TOPリプレイ ⇒ 魔獣の絆R.P.G.                         戻る

1999年9月20日 BEAST BIND 魔獣の絆R.P.G 発売
本格ロマンホラーRPG
――エゴなくして我にあらず――
――愛なくして人にあらず――
それは日本最後のオリジナルTRPGだった。


第2話 地獄のチャチャチャ


GM・シナリオ作成

SIN

登場キャラクター

不死川京介/天涯
(小説家/死神)

チャチャ=ホーリー/チャチャチャ=ハロウィン
(小学2年生/地獄の道化師)


小学2年生のチャチャは、先生から「少々元気過ぎる」と評されるアイルランド出身の少女だ。
9年間、父と母と一緒に暮らしてきて、日本の学校でも楽しい毎日を送っていた。
一方その頃、新宿では謎の連続凍死殺人事件が起こる。
共通性の無い被害者、止まらない殺人……それは同胞を帰属させる為のメッセージ。
やがて事件は少女の下へと届けられる。
全てを失った少女は、それでも笑いを忘れない。
なぜなら少女は、笑顔が一番好きだったから……。

■序章■

GM:それではプレイを始めたいと思います。第二話です。今回はSINこと私がGMを務めさせて頂きます。まずは各キャラ自己紹介をお願いします。
不死川:不死川京介(ふじかわ きょうすけ)、外見28歳の男。『万年怪奇』という雑誌にコラムを載せている売れない小説家だ。アーキタイプは死神、魔の名は天涯(てんがい)。
GM:はい、リプレイ第一話で半魔になった人ですね。
不死川:その通り……そしてもう1人のPLがその時のGMと(笑)
チャチャ:その時のGM(相原)こと、チャチャ=ホーリーです! 9歳の小学2年生! アーキタイプは地獄の道化師だから、学校は毎日学級崩壊! 『クケーッ!』って叫んでも問題無い!!
不死川:いや、十分問題あるだろうが(笑)
チャチャ:ちっちっちっ、だから学級崩壊しているんだよ(笑)
GM:はい、今日はこの2人で行います。
不死川:また少人数な……。
チャチャ:いいじゃん、その方がキャラ立ちし易いし♪
不死川:いや、十分過ぎると私は……いや、別にいいや。
GM:では始まる前にチャチャ、キミはまだ魔物の力に目覚めていません。
チャチャ:そうなの?
GM:あなたは9年間、温厚な父親ショーンと少々怒りっぽい母親アシュリーンと共に、普通の人間として生きてきました。ちなみに両親ともにイタズラ好きの似た者夫婦です。
チャチャ:りょうかーい! それでアイルランドから始まるの?
GM:いえ、チャチャが小さい頃に、3人で日本に渡ってきたって設定でお願いします。
チャチャ:わかった。
GM:今回のSAを先に言っておきます。不死川は「絆を守る」。チャチャは「笑顔を忘れない」です。
※なお登場キャラクターのデータは最後に載せてあります。

■序章■

1999年2月、天涯が不死川京介と名乗り人間社会へ溶け込んでより、4年の月日が流れていた。
その日は、真冬と呼ぶに相応しい寒い日だった。
GM:では最初の場面は不死川です。
不死川:じゃあアパートでコラムの原稿を書いていよう。別に急ぐほどの仕事じゃないが……まぁやる事も無いしな。
GM:4年も続いている不死川のコラムなのですが、お世辞にも人気があるとは言えません。正直、ギリギリです。最低とは言いませんが人気は下から数えた方が早いです。
不死川:そうだったのか……。
GM:内容こそ藤川美古都と同じですが、あきらかに不死川の方が文才が無かったので……。
不死川:う〜ん、コアな読者はガッチリ掴んでいるのだが、新規の読者がまったく増えない……不思議だ。
GM:そしてそんなキミの担当が管川牧夫(くだかわ まきお)と言います。
不死川:酒を飲んだらクダを巻いてきそうな名前だな(笑)
GM:そうです。お酒を飲むと管川さんは絡んできます。
管川牧夫(くだかわ まきお)
   44歳の男性。嫌味で新人いびりが好きな編集者。
   万年怪奇という雑誌のコラム系の空きページ担当。酒を飲むと管を巻く。独身。趣味は酒。
不死川:嫌な奴じゃないか。
GM:嫌なら早く人気作家になりましょう。
不死川:それは出来ない相談だ!
そこで威張られても……。
GM:で、ではそんな2月のある日、アパートの大家さんが――「不死川さーん、電話よー?」
不死川:って、固定電話無いのかウチは(笑)
チャチャ:ボロボロだね(笑)
不死川:私の部屋は2階なので、1階に降りて行って共同電話に出よう――もしもし、不死川です。
GM:『あぁあん?』
不死川:いきなりかよ(笑)
GM:『お前ぇ、出るのおっせーよ!』
不死川:ええ、すみません。
GM:『それよりよぉ、お前ぇ今みたいにくだらねーもん書いてねーで、4年前みたいにビシっとした文章書けよ!』
チャチャ:不良だ、チンピラだ(笑)
GM:『今のままじゃ、やって行けなくなるってわかってんだろぅ?』
不死川:いえ、やって行けると思いますが……。
GM:『あぁん? あれでか? 本当にそう思っていやがるのか?』
不死川:ええ、すいません――また、管川さんの嫌味か……と思いながら聞き流していよう。
GM:まぁ不死川はそんな日常を過ごしています。

■第一章■

2月も下旬という小学校のイチ教室、そこでは図工のテストが行われていた。
課題は「粘土」である。
小学2年生のそのクラスでは、皆がワイワイとテストとは掛け離れた雰囲気で"何か"を思い思いに創っていた。
GM:ではチャチャです。クラスでは図工のテストが行われています。
チャチャ:粘土かー! じゃあお団子ぐらいに丸めて――
不死川:何を創るんだ?
チャチャ:黒板に投げつけるーー! バーーン!(笑)
GM:いきなり学級崩壊ですかあんたは!!(一同爆笑)
チャチャ:他の子もやってるよ〜?
不死川:(クラスの男子)『やったなー!』『こっちは散弾銃だ! バララララ』『お前のも合体でこっちは大砲だぞ!』(笑)
GM:ああ、シーンがギャグに……ギャグに落ちていく……。
チャチャ:何をいまさら? 不死川/天涯が真面目系なら、私は落ち担当でしょ?
GM:ああああ……。
不死川:ちなみに小学校で使う粘土を黒板につけると、油がへばり付いて黒板が使えなくなるぞ(笑)
チャチャ:じゃあその事を言う――みんなー! 黒板に投げつけて使えなくすれば、次の授業は無くなるよーー!!(一同笑)
不死川:(クラス)『おおーー!!』――ベターンベターン!!
GM:じゃあ先生オロオロ……――「え、え〜〜と皆さん、粘土はオモチャじゃありません。これはテストですよ? ちゃんと何か創って下さいね」
チャチャ:じゃあそろそろ真面目に作るかな。
不死川:あんたアレだけ煽っておいて酷いな(笑)
チャチャ:イタズラも好きだけど、普通に粘土で何か創るのも好きなの!
GM:じゃあ<芸術:粘土>という事で【感情】で振って下さい。
チャチャ:ここは<愛情でカヴァー>を使う(コロコロ)……4成功だから半分で、達成値2の成功!
GM:「え、え〜〜とチャチャさん? これは何かな?」
チャチャ:先生酷い! ショーンだよ、ショーン! 愛情一杯(笑)
GM:「やっぱりね! 先生も一発でわかったわ! ショーンは可愛い犬よね♪」
チャチャ:違うよ! ショーンはパパの名前だよ!! 先生酷すぎるよ(一同爆笑)
GM:そんなこんなでチャチャも日常が過ぎていきます。
不死川:どんな日常だ(笑)

■第二章■

 新宿歌舞伎町、繁華街の裏路地で子供の死体が発見された。
 まだ中学生ぐらいの女の子だったが、ここは新宿、そこまでは珍しく無い。
「おい、また凍死かよ……しかもこの薄ら笑い……やっぱ連続殺人事件なのかな」
 現場に駆けつけた巡査が思わず口に出す。と、刑事課の人達が集ってきて現場を封鎖し出すが、何かいつもと様子がおかしい。
「おい、なんかおかしくないか? なんでいつもの人達じゃなくて……」
 そんな疑問顔の巡査に、1人の女性が近づいてきた。右腕にだけ長手袋をした三つ網の女性だった。
「只今より、この事件は私達の管轄に入りました。関係の無い署員は現場への立ち入りを禁じます」
「え、しかし……」
 口答えは許されなかった。有無を言わせず、その巡査は一般人が立ち入らないように警備する担当へと回された。

 その死体の周りに3人の人間が集ってくる。1人は先ほどの長手袋の女性、もう一人はタバコを吸いネクタイを緩めたままスーツを着込んだ男性、そしてその中心に立っているのは黒髪長髪の紅いコートを着込んだ男。
 スーツの男が屈み、被害者の顔を見てからタバコを一息――
「やはり、先の4件と同じですね。引きつった笑みでの凍死……わざわざこんな手の込んだ事をするなんて……十中八九、魔物でしょう」
「許せません。こんな子どもまで……」
 長手袋の女性がグッとその拳を握りこむ。
「野白は被害者の家族、交友関係の調査及び聞き込み。長沢は署に戻って今までの被害者との共通点の割り出しを頼む」
 紅コートの言葉に野白と呼ばれた長手袋の女性と、長沢と呼ばれたスーツの男性が頷く。
 やがてこの事件はこう呼ばれるようになる……『新宿連続凍死殺人事件』……と。

■第三章■

不幸とは突然やってくるものである。それに対して予兆も無ければ予感も無い。
ただ一つ言える事は、玄関口でドアノブが――バキッ――と嫌な音を立てた事だけだ。
GM:さて不死川です。
不死川:部屋で執筆中。
GM:玄関でバキっとドアノブの壊れる音がしました。
不死川:おい! なんだその表現は!?(笑)
GM:勝手に男が入ってきます。
不死川:なんか……なんか、いろいろおかしいと思うのは私の気のせいか?
チャチャ:(←爆笑中)
GM:「ったく、建て付けが悪いドアだぜ! ぶっこわれやがった!」――編集者の管川さんです。
不死川:………………。
GM:「よぅ! 原稿は出来てるんだろうなぁ!」――と言いながら冷蔵庫をガチャ。
チャチャ:勝手に開けてる(笑)
不死川:冷蔵庫には何も入っていませんよ?
GM:「けっ! 酒もツマミも何もありやがらねぇ! シケてやがんな!」
不死川:あの……管川さん?
GM:「あぁん?」
不死川:なぜウチのドアノブを手に持っているのでしょうか?(一同笑)
GM:「は? なに言っていやがる、どこに目がついてんだ!?」――ポイッ……ガラガラガラ。
チャチャ:捨てたー♪ しかも目の前で堂々と(笑)
GM:「冷蔵庫に何も入れておかねーくせに、ずいぶんな言い草だなぁ…おい!」
不死川:他人の家のドアノブ壊しているのに(笑)
チャチャ:酷い、酷い人だよ管川さん(笑)
GM:どうやら、次の作家の家に行く時間を2時間ほど間違えて、暇になったから襲撃しに来たらしい。
不死川:な、なんて人間だ……エゴ振った方がいいのか? なんかすんなり殺しそうで怖い、やめておこう(笑)
GM:「おい、ところで最近噂になっていたあの事件だが……」
不死川:確か『連続凍死殺人事件』……と、言いましたね?
GM:「そうそうそれだよ。なんか最近あのニュースを見ないよな? 解決しちまったのかな?」
不死川:さぁ……私に聞かれても困ります。
GM:【知性】で判定して下さい。
不死川:(コロコロ)……成功。
GM:では不死川は思い出す。だいたい2日前まではニュースでその事件を報道していたのですが、以降は流れていません。
不死川:解決したのでないなら、きっと報道規制とかが入ったんですよ。この世界じゃ良くある事ですから。
GM:「はっ! そんなもんかねぇ」

――約2時間後……

GM:「さて、時間も経ったし俺は行く事にするか」
不死川:な、何しに来たんです管川さん? ドアノブ壊しに来ただけですか!?(笑)
GM:「あ? お前の作業状況を確認しに来たに決まってんだろうが!」
不死川:一度も私の原稿を見ていないと思う(笑)
GM:見ていませんね。管川はそう言うと玄関から出て行きます――「んだよこのドア! ドアノブがねーじゃねーかよ!!」(一同爆笑)
チャチャ:自分でやっておいて(笑)
不死川:ド、ドアが……。
GM:「じゃあ今度こそ良い原稿書けよな? 明日また連絡する」――バーンとドアを蹴り壊して管川さんは出て行きました。

■第四章■

学校が終って友達との下校。さよならを言って1人になる。するとチャチャは明日の事を考える。
――明日は何して遊ぼうかなぁ♪
チャチャは学校が好きだった。友達たちも大好きだ。そして何より毎日が楽しかった。
両親に連れられ日本に来た時は、金髪の外国人と言うだけでイジメられた事もあった。
街を歩けば、その容貌だけで変な目で見られる事もあった。
それでも今、チャチャは毎日が楽しいと思う。そしてこの毎日がずっと続けは良いと……少女は願っていた。
GM:それではチャチャです。授業も終って家へ帰宅です。
チャチャ:寄り道は!?
GM:ああ、もう寄り道もして友達とも十分喋ってあとは帰るだけです。
チャチャ:そっか…じゃあ家に――ただいま♪ お父さんお母さん!――う〜〜ん、この呼び方はチャチャっぽくないなぁ(←PLの呟き)
GM:玄関を開けて家に入ると、母親がダンボールに荷物を詰めています。
チャチャ:パパー♪ ママー♪――う〜〜ん、なんか違う。
GM:みれば家の中がいつもよりさっぱりと片付けられ、そこかしこにダンボールの山があります。
不死川:『マミー!』が良いんじゃないか?
チャチャ:それだ! マミー♪ パピー♪
GM:って、人の話を聞きなさい!! それにパピーってなんだ! 意味わからないですよ!!(一同爆笑)
チャチャ:ウチではパピーって言うんだよぅ(笑)
GM:「お帰りなさいチャチャ、それよりあなたも自分の荷物まとめなさい?」
チャチャ:大掃除するのー?
GM:「引っ越すのよ、ほら早く」
チャチャ:えええ!? なんで? どうして引っ越さなきゃいけないの!?
GM:「なんでもよ……」
チャチャ:……学校は?……みんなとはどうなっちゃうの?
GM:「引っ越した先で新しく作れば良いじゃない。それより今は荷物まとめなさい」
チャチャ:だって……そんないきなり……みんなとお別れもしてないよ?
GM:「そう……仕方無いわね。あきらめなさい」
チャチャ:やだよ! 私引っ越したくない!!
GM:「駄目よ、わがまま言うんじゃありません」
不死川:と、ここで引越し準備のため、急いで父親が帰宅する。
GM:では帰宅しました。
チャチャ:パピー!(笑)
GM:「ダディーと言いなさい」――そして母親が――「ほら、チャチャも早く支度しなさい」
チャチャ:なんで……なんでいきなりそんな事言うの? 私引っ越したくなんて無いよ!!
GM:「チャチャ、言う事聞きなさい」――絆判定をして下さい。
チャチャ:(コロコロ)……失敗(笑)――ヤダ! 私引越しなんてしないもん!!
GM:「チャチャ!!」
チャチャ:パピーもマミーも大っ嫌い!!!――私は家出する!
GM:「チャチャ!?」「待ちなさい!」

■第五章■

右手に長い手袋をした女性……野白久理子は警察である。現在は「連続凍死殺人事件」を担当しているメンバーの1人だ。
被害者の関係者を当たる事、数十件……そろそろ何か手掛かりぐらい掴みたいものだ。
東京都内某所。新宿駅から徒歩で30分、路地を3本ほど中に入っただけでこの辺りはずいぶんと寂れた印象をかもし出す。
警察手帳に書いた住所を目当てに、路地をさらに曲がっていく。
――本当に都心なのだろうか……そんな事を思い出した時、そのボロアパートはあった。
GM:さて不死川の場面です。管川さんの襲撃より2日が経ちました。時刻は昼下がり。
不死川:管川さんは昨日来て原稿を持って行ったのか?
GM:いえ、昨日来ると言っておきながら結局来ませんでした。今日になってもまだ来ていません。
不死川:じゃあ原稿も完成しているしぼ〜っとしているか。窓辺に座って外を眺めつつ――「まだ春は遠いな……」
GM:トントン――そんな気分に浸っていると、ドアを誰かがノックします。
不死川:どうぞ。ドアは壊れているから入れる。
GM:では女性が入ってきます。
不死川:どんな人?
GM:普通にスーツを着た女性です。ただ、右手だけ長い手袋をしているのが印象的かな。髪は三つ編みです――「あなたが、雑誌『万年怪奇』のコラムに掲載している不死川京介さんですね」
不死川:ファンの人かな? こういうのは編集を通してくれないと。
GM:「いえ違います」
不死川:………………。エゴ「感情を見せたく無い」(コロコロ)……ええ、私もそう思いました――そっぽ向いて――言ってみただけです。
チャチャ:死神なのに可愛い(笑)
不死川:虚無が去りまくっています(笑)
GM:女の人は警察手帳を見せて――「刑事の野白です……あなたは管川牧夫さんをご存知ですね?」
不死川:ええ、私の担当です。
GM:「単刀直入に言います。昨日、あなたの担当である編集者、管川牧夫さんが死亡しました」
不死川:え……!
GM:不死川は「死を与えたい」のエゴ判定をどうぞ。
不死川:(コロコロ)……失敗。別になんとも思わなかったらしい。
GM:「何か知っている事はありますか?」
不死川:お酒が好きな人でした。
GM:「管川さんに変った所は?」
不死川:さぁ。
GM:「昨夜の深夜1時頃、あなたは何を?」
不死川:いえ、ここにいましたが。
GM:と、ここで不死川は<心理>で判定してみて下さい。
不死川:(コロコロ)……クリティカル!
GM:では不死川には解ります。明らかに野白さんはキミを疑ってきています。
不死川:刑事さんに言おう――何か?
GM:「いえ……今日はこれで帰ります」
チャチャ:今日"は"って言われた(笑)
GM:「では……また」
不死川:ええ……また。
その後、雑誌『万年怪奇』を出版している出版社(極東社)に電話を入れる不死川。
本当に管川は……――
結果は野白刑事の言った通りだった。管川牧夫は泥酔したまま寒空の下眠り、そのまま起きる事はなかったという事だった。

■第六章■

1999年2月……その日は少し暖かく、夕暮れの公園にはチラホラと人々の姿が見えた。買い物帰りの女性、犬の散歩をする老人、ランドセルを背負ったまま走っていく少年達。
そんな中、不死川は公園のベンチに座っていた。身近な人が死んだのは久しぶりだった……。
GM:次は不死川とチャチャが出合う場面です。
チャチャ:はいはい! 私が演出します!
GM:どうぞ、何かやりたいのがあるなら。
チャチャ:伊達に第一話のGMやってません(笑) 場所はとある公園、時刻は夕方。不死川は公園のベンチに座っている。
不死川:ベンチに座っているのか……じゃあ――管川さん…どうしようも無い人だったが、まさか死んでしまうとは……――と「生命に死を与えたい」(コロコロ)……成功。自分に近い人が死んだ事による喪失感と、死に触れた事によって蘇ってくる死神の意識が心の中で不協和音を奏でている。
GM:ついでに「虚無を失った喪失感」をどうぞ。
不死川:(コロコロ)……成功――心が乱れる…4年前と同じだ。所詮私は半端者か――立ち上がろう。
チャチャ:と、そこで私が――えっと…ごめんなさい!!
不死川:……何がだ?
GM:何かしたんですかチャチャ?
チャチャ:………………。
GM&不死川:『………………』
チャチャ:あ!?――ベチャッっとアイスをベットリ。
不死川:謝ってからやるなよ!!(一同爆笑)
GM:言う順番間違ってますって(笑)
チャチャ:自分の中では先にぶつけてた"つもり"になってたんだよ(笑)
不死川:表情無くじっと見つめよう。
チャチャ:あ、ちゃんと拭くね! ハンカチ持ってるから! ああ、動かないで!
GM:不死川は「虚無を失った喪失感」で。
不死川:(コロコロ)……成功――いや、いい、私に構うな。
チャチャ:ご、ごめんなさい……怒った?
不死川:しょうがない(笑)「感情を人に見せたく無い」を振るか(コロコロ)……失敗だが、自主的なので怒ろう――ああ、少し怒ったかな。
チャチャ:やっぱ……怒ってる……。
不死川:だから怒っていると言っている。
チャチャ:私アイスを食べれば気が済むよ?
不死川:意味がわからないのだが?
チャチャ:じゃあコンビニに行こう♪
不死川:待て、どうしてコンビニに行かなければならない?
チャチャ:………………。
不死川:………………。
チャチャ:第一話の台詞を読んだのに展開が違う!?
不死川:当たり前だ(笑)
GM:しょっぱなのシチュエーションから違ってるじゃないですか!(笑)
が、なんがかんだと強引なチャチャにアイスを奢らされる不死川。かなり理不尽である。
チャチャ:ありがとうお兄さん♪
不死川:ああ、では私は行く。行かせてもらう。
チャチャ:待って!
不死川:待たない。
GM:チャチャは「イタズラしたい」のエゴ判定をどうぞ。
チャチャ:(コロコロ)……成功♪ たしか和服だったよね?――えいっ――っと裾を踏む!
不死川:和服だ。この4年で作家とは和服だと言う知識を得たからな(笑)……ガッ!と止まって振り返ろう。
チャチャ:一緒に遊ぼう?――ニッコリと(笑)
不死川:私は暇じゃないんだ。親とやれ――クルっと背を向ける。
チャチャ:……親は……私、家出して来ちゃったから……――と寂しそうに。
不死川:………………。ふぅ……――とため息を吐くと戻って来て、チャチャの視線に合わせ――名前は?
チャチャ:お兄さんは?
不死川:私は不死川、不死川京介だ。キミの名前はなんだい?
チャチャ:チャチャ、チャチャ=ホーリー。
不死川:そうか――とチャチャの手を掴んで――
チャチャ:握り返す。
不死川:チャチャ、お巡りさんの所へ行こうな。
チャチャ:えええええ!?
不死川:最近は家出少女の非行が多いとニュースでやっていた。
GM:チャチャは「目立ちたい」のエゴ判定をどうぞ。
チャチャ:(コロコロ)……成功した。目立たなきゃ――「キャーーーー! ゆーーうーーかー――
不死川:ガッっと口を塞ぐ!――チャチャ、何が望みだ(笑)
チャチャ:う〜〜ん、笑顔かな?
不死川:……意味がわからんぞ。
チャチャ:不死川さん、ベンチに座ってずっと悲しそうだった。だから不死川さんの笑顔が見たい♪
不死川:私の……笑顔?
チャチャ:うん♪ 笑おう不死川さん? 何があったか判らないけど、きっとその方が幸せになれるよ♪
不死川:ちょっとうつむいて――「虚無を失った喪失感」(コロコロ)……

――虚無が去ってから4年、あの日から私はずっと怖かった、死を、誰かが死ぬという事を……

――正確には誰かの"死"で苦しむのが嫌だった。いつの間にか願っていた。虚無が戻ってくる事を……

不死川:ふふ…あっはっはっはっ――笑おう。
GM:ちょっと周囲の人が奇異な視線を向けます。
チャチャ:あっはっはっはっはっはっ!――負けじと笑う♪
不死川:……忘れていたよ、私は笑顔を求めていたのに……それなのに自分は笑顔から遠ざかろうとしていた。あの頃に戻りたいと思っていた……そこには虚無しか無いというのに。
チャチャ:あっはっはっはっはっ!
不死川:チャチャ…と言ったな、日暮れまでなら付き合おう。何がしたい?

■第七章■

夕闇が公園を覆い出す。気が付けば1人、2人と公園から人々が去って行く。
備え付けられた街灯が、定時になり一斉にその白い光で点々と周囲を照らし始めた。
GM:そろそろ夜です。夕飯ぐらいの時間になり公園にいた人々もいなくなります。
不死川:チャチャ、いい加減そろそろ帰りなさい。親御さんも心配しているはずだ。
チャチャ:絆判定(コロコロ)……成功――うう…でもマミーもパピーも……。
不死川:家出の理由を聞いた事にしよう――大丈夫、チャチャだって心配はかけたくないのだろう?
チャチャ:……うん。
不死川:じゃあ早く帰って謝るんだ。それともずっと顔を合わせないつもりか?
チャチャ:絆判定(コロコロ)……成功――そうだね。ちゃんと謝る。私のわがままだった……。
不死川:ああ。それが良い。
チャチャ:すっきりしよう――うん、そう考えたら楽になった! 私マミーもパピーも大好きだもん! 謝って許してもらうんだ♪
不死川:そうだな、きっと許してくれるさ。その両親もチャチャの事は大好きなはずだから。
チャチャ:うん♪
不死川:では手を引いて公園から帰ろう。
GM:ここで2人は【感情】か<発見>で判定して下さい。
不死川:【感情】で(コロコロ)……成功。
チャチャ:私は<発見>で成功した。
公園の出口、最後の外灯はなぜか電気が消えていた。
そしてその真っ暗な外灯の上に、巨大な"何か"が止まっていた。
他の外灯が漏らす光で、うっすらとシルエットが浮かんでいる。それは――
GM:巨大な鳥……シルエット的には梟(ふくろう)です。
チャチャ:何かいるよ!?
不死川:ふむ……あれは「いつまで」だな。
チャチャ:なに…それ?
不死川:<知識:死霊>(コロコロ)……成功――あれは以津真天(いつまで)と言う太平記にも出てくる悪霊だ。ちなみに以津真天という当て字は、のちに妖怪の大家である鳥山石燕が付けたと言われ――と万年怪奇のコラム作家の知識を――
チャチャ:じゃあ途中で寝る。
不死川:寝るのか(笑)
GM:「無視しないでくれホーホー?」
チャチャ:ごめん不死川さん、思わず寝ちゃった。無視したわけじゃないよ?
不死川:いや私は……――GM、今しゃべったのを聞いたし魔物だと気が付いていいか?
GM:確実ではありませんが、異常だとは解ります。
不死川:チャチャを掴んで巨大梟を背に走り出す!
GM:では周り込むように不死川達の目の前に降り立ちます――「無視しないでくれと言ったホーホー?」
不死川:くッ!
チャチャ:え……え!?
GM:こちらはまだ影にシルエットしか浮かんでいないのですが、一歩一歩と不死川達に近づくと共に、外灯に照らされてその姿がはっきりとしだします――「こんな所にいたホーホー。やっと見つけたホーホー?」
不死川:チャチャ見るな!
チャチャ:たぶん見ちゃう。そういう性格しているし。
GM:それは梟に似た姿の人間……いや、デフォルメされた梟の着ぐるみ。人間の顔が梟の首正面部分に浮き上がっているのが異様さを醸し出している――「ホーホー、こんな所にいたのかね? オウルをキミの家まで案内して欲しいホーホー」
チャチャ:あれは……何? 何なの!?
GM:不死川には解ります。一般人が魔物を直視すれば、その精神はまず耐えることはできないと。そしてチャチャ、キミはまだ人間だ。反応表Bを振ってもらいます。1D6でどうぞ。
チャチャ:(コロコロ)……2。気絶した――冗談…だよね?――パタリ。
不死川:チャチャを支えよう。
GM:「和服な兄さん、不思議だね。オウルを見ても驚かないホーホー?」
不死川:今までと様子一変! メガネの下で鋭い目つきになるぞ。
GM:「さてはお兄さん……こっちの世界を知っているノウンマンね? それなら話は早いホーホー」
不死川:ほう…どう話が早いと言うんだ?――チャチャをお姫様のように抱えて正面から梟を見つめよう。
GM:「死にたくなかったら、その子を置いて立ち去るホーホー」
不死川:立ち去る? 私がか?
GM:「オウル=ハロウィンに出会ったのが運のつき! お兄さんは死ぬホー! ほんの些細な冗句だホーホー!」
不死川:「生命に死を与えたい」(コロコロ)……成功――私が死ぬか……笑えない冗句だな。
GM:「オウルはほんの些細な冗句が大好きだホーホー♪」
不死川:腕の中のチャチャを見て4年前を思い出す……自分にとって何が大切なのかさえ解らなかったあの頃、それと同じ後悔はしない! 死神化! キッと梟を見据えよう。
GM:「……お兄さん死神だったね。これは怖いのが出てきたホーホー」――戦闘に入ります。
◆1ラウンド◆
[1]天涯(7)
[2]オウル(7)
不死川:<影斬り>(コロコロ)……ダメージ10点!――お前は怖いという感情が解るのか…それなら話が早い。このまま立ち去るんだな。
GM:「痛いホー! やっぱりオウルは帰るね。戦うのは嫌いホーホー?」
不死川:別に見逃します。ここにはチャチャがいるしな。
GM:「それに……ここで死神を殺してしまったら、せっかくの"ほんの些細な冗談"が、完成しなくなってしまうホーホー! グッバイ、チャチャ……また会おうホーホー?」――バサバサァ……と夜空に飛んで行きます。

■第八章■

結局、不死川はチャチャを家に連れて行くしかなかった。警察に連れて行くという事も考えたが、魔物を見てしまったチャチャが警察で騒ぎ出す事を想像すると、気絶から目覚めるまでは自分の目の届く範囲に置いておいた方が良いだろう……。そう、判断したからだ。
GM:では次の日です。チャチャは?
チャチャ:まだ寝てます。昨日のショックな事件からずっと寝てます。
不死川:で、チャチャの家も解らず、魔物が出てきたせいで警察も頼れず、とりあえず私のボロアパートに連れてきました。
GM:了解。時刻はお昼過ぎです。不死川の部屋のドアがノックされます。
不死川:どうぞ。
GM:「失礼します」――この前の女刑事さんです。名前は野白。
不死川:刑事さんか…どうかしましたか。
GM:野白さんはバッグから数枚の写真を取り出します。そこに写っているのは"天涯"です。不死川から天涯へ変身している連続写真まで丁寧にある。
不死川:これは?……いや、あんた何者だ――目線鋭く。
GM:「否定はしないようですね……今はノウンマン(知っている者)とだけ言っておきます」
不死川:それで。
GM:「あなたはあの少女を守っていた。だから……私は信用できると思ってこの話をあなたにします」
不死川:黙って聞こう。
GM:「数日前まで世間を騒がしていた連続凍死殺人事件…。実はあの梟の魔物が関わっている事まではわかっている……でも、いかんせん人手も足り無くて……」
不死川:私にどうしろと?
GM:「万年怪奇に執筆し、一度あの梟と戦ったあなたなら何かわかるかと思って……」
不死川:チラリと部屋の中を見ます。
チャチャ:スースー寝てます。
不死川:……わかった。できる限り協力する。それで捜査はどこまで――
GM:「芳しくないわ……被害者に共通点もなくて、どんな基準で連続殺人を犯しているか……最初の被害者は――



被害者一覧
本郷武 (33男) 1月25日04時死亡、新宿駅構内
野木千之助 (78男) 2月 2日22時死亡、西新宿路地裏
笹山望 (25女) 2月11日00時死亡、都庁付近の公園
稲垣逸子 (38女) 2月15日23時死亡、都庁付近の公園
城島理子 (14女) 2月20日01時死亡、歌舞伎町の繁華街にて
管川牧夫 (44男) 2月22日03時死亡、新宿飲み屋街路地裏



GM:――と、被害者の一覧や情報を見せてくれます。
不死川:野白はこれに共通性が無い……と言うが、PLに見せると言う事は、やはり共通性があるのだろう……なんだ?
GM:良く考えて下さい。野白さんは――「たぶん、これからも連続殺人は続く……せめて、次に狙われる対象が解ればいいのだけど……」
………………………………………………………………………………………………

中天に輝く太陽。その光から身を隠すように、その巨大な梟は木陰に身を潜めていた。
――「やっと見つけたホーホー……」
その視線の先には1軒の家があった。今、その家の前には心配そうに周囲を気にする女性が居た。
まるで誰かが帰ってくるのを、今か今かと待っているようだった。
梟が目を細めると影の中へと消えて行く。 一方、女性の方はというと、玄関から出てきた男性に言われ家の中へと入っていく。
そして2人の夫婦が家に入っていくと、そこに梟が待ち構えていた。
――「久しぶりだね、ショーン・アシュリーン……長老達に言われてオウルがやってきたホーホー」

………………………………………………………………………………………………
不死川:そうか……2回言うのはそういう意味か!
GM:(笑)
不死川:く、下らない……(一同爆笑)
GM:「え? もう解ったと言うの!?」
不死川:ああ…"ほんの些細な冗句だ"。
GM:「冗句?……こんな時に何を――
不死川:だからほんの些細な冗句と言っている……つまり"本野笹稲城管"(笑)
GM:その通りです。被害者の頭文字です(笑) 野白さんは言います――「じゃあ、すでに文は完成している? これ以上事件は続かない……」
不死川:違うな。あの梟はいつも語尾に『ホーホー』と付けていた。つまり、"ホー"が苗字の頭に付く人間が次の被害者だ。
チャチャ:と、ここで起き出そう。ガバッ!――お腹空いたー!!!
不死川:第一声がそれか(笑)
チャチャ:あれ……不死川さんの彼女? と寝ぼけながら。
GM:「この子は?」――と野白さんが聞いてきます。
チャチャ:妹のチャチャでーす♪
GM:「妹?」
不死川:………………。
チャチャ:家出少女じゃないよ?(一同爆笑)
GM:「家出少女?」
不死川:……いや、それより事件だが……"ホー"が苗字の頭につく日本人なんているのか?
GM:野白さんも困ります――「えっと……"北条(ほうじょう)"とか?」
チャチャ:はい! チャチャもホーリーって苗字だよ♪
不死川:………………。
チャチャ:お腹空いたから冷蔵庫漁る〜〜――退場。
不死川:実は野白さん、あのチャチャだがなぜか昨日オウルに狙われていた感じだった……。
GM:「じゃあ……」
不死川:ホーリーという名が付く人物はこの町に3人いる。チャチャとその両親だ。
GM:「次に殺されるのはその3人のウチ誰か……という事ね?」
不死川:そうだ。チャチャはここに居るからすぐに警察で保護して欲しい。
GM:さてチャチャ、【感情】で振って下さい。
チャチャ:(コロコロ)……成功!
GM:では野白さんと不死川の会話が聞こえました。
チャチャ:マミーとパピーが!?
不死川:チャチャ、実は大変なことになってきた。キミはこの野白さんと一緒に警察へ――
チャチャ:と、窓のカーテンが揺れていて私はどこにもいない! ダッシュで家へ逃げるーー!!
不死川:ここは2階だぞ!?(笑)

■第九章■

走った。
胸が張り裂けそうだった。
苦しい。
この苦しさは走っているからじゃない。
私はまだマミーにもパピーにも言っていない。
――「次に殺されるのは……」
女の人の言葉が蘇る。
そんな事ない。
でも、どうしようもなく不安で、まるで目の前にある灯りが一つ一つ消えていくような……。
とにかく走った。
やがて慣れ親しんだ家が見えてくる。
安堵。
しかし……その静寂に支配された家は、表面上の安堵より深く、心の奥底に暗い思いを溜めていった。
GM:ではチャチャは家に着きます。
チャチャ:じゃあ安堵して――ただいまー!
GM:返事はありません。
チャチャ:マミー! パピー! 帰ったよ〜♪
GM:家の中にはダンボールが沢山置いてあるのですが、人の気配はありません。
チャチャ:マミー? パピー?

――昔、マミーが言っていた。
 『チャチャ、この先何があっても笑うのを忘れてはいけない』
――いつだったかも覚えていない。自分が小さかった事だけは覚えている。
 『あなたが笑えばみんなが笑う。みんなが笑えばみんなずっと幸せでいられる』
――その頃の自分はマミーの言っている意味は良くわからなかったけど、一つだけはわかっていた。
 『だから……笑いなさい』
――マミーが笑えば自分は幸せだった。だから自分も笑おう……と。

GM:家の居間に入ると、そこには一際大きなダンボールが置いてあります。しかも蓋が微妙にガムテープ張りしてありません。
チャチャ:そのダンボールまで行く。

――不安が安堵を塗りつぶしていく。ジクジクと音が聞こえた気がした。
――すでに心の中は不安しかなかった……いや、それは嘘だ。不安よりも強い想い……恐怖――

チャチャ:マミー……? パピー……?――ダンボールに手をかけます。
その瞬間、軽快な音を立ててダンボールの中から何かが飛び出した。
2本の十字架、そこに貼り付けにされた金髪の男性と女性。
2人とも張り付いた笑みを浮かべ、体中から血を流していた。
その虚ろな瞳がまっすぐに見つめてくる。
チャチャ:あ…あ……あ――
GM:≪びっくり箱≫です。【知性】判定で失敗すると2分間動けなくなります。
チャチャ:(コロコロ)……失敗。

――マミーはもう動かない。マミーの首が変な方向を向いているから……
――パピーはもう話さない。パピーの胸に大きな穴が開いているから……

チャチャ:マミー……パピー……
ブチッ――ブチブチ……ドササ……
十字架と2人を繋いだ縄が切れ、二人が床へと転がった。
気が付けば足元まで真っ赤な液体が流れてきていた。
チャチャ:真っ赤な血溜まりに膝を――
不死川:ここで登場!――チャチャ!!……こ、これは……。
GM:と、チャチャは"暴走チェック"して下さい。
チャチャ:(コロコロ)……64だから失敗。暴走表が51+(コロコロ)……6だから57。
GM:『人間の姿だった場合、魔物の姿に強制変身。1分間は行動不能』
チャチャ:じゃあ大声で叫びながら、小さな魔女のような姿をした魔物に変身!――イヤァァァーーーー!!!
不死川:そんな……魔物だったのか!?
GM:黒い突風が吹き荒れて部屋の回りにあるものを吹き飛ばす! それと同時にチャチャのクラードである2頭身のカボチャのお化け『ジャック・オー・ランタン』が(コロコロ)……4体出現して手に持った鎌を振り回して暴れ出す!
不死川:チャチャは1分間行動不可じゃなかったのか!?
GM:自身の意思ではないです。初めての魔物化に力が制御しきれてないと思ってください。
チャチャ:私の周りで自動的に暴れ出すジャック達に気が付かないように、小さな魔女のような格好をした私は――嫌だ! どうしてマミーが!! どうしてパピーが!! なんでよ! 誰か教えてよ!!!――叫びまくっていよう。
GM:それに反応するように暴れ回るジャック達。
チャチャ:私は……私は……――
ジャック・オー・ランタン達の鎌が、天井を、床を、壁を、家具を、全てを薙ぎ払っていく。
チャチャ:マミーにもパピーにも――
2頭身のカボチャ達が暴れ回る中心で、チャチャは叫んでいた。
チャチャ:まだ謝ってないのに!!! マミーにもパピーにも許してもらってないのに!!!!
GM:一層激しさを増す刃混じりの暴風!
不死川:罪を使って割り込みチャチャを抱きしめる! チャチャが両親を見ないように視界を遮るようにして。
チャチャ:い、イヤ! マミー! パピー!――隙間から手を伸ばして!
GM:では『ジャック・オー・ランタン』達が、主人を守ろうと不死川に切りつけます(コロコロ)……達成値6です。
不死川:避けないぞ。チャチャを抱きしめているしな。
GM:(コロコロ)……ダメージは4点の闇です。鎌で切られます。
不死川:ぐ……チャチャ、落ち着くんだ……心配ない。何も怖いことは無い――と、ジワァ〜と背中から血が流れる。
チャチャ:じゃあジワリと手に付いた不死川さんの血で――え?――大人しくなるジャック達。
GM:ここで野白さんが追いつきましょう。そして死んでいるホーリー夫妻、魔物に切られている不死川、そして不死川が組み付いている小さな魔女のような魔物。
不死川:そう見えるか……確かに。
GM:銃を抜いて構えます――「魔物め!」
不死川:野白さん。
GM:「そこをどきなさい! 危険な魔物は殺すしかないの!」
不死川:どうしてこの子が……危険なんだ?
GM:「その2人の死体を見なさい!」
不死川:子が親を殺すわけがないだろう……まして、チャチャが……――
GM:「チャチャ?……まさかその子は!」
不死川:背中を斬られて苦痛を感じながら――チャチャを殺されるわけにはいかない……私は二度と、この子を殺されるわけにはいかない……。
チャチャ:不死川……さん……――もう1分経ったでしょう? ゆっくりと人間状態に戻っていきます。
GM:それと共に『ジャック・オー・ランタン』達も消えて行きます。野白さんもそれを見て銃を降ろす。
チャチャ:私……私は……マミーとパピーに……伝えたかった……。
不死川:………………。
チャチャ:う゛う゛〜〜……ごめんねって…えぐッ……家出してごめんなさいって…んぐ……もう我が儘言わないって……言ってないのに……――
不死川:我慢するな――優しく。
チャチャ:うう……うわ〜〜〜〜ん!――その腕の中でわんわん泣く!
嵐は去り、静かな部屋に少女の泣き声だけが響いていた。
パキリ……割れた窓ガラスを踏み越え、警察の女性が近づいてくる……
GM:「どうやらこの子は、たった今、魔物としての自分に目覚めたようね……珍しいケースだけど……」
不死川:珍しいのか?
GM:「魔物は魔物として生まれてくるものでしょう? この子はきっと、今までずっと人間として育ったのね」
不死川:
………………。
チャチャ:……ねぇ不死川さん。
不死川:なんだ?
チャチャ:どうしてマミーとパピーは死ななくちゃいけないの?
不死川:それは……――説明のしようが無いな。
チャチャ:……もしかして……昨日見たのが関係しているの? あの梟は夢じゃなかったの? もしかしてあれは……――
不死川:ああそうだ。あれは夢なんかじゃない……全てが現実だ。
チャチャ:………………。
GM:「不死川さん、その子はこちらで預かります」
不死川:チャチャをか?
GM:「そうです。再び魔物の力が暴走する前に……それに、私達の機関なら例え暴走したとしても被害は最小限でカヴァーできます」
チャチャ:やだ! 私はあの梟に会いたい!
GM:「あなたが会ってどうなると言うの?」
チャチャ:それは……わからないけど……でも――
GM:「わざわざ危険に飛び込むと言うの?」
チャチャ:私は……どうしてマミーとパピーを殺したのが知りたい……
不死川:絆判定(コロコロ)……成功――あの梟はチャチャに『また会おう』と言っていた……
チャチャ:お姉さん、ごめんなさい。私は会いに行く。
GM:野白さんはじっとチャチャを見詰めた後――「ふぅ……」
不死川:野白さん、心配はもっともだが私も一緒に行く事にする。この子の笑顔は私が守る。約束する。
GM:「そう……あなたの戦いぶりは昨日見たし、信頼し無いわけじゃないけど……」
不死川:頼む。
GM:「わかった……なんとかするわ」

■第十章■

数年前から誰も寄り付かなくなった都内の廃工場。
窓ガラスは割れ、天井も数箇所が壊れておりそこからオレンジ色の光が入ってくる。
廃工場を囲むように配置された警視庁資料編纂課の人員は、もしもの時に備えて銃を手に見守っていた。
しかし、最初の悲鳴は工場ではなく仲間の中から出た。
不気味なカボチャお化けが、手に持った鎌で仲間達を襲っていた。
GM:では時間の流れ的には、もうすぐ夕方って所でしょうか。ここなら殆ど見られないと言われる廃工場を野白さんから指定され、その中で2人は待っています。
不死川:チャチャ……大丈夫か?
チャチャ:うん。
不死川:………………。
GM:と、外から待機してくれていた警察の人々の悲鳴と、銃を発砲する音が聞こえてきます。クラードの『ジャック・オー・ランタン』が周囲に出現して、警察が応戦していたりしています。
チャチャ:あ、あれって私の周りに出たのと一緒!?
不死川:気にするな、今は目の前の事に集中するんだ……――そして天井を、空が見える壊れた天井を見上げ――来たぞ、チャチャ。
紅い空に浮かんだ1匹の鳥、それが巨大な翼を羽ばたかせて2人の前へと降りてくる……
GM:「チャチャ=ホーリー、このオウルが迎えに来たホーホー?」
チャチャ:教えて……なんでマミーとパピーを殺したの?
GM:「あれはほんの些細な冗句だホーホー」(笑)
チャチャ:!?
不死川:なぜチャチャを迎えに来る。お前とチャチャはどういう関係だ。
GM:「なぜかだって? チャチャはオウルと同じハロウィン=ジョーカーの一族ね。だからアイルランドに連れて行くホーホー」
不死川:ハロウィン=ジョーカー一族?
GM:「そうね。その子の本当の名前はチャチャチャ=ハロウィン。もっとも、生まれてすぐに一族を抜けた両親に連れられて、ハロウィン=ジョーカー一族の事を知らずに育ったと思うけどホーホー?」
チャチャ:チャチャチャ=ハロウィン……?
GM:「お前はこのオウルと同じ一族だホーホー」
チャチャ:だから……だから何よ! それがマミーとパピーとどう関係があるのよ!
GM:「一族を抜けた2人はすでに一族じゃないホーホー、何をされても文句は言えないね。おかげで面白い冗句も言えてオウルは満足ホーホー」
不死川:その2人を殺す為に、無関係な6人も殺したのか?
GM:「ほんの些細な冗句だホーホー」(笑)
不死川:冗談で死を与えるべきではない……。
GM:「オウルの笑いで、あの6人も爆笑しながら死んで行ったね、きっと満足していたホーホー」
不死川:張り付いた笑みを浮かべていたがな。
GM:「死神はあまり良い観客じゃないね、笑いを解っていないホーホー……さぁチャチャ、オウルと一緒に帰るホーホー」
チャチャ:なんで私がマミーとパピーを殺した奴と一緒に行かないといけないのよ! 私は嫌! 絶対にあなたなんかと一緒に行かない!
不死川:オウル……と言ったな。チャチャの気持ちを考えずに連れ戻すというのはいただけない。
GM:「お前だって死神だね。問答無用で人に死を与える存在に、他人の気持ちを理解しろなんて言われるとは思わなかったホーホー」
不死川:確かに!「虚無を失った喪失感」(コロコロ)……成功。
GM:「チャチャの気持ちなんて関係無いね。一族だから連れて行く、それ以上の理由なんて無いホーホー」
不死川:それは"死の匂い"が感じるから殺す……そう言っていた死神と重なるなぁ、動かない――クッ。
GM:「さぁ行くホーホー」――チャチャに近寄っていきます。
チャチャ:イヤ!――石とか投げつける!
GM:翼の一振りで風を起してチャチャを倒す!
チャチャ:じゃあ尻餅ついて――
GM:「さぁ…チャチャチャ=ハロウィン……ジョーカーの世界へ案内するホーホー」
不死川:待て――

――確かに死神は感情を理解しない。まして人の気持ちなどこれっぽっちもだ……

GM:「死神には関係無いことだホーホー?」

――確かに関係ない。しかし……

チャチャ:不死川…さん?

――しかし、私はチャチャの気持ちが何となくわかる。理不尽に死ななければならない存在を、私は幾星霜と見てきたのだから……

不死川:オウル、お前の言うように死神は他者を理解しない……だが、あいにく私は半端な死神でな……黙って見ているわけには行かない――ゴオオッと死神化!
チャチャ:じゃあ驚く!
不死川:黙っていてスマナイ。チャチャ…キミとは別だが私も魔物の1人だ。
チャチャ:不死川さん……も?
不死川:私の名は天涯、死を司る影……死神。オウル、チャチャから離れろ……八絃(はっこう)!――オウルが居る場所を大鎌で切り裂く!
GM:演出斬りなら、こっちも避けます。バッサバッサと飛び立ちます。
不死川:チャチャの前へ。上空を睨もう。

■第十一章■

壊れた天井から紅い光が差し込む廃工場。
天井付近を飛行する巨大梟……オウル。
そして、地上にはチャチャを守るように死神天涯が立ち塞がっていた。
GM:「とんだ邪魔だホーホー……この前は冗句の為に止めたけど、今度は容赦しないホーホー」
不死川:それはこちらの台詞だ。チャキッっと八紘を握ると共に――イニシアだ!
◆1ラウンド◆
[1]オウル(5)
[2]チャチャ(4)
[3]不死川(2)
不死川:しまった……大事な時なのにエライ低い出目を……。
GM:「まずはウケの悪い観客に退場してもらうホーホー」――と、オウルは力むと"ポンッ♪"と軽快な音を立ててタマゴを生みます。
不死川:タマゴだと!?
チャチャ:え、メスだったの!?
不死川:いや、そこは驚くところ……いや驚くところか(笑)
GM:演出ですが不死川に飛んで行きます。
不死川:演出で飛んでくるなら別に避ける――この程度の……
GM:では地面に卵がぶつかると共に大量の普通サイズの卵が散らばります≪びっくり箱≫です。【知性】判定で失敗した場合、2分間動けなくなります。チャチャもです。
チャチャ:さっきも思ったけど、私達が両方とも判定に成功したら、そっちは死んじゃうんだよ? よく遠慮無しに使えるよね?
GM:笑いに命懸けてますから(笑)
不死川:(コロコロ)……――な、なんなんだいったい!?――判定失敗で動けなくなった。
チャチャ:……私は成功、クリティカル!――不死川さん!!
不死川:くッ…逃げろ…チャチャ……――無理に声を絞り出す。
GM:「逃すわけないホーホー」
チャチャ:でも……――とか言いながら不死川さんを見よう。不死川さんを置いて逃げれないよ……的な視線を。
不死川:……このままでは……2人とも死ぬぞ!!!
チャチャ:死…ぬ……。
蘇ってくる記憶。
十字架に繋がられた両親。
あらぬ方向に首の曲がったマミー。胸に大穴を開けたパピー。
床に落ち、真っ赤な血溜まりが広がっていく……。
不死川:チャチャ、私はキミの笑顔を守る。だから今は逃げろ。
チャチャ:笑…顔……。
 『チャチャ、この先何があっても笑うのを忘れてはいけないわよ』
チャチャ:忘れてないよマミー――私は立ち上がってオウルに向き直ります。
 『あなたが笑えばみんなが笑う。みんなが笑えばみんなずっと幸せでいられる』
チャチャ:私はずっと笑っていたい。みんなにもずっと笑っていてもらいたい。
 『だから……笑いなさい』
チャチャ:だから……私は笑う!――その言葉と共に魔物化!
不死川:チャチャ!?
GM:「その姿になったと言って、何ができるホーホー」――魔物化は一瞬だから普通に行動も行って下さい。
チャチャ:私に出来るのはいつだって1つだよ……みんなで一緒に、笑う事!〜☆
GM:「このオウルは笑いに厳しいね、やってみるホーホー?」
チャチャ:オウル! あなたなんてフクロウ叩きなんだから♪――<抱腹絶倒>! 今のは最高のジョークだよ(笑) 聞いた人は全員【知性】で私と対抗判定!
不死川:待て! それって誰か1人でも笑わなかった(対抗でチャチャに勝つ)人がいたら、言った本人が死ぬ業だろ!? 死ぬ気か!
チャチャ:私だって地獄の道化師だもん! 笑いに命懸けてます(笑)(コロコロ)……こっちの達成値は最大値の7!
不死川:ふっ――(コロコロ)……私の達成値は5だ。チャチャには負ける。
GM:「そんなジョークじゃ――(コロコロ)……――ギャー! な、なんて才能だホーホー! 腹がよじれるホーホー!!」(笑)――達成値5です。
チャチャ:じゃあ2人とも(コロコロ)……1だから3分間笑い続けてね。それで不死川さんの≪びっくり箱≫による2分間も消費されるよね?
不死川:ああ、なるほど。危ない橋を(笑)
GM:2分後に不死川は動けるようになります……が、チャチャの冗句が面白くってあと1分は笑い続けて動けません。
チャチャ:私も一緒になって笑っているから(笑)――マミー、私はみんなと違った不思議な力を持っているかもしれない。でも、それは私が魔物だからじゃない……この力は、きっとみんなを笑わせる為にあるんだよね?
GM:と、チャチャが黄昏た所で3分経った事にしましょうか?
チャチャ:いいよ、この3分でオウルを攻撃なんてしないし。
GM:では3分が経ちました――「ホー! ホー! まったく面白過ぎだホーホー!!」――飛んでいたのに笑い過ぎて、その3分間の間に近くへ落ちて来ます。ショートレンジと言う事で。
不死川:ちょっとヨロっとしながら――チャチャ。
チャチャ:ん♪
不死川:この業は二度と使うな(一同爆笑)
チャチャ:ええ〜〜?
不死川:双方共に危険過ぎる!(笑)
◆2ラウンド◆
[1]チャチャ(7)
[2]不死川(6)
[3]オウル(5)
チャチャ:まずは私! お客さんを増やすよ――<ジャック・オー・ランタン召還>(コロコロ)……クリティカル! 〔人間性〕がごっそり減る!?
GM:いえクリティカルの場合、召還される数は絆の合計値ですが、減る〔人間性〕は2点です。
チャチャ:よかった(笑) 周囲に突如召還される大量の2頭身カボチャ! 手には両手持ちの鎌をみんな持っているよ♪
GM:「ホッ!?」
不死川:これは……。
チャチャ:気にしないで不死川さん♪ 沢山出てきちゃったけど「お客はみんなカボチャと思え!」ってね? あははははははッ♪〜☆
GM:「………………」
不死川:………………。
チャチャ:あれ? 面白いの私だけ?(笑)
不死川:なんかチャチャがオウルと同系統とわかって先行き不安だが……真面目にオウルを斬るぞ。
GM:オウルは巨大な袋を出してそれに入ります。回避業の<変わり身の術>を使います。
不死川:梟をフクロウ(袋)ごと斬る!!!
GM:『アッハッハッハッハッハッハッ』――大合奏のカボチャ達(笑)
チャチャ:アッハッハッハッハッハッハッ(笑)
不死川:………………。
GM:『アッハッハッハッハッハッハッ』
チャチャ:って、みんなウルサイ!(笑)
不死川:<死の鎌使い>は(コロコロ)……達成値7だ。
GM:(コロコロ)……すり替われますね。こっちは9です。
不死川:愛を頼む! 自分で「罪」を2点!
チャチャ:「愛」を1点!
不死川:達成値10の目が成功になる! 命中でダメージ9点!
GM:じゃあオウルの血が飛びます。袋が切り裂かれて下から現れたオウルですが……ベニヤ板を持っています。
不死川:ベニヤ!?
チャチャ:ベニヤ?
GM:「痛(板)かったホーホー」
不死川&チャチャ:『板の方かよ!!!』(一同爆笑)
不死川:ふ、不覚にも笑ってしまった(笑)
チャチャ:まさか板の方だなんて……ベタ過ぎて考えもつかなかったよ(笑)
GM:こっちの番です、オウルは<仕込みオール>で突如飛び出してくるボートを漕ぐオールで(コロコロ)……不死川に達成値9で殴ってきます。
不死川:<影のように>(コロコロ)……駄目だ、届かない。
GM:(コロコロ)……ダメージが23点!
不死川:それは死亡だ! かりそめの死!
チャチャ:え!?
◆3ラウンド◆
[1]オウル(12)
[2]不死川(9)
[3]ジャック・オー・ランタンいっぱい(8固定)
[4]チャチャ(5)
不死川:まずい、このままだとトドメを刺される。
GM:オウルはリンゴの芯を取り出して不死川に投げつけます――「死ん(芯)だホーホー」(一同爆笑)
不死川:や、やばい……さっきのベニヤから可笑しくなって来ている(笑)
チャチャ:TRPG恐るべし! どう考えてもつまらないギャグなのに、今はかえって面白い(笑)
不死川:思いっきりオウルのペースに巻き込まれているぞ(笑)
GM:じゃあ天涯に<仕込みオール>でトドメを――
チャチャ:「罪」使って割り込み! 私は無防備にダメージ受けて良いので不死川さんを庇う!
GM:では命中と言う事でダメージが(コロコロ)……17点!
チャチャ:死にはしないけど、額から血とか流してそう。
GM:「邪魔するなホー! お前は連れて帰る必要があるね、だからここで死なれちゃ困るホーホー?」
チャチャ:私は帰らない。あなたなんかと一緒に行かない!
GM:「それは無理だホーホー。お前を守ろうとした死神も倒れたね、あとはオウルに従うしか無いホーホー」
チャチャ:そんな事無い。そんな事ないもん!――「罪」をもう1点使って追加行動――死神ならこんな所で死なないでよ! 私の笑顔を守ってくれるんじゃなかったの? そうでしょフッキー!!!
GM:不死川を復活させるのですね。難易度5で判定して下さい。
チャチャ:【感情】で(コロコロ)……成功!――フッキー起きてよ!!
GM:不死川は全快で復活です。"暴走チェック"して下さい。チャチャには「愛」を5点差し上げます。
不死川:(コロコロ)……66で暴走表送り、41足す(コロコロ)……47。一番高い「虚無を失った喪失感」(コロコロ)……には流されなかった。そのまま死神化――チャチャ、そんな大声を出さなくても聞こえているよ……。
チャチャ:あ…!
不死川:それに忘れてもいない。キミに笑顔を……そして、お前には死を!――オウルを冷たく射抜く。
GM:「う゛……」――とか気圧されよう(笑)
不死川:チャチャ、ありがとう。だがな――
チャチャ:ん?
不死川:フッキーはやめろ(笑)
チャチャ:なんで?(笑) カッコイイ呼び名でしょ♪〜☆
不死川:やれやれ……ふっ――と、ちょっと笑う私(笑)
GM:次はパンプキン達です。
チャチャ:ジャック・オー・ランタン達はみんなして布巾を取り出してオウルに一斉攻撃!――パンパンパンパンッ!――リズミカルな音が鳴り響くよ♪(コロコロ)……達成値は7ね。業は<かみつき>だけど(笑)
GM:(コロコロ)……回避失敗。当たります――「パンパン、パンパン! プキン(布巾)でぶつなホーホー!!」
チャチャ:う!?(←先に言われた)
GM:「……昇りのエレベーターだホーホー」――馬鹿にしたように。
チャチャ:昇りのえれべーたー?
不死川:どういう事だ?
GM:「エスカレーターでもいいホーホー」
チャチャ:上に参ります♪ 下に参ります♪
不死川:上の階…昇る…上がる……なんだ?
チャチャ:わっかんなーーい!!(コロコロ)……ダメージ闇属性の5点!
GM:「"くだらない"(降らない)んだホーホー!」(一同爆笑)
不死川:ふ、不覚なり(←また笑った)
チャチャ:(爆笑中)
GM:と、言いながらジャック・オー・ランタン達にタコ殴りにされている梟(笑)
不死川:チャチャ! 笑い過ぎだぞ(笑)
チャチャ:だって! 巧い事言うんだもん!
不死川:くっ……それは私も思った(笑)くっそー、なんか悔しいな。
◆4ラウンド◆
[1]不死川(10)
[2]ジャック・オー・ランタンいっぱい(8固定)
[3]オウル(6)
[4]チャチャ(5)
不死川:そろそろネタも尽きてきただろう――<死の鎌使い>で攻撃(コロコロ)……達成値7。
GM:「ネタは日頃より溜めてるから問題無いホーホー」(笑)(コロコロ)……回避失敗。
不死川:ふッ…苦労(フ…クロウ)が絶えんな(コロコロ)……ダメージ7点。
GM:「死神もノッて来たホーホー」(笑)
不死川:ち、違う!(笑) チャチャ、さっさと終らせるぞ!
チャチャ:うん!――梟さんの名前……オウル=ハロウィンって言ったよね?
GM:「急になんだホーホー?」――まさか≪ルンペルステルツヒェン≫!?
チャチャ:いや、<理不尽なリドル>!――さぁ問題です♪ 私の"本当の"名前は何でしょ〜か?
GM:その質問の仕方ずるいですよ!
チャチャ:理不尽だもん(笑)
GM:くっそ(コロコロ)……達成値7!
チャチャ:(コロコロ)……5じゃ負けちゃうか――
不死川:「愛」を3点!
チャチャ:ありがとー♪ こっちは達成値8!
GM:じゃあ間違いを言うのか――「お前の本当の名前は"チャチャチャ=ハロウィン"だホーホー!」
チャチャ:「ううん違う……私の名前はチャチャ=ホーリー。マミーとパピーが付けてくれた大切な名前だもん!」――と、ジャック・オー・ランタン達が鎌を持って一斉にオウルに斬りかかる! そんな演出で(笑)
GM:リドル失敗でかりそめの死ですしね。いいでしょう――「違うって言っているのに、ずるいホーホー!」――ジャック・オー・ランタン達が居なくなった後、ふるふると懐から何かを取り出します。それは黒猫です。
不死川:黒猫?
GM:黒猫。
チャチャ:にゃー。
GM:トテトテと黒猫は去って行きます。
不死川:まぁ……何がしたかったか解らんが、「罪」を使って追加行動。トドメを刺す!
チャチャ:え? 私がやろうとしてたのに。
不死川:じゃあチャチャの視界を塞ぐように現れて、八絃を振るってオウルを狩る!――死を齎すのは私だけで良い……――「罪」残っているだけ使う。
チャチャ:せめて「愛」を使おう……。
GM:オウルは消滅します。
その後、工場周辺に現れていたオウルが召還した魔物は消え、野白さんがやって来た。
――「2人とも大丈夫だった!?」
 心配そうに聞いてくる野白さんには、いくつもの切り傷が出来ていた。
――「外は大丈夫、周辺の一般人にも被害は出ていないわ。あなた達が主格の魔物を倒してくれたおかげね」
私は……チャチャ=ホーリーは魔物なのだろう。だけど、こうやって今まで通り話しかけてくれる人もいる。
――「どうしたの2人とも? やけに疲れた顔をしてるけど……」
自然と笑顔がこぼれた。 戦い終わり、私とフッキーは笑顔で見詰め合ったのだった……。 すでに夕日は落ち、辺りは暗くなっていた。
――「さぁ…行くかチャチャ」
私は歩きだす。目の前は真っ暗な闇だ。廃工場の事もあって、周りには外灯すら灯っていない。

私は歩き出す。目の前の闇のように、きっとこの先は魔物の領分なのだろう。誰かの灯した光は無い。
――「うん!」
けれど、自分から手を伸ばせば光はどこにでもある。私にとっての光……それは――

■最終章■

オウルとの戦いの後、チャチャは嫌がりながらも野白に連れて行かれた。
魔物の力を、一般生活で困らない程度に抑える勉強が必要との事だった。
野白久理子は警視庁資料編纂課に所属しているらしいが、その実体は死霊課と呼ばれるように、魔物専門の部署との事だった。
――まぁ、野白さんに任せれば心配は要らないだろう――
1999年3月、謎の連続凍死殺人事件から1ヶ月が経っていた。
GM:では最後です。
不死川:3月になったなら窓を全開にして――「もうすぐ春か……」と、ぼ〜っとしていよう。
GM:トントンッ――ノックする音が聞こえます。
不死川:どうぞ、開いている。
GM:では誰かが入ってきて――「ドアノブ……そろそろ直したらどう?」
不死川:振り返ろう。野白さんかな?
GM:その通りです。
不死川:玄関に歩いていって――久しぶりだな。何の用だ?
GM:「ええ、1カ月前の事件の報告にね……聞きたいでしょう? あの後どうなったか」
不死川:……ああ、そうだな。
野白さんの説明によれば、事件はうやむやの内に迷宮入り扱い。被害者もあれ以降出ていない事を良い事に、捜査も打ち切りになったとの事だった。
さらに捜査に協力的だった事や、今回の功績を認め、どうやら私(天涯)は半魔として市井に紛れて生活する事を認めるとの事だ。
詳しく調べればバレてしまうが、偽の戸籍と言うものも貰えるらしい。
不死川:戸籍か……ありがとう。素直に礼を言っておく。それとも貸り1つかな?
GM:「ええ、そうね」
不死川:………………それで、チャチャは――
GM:「実はね……――と、登場どうぞ。
チャチャ:ただいまー♪〜☆
不死川:チャチャ!?
GM:「実はね……この子は魔物だし、上の方は出身地のアイルランドに帰国させるべきだって意見も出たんだけど……」
チャチャ:嫌だよ! 私日本に居たい!
GM:「こんな調子でね……それに、あの梟みたいな奴等がいる所に帰すわけにはいかない」
不死川:なるほどな……確かに。
GM:「それでできればだけど……あなたに預かって欲しいの」
不死川:私に?
GM:「ええ、この子にはまだ、魔物として進む未来の可能性も眠っている。でも、私達はできれば人間寄りの未来を迎えて欲しい……だからあなたに頼みたいの。人間よりも人間臭い死神さんに」――野白は笑います。「虚無を失った喪失感」と野白の絆で判定して下さい。
不死川:「喪失感」(コロコロ)……成功。(コロコロ)……絆も成功――そう、確かに昔はこんな気持ちにならなかった……それに野白さんに言おう――さっきの借りは無しって事だな?
GM:「ええ、構わないわ。ありがとう」
チャチャ:じゃあ話の流れから許可が下りたと解って――やった〜〜〜♪
GM:「彼女の分の養育費はこちらから出すわ……正直、あの子の両親の保険金を回すから、生活の心配は無いと思って」
不死川:ああ、わかった。
GM:では野白さんは微笑んで帰って行きます。
不死川:では部屋に戻って――しかしチャチャ、本当に良いのか?
チャチャ:何が?
不死川:私なんかと一緒に暮らす事だ。
チャチャ:なんで駄目なの?
不死川:いや、そう言う意味で言っているわけではないが……。
チャチャ:じゃあ良いじゃん! これから宜しくねフッキー♪
不死川:ふぅ……。ああ、宜しくだチャチャ(笑)
そして、死神と地獄の道化師の奇妙な生活が始まる。
時は1999年。
世紀末まで1年を切っていた。
全てを巻き込む変革の時、その時2人はどうなるだろうか……。
しかし、その時のことを2人はまだ知らない。
「フッキー、私お茶煎れたげるね♪」

「ああ、ありがとう」
台所で背伸びをしながらお茶を煎れている。いつも1人だった自分の部屋が急に狭くなった気がした。
――これはこれで良いのかもしれない――
虚無が去った寂しさと共に、誰かが傍にいてくれる暖かさを知った。これを幸せと言うのだろうか……

チャチャはお茶を煎れ終わったのか、危なっかしい手つきで湯のみをお盆に乗せている。

ふと……気になっていた事を思い出し、気が付けば口に出していた――
「そういえばチャチャ、あの時、オウルが最後に出した黒猫、あれはなんだったのだろうな」

「尾まで真っ黒な猫でしょ? 黒猫なんだから白く無い猫、尾まで真っ黒な白く無い猫、尾も白く無い猫」(笑)

「昇りのエスカレーターだな」(笑)
開け放たれた窓から、少しだけ暖かい風が入ってきていた。
――春は……もうすぐそこまで来ている。
BEAST BIND 魔獣の絆R.P.G
第2話『地獄のチャチャチャ』
FIN
◆登場キャラクターデータ◆
かりそめの名:
   不死川京介(ふじかわ きょうすけ)
表の職業:売れない小説家
         年齢:28歳  性別:男
能力値:【知性】6 【感情】6 【肉体】3
絆:【知性】
   【感情】
   【肉体】

住居:




技:
【知性】<情報><知識:死霊><職能:文筆>

【感情】<心理><プロファイリング>
【肉体】
魔の名:
   天涯(てんがい)
アーキタイプ:死神
         魔の齢:512  魔の性:男
能力値:【知性】6 【感情】3 【肉体】7
エゴ:【知性】生命に死を与える(使命)
    【感情】心の動揺をみせたく無い(禁忌)
    【肉体】虚無を失った喪失感(欲求)

武器:八絃<はっこう>
(2D6/ショートレンジ/通常)
防具:なし(0+修正値)
イニシアティブ修正:なし

業:
【知性】<時間停止><恐怖><影分身>
     <クラインの壷>
【感情】
【肉体】<死の鎌使い><影のように><影斬り>
     <影渡り><影潜み><影踏み>
【特殊】≪神出鬼没≫
担当PL:西蓮
解説:怪奇雑誌『万年怪奇』にコラムを持つ売れない小説家。貧乏な安アパートに住んでいる。普段は和服姿で出歩き、ご町内ではちょっとした有名人である。普段から冷静で静かなだけに、冷たい人だと思われているが実は世話焼きな面がある。
  死神の力を持って自分の大事な隣人を守る……そう4年前に誓ったが、感情の煩わしさには慣れておらず、時々虚無を懐かしむ。死神としての習性からか動揺を悟られまいとするのだが、基本的に隠す事ができずに周囲にばれてしまう。それが不死川の不死川らしい所である。


かりそめの名:
   チャチャ=ホーリー
表の職業:小学生
         年齢:9歳  性別:女
能力値:【知性】2 【感情】5 【肉体】3
絆:【知性】
   【感情】
   【肉体】

住居:



技:【知性】<隠す><家事:手伝い>
    <言語:英語>
  【感情】<発見><愛情でカヴァー>
  【肉体】<隠れる><走る>

魔の名:
   チャチャチャ=ハロウィン
アーキタイプ:地獄の道化師
         魔の齢:9  魔の性:女
能力値:【知性】5 【感情】7 【肉体】3
エゴ:【知性】目立ちたい(名声欲)
    【感情】イタズラしたい(欲求)
    【肉体】なにかを壊したい(欲求)


武器:なし
防具:なし(0+修正値)
イニシアティブ修正:なし

業:【知性】<愚者の黄金><理不尽なリドル>
  【感情】<変わり身の術><腹話術>
   <抱腹絶倒><ハーメルンの笛>
   <ジャック・オー・ランタン召還>(汎用業
   <○○召還>に同じ)
  【肉体】<エネルギー吸収>
  【特殊】≪すり替え手品≫≪人間ポンプ≫
   ≪びっくり箱≫≪魂の契約書≫
   ≪運命の取替え≫
担当PL:相原あきと
解説:   クラスで先導して学級崩壊を巻き起こす小学生。生まれてこの方、ずっと人間として育てられ育ってきた。しかし、両親が魔物に殺される事件が起こり、自身も魔物の力に目覚める。明るく元気で笑顔が絶えない少女だが、親というものには過剰に反応する……笑ってはいるが、両親の死は心に傷を残しているのだ。
  ハロウィン=ジョーカーというアイルランドにいる一族であり、ジャック・オー・ランタンの2頭身カボチャ達を操る。それぞれ名前は「チャッピー」「ジャック」「オーちゃん」「ランちゃん」「タンタン」「カボチャ」「カブッチ」と言う名前があり、その7体が基本らしい。

★ビバ雑記 その2★

 ビバ初心者4人で始まった「エレベーターの話」、結果から言えば失敗セッションでした。何が失敗ってエゴ判定と絆判定がよく解っていなかった事! まず死神のPCが事件に全然絡んでこない。これは死神の「姿を見せたく無い」に成功しまくり、それで魔物の姿を……そして人間の姿"さえ"なるべく見せようとしなったのです。それとは逆に私がやった吸血鬼はさしてエゴ判定をする場面が無く、普通に探偵(かりそめの職業は探偵でした)をやっているだけで終りました。
  ま、一番酷かったのが地獄の道化師であり、失敗の印象を強めたのも道化師のせい……かな?(笑) なんせ「目立ちたい」のエゴ判定に成功して、ラストの犯人逮捕(退治?)で活躍できなかった事を理由に、エレベーターが開いた瞬間に、魔物変身! エレベーター周囲に控えていた死霊課の面々に銃を突きつけられる始末。それだけなら良いものを、さらにエゴ判定に失敗して「オレが真犯人だー(←まったく違う)」と騒ぎ経たてて死霊課に突っ込んで……あえなく真の死(笑)
  まったく、なにやってるんですかジャバールさん!(ゲヘナリプレイ参照) それでも、キャンペーン化して第二話・第三話と続けたのが、私達をビバ好きにしたキッカケでしょう(ちなみに地獄の道化師をやった人は、第二話より魔王の息子をやって、うまく立ち回っていました)。とはいえ、それでもそのキャンペーンがまた曲者で――(第三話に続く)


TOPリプレイ ⇒ 魔獣の絆R.P.G.                         戻る