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『ダブル+クロスThe 2nd Edition』『ブレイクアップ』
――僕は、昨日と同じ今日が、明日も続くと思っていた――
今より19年前、人知れず変貌の種は蒔かれた……それは風に乗り世界中へと根を降ろす。
――でも、ふと振り向けばそこにあった昨日は、今日から見たら異質のもので――
レネゲイド・ウィルス…人の肉体を変容させ、人の精神を蝕むもの。
――それでも昨日と同じ明日を、きっと僕は望むから――
オーヴァード…覚醒せし者には二つの道が待っていた。すなわち被害者と加害者。もう日常へは戻れない。
――日常を……僕は望むから……――
そんな中、二つの道をどちらも選ばなかった者達がいる。日常を諦めなかった者達が。
――僕は…ダブルクロス<裏切り者>でも構わない――
2004年3月27日セッション開始
シナリオ『Double+Crystal』


月と光とふたりの絆


■プリ・プレイ■

GM:それではダブルクロス2のリプレイを取りたいと思います。今回は基本ルールと追加サプリのブレイクアップのルールも使用します!
ガルチラ:おお、Dロイスを追加ですか! それは楽しみです。
※解説1 「ブレイクアップ」
 こういった解説において、今回プレイするシステムの説明を補助的に入れていきたいと思う。まず、ブレイクアップとはダブルクロス2に対応した追加ルール・追加データのサプリメントである。特にブレイクアップから導入されたルールに『Dロイス』と言うモノがある。これはディスクリプト・ロイス(通称Dロイス)と呼ばれ、各キャラごとの追加設定であり、正確に言うとロイスではない。このDロイスを持つ事で、キャラクターはダブルクロスの世界で特殊な設定を持つキャラクターになるのだ。
GM:ではキャラクター作成をしてもらいたいのですが……時間が無いので、PL全員には持ってきてもらったキャラで参加してもらいます。
西蓮:キャラ作? 持込? なに言っているんですか? さっきの続きじゃないんですか?
GM:ああ〜〜そういう野暮な事を言ってはいけない。一応、単発シナリオをリプレイで紹介している形式なんだから、別々の日にリプレイを取っているように振舞ってもらわないと。
ebi:べ、別の日???
ガルチラ:何言ってるんですか? さっきフェイク・フェイスのシナリオやったばっかじゃないですか?
※解説2 「単発シナリオ」
 今回プレイするシナリオは完全に単発で遊べるものである。が、このリプレイを録音した日は時間が無く、基本ルールのみでプレイしたセッションと同じ日に録音したのだ。
GM:ちっ、もういいや。とにかく君達の持っている基本ルールブックで作ったキャラクターに合ったハンドアウトを渡すので、Dロイスを書き移して下さい。
一同:は〜〜い。
GM:そうそう、先に一つ言っておきます。
一同:???
GM:このシナリオは大変ジャーム化の危険性が高いです!
ebi:え、ジャーム化……。
クラゲ:よし、生還者でよかった(笑)
ガルチラ:やばい、俺は賢者の石だ……使ったら侵蝕率が増える(笑)
GM:ちなみに、賢者の石を持っているPCが一番ジャーム化の危険性が高いから。
ガルチラ:ピンポイントですか!? 嫌がらせは止めて下さいよ!!
GM:嫌がらせではないぞ。ただ主人公なだけだ(笑)
西蓮:(ボソっ)ま、頑張れ。
ガルチラ:くっ……俺は絶対日常に帰って来てやる!
※解説3 「Dロイスの種類」
 Dロイスは12種類あるが、ここでは今回のシナリオで使うものだけ説明する。「賢者の石」…レネゲイドが凝縮した結晶が体に融合している。使用するとクリティカル値がマイナス2されるが、同時に侵蝕率が2D10上昇する。「特権階級」…UGN中枢メンバー、国王、巨大企業の会長など特別な地位にいる。自分のタイタスを他人に使わせる事が可能。「複製体」…誰かのクローンである。自分以外のシンドロームのエフェクトを一つ取得できる。「生還者」…自我が強く侵蝕に負けない意志を持つ、自律判定時に追加で3D10侵蝕率を減らせる。「変異種」…特別変異のレネゲイド・ウィルスである。ブレイクアップに載っている変異種専用エフェクトを一つ取得できる。

◆キャラクターデータ

"高き支配者<テンペスト>"天城義久(アマギ・ヨシヒサ) 17歳(男)
Dロイス:賢者の石
シンドローム:オルクス/エンジェルハイロウ
ワークス:高校生  カヴァー:高校生
能力値: 【肉体】2 【感覚】3 【精神】5 【社会】2
技能: <回避>1 <知覚>2 <知識:中華料理>1 <情報:噂話>2
    <隠密>1 <RC>3 <情報:UGN>1
【HP】14  【イニシアティブ】11
エフェクト:
≪絶対の空間≫2、≪完全なる世界≫1、≪縛鎖≫1、≪支配の領域≫1
≪ミラー・コート≫1、≪光の弓≫1、≪黒き明かり≫1、≪スターダストレイン≫1
≪主の恩恵≫1、≪ピンポイントレーザー≫、≪猫の道≫1

キャラクター紹介:
 母子家庭で平和に育つ。しかし、幼少時に日下部仁に誘拐され強制的にオーヴァードとして覚醒させられた事件より、彼の運命は一転する。現在はUGNに身を寄せている。すでに故郷も母親も失っており、コネクションの『先生』という存在以外は彼の過去を知る者はいない。とある筋より日下部仁が自分の本当の父親だと知った。



"知識の守り手<スチーム・ハイブロウ>"霧ケ峰理(キリガミネ・オサム) 28歳(男)
Dロイス:特権階級
シンドローム:ノイマン/サラマンダー
ワークス:UGNエージェント  カヴァー:UGNエージェント
能力値: 【肉体】1 【感覚】3 【精神】6 【社会】3
技能:   <知覚>1 <知識:言語学>1 <調達>2
      <RC>2 <交渉>2
      <意志>1  
【HP】14  【イニシアティブ】12
エフェクト:
≪天性のひらめき≫2、≪プロファイリング≫1、≪アドヴァイス≫1、≪生き字引≫1
≪マインドリーディング≫1、≪アナライズ≫2、≪陽炎≫1、≪戦術≫1

キャラクター紹介:
 頭脳労働専門だが、自身を蒸気に変化させるほどの力も持っているUGNのエージェント。エージェントとしての経歴を見ると、日下部仁という男が起こした事件の一件以外は、すべて結果を出している。そんな彼だがUGN日本支部長の霧谷雄吾にはうまく使われている。もっとも本当に"使われている"のかは不明だが……。



"沈黙する蛇<サイレント>"嶺村薫(ミネムラ・カヲル) 27歳(男)
Dロイス:生還者
シンドローム:ハヌマーン/エグザイル
ワークス:ボディガード  カヴァー:研究員
能力値: 【肉体】5 【感覚】4 【精神】2 【社会】1
技能: <白兵>4 <知覚>1   <情報:裏社会>1
  <回避>1 <精密作業>1    
  <耐性>1 <運転:4輪>1    
【HP】14  【イニシアティブ】10
エフェクト:
≪オールレンジ≫2、≪貪欲なる拳≫1、≪歪みの体≫1、≪骨の武具≫1、≪マシラのごとく≫1
≪崩れずの群れ≫1、≪アクティブソナー≫1、≪浸透撃≫1、≪さらなる波≫1、≪伸縮腕≫1

キャラクター紹介:
 レネゲイド関連の事件で結婚を約束した恋人を失った過去を持つ。現在は別れ別れになっていた弟(優鷹)と妹)(光)と共に3人で平和に暮している。UGNの研究員であり沈着冷静な性格から"サイレント"の異名を持つオーヴァード。何度も危険な事件に巻き込まれているらしいが、その度に生還している。



"翼獅子<グリフィス>"輝野優鷹(カガノ・ユタカ) 17歳(男)
Dロイス:変異種
シンドローム:キュマイラ/キュマイラ
ワークス:高校生  カヴァー:高校生
能力値: 【肉体】6 【感覚】3 【精神】3 【社会】1
技能: <白兵>4 <知覚>1 <RC>2 <情報:噂話>1
  <回避>1     <情報:Web>1
【HP】16  【イニシアティブ】9
エフェクト:
≪完全獣化≫3、≪鬼の一撃≫2、≪破壊の爪≫1、≪ハンティング・スタイル≫1、≪鷹の翼≫1
変異種取得エフェクト:≪獣魔の巣≫1

キャラクター紹介:
 鷹の翼と爪を生やし、飛翔したまま攻撃する直情な高校生。父親とは幼少時に別れ、母親はレネゲイド関連の事件で死亡、現在は兄(薫)と妹(光)の3人暮らしである。UGNとはイリーガルという立場を保っており、自分から非日常の事件に絡もうとは思わない。


■オープニング・フェイズ■

◆神の望み(マスターシーン)

 UGNの研究施設、強化ガラスの向こうでは碧色のクリスタルを埋め込まれた実験体が、ちょうど動かなくなった所だった。
 「やはり、賢者の石から力を引き出せずに死亡か……」
スーツを着込んだ金髪の男が言う。美男子といって差し支えないが、その瞳はどこか無機質で人の感情を感じさせなかった。その男の後ろには高校生ぐらいの少年が立っていた。少年はガラスの向こうで起こった事を一部始終見つめていた。
 「さて、私の言いたい事はわかるね。次はキミの番だ」
 男は振り返りもせず、そう告げた。
 「約束は守ってもらう。例え俺が死んでも行方不明になった姉さんは探してもらう」
 「ああもちろんだ。神の御名に誓ってね」
 

◆霧ケ峰 理

その部屋にはU字型にモニターが並んでおり、そこには何人もの顔が浮かんでいる。そして、その浮かんでいる顔が部屋の唯一の扉へと視線を集めた……。
GM:最初のシーンは霧ケ峰からです。登場判定をして下さい。
霧ケ峰:(コロコロ)……9。さて、私は今度こそ休暇中のはずだが?(笑)
GM:はい、君はUGN日本支部長の霧谷雄吾から休暇だと言われて、海外までやってきました。ヨーロッパのとある国の空港に降り立った所です。と、キミの前に黒塗りのリムジンが止まる。
霧ケ峰:リムジン……乗れと?
GM:運転手が降りて来てドアを開けます。
霧ケ峰:ふぅ…ずいぶんな出迎えじゃないか、それとも日本支部長殿のご好意かな? 乗り込みましょう。
GM:では豪華なホテルに到着します。その一室へ案内される。会議室のような大きな部屋だ。そこまで案内してくれた運転手兼執事のような男は扉の前で止まる。
霧ケ峰:私に入って行けと言うのか……いいだろう。入っていきます。
GM:そこはU字型にスクリーンが展開しており、多種多様な人の顔が映っている。その人々が全員キミを見つめます。
霧ケ峰:まさか……ここは……。
GM:モニターの一人が言おう――「さすがはリヴァイアサン推薦の男"スチーム・ハイブロウ"…察しが良いな。そう、我等はUGN中枢評議会アクシズだ」
霧ケ峰:は……。
GM:「実はキミの実力を見込んで頼みたいのだ」――と、モニターの一部が変わって、写真のような画像に一人の男が写っている。
霧ケ峰:これは?
GM:「コードネーム"ゴッド・アブソリュート"」
霧ケ峰:ファルスハーツのエージェントか……。
GM:「いや、我等と同じアクシズのメンバーだ」
霧ケ峰:なっ!? いや、でも冷静に言おう……名は?
GM:「カミーラ・ワイズマン……レネゲイド・ウィルスの除去を目的に実験を繰り返している男だ……仲間のオーヴァードを実験体にする等の報告もある。が、それ以上の成果を上げているのも事実だ」
霧ケ峰:それで、いま奴はどこに?
GM:「日本にあるK市という街だ」
霧ケ峰:K市か……しかし、そのゴッドアブソリュートがアクシズのメンバーなら、いっかいのエージェントである私の立場では、どうにも出来ないかと……。
GM:「それについては手を回しておいた。例えキミが支部長であっても、そのレベルでは奴に軽んじられるのが関の山だ。そのようなわけで、キミには我等と同じアクシズの権限を与えよう」
霧ケ峰:ありがとうございます。
GM:「キミがK市の支部長に収まるよう手回しはこちらでしておこう。緊急時はキミの方が権限は上だ。もっとも、奴は研究所のトップに収まっている。それを理由に横槍を入れてくるかもしれんが……上手く立ち回ってくれたまえ」
霧ケ峰:やれやれ…ずいぶんな休暇になりそうだ。ゴッドアブソリュートにロイスを結びます。  

◆天城 義久

それは穏やかな日常、ささやかでありながらも帰るべき場所の一つ……守るべき心の支え……
クラスメイト達がたわいの無い雑談をして、始業のベルが鳴るまでの大事な時間を無意味で大切なコミュニケーションで潰していた。
GM:では天城は登場分の侵蝕率を上げてください!
天城:(コロコロ)……場面は日常ですね?
GM:高校の教室です。と――「おはよう! 義久! 昨日は本当大変だったな」キミの机に寄って来るのは友達の桐生月彦です。
天城:"親友"の月彦ですね……ああ、でも無事に済んで良かったよ。
GM:「本当に……あわやこの学校が無くなるところだったしな」
天城:どんな事件だったんですか!?(笑)――だけど、それを僕達は守った。帰るべき場所を守ったんだ……。
GM:「そうだよな……ま、この光景を守るために、頑張んないといけないしな……」――と月彦はそこでふっと寂しげな顔をします。
天城:どうしたんだよ月彦?
GM:「いや、そう言えば俺も、姉さんと同じ高校生になってたんだな……って、ふと思ってさ」
天城:姉さん?
GM:「ああ、4年前から行方不明なんだ……」
天城:警察……いや、UGNに協力してもらって探すのは駄目なのか?
GM:「UGNは、一般社会的な事件に手を回している余裕は無いって断られてさ……いや、すまねぇ暗くなっちまったな!」――と、そんな日常生活があったのが、数日前です。
天城:いきなり回想シーンだったのですか!
GM:実はね(笑) で、現在だが……UGNのK市研究所でキミは桐生月彦が暴走する瞬間を録画映像で見ています。
天城:は!?
GM:月彦が胸に輝く碧色のクリスタルを自らの手で叩くと、そのクリスタルは真っ二つに割れ、その片割れが床に落ちる。月彦はその後、雄叫びを上げ壁を壊し研究所の外へと逃走して行く。そこで映像が切れる。
天城:これは! どういう事ですか!!
GM:キミの目の前にはカミーラ・ワイズマンという線の細い高圧的な男が立っており――「彼はキミの友人らしいな。どうだね、助けたいと思わないか?」
天城:当たり前です! UGNは何をやっているんですか!
GM:「そうか助けたいか」……とカミーラはさっきの映像で月彦が割っていた碧色の石の片割れを取り出す――「これは賢者の石と言ってね。桐生君の胸に埋まっていたものだ。もっとも、さっきの映像のように桐生君が自らの手で割ってしまったので、ここにあるのはその片割れだが……」
天城:黙って聞きましょう。
GM:「この石はお互い共鳴することがわかっている。しかし、その力を感じる為には人間の体に埋め込む必要があるのだ……私の言いたい事はわかるね」
天城:……わかりました。その石を僕に埋めて下さい。
GM:「キミならそう答えてくれると思っていたよ」――その後、天城は賢者の石を埋め込まれます。正八角形を真っ二つにした碧色のクリスタルが胸に半分同化しています。カミーラが最後に「急ぐことをお奨めしよう。時間が経てば立つほど彼が助かる可能性が低くなる」
天城:もちろんです。月彦は僕が止めます。  

◆輝野 優鷹

自分の深層意識では理解していた。目の前の男に従うべきではないと……しかし、その男の声を聞いた時から全ての自我を超越して、その言葉だけが真実に思え何も考えずに首を縦に振り、被験者の承諾をしていた……。
GM:優鷹、キミが目を覚ますとそこは白い病室だ。
優鷹:病室? なんでオレはこんな所で寝ているんだ?
GM:と、部屋に白衣の先生達と、その人達を引き連れた一人の男が入ってくる。その先頭の男をキミは知っている。カミーラ・ワイズマン、UGNのお偉いさんだ。
優鷹:オレに…いったい何をした!
GM:「そういきり立つな。キミはキミの意志で今回の実験に被験者として協力すると首を縦に振ったのだろう?」
優鷹:そうなの?
GM:うろ覚えながら確かにカミーラの言うとおり、キミは実験の被験者になると自分で承知した覚えがある――「気分はどうかね輝野君?」
優鷹:最悪だ。
GM:ちなみに体の中でウィルスがざわめく、なにか新しい力を感じるね。
優鷹:オレのウィルスが変異したって事か……取得エフェクトは『獣魔の巣』だから、予測不可能ば部分から四肢が生える……かっこ悪いから曲解しよう(笑) その瞬間、オレの背中から計4対8枚の翼が生える! バサァ!!
GM:「ふむ、どうやらキミの中でレネゲイド・ウィルスが変異したようだ。素晴らしい」
優鷹:新しい…力…?
GM:「さて、目覚めたてで悪いが、実はジャームが一人逃げてしまってね。そいつを追って欲しい。このままだと一般市民に被害が出かねない」
優鷹:ジャームだと? それを早く言え!
GM:「すでにテンペストが追っている、彼と協力するといい」
優鷹:わかった。そのジャームを追ってやる。なぜか釈然としないもやもやを抱えたまま、オレは飛び出していこう。ジャームが街に出る事は、絶対に許すわけにはいかない!

◆嶺村 薫

目の前で奇跡が起ころうとしていた。誰も使いこなせなかった賢者の石を、この被験者は今まさに使いこなそうとしているのだ。賢者の石を埋め込まれた被験者――桐生月彦がその手を一人のオーヴァードに向けると、そのオーヴァードの体がビクンとはねた。
GM:では薫、キミは研究員としてK市研究所に勤めています。で、目の前ではとある実験が行われている所です。
薫:実験?
GM:実験室の中心には胸に碧色に石を埋め込んだ桐生月彦が立っており、その目の前には被験者である輝野優鷹がいる。
薫:被験者の優鷹!?
GM:月彦の手がゆっくりと持ち上がり、優鷹へと向けられる。それと同時に胸の石が輝き出す。そして実験データを取っていた研究員の声が聞こえます――「被験者であるグリフィスのレネゲイド・ウィルスに反応有り! ジャネシフト……違う! 今までに見た事のないウィルスの変異です!!」
薫:優鷹に危険がありそうですか?
GM:今のところ、それは無い。それにこの実験に優鷹は自分の意志で首を縦に振っていたのをキミは見ているよ。
薫:優鷹が自分でか……。
GM:さて、キミの横でこの計画の立案者であり中枢評議会のメンバーである――カミーラ・ワイズマンが笑っって言います――「桐生月彦……いや、コードネーム"アース・クエイク"。これは掘り出し物だ。これを適合者(レセプター)と呼ぶのだろうな」
薫:カミーラさん、この実験は本当に意味のある事なのですね。
GM:「レネゲイド・ウィルスを変異させることができるなら、ジャーム化したオーヴァードを元に戻す事も、究極的に言ってウィルスを除去する事も可能かもしれない……そう私は結論付けている」
薫:理論的には間違っていないか……優鷹も自主的に参加しているなら、俺は黙っていよう。
GM:と突然、碧色の光が一際大きく輝くと、月彦が雄叫びを上げ実験室内の研究員をぶっ飛ばす。殴られた研究員はそのまま吹っ飛び壁にクレーターを作ってめり込みます。
薫:な! まさか暴走!?
GM:データを取っていた研究員が「侵蝕率が150%を超えています! ジャーム化の危険性レッドゾーンです!」
薫:優鷹は!?
GM:優鷹はすでにウィルス変異を起こした時点で実験室から運び出されています。
薫:ふぅ。
GM:薫の横でカミーラが一人呟きます――「ウィルスの暴走だと? いや、ウィルスが侵蝕するからこそ賢者の石を使いこなせたのか……」――と、月彦が実験室の壁を殴りつけると、その壁にクレーターが出来てそのまま破壊される。あいた大穴から月彦は逃げていきます。
薫:カミーラさん、どうするつもりだ?
GM:「嶺村君、ジャーム化の可能性はあるとは言え、彼……適合者の重要性は解っているな?」
薫:わかっている。このままの状態で彼を放っておくわけにはいかない。優鷹の方は頼みます。俺はアース・クエイクを追う!

■ミドル・フェイズ■

 

◆知者と神

その研究所はすでに神の支配下にあった。所長を含めそれなりの実力者がいたはずなのだが……やはり、アクシズでさえ警戒する能力……アレかもしれない。
GM:ではミドル・フェイズ、最初は霧ケ峰です。
霧ケ峰:さっさとK市研究所へ向かう。ターゲットがどんな奴が見てみたいしな。研究所についたら研究所の所長にゴッドアブソリュートの元へ案内させよう。
GM:了解。では案内されます。
天城:そこに登場します。移植実験が成功したすぐ後、カミーラに付き従いながら廊下を歩いてきます。
GM:ではカミーラも登場です。研究所の所長は霧ケ峰に簡単に説明だけして帰ります。カミーラの事は嫌いらしい。
霧ケ峰:では歩いてくるカミーラに話し掛けようか……キミが、ゴッドアブソリュート"絶対なる神"か?
GM:ではカミーラは不躾な男に眉をひそめ――「失礼な男だ…なんだキミは?」
天城:霧ケ峰さん? どうしてK市に!?
霧ケ峰:私の名はスチーム・ハイブロウ"知識の守り手"だ。アクシズから派遣されてきた。もちろん、その権限も委託されている。このK市支部のUGN支部長に一時的に就任する事になってね。同じアクシズの権限をもったゴッドアブソリュートには挨拶を……と思って来たのだが?
GM:「アクシズか……それで目的はなんだ?」
霧ケ峰:「もちろん、挨拶だけのつもりだったのだが……どうかしたのかな?やけに研究所内が騒がしいが?」
天城:実は――
GM:と、その声を遮ってカミーラは言おう――「気にしないでくれたまえ、全てこの研究所内で始末の付く事だ。キミに関係は無いさ」
霧ケ峰:そうもいかないな。そこにいるテンペストはちょっとした知り合いでね。この研究所で起っている事に関わっているようじゃないか? 知り合いとして放っておくわけにもいかない。
GM:「やれやれ……大人しく支部へと戻った方がいいと私は言っているんだがね?」
霧ケ峰:それは提案と受け取ろう。
GM:「キリが無いな……"そは従順なる愚者なり"」――≪抗いがたき言葉≫≪声無き声≫≪錯覚の香り≫≪領域調整≫≪完全なる世界≫のコンボです。
霧ケ峰:やはり≪抗いがたき言葉≫か!!!
GM:(コロコロ)……17! なので技能レベルを足して達成値27!
天城:27!? <交渉>技能レベルが10!?
GM:アクシズを舐めるな!
霧ケ峰:(コロコロ)……失敗か。ゴッドアブソリュート…お前の言うことも一理ある…か、いいだろう、ここは大人しく支部へと戻ろうか。退場します。  

◆引かれ合う絆

胸にある碧色のクリスタルに触れると、どこか別の存在を感じ取れる。共鳴現象……クリスタル同士が引き合っているのだろうか?
GM:では天城のシーンです。カミーラの説明の通り、キミは石同士の共鳴現象で、月彦のだいたいの位置がわかります。具体的なルールを説明すると、<RC>判定で10以上出れば、だいたいの方角がわかります。その判定に失敗すると、「近くにいる/いない」がわかる。
天城:わかりました(コロコロ)……9! <RC>は3Lvあるから成功です! 月彦はこっちか! 走っていきます!
優鷹:登場するぞ! 天城!!
天城:優鷹君!? すまない今は急いでいるんだ!
優鷹:ジャームを追っているんだろ? 手伝うぜ。
天城:ありがとう……でも、1つ訂正だよ。月彦はまだジャームじゃない!
優鷹:月彦?
天城:僕の親友の桐生月彦だよ。もっとも、早く見つけて止めないと、本当にジャームになってしまうかもしれない……。
優鷹:あいつが……わかった。急ごう!

◆現れし証拠

K市の繁華街。桐生月彦を追ってきた嶺村薫は、人ごみの中見失っていた。まずい……焦燥感だけが募り、握った手には汗がじっとりと纏わり付く。
GM:では薫、キミは繁華街まで来た所で月彦を見失いました。
薫:くっ……!
天城:では登場しよう。
優鷹:同じく。
薫:優鷹! 天城君も!? どうしてここに?
天城:カミーラさんに言われたんです。
優鷹:兄さん、こっちに桐生月彦――アース・クエイクは来なかったか?
薫:いや、俺も彼を追ってきていたんだが……この人ごみで見失ってしまってな。
天城:いえ、月彦は近くにいます。僕にはわかるんです……胸を押えて言います。
薫:俺は研究員だから理解しよう…まさか!? 天城君の胸をあけて賢者の石を見ます……やはりか。
優鷹:なにかまずいのか?
薫:あ、いや、別にたいしたことじゃない……俺は黙ろう――それより、アース・クエイクの場所が特定できるのか?
天城:ええ。
GM:と、その瞬間です。大通りをたくさんの人が歩いている風景が、一瞬にしてモノトーンに変わる!
※解説4 「ワーディング」
 ≪リザレクト≫とともにオーヴァードが最初から自動取得しているエフェクトその2。体内で生成した特殊な物質を散布して、一般人を無力化する能力。その演出は時が止まったり、一般人は気絶したり、自主的にその場所から離れていったり、全てがモノクロになったり…と自由である。
一同:『ワーディングか!!!』
GM:そう思ったのも束の間、通りの向こうで巨大な何かを叩きつけたような音と、人とは思えない叫び声があがる。さらに<知覚>で振って下さい、目標値は7。
一同:成功。
GM:では大通りの遠くの方で桐生月彦が戦っているのがわかる。月彦は数十体のジャームと戦っています。
天城:ジャーム?
優鷹:UGNはジャームを手下に使うのか?
霧ケ峰:それは無いぞ、ファルスハーツじゃないのか?
天城:なんでファルスハーツが……。
薫:しかも、アース・クエイクの逃走からまだ時間は少ししか経っていないはずだ。どうしてファルスハーツが……怪しいな。
GM:そんな所で、月彦が戦いながらキミ達に気が付きます――「来るな! これは俺の問題だ! 誰にも頼らず一人で解決する!」叫んで逃げ出す月彦。
天城:「待ってくれ月彦!」
GM:月彦は背を向け走っていきます。ジャーム達の半分が月彦を追って行き、残りの半分が月彦の叫びで気がついたのか、キミ達に向かってきます。
天城:「月彦! それ以上力を使えば本当に戻って来れなくなってしまう!!」
GM:では目の前にはジャームが立ち塞がります――「オマエラ・ジャマ・シネ」戦闘です。
天城:邪魔をするな!!! ――≪スターダストレイン≫(コロコロ)……命中30!
GM:いきなりか! イニシア的には優鷹の方が早いぞ?
優鷹:ここはカッコいいから任せる(笑)
天城:ではダメージが(コロコロ)……装甲無視の26点!
GM:26!? ぐはぁ…全滅した。
天城:僕を中心に光が接射され襲い掛かってきていたジャームが吹っ飛び動かなくなる……月彦! どこだ!!
GM:すでに月彦も追っていたジャームもいなく、繁華街もモノトーンだった色が元に戻ってザワザワと世界が再び動き出す。
優鷹:翼を出して追おうとしたんだが……あきらめよう。
薫:それより、今のジャーム達は――
GM:と言った所で――「遅かったか……」カミーラが登場します。
天城:カミーラさん……1つ、聞いてもいいですか?
GM:「なんだ?」
天城:今、ここにはジャーム達が居ました。それも月彦を狙っているように……もしかしてファルスハーツが動いているんでしょうか? だとしたら奴等の動きが早すぎる。
薫:まるで、こっちの動きがすべて筒抜けだったかのように……。
GM:「ファルスハーツが…か……それは気に過ぎだろう?"そは従順なる愚者なり"」――≪抗いがたき言葉≫≪声無き声≫≪錯覚の香り≫≪領域調整≫≪完全なる世界≫(コロコロ)……55。
一同:『無理』
天城:僕は疲れているんでしょうか? このまま月彦を追います。まだあいつは正気が残っていた……。
GM:「ほう、正気が…ね」
霧ケ峰:そこで登場! 少し見せてもらったが、確かにアース・クエイクはまだ正気を残していた。それと3人とも…こいつ(GMの方を見て)には気をつけろ。ソラリスで魅了する。
GM:「それは、私のことを言っているのかな?」
霧ケ峰:お前以外に誰がいるゴッドアブソリュート。お前はいったい…何者だ!
GM:「ふんっ…私は神さ。絶対的な……な」――そのままカミーラは退場します。
霧ケ峰:神……か。まぁいい、アース・クエイクの事は任せる、気をつけたまえテンペスト。――退場します。  

◆橋上の別れ

K市にあるベイブリッジは半分まで作られたあと、そのまま取り残された工事中の橋だった。その橋の上"アース・クエイク"桐生月彦がじっと川面を見つめていた。
GM:工事中の橋の真ん中、じっと水面を見つめている月彦を発見します。
天城:ではゆっくりと近づきながら、いつもと変わらぬ落ち着いた口調で言います……何を、考えていたんだい?
GM:おまえか……昔、この川で姉さんと遊んだなぁって……さ。
天城:お姉さんは、まだ行方不明なんだっけ……月彦の近くまで歩いていきます。
薫:無言でついて行こう。
優鷹:オレもそうする。
GM:天城が近づいて行くと、否応が無しに胸の石が共鳴する――「俺の家って両親が居なかったから、姉さんと俺とでずっと2人暮らしだったんだ……言ったかもしれないけど、警察では無理だったし、UGNでも捜査は断られた……俺一人でもたくさん探したけど……やっぱり限界があった……」
天城:ああ、聞いたよ……その話なら覚えている。
GM:「だけど、やっとUGNが俺の話を聞いてくれたんだ……姉さんを……探すのに協力してくれるって……」
天城:UGNが協力? まさか月彦!?
GM:月彦は自分の胸に手を当てて……「ああ、義久が思っている通りだよ。でも、もう頼るしか道がなかったんだ……それで、姉さんが帰ってくるかもしれないなら……これぐらいなんともない……」
天城:月彦! お前は!!――と月彦の両肩を掴みます!
GM:その瞬間! キミと月彦の両胸、それぞれに埋まった元は一つの賢者の石が共鳴が頂点に達して輝きます! それと同時に――「うう……ぐああああああ!!!」
天城:月彦!
GM:マイナーで≪完全獣化≫。メジャーで≪鬼の一撃≫≪獣の力≫≪銘無き刃≫≪フルパワーアタック≫≪神獣撃≫発動、一瞬だけ月彦とバケモノが重なるようにして見え、(コロコロ)……命中26!
天城:暴走……した!?
薫:≪崩れずの群れ≫でカヴァーリング。
GM:(コロコロ)……ダメージは79点。
薫:一撃で死んだ……≪リザレクト≫で復活。
優鷹:兄さん、大丈夫か?
薫:ああ……だけど、さすがアース・クエイクと呼ばれるだけはある。って、3D振って79点っていったい幾つ追加ダメージがあるんですか!?
GM:ほんの59点の追加ダメージだ。
優鷹:ほ、ほんのじゃねー(笑)
GM:月彦はその一撃を繰り出す瞬間だけバケモノと重なるが、攻撃が終わるとそこにはいつもの月彦が戻っている。
天城:≪神獣撃≫で獣化がすぐに解けますからね。
GM:さて、戦闘に入ります。月彦はすでに意識はありません。衝動のまま暴走しています。
薫:まずいぞ天城君。
優鷹:やるしか…ないんじゃないか?
天城:月彦……。いや、僕は諦めません。最初は僕です≪絶対の空間≫≪光の弓≫≪縛鎖≫を使って――まずはお前の足を止める(コロコロ)……命中20のダメージが17点。≪縛鎖≫を使うので命中すれば移動が不可です。
GM:そう、命中すれば……な。
天城:え?
GM:天城が月彦に手を向け、その足を止めようとした瞬間だった――「早まるなテンペスト! グリフィス"そは従順なる愚者なり" アース・クエイクを守れ!」(コロコロ)……35で優鷹のみ!
優鷹:(コロコロ)……無理だ! 月彦をカヴァーリング! 17点は死亡≪リザレクト≫!
天城:今度はこれかカミーラ!(←PL)――カミーラさん何を!?
GM:カミーラが登場します。それと同時に月彦が自分の足元に拳を叩きつけ、できた穴から月彦は川へと落ちていく。
天城:月彦!! 手を伸ばします!!
GM:その手はギリギリ届かない。ただ、落ちていく月彦がポツリと――「ごめんな義久……俺、もう……」月彦は退場です。
天城:く……月彦……。
GM:「なんと言うことだ……逃げられたか」――カミーラが憎憎しげに言う。
天城:あなたは!
薫:そうです。どうして止めたのです。
GM:「なに、天城君が彼を殺しかねない勢いだったのでな。私としても、できるだけ殺さずに彼を回収したいのでね」
天城:あなたもオルクスなら、今のが殺そうとした攻撃じゃない事ぐらいわかったはずだ!!
GM:「私にはそう見えなかったがな」――と、いう事で――
天城:(GMを遮って)――僕は月彦を追います。≪猫の道≫を使って退場。このままいるとまた洗脳されてしまいます(笑)
GM:む…使う前に逃げられたか(笑) ではカミーラは優鷹と薫に向き直って――「やれやれ、私もアース・クエイクの事を心配しているというのに……」
薫:そう…ですか。
GM:「ああ……おや、2人とも怪我をしているね。どれ、私が治してあげよう "そは神の尖兵なり"」≪ヨモツヘグリ≫≪ファクトリー≫≪要の陣形≫(コロコロ)……成功、HP全快していいよ。
薫:それは助かる。
優鷹:よし!
GM:では侵蝕率を2D10増やして下さい。≪ヨモツヘグリ≫は回復した対象のウィルスも活性化させてしまうので。
優鷹:ありがたくねー!! ふざけんな!(コロコロ)……15!
薫:くっ……。
天城:よかった。そこに残っていたら、傷が無くても「傷があるよ」と洗脳されて≪ヨモツヘグリ≫を使われていたかもしれない(笑)
GM:残念だよ。
天城:そうだ、カミーラにロイスを結びます。
薫:俺も結ぶ。

◆何かが起っている

GM:さて、ここからは情報収集フェイズです。調べられる項目は「アース・クエイク"桐生月彦"」「ゴッドアブソリュート"カミーラ・ワイズマン"」あとは「賢者の石」と「月彦のお姉さん」かな。あと、ファルスハーツが怪しいと思った人は、それを調べても構わない。最初は霧ケ峰から行こうか。
霧ケ峰:私はK市の支部へ戻って部下をこき使って「アース・クエイク」に付いて調べよう。<情報:K市>でいいのかな?(コロコロ)……7。
GM:ではイリーガルでシンドロームはキュマイラピュアブリード。両親はおらず4歳年上の姉と2人家族。姉の名前は桐生菜月。しかし、その姉は4年前から行方不明らしく、姉を探しだすことが月彦の目的でらしい。
霧ケ峰:で、賢者の石を移植した理由は?
GM:それは姉の捜査を引き換え条件にして承諾したみたいだね。賢者の石の"本当の"力はすでに解放しており、その時 優鷹のレネゲイド・ウィルスを変異させた。
霧ケ峰:本当の力? クリティカルを2つ下げる効果以外にも何かあるのか? まぁいい、部下達に命じよう――引き続き菜月について調べてくれたまえ。
天城:そこに登場します。霧ケ峰さん!!
霧ケ峰:なんだ? 今は調査中だ。調べたいなら自分のシーンでやりたまえ(笑)
薫:俺も登場します。霧ケ峰さん、お言葉ですが全員の中で一番【社会】が高いのは【社会3】の霧ケ峰さんですから、効率が良いんです。
優鷹:そうか(笑) じゃあオレも登場(笑)
霧ケ峰:集まってきたな……雁首そろえて何の用だ?
薫:研究所の方は全員カミーラさんの言う事しか聞かない。でも、あなたは違う。
優鷹:今回の事件、それにあわせるようにK市にやってきたあんた……関係があるんだろ?
霧ケ峰:ふっ…いいだろう。 私はUGN中枢評議会<アクシズ>からカミーラ・ワイズマンの暴走を止めるためにやってきた。
薫:アクシズ!?
優鷹:何、そこ?(笑) さっきからPLがわかってない。
薫:全てのUGN組織のトップであり、そこから下った命令に支部長やエージェントが逆らう事は非常に難しいと言われる正に中枢だ。
霧ケ峰:そうだな……キミ達に何があったか聞かせてくれないか? 研究所の方からはいっさい情報が回ってこなくてね。
天城:では僕が説明しましょう。月彦が賢者の石を埋め込んだ事、そして僕がその賢者の石の片割れを埋め込んでいる事、二つの賢者の石はお互い共鳴する事、カミーラさんが怪しい事、ジャーム達が月彦を襲っていた事も言います。
薫:そして……その賢者の石の研究を実行に移し出したのは、あのカミーラさんが研究所に赴任してからだ。実際、アース・クエイクでの実験は成功して…結果も出ている。
優鷹:オレの中のレネゲイド・ウィルスが変異したんだ。
霧ケ峰:なるほど……な。
天城:僕は、月彦を助ける為に石を移植した……なのにそれを邪魔するようにカミーラさんが……あいつは何を考えているんだ!!」
霧ケ峰:キミもたぶん実験体だな。
天城:実験体?……この石は……これはいったい何なんですか!?
薫:それは研究員の俺が説明しよう。本当のは部外秘なのだが……と、<情報:UGN>ですか?
GM:もしくは<情報:裏社会>でも可。
薫:<情報:裏社会>で(コロコロ)……これは知っていたい……10!
GM:賢者の石はレネゲイド・ウィルスを変質させる特徴をもっており、その本当の力を引き出す事ができれば、死者を生き返らせる事(リザレクトの強化版のように)さえ、できるようになるといわれています。ただし、その力を引き出すためには適合者<レセプター>と呼ばれる選ばれた存在が、その石を体に埋め込む必要があり、例えそうやって埋め込んでも、その力を引き出す為には、レネゲイド・ウィルスとの結合性が必須であり、体を侵蝕されている比率が大きいほどその力を引き出せます。
薫:と、言うモノだ。
天城:それじゃあ……僕と月彦の侵蝕率を上げるために……だから僕等のどちらも死なないようにカミーラさんは……。
霧ケ峰:カミーラ・ワイズマン。あいつは――と説明したいので調べたい。<情報:UGN>で(コロコロ)……9。
GM:<情報:UGN>で9ならわかります。賢者の石……しいてはレネゲイド・ウィルスの撲滅の為には手段を選ばない男。UGN中枢評議会まで上り詰めたが、その絶対的な能力と手段を選ばぬやり方に、どうやら避けられている。本人も評議会から煙たがられている事を薄々勘付いているらしい。天城義久に賢者の石の本当の力を引き出させたいらしい。また研究を続けるために、転職を考えているらしい。どこに行くつもりかはわからないが……。
霧ケ峰:最終的にはウィルスの撲滅……立派なのだがな。
薫:手段を選ばない…か。
霧ケ峰:転職先はファルスハーツかもしれんな。それなら繁華街で襲っていたジャーム達の動きが速かったのも納得がいく。そう言えば桐生菜月についてはまだわからないのか? と部下に聞いて――
優鷹:あ、それはオレにやらせてくれ! オレも何か振りたい(笑)
霧ケ峰:では任せよう。
GM:桐生菜月については<情報:K市>でいいです。
優鷹:(コロコロ)……6だけどわかるかな?
GM:問題ありません。4年前から行方不明です。家事全般をこなす月彦の母親役でもあったお姉さんらしい。UGNのどこかからか警察に圧力がかかっており、警察は彼女の行方不明事件を無かった事にしています。
優鷹:と、そんな話を聞いた事があるな。
霧ケ峰:どこかからの圧力か……予想だが、ゴッドアブソリュートだろうな。
薫:俺もそう思います。
天城:その4年前の事件については調べられないのですか?
GM:かまわないよ。<情報:裏社会>か<情報:UGN>ね。
天城:コネクションの"先生"に電話して聞きます<情報:UGN>で(コロコロ)……クリティカル! 14成功!
GM:桐生菜月は賢者の石の適合者<レセプター>であり、その事件について警察に圧力をかけているのはカミーラ・ワイズマンです(霧ケ峰:やはりな)。そして事件の真相は行方不明では無く、ファルスハーツによる殺人事件です。つまり桐生菜月はすでに殺されており、その目的はどうやら賢者の石に関係していたようだね。
優鷹:すでに…死んでるのか。
薫:天城君……。
天城:僕は…月彦に何て伝えれば良いんだ……。くそっ、またファルスハーツかよ!! 先生! 教えて下さい! あいつらは…ファルスハーツも今回の事に関係があるんですね!!(コロコロ)……<情報:UGN>で7!
GM:じゃあ先生が教えてあげよう。今回の件は"マスターレイス"日下部仁の命令で、フェアルスハーツは賢者の石を探しているらしい。そしてその目標は桐生月彦。そして誰かがファルスハーツに情報を流しているのは確かだろう。と先生は言います。
天城:マスターレイス…日下部仁……ピシャーンッ! と僕のバックに雷が落ちます(笑)
優鷹:どうしたんだよ?
霧ケ峰:ふっ…私は知っているからな。何も言わないでいよう。
天城:優鷹君、嶺村さん、実は……と自分が日下部の子供である事を話しましょう。――今回の事は、僕の責任です…自分で決着を付けます。
薫:勝手に決断されても困るな。カミーラの研究に手を貸した時点で俺にも責任がある。
天城:でも、裏で動いているのが日下部仁なら、僕は……僕は……。
優鷹:関係ねーだろ。誰が悪者だろうが誰と闘う事になろうが。結局オレ達は、自分の守りたいもんがあるから闘うんだ。責任があるからって誰かに任せられるか! オレは、オレの守りたいモンを守るために闘うぜ。
霧ケ峰:そういう事だ。
天城:くぅ……ありが…とうございます……。
GM:とその時、天城の胸の石が今までで一際大きく脈動すると、スウッ…と静かになる。そして今まで微かながらに感じていた共鳴感が消える。
天城:え!?……つき…ひこ?

◆取引成立(マスターシーン)

 薄暗いバーの片隅で、スーツ姿の男が2人、声を潜めて話していた。
「――というわけで、こちらの目的は果たさせてもらった」
  シュボッ! 男は煙草に火をつける。ライターの光で右手の甲が照らされる
  そこには半分に割られた碧色のクリスタルが埋め込まれていた。
「アース・クエイクのものを奪ったのか」
「桐生菜月のモノは私と相性が悪くてな。こっちは意外と馴染んでいる。少々小さいのが気にはなるが……まぁ、ゆっくり成長させればいい」
  煙草をくゆらせ、男が余裕の笑みで言い放った。
「マスターレイス、お前が何を目的としているかは知らん。だが協力は最後までしてもらうぞ」
「ああ、かまわんさ」
「では部下を20名ほど、それとアース・クエイクを都合してくれ。クリスタルを奪ったという事は、奴も捕まえたのだろう? それとももう、死んだか?」
「いやまだ生きている、研究材料に回そうかと考えていたが……まあいい。これさえあれば問題はない。だが、私がこれを奪ったせいで、奴はそろそろ限界が来る」
「そうだな。だが、彼にはまだ神の尖兵としてやってもらわなければならない役目がある。」
  伝票を持って男が立ち上り、そのままマスターレイスに背を向ける。
「悪いが、敵に払ってもらうほど羽振りは悪くは無いぞ。ゴッドアブソリュート」
  だからと言って払う気は無いのか、マスターレイスはタバコを吸ったままカミーラ・ワイズマンを見もせずに言い放つ。
「気にするな機会はまだある……ではまた会おう。次はお互いファルスハーツという組織の中でな」

◆カミーラの支配

K市支部の支部長室、突然乱暴にドアを開け数人のメンバーが入ってくる。みな一様に切羽詰った顔をしており、息を整え急ぎ支部長へと報告した。
GM:場所はさっきと同じ支部長しつです。登場したい人は出てていいよ、時間は経ったけどまだ調べてた事にするなら、この支部長室に居ても不思議じゃないし。
優鷹:では出るぞ。
薫:同じく。
天城:僕も居ます。さっきの共鳴が無くなったのが気になって調べていました。
GM:では支部長室へ、駆け込んでくる支部のメンバー10人程。
霧ケ峰:10人? どうした、いったい何があった。
GM:「それが、UGN中枢評議会メンバーのカミーラとか言う人がやってきて、『今の支部長のやり方は間違っている』…と」
霧ケ峰:ふっ、さっさとたたき出せ。ここはお前のくる場所じゃないと言ってやれ!
GM:「無理です」
霧ケ峰:どういうことだ?
GM:「我々にもわかりません……ただ、そいつの話を聞いただけで、すでに我等以外のメンバーは彼の意見に賛同してしまい、今にもクーデターがおきようとしています!」
薫:霧ケ峰さん。
霧ケ峰:ああ、≪抗らいがたき言葉≫だな。まだ無事な部下達にこの部屋に居るよう指示を出して、直接ゴッドアプソリュートの元へ行こう。
薫:俺も行く。
優鷹:オレもだ。
天城:ついていきます。カミーラさんにも聞きたい事があります。
GM:では支部長室を出て廊下までやって来た所で鉢合わせします。
霧ケ峰:いい加減、茶番は止したらどうだ?
GM:「それはこちらの台詞です。なにやらいろいろ調べてくれたようですね……だが、それは私が調べればいいことだ、余計な事はしなくていい」
霧ケ峰:余計な事とは言い過ぎではないかな? これでもアクシズから特別権限を貰って派遣されたんだ。
GM:「なら、さっさとアクシズへ帰ることですね。今のあなたにやるべき事は何もない。よしんばあったとしても、あなたの指示に従う部下は誰もいない」
霧ケ峰:それはお互い様だろう? お前もすぐに孤立無援になる。
GM:「それは違うな。私は神だ。信者などいくらでも作れる」
霧ケ峰:ファルスハーツで……か?
GM:「なんの事やら?……ところで、こんな所でゆっくりしていていいのかな?」
霧ケ峰:何?
GM:と、そこで放送が入ります。支部長室からだね――『支部長! 街の数箇所でジャームが同時に暴れています!』
霧ケ峰:ちッ……グリフィス、サイレント頼む!
優鷹:任せろ! 窓を割って飛び出す! 兄さん捕まってくれ!
薫:手を伸ばして優鷹に捕まります。
優鷹:では兄さんの手を掴んだ瞬間、オレの背中から8枚の翼が展開され、そのまま飛んでいく!
薫:先に行ってる!
霧ケ峰:ああ、任せた。あとから私達も行く。――どいてもらおうか?
GM:カミーラは素直に道を開けます。
霧ケ峰:行くぞテンペスト。
天城:月彦の情報を聞きたい事があったんだけ――
GM:と、キミ達がカミーラの横をすり抜けていく時、≪声無き声≫で天城にだけカミーラが語りかけてくる――『あとで支部の屋上へ一人で来い。お前の知りたい事を全て…教えてやる』
天城:えっ?
霧ケ峰:どうしたテンペスト? 今動けるのは私達だけなんだ、行くぞ。
天城:は、はい……。


■クライマックス・フェイズ■

◆月の光に照らされて

夜、月の光だけが淡くUGN支部屋上を照らしていた。
天城義久がそこにやって来た時、すでにそこには一人の男が待っていた。男はフェンスに持たれかかりながら、天城がやって来たのも気が付いてないのか、じっと夜の街並みを見下ろしていた。
GM:クライマックスです。天城がシーンプレイヤーです。
天城:屋上にやって来ます。カミーラさんはすでにいますか?
GM:フェイスに肘を置いて街並みを見下ろしています。
天城:話って……なんですか?――フェンスに並びましょう。
GM:ではカミーラはキミの方を見ないで――「綺麗な輝きを放っているな。人の営みが輝いている……そう思わないか?」
天城:それより、月彦を――
GM:「黙って聞け!」
天城:黙ります。
GM:「美しい街だ。この輝きは人の生きている証、私はその輝きを守りたい。だが、この輝きを飲み込もうとする闇が存在する。全てを狂わす…闇がな……」
天城:「レネゲイド・ウィルス……」
GM:「そうだ。19年前、ウィルスが世界中に散らばりいつの間にか世界は変わってしまっていた。それは年も性別も人種も越え、全てに等しく……例えどんなに変わって欲しくなかった者だったとしても……だ」
天城:………………。
GM:「キミに移植した賢者の石。ウィルスを変異させる力を持つ石……その力を使えば、世界中を変えてしまった闇を、取り払えるかもしれない」――カミーラは空を見上げ――「たとえ、その可能性がこの月の光のようにかすかだとしても……それは"光"である事に違いはない」
天城:あなたは……何を……。
GM:「率直に言おうテンペスト――いや天城義久。全ての人々のために犠牲になれ、私の研究に協力するんだ」
天城:………………。
GM:静かに返事を待ちます。
天城:一つ、お聞きしたいです。
GM:「発言を許そう」
天城:僕や月彦はともかく、月彦の姉さん――菜月さんは普通の人だったはずだ……適合者<レセプター>だったとしても……。
GM:「そうだな……だが、それがどうした?」
天城:普通に生きたいと思っている人まで、あなたは利用したのかって言っているんだ!!!
GM:「わからない奴だなキミは……日常を守るためには日常を捨てなければならない。そんなこともわからないのか? 彼女はこの日常を救うための犠牲になったのだ」
天城:………………やはり、あなたに協力する事はできない。僕は日常を守る……だけど、だからと言って日常を捨てる気も無い!!
GM:「キミ達と同じオーヴァードの中には、身を犠牲にして日常を守っている者もいる。それなのにキミはそんな事を言うのか……そんな事では――
霧ケ峰:そこで登場! ゴッドアブソリュートの声にかぶるように――そう、そんな覚悟では日常すら守れない。それは何も知らない一般人さえ君は裏切っている事になる。
天城:霧ケ峰さん。
霧ケ峰:だが、それも良いじゃないか…全てを守ると言うのなら、あえて呼ばれよう。そう――裏切り者<ダブルクロス>と。
GM:くッ…言いたかったのに……「スチームハイブロウ"霧ケ峰理"」
霧ケ峰:こんな事だろうと思っていたぞ。カミーラ・ワイズマン…全ての人間を過小評価し過ぎだな。少なくとも、お前の薄っぺらな言葉では、彼の心は動かせぬよ。
GM:ふんっ。
霧ケ峰:それと……さっきお前は研究と言ったが、お前にUGNが協力するかな? すでにアクシズでの研究が難しいから、遠く離れたここK市の研究所に来たんじゃないのか? その研究所にも私がやって来た、お前の好き勝手にはさせない。それを解っていていったいお前はどこで研究を続けるつもりだ? 悪いが、逃がすわけにはいかんな。
GM:「さすが…一般エージェンとでありながら、アクシズから特別権利を与えられるだけの男だ……だが、お前達2人如きに、どうこうできる神ではない」
霧ケ峰:そうでもないさ。――と、いうわけで2人とも登場してくれ。
薫:OK。
優鷹:8枚の翼をはためかせつつ、兄さんと一緒に屋上に降り立とう。
GM:「ほう、街のゴミ掃除は後回しにして来たか。懸命だな」
優鷹:ゴミ掃除? はっ! 確かにゴミ掃除だったぜ!
薫:霧ケ峰さん、街で暴れていたジャームは全て排除しました。
霧ケ峰:……というわけだ。もう一度言おうかゴッドアブソリュート…お前は、少々、人間を過小評価し過ぎだ。
GM:「………………」
天城:優鷹君…嶺村さん……。
薫:わかっている何も言うな。
優鷹:そうだぜ、ただ守りたいモンがあるだけだ。
天城:ああ……そうだね。
GM:カミーラはいったん深く息を吐くと――「ふぅー…そうか、では仕方が無い」――呟くとカミーラの後ろからヘリコプターがバラバラと上がってきて、屋上の上空へ来た所で何か人間大の木箱をカミーラの横に落とす。
霧ケ峰:ヘリはUGNのではないですね?
GM:ヘリコプターの助手席には日下部仁"マスターレイス"が座っています。
霧ケ峰:「マスターレイス!!」(←実はマスターレイスにロイスを持っている)
GM:日下部は天城を見下ろしニヤリとしタバコを吸う動作をする。その右手には半分に割れた碧色のクリスタルが埋め込まれている。
天城:あれは…そんな!?
GM:バラバラバラ……とヘリは去って行く。そしてカミーラが横に落ちた木箱の留め金を外し――
木箱が自動的に壊れ、"中に入っていた"ものが投げ出された。
それは虚ろで意識を失っていたが……確かに……確かに桐生月彦だった。
一つ違う所があるとすれば、その胸に輝く石は無く、抉り取られたとような傷跡があるだけだった。
GM:「起きたまえアース・クエイク……姉を助けたいのだろう?」――その言葉にゆらりと立ち上がる月彦。その目はあきらかに常軌を逸しています。
天城:月彦!!!
GM:「テンペスト……今私が手を施せば、まだ彼は助かるだろう……さて、私の言いたい事はわかるね?」
霧ケ峰:お前はアース・クエイクに……いったい何をした?
GM:「何もしてはいない……ただ、天城が協力をしないと言うなら、これから働いてもらうかもしれないがな」
霧ケ峰:働く?
GM:「レネゲイド・ウィルスは本人の心身的ストレスにより活性化する。が、それとは別の状態でも活性化する事がわかっている」
霧ケ峰:………………。
GM:「それは、他人のウィルスに刺激され、ともに共振し侵蝕率を上げるという事だ」
霧ケ峰:なるほど…。
優鷹:さっぱりわからん!
薫:戦闘すれば侵蝕率が上がるって事だろ?
GM:それもある、が登場判定で侵蝕率が上がるって意味も含んでる。自分の周りの侵蝕率が高いと、それに反応して侵蝕率が上がるって意味もね。
薫:ああ、そう言う事か。
GM:「ふっ、わかったようだな……そう、賢者の石の力を覚醒させる為、彼には役立ってもらう。そしてお前達もな」――と優鷹や薫…そして霧ケ峰を見て――「"目覚めよ神の名の元に"」≪ナーブジャック≫≪戸惑いの一撃≫≪完全なる世界≫≪ファクトリー≫≪要の陣形≫≪オーバードーズ≫! 一瞬で世界が真っ白なだけの何も無い世界へと変わる!!
一同:『なっ!?』
GM:(コロコロ)……こっちの達成値は35! キミ達はダイスペナルティ5つで<意志>で対決してくれ。ただし判定時のクリティカル値は+1だ!
天城:(コロコロ)……3!?
優鷹:……8!
薫:クリティカルしないから無理だ。
霧ケ峰:≪天性のひらめき≫(コロコロ)……15! くそっ!
GM:では白い世界で神の声を聞く。『さぁ…目覚めよ…』――自分の一番高い能力値分のダイスを振って、その出た目の合計値だけ侵蝕率が上昇します。
天城:それがこの必殺技の能力なんですね!
GM:そうだ。簡単に言うとナーブジャックで洗脳して『全力でジェネシフトしろ』と命じられたと思いねぇ!
天城:(コロコロ)……ぐはぁ! 24も上がった!?
霧ケ峰:ふっ…私は35だ!!
GM:さらに白い世界に獣の――月彦の方向が響き渡り、それと共にたったいまジェネシフトしたウィルスがざわめく! 衝動判定をどうぞ! ちなみにこの後、戦闘シーンに移行するのでシーンが変わります。衝動判定の成否に関わらず3D分侵蝕率を増やして下さい。
一同:なーー!!!
天城:あんた鬼ですか!?
霧ケ峰:いや、シーンが切れるなら≪ナーブジャック≫が効果を失う! わざわざ35の判定に成功しなくても自由になれる!
GM:ご名答!
優鷹:それでも侵蝕率がやばいって!!
薫:か、帰ってこれるのか…!?
GM:「さぁ始めよう。アース・クエイク…どこまで自我を保てるかな?」

◆滅びの光

体の内側から悲鳴を上げてウィルスが暴れる。それは悲鳴ではなく雄叫びなのかもしれない。今まさに全員のレネゲイド・ウィルスはピークに達しようとしていた。けれどここで引くわけには行かない。守る為に……守りたい者の為に……。
GM:では戦闘です。咆哮を上げている月彦のイニシアチブは0! ≪フルパワーアタック≫を使うのでね。
薫:追加ダメージ+59の奴か。
GM:ゴッドアブソリュートのイニシアは19です。
霧ケ峰:先にやっておくセットアップで≪戦術≫を私以外の3人にだ! もっとも、一度は奴の攻撃を耐えなければならないがな……。
GM:それではカミーラが動こうか――「私は神だ……神の計画に狂いは無い。"そは神の尖兵なり"」≪ヨモツヘグリ≫≪ファクトリー≫≪要の陣形≫(コロコロ)……成功。春の幻影が見えたと思うと、全員のHPが3点回復。
優鷹:これはあの時の!?
霧ケ峰:まずい、拒否できん!!
GM:全員侵蝕率を2D上昇して下さい。
薫:きついぞ。例えアース・クエイクを倒しても、こいつにすぐに回復される!
優鷹:(コロコロ)……やーばーいー! レコードシート振り切った!? 侵蝕率169% 越えた9%はどこに書けばいい!!(笑)
霧ケ峰:なるほど……こんなシナリオだから、始まる前に「ジャーム化の危険性が高い」って言ってたのか! おのれ!! そのまま私の番だ! ≪アドヴァイス≫を天城へ(コロコロ)……成功! クリティカルマイナス1だ! 一撃で倒せ! アース・クエイクに構うな!!
薫:まったくだ。
優鷹:これ以上の戦闘は本気でやばい!!
天城:僕の番。みんなの思いは僕も同じです……カミーラさん、あなたを倒す!
GM:「私の研究が、世界からレネゲイド・ウィルスを撲滅する結果になるのが、なぜ理解できん!?」
天城:僕は聖者でもなければ救世主でもない……世界なんて言われてもわからない……ただ、目の前の日常を奪うお前を、僕は許すわけにはいかないんだ!!――僕の胸の賢者の石が光出します! Dロイス『賢者の石』を使用! クリティカル−2!
GM:その瞬間、石を使った反動で侵蝕率が2D上昇する。
天城:覚悟の上です!!!(コロコロ)……
霧ケ峰:覚悟の上か……いいだろう私も覚悟を決めよう――テンペスト、お前の言う通りだ! 世界のことは私達大人に任せろ! お前はお前の思ったとおりにやれ! 奴を…倒せ!! Dロイス『特権階級』使用! 私の持ってるゴッドアブソリュートのロイスをタイタスへ! それをテンペストに使わせる!
天城:そのタイタスでクリティカルがさらにマイナス1! こうなったらいけるところまで行ってやる! 自分のカミーラ・ワイズマンのロイスをタイタスへ!
薫:基本で7、アドヴァイスで6、石で4、特権階級で3、カミーラで2……。あと一つ足りないな。
天城:くっ! 仕方が無い!――月彦…今、その苦しみから救ってあげるよ……こんな方法しか取れなくて……ごめん…な――月彦のロイスをタイタスへ! そして昇華!
霧ケ峰:これで1以上は全てクリティカル! インフィニティアタックだ!!!
GM:トコトン来たな……。
天城:夜なのに空が昼間のように明るくなって行きます。そらには太陽のように月だけが輝き――カミーラ…見るといいさ。あなたの言う石の力って奴を――空を…月を仰ぎ見ます。その瞬間、空から巨大な光線が何本も降り注ぎカミーラと月彦は巻き込まれます。
GM:カミーラは両手を大仰に広げて光空を見て――「これが……」と恍惚と呟き消滅します。

◆碧の輝き

空は元通り闇色の夜へと変わり、辺りは静寂が戻った。ただ、巨大レーザーの乱射による被害で、K市UGN支部は倒壊し、瓦礫の山へと成り果てていた。
GM:瓦礫になった支部の中心で、一人天城は立っています。その目の前には月彦が……死んでいく月彦が倒れています。
天城:月彦……ごめん……僕は…結局……きみを……どうして………
GM:と、キミの胸の賢者の石が再び光だし、神の声が聞こえてきます。
天城:声?
――人の限界を100とすれば、一部のオーヴァードはそれを超えてウィルスを制御できる――
――賢者の石を解放する答えは、基準限界を2倍した数値より、現状の%を引いた値を目標として――
天城:なんだ……今のは?
GM:具体的に説明すると、(200%−現在の侵蝕率%)を目標値としたD100判定を成功させる事ができれば、賢者の石の本当の力を解放して、何をやっても可能だ。
霧ケ峰:テンペスト、現状の侵蝕率は?
天城:159%です。
霧ケ峰:200%から引くと41%か。
GM:D100振って、41を越えるならOK! 数人単位なら一回だけどんな願いも叶う。ちなみにこれは判定ね。
薫:でも十の位で4以上が出なかったら……。
GM:先にジェネシフトをするのも有りです。
天城:いえ、とりあえず振ります。確率的には悪くありません。(コロコロ)……39!?
優鷹:あ〜〜あ。
薫:………………。
霧ケ峰:いや、まだだ! これは判定と言っていた。タイタス昇華による効果に確か、『判定の達成値を+1D10する』ってのがあったはずだ。GM使ってもいいか?
GM:……アリですね。問題ないでしょう。
天城:じゃあ……。
霧ケ峰:お前は減らすな! 本気で帰って来れなくなるぞ! 私の日下部仁へのロイスをタイタスへ! 日下部とテンペストに対するわだかまりを捨てる! 使え、どうせ3以上で成功だ!
天城:ではありがたく使わせていただきます。(コロコロ)……8! 合計47で成功!!
GM:さあ、何を願う? 何を望む?  
「もちろん…僕の願いは――――」

◆自律判定

GM:さて、エンディングの前に自律判定のお時間です。
優鷹:Dロイス邪魔だーーー!
霧ケ峰:Dロイスで嬉しいのは生還者だけだな。
薫:しかも実はあまり戦ってないので侵蝕率も130%(笑)
優鷹:ふざけるなーー! オレだって戦ってねーーー!!(笑)
※解説5 「自律判定時のDロイス」
 Dロイスは"ロイス"と銘打っているが、その実ロイスでは無い。なのでキャラクターシートのロイス欄に書くわりには自律判定で使えないので、いつもなら7つ(フルなら)振れるPCも、Dロイスで一つ枠が潰れるので、最大で振れる数が6個しかないのだ。
GM:では最初は薫から行こうか?
薫:もちろんDロイス『生還者』も使って7D振ります。2倍振りはしません。(コロコロ)……39減って、現状91%に戻ったので問題無い。
GM:じゃあ次は優鷹だ。
優鷹:使えるロイスが4つしかない!
薫:しかも169%(笑)
優鷹:とにかく2倍振り!(コロコロ)……58減った! 駄目じゃん!!
GM:もう一度だけ振ることが可能です、ただしそれをやると経験値がまったく手に入りません。
優鷹:じゃあ振る(コロコロ)……24減った! 経験値は貰えなくなったけど、オレは生きた(笑)
GM:では霧ケ峰に行こう。
霧ケ峰:私は150%だ。最後に日下部を使ってしまったから4つしか残ってない。2倍振りだな。
GM:どうぞ。
霧ケ峰:(コロコロ)……42減った。経験値は放棄する。(コロコロ)……18減って90%。ジャームにはならない。くぅ…5個残ってて10個振りなら、せめて経験値は貰えたんだが……。
天城:申し訳ないです。
霧ケ峰:まぁいい、その分の効果はあった(笑)
GM:では最後に天城です。侵蝕率は159だっけ?
天城:そうです。ギリギリレコードシートは突破してません(笑) ロイスが4つなので2倍振りですね。
薫:経験値を放棄しても合計12D10……期待値が66。さっきの優鷹よりはマシだな(笑)
優鷹:余裕余裕(笑)
天城:(コロコロ)……42。期待値分減った。現在117。やっぱ経験値はもらえそうにないです、僕はPLの経験値よりPCの日常を取ります。
GM:ではもう一度4Dだけ振ってください。
薫:4Dで18以上。期待値は22だから悪くない。
天城:(コロコロ)……4、2…あれ? …3!? 最後が――――

■エンディング・フェイズ■

◆家族団欒

戦いは終わった。いくつかの悲しみを残して……。
優鷹と薫は妹の光とともに、いつも通りの食卓についていた。それは守り抜いた日常……けれど、いつ壊れるともしれぬ、脆き土台の上に成り立つ日常だった……。そう2人は噛み締めていた。
GM:ではエンディングですが――
薫:優鷹と2人、まとめてやって欲しい。場所は家で妹の光と家族団欒が希望。
優鷹:オレもそれでかまわない。
GM:では夕食時です――「どうしたの2人とも? 私の料理美味しくなかった?」
優鷹:そ、そんな事ねーって! 慌ててバクバク食べて喉に詰まらせてゴホゴホ言う(笑)
GM:「もう、そんなに慌てるから」
薫:優鷹……光……。
優鷹:苦しそうにしながら――ん?
GM:優鷹の背中をさすりながら光も――「なに?」
薫:……いや、これが、俺たちの日常なんだな……。微笑みます。
優鷹:へっ…そうだぜ兄さん。これが俺たちが守ったモンだ。この日常を壊されてたまるかよ!
薫:そうだな……。
GM:「ねぇお兄ちゃん達、今日の"お仕事"…何かあったの?」
優鷹:………………。
薫:何も無いよ光。いつも通りさ。本当に……いつも通り……。
優鷹:食べようぜ兄さん! さっさと食べないと上手い飯も冷めちゃうしな!
GM:「そうだよ! せっかく疲れて帰ってくるだろうからって頑張って作ったんだから!」
薫:ああ、そうだな……。俺は2人に聞こえないように呟きたい。
優鷹:じゃあオレは聞いてない。
「いつ、俺たちの身に起ってもおかしくない事だ……これは俺たちにとって"いつも通り"の事なんだ……」

◆権利剥奪

ヨーロッパ某所、空港から専用の車に乗って再び霧ケ峰はあのホテルへやって来ていた。扉を開き前と同じようにスクリーンが並んでいた。そこに映し出される顔は、全員が全員苦虫を噛み潰していた。
GM:ではUGN中枢評議会へと再び霧ケ峰はやってきます。そしてホテルの会議室に並んだスクリーンから、アクシズメンバーから言われます――「賢者の石を一つ、ファルスハーツに奪われたようだな」
霧ケ峰:マスターレイス……日下部仁です。詳しくは先日お送りしたデータの方を参照下さい。
GM:「あれは見せてもらった……だからこそ、こうやって呼び出したのだ」
霧ケ峰:………………。
GM:「マスターレイス日下部仁、奴がK市にて、賢者の石がらみで暗躍するとの情報も入っている」
霧ケ峰:K市で……ですか。
GM:「K市支部は現在崩壊してしまったが、K市の研究所を仮設支部として使う事が決まった。そこの支部長をやる気は無いかね?」
霧ケ峰:私に…ですか?
GM:「そうだ。マスターレイスの陰謀を止めてもらいたい。少なくとも君はその責任があるはずだ」……ルール的に言って、この後『ブレイクアップ』に乗ってるキャンペーンシナリオをやりますか?(笑)
霧ケ峰:それは別キャラに任せよう(笑)
GM:「やっては…くれぬのか?」
霧ケ峰:マスターレイス…もう忘れた名です。
GM:「……そうか、残念だ。キミには期待していたのだが……」
霧ケ峰:申し訳ありません。
GM:「では今現在を持って、キミからアクシズの権利を剥奪する」
霧ケ峰:構いません。
GM:「これを……」――と、キミをこの部屋へ案内した運転手兼執事みたいな人が、とあるチケットをくれます。で、アクシズのメンバーの一人が――「では、引き続き休暇を楽しむと良い」――アクシズのスクリーンは全てブラックアウトします。
霧ケ峰:そのチケットはどこ行きですか?
GM:日本だ。そして"かつて"●市と呼ばれた辺りの地図も渡される。
霧ケ峰:やれやれ……長い休暇になりそうだ。

◆ダブル・クリスタル

その世界は全てが碧色に輝いていた。そこに存在するのはたった2人。天城義久と桐生月彦だけだった。
天城:起きたかい? と月彦に。
GM:「義久? なんで俺は……」
天城:言ったろ。キミを救うって。
GM:「そうか……俺は助かったのか……」
天城:だけど、キミのお姉さんは……。
GM:「ああ、薄々は気がついていたんだ……でも、信じられなくって…いや信じたくなくってさ……」
天城:月彦……。
GM:「そんな顔すんなよ。例え姉さんはいなくても、俺にはお前がいてくれる! だろ?」
天城:それには一瞬だけ表情に影が差し、すぐに満面の笑みを浮べ――僕も、月彦と会えて良かったよ! 本当に…楽しかった!
GM:「ああ、まったくだ! これからも一緒に馬鹿やって生きていこうな!」
天城:うん、そうだね。きっとそうできる時が、必ずあるよ――と碧色の光りが強くなっていきます――じゃあ、僕はそろそろ行くから。
GM:「? どこへ?」
天城:少し、旅に出なきゃ行けないんだ。僕はもう……いや、でもいつか必ず帰ってくるよ。きっとまた2人で馬鹿できる時が来るから…さ。――そう言って笑顔で光の中へと僕は消えていきます。
「きっと……必ず……」
ダブル+クロス The 2nd Edition
『月と光とふたりの絆』 了


■アフター・プレイ■

天城:このシナリオはーーー!!
GM:全員経験値殆ど貰ってないな(笑)
薫:実は貰ってます。
優鷹:くっ……天城が〜〜天城が〜〜
天城:仕方が無いのです。あそこで4を振ってしまった僕が駄目なんです。
霧ケ峰:しかし、悲しい話だ。友の為に全力を尽くし、そして友を助けたが、その時すでに自分は正気を失っていた……決して交わらない二つの道、これも一つのダブルクロスだな。
GM:では一つ、このシナリオのネタばらしです。
優鷹:ネタばらし?
GM:実はこのシナリオ、最初に少し調整すればそのままブレイクアップに載っているキャンペーンシナリオに、このままのキャラクターで続けてプレイできるように作りました。
天城:でも、いくつか無理が出てきません? 特にPC1とPC2は。
GM:PC2は最初から「複製体」でDロイスを取ってもらう。月彦が力を使ってウィルスを変異させたオーヴァードはNPCって事にすれば問題無い。
霧ケ峰:だが、PC1はどうするんだ? このシナリオをやった場合はすでに賢者の石を知っているぞ?
GM:知っていても今回のシナリオではそこまで突っ込んで賢者の石について説明してないから、問題無いと思う。PC4も研究者と刑事の違いがあるけど、まぁきっと問題無いさ。
薫:とはいえ、俺達には無理だな。
GM:そうだね。友人の為に全力をかけた男がいるからね。
霧ケ峰:あの後、2人はどうなったんだろうな?
天城:僕は暴走したまま、どこかへといなくなります。
優鷹:どこへ行くんだ?
天城:あんまり目的は無さそうですし……きっと失った故郷にでも帰っていると思います。
GM:ああ、あの母親とともに失った故郷って所か(笑)
優鷹:じゃあ月彦はそんな天城を探しているんだろうな、ゔ〜〜! 友情だなぁ!!
薫:良い話じゃないか。
GM:とは言え、その話が語られるのはまた別の機会ですね。と、言うわけで今日はこの辺でお開きにしましょう。PLの皆さん本当にお疲れ様でした〜〜!


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