TOPリプレイ ⇒ ダブルクロス2nd                        戻る

『ダブル+クロスThe 2nd Edition』『アルターライン<平安京物怪録>』
今は昔、平安の夜に魑魅魍魎が跋扈する。
陰陽師を抱える一部の貴族、そして自らも異能の力を持つ者以外、都に住む庶人は人外の魔物達におびえて暮らすしかなかった。そんな時代の物語……平安京物怪録。
――人はまだウィルスを知らなかった。それは呪いと形を変え理解される。
――人はまだジャームを知らなかった。それは悪鬼魍魎と呼ばれていた。
そんな、現と夢幻の境界線が無い――if――の世界。
2004年8月1日セッション開始

シナリオ『平安京影裏杏の術』


死の領域〜平安京〜


■プリ・プレイ■

GM:それではダブルクロス2のリプレイを取りたいと思います。今回は基本ルールと追加サプリ『アルターライン』に掲載されている平安京物怪録をステージに使います!
※解説1 「アルターライン<平安京物怪録>」
 こういった解説において、今回プレイするシステムの説明を補助的に入れていきたいと思う。今回のセッションではステージとして平安京物怪録を使用する。10〜11世紀の平安時代、この時代の都は悪鬼魍魎が跋扈する闇の場所だった。それは全てレネゲイド・ウィルスによる事象(陰陽師はオーヴァード、魑魅魍魎はジャーム)だった……という"if"な舞台である。
ガルチラ:GM! 平安時代の知識が必要になるのでしょうか!
GM:もちろんあるに越したことは無いです。ただ、あまり詳しくない人もいると思ったので、今回の物語は内裏(天皇が住む場所。役所があったり陰陽殿があったりと重要な施設が集中しており、貴族や姫もいる)をあまり使わないですむシナリオにしました。
ボブ:それは助かります(笑)
伍長:言葉使いを気にしないでやれます。
GM:ではキャラクターを作ってもらいましょう。時代は平安京なので名前やコードネームはそれっぽくして下さい。平安京物怪録のみに使える特殊なエフェクトなんかもあるので、持ち込み経験値を使って取得しても構いません。
ガルチラ:おお、≪早九字≫がある! カッコイイなぁ(笑)
西蓮:ちなみにシナリオ情報技能は? やっぱ平安京?
GM:その通りです。<情報:平安京>で宜しく!

◆キャラクターデータ

"漆黒の拳士"彰重(あきしげ)) 18歳(男)
シンドローム:バロール/ハヌマーン
ワークス:陰陽師  カヴァー:声聞師
能力値: 【肉体】7 【感覚】3 【精神】3 【社会】1
技能: <白兵>4 <知覚>1 <RC>1 <情報:検非違使>1
  <回避>1   <意思>1  
  <耐性>1      
【HP】20  【イニシアティブ】18
エフェクト:
≪巨神の斧≫2、≪漆黒の拳≫1、≪ダークマター≫2、≪魔王の腕≫1、≪魔王の理≫2
≪ブレインシェイク≫1、≪マシラのごとく≫2、≪先手必勝≫1、≪斥力の槌≫1、≪フェザーライト≫1

キャラクター紹介:
かつて陰陽師の師匠がいたが、魑魅魍魎を使役し悪事を働いていたのが発覚して安倍晴明に退治された。彰重はその実力で陰陽師としての地位を高めるが、前述の過去が発覚し陰陽殿にいられなくなった。今は野に下り声聞師となって自由に陰陽の力を振るっている。余談だが姉のお優に最近悪い虫が付いたらしい。

ハンドアウト:

  キミがまだ独り立ちする前、影裏闇之丞(かげうら やみのじょう)という声聞師にキミは師事していた。しかし、その師匠は心の中の鬼に負けてしまい結局検怪異使に退治されてしまう。キミは時々聞くのだ自分の中にいる鬼の声を――
ロイス:心の鬼  P:遺志/N:恐怖



"女禍の子"鼎(かなめ) 200歳(性別不明)
シンドローム:エグザイル/エグザイル
ワークス:物の怪  カヴァー:物の怪
能力値: 【肉体】6 【感覚】2 【精神】3 【社会】1
技能: <白兵>4 <知覚>1    
  <運動>2      
  <耐性>1      
【HP】16  【イニシアティブ】7
エフェクト:
≪踊る髪≫1、≪エンタングル≫1、≪オールレンジ≫3、≪餓鬼魂の使い≫2、≪伸縮腕≫2
≪蛇の動き≫1、≪吸収≫1、≪がらんどうの肉体≫1、≪異形の踊り≫1、≪貪欲なる拳≫2
≪鍵いらずの歩み≫1、≪物質変化≫1、≪崩れずの群れ≫1、≪マルチアタック≫1、≪壁に耳あり≫1

キャラクター紹介:

物の怪なのにライフパスで渡来人を振った為に大陸妖怪になった。親は中国では伝説級の妖怪である。日本へは親から「私は中国、お前は和の国を支配しなさい」――と言われてやってきた……はずなのだが、日本で意気投合した酒呑童子と毎晩飲み明かす破天荒ぶりである。

ハンドアウト:

  キミは京を根城にする物の怪だ。夜の裏路地を歩いている時、上空から少女が振ってきた。突然の出来事だったが少女のセリフにキミは反応する――「ごめん、検怪異使(けがいし)に追われてるの!」
ロイス:影裏杏(かげうら あんず)  P:慕情/N:不安



"朧月夜"安倍天城守義久(あべ あまぎのかみ よしひさ) 34歳(男)
シンドローム:オルクス/エンジェルハイロウ
ワークス:検怪異使  カヴァー:検怪異使
能力値: 【肉体】1 【感覚】3 【精神】5 【社会】3
技能:   <知覚>1 <知識:唐料理>2 <情報:検怪異使>1
    <隠密>1   <交渉>1
        <情報:裏社会>1
【HP】12  【イニシアティブ】11
エフェクト:
≪絶対の空間≫2、≪完全なる世界≫1、≪縛鎖≫1、≪支配の領域≫1、≪猫の道≫1
≪ミラー・コート≫1、≪光の弓≫2、≪黒き明かり≫1、≪スターダストレイン≫1
≪主の恩恵≫1、≪ピンポイントレーザー≫、≪早九字≫2、≪呪詛返し≫2

キャラクター紹介:

とある豪族の一人息子だったが妖怪に襲われ皆殺しにあう。偶然生き残った義久は通りかかった稀代の陰陽術師安倍晴明に拾われる。世間的には晴明の弟という事にしており晴明の事は"兄(けい)"と呼ぶ。現在、検怪異使として都を護っている。余談だが、最近"お優"という恋人が出来たらしい。どこで覚えたか唐料理が得意。

ハンドアウト:

  キミは呪いや怪異から都を守るために組織された検怪異使の1人だ。今から十数年前、安部晴明とともに都を騒がす声聞師――影裏闇之丞を倒した。だが最近、死んだはずの影裏闇之丞を見たという噂が囁かれていた。
ロイス:影裏闇之丞(かげうら やみのじょう)  P:親近感/N:敵愾心



"朝露の君"霞姫(かすみひめ) 14歳(女)
シンドローム:ノイマン/サラマンダー
ワークス:検非違使  カヴァー:
能力値: 【肉体】1 【感覚】3 【精神】6 【社会】3
技能:   <知覚>1 <知識:言語学>1 <調達>2
      <RC>2 <交渉>2
      <意志>1  
【HP】14  【イニシアティブ】12
エフェクト:
≪天性のひらめき≫2、≪プロファイリング≫1、≪アドヴァイス≫1、≪生き字引≫1
≪マインドリーディング≫1、≪アナライズ≫2、≪陽炎≫2、≪静かなる霧≫1、≪戦術≫1
≪ブレインコントロール≫1、≪揺ぎなき心≫1、≪氷の回廊≫1、≪不燃体≫1

キャラクター紹介:

陰陽師の血を引く姫。生まれながらに体が弱く、都も自由に歩いたことが無い箱入りである。しかし、その類まれなる才能で陰陽殿への出入りを許可されている……が、家の者達に気味悪がれて陰陽殿に押し付けられているのが本音である。安倍晴明に恋焦がれていたが失恋したらしい。

ハンドアウト:

  いつも1人だった。不思議な力がある…周りの人間は常に1歩離れてキミと接した。そんなある夜、キミはその美しい男と出会った。その男はキミの力が必要だと言った。その男はとっくに死んだ事になっている男だった。
ロイス:在原業平(ありわらの なりひら)  P:敬意/N:食傷


※解説2 「平安京用語録」
 平安京では歴史的な専門用語がいくつか使用されている。声聞師は正式な陰陽師では無い者(無免許陰陽師)。物の怪は都に跳梁跋扈している悪鬼、魍魎、妖怪の事。安倍晴明(あべのせいめい)はこの時代のトップ陰陽師。検怪異使(けがいし)はアルターラインの造語であり、異能の力を持った者たちで組織された怪異から都を護る集団である(平安版UGNである)。また警察のことは検非違使(けびいし)と呼ぶ。

■オープニング・フェイズ■

◆都に変わらぬ思いが木霊する(マスターシーン)

 そこはどことも知れぬ屋敷の中だった。
絶世の美男子とも呼べる男が1人、涙を流しながら九字を切っていた。
やがて四方に張った結果符が燃え上がり、部屋の中央、男の目の前にゆらりと立ち上がる影が生まれる。
  その影は延々と恨み辛みを喚き散らすと、何かに気が付いたように部屋を出て行く。
  亡霊が居なくなった部屋に悲しい声が響き渡る。 ――「月やあらぬ 春や昔の春ならぬ 我が身一つは もとの身にして」  ……月も春も、あの頃のまま何も変わりはしない。それに反してなぜ人は変わってしまうだろう。
  京の都に悲しい調べが木霊する。

◆安倍 天城守 義久                        (あべの あまぎのかみ よしひさ)

テンツクテンツク……そんな子供達の声が響く人通りの少ない平和な通りを抜け、私はいつものように都を見回っていた。
塀の内側から伸びた桜の枝から、淡い色の花びらがヒラヒラと舞っていた。
そんな平穏な都の日常……ふと、声をかけられた気がして振り向けば、同じ検怪異使の桐生院月彦がいた。
GM:最初は天城守(あまぎのかみ)からです。いつものように平安京を見回っています。
天城守:今年も桜が咲いたか……とか見上げていよう。
GM:と、後ろから声をかけられます。検怪異使の同僚である桐生院月彦です――「天城守!」
天城守:ん?……どうしたのだ桐生院?
GM:「最近出回っている怪異(かいい)のこと……知っているか?」
天城守:怪異? それはなんだ。
GM:「ああ、なんでも名は"影裏闇之丞(かげうら やみのじょう)"って言う怪異らしいんだ。夜な夜な都に出回っては陰陽師や声聞師を殺して回っているらしい」
天城守:なんだって? 今なんと言った!?
GM:「ん? だから夜な夜な――
天城守:違う! その前だ! なんという名の……
GM:「ああ、怪異の名か……影裏闇之丞と言うらしいぞ。何か知っているのか?」
天城守:そんな馬鹿な……あいつは確かに、私と兄(けい)が……
GM:「なんだ晴明様がらみか? まぁしかし、仲間の検怪異使も皆、上には報告していないらしいんだ。何でも数回は捕まえる機会があったにも関わらず取り逃がしたらしくってな……こっちも相当の被害に合っているというのに……そんなに面子が大事なものか」
天城守:上には報告していない……か。
GM:「とにかく、今夜はお前が巡回だろう? 気をつけろよ」
天城守:ご忠告ありがたく。
GM:桐生院はそれだけ言って帰って行きます。
天城守:しかし……影裏闇之丞とは……彼奴は確かに兄と共に倒したはず。
この都を騒がせるとは……天城守は楽しそうに毬をつく子供を眺めたあと、夜の準備の為に足早に去って行った。

◆彰重                                               (あきしげ)

俺は夢を見ていた。
その夢の中で俺は都の人々をその手にかけていた。真っ赤に染まる大通り、返り血を浴びて俺自身も夕日のように赤かった。
やがて俺は無情なる殺戮の果てにとある屋敷の庭先に来ていた。
舞い散る桜の花びらの中、目の前には澄み渡った池があり、そこにはもう1人の俺が映っていた。
GM:と、言うわけで――衝動判定をどうぞ。難易度は普通に7です。
彰重:(コロコロ)……成功。衝動は"闘争"なので戦いたくなりますが押さえ込みます――くっ!!
GM:池に映ったもう一人の自分が言います――「気分はどうだ、彰重」
彰重:お前は……いったい。
GM:「俺はお前だよ……そして今見たのが本当のお前……これが真実だ。何も怖がることはない。漫然と生きている今のお前こそが夢幻(ゆめまぼろし)なのだ」
彰重:馬鹿な! 俺はこんな事を望んだときは……。
GM:「無いとは……言い切れないだろう?」
彰重:………………。
GM:「解放しろ、我を!」――と共に、池の中からスゥっと立ち上がるもう一人の自分。
一同:おお!?
GM:その心の鬼が、その姿を別の男に変えます。
彰重:誰だ?
GM:それはキミに陰陽術を教えた唯一の師匠。心の鬼に囚われその身を鬼に変えた末、稀代の陰陽師安倍晴明に倒された男――影裏闇之丞だ。
彰重:あ、あ、あ……。
GM:「彰重……忘れたか私の事を。かつてのお前の師である私のことを……」
彰重:師匠……。
GM:「私はかつて心の中の鬼に従った。そして知ったのだ本当にこの世があるべき姿を……人間とはなんであるか……どうしてこのような力があるか…を。彰重、こちらの世界へ来い」
彰重:俺には姉さんのロイスもあるからな……――師匠、悪いがそれは出来ない。俺はこっちに大切な者たちがいる!
GM:「惜しいな彰重、お前なら本当の力を手にする事ができると言うのに……晴明も道庵もたどり着けなかった境地へと……」――とキミは現実に目が覚めます。
彰重:はっ!? 汗がべっとりです――どうして、いまさら師匠の夢なんかを……それにあのもう一人の俺は……。 窓からは春のうららかな風が心地良く吹き込んで来ていた。

◆霞姫                                             (かすみひめ)

わたくしは姫でありながらも自由が許されておりました。
それはひとえにわたくしの持つ不思議な力のせいでございました。
周りの人達は常に1歩離れてわたくしと接します。
だからこその自由……。
  そんなある日の夜、わたくしは1人で夜の散歩をしておりました。
月に照らされた桜の花が、妙に艶やかに目に映る……そんな夜でした。
ふと誰かの声が聞こえ行ってみれば、この世のものとは思えぬほどの美男子が静々と歌を詠っていたのです。
GM:では霞姫のシーンです。
霞姫:では散歩の途中でその声を聞いて行ってみると、絶世の美男子がいたって所ですね。木陰からそっと聞いています。どんな歌を詠っているのでしょう?
GM:それはこんな歌です――「月やあらぬ 春や昔の春ならぬ 我が身一つは もとの身にして」
霞姫:真面目に古文の歌ですね。
GM:彼は歌を詠い終わると、すっとキミを見つめます。
霞姫:申し訳ありません。せっかく歌を詠っていらっしゃったのに邪魔をしてしまいました。
GM:「いえ、そんな事はありませんよ姫。それに実は、霞姫に頼み事があり参上いたしました」
霞姫:わたくしに?
GM:「はい……実は数日後、ここに声聞師の少女が逃げ込んでくると思われます。その少女を匿ってあげてほしいのです。理由は…少女から直接聞いてください」
霞姫:それだけで宜しいでしょうか?
GM:「これは、きっと姫にしか出来ぬことなのです」
霞姫:わたくしにだけ……わたくしを必要として下さるのですか?
GM:「世の無情は常。宜しくお願い致します」――その男は去って行きます。
霞姫:あ、あの、あなた様のお名前を……教えて下さいませ。
GM:「まだ名を言っていませんでしたね……私の名は在原業平(ありわらのなりひら)と申します」
霞姫:また……お会いできますでしょうか?
GM:在原業平はその問いに会釈で返すと――「それでは……」つぶやき去っていった。
男は禁色(きんじき)を纏っていた。それでいてあの美しさ……一度見たら忘れない男なのに、なぜかその背中は虚ろで寂しげだった。
※解説3 「禁色」
 当時は内裏で着る服に、使われる色が役職ごとに分けられていたりした。そのルールを破ることが許されるほどの力(地位や権力)を持つものを「禁色が許されている」と称した。

◆鼎                                                 (かなめ)

都の夜は早い。それは桜咲く春だとしても変わりは無いことだ。
オレは都の路地をいつものように歩いていた。夜はオレが自由に動ける時間だ。人の目を気にせず、本当の自分のままで……。
空には美しい月が出ていた。あの月はずっとあの美しい姿のままなのだろう。
そうやって見とれていた時だった。上空から何かがオレの上に降って来たのは。
GM:では鼎(かなめ)です。
鼎:夜の都を跳梁跋扈しますよ(笑)
GM:空には月、今宵は満月です。
鼎:良い月だ。
GM:と、後ろから声がします――「あぶない! あぶない! あぶなーーい!!」
鼎:なんだ!?
GM:少女が屋根から降ってきますよ。着地地点はキミだ。
鼎:≪物質変化≫で腕を布状に変化させて抱きとめよう。バフッ!
GM:じゃあ少女は平気です。衝撃を吸収されて地面に降ります――「あ、ありがとう……大丈夫だった?」
鼎:ああ――と腕を元に戻して――お前はオレを怖がらないのか? 物の怪であるオレを。
GM:「う〜〜ん。物の怪には慣れてるからさぁ。それに……あなたは"良い"物の怪みたいね。私を助けてくれたし♪」
鼎:別に良いか悪いかは考えたことないな。
GM:「そっか……私、影裏杏(かげうら あんず)って言うの♪ こう見えてもれっきとした声聞師なんだよ! 私はあなたを良い物の怪だと思った! それでいいじゃない?」
鼎:ま、それでも別に構わないが……それより、いったいどうして――
GM:「いけない! 私、検怪異使に追われているんだった!?」
鼎:おいおい。
天城守:(検怪異使)『おい、こっちに逃げて行ったぞ!!!』
鼎:早く逃げた方が良い。
GM:「うん、ありがと」――と杏は走っていこうとするのですが――「痛ッ!?」と挫けます。
鼎:おい、どうした?
GM:「ううん、なんでもない……ちょっと足を捻っちゃって……あなたは逃げて、巻き込んでごめんね」
鼎:肩を貸そうか?
GM:「え、でも……」
天城守:(検怪異使)『お前は左、お前は右だ! 回りこめ!』
鼎:行くぞ! 肩を貸して逃げ出します。
GM:「う、うん……ありがと」  やれやれと思いつつ、オレは少女を見捨てて逃げる事はしなかった。ちょっとした同情か、それとも仲間意識か……とにかく、オレは彼女を方って置けなかったのだ。

■ミドル・フェイズ■

◆再会の師

寝付けない夜、それは都を歩いている時だった。
うっすらと白い影が現れたと思うと、その姿は懐かしい姿へと変わった。
そう、十数年前に晴明に滅ぼされたはずの師匠――影裏闇之丞(やみうら かげのじょう)だった。
彰重:寝付けない夜に、酒を飲んでほろ酔い気分で夜の散歩中です。
GM:が、道をふさぐように白い影が現れたかと思うと、キミはその姿に見覚えがある。
彰重:師匠!?
GM:「懐かしいな彰重(あきしげ)、驚いたか?」
彰重:どうして師匠が……師匠はあの時、確かに晴明に滅ぼされたはず。
GM:「復活したのだよ。晴明への恨みの念、そしてなによりわし自身の叶えられなかった夢の為にな」
彰重:まぁこの幽霊ぐらい当たり前な場所かな? そこまで不思議には考えないでいいか。
GM:「ところで彰重、お前のその後はどうだ?」
彰重:はっ…潜り込んだ陰陽殿を追放され、今は師と同じ、声聞師として名をはせております。
GM:「わしはそんな事を聞いているのではない。そのうちなる鬼の様子はどうだ?……と聞いておる」
彰重:ドキっとしましょう。
GM:「そうか……まだ鬼を使役していないか……うちなる鬼は最高だぞ。お前も解放するのだ。解放するというのは心地良いぞ、全てが自分の思い通りになる。そこに不安、恐怖、迷いは無い。全てが己を肯定する」
彰重:う、うう……しかし……だが……。
天城守:そこで登場します(コロコロ)……
GM:「む!」
天城守:そこな庶人(一般人)! その亡霊から離れよ!――お札を彰重と闇之丞の間に投げつけます。
GM:闇之丞は飛び退ってかわします!
天城守:やはりそなただったか……影裏闇之丞。
GM:「その声、その顔……忘れぬぞ、わしを晴明めが殺した時、側におった弟子か」
天城守:いかにも。安倍晴明が弟、安倍天城守義久。兄(けい)にかわってそなたを再び冥府へと送りに参った!
彰重:師匠と検怪異使の台詞で驚こう。師匠の仇……か。
天城守:その間に札を宙に放って、仲間の検怪異使を呼びます。
GM:では闇之丞は――「ふっ……」――と笑うと、顔は天城守に向けたまま声だけ彰重に語るように――「心の内なる鬼に身を任せれば、憎いあいつも思いのまま……」
彰重:………………。
GM:「奪われたくない者があるならば……いつでも耳を傾けるが良い」
彰重:お優姉さん!? なんか、心を読まれた感じだ。
GM:「まぁいい、今宵はただの挨拶。……天城守義久とか言ったな。晴明の奴に首を洗って待っておれと伝えておけ」
天城守:血迷いいでし妖(あやかし)の戯言、そう素直に伝えるとおもうてか――と、ここで仲間の検怪異使が集ってきました。その数(1D10コロコロ)……9人(笑)
GM:「彰重、よく見ておれ。久々に師の術を拝ませてやろう」
彰重:ゴクリ……と、これから起こる事に寒気を覚えます。
天城守:皆の者! 印を――
GM:「遅い!!! 平安京が一の使い手……影裏闇之丞の術、受けてみよ!」――闇之丞は九字を切って……≪絶対の空間≫≪大地の加護≫≪縛鎖≫≪破砕の顎≫≪完全なる世界≫≪苦痛の矢≫≪早九字≫(コロコロ)……21命中。対象は検怪異使全員。
天城守:(コロコロ)……25で回避!
GM:では≪破砕の顎≫により、他の検怪異使全員は地中へ引きずり込まれ、噛み殺されます。(コロコロ)……ダメージは40点ちょうど。首より下は地中に埋まったまま死亡しています。
彰重:俺は一歩も動けずその現場を見ていましょう。
天城守:仲間達が全滅しているのを見て愕然としよう。
GM:「くくくくく……」――と笑い声だけを残して闇之丞は消えていきます。
天城守:仲間達も大事だが……ここは庶人(一般人)を優先して声をかけよう――大丈夫か?
彰重:近寄るな!
天城守:なに!?
彰重:師匠を殺した晴明の弟……鬼に心を奪われた師とはいえ、俺にとっては掛け替えの無い師匠だった。だから俺は目の前の男を憎みます――貴様の顔……覚えたぞ! ≪フェザーライト≫を使って、後ろへそのまま跳躍! 屋根に飛び乗り逃げます。退場!
GM:彰重は自分の中の鬼の力が膨れ上がっていくのがわかります。≪フェザーライト≫分、侵食率も上げておいて下さい。

◆声聞師の少女

少女に言われるままにやってきたが……どうやらどこかの貴族の庭先らしい。
GM:影裏杏(かげうら あんず)はキミを連れてとある屋敷にやってきています。時間は早朝です。鼎(かなめ)は杏に惹かれるまま来ています。
鼎:おい、こんな所で何をする気だ?
GM:「どうしても普通の人じゃわからなくってさ。やっぱ貴族に聞かないとね♪」
鼎:だから、いったい何を聞く気なんだと……それに誰かに見つかったらどうするつもりだ?
GM:「大丈夫だよ、まだこんなに朝早いんだから」――と杏は庭の藪から出て、家の廊下に腰を下ろします。
鼎:それはいくらなんでも危ないだろうが!――とオレも出て行こう。
霞姫:(コロコロ)……では登場致します。ちょうど杏の後ろいたって事で――あ。
GM:「あ、妖しい者じゃありません」
鼎:妖しい者は皆そう言うがな。
GM:「余計な事言わない!……え、えっと……お金は無いよ?」(笑)
霞姫:お金はいりません……話し相手が欲しいのです。
GM:「話相手? なら話し相手でもなんでもなるよ♪ うん、じゃあ話相手になろう♪ ね、鼎(かなめ)?」
鼎:あ、ああ……そうだな。
霞姫:ではあちらへ参りましょう。あそこにある離れはわたくしの部屋なのです。
鼎:離れ? なんでまたそんな遠くに。
霞姫:わたくしは疎まれっ子なのです。一族からは厄介者扱いされておりますから……。
霞姫の部屋で、静々とお茶を出される2人。杏はそのお手前に驚き、また美味しいと繰り返していたが、南蛮渡来な鼎には、苦いだけでさっぱりだった。
GM:「良いお手前でした♪」
鼎:うぐ……ぐはぁ……。ごふっごふっ。
霞姫:鼎の方は無視して――あなただったのですね。今、わかりました。
GM:「???」
霞姫:あの方……いえ、そう予言できたのです。わたくしは生まれながらにして不思議な力があるのです。もっとも……そのせいで家族からは……。
GM:「その気持ち……私も声聞師だからちょっとはわかるよ」
霞姫:本当?
GM:「私の故郷はもっと東なんだけどさ……こういう人と違った力があると、みんな冷たい目をするんだよね」
霞姫:……うん。
鼎:ふん、人間なんてそんなものだ。
霞姫:わたくし……あの……その……。
GM:「姫様にこういう物言いは駄目だと思うんだけど……良かったら私と友達になって欲しいな」
霞姫:いいえ! わたくしもそう思っていたところでしたの! 嬉しいです!
GM:「本当? 良かった♪ 私、故郷から出てきたばっかだからずっと心細かったの♪」
霞姫:そうでしたの……でも、そちらの方は?
GM:「命の恩人……かな? 昨日の夜知り合ったの」
鼎:鼎だ。検怪異使には言わないでくれ、オレは追われる身だ。
霞姫:わかりました。わたくしの名は霞です。
GM:「私の名前は影裏杏、杏って呼んでね霞姫」
霞姫:それなら……わたくしの事も霞とお呼び下さい。
GM:「ありがとう……霞♪」
霞姫:ええ。
鼎:ところで杏、お前はどうしてこんな貴族の家に危険を冒してまで来たんだ?
GM:「うん……ねぇ霞、安倍晴明ってどこにいるか知らない? わたし、どうしても安部晴明に会って勝負しないといけないの……それが、お父様の願いだから」
霞姫:晴明様に?
GM:「都壱番の陰陽師になるの……それがお父様の夢だったから……」
霞姫:でも……晴明様は都一の陰陽師だから……きっと無理だと思うな。
GM:「そんなのやってみないと解らないじゃない! 勝負する前から無理だなんて私は決め付けたくない!」
鼎:その意見には賛成だな。
GM:「お願い。もしツテがあるなら私を安倍晴明の所に連れて行って」
霞姫:………………わかった。でも今は駄目、鼎は目立ちすぎるもの。夜になったら一緒に行きましょう。
GM:「本当!?」
霞姫:うん。大切な友達の頼みだもの断れないよ。

◆五条権大納言(ごじょうごんのだいなごん)

陰陽殿の中、私は検怪異使の別当(長官)である五条権大納言様に昨夜の事件を報告していた。この方は公卿である事以外知られていない。ただ、相当の実力者だという事実以外は。
天城守:――と、言った次第でございます。
GM:「なるほど……キミは、この検怪異使達の中でも最高の力を持っている。この都でキミに勝てるのは晴明ぐらいのものだろう」
天城守:いえ、まだまだ修行の身でございます。
GM:「しかし……影裏闇之丞か」
天城守:闇之丞を調べてもいいですか?
GM:いいですよ。<情報:検怪異使、裏社会>で8以上ね。
天城守:(コロコロ)……オール2で失敗――あの時、私はまだまだ未熟であり、ただただ兄の技に見惚れるばかりでした。
GM:「影裏闇之丞……確か噂によれば彼には一人、弟子がいたと言う話を聞いたはずです……」
天城守:弟子……ですか?
GM:「今は市井にまぎれて声聞師まがいの事をやっているとか……名は……彰重」
彰重:お優"姉さん"から、弟の名前ぐらいは聞いた事あるはずだ!
天城守:では"恋人"のお優から、弟の名前が彰重と言うという事を聞いていました。
GM:「その弟子が誰か……調べはキミに任せます」
天城守:は、はい……そこで、差し出がましいのですが、此度の件、影裏闇之丞の一件……私に全てお任せ願えないでしょうか。
GM:「それはこちらの言葉ですよ。朧月夜、これはあなたにしか出来ない仕事です。お願いしますよ」
天城守:はっ!

◆お優

家に帰ってくると、窓から良い匂いが漂ってきていた。この家は姉と自分の二人暮しだ。検非違使や検怪異使の目をかい潜りながら、違法に陰陽の力を振るう声聞師はそれなりに稼ぎは良い。食事も庶人の並以上のものだという自負はある。
彰重:ボーッとしたまま家に帰りましょう。すでに時刻はお昼時です。
GM:時間的には昨日の夜からずっとどこかで飲んで〜寝て〜ってやって帰ってきた感じか。
彰重:そんな感じですね――ただいま姉さん。
GM:「お帰りなさい彰重、もうすぐお昼ご飯ができるからね」
彰重:ああ、わかった。
天城守:と、お優は恋人の私から教わった唐料理を作っているのです。
GM:了解。
彰重:む。
GM:では今日は漂ってくる匂いが普段嗅ぎなれない匂いです。でもおいしそうな匂いではあります。
彰重:何の匂いですか姉さん?
GM:「これはね、ちょっと教えてもらった料理なの。ここより海を越えた地にある"唐"という国の料理ですよ」
彰重:へぇ〜変わったものを教わったのですね。
GM:「もうすぐできますから待っていて下さいね」
彰重:わかりました――席に座って待っていよう。
天城守:と、ここで登場なわけだ――トントン。
GM:お姉さんが出よう。扉を開けてお優は――「義久様?」
天城守:お優殿。
GM:「どうなされたのですか? 私の家にいらっしゃるなど一度もなかったというのに」
天城守:すまぬ。つもり話はあるのだが、此度は仕事で参ったのだ。
GM:「検怪異使の?」
天城守:ああ……彰重殿はおられるかな?
GM:「おりますが……まさか弟が何か!?」
天城守:いや何、そうではない。昨夜の妖(あやかし)事件の際、その場に彰重殿もおられたのでな……その後、大事はないかと確認に参っただけのこと。
GM:「ああ、そうでしたか……どうぞお上がりになって下さいまし。お茶をお煎れ致します」――と、天城守を部屋に通して、お茶を煎れると気を利かせて彰重と2人っきりにします。
彰重:2人きりか……何か御用ですかな?
天城守:そうだな……では聞こう。昨夜より問題は無いか? あの妖に術をかけられたりせなかったか?
彰重:あなたに心配される言われは無い。
天城守:ではお茶を一口飲み――影裏闇之丞……その名に聞き覚えは。
彰重:ふん、調べは付いているのだろう? 俺の師についてな。
天城守:……いかにも。なれば此度、都を騒がす亡霊が影裏闇之丞である事も知っているな。
彰重:無論。かつて師を殺したのがお前である事もな。
天城守:それは少し違う、私は兄(けい)を少しばかり手伝ったに過ぎない。
彰重:同じ事だ。
天城守:………………。
彰重:それで、そのお前がいったい何用だ? わざわざ姉さんのいるこの家に出向くとは……。
天城守:それは私も驚いたこと……だが、事は一刻を争う。影裏闇之丞……かの者はお主に何かを託そうとしたのではないか?
彰重:憶測にすぎないな。
天城守:そうか……なればあの晩、なぜ妖となった闇之丞と会った。何を話していた。
彰重:たとえ妖となったとはいえ、師であった事は変わらぬ。会って会話を懐かしむぐらい、どうって事はあるまい。
天城守:あくまでその身は潔白だと?
彰重:俺に後ろめたい事は何もない。
天城守:………………ならいい。ただ人が道を踏み外し、鬼となったときに……そこに人の心はあるのかな? お優殿も悲しむ。
彰重:姉さんを引き合いに出すとは……ぶっ殺してぇ。
GM:ではその瞬間、彰重は<意思>で難易度42。
彰重:高いって! (コロコロ)……無理。
白昼夢のようだった。時の止まった白黒の世界で、自分が立ち上がり目の前の検怪異使の胸を貫いた。手に感じる血の暖かさ、肉の感触……全てが本物だった。
GM:――白昼夢終わり。
天城守:もし…もし!?――と私の声で現実世界に戻ってくると(笑)
彰重:こ…れは……。汗びっしょりになって――いや、なんでもない。
天城守:どうやら体も芳しくないよう……また後日改めて。
彰重:ああ、そうしてくれ。

◆安倍晴明(あべのせいめい)

その夜、彰重は声聞師として一仕事終えると、暗い夜道を一人で帰るところだった。仕事が終って考える余裕が出来たせいか、頭をよぎるのは姉についた悪い虫の事……昼間、家に来たあの検怪異使の事ばかり。
彰重:くそ。面白くない。よりにもよって師匠の仇がなんて!
GM:と、夜道を帰っている途中、道の向こうを3人の人影が提灯を片手に歩いて行くのが解ります。
彰重:ん?
GM:そのうち全員に見覚えがあります。
彰重:PC間ロイスで知り合っている霞姫と鼎か。
霞姫:登場(コロコロ)……彰重がまだ追放されずに検怪異使だった頃、わたくしは何度か会っているのですね。
鼎:オレは何度か戦った事がある……と。
GM:そしてもう一人は女の子で――
彰重:ああ! 師匠の娘である杏(あんず)か!――霞姫が夜な夜な散歩するのは良くある事だからいいが、杏はなんでこんな所にいるんだ?
GM:ちなみに杏は田舎で母親と二人暮しという話です。師匠に連れられてその田舎に何度か行った事のある彰重は知ってます。
彰重:近寄って行って――杏! どうしてお前がここにいる!
GM:「あ、えっと……その……」
霞姫:彰重様? 杏とお知り合いなのですか?
GM:杏について知っていたいのなら<情報:裏社会、平安京>で難易度6です。
彰重:<平安京>で(コロコロ)……成功。
GM:影裏闇之丞の娘であり声聞師です。父親の才能を受け継いでおり、その陰陽道の腕前は大した物である。
彰重:うむ。
GM:貴族の抱えにも検怪異使にもならず、市井の人々の為に陰陽術を使うので検怪異使や貴族に抱えられている陰陽師には嫌われている。明るく無鉄砲だが、それは自分の腕に裏打ちされた自信からきています。
彰重:確かに……最近、偽善とも言えるはぐれの声聞師が活躍しているという噂は聞いた事があったが……まさか杏、お前だったとはな。
GM:ちなみに闇之丞は杏に対して、都には出てくるなときつく言われていました。
彰重:杏、お前がなんで都にいる。あれ程、師匠に出てくるなとあれ程言われていただろう。母親はどうした?
GM:「……その……いろいろあって……」
霞姫:彰重、杏が困っています。駄目です。
彰重:姫様? しかしこいつは――
霞姫:杏はわたくしの友達です。杏を苦しめる事はわたくしが許しません。
彰重:うぐ……はっ、わかりました。
GM:「ありがとう霞」
霞姫:うん。
彰重:ところで姫様、なぜに杏とともにこのような時間に?
霞姫:杏が晴明様に会いたいって言うから会いに行くの。一緒に来てる鼎が目立つから夜にしたのです。
鼎:あ、登場してますので(コロコロ)……。
彰重:な!? こやつは妖怪ではございませんか!?
霞姫:え?
彰重:貴様! どのような腹づもりで姫様に取り入った!――霞姫を庇うように立ちます。
鼎:違う! 俺は成り行きで一緒にいるだけだ! 杏に助けを求めます。彰重の実力はロイス結んでいるので知ってますし。
GM:では杏が鼎は検怪異使から逃げる時に助けてくれた恩人だと説明しました。
彰重:そうか……それはすまなかったな鼎。
鼎:オレは跳梁跋扈はしても、むやみに人を殺しもしなければ、都の権力にも興味無い。企みごとなんて妖怪には関係ないさ。
彰重:それもそうだな。
霞姫:ねぇ彰重、あなた陰陽殿を追い出されはしても、その腕は昔のままでしょう?
彰重:え、はい。
霞姫:ではわたくし達と一緒に来て下さい。鼎がいてくれるとはいえ、女2人で心細かったのです。
彰重:……まぁ杏は我が師の娘、それに姫様にまで頼まれては嫌とは言えますまい。護衛いたしましょう。
霞姫:ありがとう彰重。

◆静かなる屋敷

兄(けい)である安倍晴明と暮らす屋敷に戻ってきたのは夜中だった。事件の調査に手間取ったのだ。
ゆっくり休んでまた明日から頑張ろう……そう帰ってきてみれば、そこはもぬけの空だった。
元々人に気を許す性格ではなかった兄は、身の回りや屋敷の世話は全て式神に任せていた。今はその式神の気配すらない。
  ただ、唯一ゆっくりとした口調で、奥の間より誰かが唄を歌っている声だけが聞こえた。
天城守:屋敷の中から唄? 奥へ行きましょう。
GM:そうすると、絶世の美男子がいます――「おや」
天城守:そなたは?
GM:「私の名は在原業平(ありわらの なりひら)……ここに晴明殿はおられませぬぞ。今、晴明様は平城京の鬼を退治に先ほどお屋敷をお出になられましたぞ」
天城守:それはいったい……。
GM:「あなたは知らずとも良い事です」
天城守:知らずとも良い事……それはいったい?
GM:「今、平城京で何が起きているかご存知かな?」――<情報:検怪異使>で5以上です。
天城守:(コロコロ)……成功です。
GM:平城京へ早良親王を静めに向かう途中ですね。

※解説4 「早良親王(さわらしんのう)」
 歴代天皇の1人。しかし毒殺で殺される。その後、天皇家のメンバーが次々に謎の死を遂げる事件が重なり、タインミグ的に"早良親王の呪い"と呼ばれる事となる。平城京はその呪いを払拭する為に、平安京へと移転したのである。

GM:内密にされていますが、早良親王はジャーム化して平城京で今も暴れまわっております。あ、ちなみにこの在原業平、服装的に言って禁色です。
天城守:兄の所在を知り、平城京の秘密まで……そしてその禁色……在原業平――調べてもいいですか?
GM:いいですよ。<情報:裏社会、平安京、噂>で難易度3です。ついでに霞姫とかも振っちゃっていいよ。
天城守:3なら簡単です。(コロコロ)……成功。
霞姫:よっぽどの有名人ですね(コロコロ)……成功です。
※解説5 「在原業平(ありわらのなりひら)」
 絶世の美男子と言われる六歌仙の1人。かつては蔵人(天皇の側近に使えて機密文書の保管などを司る部署)の頭であった。880年に死亡している。ちなみに現在は安部晴明が生きている事から950年前後だと考えられる。
霞姫:70年前近くに死んでいる人ですね。
天城守:失礼とは心得て降りますが……あなた様はとうの昔に――。
霞姫:ここって晴明様のお屋敷ですよね? (コロコロ)……登場しました。
鼎:霞姫が登場するならオレもします(コロコロ)……。
彰重:ここは俺も出るか(コロコロ)……登場。
GM:では皆が登場する瞬間に在原業平は退場します――「私の事はこの際どうでも良い事……それより、平城京へと向かった晴明様が、ご無事であれば良いのですが……」――スゥっと消えていきます。
天城守:あ、お待ちを! それはどういう!!
GM:在原業平は退場しました。
霞姫:では奥の部屋まで入って来ましょう――失礼致します。晴明様はご在宅でございますか?
天城守:霞姫は検怪異使がいる陰陽殿に良く出入りしている姫ですから知っています――あなたは……霞姫? なぜこのような時分に? しかし残念です……兄は今さっき平城京へと向かいになりました。
霞姫:杏、晴明様はいないって。
鼎:久しぶりだな検怪異使。
天城守:貴様は鼎(かなめ)! ここで会ったが百――
鼎:おっと、今はやめよう。やり合う前に見届けたい事があってね。
彰重:俺も前へ出よう。ちなみに杏は師匠の仇であるとかの話は知っている感じ? 仇の片割れが目の前にいるけど。
GM:杏は天城守を見ても反応しないね。晴明の事は知っていても天城守の事までは知らないんじゃないかな。
彰重:じゃあ天城守を睨むだけに留めておこう。杏までは巻き込みたくない。
天城守:無言のプレッシャーを受けよう。ほとんどが私の敵だ(笑)
GM:「ねぇ、安倍晴明はもう遠くまで行っちゃったの? それとも追いつける?」
天城守:出発したのは今さっきだ。牛車で行っているであろうから走れば追いつけるだろう。行くなら一緒に行くか? 私も兄を追わねばならぬ。
霞姫:どうする?
GM:「もちろん! 追いかけたい!」

◆平城京へと向かう道(マスターシーン)

 これから平城京へと早良親王を静めに向かう途中。
  式神に守られた牛車の前に、1体の亡霊が立ちふさがる。
  亡霊は地面に手を付けると、式神と牛車の牛が首を残して地中へと引きずり込まれる。
  牛は悲痛な鳴き声を上げ絶命し、式神達はその姿を維持できなくなり次々に消滅した。
「やれやれ……誰かと思ったらあなたでしたか。お久しぶりですね影裏闇之丞」
  牛車の中から高位な服装をした陰陽師が現れる。そう稀代の陰陽師安倍晴明。
  晴明に向かって亡霊が言った。
――『ふん、わしは貴様に勝つ為に蘇った。そのためだけにな!』
「申し訳ありませんが、私はあなたの相手をする暇は無いのです。平城京まで行かねばならないので……」
――『昔のままのわしだと思うなよ!』

◆かの者の術

安倍天城守義久に先導され平安京より平城京へと向かう一行。その途中、天城守は晴明の目的を話す。
天城守:――と、言うわけで兄(けい)は出発したのです。
霞姫:なるほど。
GM:と、その辺りで全員<知覚>判定して下さい。難易度は7以上。
彰重:俺は18で成功です。
GM:道の向こうに散らばった式札と、首まで埋まって死んでいる牛の死体。壊されている牛車の木片が落ちています。
彰重:この術は!?
霞姫:なにこれ?
天城守:私もその術の跡を見れば気が付くな――間違い無い。この術は……。
鼎:ずいぶんな術だな。
彰重:陰陽の力を感じます! 具体的にはワーディング張られている場所を感知します。
GM:では少し離れたところからワーディングを感じます。陰陽の結界と言った方が感じでるかな?
彰重:杏! お前はここにいろ!――走り出します。
GM:杏はキミの手を掴みます――「なんで! 私は安倍晴明と勝負しに来たんだよ!」
彰重:うるさい!――≪斥力の槌≫≪ブレインシェイク≫≪魔王の腕≫≪魔王の理≫で壁までふっ飛ばします。ついでに目眩と転倒だ――お前は知らなくて良い。そこでじっとしてろ。
GM:「うう……」気絶します。
彰重:では退場します。
天城守:鼎、お前の事は信用できないが頼れるのがお前しかいない。霞姫を頼むぞ。私も彰重を追って行きます。退場です。
鼎:くッ勝手な奴等だ。これだから人間は――と呟こう。退場しない。
霞姫:わたくしは杏に駆け寄ります! 大丈夫!? 介抱しますよ。
鼎:オレはじっと見ているか、それぐらいしかできない。
GM:では突っ立っている鼎の横に、いつの間にやら絶世の美男子が立ってます――「あの少女に駆け寄りはしないのですね」
鼎:いつの間に!? とか思いながら――なんだお前は? さっき、晴明の家に一瞬だけいたな。
GM:「六歌仙が1人在原業平と言えば知っている人もおります」
鼎:すでに死んで70と余年……貴様、オレと同じく物の怪か。
GM:その問いには答えずに杏と霞姫の方へ向かいます。
霞姫:業平様?
GM:「この少女の事は心配なさらずとも良い。一時的に気を失っているだけです」

◆師と師、弟子と弟子

晴明が戦っているであろう場所へ、彰重と天城守は向かっていた。結界の気配はますます強く感じ、近づくにつれ確信が高まる。
天城守:走りながら聞いておこう――彰重殿、彼女をあのまま放っておいて良いのですかな?
彰重:霞姫が付いている何も心配はいらんさ。それに鼎の奴は物の怪だが、そういう心配は要らない。義理堅い奴だからな。
天城守:そうか……――そう言って走りながら、私は10年前を思い出すのです。
彰重:じゃあ俺も10年前を思い出す。そう、師匠が死んだ日の事を!
………………………………………………………………………………………………
GM:回想シーンです。
天城守:私は兄の元に向かって急いで都の小路を走っています。
彰重:俺も師匠の下に向かって走っています。俺は家々の屋根伝えに向かいます。
GM:と、先に戦っている場所に到着するのは天城守だね。そこでは晴明と闇之丞が互角の戦いを繰り広げている。
天城守:おお!?
GM:しかし、キミが来たのを晴明が確認すると、闇之丞に気がつかれないように晴明はチラっとキミに合図を送ります。
天城守:頼りにしてくれた? 顔を緊張させながらも九字を切ります。
GM:晴明が――「あなたの実力はその程度ですか? よくもまぁ大口が叩けたものです」――「それはこちらの台詞だ。稀代の陰陽師と騒がれおるが……」
天城守:今だ! と疾走して後ろから術符を!――ご覚悟!!
彰重:その瞬間にズザッと到着! 屋根の上からその現場を目撃!
GM:「うぐっ!?」――闇之丞は天城守の呪符に背中を焼かれ大きくよろめく、そのスキを逃さぬ晴明ではなかった……と回想シーン終了。
………………………………………………………………………………………………
天城守:回想シーンから続くように走りながら下のシーンに戻ろう。
GM:では現場に付きます。そこでは晴明が地面に倒れながら――「よもやこれほどとは……」
天城守:やられてる!?
GM:闇之丞の方は余裕綽々で――「晴明、お主も落ちぶれたものよ、これほど力の差ができてしまうとはのう?」
彰重:これが……心の内なる鬼に身を任せた者の力。あれほどの力があれば俺も……と、ちょっと誘惑にかられる俺(笑)
GM:では彰重だけ衝動判定して下さい。難易度は7でいいです。
彰重:俺だけ!? 余計な事を言わなければよかったな(コロコロ)……うお、失敗した!?
GM:では衝動のままに動こうとする彰重に、闇之丞はチラっと合図を送ります。
天城守:それは10年前の!
彰重:ニヤリ……と師の意図を理解して移動します。
GM:「晴明、お主の実力がその程度だったとはな……今まで良く大口が叩けたものだ。おや、これはお主の台詞だったかな?」
彰重:そして晴明が師の台詞に反応したスキを付いて俺が殴りかかる! 黒い拳で晴明の頭を打ち砕く!!――エフェクトは使いません、演出って事で。
天城守:させはせぬ! 空間を割って兄と私の一が入れ替わる! そのまま彰重の拳で吹っ飛ばされる私!――そして≪リザレクト≫!
GM:「ちっ邪魔立てを……」
天城守:影裏闇之丞……いくら兄を恨んでいようとも、鬼へ堕ちたそなたを許すわけにはいかん。
GM:「雑魚が」――≪絶対の空間≫≪大地の加護≫≪大地の牙≫≪完全なる世界≫≪早九字≫(コロコロ)……34命中の44ダメージ! 地から生えた牙に貫かれます!
天城守:紙一重でその場にそのまま立っている。という演出で実は≪リザレクト≫
GM:「ほう、この術を防ぐか?」
天城守:これでも10年、兄に追いつき追い越す事を思い修行を続けてきた。舐めないで頂こう。
GM:と、晴明が言います――「そういう事ですよ闇之丞。すでに弟の力は私のそれを大きく上回っている」
天城守:え?
GM:「気が付いていなかったのですか義久、キミはずっと前から私よりも強くなっていたのですよ?」
天城守:私が……。
GM:「自信を持ちなさい義久。あなたは都一の陰陽師を誰より間近で見てきたのです。そしていまや、あなたこそ都一の陰陽師なのですから」
彰重:じゃあ俺はグイっと師匠を押しのけよう――どけ、師匠。
GM:「彰重?」
彰重:こいつとやるのは俺だ――衝動判定にも失敗したしな。
天城守:彰重殿……そなたの師を殺した罪は後で受けよう。されど今は、そなたの師ではなく1人の蘇りし悪鬼……影裏闇之丞を倒さねばならぬ。すまんがそなたの相手をしている暇はない。
彰重:……それで? 言いたいことはそれだけか。
天城守:………………。
彰重:貴様は師だけでは飽き足らず、大切な家族である姉までも俺から奪おうと言う……許すわけにはいかんな。
鼎:あきらかに心の内なる鬼に囚われてるな。
天城守:よかろう。その心の鬼より私が引き離してくれよう。
彰重:戯言を(コロコロ)……命中12で殴る!
天城守:(コロコロ)……回避13! それと交差するように≪光の弓≫≪主の恩恵≫≪ピンポイントレーザー≫≪早九字≫(コロコロ)……命中28!
彰重:ダメージはいらない、それだけで吹っ飛んで≪リザレクト≫!!
天城守:目が覚めたか?
彰重:う、うう……俺は……。
天城守:人が人の身でありながら鬼に落つらば、心は闇に染まり弱き心に邪が忍び込む。
彰重:俺は……自分の欲に囚われていたのか?
天城守:気をしっかり持つのだ彰重殿、そなたは自分の師であった者が、これ以上、罪を重ねるのを黙ってみているつもりか!
彰重:それは――
天城守:そなたの師がこれ以上罪を重ねれば、人々は後世にこう伝えるだろう――『偉大なる声聞師』……では無く――『都を震撼させた悪鬼……影裏闇之丞』――とな。
彰重:しかし……俺にとって師匠は……。
天城守:鬼となった魂をまた救うも情けと知れ。
彰重:……俺は間違っていたんだな……ここで途中で取った師匠のロイスをタイタスに落とします――師匠、俺はもう心の内なる鬼には負けない。あんたみたいには決してならない!
GM:「……わしも愚かな弟子を持ったものだ」
彰重:俺は師匠と違う道を行く。それだけだ。
GM:「………………」
天城守:では観念してもらおうか――札を構えます。
GM:「ふん、鬼憑かれし彰重を正気に戻した手前……確かに晴明が言うように都一の陰陽師は主のようだな。晴明に勝ったとはいえ、今の主にわしは勝つ術を持たない」
天城守:ならば無駄なあがきはやめ、おとなしく冥府へと帰るがいい。
GM:「そうはいかん。このような時のための切り札……その為にアレを呼び寄せて置いたのだからな」
天城守:アレ?
GM:「ふふふふふふ……晴明が弟子"安倍天城守義久"。最後に笑うのはこのわしだ……ふっふっふっふっふ」――と消えていきます。退場です。
天城守:逃げた?
彰重:そんなはずはない……。
天城守:それより、奴の言った"アレ"とは何だ?
彰重:切り札……呼び寄せた……まさか!? と言った所でシーンを切りましょう。

■クライマックス・フェイズ■

◆都一の陰陽師の為に

一方、在原業平はいち早く違和感を感じて声を上げた。
GM:在原業平(ありわらのなりひら)が言います――「まずい、急いでここから離れるのです!」
霞姫:業平様?
鼎:どうした?
GM:「内なる鬼……というのをご存知かな?」――<情報:検怪異使、裏社会>で難易度3です。
霞姫:(コロコロ)……成功です。知ってます。
GM:それは陰陽師や声聞師が抱える心の中の鬼です。鬼の誘惑に負けると体を乗っ取られ本能のままに行動する物の怪と化します。
霞姫:わたくしはそれを知っています。陰陽殿に出入りしていた時、他の陰陽師の方から注意するよう聞きました。
鼎:おい、それがどうかしたのか!?
GM:「それが……くっ、もう間に合わないか!?」――という業平の声と共に、巨大なワーディングが発生!
霞姫:杏(あんず)に駆け寄ります! 杏は気絶しているから連れて行かないと!
GM:ワーディングの発生源は杏です。触ろうとすると弾かれます。
霞姫:きゃあああっ!!!
鼎:抱きとめよう――大丈夫か?
霞姫:う、うん……それより杏が。もう一度近寄ります。
GM:では近寄った霞姫は衝動判定して下さい。杏から発せられる"気"に当てられます。難易度は10です。
霞姫:(コロコロ)……(コロコロ)……余裕で成功です――業平様、これはどういう……。
GM:と、すでに在原業平の姿はありません。
霞姫:業平様!?
GM:杏はゆらりと立ち上がると、体中からうっすらと陽炎を立たせながら、焦点の定まらぬ瞳で――「都一番の……お父様の変わりに……都一番の……」と繰り返しています。
霞姫:杏! ねぇ杏、どうしちゃったの!?
鼎:いったい……何がどうなっているんだ!?
霞姫:杏! ねぇ返事してよ! あなたは都一番の陰陽師になるんでしょ? あなたは強いんでしょ!?
GM:と、杏の方を見ていた2人の後ろから――「その女は弱い子さ、親にすがって生きるしかない……本当に弱い子さ」
鼎:誰だ! 振り返るぞ!
霞姫:顔だけ振り向きます。
GM:そこにはボウっと1人の男が立っています。その顔はどことなく杏に似ている――いや、杏に男の面影がある――そう言った方が正しい。
霞姫:杏の言っていたお父さん?
鼎:だが、杏は父親はすでに他界したと――
GM:「その通り、わしは10年前に安倍晴明とその弟子義久によって殺された。しかし、その恨み辛みが積み重なり、こうやって蘇ったのだ」
鼎:その亡霊が杏に何の用だ?
GM:「その子はわし以上の才覚を秘めておる。それをわしの者とするのだ」
霞姫:何を……言っているの?
GM:「その為に呼び寄せた! 唯一の心の支えであった母親を呪い殺し、わし自身が夢枕に立ち、都にやってくるようにな」
霞姫:そんな……杏のお母さんを……。
鼎:帰る居場所を無くし、生きる目標を与えた……都一番の陰陽師……という、な。この外道が!
GM:「杏よ聞くがいい! 都一の陰陽師の名を教えよう! その名は、安倍晴明が弟であり弟子――安倍天城守義久なり!!」
鼎:あいつが!?
GM:「今は晴明より奴の方が腕は上だ。このままのわしでは勝てぬ……だから杏の体が必要なのだ」――スゥゥっと闇之丞が杏に近づいてきます。
霞姫:駄目!!――立ちふさがります。ルール的にはカヴァーリングです。
GM:すり抜けます。こっちは≪生霊≫なのでな!
霞姫:あ、ずるいそれ!
GM:そして闇之丞が杏に重なります。『憑依!!!』
霞姫:杏!!!
GM:杏のうつろだった瞳が正気を取り戻して来ます――『わしの知識と技、杏の才覚と肉体……これだけ揃えば都一の……都一の陰陽師になれる!……わしの夢が叶うのだ!!』
霞姫:あ……杏……。
鼎:霞姫……あきらめろ、あれはすでに霞姫じゃない。
霞姫:じゃあ……もう杏は……内なる鬼に見も心お……。
鼎:あれは鬼ではない、かと言って人でも物の怪でもない。あれは……ただの亡霊だ。
霞姫:なんで……そんな事が?
鼎:生まれが物の怪のオレには解る。
霞姫:でも……亡霊って――
鼎:過去に囚われ、現に迷い出た愚か者だ。人でも物の怪でもない亡霊は、あの世に返すしか道は無い。
霞姫:そんな……。
GM:『ふん、わしが人でも物の怪でもないだと? 鬼も物の怪も人間もすべては同じよ! その根底に流れるは妬み・嫉み・恨み……どす黒い悪意の塊だ! そうは思わんか彰重?』
彰重:(コロコロ)……登場!――杏!!!
天城守:私も登場(コロコロ)……――いったい何が起こったんだ!?
霞姫:彰重様! 杏が……杏が……。
彰重:くっ! 師匠! あんたは俺だけではなく、実の娘まで利用しようというのか!!
GM:『何が悪い? すべては都一番の陰陽師になるが為、安倍天城守義久! 貴様を倒すためだ!』――と、同時に衝撃波が杏中心に飛んでクレーターを作ります。
天城守:ぐ…。
GM:『力だ……力が沸いてくる! くっくっくっ……さぁ戦おうか? 皆まとめてかかってくるが良い!!』

◆陰陽大戦

GM:では戦闘に入ります! エンゲージ的には霞姫だけが杏に接敵、残り3人は離れているって状態だね。最初のイニシアは?
彰重:俺だ! 杏に接敵して――心の鬼に惑わされるな! 心を強く持て杏!!――移動で終了。
GM:バシッ! とキミの手を払います――『彰重、すでに杏はわしの者よ。お主の声も届きはせぬ』
彰重:くそっ!
GM:ではこっちです――『平安京・影裏杏の術……くらうが良い!!!』≪ペトリファイ≫≪氷の戒め≫≪氷の加護≫≪氷の塔≫≪静かなる霧≫≪ブリザードブレス≫≪絶対の空間≫≪大地の加護≫≪完全なる世界≫≪早九字≫――対象は霞姫と彰重だ!
彰重:これは……跳べ姫様!!
GM:ダイス25個でクリティカルは7!(コロコロ)……26で技能が10LVだから命中36!
彰重:低いなさすがGM(笑)
霞姫:きっと杏が内なる抵抗を!?
GM:ちなみに対象は回避にマイナス3Dだ。
彰重:まずい(コロコロ)……回避失敗だ。
霞姫:それは自然と体が動きます。彰重様をカヴァーリングします。
彰重:姫様!?
霞姫:杏…やめて……こんなの悲しいよ……≪リザレクト≫します。
GM:「ふむ、いきなり本調子とはいかぬようだな……」
天城守:くっ……憑依しているのか……どうすればいい?
GM:ルール的には杏は闇之丞の≪ナーブジャック≫で操られている状態です。闇之丞を攻撃しても常に杏がカヴァーリングします。
彰重:≪ナーブジャック≫ならエフェクト使えないんじゃ?
GM:都一の陰陽師になる為という統一意識、また心の内なる鬼に支配されて衝動状態である。という特殊な状況下という事でエフェクトも使います。まぁゴールデンルールだと思ってください(笑)
天城守:了解。しかし≪ナーブジャック≫なら杏を昏倒させれば問題ないんだな。
GM:まぁそうですね。
鼎:昏倒か……難しい事を言ってくれる。
天城守:だが、できない事じゃない。
GM:そして天城守の番だ。
天城守:≪絶対の空間≫≪光の弓≫≪黒き明かり≫≪早九字≫(コロコロ)……――心惑わす闇を切り裂け! 八咫(やた)!!! 式札が八咫烏(やたがらす)へと変化して飛んでいく! 命中は25! ダメージは14点!
GM:『ふん……下らん』――印を組み≪呪詛返し≫! 八咫烏が方向を変えて戻ってきます。
天城守:そう来ると思っていた!――すばやく印を組み直して(コロコロ)……≪呪詛返し≫!!!
鼎:陰陽合戦だ!!
GM:では両方ダメージか――『ちっ……さすがは晴明に認められただけはある……か』
天城守:そちらこそ……兄が苦戦するわけだ――膝立ちになって額から血が流れる≪リザレクト≫!
GM:次は鼎。
鼎:≪餓鬼魂の使い≫≪伸縮腕≫≪貪欲なる拳≫≪マルチアタック≫! 妖怪の集合魂がまとわりつく感じで!――大陸妖怪の力! 受けてみよ!(コロコロ)……命中14!
GM:杏がカヴァーしますから命中です。
鼎:ダメージは19点です。
GM:『所詮は物の怪……頭の中は空っぽだな……"調伏"!!!!』――(コロコロ)……≪呪詛返し≫!!
鼎:跳ね返ってきた!? ぐあぁぁああ!! ≪リザレクト≫だ――ぐはッ……つ、強い。
GM:次は2ndアクションだが……PCは誰も持ってなかったはず、こっちはやります。≪ふたつめの牙≫を組み合わせて"平安京・影裏杏の術"を≪要の陣形≫で対象全員!(コロコロ)……44命中!
天城守:(コロコロ)……駄目だ。
彰重:無理。
鼎:当たった。
霞姫:45で回避! 霞みになって避けました。
GM:『1人外したか』(コロコロ)……ダメージは54点! ビジュアルは足元の土が膨れ上がり大地へと対象を飲み込む! 首だけは地上に残るけどな。
彰重:昏倒。埋まった。
鼎:ぎゃああああ!……カクッ……と埋まったまま昏倒だ。
天城守:土に囲まれながらも印を切り(コロコロ)……≪呪詛返し≫!!!
GM:『まだ≪呪詛返し≫が使えたか!?』――杏(闇之丞)の体も土くれに埋まっていきます。
天城守:せめて……相打ちに……ガクッ! と私もさすがに昏倒だ。
霞姫:みんな……。残ったわたくしは杏の方に近寄って――
GM:と、闇之丞の声が聞こえます――「さすがは晴明が都一と認める男。しかし……まだまだ経験不足よ」――ボウン! と埋まっていた杏の体が式札に戻ります。≪形代≫でダメージを無効化。
霞姫:そんな……。
GM:『どうやら、残ったのはわしとお主だけのようだな……朝露の君』
霞姫:杏を……杏を返して下さい!
GM:『それはできない相談だ。こやつはこのまま最強の陰陽師としてわしの体になってもらう』
霞姫:そんな事許しません!
GM:『許さない? ではどうするというのだ? お主と一緒にいた物の怪は倒れ、都一の陰陽師もわしの術の前に敗れた』
霞姫:悔しいけど確かにわたくしだけじゃ勝てないです。唇を噛みましょう。
彰重:俺が残ってるぜ師匠……次のターンの頭でタイタスを昇華! 埋まっていた土を吹っ飛ばして――最強の陰陽師は俺だ! まだ、俺が残っている!!
GM:『彰重……鬼の力も使わず、このわしに勝てると思っているのか?』
彰重:ああ、思うね。マイナーで≪ダークマター≫を使用! 黒い式符が式神に変化する! さらに使えるエフェクト全部使って(コロコロ)……20命中!?
GM:杏がカヴァーリングするので命中はします。
彰重:師匠、引導は俺が渡してやる! (コロコロ)……ダメージは62点!!! 黒い式神を握ったまま杏に拳をぶち込む! そのまま黒い波動が師匠ごと貫く!!!
GM:62!? それは――『な……彰…重…………』
彰重:杏、師匠、2人の夢は俺が引き継ぐ! 2人はもう、ゆっくり休んでくれ!
GM:杏(闇之丞)は壊れた口調で言います――『最強の……都一の……陰陽……に――』
彰重:なってやるさ! この俺がな!!
霞姫:彰重様……。
彰重:正直、最強の称号なんてどうでもよかった。陰陽殿を追い出されても別段悔しいなんて思った事はなかった……だが――
天城守:師の想いを継ぐ……か。――闇之丞が倒れるなら地中に引き込まれる術の効果も切れるだろう。闇之丞のタイタス昇華で復活。演出的には術の効果が切れて助かった――という感じで。
鼎:じゃあオレも同じ演出で復活。
彰重:師の想い……か。ああ、それがせめてもの……俺が尊敬する師匠への手向けさ。
GM:『く……そんな……わしは……わし……わ……』――闇之丞の声が聞こえなくなり、そのまま杏は倒れます。
彰重:心の鬼の力を使っても、その程度の力しか発揮できなかった……師匠、それは最後の講義と覚えておくよ。
天城守:それは違う。鬼の誘惑に負けたからこそ、その程度の力だったのだ。人は変わっていける……限界を超えてな……。鬼に頼らずとも努力を惜しまなければ、人はいかようにもなれるのだ。
彰重:………………ああ。違いない。

◆歌

GM:戦いは終ります。闇之丞の邪悪な気配は消えました。すくなくとも今はね。
鼎:杏! おい、大丈夫か!? 近くにいるだろうし起こすか。
GM:「うう……ごめん」
鼎:何を謝る必要がある。
GM:「皆に……痛いを想いをさせちゃったかた……」
鼎:気にするな。
霞姫:そうだよ杏、みんな生きてる。杏が気にする事ないよ。
GM:「でも……お父さんの話、ずっと聞いていたんだ……それに、お父さんはまだ消えてない……ここにいる」――と、杏は自分の胸に手を置きます。
鼎:杏……と、肩に手を置きます。
GM:では置いた手が燃えるように熱い!
鼎:!?――離します。
GM:さらに触った所からサラサラと崩れていきます。舞い散る桜の花びらのように。
彰重:杏! どうするつもりだ!?
GM:「お父さんもお母さんも死んじゃったし……私もこの鬼を連れて逝くね。これ以上、みんなに迷惑かけられないし」
彰重:馬鹿! そんな事してどうなる! 俺も近くへ――
GM:寄ると蒸発しそうなぐらい熱いです。彰重の肌がプスプス言います。
彰重:無理にでも突っ込むぞ! こいつまで犠牲になる必要なんてないんだ!
鼎:やめろ! それ以上近づけば!?
彰重:関係ない!!
天城守:トスッ……と背中に式札を張ります。彰重殿を金縛りにします≪縛鎖≫(コロコロ)……成功。
彰重:ぐ……き、貴様!?
天城守:………………。何も言いません。
GM:「ごめんね鼎、偶然会っただけなのに……こんな事に巻き込んで……」
鼎:く、くそ……熱さにジリジリ下がります。
GM:「彰重さん、久しぶりにあったのに辛い思い出になっちゃったね……ごめんなさい」
彰重:杏! う、動け俺の体!!
GM:「そして霞……せっかく友達になったのに――
霞姫:と、わたくしはすでに杏の熱結界の中まで入っています。
天城守:なに!?
霞姫:そして一歩一歩杏に近づきます。
彰重:姫様!!
鼎:燃えるぞ!?
霞姫:大丈夫。わたくしは≪不燃体≫ですから。
一同:『おおっ!?』
霞姫:そのまま抱きしめます。
GM:「霞……」
霞姫:友達に……なったばかりじゃないですか。いなくなるなんて悲しい事……言わないで下さい……。
GM:「でも……でも私は……また心の鬼に負けるかもしれない……お父さんの声に耳を傾けてしまうかも……」
霞姫:うん。今までの杏ならそうかもしれない……でも、これからは違う。きっと変わっていけます。
GM:「私は……」
鼎:人は反省して学び、そして成長する。人間は変われるんだ。生まれた時から変わらぬ、物の怪たるオレには解る。
GM:「鼎……」
彰重:安心しろ杏。俺だって変われたんだ、鬼の誘惑にも勝てるようになる!
天城守:ああ、己を信じよ。そしてなにより……周りを見るのだ。
GM:「え?」
霞姫:あなたは一人じゃない……わたくしと、友達になってくれたんでしょう?
GM:「うん……う゛ん゛……」杏は涙を流して泣き出します。熱が消え結晶化も止まります――「私は……霞の友達だよ……」――そこで倒れます。
霞姫:杏!?
彰重:生きてるか確かめるぞ!
GM:まだ息はあります。まだ間に合いますね。
彰重:まだ間に合う!!!
天城守:急ぎ陰陽殿へ連れて行くぞ!
霞姫:晴明様の方が近くにいるのでは?
彰重:どっちでもいいだろう! 早く行くぞ!
鼎:いや、ここはアイツを呼ぼう。最後なんだ助けてくれ! いるんだろう在原業平!!!
GM:ぬ。エンディングで出ようかとも思っていたが……いいだろう。
――「世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし」――
(世の中に全く桜がなかったとしたら、花を気づかう必要もなく、春は平和に過ぎていったのだろう)
GM:業平が突如現れます。ツカツカと杏へ近寄っていくと傍に屈んで手をかざすと、杏の顔から死相が消えます。
霞姫:助かっ…た?
天城守:ああ、もう大丈夫だ。
彰重:内心胸を撫で下ろすぞ。
GM:業平はすくッと立ち上がると宵闇にかかる月を見てから、視線をキミ達に落として
――「なぜ、人は生き続けるのでしょうか?」
一同:???
GM:「私の問い掛けに……答えてもらえますか?」
霞姫:………………。
彰重:………………。
天城守:………………。
鼎:ふん決まっているだろう。自らの内にある鬼に、魂を喰われない為にだ……もっとも、人間達は自然にやってるその行為を理解してはいないようだがな。
GM:「なるほど……それもまた真実」

■エンディング・フェイズ■

◆姫と声聞師の少女

春もそろそろ終ろうとしていた。
私は月にかかった桜の枝から、花びらが舞い散るのをゆっくりと見つめていた。
普通の姫なら、夜に見るこの美しい風景を知らずに過ごすのだろう。
そして今夜は1人ではなかった。
GM:ではエンディングです。まずは霞姫。
霞姫:夜中にガサガサと庭を通って杏がやってきてくれるのです。
GM:了解です。杏がやってきました。ちなみに闇之丞は杏が心を強く持ち出したので表には早々出て来れなくなりました。ルールデータ的な話をすると。杏の衝動が"闇之丞"になった感じです。
天城守:つまり衝動判定に失敗すると乗っ取られるのか。
GM:そんな感じです。
霞姫:ではやってきた杏に――いつも言ってるでしょ? 表から堂々と入ってきてもいいのですから。
GM:「う〜ん、でもやっぱり、私って"もぐり"の声聞師を続けてるしさ、あんまり堂々とするのも……ね」
霞姫:(なら検怪異使になればいいのに)……という言葉を飲み込みます。どんな親でも、闇之丞は検怪異使や正規の陰陽師に殺された事に変わりないですし。
GM:「それより調子はどう? 陰陽術を本格的に覚えるんでしょ?」
霞姫:そうなの?……じゃあそういう事で――時々は晴明様の所へ行って教えてもらっているけど、難しいです。まだ九字が上手く切れなくって。
GM:「あはは、そんなのすぐに上達するよ。私が保証する」
霞姫:と、そんな会話の後、杏と縁側に並んで夜桜を眺めます――綺麗ですね。
GM:「うん……それに美味しい」――と霞の煎れたお茶を飲みつつ。
霞姫:ゆっくりと時間が流れて行く中、わたくしは心の中で思うのです――(いつか……わたくしの陰陽術で、あなたの中に居座る闇之丞を退治してあげますからね)
GM:「ん? なに、どうしたの?」
霞姫:ううん、なんでもありません……桜の花、綺麗ですね。

◆平安京が陰陽師

舞い散る花びらはすでに少ない時期に入っていた。
だが、そんな事は関係ない。
私の兄である安倍晴明は気分屋で、その日も急に花見をしようと言い出した。
天城守:私は今年最後の花見に突如付き合わされています。
GM:では式神に杯を注がせて晴明は酒を飲んでいます。
天城守:私も飲んでから……ふと……と言った感じで聞きます――陰陽道を極めんとするがゆえ、身も心も鬼と化す……兄にもそんな時期があったのでしょうか?
GM:「ふ……それはこの道に入った者なら常」
天城守:兄も!? 私からはとてもそうは見えませんが……。
GM:「ふふ、見えるものが全てではない……この都も、この私さえもな」――グイッと杯を飲み干します。
天城守:そう……ですか。
GM:「義久」
天城守:はい。
GM:「もし、私が鬼と化したら……どうする?」――からかうような口調で、それでいてキミを見る瞳は真剣だ。
天城守:即答しますよ――その時は、調伏致します。
GM:「………………」
天城守:答えたまま見つめます。
GM:「……ふっ……はっはっはっはっはっ! それでよい! それでこそ都一の陰陽師よ!」
天城守:いえ、まだまだ兄には叶いません……ところで兄、実は私事で申し訳ないのですが……私の祝言について――

◆別れの勺

大江山周辺のとある山腹、張り出した岩場で酒瓶を並べて2人の妖怪が杯を交わしていた。
大陸妖怪……鼎(かなめ)
そしてその親友である鬼……酒呑童子が。
鼎:親友の酒呑童子に都で巻き込まれた事件の話をして、酒の肴にします。
GM:では酒呑童子が――「か―――っかかか、余興としては十分ではないか」
鼎:余興なんかでない。巻き込まれたオレの身にもなってみろ――とちょっと不機嫌そうに酒を呷ります。
GM:「まぁそう怒るな……それで、いったい何用でここに来た? ただ呑みに来たというだけでも、わしはいっこうに構わんがな! かっかっかっ!」
鼎:ああ……実はな、お前に別れを告げに来た。
GM:「ほう?」
鼎:都は人が多すぎる。オレはもっと静かに暮らしたい。
GM:「まぁ、お前が決めた事だ。とやかく言わんよ」
鼎:悪いな。寂しくなったら戻ってくるさ。
GM:「ならお前はすぐに寂しくなる。この都ほど、騒がしい場所は無いからな」
鼎:……かもしれん。
GM:「山の空も、何一つ変わらぬと言うのに、人間ばかりが変わっていく……だからこそ都は面白い」
鼎:ああ……そうだな。――オレは杯に写った満月を飲み干し、酒呑童子に別れを告げます。

◆夢を引き継ぐ者

高尚な雅楽が響く中、血を分けた姉の祝言が行われた。
婿の後ろ立てに安倍晴明がいるだけあって、その祝言は公家に負けぬ程の豪華さだ。
だが、そんな内装より、参列者の誰よりも……姉は綺麗だった。
彰重:祝言の席を遠くから眺めて俺は呟く――姉さん、幸せになってくれ。そして俺は踵を帰します。
GM:都を出るのかい?
彰重:いえ、一時的に姿をくらますだけです。祝言のドタバタが終って一週間ぐらいが経つ頃、突然天城守を呼び出して言います――久しぶりだな。
天城守:時刻は夜、少し曇りがかった空には満月が浮かんでいる――そろそろ来る頃かと思っていた。
彰重:風が都の家々を鳴らします。通りに出てるのは俺と天城守の2人だけ――姉さんは元気か?
天城守:健やかに。
彰重:前にお前、俺に言ったな……"師を殺した罰はあとで受ける"――と。
天城守:ああ、二言は無い。
彰重:なら……姉さんを幸せにしろ。それがお前が受ける罰の代わりだ。
天城守:わかった。心して受けよう。
彰重:2人の間には10メートルほどの距離が離れていて、ともて家族の会話では無いのです。
天城守:月が一度雲に隠れ朧月夜と化す。
彰重:宣言する――だが、1つだけ言っておく事がある――月が再び現れたとき、俺の傍らには黒い式札が変化した式神が浮遊する!――最強は手前ぇじゃねえええ!!!!!


ダブル+クロス The 2nd Edition
『死の領域〜平安京〜』 了


■アフター・プレイ■

GM:さてステージ平安京をやってみたどうでしたか?
天城守:言葉使いがめちゃくちゃ大変だった!(笑)
鼎:ああ、そんな感じ。
彰重:まぁ俺と鼎は大して気にしなかったけどな(笑)
霞姫:私は凄い辛かったよ? 疲れる疲れる!
GM:まぁ古い言葉使いには慣れもあるしね(笑)
天城守:私は時々、大河ドラマを思い出しつつしゃべってました。
彰重:大変だったんだなぁ俺は簡単だったけど。
鼎:話す対象にもよりますね。
GM:確かに……闇之丞とか杏とかは楽だった。普通にNPCなしゃべりだし。
天城守:ああ、そこと話すのは楽だった。
霞姫:問題はあいつ……。
GM:同じく……在原業平は大変だった。
霞姫:姫口調に戻さないといけないし……(笑)
彰重:とはいえ、この世界観が好きって人もいるんじゃないですか?
天城守:言葉使いはアレだが、個人的には好きな方だ。
鼎:同じく。
GM:結局、ステージの違いはPLの好みって所かな。
天城守:シナリオのネタによっては……ってのもあるかもしれませんけどね(笑)
鼎:ああ、ネタね。
霞姫:途中まで気が付きませんでした。
彰重:ハンドアウトはモロだったけどな。
GM:まぁそれはそれ、とりあえず平安京物怪録のリプレイ、皆さんお疲れ様でした!!!
※解説6 「平安京エイリアン」
 かつてTVゲームで発売されたゲーム。検非違使になって平安京に攻めてきたエイリアンを埋めて倒すというゲームである。決して検非違使の方を埋めるゲームでは無い。ただ、GMの相原がこのネタを知ったのは、某GS●神という漫画であり、ネタはそこから拝借している。

TOPリプレイ ⇒ ダブルクロス2nd                        戻る