に携帯番号が書いてあるから、何かあったら連絡くれ。
アン:ええ、わかったわ。とここで優希がさっさと私の車に行った後――ありがとう探偵さん、あの子の気持ちを察してくれて。
一蓮:そこん所は関係ねーよ。
アン:ちゅ……と探偵さんのほほにキスをして微笑むわ。これはほんのお礼ね。車に戻るわ。
一蓮:なっ!? まいったな……。去っていく車を見送った後、俺も警視庁に向かおう。
GM:ではシーンを終了して絆を結ぶならお願いします。今回は普通に難易度20で。
アン:もちろん探偵さんに取るわ(コロコロ)……う、失敗しちゃった(笑)
GM:じゃあエゴで取得して下さい(笑)
アン:(コロコロ)……[恐怖]? それは嫌だから自分で選んで……やっぱ[肉欲]?(笑)
一蓮:だから、もはや天使じゃないって!(笑)
アン:わかったわよ、じゃあ[偏愛]にしておくわ。
一蓮:………………。
雷蔵:もう何も言うな一蓮(笑)
一蓮:俺も沙汰さんに取るか(コロコロ)……エゴの(コロコロ)……[希求]。
華那:[希求]?
GM:『あなたには金が必要だ』――と説明に書いてある(一同爆笑)
一蓮:じゃあ最後のシーンで俺は呟くんだ……――なっ!? まいったな……どうせなら金が良かったんだが(一同爆笑)
アン:アタシのキスは高いのよ?(笑)
GM:では次のシーンに――
一蓮:あ、GM! ひとつ忘れていた事がある。絆チェックをさせてくれ!
GM:OK! 対象は優斗のエゴだね。
一蓮:その通り(コロコロ)……余裕で22だ。優斗のエゴが絆に変更! 優斗には助けてやると約束したし[執行]で取るぞ。
華那:今の判定は何ですか?
※解説8 「絆チェック」
 エゴを絆に変更する行為、それが絆チェックである。エゴが一方通行な欲望なら、絆はお互いに信じている証である。
エゴを絆に変換するには"相応のロールプレイ"と[(人間性の最大値)+2D6]で20以上を出す必要がある。"相応のロールプレイ"とは、対象との関係を深めるようなロールプレイの事である。このチェックは判定では無いのでクリティカル等はせず、また1シーンに一度しか行う事ができない。
ちなみにこの絆チェックはシーン終了後ではなく、シーン中に行うモノなので注意。
アン:じゃあアタシも優希のエゴを絆にしたいし、絆チェックしていい?
GM:ロールプレイも十分だしOK! 目標値20ね。
雷蔵:どっちかっていうといい加減[肉欲]で連れまわすのはかわいそうだ(笑)
アン:(コロコロ)……失敗。肉欲のまま。やっぱ優希ちゃんは可愛いわぁ(一同爆笑)

◆現場検証

池袋駅より数十分、高級住宅街のとある十字路に隣接する4軒の家が被害にあった現場である。被害は4軒全ての住人であり、生存者は居ないと思われていた。
GM:では次は華那のシーンです。このシーンの登場判定は9です。
雷蔵:それに成功すれば自衛隊の検問を突破して現場まで来れるのか?
GM:その通り。場面は現場です。シーンプレイヤーは御厨華那です。
華那:事件について調べたいです。どうして崎守隊長は死んだのでしょう。
GM:それは情報判定としましょう。<裏社会><魔物><警察>で判定可能です。難易度は5と11と13の3つです。達成値以下のすべての情報が判っていいです。
華那:(コロコロ)……惜しい12です。
GM:「まいったな、死体が2つ足りない」――と、検証していた隊員が言います。
華那:2人?
GM:「崎守小隊長の家には2人の子供がいたはずだ。その子供達が2人ともいない」
華那:じゃあ隊長は……
GM:「ああ、駄目だ」――と、隊員の死体が少し先に転がる人間の胴体部に。
華那:そんな。覚悟していたとはいえ……。
GM:では、ここでGMより絆チェックを要求します。崎守優太郎の絆で難易度は21ね。
※解説9 「GMからの絆チェック要求」
 GMからPCに対して絆の対象を指定して絆チェックを要求する事が可能であり、この絆チェックで成功すれば絆に、失敗すればエゴとなる。また、このGMからの要求で絆チェックをする場合は、   1シーンに1回という制限を無視して何回でも絆チェックを行う事ができる。
華那:人間性の最大値は13だから期待値以上ですね(コロコロ)……成功しました! ここで回想シーンを入れてもいいですか?(笑)
雷蔵:おお、回想シーン(笑)
GM:演出できるならどうぞ?
………………………………………………………………………………………………
華那:私は弱みを握られ強制的に退魔部隊に所属させられたので、入隊当初はかなり荒んでやってたのです。が、そんなときに隊長の家に誘われたんです。
GM:『どうだ御厨、今日の夜はウチで食べていかないか?』
華那:『どうしてあんたと一緒に食べなきゃならないんです。それともそれも命令ですか』
GM:『はっはっはっ、何、キミの話をしたら子供たちが是非会いたいと言って聞かなくてね、どうだろう。もちろんこれは命令じゃない』
華那:『辞退させて頂きます』――去ります。
GM:『………………御厨、キミは池袋の魔物なんだってな』
華那:ピクッと足を止めて振り向きます、誰に聞いたという驚愕の顔で!
GM:『キミが私の小隊に編入された時にね、退魔部隊長の百鬼一等陸佐より把握しておくように言われたんだ』
華那:百鬼? それが退魔部隊の隊長ですか。私の力を奪った憎い奴です。
GM:『今のキミは自由を無くしている。相応の理由が無ければ任務以外ではこの基地内から出ることもできないんじゃないか?』
華那:ギリっと歯軋りしつつ――『だが、あんたには関係のないことです』
GM:『私はね、キミは悪い人間じゃないと思っているよ、もちろん危険だとも思っていない。それは一緒に任務を行ったこの数回で理解した。どうだろう、招待させてくれないか?』
華那:それは頷きます。正体を知られているのに拒否はできません。本心から言っているのかどうかは解りませんし。
GM:だが、そんな疑いはすぐに消える。崎守の車で基地を外出し少し経つと、キミの見知った町並みになっていく。そう池袋だ。
華那:『ここは…?』
GM:『言っていなかったかな? 私の家はここの近くなんだ』
華那:『………………(ほんの少し離れていただけなのに)』――と私は懐かしく思うんです。
GM:『今度からここが恋しくなったら私に言うといい。その時は我が家の夕食に招待しよう。もちろん、子供たちとも遊んでくれよ?』
華那:私は窓の外を眺めたまま絞るように言うんです――『ありがとう……ございます』と。
………………………………………………………………………………………………
GM:では現実に戻って良いかな?
華那:はい。私はそんな隊長の亡骸を見つめたまま――隊長から受けた恩は忘れません。隊長が可愛がっていた2人のお子さんは、必ず私が助けます。
GM:「大丈夫か御厨?」――と検証していた隊員が近づいてきて言います。
華那:え、は、はい。大丈夫です。それで……どんな魔物にやられたかは解りますか? 私達が出張ってきたってことはそういう事なのでしょう?
GM:「怪力…いや、全員爪で引き裂かれているな、鬼や人狼、悪魔の系統かもしれん」
華那:肉体系?って事ですか?
GM:そんな感じですね。
アン:と、そこで登場したい。優希は車の中に置いてくるわ。ちょっとここで待ってなさい。いいわね。と、この惨状を見せるわけにはいかないしね。登場は(コロコロ)……クリティカル(笑)
※解説10 「クリティカルとファンブル」
 せっかくなのでクリティカルの解説を入れる。クリティカルはクリティカル値以上の達成値だった場合に起こる。基本的には12だがアーツ等によってクリティカル値が下がる事があるからだ。逆にクリティカル値が13以上になった場合はクリティカルは発生しない。クリティカルの場合は難易度に関わらず判定に成功する。ちなみに命中判定でクリティカルするとダメージに+1D6点が追加される。また、判定のダイス目がファンブル値以下だと行為は失敗に終わる。ファンブル値は基本的に2である。
アン:なるほど、連絡が取れないと思ったら……と、言いながら現場に現れます。
華那:アンにはエゴを持っていますから知り合いでかまいませんよね? ここは一般人の立ち入りは禁止中です。
アン:固いこと言わないの。何度"表ざた"のもみ消しに力を貸したと思っているのよ?
華那:私達は関係者の全抹殺にて事件をもみ消すのが基本です。あなたの力など元々さして頼ってはいません。
アン:まーいいじゃないみーちゃん。
華那:みーちゃん!? だからその呼び方は止めてください!(笑) アンの正体がばれるとやっかいなので、人間の隊員に――ここは任せて下さいと言って、二人きりになります。
GM:まぁいいでしょう。他の隊員は別の所へ行きました。
アン:それで、ここで何があったの? 魔物の仕業って事はわかるけどね。
華那:あなたに教える義理も義務もありません。
アン:あら? この前教えた体操はやってる? やらないと大きくならないわよ?
華那:なっ!? 何をこんな時に言ってるんですか!――赤くなりながら(笑)
アン:もっと効果的なの知ってるんだけどなぁ〜〜(笑)
華那:え………。
アン:もう一押しね(笑)
華那:いえ、やっぱ教えません! よく考えたら私のはエゴです! そういう事言うからあなたの事は嫌いなんです!
アン:うらやましいクセに。
華那:う゛……。いいから帰って下さい。我々が今回、あなたに協力を頼む事はありません! ここは一般人立ち入り禁止です。これ以上ここに居座るなら関係者として連絡しますよ!
アン:そっか、エゴだと自分個人の事だからアタシの頼みごとを聞いてくれないのか……ねぇGM、絆判定をみーちゃんに振らせられないの?
GM:こちらから要求する事は可能ですが、どうみても難易度高くなりますよ?
アン:意味無いわね。じゃーどうやって情報を得ればいいの?
雷蔵:普通に聞けばよかったのでは。
一蓮:下手にエゴを刺激するからいけないんだ。
アン:う〜〜ん。
GM:では場が固まりそうですしイベントを発生させましょう。アンと華那が言い争っていると、どこからか不思議な声が聞こえてきます――「それでは、わたくしがご説明致しましょうか……」
アン:誰?
華那:一般人は立ち入り禁止ですよ。
GM:キミたちの数m前にその声の主は現れます。日本の伝統芸能っぽい派手な着物を着た仮面の魔物が。
華那:魔物!?
アン:ちょっとあんた、白昼堂々そんな格好で恥ずかしいと思わないの?
GM:「いえいえ、これがわたくしのコスチュームですから」
華那:コスチューム? 貴様そこを動くな! と銃を撃ちます(コロコロ)……<射撃>で13命中。
GM:まぁ銃で撃たれたぐらいじゃ何ともなりませんとも――「わたくしの名は釣狐、以後お見知りおき下さい」
華那:貴様が隊長を殺した犯人ね! 絶対に許さない! もう一発――
アン:それは手で制してから射線に入るように前に立ちます。
華那:邪魔をするな! どけっ!!!
アン:どかずに釣狐に聞きます――この惨劇の説明ができるって? 本当なのかしら?
GM:「もちろんでございますとも、なんせこの舞台を仕切りますは、この狂芸師"釣狐"で御座いますから……ちなみに、この大量の人間を殺したのはわたくしめではございませんよ」
華那:えっ……と一瞬、力が緩みますが――嘘をつくな!!
アン:みーちゃん落ち着きなさい。怒りに任せても何も解決しない。あなただって、それぐらい解っているでしょ。
華那:………………わかりました。
GM:「もしこの惨状について詳しく知りたいのでしたら、この舞台の主役をお探し下さい」
アン:主役? まさか優希ちゃんの事を言っているの?
GM:「はて……優希? 優希とはどちら様の事を?」
アン:この家の子よ。
GM:「ああ、被害者の一人ですか」
アン:被害者? まぁ家族が死んでいるんだから被害者ではあるけど……。
GM:「その口調、まさかその優希という人物………………申し訳ありません。少々予定を修正せねばならないようです。序章はこの程度で終わらせて頂きます」――釣狐は≪名声≫を使ってから退場します。
アン:≪名声≫?
華那:伝説の住人のアーツです。さっき見ました。確か効果はエゴを取得するって書いてあったような……。
GM:(コロコロ)……では、2人とも難易度14で<意思>判定をして下さい。この判定で失敗すると釣狐に対するエゴが発生します。
アン:(コロコロ)……15で抵抗したわよ?
華那:私は失敗しました。釣狐の都市伝説は聞いた事があります。エゴで[軽蔑]を取得しました。
アン:なんか私は損した気分ね(笑)
華那:あ、釣狐が逃げる前に銃を連射します。
GM:では最後に銃の射撃音が響き、そのまま釣狐は消え去ります。
華那:くっ……!
アン:私は呟くの――優希ちゃんじゃない? じゃあ主役って……まさか優斗くん!? と言った所で優斗くんに対して絆を結びます(コロコロ)……絆チェックは成功。[制御]……事件の鍵は優斗くんなので見つけて何とかしないと……と思ったわ。
華那:私は何もしません。釣狐にも沙汰さんにも持ってますし、優希や優斗よりは隊長の方が強そうですし。
アン:あ、絆チェックを優希で振って良い?
GM:まぁ最初に心配して車に残したりしてたし良しとしましょう。
アン:何も無いなら基本の20よね? (コロコロ)……失敗。[肉欲]まま(笑)

◆刑事と探偵

自衛隊退魔部隊に追い払われ、仕方なく警視庁に帰ってきて自衛隊が動いていた事件を一人調べる雷蔵。さすがは資料編纂課、調べ物には事欠かない。
GM:事件の事を調べるなら<裏社会><魔物><警察>で調べられます。難易度はさっきと一緒。
雷蔵:(コロコロ)……11。
GM:さっきの華那と同じ情報です。魔物の事件で2人――姉優希と弟優斗の死体が見つからなかった。
一蓮:俺もやらせてくれ(コロコロ)……13!
GM:雷蔵と同じ情報+魔物の死体が1体あったって話です。しかもその魔物の死体は『無抵抗で殺されている』らしい。
一蓮:無抵抗か。
GM:シーンプレイヤーは雷蔵。登場難易度は7です。
雷蔵:じゃあ情報が2つまでしか判らなかったしな……くそ、やはり退魔部隊が隠しているのか!? 何か重要な情報を掴んでいない気がする!(笑)
一蓮:(コロコロ)……登場成功。ガララっと勝手にその部屋のドアを開けながら――その事件、死体の中に一つ魔物の死体が紛れていた。しかも犯人に無抵抗に殺されてな――部屋に入っていこう。
雷蔵:一蓮か。……しかし早いじゃないか、お前の耳に入るにはもうちょいかかると思ったんだがな。
一蓮:悪いが今回の件は、俺にも依頼が来ていてね。ちょっとばかし当事者と知り合いなんだ。と、ここで俺の持っている情報をすべて雷蔵に教えます。そして……と、言うわけだ。悪いが優斗の捜索に協力してくれないか。
雷蔵:行方不明となっている弟の方を……か。
一蓮:きっと事件に関係がある。
雷蔵:いいだろう。お前の頼みだ断る理由は無い。と、ここで一蓮への絆を固定化するぞ。
※解説11 「絆の固定化とAGP」
 PCが絆やエゴを結ぶと、絆なら愛を、エゴなら罪を1点使用する事ができる。そして罪や愛は使用する事でAGP(アガペー&ギルティポイント)に変換される。エゴならばそのAGPは自分の物となるが、愛の場合は発生したAGPをそのシーンに登場している他人(つまり自分以外)に渡さねばならない。誰に渡すかはそのPCの自由である。罪や愛をAGPに変換させた場合、罪や愛の発生した絆/エゴは固定化され、以降は絆チェック等で動かす事ができなくなる。つまり関係が固定化されるのだ。
雷蔵:愛がAGPになって、シーンに出ている一蓮へ1点進呈する。
一蓮:受け取ろう――すまないな雷蔵、俺は優斗と約束してるんだ。どうあってもあの子を助けたい――という訳で優斗の絆を固定する。愛なのでAGPは雷蔵へ。
雷蔵:任せておけ。しかし……その優希という姉の方は大丈夫なのか? 話ではそいつも生き残っているのだろう?
一蓮:ああ、彼女なら今、沙汰アンという女弁護士が保護している。
雷蔵:沙汰アン!? ああ、あいつか。
一蓮:知り合いか?
雷蔵:まぁ、ちょっとな。しかし……あいつも趣味に走ったか(笑)
アン:勝手な事を言うな犬! 当たってるけど(笑)
雷蔵:しかし、無抵抗で殺されていた魔物というのが不思議だな。いったいなぜ……。
一蓮:わからん。
雷蔵:まぁそれに……。
一蓮:まだ何かあるのか?
雷蔵:現場付近に釣狐という魔物がいた。
一蓮:何者だ?
雷蔵:とある都市伝説の魔物だ。
一蓮:そこに居たなるとさすがに気になるな……。
雷蔵:ああ、だが今は情報が足りない。その姉である優希にも話を聞こう。沙汰に電話を掛けるか。
一蓮:と、GM! その釣狐に絆を取得したい。
アン:あんたまだ釣狐と会ってないじゃない?
一蓮:因縁があった……って事にしたいんだ。どうだろう?
GM:過去の因縁として絆か……いいだろう。だが難易度25だ。
一蓮:(コロコロ)……失敗でエゴか、絆の種類も振ろう(コロコロ)……33だから…[偏愛]!?
一同:『[偏愛]かよ!』(笑)
雷蔵:お前と釣狐の間にはどんな過去があったんだ!?(笑)
一蓮:そうだな……よし、俺は雷蔵から"釣狐"という名前を聞いて思い出すんだ――そう、あれは珍しく池袋に雪が降った1年前のこと――
GM:って、回想シーンかい!!!(一同爆笑)
………………………………………………………………………………………………
一蓮:(ナレーション調)俺はいつものように事務所を出て夜の散歩へと繰り出した。しかし、いつもの夜とその日は少しだけ違っていた。散歩も半ばというところで夜空から白いものがチラチラ降り出したからだ。
GM:場面は池袋の路地裏。雪がすでにシンシンと降り、2cmほど積もりだしています。
一蓮:俺は雪が降ってきたので事務所へと急いで帰るんだが、近道とばかりにいつもは通らない裏道を行く……そして、ふと足を止め見上げれば、俺の横には半年前につぶれたとある劇場。
GM:ではその劇場から悲しげな笛の音が流れてくる。
一蓮:俺は事務所が目と鼻の先なのも、頭に雪が積もるのも忘れ、その劇場の前で笛の音に立ちすくむ。
GM:やがて笛の音が止み、キミの立つ劇場の裏口から――
一蓮:美しい女性が笛を片手に出てくる!
一同:『やっぱ女性か!』(一同爆笑)
雷蔵:思いっきり釣狐は男だったじゃないか!(笑)
一蓮:いいんだよ! これは俺の回想なんだからどんなことしても!!
アン:まぁワンワン、好きにやらせてあげましょうよ。
華那:それで、それでどうなったのですか?(笑)
一蓮:俺は言った――『今の曲、キミが?』
GM:『ええ、聞いていらっしゃったのなら劇場に入っていただければよかったのに』
一蓮:『いや、すでにここは潰れたと聞いていたからね……キミはいったい?』
GM:『私はこの劇場の最後の演技者、せめて最後ぐらいはお客さんに聞いてほしかったのですが……結局、劇場が最後の日も誰も来てはくれなかった……だからこうして、時々勝手に公演に来るんです。誰も居ない劇場で……一人っきりで』
一蓮:『そうか……』
GM:『驚かれたでしょう? 誰も居ない劇場から笛の音が聞こえてきたら』――と彼女は微笑むのですが――『でも、これも最後にします。これ以上続けたら私の存在が変わってしまいそうで……』
一蓮:『………………』
GM:『ありがとう、私の演技を聞いてくれて』――キミに深々とお辞儀をして――
一蓮:『なぁあんた……一つ聞いていいか?』
GM:足を止めましょう。
一蓮:『次の公演はいつだい? 俺は行くぜ、そしたらまた笛を聞かせてくれないか』
GM:『……ええ、喜んで』――そう言って彼女は雪の降る街に消えていた。
一蓮:それから俺は知ることになる。その劇場の最後の演技者の名前が"釣狐"だという事に。

◆崎守家…母親の謎

釣狐が消えた事件現場。華那の放った銃撃音で他の隊員達が集まってきていた。
アン:やれやれ、大変な事になってきちゃったわね。でも、こうなると優希ちゃんをどこで保護するのかが問題かしら? やっぱアタシと一緒にいるほうがいいかしら。と独り言のように小声で(笑)
華那:ちょっと待って下さい。優希って……隊長の娘さんの名前じゃないですか! どうしてあなたがそれを! 行方不明中なんですよ!?
アン:あ、いけないアタシったら(笑)
華那:説明して下さい。だいたいあなたがここにいる事自体、理由もお聞きしたい所ですし。
アン:まぁいいわ。じゃあ一緒に来て、退魔部隊がぞろぞろいる中じゃ話せない内容だし。
華那:なぜです? 後ろめたいことでも?
アン:自衛隊退魔部隊の事件が起こった際の対処法は? 関係者の殲滅による事件の隠蔽でしょ。優希ちゃんをあなたは殺したいの?
華那:それは……。
GM:迷うようなら崎守優太郎で絆チェック。失敗してエゴ落ちなら敵討ちの為に今ここで全てを知りたくなる。成功して絆のままなら隊長の家族だし、心配だからアンの言うとおりに動く。
華那:ダイスに任せましょう。目標は20ですか(コロコロ)……成功。絆ですね。わかりました、一緒に行きます。他の隊員には調べたい事があると理由をつけて外れます。突っかかってくるようなら、崎守隊長から言われていた事だ。と言い張ります。
GM:わかりました。では不審そうにもしますが、強制で止めたりはしません。
アン:じゃあ事件現場から十分に離れた路駐の車に乗り込む。優希ちゃん、良い子にしてた?
GM:「ねぇさっちゃん、家は? お父さんとお母さんは? 優斗はいたの?」
アン:いきなり質問攻めね。優希ちゃん、その話は車を出してから話すわ。
華那:私も乗り込みます。
GM:じゃあ優希は華那の事を覚えているので――「華那さん!?」
華那:久しぶり。沙汰さんとはちょっとした知り合いなの、優希が困ってるって聞いてね。
GM:「ありがとう華那さん」――では車は出発し、どことも知れず走り出します。
アン:さて、どこから話したものかしらね。
華那:それは私が話します。……優希、落ち着いて最後まで聞いてね。
GM:「え? う、うん……」
華那:昨日の夜、あなたの家が火事になったの。
GM:「ええ? じゃあ……お父さんとお母さんは!?」
華那:病院に運ばれた……でも、そのすぐ後に……。
GM:「嘘! 嘘に決まってるよ! なんでそんな嘘付くの! 華那さんなんて大っ嫌い!! ねえさっちゃん嘘だよね? 家は燃えてなんかなかったよね?」
アン:優希ちゃん、その話は本当よ。たまたま外出していたあなたと、優斗くんだけは奇跡的に難を逃れたの。しかも、その火事はお父さんに恨みを持つ放火魔の仕業でね。今も逃走中って話よ。
GM:もう優希は泣いています。
アン:優希!!
GM:うわっ! びっくりした!? 急になんだよ!
アン:違う違う、優希に泣いてないでこっちの話を聞いてもらうために言ったんだ、お前を驚かせてどうする!(笑)
GM:そうか(笑) じゃあ優希は――ビクっとしてアンの方を見るよ。一瞬だけど涙も止まる。
アン:その放火魔はきっとあなたと優斗くんを捜しているわ。あなた達2人を殺そうとね。
GM:「え……じゃあ……」
アン:だからこれからは優斗くんを捜すわ。いいわね優希ちゃん。
GM:「う、うん……わかった」――優希は泣くのを我慢します。
アン:その顔を見て私は笑顔で頷きます。ここで優希ちゃんの絆チェックがしたい!
GM:いいでしょう。難易度は18で!
アン:よし低い!(コロコロ)……成功! エゴから絆の[家族]へ!
華那:大丈夫よ優希、私が付いてる。お父さんやお母さんの代わりにはなれないけど、絶対に守ってあげる――そして心の中で(隊長、隊長が大切にしていた2人は、私が守ります)――と崎守優太郎の絆を固定化させます。AGPは沙汰さんに。
アン:ええ、気持ちはアタシも同じだからね。せっかくだし、みーちゃんに絆を発生させようかな(コロコロ)……成功。絆で[救済]。救ってあげる。
華那:余計なお世話です。私は沙汰さんを信じたわけじゃありません。あなたは今も嫌いです。ただ、協力するってだけです。
アン:そうね。それでいいわ……って口元で笑いましょう(笑)
華那:うう〜〜。
アン:ところでGM、今から情報収集するってのはあり?
GM:別にかまいませんよ、成功したら「実は知っていた情報」として演出的に使ってもかまいませんし。
華那:何が調べられそうですか?
GM:「事件について」「崎守家について」あとは「狂芸師釣狐について」の3つですね。
華那:事件についてはさっき失敗しましたしね。釣狐について調べましょう。
GM:釣狐なら<噂話><ネットワーク><魔物>で難易度5、7、9の3つがあります。
アン:崎守家だとどう?
GM:やっぱり<噂話><ネットワーク><魔物>で、難易度は3、7、14です。
華那:釣狐で振ります(コロコロ)……11成功。全部わかった。
GM:噂ではある電話番号に電話を掛けて――『きつねやきつね、お前の家族を殺したのは私だよ。恨みがあるなら出ておいで。私の望みを叶えてくれたら、なんでも一つ願いを聞くよ』と語れば、人に化け切れていない狐の魔物が現れて、交換条件で願い事を聞いてくれるらしい。そんな都市伝説。
華那:よくありがちな願い事系の伝説ですね。
GM:それに全部解ったならこれもわかって良い。池袋にある、今は潰れたとある劇場で、狂った狐が人を惑わす劇を行うという噂があり、どうもその劇の内容が先ほどの電話の噂と同じようです。ちなみにその狐、客が舞台に上がる……などの予定外の事が嫌いだという事も知っています。
華那:まぁ私も池袋の伝承ですし、その辺りの情報は詳しいですしね。
一蓮:そして美しい女性でもある、という同じ釣狐でも正反対な噂話も聞く!
華那:そうなのですか?(笑)
一蓮:聞くんだよ! 俺は聞いた! そして見た!(笑)
GM:じゃあそれで(笑)
華那:わかりました。
アン:たぶんその女性釣狐の噂は最初の方の伝説なのよ、伝説の住人……とくに都市伝説系は人の噂でその存在意義が変わってくるから、最初は笛を吹く綺麗な女性って噂だったのが、どんどん怪談風に伝わって、今の釣狐の伝説になった……とか(笑)
一蓮:ああ、それ良いな。そうすると俺の回想ともつじつまがあう(笑)
GM:じゃあそれで!
華那:一応、知っている情報は沙汰さんにも教えておきます。
アン:わかった。じゃあ私は崎守家を調べるわ(コロコロ)……17で成功。
GM:崎守家の全ての情報をゲットか……。えー、どうも崎守家の優太郎とその妻は、結婚をする時に妻方の親族に大反対されて大変だったらしい。
アン:へぇ燃えるわね(笑)
GM:が、結婚生活が十数年も続いた最近では、その二人も喧嘩が絶えず離婚する事になっていたらしい。
アン:それは優希ちゃんから聞いたわね。結婚する時に大変だったのに、人間はこれだから……。
GM:ちなみにお父さんの優太郎は寄りを戻したい。このまま離婚しないでいたかったらしい。妻の方が「やっぱり無理だったのよ」と。
アン:まさか不倫が原因!?(と華那を見る)
華那:違いますよ! そんなことは優希と優斗がいるのにできません! 二人を不幸にさせちゃいます!
アン:そう、まだまだね。
華那:まだまだ!?
GM:で、最後が一番重要な情報……優太郎がうまく隠していたが、どうも優希たちの母親の方が魔物だったらしい。ちなみに悪魔系の鬼族だ。
アン:優希ちゃんのお母さんが?
GM:そうです。
アン:「私とあなたは魔物と人間……やっぱり無理だったのよ」って感じね(笑) そりゃ母親方の親族は反対するわ。私もみーちゃんに情報は伝えておいてシーンは終了かな?
雷蔵:あ、どうせならシーンをもうちょっとひっぱって欲しい。
GM:まぁ別にいいけど。
雷蔵:運転中だけど沙汰の携帯電話が鳴り出す。
アン:そういう事ね。じゃあ携帯から「ワンワンワン」と音が(一同爆笑)
雷蔵:オレ専用の着信音か!?
アン:画面にはカワイイ犬のイラストが出てる――ワンワンから電話みたいね。

◆合流

とある喫茶店で4人の半魔が集まっていた。携帯でアンに連絡した雷蔵が、話があると呼び出したのだ。
GM:では喫茶店です。アンと華那は雷蔵の呼び出しでここにやってきました。昼を過ぎた辺りなので、客はまばらです。
アン:アタシ達は優希ちゃんも連れてくるわね、車に置いていくわけにはいかないし。
雷蔵:では喫茶店に入るとでっかい男が座っている。
一蓮:4人用のボックス席でその男の横で待っていよう。俺は細身だしな。
アン:ワンワンからの電話で聞いてはいたけど、知り合いだったみたいね探偵さん♪
一蓮:事件を追うものとして警察のコネは必須でね。
雷蔵:やれやれ、あいかわらずな格好しているなアン。
アン:あなたこそ権力の犬のままでしょう、貴島雷蔵くん?
雷蔵:ふん、好きに言え。
アン:じゃあワンワン。
雷蔵:それは止めて下さい(笑)
華那:あ、私は優希を間に座らせながら雷蔵を睨みましょう。
雷蔵:ちっ……あんときのクソ自衛隊か。
華那:あの時のエプロン警官(一同爆笑)
雷蔵:なんでそういう! くっ……嫌なところで会ったもんだ。一蓮、これじゃあ話は無理だな。退魔部隊と話をしても情報を渡すだけで解決にはならん。
一蓮:しかし御厨はこの池袋では有名な半魔だ、味方につけていて損は無い。
※御厨華那は出自で『公子』を振った為、親が池袋で有名な魔物だった……という背景を持つ。
雷蔵:退魔部隊の作戦は関係者すべてを殲滅……だ。話が通じる相手じゃない。
アン:ワンワンだって死霊課じゃない、何をいがみ合ってるのよ?
雷蔵:一緒にするな。死霊課は地域のバランスを重視して動いている。つまり、魔物だろうと半魔だろうと話し合いでケリがつけばそれに越したことは無いと思っている。もちろん被害者に対するフォローもだ。
華那:生ぬるいやり方しかできない公務員じゃ、その程度が限界という事でしょう? そんなやり方ではいつまでたっても二次災害がなくなりません。
アン:まぁまぁみーちゃんもわんわんも落ち着いて。
華那&雷蔵:『ミーチャンと呼ぶな!』『ワンワンと呼ぶな!』 
アン:そんなハモらなくても……ってか実は仲良いの2人?(一同爆笑)
一蓮:雷蔵、ここには子供もいるんだ、ほどほどにしろよ。
雷蔵:む、それもそうだな。黙るか。
華那:私も優希がいるのを忘れていました。にらむだけにします。
雷蔵:ここで御厨に対しては罪で固定。優希に対しては芽生えチェックをしたい。
GM:難易度は基本の20で。
雷蔵:(コロコロ)……失敗。
GM:出目は7なのに?
雷蔵:「魔の心」というアーツを取得しているので、人間性の限界値が他の人より3低いんだ。
GM:ああ、あったなそんなアーツ。
一蓮:ちなみに俺は「人の心」を持っているので人間性の限界値は15で成功しやすいぞ。せっかくだし優希に絆を結ぼう(コロコロ)……む、失敗。エゴの[無縁]だ。
雷蔵:優希へはエゴの[虐げる]で取得。
華那:私もいい加減優希に取ります(コロコロ)……成功。絆で[憧憬]。

◆アンと一蓮の決意

優希を雷蔵と華那に任せて、一蓮と2人で店の外にでるアン。外は今にも降り出しそうな厚い雲が空を覆いだしていた。
アン:みんな優希ちゃん、優希ちゃんと集まってくるけど。事件を解決したいだけなのかしらね? あなたもそういう口?――外に出てすぐに聞くわよ。
一蓮:いや、俺は縁のあった奴は見過ごせない性質でね。優斗を救いたい、それだけだ。
アン:ふぅん。あんた、アタシの見込んだ通り良い男じゃない?
一蓮:あんたも、雷蔵に聞いていた話とは違うようだな。
アン:ワンワンに?
一蓮:ああ、思ってたほど悪い奴じゃないらしい。
GM:では一蓮はアンに絆チェックしてください。GMからの要求で難易度は18ね。
一蓮:(コロコロ)……成功。絆で[困窮]? やっぱアンを見ると金が欲しくなるらしい(笑)
アン:もう心外ね(笑) まぁいいわ、実はちょっとあなただけを呼び出したのは、退魔部隊のみーちゃんがちょっと問題でね。このままじゃ優希ちゃんが殺されちゃう可能性があるから。
一蓮:わかった、雷蔵に一役買ってもらうさ。死霊課に優希くんを保護してもらえるなら、退魔部隊もそうそう手が出せないはずだ。
アン:そうね、あのワンワンに動いてもらいましょう。優希ちゃんをどこかにおいておいて、その間に何かあったらたまらないもの。
一蓮:わかった。優希くんの事は雷蔵に頼んで、その間に俺たちは事件の原因を調べよう。
アン:ええ、ありがとう、わかってくれて。
一蓮:別に。
GM:と、お互い絆チェックをどうぞ。難易度は18です。
アン:和泉一蓮に(コロコロ)……成功、絆で[連帯感]! さらに信じられると確定したので絆をそのまま固定化する。AGPは一蓮に!
一蓮:ああ。俺も沙汰の絆を固定化しよう。あなたに1点進呈。
アン:ええ、ありがとう。これからも宜しく♪ 探偵さん♪
一蓮:こちらこそ宜しく。

◆ターゲット

喫茶店の店内に戻ってくるアンと一蓮。そこでは優希が居た堪れないような微妙な表情で待っていた。
華那:エプロン警官を睨みっぱなしです。
雷蔵:まだ言うかこの分からず屋が!
アン:はいはい、今後の方針が決まったわ。ワンワン、あなたに動いてもらうわよ。
雷蔵:オレに?
一蓮:死霊課のコネを使って優希くんを匿ってくれないか。
雷蔵:それは別に……問題は無いだろうが。
GM:「なんで? 優斗を捜しに行くんじゃないの!?」――と優希が。
アン:さっき言ったでしょう? 優斗くんだけじゃなくて、あなたも狙われているの。だから、ここはこのおじさんと警察で待ってて、そしたらすぐに優斗くんをつれて迎えに行くわ。
GM:「本当? さっちゃんの事信じてるよ?」
アン:ええ。約束。
GM:「華那さん……探偵さん……」
華那:大丈夫、心配しないで。ここで優希の絆を固定化。AGPは雷蔵へ。優希の事、お願いしますよ。
雷蔵:まさかお前に言われるとはな、優希に絆チェック(コロコロ)……成功、絆の[守護]だな。そのままこれを固定化する。優希……と言ったな、お前の事は俺が責任を持って守ってやる。安心しろ。
GM:「うん……ありがとう」
アン:ふ〜〜ん、ワンワンも言うじゃない。ちょっとワンワン、あなたの事を信じるわよ? 雷蔵に対する絆チェックをします。
GM:基本の20で。
アン:(コロコロ)……失敗。エゴのままだ(笑)――でも、やっぱりワンワンじゃなぁ……と心配なアタシ(笑)
華那:今は彼の事を信じましょう。そう沙汰さんに言ってから、雷蔵の絆チェックをします(コロコロ)……失敗しました! やっぱり沙汰さん同様心配です(笑)
雷蔵:オレもアンと絆を結ぶか(コロコロ)……失敗(笑)。エゴの[従属]になった。
アン:いつかはアタシとあなたの関係を逆転したいって?(笑)
雷蔵:心の奥にしまっておこう(笑) では行くぞ優希。
一蓮:そうだ。行くなら裏道を通って行ったほうが良い。表通りは退魔部隊が網を張ってる可能性がある。関係者である優希くんはなるべく見つからない方がいいだろう。
雷蔵:ああ、そうする。
GM:「さっちゃん……華那さん……探偵さん……」
華那:任せて下さい。
一蓮:約束は守るさ。
アン:気をつけてね優希ちゃん。男はみんな狼だから(笑)
雷蔵:それはしゃれにならねえ(笑)

◆襲撃

裏路地を通っていく貴島雷蔵。その時ふいに殺気が前後から放たれる。挟み撃ちにされた……そう気が付くには少しばかり遅かった。
GM:はい、路地裏を歩いている時に、雷蔵は<知覚>をどうぞ。殺気を感じます。難易度は12です。
雷蔵:(コロコロ)……14で成功。待て優希。と足を止めます。
一蓮:そこへの登場は?
GM:ここにキミらが登場するのは、あまりに不自然だろう? それでも登場したいなら難易度15だ。
華那:高いですよ!
雷蔵:SAを使えと言っているな。
GM:(にやり)
華那:SA?
※解説12 「SAの使い方」
  SAには [※解説5] で説明した理由だけじゃなく、実際のプレイでの有効的な使い道もある。それはシーンに対して登場する際に使用できる。という事である。持っているSAがシーンの登場に関係があるとGMが認めた場合、そのSAをチェックする事で登場判定をせずに、そのシーンへの登場が可能になるのだ。SAを使えば普段は入り込めないドミニオン(まぁ魔物の結界と思えばOK)やNPCの深層世界などにも入る事が可能である。
アン:まぁ面白いから見ていましょう。これで優希がさらわれたらどうなるか……わかってるわよねワンワン?(笑)
雷蔵:う、何か寒気がする(笑)
GM:ちなみに殺気は正面からも後ろからもする。ここは裏路地の一本道。
雷蔵:はさまれたか。
GM:後ろからは黒い服を着た魔物……まぁ格好から黒子なんだけど……が3体。正面からは同じ黒い服の魔物が2体と、そして狂芸師釣狐。
雷蔵:いやなタイミングで会ったな。優希、お前はオレの後ろに隠れていろ。
GM:「まさか生き残りがいるとは思いませんでした。主役は一人で十分です。優斗という主役だけでね。そこの娘のような予定外な配役は必要ありません」
華那:そういえば予定外を嫌うと……そういう噂でしたね。
GM:「さぁ予定外の配役を排除して下さい。黒子さん達!」――と黒子の袖から触手が生えたりして人外のモノになる。優希が――「ねぇおじさん、なに? なにあれ!?」
雷蔵:目をつぶって大人しくしていろ。
GM:「少女をかばったまま戦えますかな?」――こっちの行動値は5!
雷蔵:こっちは10だからオレからか。後ろの奴等に「恐怖の咆哮」で範囲攻撃だ!(コロコロ)……ファンブッター!?
一蓮:やる気あんのか!
アン:優希ちゃんに何かあったら承知しないわよ!
雷蔵:アオアォァオォ〜〜と調子っぱずれな咆哮だった(一同爆笑)
GM:「あなたは所詮舞台のカキワリですね」(笑)――では黒子さん達が近寄って攻撃します。≪不幸者≫≪虚無の手≫を使って攻撃、そっちのクリティカル値は+1ね。
雷蔵:防御判定でクリティカルがしなくなった。
GM:後ろから3体、前から2体。釣狐は動かないから5人から連続で攻撃されます。(コロコロ)……11命中。
雷蔵:(コロコロ)……回避失敗。
GM:じゃあダメージ属性は<斬>ね。基本ダメージの1Dに、≪虚無の手≫で+1D、武器修正が+5だから2D+5(コロコロ)……6ゾロだから17点(笑)
一蓮:雑魚の攻撃とは思えない。
華那:優希が連れ去られますよ?
アン:PL的にはその方が雷蔵のダメっぷりが発揮されて面白い(笑)
雷蔵:ダメっぷりとか言うな! これでも40のおじさん頑張ってるんだぞ!(笑)
GM:はい、さらに攻撃が(コロコロ)……10。
雷蔵:(コロコロ)……それは避けた。
GM:後ろから来た黒子3人目が(コロコロ)……10。
雷蔵:それも避けた。
GM:では前から来た1人目が(コロコロ)……11。
雷蔵:(コロコロ)……回避です。
GM:最後の1人が(コロコロ)……クリティカル(笑)
雷蔵:(コロコロ)……って、こっちはクリティカルしないんだから無理ですよ!(笑)
アン:クリティカルするとやっぱダメージとか上昇するの?
GM:命中でクエイティカルすると+1D6がダメージに追加される。つまり今回のダメージは3D+5だ(笑)(コロコロ)……19点<斬>
雷蔵:ぎゃーーーー!(←FPは27である)
GM:先に言っておくが、かりそめの死なら釣狐はキミにトドメを刺さないと宣言してあげましょう。釣狐的には、あなたは大切なカキワリの一人だからね、クライマックスまでは生きていてもらいます。
一蓮:優希は気絶とかしないの? おもいっきり魔物の戦いだけど?
GM:優希はばっちり見ています。最初に言っていたでしょう? 優希は多少なりとも幽霊やなんかが見えちゃう子だって。だから多少の事なら耐性があるんです。
一蓮:ああ、その為の設定だったのか!
GM:とはいえ、ここで終わるなら優希はこの世界の裏を知らずに終わるかな。雷蔵さえ倒れれば釣狐は優希を気絶させて連れ去るし。
雷蔵:魔獣化したらばれるって事か。究極の選択だ。
※解説13 「かりそめの死と魔獣化」
 ダメージによってキャラクターのFPが0になった場合、そのキャラクターは[かりそめの死]か[魔獣化]のどちらかを選ぶ。[かりそめの死]を選んだ場合、そのバッドステータスが外れるまで、どんな行動も取る事ができない。また、その状態の時にとどめをさされるとキャラクターは[真の死]を迎える。
[魔獣化]した場合、そのキャラクターはどこから見ても解る魔物と化し、またFPも【体力基本値】まで復帰する。[魔獣化]状態で再びFPが0となると、そのキャラクターは自動的に[真の死]を迎える。
雷蔵:ここで倒れるわけには行かない。オレは優希の絆を固定化したんだ。この子は命に代えても守る! 魔獣化を宣言! 巨大な狼の化け物に変異します!
GM:では釣狐が――「おや、まだ舞台は最終幕ではないといいますのに、ねぇ貴島雷蔵……いや、レオニス様?」
雷蔵:オレの行動だろ? 釣狐に答えるように「恐怖の咆哮」(コロコロ)……17!
GM:(コロコロ)……黒子は全員失敗した。
雷蔵:ダメージが(コロコロ)……11点だ!
GM:む、黒子が一瞬にして消滅……いや、ここはカッコイイから釣狐も消滅しよう(笑)
一蓮:そうなの?
GM:「く……そんな………」――ジュバァっ!!(笑)
雷蔵:オレのことをなめすぎだぜ?
アン:ああ、あのワンワンがカッコイイ!?
華那:エプロンでエロだったのにカッコイイ!(笑)
雷蔵:オレは最初からこーゆー渋いキャラをやろうとだね……優希、大丈夫だったか?
GM:優希はビビッてます。
雷蔵:すまぬ、驚かせてしまったな。
GM:「おじさんなの? じゃあおじさんはさっちゃんが言うように、本当に狼だったんだ」
アン:ごまかし系のアーツは?
雷蔵:無い。
アン:あんたねぇ。もっと後先考えて魔獣化しなさいよ(笑)
雷蔵:面目ない(笑) ところでGM、優希は幽霊とか信じているんだよな?
GM:そうだよ。
雷蔵:なら上手く誤魔化せば、ノウンマン(真実を知る者)として魔物の事を理解してくれるはずだ――優希、確かに外見はキミから見たら恐ろしいかもしれない。しかし信じて欲しい。オレはキミの味方だ。――巨狼のまま優しい瞳で見つめます。
GM:「どういう……こと?」――少し落ち着きます。
雷蔵:この世界にはオレたちような魔物が多数存在している。もちろん幽霊やなんかも存在するんだ。
GM:「じゃあわたし達は知らないだけで、おじさん達"魔物"はいっぱいいるの?」
雷蔵:ああ、キミ達の知らない世界……そこには良い魔物も悪い魔物もいる。
GM:では一応、最後に交渉判定をどうぞ。難易度は7でいいよ。失敗したら結局混乱。ファンブルなら感情が溢れ出して優希は発狂。
雷蔵:ここで失敗はきついぞ(コロコロ)……8で成功! こちらの世界にキミを引き込んでしまったのは申し訳ないと思っている。だが、信じて欲しい。オレのようなものがいるということを。
GM:今、雷蔵は巨狼なんだよね。優希は両手でキミの頭を抱きしめて――「うん、おじさん。わたし信じるよ。おじさんは悪い人じゃないもの」
雷蔵:悪い"人"じゃない…か。ありがとう
GM:『パチパチパチパチ……』と拍手が響き、釣狐の声だけが聞こえてくる――「すばらしい! 舞台の盛り上げ方をわかっておいでです。では、わたくしはこれよりクライマックスに向けての準備に入らせて頂きましょうか? さぁ、最後が見たいのならばわたくしを追って来て下さい。優斗君を助けたいのでしょう? ……ふっふっふっふっふっふっ……」

◆魔物の正体

GM:では場面は変わって3人組の方です。キミたちは今、アンの車に乗って……どこに向かっているんだ?
アン:そうね、じゃあ探偵さんが合流した所でもう一度現場に戻ってみるわ。運転はアタシがしてるから。助手席にはみーちゃんで、後ろに探偵さん。
GM:じゃあそうして運転していると――
アン:あ、その前に一つだけやっておきたい事があるの。いい?
GM:どうぞ。
アン:運転しながらみーちゃんに聞くわよ……この事件が落ち着いたとして、そうすると関係者である優希ちゃんと優斗くんは抹殺されるの?
華那:え、それは……自衛隊退魔部隊は事件が起こった際に、関係者を全員抹殺してでもすべてを隠蔽するのが本来のやり方ですし……。
アン:退魔部隊のやり方を聞いているんじゃないわ。"あなたはどうするのか"を聞いているのよみーちゃん。
華那:私は……。
一蓮:先に言っておくが、もし優斗くんを殺すような決断をするようなら、俺は退魔部隊とだって戦うぞ。優斗くんとの約束を反故にするわけにはいかないからな。
華那:そんなの!……私だって殺したくはありません! 優斗と優希は……私にとっての大切な……絆ですから。
アン:退魔部隊に逆らう事になっても? あなたは昔、アタシに言ったわよね……『退魔部隊に力の大半を奪われている。必ず取り返さなければならない。それまで死ねない』って。
華那:え? 言ったんですか?
アン:言ったのよ!(笑)
華那:わかりました。嫌いながらも相談事とかしてました(笑)――それでも、あの子たちを私は殺したくない。せめてあの子たちだけでも生きていて欲しい。きっと隊長も、そう思っているはずだから。
アン:そう……それを聞いて安心したわ。
華那:沙汰さん?
アン:ちょっと探偵さん、さっきのワンワンにもう一度連絡を取ってくれない? 私運転中だし手が離せないの。例えみーちゃんがそう言ってくれても、自衛隊退魔部隊はその基本方式で動くと思うから死霊課の方から牽制してもらうように言って欲しいの。
一蓮:ああ、そうだな……と、ここでちょっと(PLが)思い出した。電話を押す手が止まって続けよう――そうだ、言い忘れていたが。事件現場に一つ無抵抗に殺された魔物の死体があったらしいな。御厨、何か知っているか?
華那:いえ、それは私も知りません。でも、もしそれが本当ならその人はきっと……。
一蓮:思い当たるふしがあるのか?
アン:それはアタシが唐突に語りだそうかな――崎守さん一家はかーなり円満だったようよ?
一蓮:いきなりなんだ?
アン:どうやらね。崎守家の母親……魔物だったみたいなの。
一蓮:母親が!? じゃあ――いや、うすうすはそう考えていたが。
アン:ええ、真犯人は彼しかいない。
一蓮:それなら無抵抗だったというのも納得できる……か。
華那:………………。
アン:優希ちゃんに会った時に不思議と同じ匂いを感じたのもきっと……。
華那:……でも、いきなりどうして優斗は。
アン:あなたも現場でみたでしょう?
華那:狂芸師釣狐?
アン:あいつがキッカケを与えて優斗くんが破滅するさまを見て楽しんでいる。
華那:確かに……ありえますね。
一蓮:なに? 釣狐? あの美しい人が?
アン:美しい人? 何を言っているの?
一蓮:池袋の潰れた劇場で時々笛を吹きに来るという伝説の女性だ。
アン:女性?
華那:和泉さん、その都市伝説はすでに変わってしまっています。その伝説は釣狐が生まれた最初の方だけ、今は人を狂わす魔物です。
一蓮:そんな馬鹿な!? あの人がそんな事をするわけがない!!(笑)
華那:和泉さんとあの魔物の間で何があったかは知りません……ですが事実です。
一蓮:………………悪い冗談だな。
華那:こんな時に冗談は言いません。それに、私と沙汰さんは事件現場で釣狐から舞台の幕開けを――前説を聞きました。
一蓮:そうか……だが、すぐに信じるわけにはいかない。俺がこの目で見てみるまではな。
アン:ずいぶんと"彼"について突っかかるじゃない?
一蓮:彼じゃない"彼女"だ。確かに雷蔵も言っていたが、あの美しい人が……人間の客が来なくなって寂しそうな表情を見せていた彼女が、そんな事をするとは俺には思えない。
アン:そう……勝手にすればいいわ。
一蓮:ああ、勝手にさせてもらうさ。
アン:………………。
一蓮:………………。
華那:………………居ずらい。と心の中で(一同爆笑)
GM:シーンの雰囲気ふっとばすねぇキミ(笑)
華那:だって居ずらいですよ! しかも一緒の車に乗ってるんですよ! 何痴話げんかみたいに険悪なムードになってるんですか!!!(笑)
アン:ちょっと! なんで痴話ゲンカなのよ!
華那:違うんですか?
一蓮:俺は雷蔵に電話を掛けよう。
アン:逃げたわね。
一蓮:何の事かな? トゥルルルルル……。
雷蔵:電話に出ていいのか? それともシーンが切れるのか?
GM:電話に出るのは問題が無い。ただ、今のキミの現状だけは教えてくれ。さっきのシーンの最後で釣狐を追って行ったかい? それとも無視して死霊課に向かった?
雷蔵:そういう事か……優斗の事もあるしな……よし決めた。じゃあ電話に出よう。すると『ハァ…ハァ…』と息使いが聞こえて――『今取り込み中だ!』
一蓮:何?
アン:探偵さんから携帯を取り上げて――ちょっと! あんた優希に何してんの!!(一同爆笑)
華那:それは想像がブっ飛びすぎです(笑)
雷蔵:『勘違いするな! 今釣狐を追跡中なんだ!』(笑) ってかどう勘違いした貴様!
アン:うそおっしゃい!(笑)
雷蔵:『信じろ!!!』
アン:悪いけど、ワンワンへの絆はエゴだから信じるわけにはいかないわね!(一同爆笑)
雷蔵:おい! なんだその理由は!?(笑)
GM:では雷蔵は釣狐を追っているって選択でいいのかな? 優希はどうしてる?
雷蔵:俺の背中におんぶしている。じゃないと追っかけられないからな。
GM:じゃあ雷蔵の携帯を優希がひょいと取って電話に出ます――『さっちゃん本当だよ! 今、釣狐って言う魔物を追っかけているの!』
アン:魔物?
一蓮:ん? GM、優希から見たら沙汰さんは人間じゃないのか? それなら魔物とか言わないんじゃないか?
GM:あ、そういえばそうだな……『あ、さっちゃん、今の無し』(笑)
アン:口を滑らせた事は変わらないのね(笑) じゃあワンワンに代わって頂戴と低い声で優希ちゃんに。
雷蔵:『なんだ? 今追跡中だから跡にしろと――』
アン:このバカ犬がーー!!! あんた! 魔物の話を優希にしたわね!!!
一蓮:大あほが。
雷蔵:『それは……釣狐に襲撃されてやむをえずだな』
アン:だったらさっさと逃げればよかったじゃないのよ! 優希ちゃんを巻き込んで……あとで覚えておきなさいよ!
雷蔵:『覚悟はしておこう』
GM:これはエゴに落ちてもかまわない状態だな。雷蔵以外は雷蔵に対して絆判定を――って意味無いな。
アン:すでにエゴです。しかも[軽蔑]
華那:同じくエゴの[軽蔑]
一蓮:二人とも軽蔑なのか(笑) 女性に嫌われているぞ雷蔵?(笑)
GM:そういう一蓮は?
一蓮:あ、俺は雷蔵からは持たれているが、俺からはもともと持ってない。
GM:じゃあダイスを振る必要も無いか。
雷蔵:なに? もしかしてオレって信用ないのか?(一同爆笑)

◆こちらの世界(マスターシーン)

                       曇り空の下。池袋の路地裏を一人の小学生ぐらいの少年が歩いていた。
  その足取りはおぼつかなく、ふらふらと糸の切れた人形のような足取りで……。
  そんな少年だったからか、向こうから歩いてきたチーマー風の3人組の1人にぶつかってしまう。

  「イテっ!? おい、がき! 今オレの足を踏んだだろう?」

  そんな大人の声に、少年はまるで聞こえていないようにそのまま歩き出す。

  「おい、人の話はちゃんと聞けって教わってないのかよ?」

  大人の男が少年を振り向かそうと肩に手をかけ、強引にこっちに向かせた。

  「ほれ、ちゃんと謝れたら許してやるよ」

  大人気ない行為に、残りの2人は苦笑を浮かべつつも、別段止める気もないようだった。
  そして少年の口から――

  「おまえら……うるさい……」

  たった一言。
  その瞬間、少年の肌が黒く硬質化し、手からは凶暴な爪が生え、口元からは牙が除いた。

  「ひっ!?」「なんだ!」「お、おい!!」

  それが、3人組が生きていて吐いた最後の言葉だった。
  路地裏は真っ赤に染まり、辺りには細切れの肉塊だけが散乱した。
  少年は辺りの光景を冷静に見渡すと、その瞳で自らの手を、返り血に染まった爪を見る。

  「この力はなに?
         ぼくはどうなっちゃったの……お父さん……お母さん……ねぇ教えてよ……優希お姉ちゃん……」

◆境界線

釣狐を追って走る雷蔵と優希。路地から路地をつたいギリギリの線で逃げていく釣狐。やがて雷蔵の嗅覚に再び嗅ぎ慣れた匂いが鼻につきだす。
GM:では雷蔵のシーンです。ここの登場難易度は7ね。キミが釣狐を追っていくと、最後の角を曲がったところで釣狐の姿が消えており、かわりに散らばった人間の死体の中、魔獣化している優斗が返り血を浴びたまま突っ立っている。
雷蔵:な!?
GM:その光景に優希が「優斗!」――と叫び、その声に優斗も「おねえ……ちゃん!?」――と驚くが、すぐに今にも泣き出しそうな無理に作った笑い顔で……「ぼく……変になっちゃった」
雷蔵:まさか釣狐、このシーンを優希に見せるために!? 誘われたのか!
GM:「ごめんねお姉ちゃん」――と優斗は言うと背中からボコリと黒い翼が生え、そのままバッサバッサと翼をはためかせて飛んで逃げていきます。
アン:(コロコロ)……そこに登場! 優斗の前に空から現れるアタシ! 背中には天使の翼よ! 優斗くんの進路妨害するわ!
GM:ぬ、それは困る。ふさいだアンを不意打ちで釣狐が攻撃します。そのままアンは路地裏、雷蔵の横に叩きつけられる!――「主役以外は舞台に上がらないで下さい。あなた方の出番はもう少しあとなのですから」
アン:く……釣狐ね。と起き上がりながら。
GM:優斗は釣狐を見ると――「あなたは!?」と驚く、そんな優斗に釣狐が――「もうすぐ願いが叶います、舞台で待っていてください」「うん……わかった」と頷いて優斗は飛んでいきます。
一蓮:(コロコロ)……登場成功! 優斗君!
GM:「探偵の……いずみさん……ごめん。あのときは助けてくれてありがとうございます。紅茶……おいしかったです」
一蓮:「何を言っているんだ! 戻ってこいこっちに!」
GM:「ごめん……ぼくは……もう…………」――今度こそ飛んでいきます。優斗は退場です。
華那:(コロコロ)……私も登場します。今の一蓮との会話とかを見つつ――釣狐、あなた優斗に何を吹き込んだの!
GM:「吹き込んでなどいませんよ。わたくしはただ、願いを聞いただけです。それに吹き込んだというなら……、ねぇ?」と優希を見ます。
雷蔵:優希の方を?
GM:そうすると優希は震えだします――「わたしが、わたしがあの噂話を優希にしたから?」――噂話って言っても御厨の知ってる釣狐の噂と同じ程度です。
アン:優希……ちゃん。
GM:では「舞台でお待ちしております」と釣狐も消えます。
一蓮:待て! あなたはそんな事をする人じゃないだろう! 叫ぶぞ!
GM:
一蓮:釣狐さん……あなたはあの時、お客の来なくなった劇場を寂しく思って悲しんでいたじゃないか! あなたは悲しみがわかる人のはずだ! どうしてこんな事をする!!!
GM:「お前は……???」
一蓮:忘れたのか! 雪の降るあの日の事を!!
GM:「あ、あ、あ……!?」とか(一同爆笑)
雷蔵:いいのかそれでGM!?(笑)
GM:が、これが限界です。釣狐は苦しそうにそのまま退場します。
一蓮:くっ……目的が2つになったか……。
………………………………………………………………………………………………

 目の前での優斗の変異を見て、 さすがに不安と恐怖、 混乱と動揺、 優希の心は心細く打ち震えていた。
アン:優希、大丈夫……落ち着いて。
GM:(優希)「わたしのせいなの……」
一蓮:優希くん、キミは優斗くんに何を言ったんだい?
GM:(優希)「……劇場の話……狂った狐の噂話。なんでも願いを叶えてくれるって言う……」
華那:釣狐の都市伝説ですね。
GM:「ねぇ、なんで優斗はあんなになっちゃったの? 優斗は……優斗は人間なのに……」
雷蔵:釣狐にやられたんだろう。きっとな。
アン:(それは違う! 優斗クンの力は優希ちゃんの中にもある力…)と心の中で言う!(笑)
GM:「おじさん! なんで!? 人は人でしょ! 魔物は魔物じゃなかったの!? みんな別々の世界で生きていればよかったのに!!」――もちろん雷蔵にだ。
雷蔵:それは……。
一蓮:絆チェックで優希(コロコロ)……成功![救済]で取得。雷蔵に代わって俺が優希君に――境界線がなくなったんだ……この世界は……。
アン:探偵さん?
GM:優希もそっちを見るぞ。
一蓮:境界線が無くなった。だからこそ、ちょっとしたきっかけで全てが変わってしまう。もう、昔のようにそれぞれがお互い関わらずに生きてはいけなくなったんだ。
GM:「でも優斗は! 優斗は……」
アン:抱きしめましょう。なんか魔物の事がバカ犬のせいでバレちゃったので、そのまま腕と天使の翼で二重に抱擁するように。
GM:じゃあ優希は今やっとアンに翼が生えている事に気が付いて――「さっちゃん?」
アン:大丈夫、どんなことがあってもアタシ達が優斗君は連れ戻してみせる。こちら側も向こう側も無い。優斗君があなたの弟だから助ける。大切な友達の弟だから……ね。
GM:「さっちゃん……」
アン:「信じて待ってて」――それと共に、優希ちゃんと優斗君の絆を愛で固定化!
GM:「………………」
雷蔵:行くぞ一蓮。最後の舞台に上がろうじゃないか。と、ここでオレが釣狐を追いながら呼んでおいた死霊課の同僚がやってくるんだ。優希を保護してもらうためにな。
一蓮:手際がいいな(笑)
雷蔵:あとはあいつ等に任せよう。オレたちはオレたちにしかできないことがある。
一蓮:ああ。
雷蔵:オレは闘争のエゴを絆チェックするぞ。(コロコロ)……10で成功。
華那:え、なんで? さっき戦って人間性減っているから失敗じゃないですか?
雷蔵:絆チェックは人間性の現在値じゃなくて、最大値を基本にやるから成功なんだ(華那:そうなんですか)。俺は自分のために戦うのではなく、優希と優斗のために釣狐と戦おう。そのまま絆で固定化する。
GM:了解です。では死霊課の人たちがやってきて、雷蔵と話したりして優希の事を承諾します。
華那:あ、その時私はちょっと皆さんと離れて今まで通信機で何かを話していたのですが、通信を切り――どうやら、退魔部隊の方も釣狐の都市伝説に行き着いたようです。彼がいる劇場が見つかるのも時間の問題です。
GM:そうなんだ(笑)
華那:そうなんです。急ぎましょう皆さん。
一蓮:劇場の場所は俺が知っている。……沙汰?
アン:死霊課の人達に優希ちゃんを預けながら最後に優希ちゃんに向かって言います――優希ちゃん……。
GM:「………………」
アン:魔物を……アタシ達を嫌いにならないでね?
GM:「………………」それに答えず優希は死霊課の人達と一緒に行ってしまいます。
アン:唇をぐっと噛みながら見送りましょう。
GM:では最後のSAを渡します! 「優希と救う」「優斗を救う」「釣狐を倒す」の3つです! 好きなモノを1つだけチョイスしちゃっていいです。
一蓮:初志貫徹!「優斗を救う」
雷蔵:優希を救うためにも「優斗を救う」
華那:私は「優希を救う」です。
アン:モチベーションはバリバリだしなぁ、やっぱ「優斗を救う」ね。

■クライマックス・フェイズ■

◆都会の劇場

その劇場に近づくにつれ、辺りには誰も人がいなくなっていく。ただ1つの音を除いて……それは笛の音。釣狐の笛の音だった。
GM:誰もいなく。劇場の周りでは笛の音だけが響いています。一般人では入って来れない都市伝説に歌われる劇場。キミ達がそこに着くと、大勢の黒子がお出迎えだ。登場判定10に成功したら劇場の中へ入っていいよ。
アン:大勢の黒子? 登場判定?
一蓮:蹴散らせという事か?
雷蔵:(←GMの意図がわかった)――オレは招待された身でな。通らせてもらおう。すると黒子達がオレに対して道を明けるのだ。SA「釣狐を倒す」をチェック!
一蓮:なるほど、登場判定に成功すればって話か。俺は優斗を助ける。それが約束であり我が信条だ。邪魔をするな! と黒子達を一直線に切り裂いて劇場に入っていきます。SA「優斗を助ける」をチェックで!
アン:ああ、さっきのSAを使って登場できるって効果ね。
GM:今回のは釣狐の待つステージへの登場という意味です。
華那:烈風が吹きすさび黒子達を散らします。つかつかを劇場に進んでSA「優希を救う」チェック――釣狐を倒し、優斗くんを救う。亡き隊長の為にも私は行く。
アン:優斗くんは必ず救う。だから優希……SA「優希を助ける」をチェックよ!
………………………………………………………………………………………………

 その舞台の上では、翼と爪の生えた優斗が主演で劇が行われていた。舞台の上にはライトが当たり、幸せな家族の風景があった。
  優斗の他に、母親・父親の優太郎・姉の優希がいた。ただしその3人はできの悪い人形だ。首が半分もげてたり、綿が飛び出していたり……。でも優斗はバックに流れる音楽に聞きほれるように、幸せそうに偽りの家族劇に没頭していた。
アン:粗悪で駄作な人形劇もここまでよ――と、どこかにいる釣狐に向かって言うわ。
GM:舞台袖から釣狐が現れます――「それは困りますね。舞台はまだ続演中です」
一蓮:では途中参加させてもらおうか。
雷蔵:お前という悪役を倒す配役でな。身構えよう。
アン:舞台では何が起こるかわからない。だから面白いんじゃなくて? 天使の翼を広げましょう。
GM:「演出家の思い通りにならない劇など屑ですよ」
アン:じゃあ悲しいけどこの舞台は屑って事になるかしらねぇ?
華那:違いますよ沙汰さん。舞台が屑なんじゃありません。演出家が屑なんです。
GM:「………………言ってくれますね」――と釣狐が悔しげな声を漏らすと同時、舞台の上で優希の人形だけがボロリと崩れ去る。そして悲しい顔をする優斗。釣狐が――「やはりただの人形じゃあ、こんなものですね。本物の配役を連れてきませんと」
アン:本物……まさか!?
GM:まさか???
華那:!? あの人形……よく見たら……た、隊長……!?
GM:そうなんだ(笑) ――「ええ、ご本人達でございますとも。実家からわざわざこの舞台の為にお越し願いました」
雷蔵:ちっ! 趣味の悪い事を!
GM:と、ここで優斗の独白が聞こえて来ます。どこか抜けるような、それでいて感情の篭った声で――「みんなで一緒に暮らしたいんだ。みんなで一緒に楽しく、お父さんもお母さんもケンカしないで、ずっとお父さんとお母さんと一緒に……ぼくはそう思っただけなのに! ずっと一緒に暮らしたいだけなのに!!!」
アン:家族で一緒に暮らしたい?――と、舞台のすそにフワリと降り立ちます。まるで予期された役柄を演じるかのように(笑)
GM:なんか釣狐が止めづらいな(笑)
アン:優斗に向かって言います――「家族とずっと一緒に暮らしたい?」
GM:「ずっと……一緒に……暮らしたい」
アン:「アタシの所に来ればその望み、叶えてあげる」
GM:「本当に?」
アン:「ええ………さぁ」――と両手を広げましょう。抱きついて来て下さい(笑)
GM:じゃあヨロヨロと優斗はアンのほうへ行きます。
アン:それを抱きしめます――世界は変わり境界線はなくなった。その事実は消えはしないし、終わったことは二度と元には戻らない。けれど……。
GM:「何をするおつもりですか?」――釣狐は……止めないかな。
アン:つらいだけでは人は生きていけない。優斗君、あなたにはまだ絆が残ってる。信じてあげて……あなたのたった"一人"の家族を――ここでハイパーアーツ『歪曲する真実』を使用!!!
※解説14 「HA(ハイパーアーツ)」
 ハイパーアーツ(以下HA)は、魔物の力を100%以上引き出して行う、非常に強力な能力である。基本的にPCは1人3個のHAを持ち、それを使用する為には、それぞれごとに決まったAGPを消費する必要がある。
アン:『歪曲する真実』で真実を変える! ちょっと悲しい結末だけど……優斗の家族団欒は4人でしょ?
GM:うん。
アン:その事実を「優斗と優希だけ」が家族だったことにする。つまり、優斗にとっての団欒は姉との2人きり!
華那:あ、確かにそれはちょっと悲しいかも……。
一蓮:だが、良い手ではある。
雷蔵:オレはそれでいいと思うぞ。
アン:GMは?
GM:……OK! 優斗も釣狐も打ち消し系HAを持ってないしな。こっちの用意した「優斗を正気に戻す」ルールと違うけどカッコイイからよしとしよう(笑)
アン:よし!!(笑)
一蓮:ちなみに聞いて良い? その正気に戻すルールって?
GM:ああ、ルールブックの付属シナリオに載ってたルールをちょっと変えたんだが、愛を固定化する事で発生したAGPを、優斗に渡すたびに優斗自身が意思判定。1点で難易度10、2点で9、3点で8と下がっていくルールだった。
一蓮:成功すれば元に戻るのか。
華那:愛の力ですね。
雷蔵:まぁいいんじゃないのか。沙汰は天使だしな。
アン:お姉さんは外でキミを待っている。行きなさい優斗くん、こんな所にいては駄目。
GM:すると優斗の背中から翼が消え、手から生えていた爪も元通りになる。優斗はアンを一度だけ見上げると、ニコリと笑ってこの劇場から消えていきます。釣狐の作っているこの世界からはじかれたと思って下さい。
アン:優斗は現実世界の劇場跡で気絶中……とかそんな感じ?
GM:まぁそんな所ですね。
一蓮:もう憂いは無い。
雷蔵:ああ、思う存分だ。釣狐に向き直るぞ。

◆幕間終わって

釣狐の劇場からスゥっと姿を消す優斗、それと共に今まで鳴り響いていた音楽がやみ、劇場が静寂に包まれる。
アン:さぁフィナーレよ釣狐。
一蓮:メインキャストはキミに変更だ。
GM:「なにを勘違いなされておりますか? 次のメインはすでに決定しますからね……もちろん、弟がこちら側へ来てしまった悲しい少女がメインです」
アン:優希ちゃんにまで手を出す気? 悪いけどあんたはここで消滅してもらうわ。
GM:では戦闘に入りましょう。まずはセットアップフェイズで釣狐は≪コスチューム≫を使用! 動きづらそうな伝統着に変わります。
華那:なら私もセットアップで≪コスチューム≫チェンジ!――家族をバラバラにして! 絆を踏みにじり! 私はあなたを許さない!――"烈風の公女"の異名通り姫様が着るような服に変わります!
GM:イニシアです! こっちは9!
雷蔵:ではオレからだな――釣狐、一ヶ月前の決着をつけようか――マイナーで釣狐の所まで移動! メジャーアクションで「獣化」で巨大な狼に変身する! オレはそれで終了。
GM:次は一蓮。
一蓮:キミは今、本当のキミじゃない……と釣狐に。
アン:まだ言ってるの!?(笑)
一蓮:ああ言うさ(笑) きっとその仮面が本当のキミを覆い隠しているんだ。俺は知っている。本当のキミはそんなことを望んではいないと。
GM:「何を言っているのです?」
一蓮:キミを解放する。その為に戦おう。マイナーで移動、そのまま瞬時に手の中に二振りの刀が現れ、その刀で仮面を狙って斬る!
GM:来なさい!
一蓮:≪大小拵え≫で(コロコロ)……11とクティカル! もちろんクリティカルを選んで(コロコロ)……ダメージは20点!
GM:(コロコロ)……避けられない。仮面にヒビが入る! ついでに一蓮は釣狐のエゴを絆チェックしていいぞ(笑) 難易度は20ね。
一蓮:(コロコロ)……あ、成功して絆になった(笑) むろん[純愛]で取得しよう!
雷蔵:もう妄想だよ(笑)
華那:私もマイナーで近寄って≪精霊剣≫発動! 扇が瞬時に出現します。そのままメジャーで切り裂く!(コロコロ)……16命中!
GM:<運動>で回避(コロコロ)……あたった。
華那:ダメージは(コロコロ)……7点<斬り>。
GM:「何かやりましたかな?」――2人の攻撃をくらってなお余裕です。
アン:あれだけの攻撃でまだ……。
GM:次は釣狐ですね――「まずはあなたです」(指差す)
アン:アタシね。
GM:(コロコロ)……22命中。<交渉>で回避行動を取って下さい。釣狐が手にした笛から不協和音の塊が飛びます。使っている攻撃方法は≪不和の芽≫です。
アン:<交渉>なら望む所よ! ≪誘惑者≫使って(コロコロ)……20か。回避できなかったわ。
GM:ダメージは<闇>の18点。
アン:闇なら大丈夫! 光なら即死だった(笑)
雷蔵:お前天使なのに光属性が弱点なのかよ!(笑)
アン:<光>は神が使われる力です、だから天使のアタシはどうしても逆らえないのです(笑)
GM:「彼がいれば光属性の攻撃だったのですが……」
アン:あの子ももう私のモノよ(笑)
GM:「ほう、じゃあまたわたくしが誘惑するしかありませんね」
アン:わかってないわね。人間を誘惑していいのは神の僕たるアタシだけの特権。そして全てのモノは神の作りもの、あなたもこの舞台も……でもね、この舞台にあなたの席は無いのよ。なぜなら! 信じることのできないあなたという存在を、神はお許しにはならないから! ≪不和の芽≫と≪誘惑者≫で(コロコロ)……18命中! <交渉>で回避してみなさい!
GM:交渉で(コロコロ)……失敗。
アン:ダメージは(コロコロ)……17発の<闇>!
GM:くっ……ラウンドの頭に戻るしセットアップで≪クリフハンガー≫使用!――「席が無いなら作るまでです!」――さらにHA≪うつろわぬ伝説≫を使用!
雷蔵:いいや、やらせんさ――と雷のごとき素早さで攻撃! マイナー≪斬り裂くもの≫で爪を出して(コロコロ)――
アン:神は我等にあり! HA≪勝利への賛歌≫を使ってその判定をクリティカルに!
GM:ぐはぁ(コロコロ)……命中だ。
雷蔵:ダメージは(コロコロ)……25点<斬り>!
GM:落ちた。舞台に吹っ飛ぶ釣狐! 流れていた演奏が一度止まる。

◆表と裏の都市伝説

雷蔵:やったか。
華那:いえ、これぐらいでは伝説は終わりません。
GM:その通り。舞台に音楽が再び流れ出す! さっきより激しく、またおどろおどろしく重厚な音楽が!……
HA≪超魔の命≫発動! AGPは8点消費!
華那:どうなるんです?
雷蔵:簡単に言ってFPを復活させて生き返るHAだ。AGPを8点消費なら……160点分もFPがブーストされる!?
一同:『なっ!?』
GM:そのまま魔獣化を宣言! 「本気でお相手致しましょう……終焉舞『二重魂』」――さっき使ったHA≪移ろわぬ現実≫の効果が発動します! 舞を踊りながら釣狐が分身します!
アン:増えた!?
GM:本当は雷蔵の攻撃の前に分身していたんだけど、雷蔵の一撃で一度殺されるのがわかっていたので、演出してみました(笑)
アン:それはアリです(笑)
一蓮:ああ、アリだ(笑)
GM:さて、一人は黒を基調とした服を着て、怒りの仮面をつけた男性的な釣狐。もう一人は白い装束の泣きの仮面をつけた女性的な釣狐です!
一蓮:俺の言った通りじゃん!(一同爆笑)
華那:噂が2つあるのはこう言う事だったのですね(笑)
GM:ちなみにFPは2人で共有なので、範囲攻撃を食らうと簡単に落ちます(笑)
一蓮:絆の肉欲[節制]を固定化! 愛をアンに渡す!――沙汰、俺は思うんだ。神が釣狐を見捨てようと……誰か一人でも信じてくれる奴がいる限り、きっとそいつは救われると!
アン:あんたまだそんな戯言を!
一蓮:それでも俺は信じる! 釣狐、俺はあんたの真実の姿を知っているんだ! ≪分裂≫を使って範囲攻撃(コロコロ)……ファンブル(一同爆笑)
アン:動揺し過ぎよ!(笑) 一蓮、本当にあなたは信じられるの!? 彼女が優希ちゃんに…優斗くんに何をやったかを知っている今も! 絆の[献身]的な愛を固定化! AGPを一蓮へ!
一蓮:正直、さっきまでは迷っていた……だけど、釣狐…キミを目の前にして俺は気が付いたんだ。なぜだろうな……キミを俺は救いたい! 貰ったAGPをダイスの振り直しで使用!(コロコロ)……12で命中!
一同:『おお〜〜!!』
GM:悪いがHAを使わせてもらおう≪死に至る病≫でその判定をファンブルにする!――黒い釣狐が目の前に現れ、その攻撃を打ち払う!――「黒いわたくしと白い彼女。我等の意思も行動も、常に一心同体なのですよ? あなたは愚鈍すぎる」
一蓮:くっ……。
雷蔵:一蓮!
一蓮:心配するな! それに釣狐……俺は言ったはずだ。信じていると!! 絆の肉欲[節制]で固定化されていた絆を消滅させる! 斬る事によって自分がこの世界に繋がっていると実感していた過去と決別! 今、俺は目の前の釣狐を救いたい! 消滅によりAGPを2点取得だ!!!
※解説15 「AGPでの振りなおしと絆の消滅」
 AGPの使い方はHAを使用するための材料だけではなく。1点につき1度だけ判定を振り直す事が可能である。また一度固定化した絆を消滅させる事で、そのPCはAGPを2点得る事ができる。ただし消滅可能なのはあくまで絆であり、エゴを消滅させる事はできない。
GM:が、命中はしないと(笑)
一蓮:決意表明だけです!(笑)
華那:なら私が行きます。一蓮には悪いけど、こいつは隊長の仇です。私は絶対に許さない! 釣狐のエゴを固定化! 罪を貰って攻撃! マイナーで≪同化≫、メジャーで≪精霊剣≫! さらにHA≪許されし芽≫を使用! ありったけのAGP4点を注ぎ込みます! (コロコロ)……18命中!
GM:こっちはHA≪スーパーアクション≫を使用! 回避をクリティカルにする! 一気にバックステップして回避を――
一蓮:させるか! すんでで黒い釣狐を俺は捕まえる! HA≪ヴォイド≫をさっきの2点を使って使用! ≪スーパーアクション≫を打ち消す!
GM:「くっ! 邪魔をするな!!!」
華那:私の扇から(コロコロ)……44点の雷ダメージを黒い釣狐へ!!
GM:「ぐああああぁぁぁぁ!………………やってくれましたね。次はこちらの番です」――マイナーで≪魔の力≫使用、さらにHA≪グレイトフルデッド≫で範囲攻撃にする! (コロコロ)……命中は25! (コロコロ)……ダメージは38点の<闇>! 全員食らえ!!
雷蔵:そのダメージに対してHA≪獣の盾≫を発動! 全てのダメージを俺が受ける!――させるか!!!――と全員を吹き飛ばして俺だけにダメージだ!
GM:では不協和音は雷蔵を直撃、他の3人は助かります。
一蓮:雷蔵!!
雷蔵:さすがに倒れるな。まぁさっきとシーンは違うから再び魔獣化だ! 大丈夫だ……この程度で倒される俺じゃない。
GM:「さぁお前も攻撃をするのです」――と黒い釣狐が言うと白い方が動きます。
アン:やっぱそっちも行動するのね。
GM:黒い釣狐がHA≪遠くからの声援≫を使用! 増やすのは≪グレイトフルテッド≫! そのまま使用! 白い釣狐は≪魔の力≫を使ってから(コロコロ)……18命中! 全員<交渉>で回避してくれ。
雷蔵:(コロコロ)……クリティカルで回避!
アン:(コロコロ)……私は19で回避!
GM:当たったのは一蓮と華那の2人だけか(コロコロ)……闇属性の36点ダメージ! 舞と共に黒い衝撃波が飛んでくる感じです。
華那:吹っ飛びます。でも倒れた所から烈風が吹き荒れ再び立ち上がります、魔獣化で復活しました。
一蓮:同じく、完全武装の鎧武者に変異します! 魔獣化で復活! 我はまだ、倒れるわけにはいかぬ!
アン:まずいわね……アタシの攻撃≪不和の芽≫(コロコロ)……20命中のダメージ19<闇>!
GM:「その程度ではこっちまで届きませんよ」

◆終幕……真実の伝説

雷蔵:次はオレか。
GM:その前に釣狐2人は≪絶対先制≫を使用! 黒も白も誰よりも先に動きます!
一蓮:セットアップですよね。俺も≪封印解除≫で力を解放します。雷蔵! 少しの間でいい、時間を稼いでくれ! と刀を構えたまま「はぁあぁあああ!」と力を貯めだします(笑)
アン:何かあんの?
一蓮:いや、ただの演出(笑)
GM:では黒い釣狐がHA≪悪の華≫で≪グレイドフルデッド≫復活! そのまま使用して≪魔の力≫で(コロコロ)……命中18で全員に!
一蓮:HA≪電光石火≫を使用! こっちはクリティカルでそっちの攻撃はファンブルだ! 気迫だけで釣狐の衝撃波を打ち消す!
雷蔵:すまんな一蓮。
一蓮:貯めていた力を使ってしまったが……仕方無い(笑)
GM:「邪魔ですね……あの鎧武者を先に倒しましょう」――黒い方が言いHA≪死神の瞳≫を白い釣狐の攻撃に乗せる! そのまま白い釣狐が(コロコロ)……23命中! 単体で一蓮に攻撃だ。
一蓮:(コロコロ)……無理だ。なぜキミが!? とか(笑)
GM:(コロコロ)……ダメージは78点の闇属性!
一蓮:魔獣化していたから真の死だ。
雷蔵:一蓮!!!
華那:真の死ですか!?
GM:「あっけない幕切れでしたね」
一蓮:む、無念……。パキパキとひび割れていき、消滅して逝きます。
アン:探偵さん、あなたとは今日一日の付き合いだったけど、アタシは結構気に入っていたのよ? 一期一会……今日のことが終わったら、もう二度と会わないと思うけど……まだ死ぬわけにはいかないんじゃなくって? まだ、あなたは信じているんでしょう? なら、再び立ち上がりなさい! 信じし者を神は見捨てない!――……一蓮の絆を消滅させてAGPを2点ゲット! そのままHA≪アドベント≫で一蓮を復活させる!
一蓮:じゃあ――俺は……生きている!?
アン:全ての命は神の御心のままに。
雷蔵:一蓮、まだ眠るわけにはいかんのだろう?
一蓮:ああ、そうだった。俺は彼女の目を覚まさせる! 魔獣化も解け人間状態で言う俺! その手には再び2本の魔剣が現れる!
雷蔵:貫けよその想い! 露払いはオレがしてやる!
GM:雷蔵の番です!
雷蔵:≪恐怖の咆哮≫の衝撃波で範囲攻撃! HA≪神獣撃≫で(コロコロ)……命中! ダメージは53点! つまり2人合計で106点! 露払いどころか倒したか?(笑)
GM:「ぐあぁぁぁぁぁあ!」――釣狐は雄叫びを上げるが倒れない! すごい! FPがあとちょうど一桁だ(笑)
アン:狙ってるとしか思えない(笑)
雷蔵:オレってすげーな(笑)――行け、一蓮!!
一蓮:ああ、十分だ! 釣狐、キミの純真なる心を奪った者を倒さねばならない! エゴの「今は居ないあなた」を固定化! 罪を取得! そのまま黒い釣狐を斬り捨てる!
アン:そこまでして助けたいなら……一蓮へ≪魂の契約書≫を使用! あなたが人間性を1D6払えばクリティカルが−2よ!
一蓮:無論払う! 人間性が(コロコロ)……6減った(笑) (コロコロ)……命中がクリティカルはしない。14だ!
GM:「甘いですね、わたくしと彼女は一心同体……わたくしだけ斬り捨てようなど都合が良い」――釣狐の回避は3だからダイス目で11以上(コロコロ)……あ、11(笑) 回避した。
一蓮:なに!?
華那:一蓮さん諦めないで! 終わってしまった絆はもう二度と帰ってこないけど、あなたは新しい絆を作ろうとしているんです。まだ、あなたには最後に力がある! 崎守優太郎の絆を消滅! そのままHA≪遠くからの声援≫に使用! 一蓮の≪電光石火≫を復活させる!
一蓮:よし! うおおおおおおおお! と初太刀は避わされたのですが、俺には二本目があります。それが絶対命中≪電光石火≫!
GM:そしてこっちがファンブルか!!
一蓮:これで終わりだ! HA≪乾坤一擲≫!!!
GM:それじゃあダイス数だけで死亡だ。どうせFPは一桁だったしな(笑)
一蓮:黒い釣狐の仮面を切り裂く俺! それと共に攻撃していないはずの白い釣狐の仮面も、同じようなヒビの入り方をして崩れていく!(笑)
GM:「おのれ……」――黒い釣狐と共に分身していた――
一蓮:その瞬間! 俺は白い釣狐に向かって走り寄り! 倒れる彼女を支える!――死ぬな! キミまであいつと一緒に地獄へ行く必要は無い! 頼む、キミは……キミはここに残っていてくれ!
一同:『おお(笑)』
一蓮:そして残しておいた釣狐の絆を愛で固定化! そしてそのAGPを白い釣狐へと渡す!
GM:おお!?(笑)
一蓮:優斗を助けるルールでは、これで優斗が意思判定だったんだよな? なら俺の愛で白い釣狐が自意識を取り戻してもいいんじゃないか?(一同爆笑)
アン:アリだね(笑)
華那:アリですね(笑)
雷蔵:アリだな(笑)
一蓮:GM?
GM:………………わかってるよ(笑) ああ、アリさ! 白い釣狐がゆっくりと目を開け、キミに抱かれたままキミを見上げる! 都会の劇場にあった"とある伝説"は、いつの日か凶悪なものだけが話されるようになっていた。だが、その噂が立つ前はきっと――
一蓮:そう、彼女こそ本当の釣狐だったんだ。歪められた都市伝説は元に戻り、ここに今、一人の魔物…半魔が再びその生を受ける!(笑)
GM:「こ、ここは?」
一蓮:安心してくれ。ここはキミが……いるべき世界だ。

◆人間性の回復

※解説16 「奈落落ち(フォールダウン)」
 クライマックスフェイズの最後に、各PCは人間性の回復を行う。人間性は[そのPCの絆の数]D6の合計値だけ回復する。また最後にもらう経験値が半分で良いなら、振るダイスを2倍にしても良い。この結果、人間性が0以下だと奈落落ち(フォールダウン)となる。この時、エゴや消滅させた絆は数に数えない事に注意。
 奈落落ちは人間の心を失い魔物としてのエゴに支配された事を言う。欲望に支配された完全な魔獣……つまりNPC化である。
GM:ではエンディングに行く前に人間性の回復をやってもらいます。それぞれ現在の人間性はいくつですか?
一蓮:プラマイ0だ。確実に戻ってこれるぞ。
アン:アタシはちょっと怖いかな、マイナス8ね。
華那:私はマイナス1です。
雷蔵:オレも沙汰と一緒か、マイナス8だ。
GM:では全員[現在持っている絆]の数分ダイスを持って人間性の回復を行いましょう!
一同:『(コロコロ)……成功!』
GM:全員成功か……つまらんな(笑)

■エンディング・フェイズ■

◆戦い終わって

崎守優太郎小隊長の墓前にて、一人の女性が佇んでいた。御厨華那である。彼女はただ黙って目前の墓石を見つめていた。
華那:GM、あの姉弟は事件後どうなりました?
GM:死霊課の刑事である貴島雷蔵が事件を解決したって事や、釣狐が消滅して同じ事件が二度と起こる可能性もなくなったので、死霊課と退魔部隊との交渉が決定。あの姉弟は死霊課の監視下で生活させるって条件で、2人の抹殺という最悪の結果は免れました。
華那:墓前にそれを報告しましょう――すいません隊長、私は退魔部隊にしては甘過ぎますね。また、隊長に怒られてしまいます。でも……きっとこれでいいんですよね?
GM:キミは思い出す。まだ隊長が生きていた頃の記憶を――『どうだ御厨、今日の夜はウチで食べていかないか?』
華那:『え、いいんですか?』
GM:『はっはっはっ、何、キミに会いたいと子供たちが言って聞かなくてね』
華那:『はい、え……と、喜んで♪』
GM:が、それももう二度と戻ってこない過去。
華那:私は墓前に呟きます――最初は地元に戻りたかったから隊長の家にお邪魔していたんです……でも、それを繰り返すうちに……人間の家族の暖かさが良いなぁって、そう思うようになったんです。
GM:再び記憶が戻ってくる――『今度からここが恋しくなったら私に言うといい。その時は我が家の夕食に招待しよう。もちろん、子供たちとも遊んでくれよ?』
華那:私は空を見上げて涙を我慢したまま絞るように言うんです――でも今は、あの頃の暖かさが恋しいです。
GM:我慢していた涙が頬を伝う。
華那:ええ、でもここで立ち止る事はできません。私が退魔部隊にいること……その意味がわかったから。……そうですよね? 隊長? 

◆幸せの形

崎守姉弟は死霊課のフォローもあり、一般学校ではなく鳴沢学園と言う訳アリの子供たちが在籍する学校に通う事になった。書類手続きの上で親の名前がいるという話を聞いた時、彼女はもちろんと笑顔を作り判を押した。
GM:では鳴沢学園への初登校の日です。優希と優斗が「行ってきまーす」とアンに元気に言うよ。
アン:アタシは自分の車で学校の近くまで送って行ったって事で。この後アタシも仕事あるしね――気をつけて行くのよ〜〜♪
GM:優斗の方は嬉しそうに走っていくけど、優希だけが残る。
アン:どうしたの?
GM:「優斗を助けてくれてありがとう、さっちゃん」
アン:ええ。
GM:「ねぇさっちゃん。一つ聞いて良い?」
アン:? なに?
GM:「優斗にまた何か起こったら………もう、優斗は元に戻れないのかな?」
アン:そうね。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
GM:「???」
アン:大事なのは優斗くんがどうこうじゃないわ。こっちの世界もあっちの世界も知ってしまったあなたが、そんな時にどう行動するかって事よ?
GM:「わたしが?」
アン:そう。きっとその時はあなたが作った新しい絆が助けになる。沢山人を愛しなさい。それが信じるって事だから。
GM:「……うん! ありがとうさっちゃん! わたし、魔物も人間も嫌いじゃないよ!」
アン:そうね――と微笑んでアタシのエンディングは終わりね。

◆監視者

崎守優希が学校へ出かける。寮生活の準備が整うまでは沙汰アンの家から登校するらしい。貴島雷蔵は路地裏から登校して行くのを監視していたが、2人が沙汰の元から去って行くのを見て踵を返した。
雷蔵:まぁこれはこれで良かったのかもしれんな。
GM:とキミの携帯が鳴ります。
雷蔵:上司ですか?
アン:あ、それアタシです(笑)――ちょっと覗き見なんて趣味悪いわよ? この出歯犬!(笑)
雷蔵:いいじゃないか、優斗と優希はまだ非常警戒レベルの監視対象なんだ。
アン:それならアタシがいるじゃない。それともアタシじゃ信用ならないって?
GM:アンへの絆判定、難易度16で(笑)
雷蔵:(コロコロ)……成功するさ。絆で固定、愛はあなたに(笑)――ああ、信用ならないな、お前じゃいつ2人に手を出すかわからん(笑)
アン:でも愛も貰ったし、アタシはワンワンの言葉のニュアンスから信頼されている事がわかるの。だからこその軽る口(笑)――だったら今度、2人がいるときにウチにいらっしゃい? 貴方が食べたことも無いようなご馳走を出してあげるわ。
雷蔵:それは楽しみだ。
アン:ええ。
雷蔵:……2人の事は任せるぜ。
アン:アタシに任せなさい♪
雷蔵:そして電話を切りましょう。それと共に再び携帯がなり「オレだ……それで……ああ、わかった」――そして路地裏の暗がりに入っていくオレ、無論新しい事件発生です――「やれやれ、豪華な食事には当分ありつけそうにはないな」

◆新しき絆

池袋にある雑居ビルの6F。探偵事務所にはとても心の落ち着く音楽が流れていた。ついこの前まで闇の支配する薄暗い部屋が、今は光が満たす清清しい部屋へと変わっていた。
GM:そう、キミともう一人が探偵事務所の部屋にいる。
一蓮:うむ。
GM:しかし彼女は強引な再上書きとでも言うのか、その後遺症から記憶障害を起こしている。そんな設定はどうでしょう?
一蓮:OKだ(笑)
GM:では彼女は、今まで吹いていた演奏をやめ、笛をテーブルに置くとキミに聞いてくる――「一蓮さん?」
一蓮:なんだ?
GM:「私はなんで生まれて来たのでしょう? 私は人なのでしょうか? それとも……魔物なのでしょうか?」
一蓮:人でも魔物でも無い者……半魔。そう、一昔前なら言っただろうが……。
GM:「一昔前なら?」
一蓮:ああ、だが今はもうそう呼ばないのだろうな。キミはキミだよ。
GM:私は……私?
一蓮:キミがいて俺がいる。ただ……それだけさ。
今、新しき絆の物語が幕を開ける。
BEAST BIND NEW TESTAMENT  〜新約・魔獣の絆〜
『人と魔物の境界線』 了


■アフター・プレイ■

GM:ではお疲れ様でした〜〜!
神崎直也:おう、お疲れさん!
西蓮:やっぱビーストバインドの世界観ですね。
SIN:昔のビーストバインドもやりたくなった(笑)
八岐:昔のもやってみたいですね、私はやったことありませんが比べてみたいです(笑)
GM:で、新約・魔獣の絆なんだが……どうでしたかな?
西蓮:アーティファクトのトゥルーはちょっと弱いんじゃないかと思った。なんだよ雷蔵の化け物じみた強さは!
神崎直也:いや、みんな化け物だし(笑)
SIN:私はそれより新生"釣狐"が生まれるとは思わなかったです。
八岐:ああ〜〜びっくりしましたね(笑)
GM:おもいっきりシナリオに無いしな。ま、それを言っちゃうと、アンが初っ端に優希を誘拐するのも十分シナリオから逸脱してるけど(笑)
神崎直也:あれはエゴに流されたんだって! しょうがないじゃん!(笑) しかし……このプライマリとセカンダリで好きな魔物を作れるのは楽しいかもね。
SIN:前には無かった要素ですし。やっぱり想像の幅が広がります。
八岐:それにプライマリとセカンダリのどっちを前に持ってくるかで、違いが出るのが良いと思います!
西蓮:それはあるかも。それだけでも迷うし(笑)
GM:総評としてはどんなもんでしょう?
神崎直也:そうだなぁ〜…現代モノにしては明るいテイストが良い!って感じかな。
西蓮:とっつきやすいしね。
SIN:まぁ今回のシナリオとGMだから、明るくなったって可能性もありますが……まぁ敷居が低くなったのには賛成です。
八岐:私は面白かったからそれで十分です(笑)
GM:それが一番だな(笑)……それでは皆さん、今日は本当にお疲れ様です! これでこのセッションは終了としましょう!!!

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