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扶桑武侠傳 ふそうぶきょうでん リプレイ

我手水掬。天浮月迄、我掌中、天我同也。
水を手で掬えば、あの空に浮ぶ月までも、この掌の中にあって自分と一緒になっている。

唯一月、唯一花、唯一我。
月は月。花は花。私は私。

我花異、我花同。森羅同一是境地――。
自分と花は別のものだがひとつである。自然と一体になる境地、それこそ――。

『花鳥風月』


灼死想貫


巻之零 武侠作成

2005年、夏のTRPG大イベントが10周年を迎えてより数ヵ月後。
シュウヨウゲンと呼ばれる街の、とあるRPGショップに場所を借り本セッションはプレイされた。
まさか実現するとは半信半疑だった扶桑武侠傳リプレイが、ついに幕を開けたのである!
でははじめに、このリプレイに参加したプレイヤーの面々を紹介しよう。
小林ヒデ:
  今回のGM。熱い展開はノリで許すが、データはしっかり考察する、基本的に手を抜かないベテランTRPGプレイヤー。小林正親先生と同じ苗字だが、別に血縁関係だったりはしない。

西蓮:

  HP「百年の虚読」の管理人であり、主人公をやらせれば葛藤プレイから決断、負けプレイからの勝利など、カッコイイ主人公を決めてくる。主人公でない場合、腹黒い頭脳キャラが得意。

小林正親:

  ご存じ、『扶桑武侠傳』のデザイナー。世間では「大人げ無い」と言われている。周囲への気配りと笑いの提供を忘れない面白い人……というのが相原の感想である。今回はプレイヤーにて参加して貰いました。

相原あきと:

  本リプレイの執筆人。今回はプレイヤーです。……しかし、デザイナーの小林正親さん本人に参加して頂けるとは! みんなも『扶桑武侠傳』を遊ぼう!!(笑)
………………………………………………………………………………………………
GM:では今日はRole&Roll RPG『扶桑武侠傳(ふそうぶきょうでん)』をやります。
西蓮:ではお約束な一言を……扶桑武侠傅って何?
GM:うむ。相原君説明を。
相原あきと:扶桑武侠傅は、中華風の日本である架空世界"扶桑"にて、プレイヤーは武侠となり武芸を持ちて強気を挫き、生き様によりて弱気を救う。そんなTRPGです。
GM:ちなみに武侠(ぶきょう)とは、自分の力を頼りに人を助けるような人達です。日本的な英雄豪傑との違いはズバリ戦う動機! 簡単に言って愛や友情、正義なんかの為に戦うのが武侠です。
西蓮:日本だと忠義や誇りの為に戦うしな。その辺の情に厚い感じが武侠ならではか。
GM:そうそう。
相原あきと:……と言うか、小林正親先生の目の前でそういう説明をするのは恥ずかしいのですが(笑)
小林正親:大丈夫だよ、僕恥ずかしく無いから(笑)
GM:そりゃそーです(笑) という事で、今回は『扶桑武侠傳』のデザイナーである小林正親先生をプレイヤーに迎えてのリプレイです!
西蓮:おお〜〜!! って、なんでそんな大事に?(笑)
相原あきと:今年のJGCに、私って『無限のファンタジア』のGMで参加してたでしょう? その時、小林先生とも同じ部屋だったから挨拶したのです。
小林正親:挨拶のあと、すぐに一緒にプレイしてくれませんか!――と(笑)
相原あきと:まさかOK貰えるとは思わなかったのですが、ここぞとばかりにリプレイ参加もお願いしちゃったしだいです。
GM:ズウズウしいやっちゃなぁ。
小林正親:いやいや、僕としても『扶桑武侠傳』を愛してくれるなら幾らでも協力するよ? あと時間と暇とタイミングとその他もろもろが合えば(笑)
西蓮:殆ど無理じゃないですか! というと、今回はそんな奇跡の上に成り立ってるリプレイ?
相原あきと:だから楽しく面白い最高のセッションをやりましょう!
小林正親:その通り。楽しもう!
GM:PLの方々にそう言って貰えれば僕も助かります。それでは今回のGMは、僕こと小林ヒデが担当させてもらいます。みなさん、宜しくお願いしまーす!
一同:『宜しくお願いしまーす』
相原あきと:じゃあ、さっそく武侠作成(キャラクターメイキング)ですね! どの方法で作るの?
GM:はい、今回は比較的簡単に独自のキャラが作れる[独創的武侠作成方法]を使います。
※解説1 「扶桑武侠傅(ふそうぶきょうでん)」
 こういった解説において、今回プレイする扶桑武侠傅の説明を補助的に入れていきたいと思う。まずはキャラクター作成である。このゲームには基本的に3つの作成方法がある。サンプルキャラを使う[標準的武侠作成方法]、経験点を全てPLの自由に振り分けられる玄人向けの[演出的武侠作成方法]、そしてその中間である[独創的武侠作成方法]である。
ちなみに、このゲームに使用する道具はPL1人につき6面体2〜5個、GMはジョーカーが2枚入っているトランプを2組必要である。
相原あきと:え〜[演出的]にしないの〜?
GM:嫌なら帰れ。
相原あきと:ひ、酷い、ちょっと効率良い強いの作りたかっただけなのに(笑)
GM:我が儘言わずにGMのレギュレーションに従ってくれなさい。
相原あきと:ぶーぶー。って何度も言ってれば折れる?
GM:本気で帰りたいのか、貴様は(笑)

其之壱 「体」

GM:まず[パーソナル・シート]を作成します。姓名・消せない記憶・容姿・服装・財布の中身など、つまり武侠としての個性を作成します。門派(流派のこと)の決定などは、そのキャラクターの背景やビジュアルが決まってから決めます。
西蓮:了解。
GM:では、名前の決定から行きましょう。西蓮から順番に1人ずつトランプの山札から1枚引いて下さい。最初はトランプのマークだけ宣言して下さい。生まれの地方が決まります。
西蓮:俺は……ダイヤだ。
GM:ダイヤは南方の生まれです。次は2D6を2回振って下さい。
西蓮:(コロコロ)……7と(コロコロ)……4だ。
GM:『司空(しくう)』ですね。苗字が決定。他の2人も同じようにお願いします。
小林正親:(コロコロ)……僕は『池(ち)』ですね。
相原あきと:私は『軒轅(けんえん)』になった。
GM:おお、『軒轅』か! それは扶桑四大富豪の1つ! 大金持ちだね(笑)
西蓮:俺も2文字の苗字だけど、皇族とか貴族だったりしないの?
GM:えっと……うん、別に無いね。一般人だ。
西蓮:あ……そ。
GM:次は名前です。山札から2枚トランプを引いて下さい。
西蓮:鳥クラブの12と……鳥クラブの4だ。
GM:鳥クラブの12は[感の名前]で、4だと……『千里(せんり)』だね。
西蓮:司空千里か! 空を司り千里を見通す! カッコイイ(笑)
小林正親:僕は風スペードの8と月ダイヤの12……『震電(しんでん)』! 池震電! 語呂も良いし問題無いな。
GM:呼び易い事は良い事です(笑)
相原あきと:私は……花ハートの1と月ダイヤの8……『楓花(ふうか)』? 男性キャラは無理っぽい名前ですね。今日は女性武侠……女侠にしましょう。
※解説2 「トランプのマーク」
 このゲームでは、トランプのマークを花鳥風月に当てはめて呼称する。つまりハートは花、クラブは鳥、スペードは風、ダイヤは月である。
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GM:次は年齢や外見を決めます。さぁカードを2枚ずつ引いて下さい。
西蓮:……多少若く見られる26歳(男)、体つきは痩せた感じで176cm。まぁまぁな身長だ。透き通るような白い肌に白馬の刺青がある。寂しげな黒い瞳に、消し炭色の総髪だ。
GM:白馬の刺青って……どこのホストだよ。
西蓮:ジャニーズ系とかにしてくれ(笑)
GM:いや、ジャニーズは白馬の刺青入れないから。
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小林正親:僕は……大人っぽく見える23歳の男性、華奢な体で185cm。肌の色は雪白で妖艶ですらある。ちなみにその肌には身体に絡まるように薔薇の刺青がある。
GM:どこの耽美だよ(笑)
小林正親:なんだと! 耽美キャラにすると結構いろいろできるんだぞぅ(笑)
GM:はいはい、続きを言って下さい。
小林正親:うむ。目は見えない盲目だが、その下には寂しげな瞳がある。髪の色は銀髪で、腰の下に至るほどの長髪です。
GM:ますます耽美系なビジュアルに……。
………………………………………………………………………………………………
相原あきと:私は童顔の17歳、女性です。中世的な体つきの160cm……なんかその時点で女性として扱われないような……。
GM:どちらかというと、子供扱いされる体型だな。
相原あきと:むぅ、17歳なのに……。肌の色は淡黄色(肌色)で、体の一部に不思議な痣があります。栗色の優しげな瞳に、鳶色の洗い髪。
GM:普通だな。
相原あきと:銀髪で盲目には勝てないって(笑)
………………………………………………………………………………………………
西蓮:最後はお金だ! 気合を入れるぞ!
GM:あ、今回はシナリオの都合上、10文銭を2D6枚って事で。
西蓮:決まってるのか(コロコロ)……80文。
小林正親:(コロコロ)……100文
相原あきと:(コロコロ)……90文。みんな安いね。
GM:今回は、簡単に宿に泊まれたりするとシナリオが進みづらいんだ。
※解説3 「貨幣単位」
 扶桑の世界では「文」が貨幣単位である。1文は現実世界の50円と考えて欲しい。通常は10文、100文と上がっていくが、中には小さな銀の粒である「粒銀(1粒=100文)」、銀の板である「一朱銀(1枚=250文)」、銀の大きな固まりである「馬蹄銀(1個=10,000文)」という貨幣(?)も出回っている。ちなみに宿は1人部屋で素泊まり100文(5000円)である。
相原あきと:私と西蓮は宿に泊まることすらできない!?
小林正親:大丈夫だ。宿の主人を殺せば……泊まれる。
相原あきと:なるほど!
西蓮:いや、納得するなよ(笑)
GM:ちなみにそんなプレイをされたら、もう僕は大喜びですね。
相原あきと:え、いいの?
GM:マジで取るなよ! そんな事したらシナリオ崩壊に決まってるだろうが! 小林さんも解っていて言わない!(笑)

其之弐 「心」

GM:次は[消せない記憶]を決めます。これは人生の転換期とも言うべき事件、その後の生き方に多大な影響を与えた忘れえぬ過去です。「何年前」「季節」「何処で」「誰が」「何ゆえ」「誰を(に)」「どうした」を、カードを引いて決めます。
西蓮:最初は俺からかな。
GM:どうぞ、まずは3枚引いて下さい。その後、好きなように並べて下さい。
西蓮:風スペードの13、花ハートの4、月ダイヤの1……順番はこのままで。
GM:「8年前」「春、朝焼けの中」「自宅で」……次は1枚引いて下さい。
西蓮:8年前って言うと18歳の頃か……俺は自宅で何をしてたんだ?(笑)……鳥クラブの10。
GM:「趙飛雲が」
小林正親:趙飛雲が自宅に来たのか!(笑)
ちなみに趙飛雲と言うのは、このゲームでPCが選べる6門派の1つ、[飛雲会]の掌門(一番偉い人)である。
GM:自宅に来た趙飛雲が何をしたか……それが重要です。まずどの表にいくか1枚引いて下さい。マークだけ言ってくれればいいよ。
西蓮:……花ハート。
GM:[惜別表]か。
小林正親:なんだ、[慟哭表]なら酷い事になるのに……残念だ(笑)
西蓮:そういう事言っていると、自分がなりますよ?(笑)
GM:はい、表が決まったので、再び3枚引いて下さい。順番も好きにしていいよ?
西蓮:……花ハートの8、花ハートの2、月ダイヤの11。
GM:「微笑で」「自暴自棄な自分に」「新しい世を築く事を誓った」。
相原あきと:意味が解らない。
小林正親:ピリっとしないね。
西蓮:並べ替える……月ダイヤの11、花ハートの8、花ハートの2で。「危険から救い出して」「心の無い自分に」「真実の意味を教えた」……俺は崩れる自宅の中、ぽっかりと胸に穴が空いたように呆然としていた――(このまま俺は死ぬだろう……)――そう思った時、俺はあの人に助けられた。伝説の武侠"趙飛雲"に!
GM:そして真実の意味を教わった……と。
西蓮:ああ、これはカッコイイ。
小林正親:ブーブー。
相原あきと:ブーブー。
西蓮:カッコイイのが悪いのか!(一同笑)
………………………………………………………………………………………………
GM:次は小林さんです。
小林正親:……「一昨年」「冬、枯れ草が波打っていた」「家の中で」「片腕の武侠が」か。
GM:成人してからの記憶ですから、西蓮と同じように1枚どうぞ、マークだけ教えて下さい。
小林正親:……鳥クラブ。うう、「慟哭表」だ(笑)
GM:では3枚どうぞ。
小林正親:鳥クラブの7、鳥クラブの8、月ダイヤの12。
GM:「奥義書の争奪戦で」「父が」「一族の名誉を奪った」
小林正親:ピリっとこないな……ちょっと変えよう。
GM:どうぞ(笑)
小林正親:鳥クラブの7、月ダイヤの12、鳥クラブの8……「奥義書の争奪戦で」「許婚を」「目を硬く閉じて殺した」……これだ!
相原あきと:そのキャラって盲目じゃなかったですっけ?
小林正親:敵も盲目なんです! 言うなれば盲目対決! もうどこに行っても上映されない映画だ(笑)
………………………………………………………………………………………………
GM:最後のトリは落ちで相原。
相原あきと:了解〜って! 落ちってなんだ!(笑) まぁいいけど……「子供の頃」「夏、祭りの夜」「結婚式の準備で」「謎の女侠が」。
GM:はい、次が運命の分かれ道。1枚引いてマークだけ教えて。
相原あきと:月ダイヤ……月ダイヤは[憧憬表]だね?
西蓮:却下で。
相原あきと:却下!?
GM:じゃあ却下で。
小林正親:ピリっとこないしね。
相原あきと:え、満場一致なの? マジで落ち担当? ひ、ひどい……風スペードだ。
GM:素晴らしい! [惨劇表]だ(笑) さぁ3枚引いてくれ。
相原あきと:なぜこんな事に……風スペードの9。
GM:「石で」
相原あきと:花ハートの1。
GM:「歳の離れた姉を」
相原あきと:花ハートの12。
GM:「笑いながら殺した」
小林正親:わーい、あはははっ♪ わーい、あははは♪
相原あきと:そこ! 変なジェスチャーしないで!(笑) 私も入れ替えたいです。花ハートの1、花ハートの12、風スペードの9で。
GM:「決闘で」「家族全員を」「人前に出られない姿にした」
小林正親:亀甲縛りとか。
相原あきと:どうしてそんなピンポイントな過去なんですか!(笑)
小林正親:ポチが……ポチまでこんな姿に!(一同爆笑)
GM:じゃあそれで?
相原あきと:『それで?』じゃない! そんな変な過去のせいで人生狂わされたくない!!(笑)
西蓮:そりゃそーだ(笑)
相原あきと:そうだな……じゃあ私が1人で買い物に言っている間に、お父さんが決闘で負けて、敵の毒で家族全員が表に出られないような姿に……。
小林正親:犬まで! ピーちゃんまで!!(一同爆笑)
相原あきと:さっきポチだったじゃん! 名前変わってますよ!!(笑)
………………………………………………………………………………………………
GM:では[生き様]を決めます。[生き様]とは人生のテーマを一言で表した言葉です。易占判定で決定して、3つの言葉から選んで下さい。
※解説4 「易占判定」
 易占判定とは、東洋思想の易占を基にした判定表に従い、武侠の運勢や今日の天気、聞き込みや探索などの情報収集の結果まで、大概の事が占える便利な判定です。これは山札から2枚カードを引くだけで判定が可能です。
西蓮:まずは俺から……ジョーカー(笑)
小林正親:それは引き直しですね。
西蓮:……月ダイヤの偶数と、鳥クラブの偶数。
GM:40番「雷水解」――『あたたかい陽射しで、氷塊は溶けてゆく』……[解決][幸運][勇鋭]の3つから選んで。
西蓮:……[解決]かな。
小林正親:花ハートの偶数に、月ダイヤの偶数。
GM:17番「沢雷随」――『従って生きてこそ、開く花あり』……[忠誠][(門派名)][愛]。
小林正親:愛で!(笑)
相原あきと:即決ですね!
小林正親:これしか無いでしょう(笑)
相原あきと:私は48番です。
GM:「水風井」――『なにげない日常こそが、大切であることに気づく』……[幸せ][平和][慈愛]。
相原あきと:じゃあ平和に。
GM:OK。では[易占判定]の花鳥風月って場所に書いてあるマークを、[生き様]の横に記入しておいて下さい。これで[パーソナル・シート]は完成です。

其之参 「技」

GM:では今度は能力値などを記入する[キャラクター・シート]に取り掛かります。まずは武侠の門派を決めましょう。
※解説5 「門派」
 門派とはいわゆる「武術の流派」の事である。門派ごとに厳しい戒律があり、PCたる武侠はその戒律に従う事を前提に作成した方がいいだろう。PCが選べる門派は6つあり――
1、剣聖派――剣を使う門派、戒律は「正義を守れ」「逃げるな」「弱者を守れ」「礼儀を重んじろ」「欲に溺れるな」「帝と大剣聖(剣聖派の掌門)に背くな」「誓いを破るな」「同門で戦うな」などと大変厳しい。ファンタジーで言う騎士と言えば解りやすいか。
2、天蒼派――点穴を扱い武器を使わない門派。戒律に「救いを求める声を聞いたら、その者を救わなければならない」というものがある。慈愛の集団。その奥義は命力(HP)や内力(気の力)の回復、記憶操作から他人の能力ブーストと支援に特化している。ファンタジーの僧侶。
3、飛雲会――飛雲飛刀(投げナイフ)を使う門派、その極意は「仕損じ無し」と呼ばれる飛刀の絶技と、他の追随を許さない<軽功(空を舞ったりする技)>の冴えである。飛雲会に戒律は無いが、その代わりに自分達の[心意気]に従い江湖をさすらう。ファンタジーだと盗賊……か?
4、白虎派――棍とその肉体を使った肉体派な門派。選べる6門派中、唯一<軽功>が使えないので、皆が壁を飛び越える中、1人壁を壊して突き進む。明確な戒律は無いが、この門派の武侠達は義侠心を重んじる気風が強い。ファンタジーの役割で言うなら戦士である。
5、凶門派――毒と暗器を使う暗殺集団。他派からは人殺しの門派だと蔑まれているので、人前で「凶門派です」と名乗らない方が良い。PCのやる凶門派なら「金を貰って行う殺人」は禁忌である。なぜなら、凶門派の毒手とは悪を断罪する唯一の手だからだ。でも暗殺者は暗殺者。
6、天文会――武器よりも、炎や謎の波動など、怪しい術を使う門派。掌門の瑞覇(ずいは)は、平和の為に朝廷に喧嘩売った(しかも負けなかった)程の扶桑最強の大武侠。唯一無二の戒律は「敗北は許さない」事、負けた場合は復讐するまで破門される。ファンタジーなら魔法使い。
西蓮:俺は趙飛雲に教えられたんだ、飛雲会しかないだろう。
小林正親:じゃあ僕は白虎派を。
相原あきと:私は天文会にします。
………………………………………………………………………………………………
GM:次は能力値です。【天(体力)】⇔【地(心魂)】、【沢(魅力)】⇔【山(自我)】、【火(知力)】⇔【水(感覚)】、【雷(武力)】⇔【風(機敏)】、の合計がそれぞれ15になるように割り振って下さい。
小林正親:じゃあ僕は――【天(体力)】10⇔【地(心魂)】5、【沢(魅力)】5⇔【山(自我)】10、【火(知力)】1⇔【水(感覚)】14、【雷(武力)】14⇔【風(機敏)】1――って感じで。
西蓮:割り振り方が解りやすいですね。
小林正親:極端に振り分けるのも有りという例です(笑)
西蓮:相原さんは?
相原あきと:私? 私は≪奥義≫が沢山使えれば良いから、【能力値】は[八卦図]の性格を考えつつやるかな。
[八卦図]はRole&Roll公式HP内にある扶桑武侠傳サポートページにある。【能力値】からそのキャラクターの性格を占う、フレーバールールである。
相原あきと:陽気で落ち着きがなく、人の言葉を簡単に信じてしまう……【沢(魅力)】を最大値にしよう。明るい女の子。
西蓮:俺は普通に行くかな、バランス良く。
………………………………………………………………………………………………
小林正親:功夫はどうやって決めるんですか?
GM:[功夫陣法(カンフーフォーメーション)]から選んで下さい。
小林正親:なるほど……、僕はバランス良く風陣かな。
GM:西蓮と相原は?
西蓮:俺は火陣。なるべく≪奥義≫より<功夫>を充実しておきたい。
相原あきと:私は山陣にします。≪奥義≫で全マークそろえたいし。
………………………………………………………………………………………………
GM:さぁ終盤です。≪奥義≫や<門派功夫>、<一般功夫>を取得して下さい。
※解説6 「功夫(こうふ)」
 技能や技術、通常のTRPGだとスキルなどと呼ばれたりする。<剣聖剣法>などのように、その門派でなければ取得不可能な<門派功夫>と、<聞き込み><草笛><死んだふり>など、誰でも取得可能な<一般功夫>がある。
小林正親:≪奥義≫は≪雷砲掌≫……だけでもいいかぁ。
西蓮:俺は≪落鳳閃≫と≪烈火閃≫があれば良いな。
相原あきと:≪覇気功≫、≪風操掌≫、≪炎流掌≫! これで、どのマークが来ても大丈夫!
GM:それは強いのか?
相原あきと:……たぶん、中盤で息切れしてラスボス戦に溜まってない事が多々(笑)
GM:まぁ……遊び方は人それぞれだから何も言わないが……。あ、<一般功夫>もちゃんと取って下さいね。
小林正親:一般なんて飾りさ(笑)
GM:僕的には≪奥義≫の方がフレーバーな気が。
相原あきと:ちがーう! 奥義は大好きだ! 一般は音楽系しか取らないし!
GM:情報収集できるの取れよ!(笑)
西蓮:感覚系も……ま、こっちは<門派功夫>でも良いけど。
小林正親:僕は<虎嗅功>を3で取得、情報収集は<尋問>で。
GM:尋問ですか!(笑) <江湖風聞>とか取らないんですか!?
小林正親:<尋問>2。<江湖風聞>は無し(笑)
西蓮:俺が取りましょう。<江湖風聞>2で。
相原あきと:私は<聞き込み>……1でいっか。
西蓮:感知系は?
相原あきと:無い。
西蓮:もうちょっと考えて作れよ!
相原あきと:え? 高レベルで≪奥義≫3つも持ってるよ?
西蓮:それが無駄なんだ!(笑) しょうがない……こっちが<危険感知>を2で持っておくか……。
………………………………………………………………………………………………
GM:あとは武具・服装・懐の道具とかを記述しておいて下さい。今回はお金をGMから指定しちゃったので、最初から持っていたい服とか道具があったら、相談してくれれば最初から持っていた事にしても良いです。
相原あきと:じゃあ箏(こと)もらいます。かさばるけど(笑)

其之肆 「完成」

GM:さて、始める前に今回の設定を少しだけ説明します。まず今回はしょっぱなから全員一緒に行動しています。
小林正親:え、そうなの?
GM:皆さんは、依頼を受けとある村に着いた所から始まります。
相原あきと:バラで始まらないの?
GM:始まりません。別にバラバラで始まっても良いのですが、今回は全員一緒って事でお願いします。
一同:『了解です』
GM:舞台となるのは、群馬県の嬬恋村(じゅれんそん)です。なぜここに来たのかというと、最近、江湖に灼身丹(しゃくしんたん)と呼ばれる秘薬が出回っています。その秘薬は、服用すれば身体能力が飛躍的に上昇すると言われています。今回、その秘薬を取り扱っている売人がこの村に来ていると噂されており、それの首に賞金1万文――馬蹄銀1個の賞金がかかっています。皆はそいつを捕まえに嬬恋村にやって来ました。
西蓮:その売人の名前は?
GM:呂文台(りょ ぶんだい)という男です。人相書きも持っているって事で。
小林正親:そいつを捕まえれば良いのか。
GM:ま、それが当初の目的と言う感じですね。ではそろそろカードを配りましょう。それぞれ内力を宣言して下さい。
※解説7 「判定方法」
 このゲームの判定方法は、PLがその場に応じて[【能力値】+カード1枚]か[【能力値】+サイコロ]の2つの判定方法を選べます。内力が高ければ手札をたくさん持て選択肢が広がりますが、振れるサイコロは少なくなります。逆に手札が少ない場合、振れるサイコロは多くなります。上記どちらかの判定方法で判定した結果、10以上なら[1段階活劇]、20以上なら[2段階活劇]、30以上なら……と、["十の位"段階活劇]と達成値のレベルを呼びます。
ちなみに手札を消費した場合、そのシーンが終了する時に再び最大値まで補充する事が可能です。
西蓮:内力は4、だから4枚くれ。
小林正親:僕は5枚。
相原あきと:私は7枚です。
小林正親:2人とも極端だなぁ(笑)
西蓮:その分、サイコロでの判定なら5D振れますから。
相原あきと:私は2Dしか振れない(笑)
GM:じゃあ僕も今回の宿敵(ラスボスのこと)分、手札を貰っておきます……よし、ではそれぞれ自己紹介をお願いします。

其之伍 「司空千里」

西蓮:名前は司空千里(しくう せんり)。身体付きは痩せていて余計な肉は付いていない。透き通るような白い肌に白馬の刺青。いつも冷静な武侠だ。
GM:[生き様]は?
西蓮(以下司空千里):[生き様]は[解決]、趙飛雲と出会い真実の意味を教わったしな。
小林正親:主人公っぽい。
相原あきと:真実はいつも1つ? 謎は全て解けた?(笑)
司空千里:まぁ自分が関わった揉め事は、全て解決してきたのは確かだ。一人称は俺。
小林正親:皆をまとめているキャラだ。
司空千里:ああ、良いですね。ポジションはリーダーで。
小林正親:皆、彼との出会いで仲間になった。あなたの笑顔で(笑)
司空千里:じゃあそんな感じで。

司空千里(しくう せんり)
門派:飛雲会  生き様:「解決」鳥クラブ
年齢:26歳(多少若く見える)  身長:五尺八寸(176cm)/痩せた身体
肌:透き通るような白/白馬の刺青  瞳:黒/寂しげな瞳  髪:消炭色/総髪
●能力値
【天(体力)】10⇔ 5【地(心魂)】
【沢(魅力)】13⇔ 2【山(自我)】
【火(知力)】 8⇔ 7【水(感覚)】
【雷(武力)】 1⇔14【風(機敏)】
【命力】:18/5D  【内力】4/【想い】5
●門派功夫
<飛雲飛刀><飛雲軽功><危険感知><江湖風聞>
●一般功夫
<推理><聴覚><腿術>
●奥義
≪落鳳閃≫/風スペード/([引き分け]を勝利に変える)
≪烈火閃≫/風スペード/(対象は[命力防御]不可)
●消せない記憶
8年前/春、朝焼けの中/自宅で/趙飛雲が/危険から救い出して/心の無い自分に/真実の意味を教えた

其之陸 「池震電」

小林正親:名前は池震電(ち しんでん)、目は盲目で常に瞑っています。ちなみに開くと銀色の瞳(笑)
GM:どこの狼ですか!?
小林正親(以下池震電):いや、虎です。一人称は私。生き様は[愛]! かつて愛していたあの人のため!……でも、愛している人の名は決して言いません(笑)
相原あきと:言わないんだ(笑)
池震電:言いません(笑) そしてその愛ゆえに、愛している人が何かした事を思い出し、それを動機に冒険に赴きます。
GM:愛した人は死んでいるのですね。
池震電:いや、不明です。
GM:不明ですか!
池震電:灼身丹にビクっとして――「昔……愛している人が灼身丹を……」――いや、これ以上言わない(笑)
GM:何がー!?
池震電:もしかしたら、薬の名前を間違えているかもしれない。
GM:間違えてるのかよ!(一同笑)
池震電:で昔、用心棒をしていた時に千里君に出会って、そんな生き方もあるんだ……と一緒に旅をする事に。
相原あきと:趣味は?
池震電:屋根に上って月を眺めてボウッとする事。それは愛する人を思い出している時だったりします。
相原あきと:ああ、それはカッコイイかも。
池震電:スキを見せるとすぐ思い出します。戦闘中でもどこでも。
相原あきと:それは……カッコイイ……のかな?(笑)

池震電(ち しんでん)
門派:白虎派  生き様:「愛」月ダイヤ
年齢:23歳(大人っぽく見える)  身長:五尺九寸(185cm)/華奢な身体
肌:雪白/体にからまる薔薇の刺青  瞳:盲目/寂しげな瞳  髪:銀色/腰の下に至るまでの長い髪
●能力値
【天(体力)】10⇔ 5【地(心魂)】
【沢(魅力)】 5⇔10【山(自我)】
【火(知力)】 1⇔14【水(感覚)】
【雷(武力)】14⇔ 1【風(機敏)】
【命力】:16/4D  【内力】5/【想い】4
●門派功夫
<風雷拳><旋風棍><羅漢功><虎嗅功>
●一般功夫
<尋問>
●奥義
≪雷砲掌≫/風スペード/(ダメージ増加)
≪六花閃≫/鳥クラブ/(対象は[命力防御]不可)
●消せない記憶
一昨年/冬、枯れ草が波打っていた/家の中で/片腕の武侠が/奥義書の争奪戦で/許婚を/目を硬く閉じて殺した

其之漆 「楓花」

相原あきと:本当は『軒轅(けんえん)』って苗字があるんだけど、それをばらすと因縁の女侠に私だとばれるので隠しています。名前の『楓花(ふうか)』で呼んで下さい。
GM:了解。ばれると殺されたりするの?
相原あきと(以下楓花):いや、生きているとばれると、残してきた家族に危険が及ぶかもしれないから隠している。
GM:なるほど。
楓花:17歳だけど童顔なので子供に見えると思う、顔は中世的でもあるからちょうど良いので男装します。
GM:ああ、それぐらいの歳で男の子の恰好なら男にしか見えないよ。ちなみに声は高い? 低い?
楓花:それは高い方がいいかな。髪も瞳も茶色系。髪型は洗い髪。道具に櫛も持ってるよ。
GM:OK!
楓花:昔、家族全員が謎の女侠によって毒を受け、世間に出られない外見になった。私はそいつを追って旅に出て……そして力を得た。
GM:その後は?
楓花:その後……悪そうな奴を見たら、片っ端から「お前みたいなのがいるから、この江湖は平和にならないんだ」と喧嘩売りまくった!
司空千里:それは平和か?
楓花:そんな時! そこにいる千里に出会いその優しい笑顔に諭されて、一緒に旅をするようになったのです。
司空千里:俺は毎回そんなファーストインパクトなのか?(笑)
楓花:一人称は「僕」かな?
GM:僕だね。
楓花:うん、僕にする。基本的に地雷踏み。危険と解ってても突っ込むよ!――僕は大丈夫、千里と震電が生きていてくれれば、僕は……。
池震電:待て楓花、私も一緒に残ろう。千里君、後のことは……。
司空千里:ちょっと待て、そのパターンだと俺1人死ぬじゃないか!(笑)

軒轅楓花(けんえん ふうか)
門派:天文会  生き様:「平和」鳥クラブ
年齢:17歳(ただし子供に見える)  身長:五尺三寸(160cm)/中世的な身体
肌:淡黄色/体の一部に不思議な痣がある  瞳:栗色/優しげな瞳  髪:鳶色/洗い髪
●能力値
【天(体力)】 2⇔13【地(心魂)】
【沢(魅力)】14⇔ 1【山(自我)】
【火(知力)】 7⇔ 8【水(感覚)】
【雷(武力)】 3⇔12【風(機敏)】
【命力】:6/2D  【内力】7/【想い】2
●門派功夫
<天文陰陽掌><陰陽内功壁><軽功>
●一般功夫
<聞き込み><箏演奏>
●奥義
≪天文覇気功≫/花ハート/(範囲すべての敵を攻撃対象)
≪緑龍風操掌≫/鳥クラブor風スペード/(対象を強制退場、及び<軽功>の代用)
≪紅龍炎龍掌≫/月ダイヤ/(ダメージ増加)
●消せない記憶
子供の頃/夏、祭りの夜/結婚式の準備で/謎の女侠が/決闘で/家族全員を/人前に出られない姿にした

巻之壱 池魚之殃

赤い夕日が沈もうとしていた。穏やかな風が、紅色に染まるススキを撫でて行く。
町と言うには小さいが、それなりに大きくなった村がある。この村の名は……嬬恋村(じゅれんそん)。
GM:ゆえあって一緒に旅をしている3人ですが、今は嬬恋村の客桟(かくざん)でご飯を食べています。あ、客桟って言うのは冒険者の宿だと思って下さい。
司空千里:目の前に注文した料理が運ばれてきた……とか、そんな所か。
GM:そうです。村に入った印象は、村にしては人が沢山いると感じます。最近景気が右肩上がりな村、住人が増加中の村と言えば正確ですかね。
※解説8 「客桟(かくざん)」
この世界の「冒険者の宿」である。1階は酒場で、2階は宿屋になっている。扶桑ではどの街や村でもたいがい1軒は店を構えています。
池震電:では料理には手をつけず主人に頼もう――酒を頼む。
GM:「どのお酒になさいますか?」――看板娘さんが聞いてきますが。
池震電:安いのを……濁酒で構わない。
GM:じゃあ少し経つと濁酒を持って来てくれます――「はい、どうぞ」
池震電:グッと一献……そして私は咳き込み出す――ゴホッゴホッ!!
楓花:え! 震電、大丈夫!?――って、いきなり何事ですかっ!?(笑)
池震電:咳をしても杯を放さず――……ああ……なんでも無い。
司空千里:楓花、心配しても無駄な事は知っているだろう。旅の間もずっとそうだったじゃないか。
GM:そうだったの?
池震電:じゃあそうだった(笑) 千里君の言葉に私は目を逸らします。
司空千里:やれやれ……――という溜息だな。
池震電:私は料理を放っておいて、再び酒を飲む。
司空千里:震電、別に酒を飲む事を止めはしないが……せめて何か食べた方が良くないか? 確かに俺達は懐も軽い。だが食べておかないといざという時、力が出ないぞ?
池震電:いや、食べたくない……もう、十分だ。
司空千里:お前は……。
楓花:でも、震電がそう言うのも解るよ。僕も食べたくないな――と箸さえ持たずに同意。
司空千里:楓花、お前まで何を言うんだ。
楓花:だって、美味しく無さそうなんだもん――と、僕は震電とは違う意味で料理を拒否、基本的に良い家の出で、武侠になってからも羽振りの良い方だったから、安い料理は微妙〜。
司空千里:(お前のはただの我が儘じゃないか!)と心の中で思いつつ――そんな事を言うな! 店の人が心を込めて作ってくれた料理だろう! 震電も楓花も、文句を言わずに食べろ!!
池震電:酒を飲んで咳き込む――ゴホッゴホッ(笑)
楓花:机に顔のせてそっぽ見る(笑)
司空千里:こ、こいつら……――怒りがギリギリと。
すでにポジションが千里だけ確定である。どうやら苦労性なまとめ役らしい(笑)
GM:と、ちょっとそこで【水(感覚)】の[活劇判定]をして下さい。[1段階活劇]以上を出せば良いです。
司空千里:[内力判定]1枚出して……[1段階活劇]
池震電:[命力判定](コロコロ)……[2段階活劇]
楓花:僕は[1段階活劇]
GM:2段階の震電から行きましょう……ふと、こっちのテーブルをじっと見ている6歳ぐらいの子供がいます。
池震電:子供の匂いがする……6歳ぐらいだ。
司空千里:その表現はなんだ?(笑)
楓花:ああ、盲目だから(笑)
池震電:坊や、腹減っているのかい?――目を瞑ったまま坊やの方を向いて。
GM:頷く気配があります。
池震電:手招きして、近寄ってきたら手で飯を食わせよう。
GM:バクバクバクっと食べます。
池震電:ではじっと聞いています。食べ終わりました?
GM:食べ終わりました。
池震電:どうやら…毒は入っていないようだ(一同爆笑)
司空千里:(手を額に当て苦悩のジェスチャー)
楓花:どうしたの千里?(笑)
司空千里:……震電……お前という奴は……。
池震電:江湖の道は修羅の道、いつ宿屋の主人が毒を盛るか解らない。
楓花:なるほど!
池震電:坊や、酒も飲むかい?
司空千里:おいっ!(笑)
池震電:手で持って酒を飲ませた。問題無いですね?――どうやら、酒も安全のようだな。
司空千里:酷い事を……。
楓花:ねぇ震電、お酒はさっき自分で飲んでなかった?
池震電:………………。気のせいだ(笑)
GM:ちなみに子供はちょっとフラフラです。
楓花:ねぇ、その子大丈夫?
池震電:大丈夫だ。私が子供に話を聞こう。私達が追っている呂文台(りょぶんだい)についてな。
司空千里:待て震電! 明らかに大丈夫じゃないだろう! その状態でどうして聞けるんだ!(笑)
GM:「らいりょーぶらよ?」(笑)
池震電:よし、良い子だ。お前と私は友達だ。
GM:「うん……おっちゃん……おっちゃん、くさい」
池震電:(沈んだ声で)……今、何て言った?(一同爆笑)
GM:「うん? おっちゃん……く――
司空千里:(何かを感じ取って)――坊や、俺の名前は司空千里、この村へやって来た旅人だ。
GM:「へぇ〜…変里(へんり)?」
司空千里:………………。
楓花:あっはっはっ! 変里だってさ(笑)
司空千里:坊や、俺の名前は司空千里、変里じゃなく、千里だ。
GM:「へぇ〜…変人?」
司空千里:………………。
楓花:(一人爆笑)
司空千里:笑うな楓花!(笑) 坊や、この村がやけに賑わっているようだが、どうしてだい?
GM:「あのねえ、なんかコワイおっちゃんたちが、たくさんきてるのー」
池震電:それはどんな男達なんだ?
GM:「くさいおっちゃん、みたいなおとな」
池震電:坊やの頬っぺたを思いっきり握ります。
GM:「うう、いはい……いはいよー……うええーーん」
池震電:友達は舐めた口をきかないものだ――<尋問>にかけます。
GM:尋問かい!(一同爆笑) こっちは抵抗するぞ!……[1段階活劇]
池震電:サイコロ4D振って……5、6、6、6――
※解説9 「サイコロの読み方」
 このゲームでは、サイコロの出目で1〜5はそのまま1〜5と読みますが、6の目は「10」と読みます。
例)2Dを振り4と6が出た場合、その合計値は4+6で10になるのではなく、4+10で「14」となります。
池震電:出目の合計が35。<尋問>で使う【山(自我)】が10あるから、足して45。[4段階活劇]!
司空千里:子供相手に全力ですんなよ!(笑)
楓花:大人げないなぁ(笑)
池震電:なんでもいい、知っている事は全てしゃべるんだ。
GM:子供は泣きながら一生懸命、頷きます。
池震電:その怖い大人たちは、自分達の事を何と呼んでいる? ソレぐらいなら聞いた事あるだろう。
GM:「えっと……えっとねぇ――
池震電:早く言わないと(一同笑)
GM:「りゅ、龍環幇(りゅうかんほう)って言ってた」
池震電:その龍環幇が村で羽振り良く振舞っているわけか……なるほどな。
司空千里:おい震電、それぐらいでやめておけ。
池震電:千里に顔を向け、もう一度坊やに向き直り――坊や、お前の名は?
GM:「テ、テツ」
池震電:テツ……これからも、おじさんの役にたってもらおうか(一同爆笑)
GM:泣きながら頷きます。
池震電:よし、今日は行け。
GM:子供は泣きながら宿屋を出て行きます。
楓花:あーあ、泣かせちゃった。
司空千里:いや、相当前から泣いていたから。
………………………………………………………………………………………………
池震電:それで……龍環幇が匂うな。
司空千里:ああ、そうだな。
GM:と、言った所で<危険感知>かそれっぽい功夫で、無いなら【水(感覚)】で判定してみて下さい。目標値は[一段階活劇]です。
池震電:<虎嗅功>は使える?
GM:OKです。
司空千里:<危険感知>で[2段階活劇]だ。
池震電:同じく2段階。
楓花:1段階〜……でも成功は成功。
GM:この客桟(かくざん)の外に、沢山の人が集っているのを感じます。さらにそいつらは腰に獲物を持っているようですね。金属の音もあなた達は聞き取る事ができます。
池震電:気にせず、そのまま飲み食い。
司空千里:やれやれ……。
楓花:っと、椅子から立って1人で出て行く。
司空千里:楓花、敵かどうかは決まってないぞ?――座ったまま。
楓花:敵かどうかは僕が決めるよ――出て行きます。

客桟前 夕暮れ

客桟の前には、服装も獲物もばらばらな数十人の男たちが集っていた。
不穏な空気をまとわせ、男達は頭の号令を待っている。
その時、客桟から1人の少年が現れた。男達の間を一陣の風が吹く。
楓花:1人外に出てきました。どんな感じ?
GM:服装も獲物もばらばらなムサイ男達が一斉にあなたを見つめます。数十人はいますね。
楓花:嫌な顔をする。
GM:その中のリーダー格の男が――「よぉ坊ちゃん」
楓花:僕たちに何か用?
GM:「坊ちゃん、この村に何しに来た?」
楓花:言う必要は無いね。なんでキミ達みたいな奴らに言わないといけないのさ。
GM:「はっはっはっ、そうかそうか、ずいぶん威勢の良い坊ちゃんだ。じゃあこの男を見た事あるか?」――人相書きを懐から取り出します。それは呂文台(りょぶんだい)です。
楓花:ああ、その男ならこれから僕たちがぶっ飛ばしに行く所だよ。
GM:「ほう……悪いがこいつの居所を知っているなら教えてくれないか? なに、教えてくれりゃあ悪いようにはしねぇ」
楓花:……キミ達はいったい何なのさ?
GM:「坊ちゃんと同じさ、この男が悪い事をしているから、懲らしめにやって来たんだ」
楓花:嘘だね。
GM:「なに?」
楓花:だってそうだろう? お前らだってよっぽど悪人じゃないか。どうせこの村で悪さしているんだし。
司空千里:すっげー決め付けだ(笑)
池震電:それは良いのか?(笑)
GM:「それは……あまりな物言いでは無いかな? どうして今日会ったばかりで、俺達が悪さをしていると決めつける。間違っていたらどうするつもりだ」
楓花:別に。僕達はただ、楽しく夕飯が食べられれば良かったんだ。そんな平和なひと時をぶち壊したのはキミ達だろう? 僕が間違っていても謝る必要は無いね。
GM:ではリーダーの横にいた奴が――「なんだぁガキ! 兄貴が下手に出てりゃ調子に乗りやがって!!」――といきり立ちます。他にも数名、カンカンになって怒っている人達がいますね――「ぶっ殺してやる!」
楓花:いいよ、来れば? 僕はここから一歩も動かないで全員をノシてあげる――ゆっくり構えて両手に内功を溜めていきます。
池震電:天文会ですな(笑)
司空千里:天文会……ではあるが……大丈夫か?
GM:「ちっ……お前等、こいつは奴の事を知っているかも知れねぇ、殺さない程度に遊んでやれ」――とリーダーが言うと、全員獲物を抜いて襲い掛かってきます。ちなみに30人います……3賊徒としましょう。
※解説10 「敵の種類」
 このゲームでは、PCの敵にいくつか種類があります。PCと同じデータを持ち、シナリオのラスボスである[宿敵]。【内力】は持たないが【命力】が高く、[生き様]1つと<特殊攻撃(功夫など)>を持つ中ボス[外道]。そして集団の雑魚である[賊徒](別システムではトループと呼ばれたりする)です。ちなみにGMの手札は[宿敵]の【内力】です。
楓花:数を揃えたって、無意味だよ。
GM:では賊徒達は襲ってきます。リーダーのいる賊徒は待機して、残り2賊徒が……両方とも[2段階活劇]です。
楓花:じゃあ、奴等が迫ってくると共に僕の両手が淡く輝きだす。奥義使うね……花ハートを4枚で招式値30、奥義値8に2D足して(コロコロ)……5! 30+8+5で43! [4段階活劇]の範囲攻撃奥義!!
GM:それは一撃で全部吹っ飛ぶ、ダメージをどうぞ。
楓花:殺傷値が13で、敵との差が2段階だから、[ダメージカード]2枚引いて……12と4で合計29、対象は賊徒だから倍になって58点!――奥義≪天文覇気功≫!!
※解説11 「ダメージ」
 活劇段階の差分だけ、山札からカードを引きます。このカードを[ダメージカード]と呼び、その数値分のダメージを与える事が可能です。
上記の≪天文覇気功≫は範囲攻撃が可能な奥義であり、対象が賊徒などの集団であった場合に限り、そのダメージが2倍になる追加効果があります。
※解説12 「奥義」
必殺技である≪奥義≫は通常の判定方法と違い、特殊な判定方法を使います。奥義はそれぞれ決められたマークのカードを場に出す事で、その基準となる数値(これを[招式値]と呼びます)が決まります。招式値は出すカードの枚数が多いほど高くなりますが、最大でも奥義値(奥義のレベル)枚までしか出せません。招式値が決まったら、その数値に[奥義値]を足し、さらに【命力】で決められたサイコロを振り足せます。ただし、この時のサイコロも最大で[奥義値]個までしか振れません。
GM:それは20人全滅だ。待機していたリーダーを含めた残りの10人が驚く。
楓花:敵が一斉に倒れた後、紅色の夕日に染められた僕が、ゆっくりと残った10人に顔を向けて"まだ足りない…"と言いたげに――さぁ、次の遊び相手は…誰?
GM:それは……残った賊徒達は逃げて行きます――「ちっ、武侠か……」
楓花:逃げるのならわざわざ追いはしない――これに懲りたら、悪いことはしない事だね。
GM:「ふん、それはこちらの台詞だ坊ちゃん、我々龍環幇に逆らった事、悔いるが良い」――逃げて行きました。

客桟内 食卓

一瞬だけ、客桟の中へ夕日の赤とは違う、力を持った白き光が瞬く。
程なくして十数人の気配が遠ざかっていく……難は去ったのだ。
客桟の中で息を潜めていた人々が安堵の息を付く。もっとも、2人の武侠は違っていたが……。
楓花:何事もなかったように帰ってきます。テーブルに付こう。
司空千里:楓花、お前は後先――
池震電:ダンッ! と棍棒を床に打ち鳴らします――なぜだ……。
司空千里:ん、説教は震電に任せよう。俺は黙る。
楓花:?……何?
池震電:なぜ皆殺しにしなかった。最後の1人まで殺しておけば、今後追っ手がかかる事もなかった。
司空千里:そっちか! 喧嘩売った事に怒るんじゃないのか(笑)
池震電:なぜ皆殺しにしない!!――睨もう。
楓花:机の上の適当なのをつまんで――別に、あんな奴等わざわざ殺すまでも無いよ。だって僕の敵じゃないし。
池震電:楓花……目立ち過ぎてしまったな。
楓花:なんで? それが悪いって言うの?
池震電:……そこまでは言わんが……まぁそうだな、逆に仕事がしやすくなるかもれんか。
楓花:うん、そうそう♪ ああ、なんだったら次に仕返しに来た時に捕まえればいいよ♪
池震電:ふむ……そうするか、1人残して<尋問>にかけよう(笑)
司空千里:ちょっと待て! どうしてお前等はそう攻撃的なんだ! もうちょっと命の大切さとか考えないのか! そういう事を親から教わらなかったのか!?
池震電:ふっ……江湖は厳しいんだよ(一同爆笑)
GM:すごい一言だ(笑)
楓花:そうだよ、甘いこと言ってちゃいけないよ?
司空千里:甘い? 俺は甘いのか!?
池震電:そうだ。この江湖じゃどこに毒を盛られているか解らない、いつどこで子供が私達に斬りかかって来るかもしれない。
司空千里:だから、お前はさっきの子供にあんな酷い事をやったのか?
池震電:そうだ、龍環幇(りゅうかんほう)が子供を使って私達を探っていたかもしれないだろう。どうしてそう考えられぬ?
司空千里:俺はお前が、どうしてそう言いきれるのかが知りたい。
池震電:ふっ……江湖は厳しいんだよ(笑)
司空千里:そうか……そう考えるのが普通か……。
楓花:そうそう(笑)
司空千里:って! そんなわけがあるか! 俺に飛刀を授けてくれたあの人は、決して――
池震電:待て、話は後だ(←真面目な声)
司空千里:何だ! これから大事な話をだな――
池震電:飯代を払っていなかった……GM、いくらだ?(一同爆笑)
司空千里:そんな事どうでもいいだろうが!
楓花:唐突だね(笑)
GM:1人50文です。
一同:『50!?』
池震電:高い! 親父、それは暴利と言うものだ。せめて30文が良い所だろう?――【山(自我)】で交渉する。
GM:良いでしょうこっちは(コロコロ)……[1段階活劇]――「すいませんねぇ、最近物価が上がって……」
池震電:……[2段階活劇]だ――それにしても高すぎだ。普通なら10〜20だろう!
GM:「そこまで言われちゃしょうがねぇ、解りましたよ。30文で手を打ちましょう」
池震電:ああ、それで良い。
楓花:僕もやるー! 【沢(魅力)】でまけてもらう、しなを作って誘惑(笑)
司空千里:しなは無いだろう。
楓花:童顔だけど体は17歳だもん……[2段階活劇]!
GM:(コロコロ)……あ、こっちも[2段階活劇]――「ん? 何かやったかい?」
池震電:17歳だが体付きは中性的だからか。
楓花:ふるふるふる……燃やす!
司空千里:待て待て!(笑)――すまない親父さん、俺と合わせて安くしてくれないか?――【沢(魅力)】で交渉する。手札から1枚と、場の[想い]を2枚注ぎ込んで[3段階活劇]だ。……ってか楓花よ、お前って男装してなかったか?
楓花:おお!? 忘れてた(笑)
※解説13 「想い」
 PLは手札とは別に、[想い]の数値以下の数字のカードを、[想い]の数値枚数まで場に表向きで溜める事が可能です。場に溜めたカードは自分の判定にブーストして使うことができ、同じ[武侠間合い]にいれば、自分だけでなく他のPLに分け与える事も可能です。これを[想いを分かち合う]といい、その時に「俺の怒り(怒り=風スペード)の分も!」――等と演技も加えるとナイスです。
GM:とりあえず男装云々は置いておいて、千里の言いように主人は折れます――「わかった、そこまで言うんじゃ……だが、せめて食器の片付けぐらいは手伝ってくれよ」
司空千里:ああ、それぐらいで良いならお安い御用だ。
池震電:ふ……千里君は優しいな。
楓花:震電は片付けの手伝いしないの?
池震電:いや、私は目が盲目で見えないから、片付けはできない(笑)
司空千里:オノレの盲目は都合の悪い時だけか!(笑)
池震電:す、スマナイ、役に立ちたかったんだが……悪いな。ゴホッゴホッ!――咳き込む。
司空千里:本当にお前という奴は……。
GM:あ、ちょっと[陰陽]を占って下さい。
※解説14 「陰陽を占う」
 山札から1枚カードを引き、カードの色が赤だったら[陽]で幸運な事が起き、黒だったら[陰]で凄い悪い事が起きます。易占判定の簡易版ですが、【運】次第な判定をさせる時など便利です。
池震電:……月ダイヤだから[陽]。
GM:では客桟の主人が――「ちょっとあんた、病気かい?」
池震電:ゴホッ……いや、いつものこと――ゴホッゴホッ(笑)
GM:「そうか? ずいぶん辛そうじゃないか……よし解った。今晩だけは3人ともタダにしてやる、ウチに泊まっていきな」
池震電:いや、頼るわけにはいかない。どこか寂れたお寺なんかの場所を教えてくれれば結構。
GM:「寺だなんて!?」
池震電:???
GM:「あんた達は旅の者だから知らないかも知れないが、最近じゃあ村外れの廃寺に龍環幇の奴等がいるって話なんだ。悪いことは言わない、ここに泊まっていきな」
司空千里:龍環幇か……震電、楓花、ここは親父さんの言葉に甘えよう。
池震電:……親父、これは気持ちだ――5文。
GM:安。
司空千里:まぁ多少は店の手伝いぐらいしよう。震電……は盲目とか言っているし、俺と楓花でやるか。
楓花:わかった。先に行ってお皿割ってるね♪
司空千里:ああ頼む。って皿割ってどうする(一同爆笑) お前も震電と一緒に部屋に行ってろ。手伝いは俺1人でする!
池震電:すまないな千里君。
楓花:ありがとう千里♪
司空千里:俺は階段を上がっていく2人の背中を見ながら思う――なぜ、俺はこの2人と旅をしているのだろう……。

客桟二階 部屋

客桟(かくざん)にある泊まり部屋は、大概が六畳の1人部屋である。
千里を1階に残して震電と楓花は各自の割り当てられた部屋へ案内される。
案内してくれたのは客桟の主人が1人娘――秋蓮(しゅうれん)。
働き者の手と透いるような黒髪をした、どこか寂しげな瞳の女性だった。
GM:では客桟の主人の娘さんである秋蓮さんが、楓花を案内した後、盲目の震電も部屋へ案内してくれます。
池震電:秋蓮さん……すまないな。ゴホッゴホッ(笑)
GM:「いいえ、父から言われていますから、病気の方には優しくしろって」
池震電:そうか……すまない――と部屋に入った所で秋蓮さんに聞こう――ひとつ、聞いてもよろしいか?
GM:「はい、なんでしょうか?」
池震電:この村に集っている奴等……龍環幇(りゅうかんほう)の幇主の名を知らないか?
GM:「曹龍環(そう りゅうかん)と呼ばれています」
池震電:そいつは何か悪い事をしたのか?
GM:「いえ、今までさして悪い事は……」
池震電:じゃああいつ……(笑)
楓花:←あいつ
GM:「まぁ、数年前から村を仕切るようになりましたが、別にこれと言って悪事が過ぎるというほどの事は……」
池震電:じゃああいつ……(笑)
楓花:←あいつ。
池震電:そうか……ではついでにもう一つ聞いていいかな?――懐から呂文台(りょぶんだい)の人相描きを出して――こんな男を捜しているんだが……。
GM:では【水(感覚)】で判定して下さい。[4段階活劇]を。
池震電:<虎嗅功>で良いですか?
GM:構いません。気配ですから。
池震電:では[陰陽を貫く]! 鳥クラブの5を出して19スタート。……風スペードの10で29……鳥クラブの6で35……花ハートの7か。大失敗はしたくないから[功夫を燃やして]42。[4段階活劇]
※解説15 「陰陽を貫く」
 カードを使った判定でのみ使用可能な特殊ルールである。【能力値】の陰陽(天沢火雷は[陽]、地山水風は[陰])と、判定で使用したカードの陰陽が一致した場合のみ山札からカードを引き足す事が可能なルール。ただし、引き足しの際に陰陽の異なるカードが出てしまった場合、大失敗が起こる。このゲームにとって、大失敗はこの判定の時のみ起こる。
※解説16 「功夫を燃やす」
 <功夫>を使った判定において、功夫値を消費しその判定に効果をもたらす事を[功夫を燃やす]と呼びます。[功夫を燃やす]でできる事は、(1)[命力判定]で振るサイコロの数を燃やした<功夫>数だけブーストできる。(2)[内力判定]の時、燃やした<功夫>枚まで手札から追加して一緒に出せる。(3)[陰陽を貫く]で大失敗になった時、1点<功夫>を燃やせばカードの陰陽を変える事が可能(この時、さらに引き足し続ける事も可能です)――の3つです。
GM:震電は気が付きます。「呂文台」の名を出した瞬間、秋蓮さんは息を止めたという事を。
池震電:キミは……知っているんだね?
GM:「わ、私は……知りません」――急いで部屋から出て行こうとします。
池震電:その手を掴んで――頼む、教えてくれ。
GM:「や、やめて下さい! わ、私はそんな人……」――振り払われ、秋蓮は階下へと走り去って行きます。
司空千里:では、手伝いの前に荷物を部屋に置きに来た俺は、そんな秋蓮さんとすれ違い、そのまま扉が開きっぱなしの震電の部屋に気が付いて――震電、何かあったのか?
池震電:千里君か……今の彼女、秋蓮さんは、呂文台について何か知っているぞ。
司空千里:……そうか。
池震電:驚かないんだな。お前は。
司空千里:扉の柱に寄りかかって――そうでもないさ。ただ、何かあるとは思っていた。秋蓮さん……彼女は今だに独り身だ。
GM:良くわかったね、その通りだ。ちなみに歳は27歳。主人から聞いたって事で。
池震電:呂文台が関わっているのか?
司空千里:それはまだ解らないだろ。俺達はこの村に来たばかりだ。
池震電:何を悠長な事を言っている! 私達は呂文台を探して捕まえに来たんだろう! なら――
司空千里:震電――
池震電:彼女が、そいつの事を知っているのなら、何が何でも聞き出して――
司空千里:震電、落ち着けよ。どうしたんだ急に?
池震電:ドスっと寝台に腰を下ろして――いや、すまない。なんでも無いんだ……。
司空千里:まさか震電、彼女のことが……。
池震電:それには黙っている。そして[花鳥風月]月ダイヤ。私は窓の外の月に視線を送りながら……――なんでもない……ただ、ふと思い出してしまっただけだ……それだけだ……――そしてジャズのバックミュージックが……夜が、深まる。
※解説17 「花鳥風月」
 手札からカードを1枚場に出す事によって、PLが自分のPCの「舞台効果」を演出する事を[花鳥風月]と呼びます。[花鳥風月]では風景・音楽・雰囲気等を演出します。月ダイヤを出して「空を仰げば剣のように鋭い月が昇っていた」や、風スペードを出し「俺が一歩踏み出すと共にロックが流れ始める」や、花ハートを出し「見つめられた瞬間、僕の心を優しさが埋め尽くす」などの演出が可能です。この時、良い演出の場合はGMから許可が出て<功夫値>を1点回復させる事が可能です。ただし、あまりに適当な演出の場合、GMが手札を回す事が可能です。
ちなみに、[花鳥風月]を使う事によって、その[花鳥風月]の舞台効果と共に、他のPCがいる場所に登場する事ができるルールがあり、それを[あいつはきっとやって来る!]と呼びます。
池震電:フェイドアウト的にシーン終了って感じで。どう?
GM:う〜ん……あえて言うなら、通し辛いですね。却下で。
池震電:ええ!? 駄目なの? 厳しいなぁ(笑)
司空千里:今のカッコ良かったじゃん?
GM:ちょっとジャズがなぁ。
池震電:渋い……このGM渋いよ(笑)
楓花:ここだけの話、このGMは自分の手札が揃わないと[花鳥風月]の判定が厳しいのですよ。
池震電:却下は演出があまりに駄目だった場合にだよ? いまの駄目なの!? 採点厳し過ぎない!?
GM:まぁ、あえて言うなら……物足りなかったね(笑)
楓花:物足りて無いのは自分の手札じゃん? 演出的には問題無いでしょうに(笑)
GM:いや、却下で。
池震電:厳しいなぁ。これはスタンダードのプレイじゃない(笑)

巻之弐 暴虎馮河

朧月夜の丑三つ時。
客桟の外に、1人とぼとぼと歩き出す女性がいた。
美しい黒髪の、しかし寂しげな光を瞳に宿した女性……秋蓮(しゅうれん)。
彼女は客桟の横にある納屋まで来ると、その扉にもたれるように嗚咽を漏らす。
「このままじゃあの人は……私はどうしたら……誰か……誰か……助けて……」
司空千里:そこに[あいつはきっとやって来る]で登場する!
楓花:マスターシーンに登場!?
池震電:まぁマスターシーンがあるかどうかはともかく、GMが許せばいいんじゃない?(笑)
GM:許可します!
司空千里:では月ダイヤを使って……――答えは、キミの心の中にあるんじゃないか?――笛の音が流れる。静寂なジャズ。
GM:ハッ!? として秋蓮は振り返る――「司空様……」
司空千里:さっきは仲間が失礼をした。
GM:「……いいえ」
司空千里:ただ、目が見えていないだけなんだ……悪い奴じゃない。ほんの少し、世界が怖いだけなんだ。
池震電:良い設定を(笑)
GM:「はい、あの方の声は優しかったですから……」――彼女はそっと目元を袖で拭い――「司空様、このような時間にどうして?」
司空千里:キミの……涙が落ちる音がして。
GM:ぷッ。
司空千里:笑うな!!(笑)
GM:いや、あまりにクサイ台詞に(笑)
池震電:このGM酷いよ(笑)
楓花:(うんうん)
司空千里:何か思う事があるのだろう? だけど、今宵はもう忘れて休んだ方がいい。
GM:「私は……」
司空千里:抱き寄せよう――この月が再び昇るまで、その涙は取っておくんだ。明日の夜には、キミの元にも暖かな光が射すから。
GM:「あ、あの……」
司空千里:呂文台(りょぶんだい)の事だろう? もし、俺に力になれる事があるのなら……話して欲しい。最後まで、聞くから。
GM:秋蓮さんはスッと千里の顔を見上げて、少し距離を置くと月を見上げながら話出します――「実は……私と呂文台は……この村で一緒に育った仲なんです。文台は13の頃、強くなると言ってこの村を出て剣聖派の門を叩きました」
司空千里:じっと聞いていよう。
GM:「でも……でも三年前、彼はボロボロになって村に帰ってきたんです」
司空千里:ボロボロになって?
GM:「はい。話に聞いた所、彼は決闘に敗れたって話です。それで剣聖派としての証を取られたって……」
司空千里:剣聖派の証……剣を奪われたのか……。
GM:「あの人は、この恥辱を注いで、元の輝いていた自分を取り戻したいって……」
司空千里:彼は……あの薬をどうして?
GM:「その剣を取り返したければ相応の金を払えと言われたそうなのです。それで彼……灼身丹を売り払ったお金で……」
司空千里:そしてもう一度決闘を……か。
GM:「はい……。あの人は言っていました……どんなに言葉をつくろったって……この江湖じゃ、お金が全てだって……」
司空千里:………………。
GM:「この話は、誰にもしないで下さい。あなただから……話すんです……なんででしょうね?」
司空千里:お金が全てか……俺は、彼、呂文台を捕まえに来た。それなのに……その彼を慕うキミがいる。そして……キミを慕う俺がいる」
GM:「司空さん……」
司空千里:俺には仲間もいる……裏切る気にはなれない。俺は……どうすれば良い?
GM:「私の中にも2人います。あの人の邪魔をしたくない私と……あなたの為に、彼を捕まえて欲しい私が……」――静かに見詰め合う2人。
司空千里:たった2人の世界、[花鳥風月]月ダイヤで静寂が支配する。

客桟屋根 深夜

月を見ていた。冷たい夜風に裾をたなびかせながら。
月を見ていた。その光を朧が隠し始めるまで。
月が雲に隠れても、それでも見えないはずの瞳は、ずっとあの時の事を見ていた。
昔の……あの愛した人の事を……――
GM:さて、いったん千里以外の2人にカメラを向けましょう。2人は何をしていますか?
池震電:屋根の上で物思いに更けている。体育座りで。
楓花:体育座り! 武侠では良くある(笑)
GM:楓花は?
楓花:部屋で寝てるかな。何か起こらない限り僕は平和に就寝中。
GM:では屋根の上で起きている震電だけ、<虎嗅功>で[2段階活劇]以上を。
池震電:……それは余裕、[2段階活劇]。
GM:ふと宿の裏の方、1人の男が僅かな殺気を纏いながら歩いてきます。
池震電:私は<軽功>が使えないので、<羅漢功>を使って男の目の前に落下(コロコロ)……[1段階活劇]……ダメージ?(笑)
GM:一枚で良いでしょう……10点ダメージで(笑)
池震電:[命力防御]で(コロコロ)……うん、1点もダメージは来ない――ズシン!
※解説18 「防御」
 ダメージを受けた場合、武侠はサイコロを振ってその出目分ダメージを軽減する[命力防御]か、手札からカードを場に出し、その出したカードの合計値分ダメージを軽減する[内力防御]の、どちらかの防御方法が可能です。
GM:震電が降ってきたので男は足を止め、警戒して腰の剣に手を置きながら静かに言います――「貴様、何者だ」
池震電:それはこちらの台詞だ。
GM:「……龍環幇の者か」
池震電:ふ……この私が、龍環幇に見えるかな?――[花鳥風月]の鳥クラブ、台詞と共に大雨と雷鳴が轟く。名前も震電だし我ながら良い演出だ。
楓花:うん、カッコイイ!!
GM:却下で。
池震電:なんでだーー!!(一同爆笑) しかし大雨は止まない、手札を回したいなら回せ!(笑)
GM:(手札を回しつつ)――男は睨み返し――「いや、龍環幇では無い……違うか?」
池震電:ああ、私はただ、血の匂いを感じて降りてきただけさ。
GM:「そうか」
池震電:間違っていたらすまないが……呂文台(りょぶんだい)……違うか?
GM:その台詞を言った瞬間、男から発せられる殺気が3倍に膨れ上がります――「だとしたら?」――剣の柄をカチャリ、と。
池震電:抜かぬ方が良い……怪我ではすまないぞ。
GM:「ちっ、つまりは俺を捕らえに来たってわけか……」
池震電:悪事を働いている間は捕らえないといけないだろう……それに灼身丹(しゃくしんたん)を扱っているそうじゃないか。なおさら見逃すわけにはいかん。
GM:「あれは、今の俺にはどうしても必要なものだ。この落ちぶれてしまったこの俺には……。悪いが、切らせて貰うぞ」――シャッと剣を抜きます。
池震電:よく見えぬが……その手に持っているものは何だ?
GM:剣ですね。
池震電:それは剣なのか?……棒っ切れを振り回すのならやめておけ。
GM:「っ!?……ほざけ!!!」――戦闘に入ります。こちらは剣聖派剣術<剣聖剣法>使用! <功夫値>消費でダイスブースト(コロコロ)……44+能力値で[5段階活劇]!!
池震電:<剣聖剣法>を使ってくるのか!? ちょっと手加減しようなんて甘い考えは捨てよう……奥義≪六花閃≫を使います。さらに[生き様を貫く]!
※解説19 「生き様を貫く」
 [生き様を貫く]とは、武侠の[生き様]に則した言動を行う事により、山札から[生き様]に決められたマークが出るまでカードを引き続け、判定値に加える事ができるルールである。これはPCの[伝説]回使用可能であり、今回のPC達は皆[伝説2]なので、1セッションで2回まで使用可能である。
GM:震電の[生き様]である[愛]に則した台詞をどうぞ。
池震電:うむ――お前のやっている麻薬のせいで、私の愛している人は……許さん!!!
司空千里:愛している人って……誰だ?
池震電:それを知っているのは私だけだ(笑)
楓花:ずるい理論だ(笑) しかもその愛した人の麻薬が灼身丹かどうかすら怪しい(笑)
池震電:我ながら大人気ない……と思いつつ、今日はもっとずるいGMがいるから問題無いはず!
GM:はい、許可します(笑)
池震電:基本で64、ここから生き様……74、80、86、99、105でストップ! 敵は[命力防御]不可で、さらに鉄棍なので+8。差分の5枚がダメージで……合計59点!
司空千里:それって……いきなりシナリオの最重要キャラっぽい呂文台を殺しちゃうんじゃないのか?
GM:はい、呂文台は命力が0になって倒れます。
楓花:いいの?
池震電:いや、殺す気はなかった……(一同爆笑)
GM:まぁ彼は倒れると――「まだだ、こんな所で終るわけにはいかない……」――懐から何かを取り出して、丸薬を飲み干します。
池震電:ん? それは!?
GM:その瞬間、彼は飛び起き飛雲会もかくやという<軽功>で逃げて行きます。
池震電:あの丸薬の匂いは……――と丸薬の匂いを覚えて良いですか?
GM:構いません。男はそのまま大雨の中消えて行きます。
楓花:そのあたりで、物音聞いて僕も客桟の裏手にやって来たって事でいい?
GM:いいですよ。
楓花:ちょっと欠伸しつつ――わふぅ…ねぇ震電、何かあったの〜?
池震電:では突如血を吐いて倒れます。
楓花:震電!?
池震電:[花鳥風月]月ダイヤ! 吐いた血に月がキラキラと……――立っているのが、やっとだった……。
GM:通し! 功夫を1点回復して下さい!
楓花:震電! どうしたの!? 震電、震電―――!!!

巻之参 揣摩憶測

次の日の朝。
客桟の1階では、千里、震電、楓花の3人が朝食をとりながら話し合っていた。
GM:では次の日の朝です。朝食をとりながら3人で情報交換と、今後について話し合って下さい。
池震電:これこれこういう事があったと2人に話します。ちなみに血を吐いて倒れたのもいつもの事なので、すでに復活しています。
楓花:まぁ実際にダメージは受けてないしね(笑)
司空千里:では震電の話に驚こう――あの呂文台(りょぶんだい)を、だと!?
池震電:確実に急所を貫いたはずなんだが……奴は、懐から灼身丹(しゃくしんたん)を取り出し飲み込むと、生気を取り戻し雨の闇へと消えて行った。
司空千里:生き返ったと言うのか?
楓花:そんな馬鹿な事あるわけ――
池震電:無いとは言いきれまい。灼身丹の効果さえ私達は詳しく知らないんだ。
司空千里:だからこそ、今日はこの村でいろいろ調べてみようじゃないか。
楓花:うん、わかった。
池震電:ああそうだ。一つ言い忘れていた。あいつは<剣聖剣法>を使っていたが、その剣は剣聖派の剣ではなかった。剣聖派が自身の剣を手放すとは思えないが……。
司空千里:……そうか。
池震電:何か理由があるはず……何か知らないか?
司空千里:……俺がか?
池震電:ああ。
司空千里:ふん、知るわけないだろう。
楓花:そうだよ、なんで千里が知っているの?
池震電:……いや、知らないなら別に良い。
司空千里:………………。
楓花:ねぇ、何が起こっているか調べるんでしょ? 早くしようよ。
池震電:ああ、そうだな。
司空千里:では皆でバラバラに調べて周ろう。夕方に再び集まろう――と、言うわけで情報収集に奔走します。
GM:了解です。ではその情報収集ですが……敵とか出るかもしれないけど[易占判定]でやりたい?
楓花:え〜〜めんどい〜〜。
池震電:めんどくさくないよ! しようよ! 奨励だよ!(笑)
GM:ではやりましょう(笑) 一応調べる場所を……大通り、裏道、広場、道場、宿の横の納屋……のどこかへ行って調べて下さい。内容は<探索>か<聞き込み>で違う情報が出ます。
司空千里:じゃあ俺は大通りで<聞き込み>かな。
池震電:納屋を<探索>だ。
楓花:道場って?
GM:剣聖派の道場ですね。この村にはなぜかあるのです。
楓花:じゃあそこ行って道場破り。
司空千里:待て、それは違うだろう! <聞き込み>持っているんだから素直に情報聞いて回れ!(笑)

嬬恋村 広場

嬬恋村(じゅれんそん)。町と言うには小さいが、それなりに大きな村だ。
昨夜の雨も上がり、今日は陽気な陽射しが村を照らす。
大通りを村の雑貨屋へ向かう親子が歩く、食べ物屋からは良い香りの煙がたなびく。
今日も嬬恋村は平和な一日だ。
司空千里:[易占判定]は月ダイヤの奇数と……鳥クラブの奇数。
GM:[火風鼎(かふうてい)]か。なら[2段階活劇]以上を出してくれ。
司空千里:(コロコロ)……[2段階活劇]。呂文台(りょぶんだい)も気になるが灼身丹(しゃくしんたん)について先に聞き周るぞ。
GM:では次に1D振って下さい。
司空千里:(コロコロ)……5。
GM:正しい情報を5つ得ますね。道ではお爺さん達が将棋をさしており――

――お爺さん達から聞いた灼身丹の情報――
   ◆身体が燃え上がるように熱くなり、同時に周囲が遅く見えるようになる。
   ◆服用すればいつもの数倍もの力が沸いてきて、怪我さえ治る。
   ◆2回までなら大丈夫だが、3つ目を飲むと全身より血を噴出し死亡する。
   ◆灼身丹は龍環幇(りゅうかんほう)が作成している。つまり元締め。
   ◆裏の世界で、灼身丹は大変高価な値がつけられている。

司空千里:――なるほど。ありがとう爺さん。助かったよ。
GM:「なぁにお安い御用じゃ」――と、千里はここで2Dを振って下さい。
司空千里:???(コロコロ)……6だ。
GM:「若いの、ちょっと待ちな? まさか話だけ聞いてタダで帰れると思うんじゃないぞ」
司空千里:え?
GM:お爺さん達は千里の座る場所を空けて、将棋の駒をパチンッ!――「さぁ、勝負じゃ!」(笑)
司空千里:いえ、俺は今いそがし――(笑)
GM:「問答無用じゃ〜〜」(笑)――6時間付き合わされました。

嬬恋村 納屋

客桟とは違ってそこはとても静かだった。
人がいないことを確認し、震電は客桟の納屋へと忍び込む。
なぜなら、昨夜の呂文台……奴が向かおうとしていた場所こそ……――
池震電:私は月ダイヤの奇数と……鳥クラブの奇数です。
GM:震電も[火風鼎(かふうてい)]ですね。震電は納屋ですから<探索>ですか?
池震電:そう、納屋を探索する。<虎嗅功>で(コロコロ)……[2段階活劇]
GM:即効匂いで探しますか(笑) なら形は変わっていますが見つけられますね。ちなみに僅かな匂いを頼りに探すので時間がかかります。2D振って下さい、それが所要時間です。
池震電:(コロコロ)……8時間もかかってしまったか――ここにアレがあるのは間違い無い……だが、どこだ?ここか? 違う……ではこっちか?(笑)
GM:そんな感じで8時間後です。丸薬が隠されているのを発見します。
池震電:この匂いは昨夜嗅いだ……――灼身丹だ。
GM:その通り……とはいえ、この場面はクライマックスに近いので後でやります。次は楓花。

嬬恋村 道場

裂帛の気合と共に、村の道場では剣術の練習が行われていた。
剣聖派に属するその道場では、優男風の男性が師を務めていた。
楓花:僕は道場に行って呂文台について<聞き込む>ね。[易占判定]は……鳥クラブの偶数と……花ハートの偶数。
GM:[水沢節(すいたくせつ)]。情報を得るには[3段階活劇]が必要です。
楓花:そのまんま<聞き込み>を使うね。【沢(魅力)】が14あるから、手札から6出して20。[陰陽を貫く]よ。
GM:どうぞ。
楓花:1枚目……鳥クラブの9。[功夫を燃やす]、マークを[陽]にして現在29。
池震電:もう一枚だな。
司空千里:どの数字が出ても[3段階活劇]には届くか。
楓花:じゃあ2枚目……ああ、鳥クラブの2だ。
司空千里:[功夫を燃やす]して31で成功だろう。
楓花:駄目、僕の<聞き込み>って功夫値1だから……さっき使ったしもう残ってない。
司空千里:……は?
楓花:大失敗(笑)
※解説20 「大失敗」
 [陰陽を貫く]をした時、その判定で失敗してしまうと[大失敗]となる([大失敗]はその時しかこのゲームでは起こらない)。功夫値を1点消費すれば回避可能だが、功夫値の無い判定で[陰陽を貫く]を行い大失敗になった時は諦めるしかない。[大失敗]になった場合、その最後のカードの数字とマークを[大失敗表]と照らし合わせ、その表に書いてあるように最悪の出来事が起こる。
GM:効果は鳥クラブの2か……『おかしい、身体が鉛のように重い――次の場面では[命力]を使った判定ができない』。
楓花:次の場面が悪くなるの?
GM:いえ、この場面でも悪い事が起きます。では楓花が意気揚々と道場までやって来て、扉を叩こうとした瞬間です。急激に身体の調子が悪くなります。
楓花:うう……――手を付いて座り込む――なんで……急に……。
池震電:そして楓花は思い出す。昨日の晩、震電と勝負して奪い取った饅頭の事を(一同爆笑)
楓花:あ、あれのせいか……おのれ……(笑)
司空千里:お前等、そんな饅頭を賭けの対象にするなよ……。
GM:楓花が道場の前で倒れていると、休憩に入った練習生が楓花を見つけて――「師父、大変です。子供が倒れています」「それは大変ですね、ひとまず道場の部屋に連れて行って下さい」――師父と呼ばれた男は優男です。
楓花:触るな!!
池震電:――という気力さえ出ない。全てはあの饅頭のせい(笑)
楓花:だ、駄目だ……力が出ない……震電めぇさては解ってて僕にあの饅頭を……(笑)
GM:では何もできず剣聖派道場の部屋、寝台に楓花は寝かされます。
楓花:なんで……こんなことに……。
池震電:それは全て饅頭のせい(笑)
楓花:それはもう解ったから!!(一同爆笑)
司空千里:(門下)『師父、大変です。凄い汗です』
GM:「おや、本当だ。これは大変、すぐに衣服を変えてあげねば」
楓花:え? えええええ!? や、やめろ! 触るなっ!!
池震電:(門下)しかし饅頭のせいで力も入らず、為す術も無い楓花。
GM:「幸いこの子供は少年のようだ。早く脱がすのです」(笑)
楓花:ひ、酷い!?
司空千里:(門下)『し、師父、大変です! この子供……女です!!』
GM:「なんだとっ!?」――と楓花はあられも無く。経過時間を振って下さい。
楓花:(コロコロ)……3。3時間経った。僕は大丈夫だったの? ここって龍環幇の巣だと思ってきたんだけど……すると僕って大変な事になってない?
GM:ふむ、[陰陽を占う]をして見ますか。ぶっちゃけここの道場の半数は龍環幇絡みです。しかし、師父である優男さんは龍環幇に入っている門下生を快く思っていません。運が良ければ師父が助けてくれるでしょう。
楓花:こんな所で……花ハート! [陽]! よかった……僕は助かった(笑) 寝台の布を引っ張って壁際で必死に――僕は女だ! 近づくな! 近寄ったら骨の髄まで燃やしてやる!!
GM:「おや、これは失礼致しました。ほら、お前達は修行に戻りなさい。お嬢さん、すぐに医者が来ますからそれまで部屋で大人しくしていて下さいね」――と師父である優男が、道場の狼達を追い払い3時間が経過しました。
………………………………………………………………………………………………
GM:では場面が飛んで、再び楓花の場面です。
楓花:内力を巡らせて回復したって事で良い?
GM:構いません。ちなみに<聞き込み>の[3段階活劇]以上を出せば、情報を得られますが?
楓花:じゃあ……って、<功夫>尽きてるし駄目じゃん! あ、じゃあ、優男さんが心配して僕の寝ていた部屋に入ってくると、そのベッドに僕はいなくて……見れば庭に1人。
GM:「キミ……」
楓花:ありがとうございます。助けてくれて――振り返って微笑む、さらさらと花が舞う――[花鳥風月]の花ハート!
司空千里:<聞き込み>の功夫値を回復させる気か(笑)
池震電:しかし、このGMは酷い事が発覚済みだぞ?(笑)
楓花:でも回復しないと成功する可能性すらないし……どう、GM?
GM:うむ、却下だ。
司空千里:のべも無し!!!(笑)
池震電:頑張れ楓花! せめてダイスで10(6の目)を出すんだ!
楓花:よし、ならダイスで……――
GM:いや、さっきの[大失敗]の効果で、このシーンでは命力判定ができないぞ。
楓花:はっ! じゃあ何もできないじゃん!!
GM:「駄目ですよ、安静にしていなくては」――と、優男が。
司空千里:(門下)『あ、元気になったんですか師父、ならお粥でも――』ニヤニヤ(笑)
GM:では数人の門下生がどやどやと部屋に(笑)
楓花:もうそれはいい! 剣聖派の人達に屈辱の目を向けて――よくも僕の……を見たな!! 許さない!
GM:何をするつもりです?
楓花:お前ら剣聖派は大ッ嫌いだ!――奥義≪緑龍風操掌≫で[4段階活劇]!!! この奥義は<軽功>の代わりに使えるから、そのまま竜巻になって部屋の屋根を突き破って逃げ去る!
GM:じゃあサービスシーン終了(笑)

嬬恋村 裏道

かなりの時間が経って、やっと老人達は千里を解放してくれた。
すでに太陽は中天を過ぎ、あと数刻で黄昏に入る。
灼身丹についての情報は聞けたが、まだ呂文台も龍環幇についてもわかっていなかった。
GM:では6時間経った千里です。
司空千里:はっ! 何を俺は真面目に将棋さしているんだ!? お爺さん悪い、この勝負はまた今度!――と、今度は裏道に聞き込みに行く。
GM:裏道ですね。するとイベント発生――「おい兄ちゃん、この男を見なかったか?」――柄の悪そうな連中に呼び止められ、男の人相描きを見せられます。
司空千里:呂文台かな?
GM:そうです。呂文台の顔の絵ですね。
司空千里:いや、見てないな。
GM:「そうか、もし見つけたら村の外にある廃寺に教えに来てくれ、教えてくれたらいくらか出すぜ」
司空千里:その男、いったい何をしたんだ?
GM:「まぁウチ等の所から、とても大事なものを大量に盗んで行った男でね」
司空千里:その男は……あんたらと同じ剣聖派か?――男達は腰に剣聖派の剣をさしてますね?
GM:その通り。男達はニヤニヤと互いの顔を見合ってから――「いや、あの男は違うな。決闘に負けてもう同じ門派じゃないのさ」
司空千里:そうか。わかった、見つけたら知らせるようにしよう――(こいつら、龍環幇だな)と目星をつけつつ、今は荒事を起こさない。そのまますれ違おう。
楓花:じゃあ[あいつはきっとやって来る]! 風スペードで竜巻とともに登場!――千里!!
司空千里:楓花?――と言うか、せっかく穏便に済ませようとしたのにー(笑)
楓花:僕ばっか不幸に巻き込まれて溜まるか!
司空千里:あれはお前が判断見誤って[大失敗]しただけじゃないか! 俺を巻き込むなよ(笑)
GM:もう遅いから、楓花の登場は通しです(笑) 柄の悪い男達は――「こいつ……宿の前で大暴れしたガキですぜ! 兄貴!」「ほう……」「おい、ガキッ!!!」
楓花:ん? あ、キミ達は悪人! まだこんな所にいたんだ――ふぅ〜ん?って感じで。
司空千里:楓花、余計な因縁を付けるな。それとも、お前の天文会はその程度の奴等を相手にするものなのか?
楓花:う゛…それは……。
司空千里:男達に向き直って頭を下げよう――すまない、別に喧嘩を売りたいわけじゃないんだ。
GM:それにはこちらもリーダー格の兄貴が出てきて――「こちらこそすまない、昨日は不躾なまねをしてしまった。坊ちゃん、昨日の事は水に流してくれないか?」
楓花:謝られた!? なんか負けた気分だ――い、いいよ別に……僕は怒って無いし……。
GM:「いや、謝らせてくれ、非は我等にあった……」「兄貴、そこまでしなくても」――と下っ端はオロオロ。
楓花:あ、頭をあげなよ! 別にそこまでしないでも良いよ!
池震電:龍環幇、意外と良い奴等じゃないか(笑)
GM:「一般人に手を出したのは我等の恥。だが解ってくれ、我等も刻一刻を争い、また人手が必要な時なのだ……勘弁して欲しい」
楓花:ま、まぁ、そこまで言うんだったら、キミ達の力になってあげるよ。
GM:下げた頭の下でニヤリ……そして顔を上げると誠実そうな顔で――「ありがとう、本当に助かる」――と、楓花に一朱銀を3枚くれます。
楓花:え、いいよ! こんなにもらえないよ!
GM:「いや、我等が昨日かけた迷惑分も含んでのお礼だ。受け取って欲しい。そして何かあったら教えてくれ」
楓花:……あ、ありがとう。わかったよ……。
司空千里:さぁ行くぞ楓花。
楓花:うん……ねぇ、僕、悪い事したかな……あの人達……良い人だった――素直に反省。
司空千里:俺は何かを考えるように言う――……ああ、そうだと、良いな。

納屋 灼身丹

その灼身丹はすでに風化が進んでおり、とても飲める状態ではなかった。
日が落ちかける納屋の中で、震電はその十数粒の麻薬を持って過去に想いを馳せる。
このような麻薬が無ければ……なければ……――
GM:では震電です。灼身丹はすでに劣化しており使えそうにありません。数は十数個ですね。
池震電:なぜこんな所に……――少しするとそれを握りしめ――こんなものがあるから……私の愛した人は……――と何かを見上げて想いを馳せる。
GM:どれだけ経ったか、納屋の扉が開き、震電を現実に引き戻します――「誰!?」――秋蓮さんの声です。
池震電:立ち上がります。
GM:「池震電さん……」
池震電:ゆっくり近づきます――ここに灼身丹があるね?
GM:「どうして……あなたは目が……」
池震電:ああ、私は目が見えない……だが、昨日ある男と立ち会ってね。その時、灼身丹の匂いを覚えた。この納屋の中からはいくつもの灼身丹の匂いがする。
GM:「ま、まさか……文台をこ、ころ、殺した……んですか?」
池震電:そう、殺した……はずだった。だが、奴は灼身丹を飲むと、見る間に傷が回復しどこか遠くへと行ってしまった……あれは、あの回復の仕方は普通じゃない。
GM:「そう……ですか……」――秋蓮さんはどこか安堵するように言います。
池震電:教えてくれないか? 私の一撃は、普通の人間なら3回死んでもお釣りが来る。その一撃を彼は急所に受けた……受けたはずだ。だが、彼は生きていた。普通ではありえない。普通にありえないことなら……それは、引き換えに無理が来ているはずだ。
GM:彼女は怯えたように肩を抱き寄せると……「お願いです。これ以上、彼と関わらないで下さい。これ以上彼が麻薬を飲んだら、彼は……彼は……」
池震電:なぜだ……どうして彼はこの薬が必要なんだ。
GM:「失った……」――と言った所で、彼女はハッとし、言ってはいけない彼との約束、しかし言わねば彼を救えない……と悩みます。
池震電:そうか……言いたく無いんだな、わかった……――彼女を見つめよう。
GM:秋蓮さんもじっと震電を――
池震電:<尋問>します。
一同:『尋問かよっ!!』(一同大爆笑)
池震電:怒りの声を出す!――迷っている場合じゃないんだ!――バシーンッ! 憤怒の形相になります。
GM:こっちは【山(自我)】で(コロコロ)……[2段階活劇]!
池震電:[命力判定](コロコロ)……6、6、5、5! [4段階活劇]!!
楓花:怖ッ!
GM:「そんな……私は……私は……」
司空千里:そこで[あいつはきっとやって来る]! 風スペード! 風がざわめく!
池震電:このざわめきは……――と見えない私も千里君が来た事を感じる!
嫌な予感がした。どうしてそこに向かったのか解らない。
ただ、風が吹いた時、俺はそこに行かなければいけないと思ったのだ。
そして俺は扉を開けた。
そこで見たのは、秋蓮に手をあげ、鬼気迫る形相で掴みかかろうとしている……仲間の姿だった。
司空千里:何をしている震電!!!
池震電:彼女の腕を乱暴に取ったまま――千里君か。
司空千里:何をしようとしている。答えろ震電!!――彼女を守るように叫ぶ。
池震電:……ここに灼身丹があった。そして、彼女に真相を聞こうとした所だ。
司空千里:ここに灼身丹が……そうか。
池震電:そして彼女は、その事を知っている。だから聞こうと思っただけだ。
司空千里:聞くだって? お前は昨日の子供にやったように、力づくで聞き出そうとしたんじゃないのか!
池震電:私のやり方に口を挟まないでもらおう。
司空千里:なんだと!!
池震電:千里君、だいたいお前は……知っていたんじゃないのか? 私の目は見えないが、見えないからこそ、人が隠したがるものこそ見えてしまう。もう一度言おう……千里君、お前は彼女が何か隠している事を、知っていたんじゃないのか?
司空千里:それは……。――目を逸らす。
池震電:なぜだ、なぜ今朝私に会った時に、その事を話してくれなかった!
司空千里:それは……それは彼女が……怖かったから。
池震電:わかっているのか! あの男はすでに死んだも同然だ! それなら……――
司空千里:違う!!
池震電:何が違う!!!
司空千里:……震電、お前はどうしてすぐに血を求める。拳を突き出す前に、やれる事があるんじゃないのか!?
池震電:殺らなければ殺られていたよ。それが私達の世界だろう。
司空千里:例えそうだとしても……当人達にとってはそう軽い問題じゃない。
池震電:解っている……解っているさ……だから――ゴホッゴホッ!!(笑)
GM:その瞬間、彼女は震電の手から逃げて千里の後ろへ。
司空千里:[花鳥風月]さり気なく花ハートで優しさ(笑)
GM:「千里様、もういいんです。あの人を……あの人を救って上げて下さい。あの人は、文台はもう1度灼身丹を飲めば、本当に死んでしまう。私は文台に死んで欲しく無い。あなたに会えて気が付いたんです。あの人に、あの人が側にいてくれる事こそ、今の私が一番大切に思う気持ちなんだって……ごめんなさい」
司空千里:それが……キミの真実なんだね。
GM:「……はい」――決意に満ちた目で、自分の考えを肯定した強さを持って。
司空千里:良かった。キミがそれに気が付いてくれて。
GM:「………………」
司空千里:それで、彼は今どこに?
GM:「彼は今晩、都から来た商人に灼身丹に売り払うつもりです。そしたら再び決闘し、たとえそれに勝っても、失った過去を取り戻そうと文台は旅立ってしまう」
司空千里:時は?
GM:「月が天に昇る頃」
司空千里:中天の頃か……震電、呂文台は龍環幇に狙われている。なぜなら、灼身丹を龍環幇から奪ったからだ。
池震電:……それで?
司空千里:龍環幇は呂文台を捕まえて奪われた灼身丹を奪い返すつもりだ。奴等に捕まる前に、呂文台に会う必要がある。
池震電:……なるほど。
GM:「千里様……私は……私はどうすれば……」――手を胸に置いて寄りかかるように。
………………………………………………………………………………………………
池震電:この納屋を燃やそう。ここには灼身丹が沢山ある、呂文台が隠し場所に使っていたのだろう。なら、さっさと燃やしてしまった方が良い。
司空千里:秋蓮さんの方を見よう。
GM:それには頷きます。
司空千里:ああ、そうしよう。
GM:と言った所で、納屋の窓から筒状の何かが火花を散らしながら投げ込まれます!
池震電:この匂い……まずい、爆薬だ!!!
司空千里:秋蓮さん!!
GM:脱出には<軽功>で[4段階活劇]、もし秋蓮を抱えて逃げるなら[5段階活劇]以上!
司空千里:飛雲会を舐めるな! <飛雲軽功>!
池震電:私は<軽功>の代わりに<羅漢功>で耐える! [陰陽を貫く]で現在【天(体力)】が10なので、手札から10のカードを出して、さらに引き足します……12……31、41、最後のを功夫を燃やして赤にして、[4段階活劇]!――早く行け!!
司空千里:ああ!――27から[陰陽を貫く]……35、功夫を燃やす……44、51、功夫を燃やす。[五段階活劇]、成功!
GM:「池震電さんは!?」
司空千里:気にするな、あいつはあの程度で死ぬ奴じゃない――かなりの距離を飛ぶ。秋蓮さんを連れて納屋から離れるぞ。
GM:では千里の後ろで、納屋が大爆発を起こします!!

大通り 夕暮れ

夕暮れに染まり出した嬬恋村の大通り。
店を閉じようと準備をしていた商人達が、ギョッとして急ぎ扉を閉める。
大通りには女性を抱えた1人の武侠がいた。
そして手に光物を持った覆面の賊徒達が、その武侠を一斉に取り囲む。
司空千里:宿から離れた道に降り立ちます。
GM:と、そんなキミを取り囲む数十人の覆面。腰には剣。
司空千里:納屋を包囲していたのか……その剣を見れば剣聖派ってわかるよな?
GM:解ります。覆面をしていますが、たぶん奴らでしょう。
司空千里:秋蓮さんを抱えたまま言おう――龍環幇の皆さんが、どう致したかな?
GM:「その女を渡してもらおう」
司空千里:断る!……と言ったら?
GM:「こうするまでだ」――シャララと全員剣を抜きます。戦闘に入ります。
司空千里:彼女を抱えたまま戦えるか!――<飛雲軽功>[陰陽を貫く]で……功夫を燃やす……45……功夫を燃やす……57、[5段階活劇]。飛んで逃げ回るぞ。
GM:賊徒達は……惜しいッ! [4段階活劇]か。<軽功>にて巧みに囲みを突破して逃げ出す千里を、賊徒達は追い始めます。
司空千里:ふ……付いてこれるものなら付いて来い。

納屋爆破跡 夕暮れ

ガラガラと瓦礫をのけて、1人の男が現れる。
あの大爆発の中、内功を廻らせた身体には、傷1つ付いていなかった。
池震電:また、私は生き残ってしまった……――立ち上がろう。
GM:では爆発でも死ななかった震電ですが、爆破された納屋の周りを十数人の覆面が取り囲んでいます。皆、手には剣を持っていますね。
池震電:爆薬を投げ込んだのはキミ達かな?――髪をかき上げながら。
GM:「お前もあの女の仲間だな……死んでもらう」
池震電:私に死ぬ? うまく聞こえなかったな、もう一度言ってくれ。
GM:「お前に死んでもらう……そう言ったんだ」
池震電:誰が言ったんだ? 見えないからよく見えないんだが? 誰が……私に言っているのかな?
GM:「貴様……なら! その体に刻み付けてやる!」――剣を向けて叫びます。
池震電:そんな棒っきれで私に戦いを挑むつもりか?
GM:「我等が剣聖派の剣、避けられる者などいない!」
池震電:棒っきれとはいえ、武器を抜いたんだ……覚悟はいいな?――と、私も鉄棍を構えます。
GM:「遠慮はいらん、一斉にかかれ!!!」――賊徒が打ち掛かって来ます。活劇段階は……[3段階活劇]
池震電:ぐるんと棍を振り回し――<旋風棍>!!――[陰陽を貫く]……赤、赤、赤、赤、止める。65で……[6段階活劇]!! 範囲攻撃の……32点+8で、40。賊徒が対象だとダメージが倍だから80点!!!
GM:殲・滅!! まるで竜巻のような烈風が吹き荒れ、納屋の残骸ごと人間が吹っ飛びます!!!
池震電:瓦礫が落ちてくるのがおさまり、静かになると私は膝を付く、そして――……ゴホッゴボッ!――血を吐く。

裏通り 夕暮れ

其の名の如く、飛ぶように逃げ続ける千里だったが、嬬恋村の地の利は無かった。
どうにかその絶技にて追いつかれてはいないが、いつの間にか大通りを外れ、裏道へと誘導されている。
このままでは、挟み撃ちにされる。だが、今は逃げる事しかできなかった……――
GM:「逃すな! かかれーー!!」――と謎の覆面賊徒が襲ってきます。秋蓮が千里に抱えられながら――「千里様、私の事は構わず……私を抱えてでは戦う事だってできない……」
司空千里:「秋蓮さん、心配はいらない。俺に任せておいてくれ」――と、言いつつも、秋蓮さんを抱えて両手が塞がっている状態だと飛刀を投げるのも微妙だ……。さて、どうするかな。
GM:迷うぐらいなら[陰陽を占う]をして見ましょう。[陽]なら道場の優男師父が通りかかります。
司空千里:では……よっ! 風スペードだから[陰](笑)
GM:千里が<飛雲軽功>で一足飛びに飛び周っていると、敵の投げた剣が進路上に出現! ぶっ刺さります。
司空千里:刺さるのかよ!(笑)
楓花:そこで僕の登場! [花鳥風月]鳥クラブ!
GM:おお、するがいい(笑)
楓花:投げられた剣が何か鳥のようなものに弾かれる!
司空千里:なら俺はその鳥を足場に、さらに高みへ。近くの建物の屋根に着地だ(笑)
GM:「何ッ!?」
楓花:と、その鳥のようなモノは追手の1人にぶち当たる。よく見ればそれは箏! 持ったは良いけどまったく使ってなかった僕の箏!(笑) そして[あいつはきっとやって来る]! 千里が降り立った屋根の上、追手達を見下ろすように足をブラブラさせて僕がいる。
GM:楓花は<功夫値>回復していいです。通しです(笑)
司空千里:秋蓮さんを降ろして楓花に――よう、楓花。
楓花:どうしたの? こんな所でさ?
GM:「き、貴様はあの時の!」――と覆面たちは屋根を見上げて言う。
楓花:はて? って顔をして――キミ達なんて僕知らないよ? 千里の知り合い?――と今度は千里を見る。
司空千里:あいつらは……――とそこで黙る。
楓花:ん?
司空千里:いや、ちょっと妙な因縁を付けられてな、だが秋蓮さんを抱えたまま相手をするわけにもいかず、困っていたんだ。
楓花:そっか、じゃあここは任せてよ。こんな奴ら僕が軽く遊んであげる――<軽功>使って賊徒達の真ん中に降り立とう。
GM:「こ、こいつ……今度ばかりは!! 剣聖剣法!!!」(コロコロ)……[3段階活劇]!!
楓花:問答無用? キミ達みたいのがいるから、いつまで経ってもみんなが安心して生きられないんだ!――奥義使うね。
司空千里:楓花、頼むぞ――[想いを渡す]――花ハートでいいか?
楓花:OK♪ 奥義≪天文覇気功≫!……千里のも使って4枚からスタート(コロコロ)……38+14、52! [5段階活劇]!! ダメージは26の2倍、52点!
GM:殲・滅!!――楓花が光ったかと思うと賊徒は全員倒れています。
楓花:まったく……相手になんてなりゃしない。
司空千里:範囲攻撃……いいなぁ。
楓花:倒れている賊徒に向かって言おう――あのさ、何がしたいか解らないけど、無理はしない方がいいよ? キミ達、弱いんだし。
GM:「く、くそ……ガキが……ぐふっ……」
楓花:なんだかなぁ……って目を向けた後、千里に振り返って――それで? 何があったの♪

納屋周辺 夕暮れ

一頻り経ち、震電はやっと咳も収まり周囲を確認する。
すでに跡形もなくなった納屋の跡地に、数十人の覆面が全員倒れ伏していた。
震電は無表情にその中の1人を選ぶと、ゆっくり内功を送り今一度意識を取り戻させた。
池震電:吹っ飛ばした覆面のうち、1人だけ生かしておいて<尋問>します。
司空千里:キターーーーー!!(笑)
池震電:まず(自主規制)る!(笑)
GM:「うぎゃーーー!!!」
池震電:痛いか? 素直に私の言う事に答えれば助けてやる。
GM:「うわぁ……ぐ……」
池震電:呂文台について、どの程度知っている?
GM:「……く、あの男の命も今夜までだ……」
池震電:余計な事は喋らなくて良い――(自主規制)ます(笑)
GM:「ィッ!! うがぁっ……うう……」
と、ここで一瞬、池震電のPL(小林正親)さんが素に戻る。
小林正親:………………これはもしや、やりすぎ? リプレイ大丈夫?
西蓮:どちらかというと、あなたという人格が大丈夫でないかと?
小林正親:違うよ? 今回のキャラがそうなだけだよ? 震電が<尋問>しか持ってないからだよ?
GM:わかってます、わかってますって(笑) しかし<尋問>しか取らなかったのは小林さんです。
小林正親:強くは言えない(笑)
相原あきと:大丈夫ですよ、ちゃんとリプレイじゃ読者が嫌がらないように描写は自主規制しておきます。
小林正親:………………。
GM:さぁ、そんな話は良いので、プレイに戻りましょう。

池震電:お前が知っている事を全て話せ。もう一度言う、呂文台について知っている事を話せ。
GM:「あ、あの男は……元々俺達の兄弟子みたいなもんだ」
池震電:兄弟子?
GM:「だ、だが、決闘に負けて剣を失い剣聖派を追い出されたんだ……」
池震電:キミは良い人のようだ。木の側で座らせてあげよう――座らせます。
GM:「ぎゃー! 動かすな!……うう……お前なんて死んじまえ!」
池震電:ピク……何か、言ったかな?
GM:「う、うう……」
池震電:良く、聞こえなかった――拳を構えます――それで、お前達龍環幇は、どの程度呂文台について調べがついている。
GM:「今夜にでも捕まえられるだろうさ」
池震電:それはどこでだ?
GM:「そいつは言えねぇなぁ」
池震電:キミはさっきから面白い事を言う……――(自主規制)ます!
GM:「うがーーーッ!!! ち、ちくしょう……て、てめぇなんて……血も涙もねぇ……人間じゃねー……」
池震電:……突然泣き出します――うあああああ!!!
司空千里:なんだなんだ(笑)
池震電:そして木を殴りだします。バシンッバシンッ!――誰のせいで……誰のせいで……私は血も涙も無い人間になったと思っているんだ!!!
GM:バキバキとひしゃげていく木。
池震電:バシンッ――と木に拳をつきつけ――それで? 場所は?
GM:「む、村の外れの崖で、街から来る商人と呂文台が待ち合わせをするんだ。そこを俺達は待ち伏せにして捕まえるって……そう、兄貴が言ってたんだ」
池震電:村外れの崖か……十分だ――と、その場を去りましょう。
GM:「お、俺は!?」
池震電:ゴホッゴホッ!!――く、こんな所でまた……――血を吐き、今回はそこで倒れて気を失う(笑)

客桟 夜

池震電が目覚めると、そこは客桟の一室だった。
身体を起こしてみれば、周りには千里と楓花、そして秋蓮がいる。
窓の外の気配は、すでに日も落ち夜に入っていた。時間が無い……震電は胸に詰まる血を飲み込み、3人に話し出した。
GM:では倒れていた震電を客桟の部屋に連れてきて、全員揃ったという状況です。
池震電:私は起きていいんだよね? なら3人に何があったのか話そう。爆発に巻き込まれた覆面を助けたら、今日の深夜に村外れの崖で、商人と取引する呂文台がいる事。その時を龍環幇が狙っている事を説明する。
司空千里:覆面を助けたら? まぁそこは聞き流して――そうか。やはり龍環幇も……――秋蓮さんの方を見る。
GM:心ココにあらずと言った感じです。
司空千里:………………。
池震電:ゴホッゴホッ! 血を吐く。
楓花:震電!?――背中を擦ろう。
池震電:その手を遮って――い、いや、大丈夫だ。それより呂文台を……もう、時間が無い。
GM:そうですね。なんだかんだと震電が気絶している間に時間も流れ、そろそろ崖に行かないと龍環幇より先に呂文台に会うのも難しくなるでしょう。
司空千里:いくぞ楓花。
楓花:震電はどうするの?
池震電:私には構うな……先に行ってくれ。
楓花:………………。
GM:「あの……」――と秋蓮が千里を止めます――「私も……私も連れて行って下さい!」
楓花:千里を見よう。
司空千里:あなたにとって、辛いものを見るかもしれない……それでも、一緒に来たいのか?
GM:彼女は一瞬迷うように目を伏せるが――「はい、お願いします。ここで行かなかったら、私は一生後悔する」
司空千里:いいだろう――彼女を抱えて<飛雲軽功>
楓花:それに追いすがるように<軽功>使って――千里、震電はいいの?
司空千里:ああ、心配いらない……あいつは、きっとやって来る。

巻之肆 確乎不抜

夜に染まったかのような青い月が、闇の中から1人の男を浮き上がらせる。
嬬恋村を離れた外れの崖の上だ。
雲が流れ時が経つと、そこに2台の馬車がやって来た。男はその馬車を見ると、向こうが来るのも待てずに駆け寄っていく。
何がそう急かすのか、男は片方の馬車から降りてきた商人に乱暴に詰め寄ると、懐から何か包みを見せた。

「これが約束のブツだ」
「ふむふむ……この形、この色、まさに灼身丹……」

しかし、商人は目を瞑ると鼻をヒクヒクと動かして、何かを探すように包みの匂いを嗅ぎはじめる。

「クンクン……クンクン……ん? この匂い……残念ながら、これはウチではお取り扱いできませんな」
「なぜだ! これは正真正銘灼身丹だぞ!」

男が包みを握り締め、商人の胸を突く。商人は一瞬だけ息を詰まらせるが、

「た、確かにこれは灼身丹……ですが、この麻薬からは僅かに盗人の匂いがする。そのような品物、ウチで買い取るわけにはまいりませんなぁ」

ニヤリ――商人がそう呟くと同時、男の顔色が変わる。馬車の中から殺気が膨れ上がったのだ。
瞬後、男は商人から飛び退り、灼身丹を懐にしまう。
馬車の中からはドヤドヤと剣を持った男達が飛び出してくる。

「貴様!!」
「あなたが誰にもバレずに事を運んで下さったのなら、事前の話通り取引して差し上げても良かったのですが……私もこの身は大事でして……龍環幇さん達に付かせてもらいますよ。それでは、御機嫌よう」

商人はそういうと、馬車に乗り込みその場を離れていく。
残ったのは馬車から現れた数十人の男達と、たった1人の男だった。

「おのれ……。く…そ……ならば!」

月光に剣が煌き、1対数十人の激闘が始まる。
人数が多い賊徒達は剣の腕もまばらで未熟、一方、たった1人の男の腕は見事、流れるような動きで払い、受け、スキを見つけては反撃……。
しかし、所詮は多勢に無勢。男は賊徒達の数に崖へ崖へと追い詰められていく。
そして――
横一列に並んだ賊徒達が一糸乱れぬ動きで剣を構え、勝どきの声を一斉に上げる。

『これで終わりだ! ≪剣聖派奥義≫!!』

一気に数十もの剣が男に向かって突き進む!
「くっ!!」
男の目が閉じる。その瞼の裏に映るは……――

司空千里:
[花鳥風月]月ダイヤで登場!
楓花:同じく[花鳥風月]月ダイヤで登場!

その時、一筋の光が!
剣聖派の一点に集った剣先に、針の穴を通すような一撃で金属音が響き渡る。
キンッ、キキキンッ!!!
それはたった1本の飛刀。
しかし、たった1本の飛刀が全ての剣を弾き返す。

「こ、これは……飛雲飛刀!?」

気が付けば、月の光に照らされ長い人影が2つ。
賊徒達が驚きの声を上げる。

「な、何者だ!!!」

GM:「な、何者だ!!!」――賊徒……龍環幇の1人が叫びます!
楓花:バサっと服を風にひらめかせ――天文会の楓花!
司空千里:キラリと飛雲飛刀をちらつかせ――飛雲会が司空千里。義によって助太刀いたす。
GM:「お前達は……」――と、崖に追い詰められていた男……呂文台も驚き顔。龍環幇達は――「誰か知らぬが邪魔をするな! 命が惜しくばさっさと消えろ!」
司空千里:それはこちらの台詞だ。死にたくなかったらさっさと逃げるがいい。
GM:「なぜ貴様等に従う必要がある! それに義だと? 貴様らはそいつが何をしたのか知っているのか!」
楓花:灼身丹を盗んだんでしょ? 知っているよ。
GM:「ならばなぜ! 盗人などに加担する!!」
楓花:決まってるだろ、キミ達の方が悪そうだからさ。
GM:「悪そうだから……だと? き、貴様……我等を剣聖派と知っての暴言か!!!」
楓花:ふん、剣聖派は元々大ッ嫌いだ!――ベーっと舌出す。

嬬恋崖 飛雲飛刀

「文台っ!」
月夜の崖に、女性の声が木霊する。
女性……秋蓮はその瞳に涙を溜めて叫ぶ。
男……呂文台も目を見開く、誰よりも一緒に居て欲しい女が――
そして、誰よりも今の自分を見られたくない女が……。
「なぜここに! 後を追うなと言ったはずだ!」
GM:呂文台の言葉に秋蓮さんは――「でも、でも、私あなたに死んで欲しく無い!」――と叫ぶ、すると呂文台は苦しい顔をした後、さっと目を伏せ意を決した顔になり、懐に手を入れる。
楓花:灼身丹? でもそれを飲んだら呂文台って死ぬんじゃ……。
GM:惚れた女の前では、絶対に情けない姿は見せられない……それが呂文台の[生き様]だ。取り出した灼身丹を――
司空千里:それは飛雲飛刀で落とす!
GM:できないだろ! こんなに小さい筒だぞ?
司空千里:俺なら出来る!
池震電:そう! 飛雲飛刀なら可能のはずだ!!
GM:しかし……何はともあれ飲まないと。
池震電:判定だけでもしてあげたら?
GM:じゃあするか?
司空千里:ああ……だが、問題は手札が腐ってるって事だな。奥義の≪落鳳閃≫でさえ、風スペードが1枚しか無い。
池震電:なに〜〜!? 飛雲飛刀敗れたり!!(笑)
司空千里:いや、ここぞと言う時の飛雲会の強さ、魅せてみせる! 門派功夫<飛雲飛刀>で[陰陽を貫く]! さらに[生き様を貫く]!!
GM:ならばこちらも[生き様を貫く]! そして飲む! なんとしても飲む!!
司空千里:呂文台! そんな力に頼っていては何も解決しない!!
GM:通し!
司空千里:20からスタート!……33、53、燃やす、62、燃やす、66、さらに自分の[想い]を足して71、ここから[生き様]!
楓花:千里の場合、鳥クラブが出たらストップだね。
司空千里:いきなりは出るなよ……83!、89! 97! 99で鳥クラブ! 止まった!
池震電:惜しい!! だが<飛雲飛刀>なら同活劇段階でも、千里君の勝ちだ!
GM:そう、こちらは[10段階活劇]……つまり[超神話活劇]を出す以外に勝つ方法が無い……[陰陽を貫く][生き様を貫く]!!
池震電:そこまでするほど飲みたいのか!
GM:この女の前でカッコつけたいんだ……この女の前だけはカッコ良い自分でいたい! だから……俺は負けないない、その為に灼身丹を……23、30……70でストップ、ここからは[生き様]! 花ハートが出たらストップ!……75!……78!……あー!! 89で止まった!?
寒光一閃。
呂文台の手からバラバラと灼身丹が崖下へと落ちていく。
抜く間さえ見せず、千里の手から放たれた飛雲飛刀が、呂文台の手から灼身丹を奪い落としたのだった。
池震電:お見事!!
楓花:飛雲飛刀に仕損じ無し!!
GM:「……な、なんて事を」――呂文台は愕然と呟きます。
司空千里:呂文台……邪道に逸れず、まともな道を行き、剣を持って愛を語れ。
GM:「くっ……」――呂文台は膝を付きます。

嬬恋崖 龍環幇

呂文台が膝を折った時だった。
龍環幇の集団の中から一歩、男が足を踏み出し文台へと声をかける。
その男、龍環幇が幇主……曹龍環。
GM:呂文台が膝を付くと共に、龍環幇の中からリーダー格が現れます。楓花に一朱銀を渡した兄貴です――「呂文台、お前もそこまでだな」――そして呂文台が呟く――「曹…龍環……」
池震電:曹龍環?……そいつが宿敵だったのか!?
楓花:兄貴っぽいタダの副リーダーだと思ってた(笑)
GM:曹龍環は持っている剣を一振りすると――「呂文台、せめて最後ぐらい俺がその命、摘み取ってやろう」
司空千里:お前が……曹龍環だったか。
楓花:えっ!?――とか見る。
GM:千里達を見て――「ご苦労だったな。約束とは少し違ってしまったが、あとはこっちに任せてくれ、そいつの始末は俺達でつけるからよ」
司空千里:はぁ……そう来るとは思っていたよ。最初から、このつもりだったのだろう?
GM:ニヤリ。
楓花:僕を……僕を騙したのか!
GM:「あんな猿芝居で騙されるお前の方が馬鹿なのさ」
楓花:許せない……やっぱり、震電の言うようにあの時皆殺しにしておけばよかった。
GM:「ふん、威勢だけは良いな。だが、今度はあの時みたいに許しちゃやらないぜ?」
池震電:(龍環幇下っ端)『兄貴、今度こそあのガキをやっちまっていいんですか?』(笑)
GM:「ああ、遠慮はいらねぇ」
池震電:(下っ端)『へっ、兄貴の許しがでりゃあこっちのもんだ……おい、この悶文会』
楓花:な、なんだと〜……天文会を……瑞覇様がこの江湖に平和をもたらすために作った天文会を……今、今何て言った!!!
GM:「よせよせ、こんなガキ相手に大人げ無いぞ」(笑)
池震電:(下っ端)『はっはっはっ、それもそうだ。こんな奴が崇める瑞覇って奴も大した事ねぇな』(一同爆笑)
司空千里:その瞬間、龍環幇は全員で大爆笑(笑)
楓花:許さない……[花鳥風月]風スペード! 僕を中心に烈風が吹き荒れる! さらに花ハート! 風が飛び立つ鳥の群れのように、炎に変わっていく!――お前等……そこを動くな一歩でも……僕が、骨の髄まで燃やしてやる!
GM:では戦闘です。もともと賊徒が2集団に、単体で曹龍環がいたのですが、喋っている間にさらに賊徒2集団が村の方から援軍にやって来ます。
………………………………………………………………………………………………
池震電:[あいつはきっとやって来る][花鳥風月]花ハート。村から援軍にかけるつける賊徒たちの前に、ふらりと現れる私。道に花が咲いており、その花を踏まれないように……ポツリと立っています。
GM:では駆けつけてきた龍環幇賊徒2集団が足を止め――「貴様もあいつらの仲間だな」
池震電:いや、私は花を見ていただけ。
GM:「何をとぼけたことを!」
池震電:この花には忘れられない思い出があってね。貴様等のような外道に踏み荒らされるわけにはいかない。
GM:「気が狂っているのか!?」
池震電:キッ! と見ます――そうかもしれん……ここから先に通ると言うなら、死ぬ覚悟でこい。私は……花を踏まれたくないのでね。
GM:シャランと剣を抜き――「たわけたことを抜かすな! そこをどけ!」
池震電:黙って鉄棍を構えます。
GM:「愚か者めが!」――賊徒2集団が襲い掛かってきます。
………………………………………………………………………………………………
GM:村から来た援軍を、どうやら震電が足止めしているようです。崖の上からも見えます。
楓花:震電……良かった。
司空千里:だから言っただろう、あいつはきっとやって来る……ってな。
楓花:うん(笑)
GM:では戦闘に入ります。崖の方では賊徒2集団が2人に立ち塞がります。曹龍環は後ろで余裕綽々、待機です。秋蓮は呂文台にか駆け寄ります。
司空千里:その呂文台は?
GM:呆けています。動きません。
司空千里:今は無害か。
GM:では判定に移ります。まず池震電に……[4段階活劇]と[3段階活劇]。千里に1集団が……[2段階活劇]。楓花にも1集団が……[4段階活劇]。
司空千里:さきにやろう。<飛雲軽功>で(コロコロ)……[3段階活劇] ひらりと回避した。
池震電:私は<旋風棍>で[陰陽を貫く]……23スタート。24、32、42、52、赤に変える、65、赤に変える、72、75、77、90、96、100、103!
楓花:超神話活劇!(笑)
司空千里:陰陽だけで行くとは!(笑)
池震電:4段階と3段階だよね? 4段階からダメージ出すよ……48+8=56の2倍、112!
GM:一・閃!!
池震電:次は3段階の敵に……49+8=57の2倍、114点!
GM:一・閃!!
池震電:このゲーム面白れー(笑)
GM:殆ど<旋風棍>ばっかじゃねーか!(笑)
池震電:さりげにそんなに功夫燃やしてないから。
GM:最後は楓花。
楓花:僕は[生き様]で奥義使う! 月ダイヤ!
司空千里:月ダイヤは寂しさか……――楓花、お前は孤独になった時、天文会と出会ったと言っていたな……許せないんだよな、馬鹿にした奴等を――と、[想いを分けよう]
楓花:ありがとう千里――僕は月ダイヤを5枚出して招式値45からスタート!(コロコロ)……ダイスで50! ここから[生き様]! 鳥クラブが出るまで続ける!
GM:台詞は?
楓花:瑞覇様がなんで戦ったか知っているの? あの人は、この江湖を平和にしようと拳を振り上げたんだ! お前達みたいな何も解ってない奴等に、瑞覇様を馬鹿にする事は許されない!!
GM:通し!
池震電:瑞覇は平和の使者だからねぇ(笑)
楓花:……80、89、90でストップ。9段階活劇! [ダメージカード]5枚に、奥義の効果で追加4枚……合計78点! 奥義≪紅龍炎龍掌≫!!!
GM:瞬・燼!!(笑)
楓花:燃えて死んで、あの世で反省しろ!
GM:あっという間に賊徒1集団と曹龍環だけになってしまった。
司空千里:みんな凄いなぁー一般人の俺には何もできないよー(笑)
池震電:飛雲飛刀は一騎打ちで最強だからいいじゃない(笑)
GM:そうだ、楓花が奥義の時にジョーカーを使っていたので、[龍の咆哮(ドラゴン・シャッフル)]しましょう。
※解説21 「龍の咆哮(ドラゴン・シャッフル)」
 このゲームではジョーカーを[龍の札]と呼び、「任意のマーク」で「数字が20」のカードとして扱われます。そして手札から出された[龍の札]は、捨て札にならずGMのカードとなります。([陰陽を貫く]などで山札から出た場合や、ダメージカードとして引かれた場合も「任意のマークの20」として扱われますが、手札から出したわけではないので、この時の[龍の札]はGMの元へ行きません)。また、[龍の札]が場に出たとき、手札の中の[龍の札]を出して相殺する事が可能です。この場合、[龍の札]は2枚とも捨て札になります。
場に[龍の札]が出た場合、場面の最後に[龍の咆哮(ドラゴン・シャッフル)]を行います。その場面に出ている全てのPCのPL(と、宿敵も出ていた場合GMも)、手札からカードを任意の枚数だけ選んで捨て、捨てたカードと同じ枚数のカードを山札から補充します。

嬬恋崖 曹龍環

仲間達がやられたと言うのに、龍環幇が幇主、曹龍環の顔に焦りはなかった。
いや、焦りどころか無様にやられる仲間達を見て冷笑さえ浮かべていた。
――俺の仲間に、俺の野心に、使え無い雑魚はいらない――
曹龍環は、心で呟き口角を嘲笑に上げる。
GM:残っているのは賊徒1つと、曹龍環だな。賊徒はさっきと同じく千里に攻撃。
池震電:GM、私は千里君達の方へ向かうと思うんだが、そうすると曹龍環と戦えないか?
GM:……確かに、良いでしょう戦いたいなら曹龍環に来てくれて構いません。迎え撃ちますので。
池震電:千里君どうする?
司空千里:俺は賊徒相手に<飛雲飛刀>。[陰陽を貫く]はするぞ。
池震電:いや、曹龍環には行かないのか?
司空千里:正直無理だ。シャッフルされたのにシャッフルされてない。とても奥義使える手札じゃないしな……楓花は?
楓花:賊徒相手に一発奥義使えば、手札の大半が入れ代わるから、次のターンはいけるかもしれないけど……このターンは無理。
池震電:なら、私が何とかしよう。
司空千里:できるのか?
池震電:かなり良い手札が来たからな。
司空千里:わかった。曹龍環は任せる。
池震電:ああ――ニヤリと不適に。
GM:では作戦も決まったようなので始めましょう。曹龍環は剣を抜きクルクルっと回してピタリと構え、凄まじい殺気を放って震電を迎え撃ちます。[生き様を貫く]!!!
池震電:真面目に構えよう……ニヤリとか笑っている場合じゃない。私も[生き様を貫く]!!!
司空千里:ではさっさと見せ場でない俺から行くぞ。<飛雲飛刀>……32、燃やす、38、燃やす、50、53、燃やす……で56に[想い]を乗せて61、[6段階活劇]
楓花:千里を攻撃した賊徒達に奥義≪緑龍風操掌≫……だけど、3枚だして[4段階活劇] 僕の風は千里の<飛雲飛刀>の前に無意味に終る。手札回すだけだね。
GM:賊徒は……[4段階活劇]ですので千里に負けています。しかも千里からダメージを食らうと思うので、活劇段階が低い楓花にもダメージを与えられずに終わります。
司空千里:ダメージが3枚引いて……28に、飛雲飛刀の殺傷値5を足して、33点だ。
GM:殲滅……賊徒はこれで壊滅だ。
※解説22 「活劇・ダメージの優先順位」
 戦闘時に気をつけた方がいいルールが2つあります。1つは「活劇を実行するまでにダメージを受けた場合、その[活劇]は無効になります(この時、防御判定でダメージが0になっても"ダメージを受けた場合"と判断されます)」というモノ。上記のリプレイ本文の場合、楓花は賊徒に負けていますが、賊徒が千里からダメージを食らうとその[活劇]が無効になるので、楓花もダメージをくらいません。
 もう1つは「[活劇段階]が低い者は[活劇段階]が高い者にダメージを与える事はできない」というルールです。なので上記のリプレイ本文の場合、賊徒の[活劇]は無効になり、楓花は賊徒からダメージを受ける事はなくなりますが、賊徒の方が[活劇段階]が高いので、賊徒にダメージを与える事ができません。
GM:では曹龍環との戦いだ。
池震電:鉄棍を捨てる――1人で来るのか? それなら素手で十分だ。
GM:「貴様……俺を舐めているのか?」
池震電:舐めてはいない……ただの…事実だ――と、言うわけで、奥義≪雷砲掌≫使います。
司空千里:雷か……震電の為にあるような技名だ(笑)
池震電:まず自分の場に出してある[想い]が、4枚全部が風スペードなので遠慮なく使います。
楓花:序盤から溜めてたもんね風スペード(笑)
池震電:それがこのゲームの戦略だよ(笑) そしてさっきシャッフルされた手札から……1枚、2枚、3枚、そしてジョーカーで4枚、合計8枚!
楓花:お見事!!
司空千里:ほぼ最大値か、そこまで行くとは(笑)
池震電:奥義値9を足して79からスタート、ダイスが(コロコロ)……94! そして[生き様]
司空千里:トドメだな(笑)
池震電:……90の、95、103だ。[超神話活劇]!!!
GM:ではこちらですね。ニヤリ……。
池震電:ハッ! しまった!? 向こうは剣聖派か! もしやできるマスターか!?
楓花:奥義無効の剣聖派奥義≪鶴翼剣≫?
GM:ニヤリ(笑) と言いたい所なのですが、こいつは宿敵では無いので野望という[生き様]を貫いて<剣聖剣法>功夫値10点消費で、ダイス10個ブースト!(コロコロコロコロ)…………合計で73スタート!
司空千里:生き様のマークは?
GM:風スペードだ。
池震電:そうだ、生き様のセリフ吐くの忘れていた――お前のような奴に、私の愛した人は殺されたんだ……許せん!
司空千里:[愛]って楽だなぁ(笑)
GM:それには真っ向から[生き様]で変えそう――「そうか、それはすまなかったな。だが、我が野望のためだ、やむもなし!!」
楓花:生き様返し! お見事!!(一同爆笑)
GM:――……75……4の風スペード。もう止まったよ(笑) 79で[7段階活劇]!
池震電:よし! ダメージは……65点!
GM:[命力防御](コロコロ)……22防いで……無理だ。一・閃!!
池震電:すれ違いざま、私は膝を付き――ゴフッ……。
一瞬の交錯だった。
曹龍環の豪腕から繰り出される岩をも砕く剣戟をかいくぐり、震電の病的に白い腕がその胸にそっと乗った。
途端、凄まじい内力が震電から解き放たれる。
白虎掌法奥義≪雷砲掌≫!!!
すれ違い、お互いに背を向けたまま刹那。
――ゴフッ……――
先に膝を折ったのは震電だった。口元から血が流れる。
曹龍環は口元に笑みを浮かべる。そう、嘲笑という笑みを……。
誰にも止められない。自分の野望はここで終るようなものじゃない。しかし――
「き、さま……」
乾いた音を立て曹龍環の剣が地面に転がった。その剣を追うように曹龍環も倒れ伏す。
池震電:[花鳥風月]鳥クラブ! 倒れる曹龍環から血が……血の雨を降らせる!
GM:通し!!
司空千里:さすがだな……震電。
池震電:ふっ――と一瞬満足に笑みを浮かべ、血の咳をしつつ私も倒れる。

嬬恋崖 呂文台

曹龍環が倒れると同時に、震電までも倒れ伏した。
楓花が震電を心配して駆け寄るが、曹龍環から受けた傷が原因という訳ではないようだ。
崖を、波が一斉に引いたかのような静寂が支配する。
雲が流れ、中天の月が朧にその姿を隠し始める。

そして――

闇夜の帳の中、その男は抜き身の剣をぶら下げ、一つの想いを胸に決意していた。
司空千里:戦いが終われば、ここも静かなものだな。
GM:と、千里は感じます。近くでふつふつと剣気が膨れ上がって行くのを。
楓花:僕と震電には解らないの?
GM:楓花は震電の所にいるんだろう? なら2人は千里と離れているから気配までは感じない。
司空千里:じゃあ素直にその剣気の方を向こう。
GM:呂文台が抜き身の剣をぶら下げています。
司空千里:呂文台……。
GM:その言葉を合図に顔を上げ、呂文台は千里に剣を向けます――「司空千里と言ったな……俺と立ち会え」
司空千里:眉を顰めます。
GM:「お前達は……いや、お前は! 俺の生き様を奪った……このままじゃ俺は生きていけない」
楓花:声は聞こえて良いんだよね?――やめなよ、そんな戦い無意味だよ!
池震電:その楓花を止める。
楓花:震電!?
池震電:戦わせてやれ、それがあいつの……生き様なんだ。
楓花:………………。――黙る。
司空千里:[花鳥風月]月ダイヤ……静寂が場面を支配し、雲に覆われていた月の光が2人の顔をゆっくりと照らす。流れる音楽は女性の寂しげな歌声。俺はゆっくり一本の飛雲飛刀を取り――そうか……なら、受けて立とう。
小さな頃からずっと一緒だった。
楽しく遊ぶ時も、悪さをして怒られる時も、村祭りで踊る時も、その少女はいつも傍に居てくれた。
いつの頃からか、その少女の為に何でもしようとするようになっていた。
それが恋だと気が付く頃には、それよりずっと彼女の事を愛していた。
しかし時は乱世、住むは江湖。力無ければ愛する者も守れない。
――強くなる、愛する者を守る為に――
そして剣聖派の門を叩いた。
それから数年、師父さえ驚くほどの腕の冴えで、門派の中でも叶うものの居ない強さを身につけていた。
十分だと思った。これなら十分愛する者を守れる……と。
………………。
浅はかだった。敵の罠に引っかかり、師父に頂いた大事な剣を奪われてしまった。
彼女の前では強い自分でいたかった。
その為なら……強いままで居られるのなら、自分は死んだっていい。
それが、自分の、愛だから。
GM:「行くぞ!! 剣聖派奥義≪北斗牙狼剣≫!!」
司空千里:奥義で来たか……本音は奥義で返したいが……手札がな(笑)
GM:[生き様]を貫き――こちらは7枚出して(コロコロ)……おお、すでに104だ。[超神話活劇]!!!
司空千里:<飛雲飛刀>で[陰陽を貫く]。さらに[生き様を貫く]
楓花:<飛雲飛刀>の功夫って残ってるの?
司空千里:1個だけな……あ、功夫を燃やす。ここから[生き様]、36スタート(笑)
池震電:もう[生き様]かよ! 早いよ(笑)
司空千里:鳥クラブが出たら終わり……36、47、48、55、63、68、79、92。
楓花:それに[想い]を足して100?
司空千里:……いや、しない。
池震電:なんでだ!?
司空千里:とにかくしない――[9段階活劇]
GM:ダメージが……67点ダメージ。
司空千里:ここは[内力防御]をするしかないな、手札を全て使って……さらに[想い]も防御に回して……49防ぐ。
GM:18点通し!
司空千里:ちょうど命力0か。1差……計算違いだが、まぁいい。綺麗に死亡だ。
GM:まだ死んだわけじゃないけどな。
司空千里:数歩歩いてから崩れ落ちる。
楓花:……千里――――!!!!
池震電:駆け寄る――千里君、瞑想だ! ゆっくり精神を統一しろ!
※解説23 「死亡と瞑想」
 命力が0、もしくは内力が0になると扶桑に生きる人間は死亡します。しかし、PCは武侠なのでそう簡単に死にません。武侠の場合は命力、もしくは内力が0になっても、とどめを刺されない限り1刻(2時間)以内に[瞑想]すれば完全死は免れます(ちなみに命力0だと死亡、内力0だと一生内力が使えない身体になります。つまり内力0の場合は厳密には死亡でありません)。
[瞑想]とは回復ルールです。命力や内力は一晩寝ても戻りません。武侠は[瞑想]を2刻(4時間)行う事で、1D分回復します。この時、途中で[瞑想]を邪魔されると最初からやり直しです。
池震電:ギリリ、と拳を震わせながら――呂文台、なぜ、なぜこんなことをするんだ。
GM:「俺は……」
池震電:秋蓮さんから離れろ!
GM:「こいつは関係無い、こいつはただの女だ」――寂しげに秋蓮さんを見ます。
池震電:貴様! その棒ッきれを捨てて、さっさとこの場から去れ! 貴様など殴る価値すら無い!!
楓花:震電、こいつを逃す気なの!?――ゴゴゴっと呂文台を睨みつけます。
GM:では呂文台はその手に持った剣を――
司空千里:待て――命力0で動けなくても、しゃべるぐらい可能だよな? 俺はぐっと半身を起こして呂文台に――逃げるな。
池震電:千里君……。
司空千里:俺を倒したんだ……お前が生き続ける限り、逃げるな。
GM:呂文台はグッと剣を再び握ると、身を翻して夜の闇へと走って行きます。
楓花:どうして!?って目を千里に。
司空千里:俺は楓花に、視線だけで秋蓮さんを何とかするように……。
GM:彼女は呂文台が去った方向を見つめたまま、胸元で手をきつく握っています。
楓花:……ふぅ……と心の中で溜息付いて――秋蓮さん行きなよ? あなたの平穏はあの人と一緒にいる事なんじゃないの?
GM:彼女は目を伏せて迷い――
楓花:ほら、これ――と、その手に一朱銀を3つ握らせて――あなたは1人でも生きていけるかもしれない。だけど、あの人はあなた無しでは生きられないんじゃないかな? あなたが、必要だと思うよ。
GM:「私は……」――迷うように。
楓花:秋蓮さんだって……あの人の事、愛しているんでしょう。だから……行って。
GM:では俯いた顔をキッと上げて――「ありがとう」――と、彼女は呂文台が去った方向へ走って行きます。
楓花:優しい瞳で秋蓮さんを見送ろう――これで、良かったんだよね?
司空千里:もう答えない。眠るように[瞑想]に集中だ。
楓花:ふぅ。
池震電:やれやれ……どいつもこいつも、生温い事だ。

空下何処 灼死想貫

農夫に頼んで乗せてもらった牛車、牛が引く荷台の上に3人の武侠が乗っている。
1人の男は特別な飛刀を磨き、1人の男は端に寄りかかりながら咳をする。
最後の少年はなにやら箏の調整中らしい。
彼等3人に憂いは無い。胸に秘めたる生き様に従い、想いを貫き今を生く。
GM:では終幕です。
一同:『は〜い』
GM:結局、皆さんは呂文台を捕まえる事はしませんでした。もっとも、賞金を賭けていたのは龍環幇なので、どっちにしろ賞金はパーです。
司空千里:ついでに一朱銀も渡したしな。
楓花:またお金なくなっちゃったね。
司空千里:まぁいいさ。
池震電:甘いぞ千里君、江湖は――
司空千里:――厳しいんだろ?
池震電:ゴホゴホッ……解っているなら良い――と笑おう。
GM:では3人はこれからどうしますか?
司空千里:別に今まで通りさ。目的が無くなったんだ、嬬恋村にも用は無いだろう。途中で農夫に頼んで、牛車にでも乗せてもらいながら旅立つさ。
GM:了解です。では3人は牛車に揺られています。
司空千里:飛刀でも手入れしておくかな。唯一の武器だ。
楓花:じゃあ僕も箏を調整しておこう、この前ぶん投げちゃったし(笑)
池震電:私は端に寄りかかって暗く咳き込んでる――ごほっごほっ(笑)
GM:みんな最後なのに思い思いに関係無いことを……。
池震電:じゃあ咳が止んで少し落ち着いてから――千里君、一つ聞かせてくれ。
司空千里:ん?
池震電:あの時、お前はどうして手を抜いた――真面目な声で。
司空千里:何の事を言っているんだ?
池震電:あの崖上での決闘だ。呂文台に飛刀を放つ時、お前は9分の力しか出さなかった。
楓花:ええ! そうだったの!?
司空千里:磨き終えた飛刀を、光にかざしながら――なんだ、わかっていたのか?
池震電:私は目が見えない分、人が隠したがるものこそ見えてしまうんだ……忘れたのか?
楓花:あ、かっこいい。
司空千里:確かに、震電の言う通り。俺は最後に手を抜いた。
楓花:なんで!? 千里の飛雲飛刀は仕損じ無しでしょ? どうして……。
池震電:まったくだ。そんな甘い事でどうする! 飛雲会の名声を地に落としてまで、お前は何がしたい! 何より、あの時お前は紙一重で死ぬ所だったんだぞ!!
司空千里:ああ……そうだな。
池震電:千里君!!――と詰め寄ろうとして咳き込む――ゴホッゴホッ(笑)
楓花:震電の背中でも擦りながら――千里、僕も知りたいよ、どうしてそんな事をしたの?
司空千里:ふぅ……わかった。言うよ。それはな――
それから数年後、風の噂によると1人の男が名剣聖として名を馳せる事となる。
そして、その男の傍らには、常に1人の女性が寄り添っていた。 かつてその名剣聖は、命を賭けてまで、愛する者の前で強者であろうと決闘をした。
その決闘に勝てる見込みは無く、かつての剣聖は死を覚悟し、
また傍で見守る女性も永遠の別離を想い、その瞳に涙を溜めた。
しかし、男は生き残った。 かの名剣聖と、そしてその傍らの女性の、避けられぬ悲劇を解決したのは――
司空千里:――それが俺の、生き様だからさ。

扶桑武侠傳 ふそうぶきょうでん リプレイ
『灼死想貫』 了

巻之伍 終幕茶会

GM:ではお疲れ様でした〜〜!
一同:『お疲れ様でした!』
GM:さて、せっかくなので感想戦なんかをしましょう。
池震電:(以下小林正親):そうだね、やろうか。
GM:まずGMから言わせて下さい……どうして飛雲会で負けるんだよ!
司空千里:(以下西蓮):いいだろう! 俺も[生き様]貫きたかったんだ! 死んでカッコ良くなろうなんて、NPCにばっか美味しい所を持っていかせるか!
GM:おのれ、呂文台の灼身丹ブーストヴァージョンが今回の宿敵だったのに……お前の行動で全てパーだ!
相原あきと:でも、あの薬を落とす所は名シーンだよ! 凄い良かった。
小林正親:あれは良いシーンだね。まさに仕損じ無し!(笑)
相原あきと:お見事!!(笑)
GM:名シーンと言えば……納屋が爆発した後の尋問は、どう見ても拷問だと。
小林正親:む、やっぱ僕の名前は伏字の方がいいかな(笑)
相原あきと:嬉々として笑ってやってたですよ?
小林正親:やはりやり過ぎだったか。
西蓮:自主規制入れとくって事で(笑)
小林正親:ワカリマシタ。……でも、僕もそうだけどそっちのいきなり龍環幇を燃やすのはどうだろう?(笑)
相原あきと:序盤に誰かさんが、子供に<尋問>しだすから、私も目立たないとって必死だったんですよ? 誰のせいだと(笑)
GM:とりあえずPL達のせいって事で。アレでシナリオが30%ズレたし。
小林正親:あのチンピラ龍環幇、店に入る前に追い払われたからな(笑)
GM:秋蓮とも会えなかったのが痛かったです。
相原あきと:あはははは(笑)
西蓮:そうだ、あの子供……テツだっけ? は、最初に手なずけてどうするつもりだったんです?
小林正親:ああ、あのテッちゃんは龍環幇に潜入させようと思ったんだ。
相原あきと:そんな事を……。
西蓮:怖がって、以降の場面で1回も出て来なくなったもんなぁ(笑)
GM:それは違うぞ? 実は情報収集の時、池震電が街中を歩いていたらテッちゃんから声をかけられる予定だったんだ。
小林正親:そうなのか……明らかに納屋が怪しいの解ってたからなぁ、しかも結構時間食っちゃって、それ以外を調べられなかった。
西蓮:曹龍環を調べてなかったのも悔やまれます。
相原あきと:私は<聞き込み>を功夫値2にしてなかったのが悔やまれる……なんでサービスシーンなんてせな……。
GM:まぁ大失敗なんだし諦めなさい(笑) それより楽しかった場面や上手くいった場所は他にあったかい?
相原あきと:私は楓花のロールプレイがすっごい楽しかったです。もう思うが侭に天文会なキャラ!
小林正親:あれは天文会だね(笑)
相原あきと:龍環幇にいきなり因縁つけたり、とりあえず攻撃してみたいり、それでいて絶対に負けは認めない!
西蓮:尻拭いがいてこそ目立つというのを忘れないでくれよ?
相原あきと:千里には感謝してます(笑)
GM:小林さんは?
小林正親:そうだなぁ、やっぱ僕の震電が納屋で秋蓮さんを<尋問>しそうになる所、嫌な予感を感じてナイスタイミングで現れる千里君! あれは良いね、すごい良かったよ。
西蓮:ありがとうございます(笑) でも、あれこそ[あいつはきっとやって来る]の使いどころでしたし(笑)
GM:確かに! あれはビッと決まってましたしね。そんな西蓮は良いシーンあったかい? やっぱ秋蓮さんを口説いていた「涙が落ちる音がして」ってシーンか?(笑)
相原あきと:あれは恥ずかしかったですね(笑)
小林正親:……ちょっとね(笑)
西蓮:いいじゃないか! 俺は楽しんでいたぞ? まぁそうだなぁ、俺的に印象が強かったのは最後の決闘シーンもそうだが……、最初の客桟のシーンも楽しかったな。アレで3人のポジションがすぐに決まったし(笑)
小林正親:ゴホッゴホッ……千里君、皿洗いは任せた。
相原あきと:僕もお皿割っちゃうから……任せた。
西蓮:酷いよ(一同笑) ああ、そう言えば、今日のセッション中のシーンじゃないが、やっぱキャラ作面白いわ(笑)
相原あきと:ああ〜〜! 特にアレね。
小林正親:消せない記憶?
西蓮:そうです(笑) 多少入れ替え有りなら、かなり良い感じで出来上がるし。
相原あきと:時々神様降りてくるし(笑)
GM:それは言えてる(笑)
小林正親:ポチの亀甲縛りもなぁ。
相原あきと:最後ピーちゃんって言ってたじゃないですか! また戻ってますから!!(一同爆笑)
GM:さて、感想も付き無いけど、そろそろまとめましょう。
相原あきと:は〜い。
西蓮:じゃあ小林さんに。
GM:じゃあ……え〜…今日は超神話活劇を小林さんばっかが出していましたが、最後に1つ、なんかコツを教えて下さい。それを締めの言葉って事で(笑)
小林正親:そうですね……このゲームは自分で戦闘を組み立てていけば、いい所で奥義が出せるようになっているんです。悪く言えば、GMの先読みをして――「ここは賊徒だな?」「ここは外道だな?」――と考えて、それ用の<功夫>を使って行けば、うまく手札を回せます。最後に何をとっておけば良いかとか計算しながら手札を溜めていけば、今日の僕のように一撃必殺決められます。って、こんな感じかな?
GM:十分です(笑) それでは皆さん、今日は一日特別にお付き合い頂きありがとう御座いました!




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