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英雄幻想譚 BLADE of ARCANA
――The 3rd Edition――

星は堕ち、月は欠け、太陽は曇り、影は溢れる。
国土は戦乱のため荒廃し、妖精の森は焼かれ、人々は明日への光を断たれる。
田畑は腐り、深き森には魔が跋扈し、誇りを失った支配者は自己を正当化しつつ悪に加担する。
真闇の世界ハイデルランド。キミは、そんな夜の世界を旅するひとりの英雄となる。

西洋中世風の世界で繰り広げられる、悲しくも壮大なる英雄叙事詩をキミに――

2006年4月29日セッション録音
シナリオ『眠りの王冠』リプレイ

エングレイヴドの歌


◆はじまり

GM:では、これよりBLADE of ARCANA(ブレイド・オブ・アルカナ)のThe 3rd Editionを行いたいと思います。
相原あきと:はい! GMに質問です。ブレカナって何ですか?
GM:はい、お約束の質問ありがとう。しっかりブレカナって略しているところがワザとらしい(笑)
※解説1 「ブレイド・オブ・アルカナ3」
 こういった解説において、今回プレイするブレイド・オブ・アルカナ3(ブレカナ3)の説明を補助的に入れていきたいと思う。このブレカナ3は、本格的英雄幻想譚がテーマであり、中世ヨーロッパに似たハイデルランドを舞台とするファンタジーである。PLは刻まれし者(エングレイヴド)と呼ばれる存在であり、かつて砕けた神の欠片を、身体のどこかに聖痕として刻まれています。
GM:時代は西方暦1070年。このブレカナ3を普通にやる場合に設定される年代です。世界は再び大国同士の戦争が始まってもおかしくない不安定な時代。
西蓮:世界観的には2ndと変わらず中世暗黒時代なファンタジー?
GM:そうですね。その辺は変わりません。それに今回はブレカナの世界観に関係する歴史的な事件を使わず。オリジナルな小国で起こる事件を解決してもらいます。
ボブ:了解。
GM:それでは今回予告――


今回予告

「鏡よ、鏡、私の鏡よ答えておくれ」
鏡はただうわ言のように
1つの言葉を繰り返す
それは過去の再来の前触れ
1人の魔女の野望の叫び

前王妃が死去してより15年
新たな王妃となったアンナは、
数多の力を得て動き出す
己が望みを成就する為に

今再び、ハイデルランド北方の小国イシュタールにて、
刻まれし者と殺戮者の戦いが起ころうとしていた……

英雄幻想譚 BLADE of ARCANA
――The 3rd Edition――リプレイ

『眠りの王冠』
アルカナの刃よ、闇の因果を打ち砕け!


GM:――というわけで、舞台は北方の小国イシュタール。大都市とはいえない小さな都市と、牧歌的な畑が広がるゆったりとした平和な国です。
相原あきと:前王妃が死んで、新しくなった王妃アンナが……殺戮者か。
GM:いやいやいや、そういう事言わない(笑)
※解説2 「殺戮者」
 殺戮者(マローダー)とは、闇に落ちた聖痕者である。聖痕の力に魅入られ、己が欲望に従い力を求める者。殺戮者はゆえに刻まれし者を狩る。それは狩り殺した刻まれし者から新たな聖痕を奪い自分の力とする為である。PCである刻まれし者は、その身に聖痕を3つまでしか宿していないが、殺戮者は4つ以上の聖痕を宿している。ブレカナ3では、基本的にPCの敵と言ったら殺戮者であり、事件の黒幕として動いている事がほとんどである。
西蓮:とりあえずキャラを作ろう。
ボブ:まったくだ。
GM:じゃあ全22種のタロットカードから、好きに3枚選んで下さい。もちろん、同じタロットを3つ重ねて選ぶのもありです。そのタロットはPCの過去、現在、未来の状況を表します。
相原あきと:じゃあ[過去:アダマス][現在:アルドール][未来:コロナ]では?
GM:解ってて……まぁ例として説明すると、アダマスは騎士、アルドールは剣闘士、コロナは王族貴族をあらわすので――
相原あきと:かつては騎士だったが、何かがあり身を落として今は剣闘士、しかしいつかは再び貴族社会へと舞い戻る……そんな運命を持ったキャラですね。
GM:俺の説明いらないじゃないか(笑)
ボブ:これって好きに選んじゃって良い?
GM:構いません。PLが3人しかいないので、多少はバランス考えてキャラを作って下さい。
西蓮:(適当に切ったタロットから3枚抜いている)――[エフェクトス(元素魔術師)][アダマス(騎士)][レクス(賞金稼ぎ)]、運命の順番もこれでいいや。
GM:ちょっと!! 人の話聞いてました!? 3人なんだからバランス考えてって言ったばっかでしょうが!!(笑)
西蓮:いいんだよ。今、タロットがこのキャラの運命を決めたんだから。
ボブ:よし、じゃあ俺は2枚だけ引こう。1つは[コロナ(貴族の子弟)]固定で――
GM:だから引くの義務じゃないから! もっとデータ考えて……――
ボブ:[コロナ(貴族の子弟)][グラディウス(剣士)][ステラ(導き手)]か……貴族だったけど今は一介の剣士、やがて誰かを導くだろう……そんなキャラ。
GM:もうグチャグチャだ……。
相原あきと:大丈夫、私がバランスを取ろう。[オービス(魔法使い)][ウェントス(吟遊詩人)][マーテル(聖職者)]だ。
GM:ああ、援護系ですね……まぁそれで何とかなるでしょう。それじゃあ能力値、技能、特技、装備を決定して下さい。
西蓮:了解。
GM:それが終わったら、体のどこに聖痕が付いているか、近くで殺戮者がいると聖痕がどんな共振を起こして知らせてくれるか、その人に関わり(因縁)が深いNPC、そしてそのPCが辿るであろう因果律(漠然とした運命<出来事>)を決めてキャラ作を終わらせましょう。
相原あきと:
――と言うかさ、ハンドアウトの読み上げが先じゃない?
GM:はっ!?




●ハンドアウト(PC1)
因縁:慕情/ブランネージュ姫
15年前、国では疫病が流行り多くの国民が死んだ。父も母もその時に失った。
身寄りも無く行き場もなくなったあなたを助けてくれたのは、たった1人の少女だった。
以来、キミは城で姫である彼女の身辺警護役として仕えている。
ここ最近、城で不穏な噂を耳にするようになった。
いわく、王妃が姫を殺そうとしているのではないか……と。
恩義に報いるためにも、彼女――ブランネージュを護らなければならない。


GM:ブランネージュとはイシュタールの姫で15歳です。
西蓮:つーかペットだな。
ボブ:ペットですね。
相原あきと:なるほどペットか。
GM:ちょっと!! 確かに姫に拾われてそのまま仕えている設定だけど、別にペットじゃないですから!!(笑)
西蓮:まぁGMのツッコミはその辺で良いとして、なんで実の娘を殺そうと?
GM:一応、それは物語の根幹に関わってくるのですが、城内の噂は血が繋がっていないからだ……という話です。
ボブ:血が繋がってない?
GM:ブランネージュは現国王と前王妃との間に15年前に唯一生まれた子供なのです。前王妃は15年前、ブランネージュを生むと同時に死亡し、今の王妃アンナは後妻なのです。ちなみにアンナと現国王の間に子供は生まれませんでした。
相原あきと:現王妃はブランネージュの継母ってわけね。ブランネージュ姫がもうすぐ成人で、邪魔になってきた……とか噂になっていると。
GM:そんな感じです。
西蓮:で、誰がペットやる?
GM:だからペットじゃないって(笑)
相原あきと:どうぞどうぞどうぞ。
ボブ:どうぞどうぞどうぞ(笑)
西蓮:じゃあ俺が。
GM:結局自分かいっ!!(笑)




●ハンドアウト(PC2)
因縁:自身/王妃アンナ
あなたはこの国の騎士だ。王妃とは旧知の仲だし信頼もしている。
だが、近頃の彼女はどこかおかしい。
以前にもまして冷たい表情をしているのだ。
――なぜ? そう思った時、あなたは気づいた。いつからか、自分の記憶が曖昧になっている事に。
なにか大切な事を忘れている気がする……。その記憶を取り戻さなければならない。
※年齢30歳以上推奨。もしくはフィニス所持者。


GM:因縁の自身とは「他人とは思え無い」という感情です。ちなみに前王妃と、現王妃アンナと両方を知っているPCです。
相原あきと:じゃあ年齢は高めだね。
GM:もしくはフィニス所持者でも良いです。フィニスの聖痕を持つものは不老不死になりますし。今からアルカナ変えるのは有りです。普通はハンドアウト聞いてからアルカナ決めるし(笑)
西蓮:じゃあディアボロス(自身が魔剣などの特殊なアイテムである事を現す聖痕)は?
GM:構いません。イシュタールに代々伝わる聖なる鎧とかになりますが(笑)
ボブ:デュラハン♪ デュラハン♪
相原あきと:なんでだよ(笑)
ボブ:やらないのですか?
相原あきと:フィニスはしないけど、PC2は貰いました(笑)
GM:えっ!?
相原あきと:「え」って何? 私がやっちゃ駄目なの?
GM:いや、プレイヤーBさんはPC1かPC3だと思ったので(笑)
相原あきと:………………。




●ハンドアウト(PC3)
因縁:主従/ブランネージュ姫
あなたは王妃アンナ直属の7騎士の1人だ。
一介の騎士とは違い、あなた達7人は王妃より特別な命を帯びて行動する。
これまでも様々な命をこなして来た。それもこれも、この国のために。
そして、あなたに次なる命が言い渡される――ブランネージュ姫を殺せ――と。
……それは本当に国のためなのか?
あなたはこの命を果たすべきか否か、疑問を感じていた。


GM:最終的に、どう決断するかはPLにお任せします。
ボブ:どっちも殺す(笑)
GM:おいっ!(笑)
西蓮:このPC以外の6人は強いの?
GM:エキストラなので好きにして良いです。ハーレム軍団でも構いませんよ?
ボブ:どうしようかなぁ……騎士っぽい設定だけど、データ的には後衛で良いんでしょ?
GM:構いません。
ボブ:よし、後衛寄りな剣士にしよう(笑)

◆自己紹介◆

エル=ザラード
アルカナ:エフェクトス=アダマス=レクス
聖痕位置:牙の護り(装飾品)=右手の爪=右の掌
種族:ヴァルター  年齢:20  性別:男性
共振:牙の護符から出血
能力値:【体格:11】【反射:14】【共感:9】【知性:12】【希望:12】
技能:<回避2><軽武器3><元力2>
特技:≪元力:輝≫≪防護≫≪鉄壁≫≪先手必勝≫≪精奪≫
因縁:[過去◎友人/ルートヴィッヒ=ライト][未来★慕情/ヒルデガルド=フォーゲルヴァイデ]
因果律:[過去:幽閉][現在:逃亡][未来:全知]
武器:ロングソード、ラウンドシールド、スタディットレザー、グラブ、レザーグリーヴ

西蓮:(以下エル)名前はエル=ザラード。標準的な金髪碧眼の青年です。15年前、ふらふらと孤児だった時にブランネージュ姫に助けられ、以来姫様のために生きています。
GM:因果律的にはかつて幽閉されていたらしいですが……。難しいなら振り直して良いですよ?
エル:いや、考える。
GM:(………………)
エル:そうだな。僕はずっと1人だったから、自分の心を幽閉していたんだ。誰も信じず、誰にも頼らず……ずっとずっと1人で……。
GM:く、暗い……。
エル:そんな時、ブランネージュ姫に拾われて――
ボブ:ペットに。
エル:そう、ペットになり[逃亡](一同爆笑)
GM:逃げないで下さいよ!! シナリオ開始前から主人公いなくなってどうするんですか!!(笑)
エル:ああ、冗談だ(笑) でも[逃亡]って難しくない?
GM:だから振り直しても自分でチョイスしても良いですって!!
エル:わかった……じゃあこうしよう。僕は孤独だった5年間が原因で、死ぬ程じゃないけどかなり病弱なんだ。だからブランネージュ姫に救われてから、今度は日の大半を病院で過ごす事に……。僕はそんな先生達の言いつけを無視して、常にブランネージュ姫のために剣を振るっている。
相原あきと:かっこいい(笑)
GM:よくもまぁ……(←感心している)
エル:未来は[全知]……僕は全てを知るだろう、けれど本当の意味での真実を、きっと僕は知らない。
GM:シナリオの立ち位置的にはブランネージュ姫の護衛とかお付の騎士ってイメージなんですが、大丈夫ですか?
エル:これでも【反射】が14で一番高い。攻撃も防御も普通以上にはできるから大丈夫。
『ブランネージュ姫……ブランのことは僕が守ります。あの日の恩を返す為にも』




ザインハルト=ローゼンクラウン
アルカナ:オービス=ウェントス=マーテル
聖痕位置:形見の護り(装飾品)=左耳=左手の甲
種族:ヴァルター  年齢:37  性別:男性
共振:声が聞こえる
能力値:【体格:8】【反射:13】【共感:14】【知性:11】【希望:12】
技能:<軽武器3><秘儀魔法3>
特技:≪強運≫≪幸運の一撃≫≪風読みの一手≫≪慈愛の光≫≪塔≫
因縁:[過去◎忘却/オーレリア][未来★借り/ゴッダード=ツァイトラー]
因果律:[過去:名声][現在:掟][未来:愛]
武器:ロングソード、ラウンドシールド、プレートメイル、クロスヘルム、ガントレット、メタルレガース

相原あきと:(以下ザインハルト)名前はザインハルト=ローゼンクラウン。37歳の男、灰金色の髪のおじさん。ちゃんと騎士鎧を装備したイシュタールの騎士だ。
GM:アルカナはどこにも騎士らしいのが入ってませんよね。
ザインハルト:私は名誉騎士なのだよ。古の秘儀魔法を操り、聖なる癒しを施し、そして窮地の際には剣を持って戦う。現王妃アンナ様とも、前王妃様とも知り合いであった古き騎士だ。
エル:ザインハルトさん……って呼んでそう(笑)
ザインハルト:現在がウェントス(吟遊詩人)なので、普段は宮中に留まらず領内を見回っている。
GM:今回はその見回りが一区切り付いて、久しぶりにイシュタール城で休んでいるという事で。
ザインハルト:了解した。久々に自由にしていよう。
エル:因果律は?
ザインハルト:過去が[英雄]……今から約10年前、ハイデルランドを揺るがすブレーデル戦争の発端となったリヒテンフェルトの戦い(別名冬の戦い)に置いて、イシュタールは……イシュタールはどっちに付いたの?
※ブレーデル戦争――ハイデルランドを二分するエステルランド王国とブレダ王国がぶつかった大戦争。
GM:イシュタールは北方にあるのでブレダ軍に加担しました。
ザインハルト:じゃあブレダ軍として戦争におもむき、英雄の1人に数えられる程の活躍をした。
GM:それが10年前ですが、シナリオの都合上15年前のことは覚えていません。
ザインハルト:アンナと前王妃と私の3人で……いったい何をやったのだろうか? 思いだせん……アンナに聞けば早いのだろうが、私はなぜかそれができないでいる。
ボブ:シナリオの都合上?
ザインハルト:そう、シナリオの都合上(一同爆笑)
GM:ちょっと!!!(笑)
ザインハルト:ああ、違う違う(笑) 私は怖いんだ……15年前、記憶に無くなるほどの何かを私がしたのではないかと……だから未だに聞けないでいる。私は逃げているのかもしれない……。
エル:現在の因果律が[掟]なのに?
ザインハルト:過去に行った何かに縛られているんだ。それが何だったか忘れてしまったが……私の中でそれは掟となって心を雁字搦めにする。
GM:ああ、それは都合良いです。問題ありません。15年前のついては本編が始まったら少しずつ解かれていきます。
ザインハルト:わかった。それでいいさ……なんせ、いつか私は本当の[愛]を手に入れることが因果律によって予見されている。
ボブ:もうすぐ40だけどな(笑)
ザインハルト:いいじゃないか! いつ春が来ようと私の勝手だ!(笑)
『私はいつまでもここにいよう……そう、この心のままに……』




ハーン
アルカナ:コロナ=グラディウス=ステラ
聖痕位置:額=右手の甲=左手の甲
種族:ワイト  年齢:28  性別:男性
共振:周囲の風が凪ぐ
能力値:【体格:10】【反射:12】【共感:11】【知性:13】【希望:12】
技能:<軽武器3><交渉2><自我2>
特技:≪威風堂々≫≪居合い≫≪戦術≫≪凶眼≫≪戦意喪失≫
因縁:[過去◎不信/アンゼル一世][未来★幼子/リエッタ=クリューガー]
因果律:[過去:裕福][現在:修行][未来:栄光]
武器:ソードステッキ、ケルバーソード、ダガー×5、ガードローブ、秘伝の書

ボブ:(以降ハーン)名乗る名はハーン。イシュタールの出自ではなく南方の別の国からやってきました。だからザインハルトや現王妃が関わったと思う15年前の事件はまったく知りません。
ザインハルト:他所の国からか。それで七騎士に選ばれるとは……。
ハーン:剣の腕を買われて召抱えられた。
エル:現在の因果律が[修行]でアルカナもグラディウスだしね。
ハーン:放浪中に目に留まった……そんな感じ。
ザインハルト:だが過去が[裕福]なコロナという事は……かつては貴族だったのか?
ハーン:ああ、実はエステルランドの一領主の息子でね。10年前の戦いではエステルランド軍の一将として戦争に赴いた。だが……俺は信じられなかったんだ……。
エル:誰を?
ハーン:アンゼル一世を(笑)
GM:たしかに、因縁の過去が[不信/アンゼル一世]だし(笑)
ハーン:もしかしたら戦場でザインハルトとは顔を合わせているかもな、もちろん敵同士で。
ザインハルト:ああ、お前の顔は忘れんよ……どうしてこのイシュタールにいる!
ハーン:はっ、そんな事はアンナ王妃に聞いてくれ。俺はただ雇われただけだ。
ザインハルト:くっ……気に食わん(笑)
エル:なんかおもしろそうだなぁ(笑)
『俺は俺だ。今は七騎士の1人として……お前を導く光となろう』

◆PC間因縁◆

GM:では最後にPC間因縁を作りましょう。まずはエルからザインハルトへ。
エル:(コロコロ)……[友人]か。同じイシュタールの騎士だし、ザインハルトさんはアンナ様とも仲良いから友人のように付き合えているのかも。
ザインハルト:そうだな、エルのことはブランネージュ姫を、命を張って助けられる騎士だと見込んでいる。
GM:次はザインハルトからハーンへ。
ザインハルト:(コロコロ)……[仇敵](一同爆笑)
エル:ザインハルトさん!(笑)
ザインハルト:アンナ……どうしてあのような男を召抱えたのだ! あいつはエステルランドの……我等の敵だとい言うのに!!(笑)
GM:おいしいなぁ。
ハーン:最後は俺からエルへだな(コロコロ)……[不信]らしい。
エル:なんで!?
ハーン:う〜ん……ああ、そうだ。俺はアンナ王妃からブランネージュ姫の暗殺を頼まれるんだよな?
GM:そうですね。
ハーン:なら、その理由は多かれ少なかれ国を思ってのことだろう。そんな王妃の意向に反発するエルに不信を抱く……こいつはブランネージュ姫が生き続けることが後々どれだけ影響を及ぼすか……本当にわかっているのか?
エル:ふざけるな! どうして姫が殺されなければならない! あんたこそ、その理由を知っているのか!!
ハーン:はっ、騎士はただ主の命に従い剣を振るうのみ……考えるのは、主の仕事だ。
エル:あんたは……あんたって人は!!!
GM:待って待って! まだ始まってないから! いきなりヒートアップされても困るから!(一同笑)

 ■導入ステージ■

◆鏡よ鏡……

     シーンプレイヤー:マスターシーン  タロット:フルキフェル(正位置)

王宮を彩る七つの塔の1つ――北の塔。
その最上階には巨大な1枚の扉があった。
薄暗い部屋の中、王妃は、自分の背丈の倍はあろうかという扉に手をかけ……。
その重い扉をゆっくりと開く。
中にあったのは巨大な一枚の鏡。
王妃は鏡へと問いかける。
「鏡よ鏡……私の鏡よ答えおくれ」
鏡が答える――
『それは……姫様……世界で一番なのは……ブランネージュ姫』
王妃は口惜しそうにギリッと歯噛みする……。
エル:ガッシャーンッ!!
ザインハルト:(ナレーション風)王妃は鏡を叩き割ると、その欠片によって流れた血をペロリと舐めた。
ハーン:世界一は私……誰にも……誰にも譲らない!!! けーっけっけっけっ(一同爆笑)
GM:ありえないから!!(一同爆笑)
ハーン:うん、ケーケッケッケッはありえない(笑)
GM:いやいや、その前に鏡叩き割らないから! この鏡重要なアイテムだし!
エル:そうか……残念だ。
ザインハルト:とりあえずシーンに登場しなかったので舞台裏判定するけど良いよね?
GM:どうぞどうぞ、シーンに登場しなかった場合、[買い物]や[鎖を1枚正位置にする]、[HPを1D10回復する]が行えます。
ザインハルト:物忌み〜。
ハーン:物忌み〜。
エル:物忌み〜……最初に1枚ずつ配ったタロットが全員逆位置っておかしいよ(笑)
GM:はいはい、ここで回復したんだから文句言わない。次はザインハルトのシーン行きます。

◆不穏な風

         シーンプレイヤー:ザインハルト  タロット:マーテル(正位置)

イシュタール城にある庭園のテーブルで、1人の騎士が寛いでいた。
ザインハルト=ローゼンクラウン。
10年前のブレーデル戦争では、ブレダ軍の1人として活躍した壮年の騎士である。
ハーン:『ふっ……このバラは美しい♪』
ザインハルト:私はそんなキャラなのか!? 今年で37なんだが(笑)
ハーン:そうか……残念だ。
GM:では透き渡る空の下、ザインハルトは1人中庭でくつろいでいます。
ザインハルト:中庭にあるイスに腰掛け、空を見上げて呟こう――ふぅ……今日もイシュタールは平和だ……。
一同:(爆笑)
ザインハルト:何がおかしい!!(笑)
エル:いや、バラを口に咥えてるイメージしか湧かなくて(笑)
ザインハルト:おのれ!
GM:サクッサクッサクッ……と草を踏みしめて近寄ってくる音がします。振り返れば1人の女性が歩み寄ってきます。黒を基調としたドレス、蜂蜜色の髪を後ろで丸く結っています。
ザインハルト:これはアンナ王妃――会釈しよう。
GM:「めずらしいですね……あなたがこのようなところにいるとは」
ザインハルト:いえ、たまにはゆっくりとしたい日もあるものです。
GM:「そうですか……お隣、宜しいですか?」
ザインハルト:視線だけで会釈し、王妃のイスを引こう。
GM:では王妃はあなたの隣に座り――「平和ですね」
ザインハルト:ええ……――小鳥3羽、囀りながら頭上を飛んでいく。そんな鳥を目で追ってたりする。
GM:それは王妃も視線で追おう……どこか懐かしい雰囲気で。
ザインハルト:ああ、その通りだ。じゃあ一息して――そう言えば王妃、国王のご容態は?
GM:「あの人は相変わらず……病床のままです。私も手を尽くしているのですが……」
イシュタールの国王(アンナ王妃の夫)は、原因不明の病気にかかり病床に伏せっている。
王妃アンナは、国王に代わって精力的に政務をこなしつつ、時に国王の看病を行っているとは場内の誰もが知っている事実である。
ザインハルト:国王の病気って治るのか?
GM:国の内外から集めた医者達は、全員病の原因を解明することができずにサジを投げました。
ザインハルト:サジ……投げたのか……。
エル:もしかして王妃が黒いドレスなのって……喪服?
GM:まだ国王死んでません……が、それほどの決意で政務もこなしているわけです。
ハーン:違うかもよ〜、ただたんにザインハルトを誘ってるのかも。若い頃は仲間だったんだろうし(笑)
ザインハルト:やっと私にも春が(笑)……は、良いとして――気を落とさずに、たとえ国中の医者がサジを投げようと、王はまだ生きておられる。生きておられる限り、希望は捨ててはなりません。アルカナの加護は、あきらめ無い者にこそ奇跡をお与えになるのですから。
GM:アンナ王妃は微笑み――「ありがとうザイン、そう言ってくれるのはあなただけです」
ザインハルト:ん? GMに聞きたいんだが、国王が生きてて欲しいって人は城内では少数派なの?
GM:ぶっちゃけ少数派です。アンナ王妃が政治を取り仕切ってからは、国民の生活は安定していますしね。現国王は優しい人なので、締めるところ締めるアンナが仕切ってからは、悪徳的な大臣とか商人が減ったというのが事実です。
ザインハルト:なるほどな。では言おう――それに、姫にとっても父親がいる、いないは……重要でしょうからな。
GM:「ブランネージュ……あれももう15歳ですね……」――その言葉に少し寂しそうなニュアンスをザインハルトは受け取ります。
ザインハルト:寂しげ? そうか……ブランネージュは実子じゃないんだったな――ブランネージュ姫……美しくなられた。
GM:ではザインハルトは<知覚>で判定して下さい。
ザインハルト:技能は無いから【知性】で判定(コロコロ)……2で成功。クリティカルじゃないけど、かなり高いぞ?
GM:「そう……美しくなった。この15年で……ますます……」――ザインハルトの横で空を見上げ、アンナ王妃はそう呟く……その横顔は、どこか冷たいものを感じます。
ザインハルト:アンナ……?――と思わず昔馴染みな呼称をしてしまう俺。
ハーン:この流れ……どう見ても不倫物語なんだが(笑)
エル:ランスロット(アーサー王伝説に出てくる円卓の騎士)ですよね(笑)
GM:アンナ王妃は言います――どうしました、ザイン?
ザインハルト:あ、ああ、いいえ……別に。
GM:そこで侍女がやってきて王妃を呼びます。アンナ王妃は立ち上がると――「では、私は職務が残っていますから……これで」
ザインハルト:アンナ王妃……無理をなさらぬよう。
GM:「ええ、ありがとう」――そして去り際、王妃は誰にとも無く小声で呟きます――「15年前の清算は私がしなければ……」――退場です。
ザインハルト:再び1人になった庭で、王妃の去ったほうを見つめつつ――忘れてしまった15年前のことを、なぜか今は……思い出さなければならない気がする……。今まで、こんな風に思った事はなかったと言うのに……。
15年前、アンナ王妃とザインハルトは確かに"何か"を行った。
ゆえにアンナは王妃となり、仲間であったザインハルトはイシュタールの騎士となった。
ザインハルトが気になる点は1つ。
前王妃……について。
前王妃は"病死"した。
イシュタールの国民全てがそれに疑いを持たない。
GM:しかし、ザインハルトには"それは違う"となぜか確信を持っています。
ザインハルト:ふむ……。
ハーン:前王妃とザインハルトが不倫して殺しちゃったとか?
ザインハルト:おいっ!!!(一同爆笑)
エル:いや、可能性はある……さっきザインハルトさんは、姫のことを綺麗になったと言っていたが……。姫って前王妃の娘だよね?
GM:そうです。
エル:ほら、アンナ王妃も怒って席を立つわけだよ(笑)
ザインハルト:待て待て待て、だから私はどこのランスロットだ(笑)
GM:ではシーンを閉じますか?
ザインハルト:いや、最後にちょっとだけ演出を……。
風が城の尖塔に立つイシュタールの国旗をはためかす。
バタバタと音をたてるその旗を見て、眉根を寄せてザインハルトは呟く。 「何も……なければ良いのだが……」

◆暗殺指令

         シーンプレイヤー:ハーン  タロット:ステラ(正位置)

イシュタール城謁見の間。
王はすでに病床にあり、命を下すは常に王妃アンナであった。
ハーンはその騎士とは見まごうその装備で、王妃の前に片膝をつく。
ハーン:七騎士が1人、ハーン……ただいま参りました。
GM:「この度、ロイヤルガード(通称"七騎士")筆頭のあなたを呼び出したのは他でもありません……。また再び、あなたの力を借りることになりました」
ハーン:俺の力を……か。
GM:「ええ、この国の存亡に関わる……大きな出来ごとです」
ハーン:それで……俺に誰を殺せと?
GM:「もう一度言います。これは……この国を存続させるためには必要な事なのです。理解は……していますね、ハーン」
ハーン:重々に。
頷くとともに深く頭を下げるハーン。
しかし、ハーンは疑問に思う。
王妃から依頼される汚れ仕事において、"建前"を繰り返し言い付かったことはあっただろうか?
まるで……なにか言い訳をしているようで――
ハーン:と、そこまで考えつつも何も言わない。王妃の言葉の先を促します。
GM:「いいでしょう。あなたに葬ってもらいたいのは……」
ハーン:無言で。
GM:「ブランネージュ……。私の娘です」
ハーン:ちょっと眉をしかめつつ――わかりました。
GM:「他に何かありますか?」
ハーン:俺はあんたに助けられた。その恩を返すまではどんな事でも忠実にこなすさ。たとえそれが……どんな命令であっても。
GM:アンナ王妃はそんなハーンを無表情に見送ります。
今まで、アンナ王妃からはいくつかの汚れ仕事を仰せつかってきた。
しかしそれらは、あくまで敵国やそれに類ずる斥候の始末だった。
今回のように宮廷の……ましては身内の暗殺など……。
GM:そういう身内を殺すような依頼は初めてです。
ハーン:アンナ王妃を嫌う大臣を殺せ……とかも無かったのか?
GM:無いです。アンナ王妃にとって、イシュタールの政敵は皆無です。牧歌的で平和な良い国だと思って下さい。
ハーン:それが今回は身内の……それも娘を殺せ……か。
GM:はい。
「少し……慎重に事を運ぶか」

◆雪の降る朝

         シーンプレイヤー:エル  タロット:ウェントス(正位置)

15年前のことだった。
疫病が流行り、キミは家族を失った。
家財は性悪な親戚に全て奪われ、寒空の下へ5歳のキミは放り出された。
それから5年、劣悪な日々が続く。
キミの運命を変えたのは、犬や猫と変わらぬ生き方にも慣れて来たそんなある朝だった。
GM:最後の導入はエル。キミは15年前に全てを失い。そこから孤児として5年間、がんばって生きてきました。今は10歳、そんな頃の回想シーンです。
エル:お母さん……お父さん……どうして……なんで……――トボトボと。すでに全てを失って孤児として今日を生きる日々――ねぇ、おじさん、ぼく、なんでもやるから雇ってよ?
GM:仕事先を求めるも、幼いキミを働き手として雇ってくれる場所は無かった。
エル:無いのか!(笑) じゃあ良いよ!――なんだよ……ちくしょう……。
GM:その日は初雪が降りました。寝床にしていた大通りに面する路地裏にも、そっと寒気が押し寄せる。
エル:ううう……寒い……寒いよ……――と、僕は親から習っていた魔術(元力)で火をつける――あ、あったかい……。
ハーン:やがてその火には幸せだった頃の幻影が……。
エル:ああ、七面鳥だ……美味しいなぁ……。
ザインハルト:マッチ売りの少女か!(笑)
エル:そう言えば、最近何も食べれて無いなぁ……ああ、お母さん、お父さん……今までどこに行ってたのさ? 僕を……どこに連れてってくれるの?(一同爆笑)
ハーン:死んじゃうね(笑)
ザインハルト:雪の中、5歳の少年が幸せそうな笑顔で凍死してるんだな。

BLADE of ARCANA 
――The 3rd Edition――
リプレイ

『エングレイヴドの歌』

〜〜完〜〜

GM:終わらないですから! まだ続きますから!!(笑)
エル:じゃあ僕はそのまま眠るように雪に倒れこむ。その笑顔はとても幸せそうだ(笑)
GM:では、そんな冷え切ったエルの頬に、なにか柔らかく暖かい感触が……。
エル:う……うう……――意識を取り戻そう。
GM:「あ、動いた……ねぇ、だいじょうぶ?」――幼い女の子の声がかけられます。
エルがその暖かさに目を開けてみれば、そこには瞳を真ん丸く見開いた少女がいた。
雪避けの傘を持ち、路地裏にはそぐわない綺麗な身なり。
そして、そのプラチナブロンドの髪は、エルには春の太陽を思い出させる。
GM:幼い少女はキミに雪がかからぬよう傘を傾け、心配そうにキミを見つめる。
エル:ああ……僕は最後に……――少女に手を伸ばそう。
GM:条件反射的に少女はキミの手を掴みます。持っていた傘が雪の上に落ちる。
エル:僕は手を握られなぜか安心する。年端の行かない少女の手だけど、その暖かさはいつぶりだろう……懐かしい……と。……うん、このまま死にそうだな(笑)
ザインハルト:まったくだ(笑)
エル:じゃあ本当に幸せそうな笑顔を浮かべて……そのまま僕は意識を失おう。
「お母様! たいへん! この子、こんなところで寝たら――」
遠くなる意識の端で、エルは少女の慌てる声を聞いた。
雪が降るイシュタールの朝。
路地裏で生きてきたエルは、その時始めて運命を知った。
――そして10年後――

GM:では回想が終了します。エルはその後、元々の才能を開花させ、あの雪の日の少女――ブランネージュ姫――の身辺警護役にまで上り詰めました。
エル:今の僕は20歳。ブランネージュ姫は15歳だっけ?
GM:そうです。
ハーン:執事みたいにいつもエルが側にいるんだろ? 他の貴族の男子とかに妬まれそうだな(笑)
エル:確かに……まぁ返り討ちにするけど(笑)
GM:ではマッチ売りな回想に飛んでいたエルは――「エル! ねぇエル!!」――とブランネージュ姫から呼ばれます。今はブランネージュ姫の部屋の前で警護中という事で。
エル:警護は僕1人? じゃあ遠慮無く部屋へ入ろう。この年だと世話係も兼任してる気もするし。
エル:ああ、ごめん……ちょっとぼ〜っとしてて……――部屋に入って普通に話そう。
GM:「もう、それじゃあずっと聞いていてくれなかったのですか?」
エル:う、うん……ごめん。
GM:「い、いえ、その、そんなに謝らなくても良いのです……私が勝手に話していた事ですし……」
エル:いや、いいんだ。できればもう一度聞かせてくれますか?
GM:「あ、ええ……その……、エルは、私のお養母様をどう思われますか?」
エル:とても聡明で、いつもこの国のことを思っておられる……優しい方だと思われます――確か国での評判は良いんだよね?
GM:はい。宮中に主だった敵もおらず、国民からも慕われています。
エル:どうしたのですか? 急にそのようなことを……。
GM:「ええ、でも……このごろ不安なのです」
ハーン:不倫とか(一同大爆笑)
ザインハルト:誰のことを言っている!!!(笑)
GM:いきなりオトすな! 黙れ!(笑)
エル:僕は真面目に答えよう――不安……ですか?
GM:「はい……以前はあんなに優しかったのに……今は、なぜか私を見る目が……」
エル:気のせいですよ。きっとアンナ王妃もお忙しいのです。それにほら、もうすぐブランネージュ姫の誕生日ではありませんか、その日にはきっと優しい王妃様にお戻りになられますとも。
GM:「そう……そうですよね! また、以前のように優しく……」――それでも不安そうにブランネージュ姫は呟きます。と、ここでエルは<事情通>で判定して下さい。
※解説3 「判定」
 BLADE of ARCANA――The 3rd Edition――では、判定に20面ダイスを使用する。PCの持っている<技能>の数だけダイスを振る事ができ、出た目で一番低いダイスを採用する。この時、判定する技能に対応した【能力値】以下の出目で無いと判定は失敗である。この時、振ったダイスの全てが20であった場合はファンブル。どれか1つでも1の出目が出た場合はクリティカルとなる。
エル:<事情通>はダイス1つか……【共感】が9しか無いから5分5分の確率だ(コロコロ)……3! よし成功!
GM:すばらしい。ではエルは知っています。現在の王妃アンナは、前王妃に関係にする者や肩入れする者に対して、通常より厳しい処分を下す……と昔から噂されていました。それが最近、噂ではなく真実ではないか……と囁かれています。
エル:それで……心無い者達が、前王妃の娘であるブランネージュ姫も……。
GM:はい、『美しくなった前王妃の娘ブランネージュを、アンナ王妃は妬んでいる』と噂が流れています。
エル:気にしてはなりません。そんな根も葉も無い噂を信じてどうするのですか? アンナ王妃の優しさは……誰よりもあなたが知っているはずです。
GM:「ええ……そうですね。エルと話せて胸の中のわだかまりが少し消えた気がします」――ブランネージュ姫は笑顔で答えます。
エル:まだ少し無理をしてるなぁ……と僕にはわかる。
ハーン:わかるんだ!?(笑)
エル:わかる!(断言)……だけど、ここは合わせよう――ええ、良かった。それじゃあ今日はお休み下さい。
GM:「はい、そうですね……おやすみなさい」――と言ってから、部屋を出て行くキミに――「そうだエル……」
エル:扉を閉める途中で止まろう。
GM:「ありがとう」
エル:それには笑顔で返そう――そして部屋の扉を閉める。そして僕は心の中で反復する。
『ありがとう』
その笑顔に何度救われた事か……。
10年前のあの雪の日から、ずっとエルは秘めている宝物がある。
だけどそれは、けして心の奥から出してはいけない宝物。
今はただ、目の前の笑顔を……彼女を守るのが自分の使命。 「どんな噂が立とうとも……僕は、あなたの味方です……」
■展開ステージ■

◆王宮の噂

         シーンプレイヤー:ハーン  タロット:コロナ(正位置)

「それにしても……姫様はお美しくなられたな……」
「ああ、そこはかとなく前王妃の面影もある」
「アンナ王妃もお美しい方だが、いずれ姫様はそれ以上に美しくなられるのだろうなぁ」
「お、おいっ! めったな事は言うもんじゃない。王妃様の耳に入ったら牢獄行きだぞ!?」
ハーン:俺は城内の噂話を集めよう。兵士達の話し声とかに耳を傾ける。
GM:では部屋の中で話している兵士たちの会話が聞こえます。姫様は美しくなった、とか、王妃以上なんじゃないか?とか……そして、それを口に出したら王妃に牢獄へ叩き込まれるぞ……とか。
ハーン:貴族だけでなく、兵士たちにまで広まっている……か。
ザインハルト:GM、登場して良いか? 私は部屋の中で噂をしている1人になりたい。
GM:どうぞ、登場判定して下さい。
※解説4 「登場判定」
 GMが許可した場合、1D20を振って【希望】以下が出ればそのシーンに登場する事ができる(もちろん、登場したPCは[鎖]を受け取る)。この時、振る事ができるダイスの数は基本的に1つだが、PCの持っている[因縁]のキャラがそのシーンに登場している場合、そのキャラにつき1つ、振る数を増やす事が可能。ちなみに、登場せずに何もしない場合は、[舞台裏判定]を行う事ができる。これはHPの回復、装備の購入、物忌み(自分のタロットを1枚正位置に変える)のどれかが行える。
※解説5 「鎖」
 シーン終了と共にシーンタロットはシーンPCへ配布される。またはシーンに登場したPCは、その時に1枚山札からタロットをGMが引き配られる。この配布されるタロットカードを[鎖]と呼ぶ。GMは山札から引いた時にタロットが正位置か逆位置かを宣言しておき、正位置、逆位置のままPCへ配布する。ただ、シーンタロットはシーン中にPCがクリティカル判定を出した時には正位置に、GMがクリティカルを出したりPCがファンブルを出した場合は逆位置になるので注意する事。[鎖]は3枚まで手元に置く事ができ、4枚目を貰った場合は手元にある中から1枚をGMの捨て山へと返却する。
ザインハルト:私の【希望】は12、シーンに登場しているハーンには[因縁:仇敵]を持ってるから振るのは2個(コロコロ)……16と18、失敗した(笑)
GM:ではザインハルトは登場できません(笑)
ザインハルト:なんてことだ(笑)
ハーン:じゃあ気を取り直して部屋に入っていこう。
GM:七騎士……ぶっちゃけ王妃直属の近衛兵なので、噂話をしていた兵士たちは直立不動になります。
ハーン:兵士たちの前は歩いていって――任務ご苦労、何も異常は無いな?
GM:「はっ、問題ありません!」
ハーン:そうか、それはよかった……――と、部屋を出て行くが、途中でふと立ち止まって――だが、声の大きさには気をつけろよ?
GM:と、部屋を出て行くのですね?
ハーン:ああ。
エル:それで僕は登場しよう。廊下を歩くハーンさんに偶然出会う感じで。(コロコロ)……登場判定は成功(笑)
ザインハルト:普通は成功するもんだ(笑)
エル:あ、ハーンさん!
ハーン:俺はエルに不信を持ってるんだよな……――これはブランネージュ姫の……こんな所でどうされたかな?
エル:あ、いえ、ブランネージュ姫に紅茶をと思いまして。
ハーン:それは結構なことだ……それなら早く行った方が良い。姫の護衛が側を離れるのはどうかと。
ザインハルト:殺す気まんまんだな(笑)
エル:おのれハーンめ!(笑) ところでGM、さっきの噂話は僕も聞こえちゃった事で良いかな?
GM:構いません。シーンに登場したわけですから。
エル:ところでハーンさん……今の噂話なんですが……。
ハーン:気にするな。所詮はただの噂話だ。王妃様がそんな事をするはずがあるまい?
エル:それは……そうですが……。
ハーン:それより早く姫様のところへ行ったらどうかな? せっかくの紅茶が冷めてしまうぞ。
エル:あ、はい。そうですね……それでは失礼します。
ハーン:去って行くエルに、聞こえないように呟こう――
「ゆめゆめ姫の側を離れない事だ……お前が姫の、護衛だと言うのなら……」

◆王女の杞憂

         シーンプレイヤー:ザインハルト  タロット:アルドール(正位置)

どこか不安が付きまとう。
いつからだろう? 嫌な噂を聞くようになってから?
それとも、お養母様があまり自分へ話しかけてくれなくなって来ているのを察してから?
部屋に1人待つ時間、ブランネージュはそれがとても怖かった。
「紅茶を煎れて来ます」
そんな風に言ったエルはまだ帰ってこない。
ザインハルト:GM、ブランネージュ姫が自室の前で、何かを待っている……そんなシーンがやりたい。
GM:どうぞ、ではそんなシーンにザインハルトは出会います。
ザインハルト:これはブランネージュ姫、お部屋に入らず、このようなところで何をしておいでですか?
GM:「あ、あなたは……ザインハルト様。いえ、少々……」――と誰かを待つ感じですかね。
エル:ザインハルトさんには様付けなの?
GM:アンナ王妃の友人だし、……変かな?
ハーン:いや、有りだと思う。ブランネージュ姫から見たら親戚のおじさんとか似たような立ち位置っぽいし(笑)
GM:じゃあザインハルトはザインハルト様って呼びます。
ザインハルト:了解。私は部屋の前に出て待っているのをそれとなく察しつつ――姫様、最近は城内で心無い噂を話す者もおられるようですが、気にしてはなりませんぞ。
GM:「どうして……それを……」――とても暗い感じになります。
ザインハルト:この私の耳にも入るぐらいですからな……まったく、お恥ずかしい限りです。
GM:「いいえ、私は大丈夫です。エルにも……心配するなと言われたばかりですから」――少し表情を柔らかく言います。
ザインハルト:エルが?……ふふ、なるほど――私も少し笑おう。
GM:「な、なにがおかしいのです!」――少し赤くなりながら。
ザインハルト:いえ、別に……お気を悪くしたのでしたら、申し訳ありません――片膝をついて謝ろう。
GM:ブランネージュはからかわれたと思って、少し怒っています。その表情や雰囲気が誰かを思い起こさせる。
ザインハルト:それにしても……似ている……――若き日の前王妃の顔が重なるんだろうな……でも思い出せない私がいる(笑)
エル:そこに登場しよう。ブランネージュ姫もいるし3D振れる(コロコロ)……成功――ザインハルトさん?
ザインハルト:おお、エル……ブランネージュ姫がお待ちになっておられたぞ? わざわざ部屋の外にまで出てきてな?――さらにからかうような口調で(笑)
GM:「ザインハルト様……そ、それは……」――姫様は狼狽します。
ザインハルト:じゃあエルの持ってきた紅茶を見て――そうまでして紅茶が待ち遠しかったらしい、エルは早くお煎れしてあげると良い(笑)
GM:「ザインハルト様!!」――恥ずかしさで真っ赤になります。
エル:ちょっとブランネージュ姫に見とれてるかも(笑)
ザインハルト:それでは私はこれにて……失礼致します。
エル:ああ、それは待って下さい! せっかく出てきたんだからザインハルトさんに聞きたい事がある――ザインハルトさん!――呼び止めます。
ザインハルト:立ち止まろう。
エル:ザインハルトさんに近寄って、姫様には聞こえないように聞きます――前王妃とアンナ王妃の間には何があったのですか? 15年前……この国ではいったい……。
ザインハルト:知らないほうが良い過去も、あるものさ。
エル:でも! 今の城内で囁かれてる噂は……。15年前のことがわかれば僕にだって……。
ザインハルト:無理だな。過去は変えようが無い事実であり、その因果をいまさらだ。それより、もしキミに出来ることがあるとすれば……ブランネージュ姫の側で剣となり盾となる事だ。
エル:ザインハルトさん……――どこか寂しげな雰囲気にそれ以上の追求はやめよう。
ザインハルト:では去らせてもらおう――退場だ。
「剣となり盾となる……か。私にもそれが出来たのなら……」

◆リヒテンフェルトの禍根

                   シーンプレイヤー:ハーン  タロット:アクシス(逆位置)

そこはイシュタール城の中で、過去から現在までの資料が収められている図書館だった。
壮年の騎士が1人、15年前の出来事について書かれた書物を読み解いている。
しかし、そこに書かれるはどれもこれも当たり障りのない表向きの真実のみ。
「ちがう……15年前、そこであったのはこんな出来事じゃなかったはずだ……」
GM:一応聞いておこう。ハーンは何かやりたいシーンがありますか?
ハーン:やりたいシーン? じゃあブランネージュ姫を殺したシーンとか。
GM:早ぇよ! もう対決シーンじゃないか!(一同爆笑)
ハーン:あんたが言えって言うから(笑) まぁまだ情報が足りないから調べてからかなぁ……そのシーンは。
エル:結局そのシーンはやるんだ……。
ザインハルト:がんばれ、エル(笑)
ハーン:とりあえず、アンナ王妃は自国のものをターゲットにした事は無いんだよな?
GM:そうですね。
ハーン:じゃあ、やはり今回の任務は特別だな……なにか裏がありそうだ。最悪、俺をトカゲのしっぽにする気かもしれない……。
ザインハルト:アンナ王妃はお前の中で、どれだけ腹黒いんだ(笑)
ハーン:と、言うわけで<事情通>(コロコロ)……13だから失敗か。
GM:失敗か、それなら表向き誰でも知っている情報――『前王妃は病死との見解だが、その事に疑いを持っている者は少なからず存在する』
ハーン:それはそうだろうな……アンナ王妃が元侍女であったという経歴からもその特殊性が覗える――よし、ザインハルトに登場願おうか。
ザインハルト:普通に登場判定すればいいのかな?
GM:どうぞ。
ザインハルト:(コロコロ)……成功。登場した。場所はどこなんだ?
ハーン:そうだな……城にある資料室としよう。図書館みたいなところへ俺が入っていくと、すでにザインハルトが何か調べ物しているって感じで。
ザインハルト:ああ、それはいいね。私は15年前の事が気になってこの国の記録書を見ているんだ。
ハーン:これはこれは……ザインハルト殿、何かお調べ物ですかな?(無駄にピリピリムード)
ザインハルト:ハーン殿こそこのような場所に来るとは、珍しいこともあるものだ。
ハーン:いや、なに、事を起こすにはまず事前に、下調べをせねばなりませんからな……。
ザインハルト:ほぅ……それで、何をお調べに?
ハーン:ブランネージュ……姫様について少々。
ザインハルト:なに?
ハーン:姫様につきましては、15年前から"いろいろ"と曰く付きですからな……そうは思いませんか? ザインハルト殿。
ザインハルト:……何が言いたい。
ハーン:別に……ただ、15年前、アンナ王妃とともにこの国におられたザインハルト殿なら、何か我々の知らない秘密をお持ちではないかと……。
ザインハルト:そんな事!――と感情を荒立てそうになって、ふと記憶が無い事が引っ掛かり自信無げに――そんな事……あるわけが、なかろう。
ハーン:ふむ……――眉根をピクリと動かす。
ザインハルト:それより! 姫様について調べるなど……いったい誰が!
ハーン:誰だと……お思いかな?
ザインハルト:アンナ王妃……か――わかっていた答えだったので苦虫を噛み潰したような顔に。
ハーン:ご名答、我等七騎士に命を下せるのは、王妃様のみ……。
ザインハルト:エステルランドの犬が!よくも王妃に取り入り大手を振ってイシュタールの土を踏めたものだ!
ハーン:アンセル一世は、俺が剣を捧げるに値する相手ではなかったというだけの事だ。
ザインハルト:だからと言って……私は忘れぬ。あの10年前のリヒテンフェルトの戦いにおいて、我がイシュタールの騎士が、たった一騎の騎士に敗れ去った……あの戦いを。
ハーン:それも戦での事。俺が何人葬り去ろうと、お互い様だったはずだ。
ザインハルト:……確かにな。だがしかし、それで貴殿がイシュタールに忠誠を誓っている理由にはならない。今もエステルランドの犬として暗躍している可能性だってある。
ハーン:ああ、命までこの国に捧げようとは思っていない。だが、今の俺はこの国のために剣を捧げている……少なくとも、お前に信じてもらうために七騎士になったわけではないのでな。
ザインハルト:ふんっ、なら好きにするが良い――本を閉じて資料室を出て行こう。
ハーン:ああ、好きにさせてもらうさ。……だが、俺の邪魔はするなよ。
ザインハルト:それはこちらの台詞だ。私の目が黒いうちは、この国で好き勝手はさせん。覚えておけ。
「……イシュタールの騎士ザインハルト……やはりヤツは、何かを知っているようだな……」

◆幸福のひと時

         シーンプレイヤー:エル  タロット:グラディウス(逆位置)

いつもならすでに自室へともどって来る時間だった。
しかし、今日はまだ帰ってこない。
指南役から今日の稽古が時間通りに終わらないとの連絡は来ていないから、
稽古は問題無くおわったのだろう。
エル=ザラードはブランネージュ姫の部屋の前で、久々に帰りの遅い姫様を待っていた。
GM:姫様が行方不明です。それを一番心配なのはエルです。
エル:行方不明!?
GM:と、言っても誰かに誘拐されたとかじゃありません。お稽古の時間が終わっても自室に帰ってこない……それだけの事です。
エル:ブランネージュ姫って時々そういう事は?
GM:ありました。中庭のバラの花がとても綺麗で、見とれてたりとか(笑)
エル:本気でお姫様だなぁ……わかった。探しに行く。それならすぐに見つかりそうだし(笑)
城の裏手にあるその庭園では、アンナ王妃の希望でいくつかの果樹が植えられていた。
午後のひと時、木漏れ日が差し込むリンゴの木の下で、
太陽の光をそのまま取り込んだような真っ赤なリンゴを手に、
シャクリと瑞々しいリンゴを一齧りしているブランネージュ姫がいた。
エル:ブランネージュ姫! なにをやっておられるのですか!――ちょっと怒り気味に。
GM:「あ、エル!? こ、これはその……」――はした無いところを見られたと、真っ赤になってリンゴを背に隠します。
エル:ふぅ……リンゴが、食べごろのようですね――と、少し手を伸ばして僕も1つもぎります。
GM:「……エル?」
エル:シャクリと一齧り――うん。やはりリンゴはかじって食べたほうが美味しいですね――ニコリと。
GM:それにはブランネージュ姫ももう一齧りして――「ええ、本当に」――いっしょになって食べてくれたエルに、嬉しそうに言います。
エル:少しの間、木漏れ日の下で木々の向こうに見えるイシュタール城や空を見ながら、リンゴを食べよう。
幸せな時間が流れる。
何を話すわけでもなく、ただ、2人で過ごす……それだけの時間が……。
GM:「そういえば、知っていますか? リンゴは初雪が降るころが一番美味しいのですって?」
エル:そうなのですか……それは知りませんでした。
GM:「ふふ……そろそろ、この国にも冬が訪れるのですね……エルと出会って10年目の冬が……」
エル:そうですね……あの時、ブランネージュ姫に助けてもらわなければきっと僕は死んでいた……今でも、あの日のことは忘れません。
GM:ブランネージュ姫はキミの言葉にちょっとだけ唇と尖らせて言う――「ええ、もう10年……それなのにエルは……」――と後半をぼそぼそと飲み込みます。
エル:???――と不思議そうにしよう。
ハーン:これはアレだな。――『未だに姫様って……』ってヤツだ(笑)
ザインハルト:『2人だけのときぐらい、ブランって愛称で呼んでくれればいいのに』……か(笑)
エル:お〜〜い(笑)
GM:まぁ正解ですけどね!(笑)
エル:正解なのかよ!(笑)
GM:そんなわけで、ちょっと不機嫌になったブランネージュ姫が言います――「それはそうと……私に何か御用があったのでは?」
エル:ああ、そうでした。そろそろ礼儀作法のお勉強のお時間です。
GM:「あら、もうそんな時間なのですね……」――立ち上がってお城へ向かいます。
エル:立ち上がる際に、手を取ろう。
GM:それはちょっと嬉しい。
エル:姫様、どこかで寄り道するときは、せめて僕に一声かけてからにして下さい。皆が心配致します。
GM:「……それは……役目としてのお言葉ですか?」――ちょっと上目使いで。
エル:もちろん、役目としてです。
GM:「そう……ですよね……」――シュンとします。
エル:でも……――と言葉を続けよう。
GM:ブランネージュ姫は顔を上げます。
エル:他の誰よりも……僕は姫様のことが心配なんです。役目とは関係無く……あなたのことが。
GM:「エル……」――少しポゥっとしながら。
エル:それでは参りましょう……姫様。
エルがそう言ってブランネージュ姫の瞳を見た時だった。
木々を超え、イシュタールの城から鋭い視線を感じた。
それはあまりに禍々しく、あまりに冷たく――
GM:エルの首から下げた"牙の護り"、そこから血が流れます。ブランネージュ姫もそれを見て――「エル……お護りから血が……!?」
エル:これは……共振?
※解説6 「聖痕の共振」
 闇に落ちし殺戮者が、その欲のままに悪徳を解放せし時、刻まれし者はその宿せし聖痕をもってその悪徳を知る。敵である殺戮者が悪い事をしたり(しようとしていると)、PCがキャラクター作成時に選んだ[共振]が起こり聖痕が反応する。基本的にはクライマックス前に行うのがベターだが、今回のように敵の情報を中々出せないPCに対して、危機感を煽り行動を促すために使うのも一つのテクニックである。
GM:ブランネージュ姫がなにごとかと見つめます。
エル:大丈夫、何でも無いんだ……――と、どこか意識ココにあらずといった感じで。
GM:「でも……」
エル:さぁ行きましょう。礼儀作法の先生が心配しています。
GM:「え、ええ……」――ブランネージュ姫は心配そうですね。
エル:僕は何も説明せず姫様を送ってから呟こう――
「このイシュタールに殺戮者が?……僕に……やれるのか?」

◆アンナ王妃と小鳥

         シーンプレイヤー:ザインハルト  タロット:エルス(逆位置)

イシュタール城のバルコニー。
騎士ザインハルトは、王妃アンナに呼び出しをうけ、そこにやって来ていた。
空は薄く曇りがかり、北の山々から冬を感じさせる冷たい風が降りてきていた。
バルコニーのテーブルには紅茶が用意されており、傍らには鳥かごがあった。
ザインハルト:ザインハルト=ローゼンクラウン、ただ今参りました。
GM:アンナ王妃は鳥かごから出した鳥を肩に乗せて愛でながら――「どうぞ、ザインハルト」――と紅茶を勧めます。
ザインハルト:失礼します――同じテーブルに付こう。紅茶を一口頂いてから――何か、あられましたかな?
GM:「ええ、あなたに少し相談がありまして」
ザインハルト:私で力になれる事でしたら……。
GM:「ありがとう……実は、娘のブランネージュのことなのですが……」――言い辛いかのように、肩の小鳥を愛でつつ――
ザインハルト:城内の噂は私の耳にも入っております。
GM:小鳥を愛でながら――「私はどうしたら良いのでしょう? あの子の母として接すれば良いのか、それとも……この国のために王妃として接した方が良いのか……」
ザインハルト:言葉が無くとも、愛を伝えることはできます。
GM:「ザインハルト……」
ザインハルト:ただ、ブランネージュ姫はまだお若い……言葉にして伝えなければ、伝わらないこともまた然り。
GM:「それはあなたの……経験かしら?」
ザインハルト:……お恥ずかしながら――年がいも無く恥ずかしがろう。
バサバサバサッ。
王妃の肩で愛でられていた小鳥が急に飛び立つ。
ザインハルトが視線を上げると、小鳥に突かれたのか指をさするアンナ王妃がいた。
GM:「………………」――アンナ王妃はあなたを見つめます。
ザインハルト:なんだ? 話を促されているのか? じゃあとりあえず――もし、ブランネージュ姫に言い辛い事があったとしても、姫様も次の誕生日で15です。理解が出来ない年ではありませんよ。
GM:「そうですか……それが例え……過酷なものであるとしても……」
ザインハルト:………………。――それには黙っていよう。
GM:「そうですね……伝えるべき時が、ついに来たのですね」――アンナ王妃は空を飛ぶ小鳥を見上げます。それを追うように視線を上げたザインハルトは見る。飛んでいた小鳥が一瞬で粉々になるのを。
ザインハルト:目を見開こう。
GM:では[悪徳]が発生です。アンナ王妃は話が終わって退場しています。
ザインハルト:空から降ってくる1枚の小鳥の羽……それを掴んで――
「どういう事だ……まさか……このイシュタールに殺戮者が……」

◆七騎士会議

         シーンプレイヤー:ハーン  タロット:レクス(正位置)

イシュタール城の兵舎の1つ。特別に離れに作られた1つがある。
アンナ王妃直属の親衛隊(ロイヤルガード)、通称七騎士の詰め所である。
GM:七騎士の残り6人は全員揃っています。
ハーン:みんな、集ってもらったのは他でも無い――と、王妃からの依頼を伝えます――お前達の意見も聞いておきたくてな。
七騎士:(ザインハルト)「悩むことじゃないだろう?」
七騎士:(GM)「ああ、俺達の仕事は、王妃から言われた事をこなすだけだ」
七騎士:(エル)「親だろうと子供だろうと、殺れと言われたからには殺るもんだろう?」
ハーン:だが、一時とはいえこの国に剣を捧げた身。もしその判断が主君の間違いだとするなら……それを正すが騎士の務め……違うか?
七騎士:(ザインハルト)「おいおい、お前らしくねーなー?」
七騎士:(エル)「ああ、お前がやらないならそこで待っていればいい。俺に任せな、今夜……ケリをつけて来てやる」
ハーン:いや、これは俺が言われた命だ。俺の指示に従ってもらう。
GM:その言葉に他の七騎士は渋々従います。
ハーン:そうだ……お前達の中で、この国で起こった15年前の事件を知っている者はいるか?――と、もう一度<事情通>で判定します。
GM:シーンも変わってるし許可しましょう。
ハーン:(コロコロ)……4で成功!
七騎士:(GM)「俺も詳しいことはしらないが……アンナ王妃は、相当な力を持った聖痕者だったらしいぜ」
ハーン:アンナ王妃が? それは本当か?
七騎士:(GM)「ああ、あんたは途中からここにやって来たから知らないだろうが、なんでも前王妃とアンナ王妃、そしてザインハルト殿の3人は、最初この国を訪れた旅の聖痕者だったって話だ」
ハーン:……なるほどな――ところで前王妃って名前あるのか?
GM:聞かれなかったから言ってませんでしたが。前王妃の名前はカトリーヌです。愛称でザインハルトやアンナからはカタリナと呼ばれていました。
ハーン:3人とも聖痕者……か。
七騎士:(GM)「それに……1つだけアンナ王妃の黒い噂を助長させる事実がある」
ハーン:それは?
七騎士:(GM)「前王妃カトリーヌ様が亡くなられた日、その日はブランネージュ姫がお生まれになった日なんだ」
ハーン:ずいぶんと……いや、病弱だった前王妃が、姫様を生むと同時に命を失った……それだけなら何も怪しくは無いのだが……。
七騎士:(GM)「ああ、それを怪しいと思うか、思わないかは……聞いたヤツ等の自由だろう」
ハーン:そうだな……まぁいい。  
「とにかく、今はまだ動くな……今回の件、下手に動けば俺達の命があぶない……たぶんな」

◆カタリナ

         シーンプレイヤー:ザインハルト  タロット:アクア(正位置)

その歴史書には1つの事実が記されていた。
今から15年前の冬。
その当時、イシュタールの国中に疫病を流行らせていた殺戮者。
その殺戮者を倒せし2人の聖痕者がいた。
激闘の末、かのものを倒した2人は英雄となりてイシュタールに残る。
その聖痕者の名も、殺戮者の名も、その歴史書には書かれておらずとも……。
ザインハルト:私は資料室から持ってきた歴史書を読んでいる。
GM:すると……15年前に殺戮者との戦いがあった事実がわかります。疫病は[悪徳]なので、ザインハルトは共振が発生しますね。
ザインハルト:私の共振は[声が聞こえる]……だ。
資料に目を通したまま、ザインハルトには忘れていた15年前の声が聞こえてくる――
「やはり……このままでは……を滅ぼすことはできなかった……」
「しかし……俺は……だが……」
1人は女性の声、もう1人は男性……いや、若き日のザインハルトその人の声。
「……いいえ、これ以上、あなたに重荷を背負わせるわけには……あとは私が……」
「駄目だ! やめろ……」
嗚咽のように若きザインハルトの声が絞り出されて――
ザインハルト:カタリナーーー!!!――と叫んで現実に引き戻される(笑)
ハーン:なに? それはカタリナが殺されたの? カタリナといっしょに何かを倒したの?
ザインハルト:いや、わからんから、とりあえず叫んでおいた(一同爆笑)
GM:まぁそれはおいおいわかるでしょう(笑)
ザインハルト:ハァ……ハァ……ハァ……と白昼夢から覚めて――カタリナ……どうして、今までその名を……それに、なぜあの頃の記憶を……くっ、どうして思いだせん!
GM:そうですね。まだ記憶は戻りません。白昼夢の断片的な部分だけなんとなく思い出したぐらいです。
ザインハルト:いったい、この国に何が起ころうとしているんだ! 15年前の事件と……なにか関係があるのか!? だが――
「だが――カタリナ……か。私は……昔………………」

◆殺戮者の正体

         シーンプレイヤー:ハーン  タロット:フィニス(正位置)

謁見の間。
今、その間には王妃アンナと七騎士長ハーンの2人だけがいた。
どうしても大事な話があるとハーンが王妃に申し出たのだ。
そして、その雰囲気を察した王妃が、聞かれてはならぬ話と人払いをしたのだった。
GM:「私に……話があると?」
ハーン:僭越ながら……先の任務についてです。命令とあらばどのような事も行いましょう。しかし、今になってどうして姫様を……。
GM:「この国のため……では納得できませんか?」
ハーン:なぜ姫様が死ぬのが国のためになるのか……その理由をお教え下さい。さすれば……必ずやその任務、遂行致しましょう。
GM:「ふぅ……そうですね。聖痕者であるあなたは、理由を聞く権利があるのかもしれません」
ハーン:はっ。
GM:「あの子は……この国の脅威となる可能性を持っているからです」
ハーン:可能性とは?
GM:「今から15年前、ある聖痕者達が殺戮者を倒しました。その殺戮者こそが……前王妃であるカタリナだったのです」
ハーン:つまり……前王妃カタリナの実子であるブランネージュ様も、また殺戮者になりえる……と?
GM:静かに頷きます。
ハーン:一般的に親子だから殺戮者になるとかってあるの?
GM:無いです。聖痕者も殺戮者も遺伝は関係ありません。
ハーン:アンナ王妃よ、親が殺戮者だったからと言って、ブランネージュ姫まで殺戮者になるとは……。
GM:「カタリナの呪いなのです……」
ハーン:呪い?
GM:「もちろん、カタリナが死の間際に残したはったりだったのかもしれません……けれど……もしも本当だったとしたら……」
ハーン:危険な芽は、出る前に摘む……と。
GM:頷きます。そこにはイシュタールを1人で守り立ててきた王妃としての冷徹な顔がある。
ハーン:わかりました。この任務……他言無用にて遂行致します――謁見の間から出ます。
エル:そこで登場(コロコロ)……成功! 廊下で会おう。
ハーン:エル……か。どうした、こんなところで?
エル:15年前の事件について……アンナ王妃に聞こうかと思いまして……。
ハーン:やめておけ。お前が聞いたところで何も答えてはくれまい。
エル:どういう事ですか! もしかして……ハーンさんは知っているんですか!?
ハーン:真実を知る覚悟があるのか……お前に?
エル:えっ……。
ハーン:去っていこう。
「その勇気を持たぬものは……このまま何も知らぬほうが良い。何も知らぬ方が……な」

◆平和の終わり

         シーンプレイヤー:エル  タロット:ディアボロス(正位置)

それから数日。
翌日にはブランネージュ姫の誕生祭であり、その準備にエルも忙しく動いていた。
ついに明日が本番とばかりに、楽しそうに話す姫様の相手をしていた時だった。
無粋な鉄靴の足音が、ブランネージュ姫の部屋へと近づいて来たのは……――
GM:ブランネージュ姫の誕生日を翌日に控えた日です。姫様の部屋で2人っきりで話しています――「どうかしらこのティアラ? 少し古いけど由緒有るものらしいの」
エル:ええ、大変似合っていますよ。
GM:「そうかしら」――と嬉しそうにブランネージュ姫はヒラリと一回転したりします。しかし、そんな平和な会話をやぶるように、重い鉄靴の音が近づいてきます。
エル:それは複数?
GM:複数です。こんな事は今までなかった事です。やがて鉄靴の主――騎士達はブランネージュ姫の部屋の前まで来ると、乱暴にその扉を開けて入ってきます。
エル:貴様ら! ここを姫様の私室と知っての狼藉か! 礼儀もわきまえぬとはなにごとだ!
GM:全身甲冑の1人が言います――「これはアンナ王妃よりの勅命だ。ブランネージュ姫、我等とともに来て頂く」
エル:アンナ王妃の!?
GM:そうこうするうちに、騎士はブランネージュ姫の腕を掴んで連れて行きます――「い、痛いっ」――乱暴にされて姫が顔をしかめます。
エル:貴様!!!――剣に手をかけそうになる。
GM:では、そんなエルの前に騎士が立ち塞がります――「ただの世話役が何のまねだ?」
エル:ぐっ――僕って姫様の世話役となるべく騎士階級は拝命したけど、城の中じゃあ一番の下っ端なんだろうなぁ(笑)
GM:「反抗的な……」――ドカッと殴られて床に組み伏せられます。
「くそぅ……僕は……僕は……ブランネージュ姫………………」

◆少年と絶望と

         シーンプレイヤー:エル  タロット:アルドール(正位置)

15年前の事件、カタリナの呪い、そして王妃の不安。
それだけ鑑みれば、アンナ王妃の命令は至極真っ当な物に聞こえる。
しかしハーンは迷っていた。
騎士としての……なにより聖痕者としての経験が、
この件に関してまだ何か秘密があると頭の奥に囁くのだ。
そう思案しつつ城内を歩いている時だった。ブランネージュ姫の部屋の方から声が聞こえてくる。
GM:ハーンは姫様の部屋の近くに来た時に声を聞きます――「まったく、暴れるからそうなるのだ。本来なら、貴様のような俄か騎士、即刻叩き切ってもよかったが……素直に捕まった姫に免じて許してやろう」――喋っているのはさきほどの騎士の1人。エルは自動的に登場です。
エル:く、くそ……。
GM:「貴様、この国で長生きしたいのなら……王妃様には逆らわないことだ……」
エル:それなら……どうしてこのような事をする! アンナ王妃の言いつけなら、ブランネージュ姫は1人でだって謁見の間へ向かったのに!
GM:「さぁな、我々も命を受けて来たにすぎん、王妃様の心の内まではわからぬよ」
エル:だが……しかし……!!
GM:「お前は噂を知らないのか? 王妃様に逆らった者や、かつての前王妃の取り巻きは全員、このイシュタールを追放され……その消息が不明になっているんだ」
エル:なに?
GM:「つまり……そういう事だ。お前も死にたくなかったら、王妃の言うことだけはちゃんと聞くんだな」
エル:そんな……そんな……嘘だ!!!
ハーン:そこで部屋に入ろう――本当だ。
GM:その声に、他の騎士達も道を開けよう――「あなたは……七騎士長ハーン殿」
ハーン:ここは俺に任せてくれないか?
GM:「し、しかし!」
ハーン:≪凶眼≫≪戦意喪失≫を組み合わせて(コロコロ)……2で成功。≪戦意喪失≫の効果はトループなら逃げたくなる。というか俺の言う事聞け。
GM:「ぐっ!」
ハーン:お前達はブランネージュ姫を連れて行くのが任務だろう。それならこいつは俺に任せてもらおう。
GM:「は、はっ!……」――騎士達は退場します。
ハーン:エルを助け起こそう――真実の一端を、知ってしまったな。
エル:……ハーンさん、あの噂は……アンナ王妃がブランネージュ姫を殺そうとしているという噂は……本当なのですか?
ハーン:……本当だ。
エル:そう……ですか。でも……どうして?
ハーン:知りたいか? 知れば……お前は後戻りできなくなるぞ。
エル:構いません。僕はブランネージュ姫のためにここにいます。その姫様のためなら……僕はどんな後悔もしない。
ハーン:いいだろう。お前は前王妃カラリナ様のことを知っているか? そして――
「そして……彼女が殺戮者であったという事実は……」
エル:殺戮者!? ブランネージュ姫の実の親が……殺戮者!? でも、だからってブランネージュ姫まで殺戮者になるとは……。
ハーン:呪い……の言葉を、前王妃は最後に吐いたらしい。真偽の程は定かでは無いし、その呪いが確かなものかもわからん。だが……――
エル:アンナ王妃はそれを危惧している。
ハーン:頷こう。
エル:でも、そんな……ブランネージュ姫が……殺戮者になるなんて……僕は、僕は信じられない!
ハーン:お前はそうでも、王妃様は違う。
エル:アンナ王妃にとって、ブランネージュ姫は娘じゃないか!!
ハーン:アンナ王妃は、母親の前に国の女王なのだ。不安要素は少しでも減らさねばならない……非情に徹してでもな。
エル:うっ……――言葉に詰まろう。
ハーン:なんにせよ、お前にできる事は無い。
エル:そんな事は無い! 僕は……僕は……――
ハーン:ならどうして! 先ほど姫様が連れ去れた時に剣を抜かなかった! なぜ躊躇した!!
エル:そ、それは……騎士だってイシュタールの仲間だし、数も多かった……そ、それに! ここはブランネージュ姫の部屋だ、彼女の部屋を荒らすわけには……。
ハーン:ふん、そうか……――軽蔑した目で見下そう。
エル:見下された!?
ハーン:お前はそうやって、いつまでも言い訳だけを並べ続けているが良い。口先だけで何もできない男なら、さっさとこの城から出て行け。
エル:ハーン……さん?
ハーン:失望したよ……お前には――退場します。

◆15年前の真実

         シーンプレイヤー:ザインハルト  タロット:オービス(逆位置)

謁見の間、玉座にはアンナ王妃が座っており、その玉座の半歩斜め後ろにザインハルトは立っていた。
赤い絨毯の左右には、甲冑に身を包んだ騎士達がずらり並び、
ブランネージュ姫が1人、赤い絨毯を歩きアンナ王妃の前で片膝をつく。
「お母様、御用があられましたら、兵など使わずとも参りましたのに……」
GM:シーンプレイヤーはザインハルト。謁見の間につれてこられたブランネージュ姫と、王妃アンナの会話です。
ザインハルト:とりあえずは事の成り行きを見守っていよう。
GM:王妃は玉座を立って姫の目の前にまで歩いていき――「あなたに母と呼ばれるようになって、もうすぐ15年……早いものですね。そして、あなたは美しくなった……」――そして姫の顎をクイッと手で持ち上げる。

「本当に美しくなった……まるで彼女を……前王妃を見ているかのよう……」

ザインハルト:じっと見守ろう。
GM:王妃は続けます――「残念です。いずれは私よりも……美しい王妃になれたでしょうに……」

「あなたは知らないでしょうね? あなたの実の母親が、私と同じ聖痕者であったことを……」
「そして私と彼女は、人々から魔女と畏れられていたことを……」

GM:ブランネージュ姫が驚きます――「魔女……そんなこと……」

「聖痕者として奇跡を行使したとしても、その身分が怪しげな者は蔑まれるものなのです」
「特に彼女は……カタリナは……私などでは太刀打ちできないほどの力を持っていた……」

ザインハルト:少しずつ過去のカットがフラッシュバックしてそうだ。

「やがて、彼女はイシュタールの王の目に留まり王妃となり、友人の私もこの国の侍女となった」
「平和な時が訪れました。私たちは……私は満足していた……そんな生活に……」

GM:そこでアンナ王妃はチラリとザインハルトに視線を向けます。その瞳は本当に昔を懐かしんでいるような……あの頃の幸福をもう一度取り戻しかった……そんな瞳だ。
ザインハルト:ズキリと心が痛む。記憶を失っている自分が……アンナ王妃と気持ちを共有できない自分が恨めしい。

「でも……平和は長く続かなかった……。幸せだと思ったのは少しの間だけ……」
「私の欲しかったものは、結局、何もかもカタリナのものだった……」
「どうして……どうして彼女ばかり……地位も、名誉も、財も、美貌も、そして……そして……」

GM:謁見の間の温度が急激に下がり始めます。ブランネージュ姫が――「お、養母……様?」――と呟くと、アンナ王妃はブランネージュ姫の両肩をガッと掴み――

「だから殺した!!! カタリナを! 全てを私から奪ったあの女を!!!!!」

GM:「ヒッ…」――ブランネージュが小さく悲鳴を上げる。

「でも、私はカタリナに力でも勝てなかった……だから、あの女が一番無防備になる瞬間を待った!」
「ブランネージュ、お前を産み落とす、その瞬間を!!!!!」

GM:「そんな……私のお母様を……アンナお養母様が……」――衝撃の事実にブランネージュはショック状態に陥ります。

「でもね、カタリナは死ななければならなかったの……だって、彼女は殺戮者だったから……」
「そして彼女は最後にこう言い残した――『15年後……私は復活する……』と」

GM:アンナ王妃はドンッとブランネージュを付き飛ばします――「そしてもうすぐ15年が経つ。今、再びカタリナの妄執が復活する前に、私はその禍根を刈り取ります」
ザインハルト:ブランネージュ姫、これもこのイシュタールの為……――と、剣を抜きながら歩み寄っていこう。
GM:おお、そっちが行きますか(笑)
ザインハルト:私が行かずに誰が行く(笑)
GM:いや、騎士をずらっと控えさせておいたのは、殺すためだったんですよ。
ザインハルト:いや、ここは私自ら手を下すさ。
GM:じゃあブランネージュは――「ザインハルト……様?」
ザインハルト:15年前のあの日、アンナに気を取られたカタリナを、後ろから不意を撃って刺したのはこの私です。恨むなら……この私を――スラリ、剣を上段に構え……振り下ろす!

――キンッ!!!
甲高い金属音が謁見の間に響き渡り、続いて剣が床を打つ音が木霊する。

ハーン:そこで(コロコロ)……登場! 投げナイフでザインハルトの剣の軌道を逸らす。
ザインハルト:じゃあブランネージュ姫の横の床を切りつけた。
GM:アンナ王妃が言います――「なんのまねだ……七騎士長ハーン」
ハーン:王妃様……今のが、ブランネージュ姫を暗殺する本当の理由ですか?
GM:「その通りです」
ハーン:ふぅ……まだブランネージュ姫が殺戮者になると決まったわけじゃない、もし危険視するなら、今まで俺達に命じてきた者達のように、国外追放でも構わないはずだ。
ザインハルト:ハーン殿……。
ハーン:アンナ王妃……今のあんたを見ていると、姫様を殺してこの国を手中に治めたい……そんな風にしか見えないぜ?
ザインハルト:口が過ぎるぞハーン!!! 王妃は……国のためを思い、憂い、この決断をなされたのだ! ましてや国外にこの危険な種を蒔くなど……一国の主として責任ある行動でないことぐらいわかるだろう。
ハーン:国の為……か。そのような言葉で、どれだけの者が犠牲になって来たと思っている。俺は知っている……瑣末な疑心と些細な保身が、どれほど無駄に血を流す結果になるのかを……。
ザインハルト:それは……――言葉に詰まろう。ハーンはエステルランドで政治的な汚い部分を見てきただろうしな……その辺も含めると、ちょっと言い返せない。
ハーン:申し訳無いが……ブランネージュ姫を殺す事、このハーン、納得しかねる。
GM:「ならば仕方あるまい。お主も反逆者として処刑いたす。この国の七騎士として潔く死を受け入れよ」
ハーン:悪いが、この国に剣は捧げたが、命まで捧げた覚えは無い――と、ブランネージュ姫を抱えます。
ザインハルト:何をやっている! ハーンを殺せ!!!――騎士達に命令します(笑)
ハーン:≪凶眼≫≪戦意喪失≫≪戦術≫(コロコロ)……クリティカルで成功。俺が視線を向けると、トループの騎士達はその威圧感に近寄れない!
ザインハルト:くっ、この殺気……10年前の覇気は衰えず……か。
ハーン:では行きましょう姫様。
ザインハルト:待てハーン! わかっているのか! その行動が、この国に何を起こすことになるかを!
ハーン:ちらり……とザインハルトを見て、そのままブランネージュ姫とともに退場します。
GM:では退場しました。
ザインハルト:急いで追います。
GM:じゃあそのザインハルトをアンナ王妃が止めます――ザイン……――とキミの愛称で。
ザインハルト:おお、私の愛称はザインだったのか(笑)
GM:その愛称でキミの事を呼ぶアンナに、キミは過去を少しだけ取り戻す――



「ザイン……私は……私は見てしまったの……」

  裏庭の木々が葉を散らせる、秋も終わりの頃だった。
  ザインハルトがアンナからそう告白されたのは……。
  友人のカタリナが王妃となったイシュタールの国で、
  アンナは侍女として、ザインハルトは騎士として、
  今までの放浪生活が嘘のような平和な暮らしを送っていた。

  「私たちはずっと、聖痕者として3人で旅をして来たけど……でも、それは違った……」
  「どうしたんだアンナ、何があったんだ?」
  「最近の疫病騒ぎは知っているでしょう? あれは全部、カタリナの仕業なの……」

  アンナが言うには、国で流行っている疫病はアンナの魔術で引き起こした呪いであり、
  その目的は人々の魂を吸い取る事、引いてはその魂を取り込み永遠の若さを手に入れる為。

  「まさか……じゃあ、この国でたびたび感じていた共振は……カタリナだって言うのか!?」

  アンナがコクリと頷く。

  「カタリナは……この国の王妃に迎えられる前から、すでに闇の鎖に囚われていた……」
  「俺達はそれに……気が付かなかったと!?……そんな馬鹿な! 俺達はずっとあいつの傍に!!」

  アンナの顔に悲痛な表情が浮かぶ。
  自分達に真実を知らせず一年以上も隠し通す……それだけ、カタリナと自分達の実力には差がある。
  たとえそれが……殺戮者として得た闇の力だとしても……。

  「このままじゃ……この国はカタリナによって滅ぼされてしまう……何もしらない人々までが……」
  「だが……それを止めるには……カタリナを……」
  「私はこの国に来て幸せだった。カタリナも幸せそうだったし、もしかしたらこのまま……」

  上気したようにザインハルトを見るアンナ。しかし、すぐに俯き首を振る。

  「私は聖痕者だから……親友を救う手段がそれしかないのなら……でもザイン、あなたは……」
  「いや、言うな。俺も聖痕者だ……」

  ザインハルトの胸に、幼き日、始めて会ったときのカタリナが浮かぶ。

  ――『ザイン、このティアラどうかしら? 似合う?』――
  あの日、自分はなんて答えたのだろう……少なくとも、在りし日のカタリナはもういない。

  「ザイン……」
  「大丈夫だ。そうと決まれば急ごう。これ以上犠牲を増やすわけにはいかない……」
  「あ、待って! あと1週間……3日だけ待って欲しいの……」

  不思議そうな顔でザインハルトが立ち止まると、アンナはいつもの優しい笑顔で答えた。

  「カタリナ……もうすぐ出産予定日だから……生まれてくる子供に罪は無いから……ね」



GM:ハーンとブランネージュ姫が退場した後、王妃は騎士達に言います――「なにをしているのです! 早く追いなさい!」
ハーン:しかし俺の≪戦意喪失≫で足が動かない騎士達(笑)
ザインハルト:ハーン……ヤツはエステルランドの犬だった男、裏切るのは明白だったはず、ヤツを追え! 決して逃がすな!!
GM:じゃあ、そのタイミングでアンナは∵紋章∵の奇跡を使用。騎士達を強制的に奮い立たせます。
※解説7 「奇跡」
 PCが持つ3つの聖痕には、それぞれタロットに対応した[∵奇跡∵]を使う事ができる。これは1シナリオに1度きりの必殺技であり、その効果は様々である。また、奇跡はその聖痕に対して[表]で使うか、[裏]で使うかの2パターンの使い方があり、[表]での使い方の方は代償が少なく、[裏]の使い方は強力だが支払うべき代償が極端に増える。今回の[コロナ]の奇跡は∵紋章(エンブレム)∵である。[表]の使い方はNPCやトループを1シーン中絶対忠誠を植えつける……というものであり、[裏]の使い方をすれば1シーン中の全てのダメージを+3D10増やす事が可能である。
GM:では騎士達はハーン達を追って出て行きました。
ザインハルト:私は謁見の間で少し立ち止まり――これで、良かったのですね……アンナ……王妃。
GM:「ええ……これで……この国は救われます」――同時にザインハルトの[共振]が起こります。
ザインハルト:私も追撃隊として出発しよう。
「わかっているとも……あいつの……カタリナの声が……聞こえたんだ……」

◆イシュタール城からの逃亡

         シーンプレイヤー:エル  タロット:アングルス(正位置)

ハーンに罵倒され、気が付けば裏庭のリンゴの樹のところだった。
エルは1人、曇り空のした数日前の事を思い出していた。
いったい何があったのだろうか……。
気がつけば、もうあの頃には戻れないのではないかと……絶望だけが押し寄せてくる。
エル:じゃあ僕はリンゴの木の下でたそがれてるんだけど……そこで見る、ブランネージュ姫を抱えて裏門から逃げだそうとしているハーンさんを!
GM:そのシーンで行きましょう。
エル:ハーンさん!? それにブランネージュ姫!
ハーン:姫が何か言うのかな?
GM:じゃあ言う事は1つでしょう――「エル……ああ、エル! お母様が、お母様が私を殺そうと……」
ハーン:姫様をエルに預けよう。
エル:ブランネージュ姫を抱きしめて安心させます――大丈夫、姫様は僕が守ります。だから……安心して下さい。
GM:「エル……」
ハーン:驚かないんだな、お前は。
エル:……ええ。城内で囁かれていた噂は……僕も聞いていましたから――これは姫様に伝えるための台詞ね。
GM:「私……私はどうすれば……」
エル:今は逃げましょう。ここにいても何も解決はしない。
ハーン:エル、急げ!
エル:はい! ……さぁ、行きましょうブランネージュ姫。
「……はい!」

◆追撃者たち

         シーンプレイヤー:ザインハルト  タロット:エフェクトス(逆位置)

エルとハーン、そしてブランネージュ姫の3人は、
イシュタール城を逃げ出し、太陽の無い曇り空の下、寒風吹きすさぶ山道を歩いていた。
この山は崖が多く、よほど慣れたものしか馬は使えない。
相手も徒歩なら多少なりとも逃げ切れる可能性が上がる……それがハーンの考えだった。
ザインハルト:私が追っているシーンか?
GM:いえ、それだと何も進まないので追いついたシーンとします。エルとハーンは自動的に登場です。
ハーン:追いつかれるのか!?
エル:きっとザインハルトさんは馬に乗って追いかけてきたんですよ(笑)
ハーン:この崖が多い危険な山道を馬で!?
ザインハルト:15年前からこの国の騎士として仕えてきたのだ、城の付近の地形など目を瞑っていても歩けるわ。
GM:じゃあパカラッパカラッパカラッ! エル達の後ろから蹄の音が聞こえてきます。
エル:騎馬だって!? ハーンさん!!
ハーン:ちっ、この山に馬で入ってくるだと!? ……あいつか!
GM:ザインハルトは1人ですか?
ザインハルト:何を馬鹿な事を! もちろんトループの騎士団を連れて来ているに決まっているだろう(笑)
エル:くそ、なんて(PLが)楽しそうなんだ!(笑)
ザインハルト:超楽しいね!(笑)
GM:ではハーン達はザインハルトと騎士団に追いつかれました。
ザインハルト:待て! これ以上、逃げられると思うな。
ハーン:足を止めよう。
エル:ザインハルトさん……。
ザインハルト:エルを見て、傍の姫様を見て、再びエルに――エル、お前はハーンから何も話を聞いていないのか?
エル:ええ、何も聞いていません。そして……聞くつもりもありません。
ザインハルト:エル……貴様。
エル:たとえどんな理由があろうと、僕のやる事は1つ……ブランネージュ姫を守ること、それだけです。
ザインハルト:エル……お前は何も解っていない。確かにお前の役目は姫様を護る事だっただろう……だが、そのせいでこのイシュタールが滅んでも良いというのか。お前は。
エル:この国が……!?
GM:ブランネージュ姫は心配そうにエルを見ています。
ザインハルト:お前も聖痕者なら感じていたはずだ……イシュタールに迫る殺戮者の影を……。そして、15年前この国を破滅に追いやった殺戮者が、今、再び蘇ろうとしているんだ――姫様を指差し――ブランネージュ姫の、その体を使ってな。
GM:断言ですか(笑)
ザインハルト:ダメか? アンナ王妃の言う事を信じるならそれぐらい言っても良いと思うんだが。
GM:構いません(笑)
エル:そ、そんな……ブランネージュ姫が殺戮者になるだなんて……そんな事ありえない!!
ザインハルト:そう信じるのは……お前が若いからだ。
エル:!?
ザインハルト:エル……良く聞け。もしお前の目の前で姫様が殺戮者になったしよう、そしてお前は聖痕者だ……いったい、どうするつもりだ?
エル:僕は……――
ザインハルト:聖痕者は殺戮者を倒す宿命にある。お前は……もしそうなった時に……ブランネージュ姫に剣を向けることができるのか!!
エル:そんな事……できるわけがない……。
ザインハルト:なら――
エル:だけど!! もしブランネージュ姫が殺戮者になったのなら、僕がどうするかだけは決まってる!
ザインハルト:ほぅ……。
エル:もし姫様が殺戮者になったとしたら……――と俯いて少し溜める。そして決意した表情で言い放つ!――僕は、いや、僕も同じく殺戮者になろう! そしていつまでも、僕は彼女を守る!!
GM:ブランネージュ姫は、聖痕者は殺戮者という専門用語はわかりませんが、エルの決意だけは伝わりました。
エル:一歩前へ出てザインハルトさんに向かって剣を抜こう。
GM:ザインハルトが連れて来た騎士達も手を剣に触れます。基本的にザインハルトの命令待ちです。
ザインハルト:私は……思わず空を見上げよう。実は……エルの決断にすごく胸を打たれている。
ハーン:む、ザインハルトの様子がおかしい?(笑)
ザインハルト:いや、かつてカタリナが殺戮者だからって殺した私としては、そんな選択肢もあったのか……と、目から鱗が落ちる気分なんだ(笑)
ハーン:確かに……。
ザインハルト:ではエルに視線を戻そう――エル、お前がそう言うのならば……私は過去の禍根共々全てを断つ。
ハーン:ちっ――と、いう所でGM、ナイフベルトからありったけのナイフを一瞬で抜いて、ザインハルトや他の騎士達に投げ付けたい。でもダメージは良い。
GM:ダメージはいらない? 何がしたいのですか。
ハーン:いや、目を逸らせてその瞬間に逃げようかと――エル、合図をしたら右の藪に飛び込んでそのままこの山から抜け出せ。俺は左から逃げる。
エル:でも、それじゃあ……いや、なら姫様もハーンさんが連れて行って下さい――ブランネージュ姫には大丈夫と視線だけ。
ハーン:そうか……わかった。では行くぞ、3、2、1――
ザインハルトが気を逸らした一瞬だった、
前衛に展開していた騎士達とザインハルトへ、ハーンのナイフが投擲される。
「ぎゃっ!?」
反応できなかった数人が馬から落馬する。
ザインハルト:ナイフをガントレットで打ち払って――慌てるな! 隊列を崩すな!
エル:逃げます。
ハーン:俺は少し間を持たせてからエルとは逆の方向へ逃げる。
ザインハルト:騎士達へ命令――お前達は姫とハーンを追え! 絶対に逃がすな!!
GM:騎士達はハーンの方へ走って行きます。
ザインハルト:そしてシーンカットかな?
エル:いや、騎士達がいなくなったら僕は戻って来てザインハルトさんの前に立ち塞がる。
ハーン:それで姫を俺の方に……か。
ザインハルト:どういうつもりだ。
エル:≪元力:輝≫発動。そして剣を突きつけて宣言する――
「僕は……ここであなたを倒す!」

◆覚悟の決闘

第一ラウンド
     シーンプレイヤー:エル  タロット:マーテル(正位置)

エルは1人、ザインハルトと相対するために戻って来ていた。
他の騎士団はハーンを追って行ったばかりであり、山にある小道には2人しかいない。
エルとザインハルト……2人が誰ともなく剣の柄に手を触れる。
GM:では戦闘です。APの高い方から先手です。それぞれ宣言して下さい。
エル:12です。
ザインハルト:騎士鎧とかフル装備なので遅い……5だ。
GM:ではエルからです。寒風吹きすさぶ山道で、エルとザインハルトが1対1です。
エル:<軽武器>で攻撃(コロコロ)……9で命中。
GM:ザインハルトは[回避(ドッジ)]か[受け(パリー)]を選択して、どちらかの防御行動を取って下さい。
ザインハルト:盾持ってるし[受け]を宣言(コロコロ)……6がある[受け]成功。
GM:[回避]だとノーダメージですが、[受け]の場合はダメージが入ります。ザインハルトは[受け]に成功しているので盾(ラウンドシールド)分の防御修正を鎧などの修正に足してくらうダメージを減らせます。
エル:とりあえずダメージが(コロコロ)……Iの10点。
※解説8 「ダメージの種類」
 武器を含めたあらゆるダメージには、その種類が設定されている。S(切断)、I(貫通)、C(粉砕)、R(実ダメージ)の4種類であり、ダメージを受けた際はそのダメージの種類に対応した防御修正(鎧などにある防御修正)の分だけ、ダメージを減少させる事が可能である。また、命中時にクリティカルした場合、Sなら相手の防具の装甲値を0にし、Iならダメージロールに+1D10、Cならバッドステータス[放心]を追加、Rだとダメージロールに+3の特殊効果が発生する。
ザインハルト:Iの装甲値は10点あるから弾く――その程度か? そんな力で……守りたい者を守れると思っているのか!!
エル:だけど……僕は……――あなたを傷つけたくない……という言葉を飲み込みます。
ザインハルト:その思いを知ってか知らずか――甘い、甘いぞエル、騎士は時に……どんな相手であれ倒さねばならぬ時が来る――と言って<軽武器>で攻撃(コロコロ)……5で普通に命中。
エル:同じく[受け]で(コロコロ)……クリティカル!
GM:[受け(パリー)]でクリティカルの場合、防御判定は強制終了……攻撃はあたらなかった事になります。
エル:じゃあ上手く受け流した感じで――ザインハルトさん……本当にそう思っているのですか……。
ザインハルト:……なんだと?
エル:本当に……騎士なら……どんな相手だって倒さないといけないと……そう思ってるんですか!!
ザインハルト:過去のシーンが蘇る。心の中で呟こう――カタリナ……。

第二ラウンド
      シーンプレイヤー:ザインハルト  タロット:イグニス(正位置)

ザインハルト:エルの問いかけに再び目を見開き宣言しよう――ああ、そう思っているとも!
エル:ザインハルトさん……。
ザインハルト:いいのかエル。このまま戦っていれば、さらに追っ手がやってくるだろう、私を倒さない限り! 来いっ! お前の覚悟はその程度なのか!!!
エル:あなたはブランネージュ姫を救いたいと……思わないんですか!(コロコロ)……クリティカル!
GM:そのままだと3D10のダメージです。
ザインハルト:≪強運≫を使用して[受け](コロコロ)……クリティカル!
GM:ブレカナは受動側優先なので、ザインハルトのクリティカルを適用しダメージは受けません。

ザインハルトの剣がエルの斬撃を弾き返す。
数歩下がって構えなおすエルに対して、ザインハルトは初めて本気の構えを取った。
ザインハルト:言葉で言っても解らぬのなら……良いだろう。本当に助けたいのなら……この一撃に耐えてみよ――本気で行く。≪強運≫≪幸運の一撃≫≪風読みの一手≫を使用、5以下でクリティカル(コロコロ)……4でクリティカル!
エル:確かに僕には覚悟が足りないのかもしれない……――[受け](コロコロ)……1! クリティカル!!――だけど!! ブランネージュ姫を守りたい! その気持ちだけは誰にも負けやしない!!

第三ラウンド
      シーンプレイヤー:エル  タロット:レクス(正位置)

エル:何か流れが来ている気がする(笑)
ザインハルト:ダイスの神は私に負けろと?
エル:さっきの台詞のままザインハルトさんに攻撃!(コロコロ)……1! 再びクリティカル!!(笑)
ザインハルト:普通に[受け](コロコロ)……成功。
エル:ダメージが(コロコロ)……16点のI。
ザインハルト:[受け]に成功したのでIの防護点は15点。1点入った。首とか切られて血だけが派手に飛ぶ――なに!? くっ……――と片膝をつこう。実ダメージは1点だが、ここは負けておく(笑)
エル:引いて下さい。ザインハルトさん。そうでないなら……僕達といっしょに来て下さい。
ザインハルト:今更何を言う……お前と違って、もう私は後に引けぬ身だ。
エル:ザインハルトさん……。
ザインハルト:だが、お前の本気はわかった……。行け、アンナ王妃には逃げられたと報告しておく。
エル:驚こう。
ザインハルト:エル……時間は無いぞ。私が城へ戻り報告をすれば、すぐに追撃部隊が組まれるだろう。この国にいる限り、ゆっくりと休める夜は来ないと思え。
GM:因果律の通りになりましたね。
エル:(因果律を見て)本当だ!? 僕の現在は[逃亡](笑)
ザインハルト:乗ってきた馬を渡そう――早く行け、エル。そして頼んだぞ……カタリナ様の忘れ形見を……。
エル:あなたは……ずるいな――馬を受け取り、ブランネージュを置いてきた森へ戻っていきます。ザインハルトさんは振り返らない。
ザインハルト:剣を鞘に納めつつエルを見送ろう。

「ああ、私はずるい男だ……だからこそ……」

◆最後の追撃者

                  シーンプレイヤー:ハーン  タロット:フィニス(逆位置)

「追い詰めたぞハーン」
森の中、木々と騎士団によってハーンは取り囲まれていた。
逃げ場は無い……けれど、ハーンの口は不敵に笑みの形を取る。
「本当に……そう思っているのか?」
ハーンがそう言うと共に、木の葉がパリパリと音を立て、騎士達は無言のプレッシャーを感じ始める。
みな、それ以上ハーンに近寄る事ができなかった。
「無理をするな……と、言っても動くことすら無理……か」
その瞬間、ハーンがその剣を鞘ごと抜き舞うように騎士団の間を通りすぎる。
再び鞘ごと腰に納めた時、立っている騎士団は1人もいなかった。
ハーン:騎士団などトループだからな、俺の敵じゃあない――というわけで、エルと合流したシーンをやりたい。
GM:いいでしょう。エルは自動登場です。
エル:はい。ブランネージュ姫といっしょに馬に乗っています。道の前に現れる感じですかね?
ハーン:そんな所だろう。進行方向の木々に寄りかかってエル達を待っていた。そして――どうやら、そっちも上手くやったようだな。
エル:ええ……まぁ――と、ザインハルトさんが見逃してくれた顛末とかを話そう。
ハーン:そうか、これで少しは時間が稼げるな。
エル:……はい。
ハーン:よし、それじゃあ一度地図を見ながら逃走ルートを確認するか。イシュタールから出国するのは確定として……。
GM:まぁそれは確認したって事でいいです。
ハーン:了解。
エル:ブランネージュ姫、もうしばらくの辛抱です。
GM:「ええ、大丈夫です」――と慣れない事の連続で、少し疲れが見えます。
エル:疲れたなら遠慮なさらず眠ってしまわれても、構いませんので……。
GM:「そんな!? 大丈夫です。私の事は気になさらずに」
エル:しかし――
ハーン:いや、ここは姫様の言葉に甘えよう、いくらザインハルトが見逃してくれたとしても、できる限り距離は稼いでおきたい。
エル:……わかりました。
ハーン:というわけで出発するぞ、とりあえず近場の街を目指す。ブランネージュ姫の格好は目立ちすぎるしな。
GM:では、あなた達3人はイシュタールを脱出するために出発します。やがて山も中腹に差し掛かり、すぐ横には深い谷が覗いているような道を進んでいる時、進行方向に誰かが待っているのに気がつきます。
ハーン:誰だ!?
「やはり……ザインはそなた達を逃したか……」
エル:アンナ王妃!?――どうしてこんな所に!
ハーン:王妃自ら現れるとは……思いませんでしたよ。
GM:「騎士団が勝てない事はわかっていました。そしてザインが……そなた達を殺せない事も……」
ハーン:エル達より4歩前に出て剣に手を添える。
GM:「だから、私が来る必要があった。それだけの話……」
ハーン:そのまま語ろう――あんたが聖痕者だって話は聞いている。だが、エルも俺もそれは同じだ。ザインハルトがいるならともかく、1人で俺達を止められると思っているのか?
GM:「ええ……もちろん」――淡々と事実だけを口にします――「そして、ザインがいないからこそ……私は全力を出せる」――言うとともにアンナ王妃の身体に聖痕が浮かび上がります。
エル:えっと……数は?
GM:4つ以上!!
ハーン:やはり……か!!
エル:アンナ王妃! いつから! いつからその身を闇に!!!
GM:「王妃になって間もなく……私は常に力を求め続けました……」
ハーン:この国を手に入れるためにか!
GM:「イシュタール? ふふ……欲しいものがその程度のものならば……どれだけ簡単だったことか……」
ハーン:国じゃ……ない?
GM:「今更……今更問答は無用です」
そう呟いたアンナ王妃は、寂しくも諦めに似た表情を受けべる。
そして、ゆらりと片手をエル達に向けると、その周囲に方陣が展開され、
一瞬の光の後に、エルとブランネージュ姫を巻き込み大爆発が巻き起こる!
ハーン:エル!! ブランネージュ姫!!――慌てて振り返ろう。
GM:奇跡∵爆破∵を使用します。対象はエルとブランネージュ姫の足元、そこが破壊されて横の谷に落ちて行きます。
エル:姫!!――手を伸ばす。
GM:ブランネージュ姫もエルに手を伸ばしますが、ギリギリで届かずそのまま谷底へと落下して行きます。
ハーン:行け! エル!
エル:一瞬だけ殺戮者の本性を現したアンナ王妃を見よう。いくらハーンさんでも殺戮者を1人で相手するのは……。
ハーン:迷うな! お前がなぜここにいるか思いだせ!!
エル:ハッとして谷に飛びこむ。
GM:ではブランネージュ姫とエルは退場扱いとします。
エル:助けろよ……ここまで来たからには――で、シーン終了?
GM:いえ、シーンプレイヤーはハーンなので、このまま続きます。
ハーン:1対1!?
GM:では殺戮者アンナとの戦闘に入ります。
ハーン:ザインハルトはお城帰っちゃったし、エルは谷底……これは、マジできついかもな(笑)

第一ラウンド
      シーンプレイヤー:ハーン  タロット:クレアータ(正位置)

ハーンが相対するはイシュタール王国が王妃アンナ。
かつてこの国を救ったといわれる聖痕者であり、今は闇に落ちし殺戮者。
さらに周囲から瞳も虚ろな騎士団が数人現れる。
どの顔にも生気がなく……すでに幽鬼と化していた。
GM:王妃の周りに数人の騎士が出現します。皆幽鬼のようにふらふらしていますね。
ハーン:やっかいな……。だが、すでに闇の虜なら遠慮はいらないな。
GM:ハーンから10m離れてアダマストループが2ついます。さらに5m後ろにアンナ王妃がいます。王妃のAPは13。トループは一番最後に行動です。
ハーン:そうするとアンナ王妃からだな。俺は12だし。
GM:では攻撃しましょう……アンナ王妃は≪魔力集中≫≪炎の紋≫≪雷撃≫で(コロコロ)……クリティカル! 魔法への抵抗は≪自我≫で判定して下さい。
ハーン:(コロコロ)……ダメ。
GM:ダメージが……Iの26点。ちなみに、GMがクリティカルしたのでシーンタロットが逆位置になりました。
ハーン:踏んだり蹴ったりだ! 所持品の使い捨てアイテム[封傷の呪符]を使用してダメージ軽減(コロコロ)……それでもかなり食らった! 雷撃に焼かれる。
GM:「この15年、王妃の地位にあったからといって力の鍛錬を怠った日はありません」
ハーン:くそ、これが魔法の力か……――アンナ王妃に向かって駆ける。
GM:では正面にいるアダマストループが邪魔をします。エンゲージです。
ハーン:そうか……じゃあ奇跡∵紋章∵を使用! トループ達を退場せる。演出的にはアンナ王妃に突き進みつつ襲ってきたトループを全滅させたい。
GM:殺すんですか!(笑) まぁ許可しましょう、どうせ結果は同じだし。ゆらりと襲ってくる幽鬼騎士達、ハーンがすり抜けざまに剣を振るいアンナ王妃の目前に到着した時には、騎士団は全員倒れ血風に変わる――「所詮、烏合の衆……無論、そなたも」――王妃が呟く。
ハーン:それは……どうかな!――≪戦術≫≪居合い≫(コロコロ)……普通に5で命中。

――とらえた!
必殺の一撃が再び納められた鞘から抜き放たれる。
王妃アンナは悠然としたまま、その胴を横薙ぎに切り払われた――
かに見えた! その瞬間ハーンは苦い顔になる。
――手応えが……無い!!

GM:武器なんて持ってないから[回避(ドッジ)](コロコロ)……2、回避成功。
ハーン:俺が外しただと!?
GM:ハーンが切ったのは幻影だ。半歩ずらした位置から再びアンナ王妃が現れ――「そなたの行為は、あの子への忠義ですか?」
ハーン:忠義か……違うな。俺はただ、国を手に入れるために子供すら殺そうとする、お前の考えが気に入らなかっただけだ。
GM:「私が国を欲する? そなたは……何もわかっていない。わらわの真意も、ブランネージュを放っておけばどうなるかも」

第二ラウンド
      シーンプレイヤー:ザインハルト  タロット:フィニス(逆位置)

GM:では第二ラウンドです。戦闘中に登場する場合は、このタイミングで登場判定して下さい。
ハーン:来れる理由が付けられるなら(笑)
ザインハルト:それは考えておいた(コロコロ)……よし、成功だ。
GM:すぐに登場しますか?
ザインハルト:すこし期を見て登場したい(笑)
GM:じゃあタイミングになったら言って下さい。こちらはアンナ王妃が行動します――「そなたに構っている暇は無い」――奇跡∵神移∵を使用。姿が揺らいだと思うと奇跡の力で瞬間移動、20m離れます。
ハーン:くっ…間合いから……。
GM:ハーンはちゃんと[束縛]の処理をしておいて下さい。
※解説9 「束縛」
 [束縛]が発生したら、各プレイヤーは鎖として渡されていたタロットのうち、正位置のタロット1枚につきDPが1点回復。逆位置のタロット1枚につきDPが1D10点減ります。この時、ウェントスのタロットがあった場合、正・逆位置に関係無く、ただちに【希望】の判定を行い、成功したらDPを2D10回復、失敗したらDPを3D10減らす(このウェントスの特殊処理は最優先に処理を行い、その後ウェントスは捨て山に直行する)。[束縛]はアクト(そのセッション)中に∵奇跡∵が使われた時、全てのPCに(登場していなくても)は適応されます。
ハーン:さっきからコツコツ食らってたけど……ついにDPが0になった。
GM:大丈夫、まだまだ[束縛]は発生します(笑) それとDPはマイナスまで行くのでちゃんと記載忘れないで下さい。
ハーン:わかってるって。
GM:では攻撃です。雷は金属鎧じゃないから微妙だし、今度は炎で行きます。≪魔力集中≫≪炎の紋≫≪灼熱≫を組み合わせ(コロコロ)……クリティカル!
ハーンの足元から灼熱の炎が吹き上がる。
先ほどと違うその魔法に、ハーンの初動がわずかに遅れる。
ハーン:クリティカルだと!?――なっ!!
ザインハルト:そこで割り込もう――「炎よ……散れ」――≪強運≫と≪塔≫を使用(コロコロ)……クリティカル! ハーンの周囲から吹き上がった炎が、ギリギリのところで消滅する!
ハーン:いったい……何が!?
GM:「私の炎が……封印された……まさかっ」――そちらをアンナは見ます。
ザインハルト:やって来よう――アンナ、キミがやって来ないことを……心のどこかで祈っていた……だが、やはりキミはブランネージュ姫を追って来た。
GM:「ザイン……」
ハーン:貴様……どうしてここに!
ザインハルト:ハーンに向けて言おう――エルと姫様を追跡させてもらった……まさか、本当に王妃が殺戮者だったとはな……。
ハーン:お前……。
ザインハルト:どうしてだ。なぜキミまで落ちてしまったのだ! あの日、15年前……カタリナに刃を向けた時に、誓ったじゃないか! 私たちはカタリナと違う選択をしようと、この国のために光の道を行こうと!!
GM:「15年前のあの日、私たちは力を合わせてカタリナの魂を浄化させようとした……だけど、それは失敗した……」
ザインハルト:黙って聞いてます。
GM:「カタリナの魂は城にあった大鏡に封印する事になったけれど、あの最後の一瞬……カタリナは自身の魂の欠片を、種として植えつけていた……実の娘……ブランネージュに」
ザインハルト:歩いてきてハーンの横で止まろう――わかっていたさ。カタリナが転生しようとしている事を……だが、私は信じたかった。カタリナが、今度こそ真っ当な光の道を歩む事を。
GM:首を振ります――「いいえ、無理なのです。一度闇に落ちた魂が、再び光の道を歩めるはずはないのだから……」
ザインハルト:アンナ……私は、お前も私と同じ気持ちでブランネージュ姫を見ていると思っていたよ。
GM:「私にできるのは自らの力をつけるだけ……復活の兆しを見せている魔女カタリナを……今度こそ滅ぼすこと」
ザインハルト:悪いな……俺は今だに……信じているんだ。だから、カタリナを――ブランネージュ姫を――殺させるわけにはいかない。
GM:「そう……」――悲しげな瞳を向けます。それでは戦闘再開ですね、こっちは終わったのでAP順……ハーンです。
ハーン:ザインハルト、こうやってお前と肩を並べるとは思わなかったぜ――ニヤリ――全力でアンナ王妃に接敵。エンゲージする! 行動終了!
ザインハルト:今は同じイシュタールの騎士だ。何も不思議がることではない――真面目に返しつつ、ハーンと並んでアンナアンナに接敵する。

第三ラウンド
      シーンプレイヤー:ハーン  タロット:ファンタズマ(逆位置)

GM:では第三ラウンドです。アンナは魔力を帯びた宝剣を抜いて攻撃してきます。対象はザインハルト――「私があなたの記憶を封印したのは、この血塗られた道に落ちる私を……あなたにだけは見て欲しくなかったから……」(コロコロ)……4で普通に命中。
ザインハルト:[受け](コロコロ)……成功。ダメージはIの15点までは通らない。
GM:それは無理。
ザインハルト:シールドで受け止めつつ――「やめるんだアンナ、お前のことは私が一番知っているつもりだ! お前では……私とハーンには勝てない」
GM:その言葉にアンナは剣を少しだけ押し付けつつ――「嘘よ……あなたは私のことを何も知らない……だって、あなたがいつも見ていたのは……私じゃなくて、カタリナだったじゃない!!!」
殺戮者の悲痛な叫びが、涙と共に木霊する。
ザインハルト:呆然としよう――それは……。
GM:アンナは殺戮者としての衝動か、それとも別の何かなのか……普段の冷静沈着な仮面を脱ぎ捨て、感情的に捲くし立てます――「カタリナは何でもできた、勉強も料理も、魔法だって3人の中じゃ最初に使えるようになってた……村でも街でもカタリナが通れば誰もが振り向いた! 私はそんなカタリナを親友に持って誇らしかった! カタリナを褒められる事は誰よりも私が嬉しかった!! だけど……だけど!!」
ザインハルト:アンナ……。
GM:「だけどザイン! あなたに対する想いだけは、カタリナに負けてないって思ってた!! それなのに……どうして……! 今の私は全部持ってる! 誰よりもカタリナよりも!!!」
ザインハルト:予想外の反論に、私は言葉が詰まるな。これは……。
ハーン:順番的には俺だな。悪いが今の隙を付いて攻撃させてもらう。≪戦術≫≪居合い≫(コロコロ)……クリティカルだ。Sの13点。
GM:(コロコロ)……回避失敗――「う゛っ」
ハーン:ザインハルト……迷うな。こいつは殺戮者だ!!
ザインハルト:はっとしてアンナを見よう。殺戮者であるアンナを。
GM:「あなたは……私も切るのね……」
ザインハルト:おぐふっ!!……だが、動揺はしてても……≪強運≫≪幸運の一撃≫≪風読みの一手≫を使用。奥歯を噛み締めて無言で攻撃(コロコロ)……クリティカル。Sの39点。
ハーン:高っ!?
ザインハルト:このコンボは強いけど……DP6点も減らしてるのが辛い。
GM:(計算して)……ダメだ、そのダメージでアンナは倒れます。
ザインハルト:走馬灯のように子供の頃の3人で仲良く秘術魔法を学びあっていた風景が頭をよぎりつつ――もう、あの頃には……戻れないんだ。
GM:アンナはザインハルトに切られた傷に手を添えて――「あなただって同じ……いくらカタリナを追いかけても……彼女の心はあなたに向いていなかった……」――真っ赤に染まった手を見て、アンナは諦めた顔をして言います。
「ああ、わかっている。それでも私は……この15年間……――

◆アンナ

                  シーンプレイヤー:ザインハルト  タロット:ディアボロス(逆位置)

アンナは致命的な傷を押さえつつ、ザインハルトに運ばれ木に背中を預けていた。
流れ出る血は止まらず。
死の間際だからだろうか、アンナは憑き物が落ちたかのような穏やかな顔で口を開く。
GM:「あくまで……ブランネージュを……カタリナを……守ろうとするのですか」
ザインハルト:無言。
GM:「あなたは何も言わないのね……卑怯よ……」
ザインハルト:う゛……――私はずっと卑怯だった。この15年間、あの日の記憶が無いのを知りつつ、それを取り戻そうとはしなかった……なにか、思い出してはならない気がして……。
GM:アンナは苦しそうですが、ジッと聞きいています。
ザインハルト:だが、ある男に教えられたんだ……――



エル:もし姫様が殺戮者になったとしたら……僕は、いや、僕も同じく殺戮者になろう! そしていつまでも、僕は彼女を守る!!



ザインハルト:――愛する者のためならば、ともに闇に落ちる道もいいだろう。ともに殺戮者になってでも、愛する者と生きる……そんな道も……。
GM:アンナは目だけで溜息をつき、長年の親友として言います――「ごめん……あなたを困らせようと思ったんじゃないの……だから、ずっと秘密にしてたんだけど……さ」
ザインハルト:アンナ。
GM:「お願い……1つだけ信じて……カタリナが復活すれば、この国が滅ぶのは確か……あの頃にはもう戻れないかもしれないけど……せめてこの国を……イシュタールを救って……」
ザインハルト:ああ、約束する。
GM:それを聞いて安心したのか、アンナの全身からすぅっと力が抜けていきます。
ザインハルト:アンナ!!!
GM:最後に、そっと呟くように聞いてきます――「ねぇザイン……私……きれいになれたかな?」
ザインハルト:ぐっ……熱いものを飲み込もう――ああ……綺麗だよ、誰よりも綺麗だ。
GM:アンナが瞳を閉じると同時に涙が流れます。そして満足そうな微笑のままアンナの全身から力が抜けます。
ザインハルト:アンナ……。
ハーン:………………。
ザインハルト:アンナの衣服を整えて、木陰で眠っているようにする――あとで、迎えに来る。
ハーン:一息待ってから声をかけよう――行こう、まだ俺達大人の役目が終わったわけではない。
「ああ……――……」

◆嫌な予感

          シーンプレイヤー:エル  タロット:アクア(正位置)

急ぎ崖底へと降り立ったエルだったが、そこには馬の死体(姫様が乗っていた)があるだけで、
ブランネージュ姫の姿は見当たらなかった。
馬の付近にブランネージュ姫の装飾品が落ちているのを見るに、ここにいたのは確か……。
エル:イヤリングとかを拾って――いったい、どこに?
GM:良く見るとブランネージュ姫のだろう足跡があります。急いで谷の奥のほうへ駆けていったみたいです。
エル:1人で谷の奥へ?
GM:そしてブランネージュ姫の足跡と同時に、複数の別の足跡が追うように奥へと入って行っている所までわかります。
エル:騎士かな?
GM:足跡の沈み具合から甲冑を着ている数人だとわかります。
「誰かがブランネージュ姫を追っているのか?……くそっ、間に合ってくれ!!」

◆七騎士

          シーンプレイヤー:マスターシーン  タロット:アルドール(逆位置)

深い谷底をブランネージュ姫は必死に駆けていた。
打ち付けた身体を引きずり、足を挫いているのだろう……肩で息をしつつ、それでもなお走り続ける。
後ろから迫るのはいくつもの影。王妃直属のロイヤルガード――七騎士の6人。
時刻は夜、ただでさえ歩きなれない山道で、ついに――

「キャッ!?」

ブランネージュ姫は足を取られ、その場で転倒する。
長く伸びた影が、ブランネージュ姫の後ろから迫っていた。
6人の騎士が剣を抜き、ゆっくりと獲物を追い込む狩人のように距離をつめてくる。

「鬼ごっこはおしまいですか……姫様」
「これも王妃様のご命令、この国のためなのです」

各々の武器を振りかぶる6人の騎士達。
誰も来ない、エルも、ハーンも、誰も……。
ブランネージュ姫の眼前に、その剣が斧が槍が迫る。
 ■対決ステージ■

◆魔女

          シーンプレイヤー:エル  タロット:アクシス(逆位置)

深い谷底を進むエル。
複数の足跡を追って行くと、やがて到着するのは小さめの広場。
そこで見たのは一面の赤。
土が岩が……空気にまで血が混じり、むせ返るような空気が漂ってくる。
その中心に彼女がいた。雪のように白かったドレスも、今や返り血で赤く染まっている。
彼女は1人の騎士の髪を掴み、大きな声で笑いながらすでに物言わぬ死体を侮辱していた。
「王妃直属の七騎士も、こうなっては7人の小人よね……あはは……あははははははははっ!!」
周意には、元が何だったか判別も付かないような死体が……。散乱していた。
エル:なっ……!?
GM:「エル……か」
エル:ブランネージュ……いや、違う! お前は誰だ!!
GM:「わからぬのか……妾のことが」
エル:まさか……カタリナ……様?
GM:彼女は満足そうに頷きます――「ふふふふふ……お前のおかげでこうして蘇ることができた」
エル:僕のおかげ? どういう事だ!
GM:「簡単なことだ……守ってくれただろう? 妾の娘を」
エル:!?
GM:「15年は長かったが……若く美しい肉体が手に入った……安い代償だったぞ? あはははははははっ!」
エル:やめろ! ブランネージュ姫を返せ!!
GM:さも心外だという顔をして――「娘はちゃんと妾の中にいる。妾に包まれ1つになっておる。今でもココにいる……この目でお前を見、この耳でお前の声を聞いている。何も変わらない。妾はお前の知ったブランネージュだ」
エル:いや、違う! お前は……ブランネージュ姫なんかじゃない。
GM:「いいや、妾がブランネージュだとも、この身体は今まさに刻まれし力に目覚めたのだ」――服をはだけると、4つ以上の聖痕が浮かび上がっています。
エル:ザインハルトさんの忠告がリフレインします。本当に……ブランネージュ姫は……。
GM:「目覚める時を迎えられたのは……お前のおかげだ、エル」
エル:違う! 姫様は……お前の中にいるだけだ……お前がブランネージュ姫なわけじゃない。
GM:「同じ事だ。今でこそ妾の娘は眠りについておるが、やがて妾と1つになる。どちらがカタリナで、どちらがブランネージュか……わからなくなる」
エル:そ、そんな!?
GM:「お前は何も心配することはない……今まで通り、妾に尽くしておればよいのだから」
エル:僕は……僕はあなたに仕えたいわけじゃない。僕はブランネージュ姫が……好きなだけだ。
GM:「ふんっ」
エル:姫様! 答えてくれ、キミが少しでも意識が残っているなら……僕のこの声に!
GM:「あはははははは……無駄だ、無駄だよエル」
エル:うるさい!!!
闇が……漆黒の闇が噴出す。
ブランネージュの……いや、魔女カタリナの身体から染み出すように、
その闇は背後に巨大な十字架を作り出す。
それは殺戮者の邪悪な本性、その重なりあうように見える幻影こそ――異形。
そしてその十字架に貼り付けになった1人の少女がいた。
GM:十字架には、ブランネージュ姫がうなだれる様にはりつけにされています。
エル:聞こえているんだろう! 答えてくれ!!!――はりつけにされたブランネージュ姫に叫びます。
GM:「あははははははははっ……無駄なことを、娘は妾に包まれておる。力を持たぬ娘が、妾に叶うはずがない」
エル:そんな事は無い! 僕と彼女には……お前なんかとは比べ物にならない……絆があるから!
GM:「それで? そんな絆があるなら見せてもらおうか。妾に逆らうなら是非も無い……」――魔女カタリナは片手をあげると、そこに異形から闇が集ってきて服装をかつての黒いドレスに変えます――「お主の血肉を復活の杯に……――

――捧げよ聖痕。今宵は殺戮の宴なり。

GM:[宴宣言]です。表になっているタロット1枚につき1回、それぞれ【希望】判定を行い、失敗したら逆位置になります。そしてシーンに登場していないザインハルトとハーンもこれは同様です。
ハーン:じゃあ走りながら言ったりするんだな――おい、ザインハルト。もしやもう魔女カタリナは……。
ザインハルト:苦虫を噛み潰したような顔で――ああ、遅かったのかもしれん。
エル:僕は目の前で宣言されたしな……魔女の魔力に圧倒されて、片足だけズザッと引くけど踏み留まり――ぜったい……守ってみせる。絶対に!!

第一ラウンド
      シーンプレイヤー:エル  タロット:アルドール(正位置)

GM:魔女カタリナとの距離は10mとします。APは11なので12のエルから先に行動です。
エル:いきなり攻撃できるわけがない!! 行動を遅らせる……待機します。
GM:「先ほどの七騎士では相手にならなかったが……エル、お前はどこまで耐えられるかな」――奇跡∵大破壊∵を使用。行動を消費せずに魔法攻撃が可能になります。
エル:なに!?――打ち消し系の加護は!?
ザインハルト:誰も持ってない。
GM:というわけで通りますね。使用する特技は≪元力弾≫≪元力集中≫≪元力・闇≫です。∵破壊∵の効果でクリティカル扱いです(コロコロ)……ダメージはIの33点。
エル:HP30で、装甲が3点……ちょうど0で死亡。このままじゃまずいから奇跡∵無敵防御∵を使用して、ダメージを0にします。
GM:「なぜ攻撃してこない……聖痕者であろう、お前も」
エル:僕はブランネージュ姫とともに生きる道を進む。
GM:「妾の娘はすでに殺戮者だ。聖痕者たるお前が、闇に落ちし殺戮者と道を同じにすることはできまい」
エル:違う! 殺戮者なのはあなただ! ブランネージュ姫じゃない!!
GM:「あははははははっ!……わらわをここから追い出そうとでも考えおるのだろう? 無駄だ無駄だ……諦めるが良い!」
エル:何か……何か方法があるはずだ……どんな物語にだって……一欠けらの希望が残されてもいいじゃないか!?

第二ラウンド
      シーンプレイヤー:ハーン  タロット:レクス(逆位置)

ハーン:登場判定(コロコロ)……成功――こ、これは……――仲間の無残な姿に息を飲む。
ザインハルト:同じく(コロコロ)……成功――あの姿は、カタリナ? やはり遅かったか……。
GM:2人が来たのを見て――「ほう、誰かと思えば……久しいのザイン」
ザインハルト:カタリナ……お前なのか。
GM:頷きます。
ザインハルト:カタリナ……頼む、ブランネージュ姫の身体から、出て行ってはくれないか?
GM:「妾を殺した男が、よく言えたものだな」
ザインハルト:あの時は、それしか方法が思いつかなかった……お前を救う為には……殺すしかないと。
GM:「ならばザイン、1つだけ方法があるぞ? ともに生きよう。妾の代わりにアンナを討ってくれたのだろう? その功績に免じて、15年前のことは水に流してやろう」
ザインハルト:……アンナ……。
GM:「あはははははははっ! あの女も憐れよ。どんなに足掻いても妾に勝てるわけもない」
ザインハルト:カタリナ……アンナを悪く言うのはやめてくれ。
GM:「ザイン、お前はアンナを殺したのだろう? 今更庇いだてする必要はあるまい?」
ザインハルト:あの頃、何ものにも代えれない幸せな日々が、私はずっと続くと思っていた……。アンナもそうだ。もう戻れないのは知っている、それでもアンナは私たちの親友じゃないか。せめてゆっくり寝させてやってくれ。
GM:「親友? ふふ……あはははははははっ! あの頃、妾がお前達と行動を共にしていたのは、その方が目的が達しやすいと思ったからだ。アンナだって同じ、妾に勝とうと常に近くから期を覗っておったのだ。親友だと? あははははははははっ! そう思っていたのは……お前だけだ」
ザインハルト:!?
ハーン:ザインハルト……。
エル:ザインハルトさん……。
ザインハルト:再びカタリナに向かって――もう戻れない過去について話すのは止めよう。だが今、私たちの目の前にいる若者達には、まだこれから先がある。だから、取り返しが付かなくなる前に……頼む、その身体から出て行ってくれ。その為なら、私はなんだってする!
GM:「妾は15年待った……この身体を得るために……また再び、妾に苦汁の時と過ごせというのか?」
ザインハルト:お前を1人にはさせない。その時は私もお前の傍らにいよう。
GM:「ふん……妾が欲しいのは永遠の美貌、お前では無い。これ以上邪魔をするなら……ザイン、お前だとて容赦はせぬぞ」
ザインハルト:カタリナ……聞いてくれぬか……なら、力付くでも追い出すまで。若者達の未来のために……――剣を抜こう。
ハーン:良いんだな、ザインハルト。
ザインハルト:ああ。
ハーン:じゃあ俺も剣を抜こう――前王妃様だか誰だか知らないが、俺の仲間をずいぶんと可愛がってくれたな。おかげで七騎士は解散だ……最後のパーティー、あんたにも参加してもらおうか。
GM:「ふん、小人の数が足らぬと思っておったら、そんな所に隠れておったか……宴には参加しよう。ただし、妾の復活パーティーのだがな!!」
ハーン:エルに言おう――僅かな可能性に賭け姫様を逃がしたが……裏目に出たようだな。すまない。俺の読みが浅かった。
エル:いいえ、あの時ハーンさんが助け出してくれなかったら、今頃ブランネージュ姫は処刑されていたでしょう。今の状況が良いとは言いがたいですが、それでも……まだ、姫様は生きている。
ハーン:ああ……確かにな。
エル:ザインハルトさん! 彼女はまだあの身体の中で眠いっているんです。傷つけないでブランネージュ姫だけを!
ザインハルト:エル、お前はまだ覚悟が足りないようだな。こうなってしまったら仕方が無いんだ。
エル:え、それは……どういう事ですか!!
ザインハルト:今は……目の前の魔女を倒すしか無い。もし傷つけたくないというのなら、お前は家に帰って大人しく寝ていろ。
エル:そんな!?
ザインハルト:心配するな……私を信じろ!――そしてハーンに目配せして、魔女カタリナに向かい直る……行くぞハーン!!
ハーン:ああ、判っている!!
エル:わかったよ……信じる。あんたを信じる……ブランネージュ姫を、絶対救ってくれ!!――移動して魔女に攻撃!(コロコロ)……8で命中。
GM:それは(コロコロ)……7で[回避]しました。
エル:その瞬間、僕の護符が光を放つ! 奇跡∵大破壊∵を裏で使用! 裏の効果は即座に3D6点の実ダメージを与える(コロコロ)……14点。
GM:痛いな。防御判定ができないしな。
ハーン:次は俺の行動だ。移動して接敵、≪戦術≫≪居合い≫で(コロコロ)……失敗した。
GM:「ふふ……どこを狙っておる?」
ハーン:くそっ!
GM:「攻撃とは……こうやってやるものだ」――ハーンにカタリナが攻撃。≪古の業≫≪弱点看破≫≪吸精≫≪闇の闘技≫≪永久の棘≫(コロコロ)……1、クリティカル。Cの19点。
エル:≪防護≫≪鉄壁≫でハーンさんを庇う! [受け]で(コロコロ)……成功。12点防ぐから7点来た。そしてCのクリティカルだから[放心]した。
ハーン:エル! 大丈夫か!
エル:ええ、これくらい……なんでもありません。
ザインハルト:次は私だ。近寄って近接攻撃。≪強運≫≪幸運の一撃≫≪風読みの一手≫(コロコロ)……む、失敗した。
GM:「あはははははははっ」――カタリナはハーンやザインハルトの攻撃に調子に乗ります。

第三ラウンド
      シーンプレイヤー:ザインハルト  タロット:デクストラ(正位置)

エル:[放心]は解除されて……大人2人が頼りないので自分で攻撃≪精奪≫(コロコロ)……4で命中。
GM:(コロコロ)……回避失敗!?
ハーン:ならその攻撃に奇跡を乗せる! ∵死の手∵使用+10D10の上乗せだ!
エル:うおおおおおお!!!(コロコロコロコロ)…………Sの62点!!
GM:それは痛い……奇跡∵因果応報∵使用!
エルの残撃がカタリナを切り裂いた瞬間、エルの周囲の時間が止まる。
「なっ! ここは!?」
気がつけば目の前には大きな鏡……そこに映る姿は……――残撃を繰り出すエルそのもの。
鏡面を超えて繰り出されたその一撃が、無残にもエルの胸を切り裂いた。
再び、世界は元に戻る……胸を押さえ苦しがるカタリナ、そして息絶えたエル。
GM:62点をお返しします――「おのれ……聖痕者が……」
エル:死亡! 気がつけば倒れて死んでいます。
ハーン:エル!?
ザインハルト:エルの事は心配するな! お前は殺戮者に集中しろ!
ハーン:言われるまでもない! ≪戦術≫≪居合い≫(コロコロ)……4で命中!
GM:エルの≪精奪≫とハーンの≪居合い≫効果で、こっちはダイスペナルティが3個です。振れる数が0以下になりますが、最低でも1個は振ります。
ハーン:ちっ。
GM:ただ、この場合ファンブル値が15になります。さて[回避](コロコロ)……3。避けました。
ハーン:なぜだ! どうして当たらない!!
GM:「簡単なことだ……弱者は強者に勝てない……それだけ」――ゴゴゴゴゴっと闇の力を集めて魔法を使用。対象はハーンで≪元力槍≫≪元力集中≫≪元力闇≫(コロコロ)……クリティカル!
ザインハルト:≪強運≫≪塔≫、4以下ならクリティカルでその魔法をキャンセルする(コロコロ)……3! 発動を封印。
GM:「おのれ……ザイン」
ザインハルト:発動する前なら、私にだって封じられる。お前の癖は覚えているつもりだ……。そして……お前やアンナほど魔術の才が無かった私は、剣の道へと進んだ――≪幸運の一撃≫≪風読みの一手≫(コロコロ)……3で普通に成功。
GM:(コロコロ)……14で回避失敗。
ザインハルト:(コロコロ)……ダメージは7点。
GM:7点!?(笑) しかしこっちは魔法使い……ほぼ素通しです。
ハーン:では次のラウンドか。
GM:いえセカンドアクションを宣言。≪元力増幅≫≪元力・闇≫≪元力招来≫≪元力集中≫≪元力槍≫(コロコロ)……クリティカルで、ハーンとザインハルトの2人に攻撃。
ハーン:(コロコロ)……よし! 素で1! クリティカルだ! 避けた!!
ザインハルト:私は……奇跡∵神移∵使用! 瞬間移動で回避する。
GM:「ほう……よくやる。だが、エルは死んだ。あとは2人だ」
ザインハルト:さらに奇跡∵再生∵を使用!――「カタリナ……エルはまだ死んでない。彼には……未来があるからな」
GM:∵再生∵の効果でHP全快でエルは復活です。
エル:僕は……まだブランネージュを守っていない……からね。
GM:「……おのれ」

第三ラウンド
      シーンプレイヤー:エル  タロット:デクストラ(正位置)

GM:「小賢しい……小賢しいは聖痕者たちが!!」――いきなり奇跡∵大破壊∵を裏で使用!! 3人に3D10の実ダメージ!
3人:『なにっ!?』
GM:(コロコロ)……16点ダメージ。
ザインハルト:死にはしないが……。
ハーン:次に範囲攻撃を食らったら終わりだ。
エル:その前に倒す!!!――≪精奪≫(コロコロ)……2で命中!
GM:[回避](コロコロ)……失敗!
エル:(コロコロ)……ダメージはSの10点! 通った?
GM:通ります(笑)
エル:じゃあ[放心]がそっちに入る――今ですハーンさん!!
ハーン:任せろ!――≪戦術≫≪居合い≫(コロコロ)……1! クリティカル!
GM:「そんな!?」(コロコロ)……15、ファンブルだと!?
ハーン:ダメージが(コロコロ)……S+16点! クリティカルだから素通しだ!――「これで終わりだ」
ハーンの呟きと共に、カタリナの首筋から大量の血が吹き上がった。
そ、んな……この、わら、わが……」
信じがたい現実に、カタリナが目を見開く。
そこに映るのは……果たして――

「僕が聖痕者じゃなかったら……もっと、違う結末だったのかもしれない……」




ドクドクと流れる血は留まるところを知らず。
魔女カタリナはゴフリと血を吐いて倒れた。
ハーンは剣を一振りし血を払い、鞘に納めた。
ザインハルトは動かず見守っている。
そしてエルは――

エル:あなたは……どうして殺戮者になったんですか……。
GM:「わ、らわは……永遠の……美しさが……欲しかった……」
エル:あなたは十分、美しいのに……。
GM:「この世界に……絶対など……無い、あるのは……求め続けなければ、手に入らぬ……可能性……だけ、だ……。だから……」
エル:あなたは1人でいるのが怖かったのではないのですか?
GM:「そうかも……知れぬな……」――ほんの一瞬だけ、視線がザインハルトへ移り、そして瞳を閉じます。
エル:………………。
GM:やがて、再び瞳が開き――「……エ、エル……」――か細い声でエルの方へ手を伸ばします。
エル:手を取る!
その瞬間。
ブランネージュ姫の腕がエルを巻き込み、エルの顔を近づけるとそのまま唇を奪った。
咄嗟の出来事になすがままのエルが、目の前の顔に目を見開く。
――ニヤリ――
それは余りに邪悪で、あまりに美しかった。
魔女カタリナ……彼女はまだ生きていたのだ。
エル:なっ!?
GM:そして、ブランネージュ姫は糸が切れた人形のようにドサリと倒れます。そして……エルの口から声が聞こえてくる。
エル:それって……僕の中に乗り移られた!?
GM:その通りです。ちなみにカタリナはエルの口を借りて喋りますが、エル自身もまだ完全に乗っ取られたわけじゃないので自由に会話して良いです。
エル:わかりました。
GM:『やれやれ……危ないところだった……まさか、お前が娘を殺そうとするとはな』
エル:お前は……カタリナ!?
GM:『妾にとって、妾以外は所詮道具よ……実の、娘さえもな』
エル:くっ……!!
ザインハルト:エル、自分が言った事を忘れるな。お前はブランネージュ姫と共に生きるのだろう。ならば……心をしっかり持て!
GM:『無駄なことだ……娘はもうじき死ぬ。お前は妾の新しい身体となって行き続けるのだ』
エル:そんな事……誰が……くっ!!!
ハーン:おい、ザインハルト! なんとかならないのか!!
ザインハルト:じっと見守る。
GM:さて、ここでGMの考えている選択肢は2つあります。
エル:おお!
GM:その1『カタリナに乗っ取られる前に死ぬ』
ハーン:おいっ!(笑)
GM:その2『カタリナに少しずつ浸食されながら、二重人格のように生き続ける』
エル:どっちもダメじゃないですか! 特に1番(笑)
ザインハルト:その3は?
GM:プレイヤーの皆さんのアイディア次第です。もちろん2番を選んだからといって、すぐに乗っ取られはしません。少なくとも今回のエンディングではなりを潜めるでしょう。その後のエルの人生にどう影響が与えられるかは……また別の物語です。
エル:ちょっと美味しい……とか思っちゃったけど、できれば3で行きたい。
ハーン:そうだな……だが、どうする? 何か奇跡∵活性化∵するか?
※奇跡∵活性化∵――自分以外のPCの使用済み奇跡を、もう一度使用可能な状態に戻す。
エル:いや、それはザインハルトさんの∵再生∵を復活させて欲しい。GMが許すかどうか判らないけど……カアリナが抜け出した今、ブランネージュ姫をそれで助けて欲しい。
ザインハルト:だが、∵再生∵は同じシーン中で死亡したキャラしか復活させられん。戦闘が終わってシーンが変わった今――
GM:あ、シーンはそのまま続いてますよ?
3人:『何だって!?』
GM:だってほら、戦闘シーンが終了すると[聖痕の解放]が行われるでしょう? カタリナはまだ死んでいないので最後の戦闘ラウンドのままシーンを続行しています。
ザインハルト:そう言えばそうか……わかった。姫様は必ず助ける。
ハーン:だが、お前はどうするんだ。
エル:僕は……――とりあえずGM、選択肢の1も2も僕は選びません!
GM:そうか、じゃあカタリナが焦ってキミを乗っ取りに来る。≪自我≫で判定して下さい。失敗すれば選択肢2の逆転現象になります。ぶっちゃけほぼカタリナに乗っ取られた状態になります。
直接心臓を触られるような、ゾッするでは足りぬほどの嫌悪感。
心に直接鉛を流し込まれたような、脳だけを取り出され火龍のブレスに焼かれるような……。
どんな言葉も、その感触を表現することはできなかった。
魔女カタリナが身体を支配しようと足掻いている。
それに対して、もうすぐ自身の心が挫けるのを……エルは自覚していた。
エル:GMに質問です。これはカタリナとの対抗判定ですよね?
GM:そうです(←とダイスを5つ持つGM)。こちらも≪自我≫で判定します。
エル:十分です。僕はカタリナに語りかけます――カタリナ……あなたは最強の魔女だったかもしれない。だけど、最後に僕に乗り移ったのは失敗だった。
GM:『あははははははっ! 強がりを言うな! お前の身体ももうすぐ妾のもの!』
エル:奇跡∵呪縛∵を使用。カタリナの≪自我≫を使用禁止にします。
ザインハルト&ハーン:『おおお!!!!!』
ハーン:それはカッコイイ(笑)
ザインハルト:やるなエル!!
GM:『おのれ! なんだこの鎖は! おのれ、おのれおのれおのれ!!!』――カタリナの声がだんだん小さくなって……やがて消えます。
ハーン:エル、大丈夫なのか!?
エル:ええ、なんとか……。それよりブランネージュ姫を!!
ハーン:あ、ああ……――∵活性化∵でザインハルトの∵再生∵を!
ザインハルト:神よ、未来ある若者達に、進むべき光の道を――∵再生∵使用。ブランネージュ姫を復活させる。
GM:ではブランネージュ姫の傷が全て治り、血色も戻って息を吹き返します。
エル:あ、ティアラ……僕が気が付く前に、さっと外しておいて欲しいです。あれはきっと――
ザインハルト:ああ、そういうことか。了解。姫様がつけている古いティアラを外して、懐に入れておく。
GM:了解、ザインハルトは懐かしいティアラを手に入れました。
エル:ブランネージュ姫に駆け寄ります。そして背中に手を回して優しく半身を起こさせます。
GM:「うう……エル……私は……」
エル:大丈夫……もう、全て終わりました。
GM:「うん……」――ブランネージュ姫はキミが傍らにいる事に安心し、再び目を閉じます。
エル:良かった……。
ハーン:エル、わかっているよな? これからが大変だぞ。
エル:はい!――この先の光ある未来を信じきった瞳で。
ハーン:ふっ――俺にもあんな頃があったな……と柄にもなく――おい、ザインハルト。
ザインハルト:私は2人に背を向けて立ってる。そしてGM、ここで私は奇跡を使いたい。
GM:まだ残ってましたっけ? 別に構いませんが……。
ザインハルト:では奇跡∵封印∵を裏で使用だ。
※∵封印∵の裏の効果――どんな願いも1つだけ叶う。ただしそれに見合った代償を支払う。
GM:ほう、それでどんな望みが?
ザインハルト:私の願いはただ一つ。エルの中に呪縛されたカタリナを……私の中へ移してくれ。
GM:おおっ!?
エル:何を言っているんですか! 僕の中だからこそ∵呪縛∵の効果があるんで、ザインハルトさんの中じゃ!
ザインハルト:いや、この願いは口に出さない。誰にも気が付かれないように行いたい。
GM:いいでしょう。
エル:じゃあなぜか、ふっと心の中にあった何かが消えて、軽くなった気がした。ハーンさんの声に繋げるように――ザインハルト……さん?
ザインハルト:エル、ハーンの言うとおりだ。この国はこれから忙しくなる。それを支えていくのは姫様と……そしてお前だ。
エル:はい。でも、その為にはハーンさんもザインハルトさんも――
ザインハルト:いや、俺はいっしょに行けない。
エル:え?
ハーン:不信に思おう。
ザインハルト:私は15年間、このイシュタールを守り続けてきた……そろそろ、休ませてくれてもいいんじゃないのか?
エル:それは……そうかもしれませんが……。でも、今はザインハルトさんの力も――
ザインハルト:甘ったれた事を言うな。俺やアンナ、カタリナの時代は終わったんだ。これからの時代は……お前達が作り、そして守っていけ。いいな。
エル:はい。――どことなく気圧されつつ頷こう。
ザインハルト:ふっ――その答えに満足して、俺はそのまま霧が立ち込めるさらに深い谷の奥へと消えていきます。
ハーン:どこに行くつもりだ。
ザインハルト:南へ――言葉だけが霧の向こうから聞こえてくる。そして退場。
ハーン:ふん……ただ消え去るのみ……か……だが――剣呑な顔で霧の向こうを一瞬睨む。
エル:僕は決意のまま見送る。そしてブランネージュ姫を背負ってハーンさんに言おう。
「帰りましょう……イシュタールへ」
 ■終局ステージ■

◆イシュタール王国

     シーンプレイヤー:エル  タロット:コロナ(正位置)

エルとハーン、そしてブランネージュ姫が城へ戻ると、
すぐさま大臣が飛び出してきて危急を告げた。
「お父様が……亡くなられた!?」
ブランネージュ姫の声が、どこか不吉な予兆のようにエルの耳には入って来た。
エル:国王ってアンナかカタリナに病気にされてたんだよね? 二人が消えたんだから……って、そうか、カタリナは死亡したわけじゃないのか。
GM:そういう事です。まぁ国民には衰弱死と発表されます。もともと病弱だったとの理由で政務から手を引いていたので、それを不信がるものはいませんでした。
エル:ハーンさんはいるの?
ハーン:いや、俺は2人を城の近くまで送り届けたら、自分の荷物だけもってさっさと消える。ここの国には用は無い。もともとアンナ王妃にスカウトされた身だしな。
エル:そうか……。
ハーン:たぶん別れも言わないし、いつの間にかいなくなってたって事で。
GM:じゃあ城が慌しきドタバタしている間に、エルが気が付く頃にはすでにハーンはいなくなっていました。
エル:城のバルコニー、そこからはエステルランドの方向――南――が見えるんです。そこに出て……誰ともなくお礼を言おう――ありがとう、ございました。
GM:すでに国王崩御から2週間が経った事にしましょう。国王やアンナ王妃の後処理が終わって、これから新体制についての話が決まっていく段階に入ります。
エル:新体制……ついにブランネージュ姫が女王に……か。
GM:ではそんなタイミングでバルコニーにブランネージュ姫が入ってきます。
エル:姫様?
GM:「ちょっと……疲れてしまって……」――エルの横に並びます。
エル:黙って景色を眺めていましょう。
GM:すこし経って姫がエルに言います――「私は……これから、どうすれば良いでしょうか?」
エル:国王様の意思をついで、この国を引き継ぐが良いかと。
GM:「イシュタールを……でも……」
エル:不安なのはわかります。でも、大丈夫。その時は少しながらも、僕が助力致します。
GM:ブランネージュ姫はパァと顔を輝かせて――「ええ、あなただけが頼りです」
エル:その……共に、この国をもっと良い国にして行きましょう。
GM:「はい。お願いします……エル」
エル:頷いて肩を抱き寄せよう――こちらこそ、ブラン。

◆新しい旅路へ

         シーンプレイヤー:ハーン  タロット:ウェントス(正位置)

朝靄が立ちこむ森の朝、森の目覚めは鳥たちへ伝播し、その声に少年が目覚める。
昨晩の焚き火はすでに鎮火し、燃えかすの墨が朝露でしけっていた。
周囲を見回すと、尊敬する師の姿がなかった。
少年は立ち上がり、ふと歩きまわる。
朝日に向かって歩けば、森を出た先、崖の近くにある1本の木があった。
そして――そこに少年の師となる1人の騎士が立っている。
GM:「先生……」――とか、弟子が言うのでしょう。
ハーン:そんな感じ(笑) 俺はその木の根元に花を置いていた。
GM:アンナの死んだ場所ですね。
ハーン:そうです。弟子を導きつつ諸国放浪、イシュタールには寄りませんが、せめてここぐらいには。
GM:「先生、ここで誰か……」
ハーン:ああ、気にするな――そういうと、少しだけ山道を登ります。すると岩棚に出て眼下に街がみえるんです――見ろ。あの街を見て、どう思う?
距離にすればまだまだ先だが、師の視線の先にはそれなりに大きな国が見えた。
GM:「何か……嫌な気分です。あの街を見ていると……」
ハーン:ああ、あの街には殺戮者がいる。
GM:「やっぱり! 行きましょう先生。殺戮者なら倒さないと!」
ハーン:……ああ、そうだな。荷物を纏めて持ってきてくれ。
GM:「はいっ!」――少年は元気に野宿をした場所へ戻って行きます。
ハーン:俺の周囲で風が凪ぎ、殺戮者の悪徳を感じさせる……。
「違う……あそこにいるのは……ヤツじゃない……」
ハーン:俺は呟き、さらに街とは別の方を見て――「もっと……南か」
GM:少年が戻ってきます――「先生!!」
ハーン:ああ、行こう。ヤツではないようだが……放って置くわけにもいくまい。
GM:「はい!」――少年が元気に返事をして、ハーンの後をついて行きます。そして――「そういえば、先生が追っている"ヤツ"って、どんな殺戮者なんですか?」
ハーン:興味があるのか?
GM:「えっと……少しだけ……」
ハーン:ふむ……かつて3人の殺戮者がいた。1人目は己が欲望を満たすために魂を若き身体に封印した。2人目は己が想い人を苦しめぬようその記憶を封印した。最後の3人目は愛する者の魂を己が身体に封印した。
GM:少年は眉根を寄せます。
ハーン:お前は、この3人のうち、誰が一番罪深いと思う?
GM:少年はうんうん唸って答えを出せません。
ハーン:俺は弟子の頭をくしゃくしゃにして、そのまま先に行こう。そして弟子に聞こえないように呟くんだ――
「一番罪深いのは……それを止められてなかった者……この、俺か」

◆今宵は殺戮の宴なり

         シーンプレイヤー:ザインハルト  タロット:マーテル(正位置)

エステルランド近郊、その街を治める領主の城は、たった一人の来訪者に窮地に立たされていた。
それは、1人の騎士だった。
最初は騎士達だった、風のように切り伏せられた。
次は魔術師だった、自慢の魔法使いたちはその魔法をことごとく打ち消されて敗れ去った。
その騎士はついに謁見の間の扉を開けると、逆座に座る王の前へとやってきた。

「あなたが……この国の王か」 「おのれ……皆のもの! 何をしている! さっさとこやつを!!」
王の叫びに、謁見の間の騎士達が一斉に動く。
しかし、数十秒後、床に倒れ伏したのは騎士達のほうだった。

「な、何が目的だ! 金か! 地位か! 女か! お前の望むものなら何でもくれてやる!!」
王がヒステリックな叫びと共に、その騎士に対して交渉を持ちかける。
しかし――
「金? 地位? 女?……そんなもの、今更俺には必要ない」
騎士が剣を上段に構えると、周囲で倒れていた騎士達から何か光のようなものが抜けて、その騎士へと吸収されていく。
「なんでもくれる……そう言っていたな」
王の目の前で次々と騎士達が干からびていく。国王にできる事は、コクコクと頷き続ける事だけ。
そんな国王に、絶望的な回答を騎士は送る。
「では……お前達の命を頂こう」



――バンッ!
大きな音を立てて、謁見の間の扉が開かれる。
そこに現れたのは4人の若者達だった。
彼等には奇妙な共通点があった、それはその身体や武具などに、いくつかの聖痕が刻まれいる事。

「そこまでだ! これ以上、お前の好き勝手にはさせん!」

4人のうち1人が、今や亡き国王の玉座に座った騎士へ言葉をぶつける。
「聖痕者か……遅かったな。こいつらの命は、すべて頂いた」
「殺戮者が!」

4人の聖痕者が一斉に武器を抜き放つ。
同時、騎士も玉座から立ち上がり剣を抜いた。
そして、騎士の背後には幻影が出現する。
それは美しい女性、騎士へしな垂れかかるように耳元で何かを呟く。

「ああ、……そうだ……わかったよ、カタリナ」
騎士はゆらりと剣を抜き、それに合わせて4人の聖痕者が周囲を囲んだ。

「カタリナ……まだ、足りないんだね。大丈夫、すぐに集める……」
騎士は剣を高々と掲げ、朗々と響き渡る声で宣言する。

「捧げよ聖痕、今宵は殺戮の宴なり!」

英雄幻想譚 BLADE of ARCANA
――The 3rd Edition――
『エングレイヴドの歌』 了
 ■感想■

GM:
ではお疲れ様でした〜!
一同:『お疲れ様でした!』
GM:マローダーになりましたね。
ザインハルト:うむ、よもや6点足りないとは思わなかった。やはり10D20の代償はきつかったな。
GM:殺戮者を助けるんですから、それぐらいは覚悟してもらわないと。……というか、五分五分で帰ってこれる可能性あったんですから十分じゃないですか(笑)
ザインハルト:ああ、自分のダイス目が腐ってたけどな(笑)
GM:ではゲームの感想と行きましょう。基本的に2ndと大きくルールは変わってないですけど、どうでしたか?
ハーン:奇跡の逆位置……これ、面白いねぇ。コロナが演出以外でも使えるっていうのは、安心してコロナを選べるし(笑)
ザインハルト:それを言うならオービスだよ、逆位置の『何でも願いが叶う』ってなんだよ(笑)
GM:代償はでかかったですけどね。
ザインハルト:ああ、まったくだ。
エル:僕はバランスがよくなったように感じるかな。コンボとかそこまで凶悪じゃなかったし。
GM:そうですね。データ的にはバランス取りやすくなったとNPCデータ作りながら思いました。もっとも、あんなに適当にキャラデータを作られるとは思いませんでしたが……。
ザインハルト:正直、まだルールそんなに把握してないから、ガチでコンボ決めるのは難しかったんだ。
エル:そうそう(笑)
ハーン:お前は全部運任せでタロット選んでたじゃないか(笑)
ザインハルト:とりあえず2ndより、すごくやりやすくなった。
エル:正統な進化を遂げたと思う。正直、面白い(笑)
ハーン:ああ、それは確かに(笑)
ザインハルト:(←満足そうに頷いている)
GM:なにか凄い楽しんでくれたようですね! ではこの辺でセッションは終了としましょう。お疲れ様でしたー!!

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