TOPリプレイ ⇒ ダブルクロス3rd・AR                     戻る

ダブル+クロス The 3rd Edition ――曰く、一度プレイしたら二度とログアウトできなくなる。
――曰く、ゲーム内での死は、現実世界の死を意味する。
――曰く、トゥルーエンドを見た者はどんな願いも叶うと言う。
――それは、世界でもっと魅力的な……呪われしゲーム。

ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・AR

伝説のゲーム


相原 あきと/百年の虚読

はじめに

『ダブルクロスThe 3rd Edition』の発表より友人と共に企画していたキャンペーンネタがある。
それは2ndで発売されたサプリメント『アルターライン』に掲載されたステージを元にするものだった。
そして2011年3月17日、待ちに待った3rd Edition版ステージ集『ディスカラードレルム』が発売。

私と友人は期待に胸膨らませページをめくった。
そこには学生をメインで遊べるステージが、閉じた世界から脱出するステージが、かつてキャンペーンでも
遊んだ封鎖都市が、内戦の続く戦場が、価値観の逆転した世界が存在した。

そして……私と友人の待ち望んだ世界は、そこには掲載されていなかった。

(もちろん、そのステージ集の前書きには「2ndの頃に掲載されており、今回は載せられなかったステージも、必ず何かの形で皆さまの前に」と約束して下さっている)。

しかし、だ。
私と友人は長く待っていた。
3rd Editionが発売された2009年7月25日から、ずっとずっと待っていたのだ。
故に私達は、このキャンペーンを行うことにした。

伝説のMMORPGダブルクロス、そのゲーム世界と現実世界をリンクさせたキャンペーンを。

■PREPLAY

◆Preplay 01◆プレイヤー総数は8人

「はじめに」で書いた決心より約一カ月後、プレイヤー集めとスケジュール調整を行い、ついにリプレイ収録当日である。集合場所である図書館の会議室で待つこと数分、部屋にはGMを務める私を含め、8人の人間が集まっていた。
(注:今回プレイヤーが多い為、プレイヤー名をキャラクター作成後のキャラクター名で表記しています)
衣織先生:それでは全員集まりましたね。
ヒカル:GM入れたら8人って、今回多過ぎじゃないッスか?
重雄:まぁ、実はギミック的にそれぐらいいないとって話だしねぇ。
ひより:重雄先輩は何か知っているのですか?
重雄:ああ、まぁプロローグ編のGMの衣織先生と、このキャンペーンのネタを考えていたのが僕だしねぇ……。
衣織先生:あのサプリが発売されて、あのステージが載ってないと解った時には愕然としたもんさね(笑)
重雄:まったくですよ(笑)
建:先生ー! データ作って良いかー?
衣織先生:早いって!
建:じゃあサプリはどこまで使って良い?
恒輝:あ、この前ステージ集の『ディスカラードレルム』まで発売されてたけど、もしかしてそれに載っていたステージですか?
建:なら追加データが!
流子:建、あんたうるさい、ちょっと黙ってなさいよ。
建:お、おおう(笑)
衣織先生:ありがとう流子ちゃん、今回のステージは普通の現代物の東京近郊の街を舞台としています。だからデータ的な意味ではサプリ『インフィニティコード』までOK。
ヒカル:衣織姉ぇ! 提案があるんだけど!
衣織先生:はい、ヒカるん!
ヒカル:街の名前を「生浄院市(せいじょういんし)」にしよう!
恒輝:それって何か意味あるのか?
ヒカル:別に生浄院じゃなくっても生薬市でも生嶺市でも何でも良いけど。
衣織先生:えっと……だから、それってなんか意味あるの?
ヒカル:ほら、どうせ俺たちって高校生になるんだろ? 俺、『なま学』に登校したい(笑)
恒輝:なま学ってお前……。
その後、いろいろな意見が飛び交いつつも……PC達の住む街は生浄院市、学校は初等部から大学まで一貫の生浄院学園という事になった。
ヒカル:よっしゃ!(笑)
重雄:絶対、他校からはなま学って呼ばれるよね。自分達はセイ学って言いそうだけど。
流子:中学だとナマ中とか?
建:高校だとナマ高?
ひより:ひどいネーミングです(笑)
GM:まぁ、良いの思い付かなかったのは全員の責任ってことで、それで行きましょう。

◆Preplay 02◆グランドトレーラー

舞台となる街も決まり(?)、プレイ前にちょっとだけ盛り上がる8人。
そしていよいよセッションの開始である。
衣織先生:(以降GM)じゃあ、今回のシナリオのトレーラーを読み上げるね〜。
●トレーラー

(画面に文字のモノローグが流れるイメージで)

MMORPGダブルクロス、そのαテスト版として配布されたゲームには、
怪しげな噂が絶えなかった……

「知ってるか? あのゲーム、トゥルーエンドを見ると願い事が叶うんだってさ」

「聞いた? 聞いた? あのα版、ゲームの世界から帰って来れなくなった人がいるらしいよ?」

アンダーグランドを騒がす一時的な都市伝説であり、ほとんどの人間がただの噂だと一笑に伏した、
しかし……

(プツンと画面が切れブラックアウトする)

『ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・AR』
「伝説のゲーム」

ダブルクロス――それは、裏切りを意味する言葉
GM:というわけで――今回はMMORPGダブルクロスαテスト版というゲームの世界と、リアルである現実世界、2卓に別れたリンクキャンペーンに参加してもらいます!
建:ゲームの世界か!
ひより:確か2ndの頃にあったステージですね。
GM:そうだよ〜、ただまったく同じじゃなくって、今回使うのは2ndの『アルターライン』に載ってたMMORPGゲームダブルクロスの……αテスト版です。
ヒカル:αテスト? βテスト版なら解りますが。
GM:αテスト版は、βテストで一般にテストプレイヤーを募集する前の試験版だね。基本的には非公開で配布はされないんだけど……なぜかこのゲームに限っては無料で配布され、今でも運営が続いているっていう設定。
流子:もちろん、何か曰くつき?
GM:もっちろん!(笑)
恒輝:それがトレーラーで言ってたやつですね。
建:『アルターライン』に載ってるMMORPGダブルクロスは「プレイしたら現実世界に戻ってこれない」「ゲーム中に死んだら現実世界でも死ぬ」っていう2つの噂があったかな。
GM:そう、今回のαテスト版はさらに3つ目の噂があってねー……それが「トルゥーエンドを見たら何でも願いが叶う」っていう噂。だから何かしら願いを持っていた方が、キャンペーンのモチベーションにもなるかなぁって思ってて欲しいんだ。
流子:それは良い! 私のやりたかった設定とも合うし♪
GM:さて、ゲームの事はわかってくれたと思うけど、実はさっき2卓に別れたリンクキャンペーンって言ったように、今日のプロローグは全員一緒だけど、次からは「ゲーム世界の卓」と「現実世界の卓」の2卓に別れて貰うよ〜? GMは私(衣織先生)と、重ちゃん(重雄)が担当するから。
鳳飛鳥:それでGMもキャラクター(衣織先生)を持ってるわけか。
GM:そゆこと〜。
重雄:衣織先生、それとシャッフルについても説明しておかないと。
ヒカル:シャッフル?
GM:おっと、そうかそうか、シャッフルっていうのはゲーム卓と現実卓で、PCが移動する可能性があるって事ね。ゲームの世界から現実世界に戻ってこれた場合は現実卓へ、逆に現実の世界からゲーム世界にログインした場合はゲーム卓へ、お互いのPCが移動(シャッフル)される可能性、それが今回のギミックです!
恒輝:えっと……つまり、キャラクターのデータを役割分担で決めても、シャッフルされてばらばらになる可能性があるって事ですか?
GM:その通りだよ! 一応、それぞれの卓GMである私は支援系、もう片方のGMである重ちゃんはカバーリング系で作るって先に宣言しておくけど、あとは多少、シャッフルされても戦えるようにして欲しいな。
ひより:どちらかと言うと、過半数がアタッカーの方が良いかもしれませんね。
建:まぁ、その方が良いだろうね。
GM:あとキャラクター作成で注意して欲しいのは、PCは全員、一般高校生であってレネゲイドやUGNなんかを全く知らないって設定にして下さい。
ヒカル:つまり普通の高校生をやれと? 年齢は?
GM:自由! ただ何らかの繋がりがあって、全員で一緒にMMORPGをするって展開にしたいので、部活やサークル辺りが一緒だと助かるかなぁ。
鳳飛鳥:つまり衣織先生が顧問で、あたい達7人が部員か。7人でやれるスポーツ?
GM:あ、NPCも入るから実際には10人前後になると思うよ?
ヒカル:10人前後……サッカー?
重雄:サッカー部なのに部室でゲームするのか(笑)
流子:というか、サッカー部とかだと男女比的に難しいと思うな。私達って半分は女の子だし。半分がマネージャーっていうなら別だけど。
建:それは実際にサッカーするプレイヤーが規定に足りなくなる(笑)
恒輝:女の子も集まる部活か……なんか文系理系、学問系の部活かな?
重雄:電算部とかな!
ヒカル:却下で、なんかキモイ。
重雄:ちょ、お前(笑)
ひより:まぁ、実際にTRPGしながらゲームの中でもゲーム部というのは、ちょっとつまらない気もしますし(笑)
流子:じゃあ「料理部」なんてどう? 男の子も女の子も平等に入れるし、実際に入部してなくてもご飯が食べれるってだけで、部室に来る人も多そうだし!
ヒカル:あ、それは良いかも、俺は入部せずに入り浸ろう(笑)
恒輝:でも、それだと部室にゲームを置く理由が難しいような……。
GM:あ、それは大丈夫、顧問の私(衣織先生)が、ゲーム大好きのオタクな女性教員って設定だから、どんな部活でも勝手に部室にゲーム持ってきて遊んでるよ?
建:なんて先生なんですか! その設定ヒドイよ(笑)
鳳飛鳥:確かにその設定なら料理部でも問題無いかな……ご飯を食べに来てる子も、先生のゲームに付き合わされる気がするし。
GM:あー、そうだねー、やらせるやらせる。料理作らないならゲームしろーって(笑)

◆Preplay 03◆キャラクター作成レギュレーション

溜まり場となる部活も決まり(?)、さらにちょっとだけ盛り上がる8人。
そしていよいよキャラクター作成の開始である。
GM:キャラクター作成はコンストラクション、追加経験値は0ね。
恒輝:もうちょっと欲しかったんだけどな……。
GM:今回のプロローグで15点以上手に入ると思うから、それで我慢して(笑)
建:それだけ貰えるなら、OK!(笑)
GM:それとキャラクターのデータなんだけど、これらのエフェクトとかはMMORPG内でのゲームキャラクターのデータを作成していると思ってね? いわゆるアバターってやつ。
ヒカル:なるほど。
GM:ただし1つだけ注意点として、MMORPG内のアバターの外見や性別は、できるだけ現実世界の外見と合わせて下さい。これは顧問の衣織先生がゲームをやらせる部員に強制します。
建:つまり見た目10歳のロリッ子な女の子を俺がやるとか、駄目って事ですか!
GM:うん、だって現実のあんたを先生は知ってるし、ロリ口調でしゃべってたら超引くし。
建:あ、ああ……それは確かに。
重雄:あと、現実卓とゲーム卓と分かれるので、外見とか変えられるといろいろプレイヤーとかも混乱するなーってのもあります。
GM:そうそう、ゲーム世界だけっていうならどんなアバター外見でも良いんだけど、今回はシャッフルで行ったり来たりする可能性があるからねぇ。
鳳飛鳥:コードネームは?
GM:コードネームもゲーム世界のキャラクターの「称号」となります。何も入力しないと「初心者ファイター」とかになるよ。
流子:あ〜、あるある(笑)
GM:そして、今回はそういうわけでワークスも特別にゲーム世界のものを使うよ? ワークスは「ファイター」「プリースト」「シーフ」「メイジ」「エルフ」「ドワーフ」「モンク」「マーチャント」「セージ」があるので、そん中から選んでね?
恒輝:ワークスをこの中から選んで、カヴァーは「高校生」って事ですか?
GM:うん、カヴァーは「高校生」で。あとワークスを選ぶとそれぞれ自動取得エフェクトが1レベル分ついてきます。ま、これはボーナスだと思っていいよ〜。
建:自動取得で1つ貰えるのか! それは……どれにするか本気で考えるな!(笑)
ひより:あ、Dロイスは貰えるのでしょうか?
GM:良いよ〜、ただし2個以上は無しで。もちろん取らないのもOK。
ひより:わかりました。
GM:じゃあ、これらを踏まえてPCデータの作成をしましょうか。
鳳飛鳥:え? ハンドアウトは?
GM:今回、ハンドアウトは無しで! ゲーム卓とリアル卓に別れてからはハンドアウトがあると思うけど、今回のプロローグは全員横一線の立場で始めたいからねー。
ヒカル:みんな主人公!
GM:そういうことだねぇ(笑) それじゃあ、キャラ作を始めましょう!
ルールブック1、ルールブック2、上級ルールブック、そしてインフィニティコードの追加データとにらめっこしつつ、プレイヤー達はぎゃあぎゃあと話し合いながらキャラクターを作成していきます。
そして3時間が経過……MMORPGダブルクロスαテスト版のゲームキャラクターと、そのプレイヤーキャラクターが7人誕生した。

▼赤光ヒカル(しゃっこう・ひかる)

俺には絵画の才能があるはずなんだ! 
それなのに、この前の展覧会はあいつに金賞を持ってかれた。
ま、きっと僅差の運勝負みたいなもんだ。俺が負けるはずがないからな!

そう言えば、衣織姉ぇが特別なゲームをやるって言ってたな。やらないって言ったら後でいろいろ面倒だし、しょうがないから付き合ってやるか。

そんなんだから、衣織姉ぇは未だ独身なんだよな。
ヒカル:俺の名前はヒカル、赤光ヒカル、ペンネームのようだけど実名です。16歳の高校1年生。所属は美術部!
GM:料理部じゃないのか(笑)
ヒカル:料理部には飯をたかりに行ってる、というのも顧問の先生が俺の従姉だから!
GM:そうだったのか! 先生も知らなかったよ(笑)
ヒカル:料理部の部員から、部員じゃないのに何でいるんだ?とか言われるけど気にしない。
GM:先生的にも気にしない。その変わりご飯食べたらゲームの対戦相手になんなさい!と言われる。
ヒカル:そうだったのか! ま、いいかそれぐらい(笑) あ、ゲームキャラに称号が必要って話だったので、考えた結果……たぶん面白いのにすると思ったので『常夏のパワフルガイ』にした!
重雄:お前、いろいろ馬鹿だろう(笑)
ヒカル:いや、たかだかゲームの登録なんだし、インパクトあって良いじゃん?って思ってる。ちなみにゲーム内のワークスはシーフで。
GM:そう言えば美術部では何をやってるの?
ヒカル:主に油絵! この前も力作を展覧会に出したのに……なぜか俺のは銀賞で、金賞は別の奴だった! そいつが俺のライバル、寒空ヒョウ!
GM:うーん、両方変な名前だねぇ。じゃあゲームをクリアした時の望みは金賞を取ること?
ヒカル:金賞は俺の実力があれば取れるから別に良い! っていうか、俺はゲームもそんな興味無い。衣織姉ぇに言われたから一緒にやるってポジション、巻き込まれたってのは駄目?
GM:良いよ、別に問題無いと思うし。
ヒカル:よしっ! じゃあ巻き込まれるまで普通に高校生活をエンジョイしていよう!
GM:で、シンドロームとかは?
ヒカル:エンジェルハイロウのピュアブリード、≪光の弓≫で攻撃もできるけど、それはおまけだ。
恒輝:おまけなのか、それじゃあメインは何をするんだ?
ヒカル:俺のメインは≪フラッシュゲイズ≫と≪絶対の孤独≫! 相手にダイスペナルティを与えるのが得意だ!
重雄:うわぁ、嫌な感じのジャマーだわ。
ヒカル:そう思ってコレにした! ちなみにDロイスは[超血統]! もちろん指定は≪フラッシュゲイズ≫ね!
GM:うーん、ダイス運が無い私ゃ、一番厄介な能力だねぇ。それで残りの固定ロイスは?
ヒカル:迷ったけどライバルの寒空ヒョウに恐怖、従姉の衣織姉に友情で取って置いた。
GM:姉さんとはゲーム友達って感じなのね。
ヒカル:そう、怒らせると怖いけど、基本的にゲームを一緒にやれば満足してくれる、良い姉ちゃんだ(笑)

赤光ヒカル(しゃっこう・ひかる) 16歳(男)
シンドローム:エンジェルハイロウ (ピュアブリード)
ロストエデン称号:常夏のパワフルガイ  ロストエデンワークス:シーフ  カヴァー:高校1年生
能力値: 【肉体】1 【感覚】8 【精神】2 【社会】1
技能: <回避>1 <知覚>4 <意志>2 <交渉>3
    <芸術:絵画>2 <知識:機械工学>2 <情報:裏社会>1
HP:24  行動値:18  常備化ポイント:2

ライフパス: 出自 <片親無し:母1人子1人>
  経験 <大失敗:絵画コンクールでライバルに負けた>
  邂逅 <家族:七夕衣織>
  覚醒 <偶然>
  衝動 <殺戮>
Dロイス:超血統
エフェクト: 《コンセントレイト:エンジェルハイロウ2》 《フラッシュゲイズ3》 《絶対の孤独2》 《光の手1》 
        《光の弓1》
ロストエデンクラス:《シーフ:リミットオーヴァ1》
武器:無し
防具:無し
一般アイテム:シーブスツール

――パーソナルデータ――
髪色:赤 髪の長さ:長め 髪型:ツンツン逆立っている
瞳の色:赤黒 眼の形:指定無し 肌の色:日焼け気味
身長:168cm 体型:ひょろい 雰囲気:コミカル
解説
  誰とでも仲良くなる元気少年。絵画が趣味であり、いつか大きな賞を取ることを目指しているが、生来の慌て癖のせいか最後の最後でドジる事がある。母1人子1人の家だが明るく前向きな性格をしており友達は多い。
  料理部の顧問がイトコ(衣織姉)だった為、飯代を浮かす為に料理部に入り浸っている。他校に寒空ヒョウというライバルがいる。やっかいごとは起こすより巻き込まれるタイプ。

▼坂月恒輝(さかづき・こうき)

毎日毎日、剣を振るう日々だった。その日々が決して嫌いじゃない俺は、いつか父親の跡を継ぐと思いそれを疑った事は無かった。

だけど
中学のある日、父親は俺の剣の才能に見切りを付け、流派を継ぐのは姉の那岐にすると宣言した。
そして両親は優しげに俺に言った――

「今まですまなかった。これからは自由にしていいぞ」

それが……俺にとってはどんなに残酷な言葉だったか……。
恒輝:名前は坂月恒輝、15歳の高校1年生。家が古式剣術である坂月流の道場だったんですが、剣術の才能が開花せず、5歳年上の姉に継承権が決定しました。姉は公式NPCの坂月那岐(さかづき・なぎ)です。
GM:そんな恒輝は才能無いの?
恒輝:無いです。【肉体1】ですし(笑)
ヒカル:もっと筋トレしろよ(笑)
恒輝:しょうがないだろ、運動神経に恵まれなかったんだ……。それでも親からは中学まで継承権は俺だと剣術を教えてくれたんだけど、中学の時に親から見切りを付けられたんだ。
GM:それじゃあ中学まで友達いなかったんだね〜。
恒輝:いません。もともと剣術は好きだったので、友達を作るより剣術の努力している方が楽しかったし。ただ、高校入学と同時に、そうやって剣術を続けるわけにはいかないって思っていろいろ挑戦したいと思ってます。
GM:それで料理部にも入ったと?
恒輝:そうです。まぁ、入学式で話しかけてくれた友達のヒカルに誘われ最初は美術部に行きましたけど。
ヒカル:どこの部活か決めて無い? じゃあ俺と一緒に美術部入ろうぜ!(笑)
恒輝:でも肌に合わなかったので辞めました。
ヒカル:この根性無しが!!
恒輝:いいんだよ、俺はいろいろやる為に高校入ったんだし。で、次の部活として今は料理部です。
GM:結局ヒカルがいる所じゃないのさ。
恒輝:友達の作り方が解らない俺にとって、高校入って初めての友達であるヒカルは、なんだかんだで大事なんですよ。
ヒカル:俺は何十人の友達の中の1人だと思ってるけどな!(笑)
恒輝:ブチ壊しだよ(笑)
GM:ゲームキャラクターは、そんな経緯なのに剣で戦うキャラなんだよね?
恒輝:そうですね。アイテムの購入の為にワークスはマーチャントですけど、シンドロームはソラリス・ノイマン・バロールで、≪マルチウェポン≫主体で戦います。現実では姉に負けたけど、それでも剣術が好きだから……と。
GM:うーん、未練が残ってるんだねぇ。
恒輝:そうですね……もっと好きなものが見つかればって思いながら日々を過ごしています。
GM:あっと、Dロイスは?
恒輝:あとで≪ヴァリアブルウェポン≫を取った時に強化できるよう、Dロイス[業師]で≪オーヴァードーズ≫を取得しています。いつか6刀流で戦います。
GM:後半に伸びるタイプだね。いいんじゃないかな?
恒輝:固定ロイスは姉の坂月那岐に羨望しつつ劣等感を抱いています。あとは友達のヒカルに友情を。
ヒカル:お前は俺しか友達がいないのか(笑)
恒輝:ああ、あとは……そうだな、料理部に誰かNPCいるって言ってましたよね?
GM:いるよ〜? 現役女子高生アイドルと、軽音部と掛け持ちしてる見た目不良っぽい女の子と、オカルト研究会の部長をやってる男の子。
ヒカル:濃いな、料理部(笑)
恒輝:じゃあ、そのアイドルの人が初恋の人です。料理部で出会って惚れました。
ヒカル:おいっ! そんな簡単で良いのか!
恒輝:だって今まで剣一筋だったんだよ! アイドルやるぐらい美少女がいたら、好きにもなるって!

坂月恒輝(さかづき・こうき) 15歳(男)
シンドローム:ソラリス=ノイマン=バロール (トライブリード)
ロストエデン称号:見習いウェポンマスタリー  ロストエデンワークス:マーチャント  カヴァー:高校1年生
能力値: 【肉体】1 【感覚】1 【精神】5 【社会】5
技能: <白兵>3   <意志>1 <交渉>1
        <調達>4
        <情報:学問>1
HP:27  行動値:7  常備化ポイント:21

ライフパス: 出自 <名家の生まれ:坂月流>
  経験 <初恋:学生アイドル聖海音>
  邂逅 <恩人:赤光ヒカル>
  覚醒 <感染>
  衝動 <飢餓>
Dロイス:業師(オーヴァードーズ)
エフェクト: 《コンセントレイト:ソラリス2》 《オーヴァードーズ1》 《腐食の指先3》 《コントロールソート1》
        《マルチウェポン1》 《瞬速の刃1》
ロストエデンクラス:《マーチャント:ノウハウ1》
武器:高速振動ブレード、日本刀
防具:無し
一般アイテム:無し

――パーソナルデータ――
髪色:黒 髪の長さ:目にかかる長さ 髪型:目に被らないよう前髪は雑に分けている
瞳の色:黒 眼の形:切れ目 肌の色:普通
身長:167cm 体型:普通 雰囲気:投げやりダウナー系
解説
  古武術の名家、坂月家の跡取りとして生まれるも、才能がなかった為、流派継承を姉の那岐にする事と宣告され以降なにを目指せば良いか人生に迷っている。
  中学まで剣術一筋だったため人との仲良くなるのが苦手で、高校入学時に声をかけてくれたヒカルに感謝している。何でもできる姉の事を羨望しており、ゆえに反発する事もある。剣術自体は好きなため本当は続けていきたいと思っているが、親から新しい道を見つけたら?と言われ高校では様々な部に……と今はヒカルが入り浸る料理部に所属している。

▼雫野陽和(しずくの・ひより)

わたくしの将来はすでに決まっております。
母から舞踊の技を継承し、誰か良い婿を取り、跡取りを生み、その子に母がそうしたように技を継承する……。
ですが、趣味のお料理の為に入部した部活でわたくしは知りました。
もう少し自由に生きても良いということを。

ですから今は、どんな事にもちょっとだけ勇気を出して挑戦したいと思っています。
あのゲームに関しても、そんなちょっとした勇気から……

わたくしはログインする事にしたのです。
ひより:わたくしの名前は雫野陽和と申します。一子相伝の舞踊奏者の本家跡取り娘です。将来は流派を継ぎ、婿養子を貰って家の血を絶やさない……それが私の決まっている未来です。
恒輝:俺とは逆だな……。
ひより:そうですね。私は未来が決まってます。だからこそ、その未来になるまでの間、少しぐらいいろいろな世界を見てみたい、そう思ってます。
ヒカル:恒輝と違って前向きだ(笑)
ひより:そう思えたのも、趣味のお料理ができる部活に入って別の世界を教えてくれた先輩がいたからです。
GM:ほほう。
ひより:さっき、軽音と兼部している女の子がいるって言いましたよね? 3年の先輩ってことにして良いですか? その人とお話して悩みを聞いて貰って、少しだけ影響されました。わたくしももうちょっと自由に生きてみても良いかなぁって。
GM:その先輩は――南雲美空って名前だけど、見た目は不良っぽいけど、良い先輩って感じでいいかな?
ひより:それが良いです。ただ、格好まで真似する勇気が無いので、ちょっとだけ髪型にシャギー入れるのが精一杯です(笑)
GM:ほんわか良い子かぁ〜、そして和系!
ひより:あ、GMにお願いなのですが、この高校は私服通学が許可されていますでしょうか?
GM:私服? じゃあ私服もOKって事で!
ひより:ありがとうございます。なら、わたくしは毎日着物で登校しています。それが本家である母の教えの1つなので。
GM:和服少女! 有りです!
ひより:言い忘れていましたが、歳は16歳で高校1年生です。一般の生活に憧れつつ、いつか籠の中の小鳥の自分から、羽ばたければなぁって思っています。
GM:データ的には?
ひより:サラマンダー・ハヌマーンのクロスブリードです。基本的に前衛アタッカー。ゲーム内のワークスもファイターです。
GM:前のめりだね〜。
ひより:というか、ゲームとか解らないので、ゲームのキャラクター登録時に美空先輩に相談したら「こういうゲームは、初心者はファイターやっとけば良いのよ! 殴っておけばあとは周りが何とかしてくれるって」と言われ、それで登録しました。
ヒカル:あ、コードネームがまだ決めて無いのな?
GM:コードネームってか、今回はゲーム内の称号ね?
ひより:どうしましょうか……これも誰かに相談かなぁ。
ヒカル:じゃあ俺があとで付けてやるよ! まかせとけ!(笑)
GM:ならそれは本編始まったらやってちょうだい。Dロイスは何を取ったの?
ひより:Dロイスは[究極のゼロ]を取りました。前のめりです。あと固定ロイスは尊敬する美空先輩に幸福感、あとは高校デビューを成功させていた流子先輩に感服です。

雫野陽和(しずくの・ひより) 16歳(女)
シンドローム:サラマンダー=ハヌマーン (クロスブリード)
ロストエデン称号:渚のピチピチギャル  ロストエデンワークス:ファイター  カヴァー:高校1年生
能力値: 【肉体】6 【感覚】2 【精神】2 【社会】2
技能: <白兵>1 <射撃>1 <RC>1 <調達>1
    <知覚>1 <意志>2 <情報:裏社会>1
    <芸術:料理>2    
HP:34  行動値:6  常備化ポイント:8

ライフパス: 出自 <有名人:舞踊奏者の本家>
  経験 <ニュース:小学生天才舞踊奏者としてTVに>
  邂逅 <忘却:中学で黒木流子が先輩>
  覚醒 <素体>
  衝動 <憎悪>
Dロイス:究極のゼロ
エフェクト: 《コンセントレイト:サラマンダー2》《氷炎の剣1》《炎の刃2》《クロスバースト2》《吠え猛る爪1》
ロストエデンクラス:《ファイター:マイティストライク1》
武器:無し
防具:無し
一般アイテム:無し

――パーソナルデータ――
髪色:艶やかな黒 髪の長さ:セミロング(肩にかかる) 髪型:ややシャギーの入った
瞳の色:茶 眼の形:やや垂れている(狐目系) 肌の色:色白
身長:157cm 体型:豊満(着物の為、普段はわからない) 雰囲気:色っぽい
解説
  古くから続く一子相伝の舞踊奏者の家系、その継承者が陽和である。陽和は何不自由無く育てられたお嬢様だが、それ故に外の世界への憧れが強く、この高校に入学したのも陽和が頑なにお嬢様高校への入学を拒否したからだ。
  今でも雫家の伝統芸を継承しいつか婿を取って家督を次ぐ将来は決まっているが、本人はそのレールの外にある世界に興味があり少しずつ代われたらと思っている。料理部へ入部したのは「料理が好き」という至って普通の理由からだ。

▼土矢重雄(つちや・しげお)

家に帰ったら母が「お帰り」と声をかけ、夕飯時には父親が「ただいま」と帰ってくる。
そんなドラマみたいな生活に憧れた時もあった。

だが、現実には暗い家に帰って来て、妹と2人で静かに夕飯を食べ、それぞれ寝るだけの家だった。
だから、伊緒があんなゲームにハマっている事を僕は知らなかった……

もし、知っていたら……。
重雄:高校2年生の17歳、土矢重雄って言います。目が悪いのでメガネかけています。飛鳥と幼馴染で、なんか飛鳥にさそわれて料理部に来ました……って事で良い?
鳳飛鳥:いいよ。
GM:なんで飛鳥は重雄を連れて来たのさ?
鳳飛鳥:次期部長問題でもめてたからね、連れて来た。
重雄:ええっ!? それじゃあ僕が入部した途端に部長かよ!
GM:他の皆がそれで良いなら。
一同:『部長は面倒なので任せた!』(笑)
GM:全員一致だねぇ(笑)
重雄:なんだよ! なんか僕って昔から貧乏くじというか……そういう星の下に生まれたキャラです。なのでこの流れ、皆に感謝(笑)
GM:キミの所も家庭環境は寂しい事になってるんだっけ?
重雄:両親が警察官僚でいつも不在なので、家には僕と妹の2人きりな生活が当たり前になってます。そしてそのせいか、僕も妹もお金だけはあるのに、両親から放っておかれているので自由に好き勝手していた結果……妹の伊緒が、ゲームにハマって廃人プレイ中です。
GM:廃人なんだ、何歳?
重雄:11歳、まだ小学5年生ってことで(笑)
GM:ちょ! それはヒドイよ!?(笑)
重雄:しょうがないんです。僕は僕で高校の勉強とかで伊緒のめんどうを見てやれなかったせいで……。
GM:言いわけだ!(笑)
重雄:そう、僕としては普通にしているだけなのに、なぜか周りからは怒られたり、お前が悪いって言われたり……そんな性格。ただ、基本的に真面目なので無茶振りされても、できるだけ頑張ります。
GM:それで今は料理部の部長と。
重雄:しょうがないんです。ゲーム内のワークスはセージで、ただDロイスは[秘密兵器]でフォールンシールドを持ってます。これは警察官僚の父親から、あるゲームのパスワードだよと貰ったアイテムってことで。
GM:なるほどねぇ〜。シンドロームの方は? やっぱガード系?
重雄:ですね。バロール・ブラックドックのクロスブリード。エフェクトもカバーリングとガード値上昇系が基本。
GM:OK。あとは固定ロイス。
重雄:妹の伊緒に親近感、あとは飛鳥に誠意かな。

土矢重雄(つちや・しげお) 17歳(男)
シンドローム:バロール=ブラックドッグ (クロスブリード)
ロストエデン称号:ジオユーザー  ロストエデンワークス:セージ  カヴァー:高校2年生
能力値: 【肉体】2 【感覚】2 【精神】6 【社会】2
技能:     <RC>2 <交渉>1
      <意志>2 <調達>1
      <知識:医療>3 <情報:学問>1
        <情報:噂話>1
HP:30  行動値:10  常備化ポイント:6

ライフパス: 出自 <政治権力:親が警察官僚>
  経験 <逃走:妹の面倒を放棄>
  邂逅 <友人:後輩の坂月恒輝>
  覚醒 <犠牲>
  衝動 <闘争>
Dロイス:秘密兵器
エフェクト: 《コンセントレイト:バロール2》 《マグネットフォース1》 《灰色の庭1》 《グラヴィティガード3》
        《インビジブルハンド1》
ロストエデンクラス:《セージ:アイボリードリーム1》
武器:フォールンシールド
防具:レザーアーマー
一般アイテム:無し

――パーソナルデータ――
髪色 髪の長さ:短め 髪型:眉にかからない程度の普通の髪型
瞳の色:黒 眼の形:細目+メガネ 肌の色:普通
身長:170cm 体型:普通 雰囲気:薄幸、苦労人な感じ
解説
  両親が警察官僚であり、小さい頃から家に妹と2人きりで育った。常に苦労性な星の下らしく、基本的に貧乏くじを引き当てる。本人は善意のつもりだったり、わざとじゃなくとも、なぜか他人から説教されたりする。
  親から妹の面倒を任されていたが妹は過度のゲーマーであり、家ぐらいは……と放置している(妹はいつの間にか立派な廃人ゲーマーになっていた)。夢は医者になること。幼なじみの飛鳥の喧嘩に巻き込まれて治療していたせいとの噂もある。

▼鳳飛鳥(おおとり・あすか)

あたいが中学の時、母は妹を連れて家を出て行った。
父は酒におぼれ、金が無くなれば酒瓶を投げつけてくるようなロクデナシだ。

そんな家庭環境のあたいが、伝説の不良とまで呼ばれるようになるまで、そう時間はかからなかった。
伝説の中学生だったあたいも高校2年生。

幼馴染のあのバカとその妹の事を知って、今じゃ世話好きな姐貴分だ。

あのゲームをやる事になったのも、結局はあのバカのせいだった。
鳳飛鳥:名前は鳳飛鳥、中学時代に伝説の不良として名をはせていた高校2年生の女子高生。
GM:中学が伝説で今は?
鳳飛鳥:今はおせっかいな姉さんって感じだね。反抗している暇は無いって気が付いたし……じゃないと、幼馴染の重雄と、その妹の伊緒がどんどんダメ人間になっちまう。
重雄:さーせん(笑)
鳳飛鳥:自分で理解してるなら、もうちょっと妹の面倒みたらどうだい。
重雄:いやぁ、見てるんだけど、あいつゲーム離さなくって(笑)
鳳飛鳥:はぁ……とりあえず、飲んだくれのダメ親父と2人暮らしだし、重雄と伊緒の事もあって、料理の必要性から料理部には入ってるよ。
GM:中学時代に両親が離婚だっけ?
鳳飛鳥:そう、それでグレで喧嘩三昧だった。妹の小鳩は母親に付いて行ったけど、今でもこっそり連絡は取り合ってる関係だね。
ひより:土矢先輩のご兄妹のおせっかいを焼くのは、もしかして自分の家庭のようになって欲しくないからでしょうか?
鳳飛鳥:どうとって貰っても構わないよ。ただ、まぁそうだね、心配ってのはあるよ。口調が少し乱暴なのは中学の頃の癖が取れないってことで。
GM:OK、シンドロームとかは?
鳳飛鳥:キュマイラピュアブリードの前衛アタッカー。≪完全獣化≫してとにかく殴るよ。ゲーム内でもワークスはモンクにしたから、役割は変わらない。
重雄:でもDロイスは殴り系じゃないんだよな?
鳳飛鳥:Dロイスは[触媒]にしてる。 なんだかんだいって他人へのおせっかいな性格が、Dロイスまで……って言えばカッコイイけど、単に自分強化は十分だから、他人を追加行動させた方が効果的かなって思って取得。
GM:良いんじゃない? キャラクターの性格的に、実は面倒見が良い飛鳥っぽいし。
鳳飛鳥:固定ロイスは幼馴染の重雄に慈愛、妹の小鳩に憧憬で。ま、あたいはこんな所だね。

鳳飛鳥(おおとり・あすか) 17歳(女)

シンドローム:キュマイラ (ピュアブリード)
ロストエデン称号:不滅の拳(イモータルフィスト)  ロストエデンワークス:モンク  カヴァー:高校2年生
能力値: 【肉体】8 【感覚】2 【精神】2 【社会】1
技能: <白兵>3 <知覚>2 <意志>2 <調達>1
  <回避>1     <情報:噂話>1
HP:42  行動値:3  常備化ポイント:6

ライフパス: 出自 <姉妹:妹の小鳩>
  経験 <大きな転機:中学1年生の時に両親が離婚>
  邂逅 <腐れ縁:土矢重雄>
  覚醒 <犠牲>
  衝動 <闘争>
Dロイス:触媒
エフェクト: 《コンセントレイト:キュマイラ2》 《完全獣化1》 《巨人の生命1》 《剛身獣化2》 《鬼の一撃2》
ロストエデンクラス:《モンク:オーラフィスト1》
武器:素手
防具:無し
一般アイテム:想い出の品、携帯

――パーソナルデータ――
髪色 髪の長さ:背中ぐらいまで 髪型:首後ろで1つに縛っている
瞳の色:黒 眼の形:つり目 肌の色:少し日焼け
身長:177cm 体型:女性的な筋肉質(不良系) 雰囲気:綺麗&ダーク
解説
鳳飛鳥がグレたのは中学1年の時だった。原因は両親の離婚、妹は母に連れられ逃げるように去り、自分は父を放っておけず家に残った。しかし父は変わってしまった。酒におぼれ、仕事もせず、機嫌が悪いと暴力を振るう。家での不満をブチマケるように飛鳥は町で喧嘩に明け暮れた。結果、中学の3年間、飛鳥がつぶした不良やチームは三桁を越える。
  だが高校に入学する際、幼なじみの土矢重雄の妹が両親に放置されたのが原因でゲームの世界に逃げていると聞き思わずその世話を焼き始める。元々姉御肌で面倒見の良かった飛鳥は、喧嘩に明け暮れる事もなくなり(売られた場合は別だが)、実は面倒見の良い人、として男子からは一目置かれ、女子からは憧れ(時に変な意味で)で見られている。料理部へは父の面倒等で家事を覚える為に入部。

▼黒木流子(くろき・りゅうこ)

ワタシはあの日生まれ、ワタシは私と2人になった。
私はあの日、ワタシを生んだ事を喜んだけど、今、ワタシが私になってからは後悔しているのかも。
でなければ……こんな顔はしないと思うから。そうでしょ、ルーシー?

――――ある雨の日、部屋の窓に映った自分の顔を見ながら。
『戦闘用人格』黒木・流子
流子:私は黒木流子、17歳の高校3年生。元気で明るくちょっとウザイくらいな先輩! 面白そうなら先輩命令も発動しちゃう感じで(笑)
GM:そういう先輩っているよねぇ〜。
流子:実はDロイスで[戦闘用人格]を持っています。設定的には中学時代に二重人格になってしまい、それ以来、表の人格……つまり身体の支配権を持ってる主人格が流子、支配権を持ってない方をルーシーと呼んでます。
GM:2つの人格が身体の主導権を奪い合ってるんだね、それは面白い設定だよ!
流子:ちなみに元々の性格は暗くて人付き合いが苦手なタイプです。中学卒業時に大好きな兄が家を出て行ってしまい、その寂しさというかショックと、そして明るい性格が主人格の方が周りからの反応が良いし、暗い性格はいらないなって思ってしまい、身体の主導権を後天的に生まれた明るい人格に奪われました。
GM:今は明るい人格が主人格なわけね。元の暗い人格はどうしてるの?
流子:部屋で1人きりになったりすると、私の心の中で語りかけて来たりするよ? 私が昔そうやっていたみたいに。
ヒカル:こ、怖ぇ〜(笑)
GM:演出的には窓ガラスに映った顔が、別人格の表情だったりするんだね(笑)
流子:そんな感じで。ただ明るい方も暗い方も、実の兄の事が大好きなのは変わらないかな? 周囲の人達から見たら、高校デビューで明るくなったなーって思われてるかも。
ひより:わたくしが中学1年生の時、実は流子先輩と知り合ってます(邂逅表の結果)、だから高校に入って明るくなったのですね、って思っています(笑)
流子:うんうん、そんな感じ♪ この街の大病院である黒木病院の娘で、病院内でもそれなりに顔が効くし、明るい性格なので今は患者さん達にも人気です。
GM:エフェクトとかは?
流子:モルフェウスピュアブリードの射撃系、≪ハンドレッドガンズ≫で銃を作って、≪スプリットアタック≫で複数体を撃ち抜きます。銃を使うのは兄への感情の結果が反映されてるって感じで。ゲーム内ワークスはプリースト、これは余ったのを取った(笑)
GM:まぁゲームするだけなら、どのワークスでもって感じだしねぇ。
流子:あとは……Dロイスは最初に言った通りだし、固定ロイスか。
GM:だね、お願いします。
流子:もちろん最愛の兄である黒木正に幸福感、あとは中学の暗かった時に声をかけてくれた同級生の建に信頼で持ってる。
GM:流子が暗かったのを知るのは建とひよりだけなんだねぇ。あ、人格が入れ替わるキッカケってあるの?
流子:うん、暗い元々の人格が主人格になるのは、拳銃に触れた時。これは玩具でも本物でも変わらない。モルフェウスの力を選んだのも、元の人格が表に出たいっていう無意識の想いからだと思う。もっとも、ゲームのトゥルーエンドで願いが叶うなら……それはもちろん、ねぇ?(怖い笑顔)

黒木流子(くろき・りゅうこ) 17歳(女)
シンドローム:モルフェウス (ピュアブリード)
ロストエデン称号:流星の双子(ジェミニ)  ロストエデンワークス:プリースト  カヴァー:高校3年生
能力値: 【肉体】2 【感覚】6 【精神】1 【社会】3
技能:   <射撃>3 <RC>1 <交渉>1
    <知覚>1 <意志>2 <情報:噂話>1
      <知識:天文学>2  
HP:25  行動値:13  常備化ポイント:6

ライフパス: 出自 <資産家:医者>
  経験 <小さな名誉:大病院の娘>
  邂逅 <貸し:門路建>
  覚醒 <渇望>
  衝動 <妄想>
Dロイス:戦闘用人格
エフェクト: 《コンセントレイト:モルフェウス2》 《ハンドレットガンズ1》 《スプリットアタック2》 《ペネトレイト1》
        《サポートデバイス2》
ロストエデンクラス:《プリースト:リバイバル1》
武器:素手
防具:レザーアーマー
一般アイテム:想い出の品(兄からの贈り物)

――パーソナルデータ――
髪色:茶 髪の長さ:ミディアム 髪型:ウェービーヘア
瞳の色:灰 眼の形:指定無し 肌の色:白寄り
身長:160cm 体型:普通 雰囲気:明るい人格はコミカル&エロい
      暗い人格はダーク&エロい
解説
  流子はかつて暗い性格であった。ただ生浄院市の大病院、黒木病院の娘として生まれた流子は、兄しか話せる相手がいないままで生きられるような周囲ではなかった。だから流子はルーシーという明るい人格を生みだし、その心の平定を保った。
  しかし流子が高校にあがる際、愛する兄、正が防衛大学を卒業し防衛隊へ入隊、家を出て行ってしまう。再び心の均衡を崩した流子は心の奥へ引き籠り、それと入れ替わりにルーシーが流子として表の世界で活動を始める。今では明るい性格のルーシーが主人格となり、本当の暗い流子は心の奥から戻る事はない。

ただ一つ、兄との繋がりを思い出す銃を手にするその時以外は……。

▼門路建(かどみち・けん)

中学の時だった。俺は大事故に遭って意識を失い医者からは死を宣告された。
数か月後、俺が奇跡的に意識を取り戻すとそこに俺の居場所はなかった。いや、崩壊していた。
父は失踪し、母は自分が開発していたゲームの世界に没頭し、そのまま植物人間となった。

俺は生きているのに……死んだままだった。

だから、母が最期にやったゲームを誰かがやろうとしていると聞き、俺はその連中に接触した。
もし本当にトゥルーエンドを見たら願いが叶うのなら……俺は……俺は……。
建:名前は門路建、高校3年生の男性、髪の毛もぼさぼさで病的な感じ、というのも、一度事故に遭いあの世をかいま見た時、父が失踪し、母がゲームの世界へ現実逃避しました。俺が意識を取り戻した時……すでに家庭は崩壊してた。
GM:酷い家庭だけど……まぁ、それがDロイス[屍人]の設定だねぇ。
建:そう。しかし近ごろ、母が植物人間になるまでやっていたゲームをWebのアンダーグラウンド掲示板で、俺と同姓同名のキャラクターがすごい強いって噂になってて、まさか呪いのゲームに母親の精神は囚われゲームの世界で俺が生きていることにしたいのか?と思ってる。
恒輝:すでにゲームに参加するモチベーションが他の人より凄い高いんですね(笑)
建:ああ、やりたくないって奴がいたら、俺は俺の目的のため、どんな手段を使ってもこのゲームに参加させるつもりだ。参加プレイヤーが多ければ多いほど、俺の母親の情報も集まりやすいだろうしな。
鳳飛鳥:敵っぽいキャラだけど、いいのかい?(笑)
建:構うもんか。俺はどうせ一度死んでるんだ。俺の戻る場所を取り戻す為なら何だってしてやる!
重雄:うお、本当に敵っぽい。
流子:本当本当(笑)
GM:(流子も十分敵っぽい設定な気がするけど……)
建:料理部に入部したのは最近の事だ。顧問の先生がそのゲームを手に入れるって噂を聞いたから、それで慌てて入部届けを出した。
ひより:3年生になって突然、ですか?
流子:私の知り合いだし、先生にはどうしてもやりたいってのがいるんだーって話通しておいてあげる♪
建:ああ、助かる。それとオカルト部の部長がいるって言ってたから、その男の子は俺が一緒に料理部へ引きこんだ事にしたい。ゲームをやる上で生贄を増やしたいし。
ヒカル:酷い理由だった(笑)
GM:じゃあオカルト部の部長は1年生ってことにしようか、部活を創設してまだ部員1人。ちなみに名前は尾道満って言います。
建:わかりました。なら母親が最後にやっていたゲームは呪われたゲームと噂されていたので、それで尾道とは知り合った事にしよう。そしてオカルト部に入部する変わりに、一緒に料理部へ入る約束をさせた。
GM:了解、それで行きましょう。建は普段から真面目じゃない生徒なの?
建:真面目じゃないですね。普段はその伝説のゲームの情報を集めて動いているから、あまり授業にも出ないし、受験が近いのにそれも気にせず情報集めを優先させてる。
GM:本当に……困った生徒がいたものだよ(笑)
建:ゲーム内ワークスはドワーフ、自動取得エフェクトが強かったからそれにした。それ以上でもそれ以下でもない。
GM:い、潔い(笑)
建:シンドロームはエグザイル・ブラムストーカー、攻撃は≪骨の剣≫、防御は≪赤河の支配者≫を使い、遠い敵には≪伸縮腕≫を使って剣を伸ばします。
重雄:オールラウンダーですね。
建:そう、何でも1人で出来るデータにした。固定ロイスは道連れにした尾道に対して有為、あと幸せそうな家庭を持つひよりは殺したい程憎く思ってます。そういう奴は大っ嫌いだ。
流子:そこでひよりを指定するのが、性格悪いと思うな(笑)
建:気にしない。あ、それとDロイスの[屍人]の効果は、両親が残した特別なパスワードをログイン時に入れたら、チートが発動したって演出にしたい。
GM:有りだね! 元々親が開発チームにいたなら、それぐらい残していても不思議は無いしね!

門路建(かどみち・けん) 18歳(男)
シンドローム:エグザイル=ブラムストーカー (クロスブリード)
ロストエデン称号:屍人(リビングデッド)  ロストエデンワークス:ドワーフ  カヴァー:高校3年生
能力値: 【肉体】8 【感覚】2 【精神】1 【社会】1
技能: <白兵>1 <射撃>1 <RC>1 <調達>4
  <回避>1   <意志>1 <情報:軍事>1
HP:37  行動値:5  常備化ポイント:10

ライフパス: 出自 <疎まれた子>
  経験 <大事故:中学の時事故に遭って死亡した>
  邂逅 <殺意:幸せな家庭が憎い(雫野陽和)>
  覚醒 <償い>
  衝動 <嫌悪>
Dロイス:屍人
エフェクト: 《コンセントレイト:ブラムストーカー2》 《渇きの主1》 《骨の剣1》 《赤河の支配者3》 《伸縮腕1》
ロストエデンクラス:《ドワーフ:ハードロック1》
武器:素手
防具:チェインメイル
一般アイテム:無し

――パーソナルデータ――
髪色黒に暗青い影 髪の長さ:伸ばしっぱなし 髪型:ぼさぼさ
瞳の色:青みがかった黒 眼の形:疲れ目、クマ有り 肌の色:土気色(不健康)
身長:175cm 体型:病的な痩身 雰囲気:ダーク
解説
  建は小さい頃は明るい素直な子供だった。両親はプログラムの仕事で家にいない事が多かったが、友達の多かった建はそれを寂しく思った事はない。事件は中学の時、親の呼び出しで1人でバスに乗った時、そのバスが大事故に遭い建は植物状態となり死亡と断定される。
  しかし数日後、奇跡的に意識を建は取り戻す。そして両親に会いに行くと、父親は事故当日から行方不明となり、母親は開発中のゲームをしたまま意識を失い植物状態となっていた。親戚の話では母は建が死んだと思い気が振れたらしい。
  そして今、高校3年になった建は、ある伝説のゲームの中に自分と同じ名前のPCがいると知る。それは……母が最後にプレイしたゲーム、両親が開発に関わったゲームだった。料理部の顧問がそのゲームを入手しようとしていると噂を聞き、受験などお構いなしに料理部に入部した。

■NPCリスト

【「学生アイドル」聖・海音(ひじり・うみね)】
  高校2年生の17歳女性。高校生でありながら芸能界にデビューしている現役のアイドル。TV出演や撮影が忙しくなかなか登校できない。清く正しく明るく、誰に対しても優しいアイドルの見本のような性格だが、それゆえに無理する事も多い。料理が好きなため料理部に在籍。

【「シンセ」南雲・美空(なぐも・みそら)】
  高校3年生の18歳女性。軽音楽部と兼部している音楽好き。料理部ではもっぱら食べ専で、息抜きや遊びに来ている感覚。格好が破天荒な為、教師や他の生徒からも不良だと思われているが、本当の不良では無い。好きなジャンルは電子ミュージックであり、シンセサイザーを自前で弾きこなす明るい子。

【「魔術師」尾道・満(おのみち・みつる)】
  高校1年生の15歳男性。オカルト研究会の部長。研究会を立ち上げたばかりで部員がおらず、部員になってやるから料理部に入れと門路建に言われ、そのまま料理部に入部した。自己中だが気は弱い。黒魔術や都市伝説に造形が深く、部活動の際には怪しげな儀式を執り行っている。

【「料理部顧問」七夕・衣織(たなばた・いおり)】
  28才独身の料理部顧問の体育教師。とにかくゲームが大好きで、料理部の部室でゲームをして遊びまくっている。アンダーグラウンドの世界にツテがいるのか、怪しげなゲームや情報をいつも持ってくる。生徒との仲はフレンドリーだが、教師陣の中では衣織を嫌う先生も存在する。

OPENING PHASE

◆Opening 01◆噂のゲーム

その日、顧問の趣味であるゲーム機器が置かれた料理部のテーブルに、
1つのゲームが置かれていた。
それは顧問が偶然手に入れた幻のゲーム。

黒地のCDには『MMORPGダブルクロス αテスト版』と書かれていた。
GM:では、最初のシーンは全員登場のオープニングです。場所は料理部の部室、中央のテーブルに置かれたゲームを囲むように皆がいます。ゲームをテーブルに置いた料理部顧問の衣織先生は、小さい身体を逸らしてドヤ顔です。
重雄:先生、これってもしかして……。
GM:はい、このゲームが何か知りたい人は<情報ウェブ>か<情報噂話>の目標値9に成功してね?
ヒカル:衣織姉ぇ、このゲーム海賊版じゃねーの? タイトルとか書いてないぜ?
ひより:海賊版……って、どういうゲームなのでしょうか?
鳳飛鳥:先生、危ないもんじゃないだろうねぇ。
顧問の七夕衣織の従弟である赤光ヒカル(1年生)がCDを裏表しつつ聞き、海賊版という聞きなれぬ言葉に着物姿の雫野陽和(1年生)が小首を傾げ、非合法なニュアンスを感じ取った元伝説の不良である鳳飛鳥(2年生)が先生を睨む。
GM:「ちょっとちょっと、先生を信じなさいって! ちゃんと知り合いのツテで流して貰った正規品なんだからさ!」――先生は大げさな身振り手振りで必死にアピールします。
重雄:ツテとか流してとか、明らかに危険な香りが……だいたいコレって、あのゲームのα版ですよね?
鳳飛鳥:α版?
料理部の部長である土矢重雄(2年生)がややビビリながらゲームを見つめる。重雄の口に出したα版という単語に、普段ゲームをやらない飛鳥とひよりがさらに疑問符を頭に浮かべる。その質問に答えたのは最近入部した少し影のある先輩、門路建(3年生)だった。
建:通常のゲームは発売前にβ版として一般プレイヤーにテストプレイを行ってもらう事がある。α版はさらにその前、関係者が行うテストプレイ品だ。
ひより:そうなのですか。
建:だが……でも、本当にこれが……。
恒輝:部長も知ってるみたいですけど、門路先輩も知ってるんですか? あの、もしこのゲームが噂通りなら……これって――
流子:そうだね! 呪いのゲームだよね!
一同:『!?』
アンダーグラウンドに流れる呪われた伝説のゲーム。古武術道場の家に生まれた坂月恒輝(1年生)も、その噂だけは聞いた事があった。だが口に出すのをためらっていると、それを物怖じせずに言い放ったのは……門路建と同じ最上級生、黒木流子(3年生)だった。
流子:あれ? 違ったっけ?
建:いや、何も間違ってない。噂が本当ならこのゲーム……――と説明して良いですか?
GM:いいよ。さっき判定に成功した恒輝、重雄、流子、建の4人は知っていて良いです。曰く「トゥルーエンドを見れば何でも願いが叶う」、曰く「ゲーム世界から帰ってこれなくなる」、曰く「ゲーム世界で死ぬと現実の世界でも死ぬ」……そんな噂をです。ちなみにゲームの世界観は西洋ファンタジーのMMORPGです。
建:――と説明しました。
ひより:そ、そんな怖いゲームなのですか……?
恒輝:う、うーん……。
ヒカル:部長、そこの醤油取ってくれよ?
重雄:何食ってるんだよお前は! まぁ、その気持ちは解るけどさ!(笑)
ヒカル:料理部で作った余ってる肉じゃがとか食ってるってことで、あんまゲームに興味無いし(笑)
GM:「まったくあんたは……このゲーム、配布された当時から、何人もの大金持ちがトゥルーエンド見たさに大枚叩いてプレイヤーを雇ったって話もあるんだよ? 何でも願いが叶うゲーム! みんな、もっと盛り上がろ〜?」
恒輝:でも先生、門路先輩の話が本当なら……悪い噂もあるんですよね?
GM:「『ログインしたら出れなくなる』ってやつ?」
恒輝:そう。危なくないんですか?
GM:「恒ちゃんは真面目だねぇ〜」――先生は面白そうにニヤニヤします。
鳳飛鳥:本当に人が帰ってこれないのなら、どうやってそれが外に漏れたんだい?
恒輝:……あ。
鳳飛鳥:普通に考えて、そんな事はありえないさ。
流子:飛鳥ちゃんは駄目だなぁ〜、それこそゲームなんだしそんな事気にしないでプレイするのが正解だよ?
鳳飛鳥:りゅ、流子先輩……あたいはただ、一般論を言っただけで。
GM:「ま、噂を信じる信じないは人それぞれで構わないけどさ……ここに1つのゲームがある! なら、ゲームをプレイするのが人のサガじゃぁないかい? みんな?」
流子:ねぇ先生、先生はどんなお願いごとがあるのー?
GM:「そりゃあもちろん、教師なんてやらないでも一生暮らせるお金が欲しいなぁ〜」
重雄:それはダメだろう!?(笑)
ヒカル:いや、さすが衣織姉ぇだ(笑)
建:それで、すぐにでもプレイできるんですか?
GM:「ううん、これって専用のバイザーが必要なのよ。だからやってみたい人の人数を確認しておきたくって。参加する人の分だけバイザーを知り合いに送ってくれるよう手配しておくからさ」
ひより:そ、それなら……わたくし、やってみたいです――えいっ、って感じで手を挙げます。
恒輝:おい、良いのかよ? 呪いのゲームかもしれないんだぞ?
ひより:呪い……かは解りませんけど、わたくし、いろいろと挑戦したいなって思っているんです。
流子:ひよっちがやるなら、美空もやるよね?――とNPCで同じ3年の美空に言おう。
GM:「ああ、せっかく先生が持ってきてくれたんだし、遊んでみようか」――軽音楽部と兼部してて、ひよりの事を可愛がってる南雲美空も参加を希望します。
建:オレもやりますよ、先生。あと、尾道も参加にしておいて下さい。やる時は連れてくるんで。
GM:「おっけー、最近入った1年の尾道くんも参加っと……あとでうーみんにはメールで確認しておこうかな」――うーみんってのは現役アイドルの聖海音です。今日は部室にいませんが、ゲームプレイ時にはシナリオ上来ている予定です。
流子:私は参加しまーす! それで部長は私達がゲーム終わった時にご飯を用意しておくお留守番役で!
重雄:ちょ、流子先輩それはヒドイじゃないですか!(笑)
流子:だってあんまり興味無いんじゃないの?
重雄:いや、まぁ、別にそこまでやりたいかと言われると……。
鳳飛鳥:ゲームの世界から帰って来ないってのは、もしかして伊緒の気持ちを知るいい機会かもね、重雄。
重雄:あ、そうか……そう言われたら、ちょっとは参加してみようかと思うかも。
鳳飛鳥:それじゃあ先生、あたいと重雄もやってみるよ、そのゲーム。
ひより:部長の妹様は、ゲームが趣味なのですか?
重雄:趣味っつーか、廃人っつーか……あんまり、褒められたもんじゃないけどね――苦笑いしよう。
恒輝:例えゲームでも、趣味とか自分で没頭出来るものがあるって凄いと思いますけどね……やっぱり、俺もやってみますよ。趣味になるかはわかりませんが。
GM:「オッケー、じゃあ11人分のバイザーを手配しちゃおう! プレイ開始は明日にするから、みんな宜しくねぇ〜」――と言いつつ、α版のCDを部室に置いてある先生用の金庫に保管します。
ヒカル:さりげなく俺がメンバーに組み込まれてるしな(笑)
重雄:金庫には『レアモノ』とか『先生私物!』とかシールが貼ってあるんだろうな(笑)
GM:「それじゃあ今日は解散〜、それぞれ願い事を考えてくるんだよ〜」

◆Opening 02◆キャラクター登録

その日の夕方、ゲームの話を衣織先生に聞くと、登録キャラクターだけは事前に作成して保存しておけるツールがあると教わり、ひよりは先輩の南雲美空と、夕飯代わりのご飯を部室に残って食べていたヒカルに手伝ってもらいつつ仮登録を済ませる事にした。
GM:次はひよりのシーンです。
ひより:それでは先生から聞いたツールを使ってパソコンでキャラクターを仮登録致します。美空先輩とヒカルくんが手伝ってくれると助かるのですが……。
ヒカル:おう、手伝ってやるよ! 俺は夕飯を部室で貰って食ってた所だから暇だし。
GM:「あんた、家で食べないと親が心配しないの?」――と美空はヒカルに注意しつつ、ひよりを手伝ってくれます。
ひより:えっと、まずは何をすれば……。
GM:「まずはクラスの選択みたいだね。ひよりは何がしたい? 攻撃? 回復? 魔法?」
ひより:え、えっと、できれば初心者でも大丈夫な役割だと助かるのですが……。
ヒカル:じゃあ戦士だよ戦士、このゲームだとファイターだっけ?
ひより:ファイターだと、簡単なのでしょうか?
ヒカル:わかんねーけど、初心者はとりあえずファイターやって剣振って敵を倒せば良いって聞いた事あるぜ?
GM:「まぁ、間違っちゃいない気もするけど(笑)」
ひより:先輩もそう言って下さるなら、わたくしはファイターに致します――人差し指でキーボードのボタンを押しながら(笑)
GM:「そう言えばひよりは、何か願い事とかあるの?」
ひより:先生みたいな大それた願いはありませんけど……でも、しいてあげるなら……。
GM:「あげるなら?」
ひより:わたくしは……変わりたい、です。
GM:「変わりたい、か。それも良いかもね」
ひより:はい――とほほ笑みます。
GM:「あ、そうそう、名前も登録しておかないと……まぁ、先生が今回は本名でやれって言ってたから、それで良いと思うけどね」
ヒカル:本名プレイって衣織姉ぇヒドイな(笑)
GM:今回は同時にログインするって遊び方なので、現実世界と呼び方や外見が同じ方が良いって理由です。
ひより:それでは名前はひよりにして……称号(コードネーム)って何でしょうか?
ヒカル:俺が常夏のパワフルガイって呼ばれるみたいな奴だな!
ひより:あだ名……みたいなものでしょうか? こ、困りました……そういうの、わたくし、思いつかなくて……美空先輩、何かないでしょうか?
GM:「うーん、私もネーミングはなぁ」
ヒカル:じゃあ俺が付けてやるよ!――っで良い?
ひより:あ、それは助かるのでお願いします、ひよりとしても――本当ですか? それではお願いしても宜しいでしょうか?
ヒカル:おう! 明日までに良い奴俺が考えておいてやる、任せとけ!!
後日、ひよりがゲームにキャラクターを登録する際、ヒカルは本当にひよりの称号を考えて来ていた。
『渚のぴちぴちギャル』
ヒカルのネーミングセンスは、とても残念なことが発覚した。

◆Opening 03◆坂月家の人々

坂月家、そこは古流剣術の道場を代々伝えてきた家である。
坂月恒輝はその日、家に帰ると珍しい人物の靴があるのを玄関で知った。
それは……何をしても敵わない、姉、那岐の靴だった。
恒輝:今日は姉貴が家に帰って来てて、両親が姉貴をちやほやしているシーンが良いです。
GM:どんなシーンよ(笑)
恒輝:夕飯前に道場で、父親が――「ここまで腕を上げていたとはな……さすがは那岐だ、すでに私を超えている」
GM:ああ、了解。それで父親が――「稽古はここまでだ、そろそろ母さんのご飯が出来上がる頃だしな」
恒輝:姉貴は無言で頷いて、食卓のある部屋へと2人して戻ってくる。そして俺はすでに食卓の席についてる、そんな感じです。
GM:ならお母さんが――「そう言えば恒輝、高校で剣道部に入らなかったんだって?」
恒輝:ああ、もう剣術は……いいかなぁって……。俺には剣の、才能、無いしさ。
ひより:(父)「母さん、その話はしないで良いと言っただろう……恒輝、お前もだ。伝承者は那岐に決めた。お前は自由に、好きな道を行きなさい」
恒輝:……はい。
GM:お母さんが気を使って――「ねぇ那岐、あなたまたすぐにどこか出かけちゃうの?」と、那岐に聞いて、それに対して静かにご飯を食べてた那岐は――「ええ、仕事だから……」とボソリと。
恒輝:姉貴、いつまでそんなふらふらした仕事してんだよ。姉貴はこの道場の跡取りなんだぜ?
GM:「……それだけの強さは持っているつもり」
恒輝:さらりと言われた……――ああ、そうだよな!――と言って部屋に戻る。
GM:「恒輝」
ひより:(父)「放っておけ」
恒輝は自室に戻ると乱暴にドアを閉め、そしてベッドに倒れ込むようにうつ伏せとなる。
くそっ、くそっ、くそっ、自然と心の声が口から漏れ出す。
中学卒業のあの日、父親から道場の跡取りとして見限られてから毎日噛みしめる苦さが、リアルな味となって身体中に広がっていくのがわかる。
恒輝:くそっ! くそっ! やっぱり、やっぱり力が無いと駄目なのかよ!!
GM:そこで昼間の先生の言葉がフラッシュバックする――
――「このゲームをクリアすれば、何でも願いが叶うんだってさー?」
恒輝:何でも願いか……そしたら俺は……
ベッドの上で仰向けになり、片手を天井に伸ばす。
恒輝:……力が、欲しい。

◆Opening 04◆飲んだくれの家

バイトをしない日は料理部の部室で夕飯を作って帰るのが日課だった。
家に帰ればあのロクデナシがいる。
  ゆっくり料理をしようにも難癖付けられ邪魔されるのがオチだ。
もっとも腕っ節ならあのロクデナシに負ける気は更々無い、それでも実の親を本気で殴れないのは、自分がかつて家族4人で仲良く暮らしていた頃を今でも夢見ているからかもしれない。
鳳飛鳥:あたいは料理部で夕飯を作って、家に持って帰ってくる。
GM:家で作らないの?
鳳飛鳥:作れる環境じゃぁないんでね。というわけで家に帰ってくると飲んだくれの駄目親父が何もしないでテレビ見てるとか、そんなシーンで(笑)
GM:ヒドイシーンだけど了解したよ! キミが玄関を開けると居間の方から野球中継の音が聞こえてくる。部屋の空気はいつものように酒臭い。今日もすでに飲んでいるようだ。
鳳飛鳥:はぁ……と思いつつ台所に向かおう。
GM:「おい飛鳥! 帰って来たなら帰って来たって言わねーか!」
鳳飛鳥:無視。
GM:「おい、聞いてるのか! 酒だ! 酒が尽きたから酒を買って来い!」
鳳飛鳥:親父、いい加減あんたも働きな。酒を買うにも飯の材料にも金はいるんだ!
GM:「ああん? 何を言ってやがる、いくら働いたってな、金は酒に消えるんだ! なら働く意味ないだろうが!」
鳳飛鳥:そんなんだから母さんも家を出て行くんだよ。
GM:「飛鳥、てめぇ、あいつの話はするんじゃねーって何度言ったらわかるんだ!」――と殴って来ます。
鳳飛鳥:こんの……クソ親父が!――と回避して全力で殴り飛ばす!
GM:親父さんは吹っ飛びます――「て、てめぇ!?」
鳳飛鳥:殴ったままのポーズで下を向きつつ――親父、あんたは昔、こんなんじゃなかったはずだ……でも、中学の頃、あんたがこんなになっちまって……母さんが、小鳩が、家を出て行った……。
GM:「んだとぅ? 全部俺のせいだってーのか! 止めたきゃお前が止めりゃあよかったじゃねーか!」
鳳飛鳥:確かにあたいにも責任がある……みんなバラバラになって、止めれば良いのに反発して……。
GM:「そうだ! お前が不良にならずにちゃんとしてりゃあなぁ……おいっ、酒だ! 酒がねーぞ!」
鳳飛鳥:クソ親父が……!――親父が気絶するまでフルボッコにして、一端家を出よう。落ちつきたい。
GM:じゃあ夜中に外に1人、夜風にあたって少しだけ冷静になれます。
鳳飛鳥:夜空を見上げながら、先生が言ってたゲームの話を思いだそう。
「願いか……もし本当に叶うなら……昔のあの頃に戻れたら……」

◆Opening 05◆廃人ゲーマー

いつものように暗い家。両親は警察の仕事で遅く、平日にも家に帰ってこない日の方が多い。
そんな家で土矢重雄は妹の伊緒と2人暮らしと言ってもおかしくない毎日だった。
  親が仕事ばかりになったのは中学2年生の頃からだったろうか。
  それ以来、妹の面倒は兄である重雄の役目となっていたが、小学校高学年になり、自分でいろいろな事を判断するようになった伊緒は、重雄を邪剣に扱い、やがて重雄も伊緒を放置する事に慣れてしまっていた。
重雄:帰ると両親はいつものように家におらず、リビングだけ明かりが付いていて妹の伊緒がゲームをしている。そしてそのゲームはダブルクロスα版って事で!(笑)
GM:キミがそれで良いなら……伊緒は最新型のヘッドセットを付けてゲームしてるね。
重雄:伊緒〜? いるのか〜?
GM:ゲームに夢中なのでいつのもように無視するよ。
重雄:僕はいつも妹に無視されているのか(笑)
GM:ゲームの方が優先度高いので仕方ありません。
重雄:仕方ないのか……どうしてこうなった!――おい、伊緒、夕飯作るからゲーム止めろ、何が食いたいんだよ?――とヘッドセットをスポっと外そう(外すジェスチャーをする)。
GM:(本人がダブルクロスと言っていたし、この場合は……)うん、それじゃあ伊緒はパタリとその場で倒れます。
重雄:えええええ!?(一同爆笑)
GM:さっきまで反応してたのに、ヘッドセットを外した途端にピクリとも動かなくなります。
重雄:い、伊緒〜〜〜!? 伊緒! 伊緒!? ど、どうしたんだ!?
鳳飛鳥:そこで近所のあたいが登場しても良いかい?
重雄:是非来てくれ!(笑)
鳳飛鳥:重雄のうるさい声を聞いて、何かあったかと家に上がり込む。
GM:するとヘッドセットを持ったままあたふたする重雄と、その前ので倒れている伊緒。
鳳飛鳥:重雄……あんた……。
重雄:ち、違う! 違うんだ! 僕じゃない!
鳳飛鳥:誰もあんたを疑ってはいない、とりあえず落ち着きな。
重雄:その、伊緒がゲームに夢中で僕を無視するから、ヘッドセッドを外したら……こうなった!
鳳飛鳥:重雄を放っておいて病院に電話、救急車を呼ぼう。
重雄:お、おお、さすが飛鳥だ、頼りになる。
鳳飛鳥:はぁ……と溜息しつつ保険証とか病院に行く準備をしようかね。
やがて救急車が土矢家の前に止まり、伊緒と家族(と思われた)飛鳥と重雄を伴いこの街一番の大病院、黒木病院へと運ばれる。
廊下の椅子で伊緒の診断結果を待つ2人。そして……
GM:医者が椅子に座った2人の前にやってきます。
重雄:伊緒は!? 伊緒は大丈夫なんでしょうか?
GM:「なんとも言えない状態ですね……病気や発作というわけでも無く、ただ意識を取り戻さない。原因不明ですよ。もっとも命に別状は無い……そう言える状態ではあるので、ひとまずは安心して下さい」
重雄:よ、良かったぁ……。
GM:医者は原因解明まで、または意識を取り戻すまで入院する事をお勧めします。
重雄:入院するよ! 即決で!
鳳飛鳥:先生、こういう事って良くあるのかい? 伊緒、彼女はゲームをやってて倒れたみたいなんだ。
GM:「ゲームですか……ヘッドセット型が発売された当時は、光の明滅などの対処がされておらず、時々意識を失うケースがありましたけど……ここ3年ぐらいで改善され、今ではほとんどありませんね」
鳳飛鳥:そう……ですか。
その日は伊緒を入院させる手続きを済ませ、2人は家へと戻る事にした。
病院からの帰り道、暗い空にぽつりぽつりと電灯だけが光を放っていた。
重雄:なんか……違うと思うんだ。
鳳飛鳥:何がだい?
重雄:伊緒の頭からヘッドセットを外した瞬間、何か……何て言うか解らないけど……こう、魂が抜けたような、そんな感じがして、さ。
鳳飛鳥:魂が抜ける?……重雄、伊緒はどんなゲームをしてたんだい?
重雄:それなら、家に戻れば……――
2人は土矢家に戻ると、伊緒がプレイしたままのヘッドセットを確認する。
そのヘッドセットはログインしたままの状態になっていた。
そして伊緒がプレイしていたゲームは……――
重雄:こ、このゲームは……――ふるふると膝から崩れ落ちます。
鳳飛鳥:あたいは仁王立ちのまま目を見開こう――『ダブルクロスαテスト版』
重雄:そこで僕は昼間の先生の言葉がフラッシュバックするんです!
――「ゲームをしたまま帰ってこれなくなるらしいよ〜?」
重雄:そんな……馬鹿な……。

◆Opening 06◆もう一人

生浄院市でも一番の大病院、それが黒木病院だ。
その病院の隣の敷地に建つ立派な豪邸、それが病院を経営する黒木家の家である。
黒木流子の家庭環境は決して悪くない、お金に不自由したことは無く、両親は普通に存在し関係性も決して悪くはない。ただ、それなのに流子は心に傷を負っている。それは……――。
流子:家に帰って来ても私の家は普通に両方とも健在です。兄の正だけは部屋はそのままで、防衛隊に行ってるのでいません。
GM:まぁ、普通だねぇ。
流子:両親と一緒に普通にご飯を食べて、普通にお風呂入って、普通に部屋で1人――さぁーって、どうしようかなぁ?
GM:じゃあ部屋で流子は1人のシーンで行こう。
流子:うん、私はそれで呟きを続けます――流子どうしたら良いと思うー? 流子の願いとしては〜、私の中でワタシとか言ってるルーシーちゃん……消しちゃおっかなぁ〜?
ベッドに寝そべりながら、流子は楽しそうに話をする。
それは自分に向けた独り言。
流子:だって〜、普通は1人じゃん? 2人いるっておかしいと思わない? 思うよね〜?
ベッドから上半身を起こす流子。
机の上にある鏡に自身の顔が映る。
それは……楽しげに話す流子とはまったく別の顔だった。
流子:鏡に映るはずの私の顔が、暗くて冷たい顔なの。でも私の口調はあくまで楽しげに――そうだ! 良いこと思いついちゃった! なんだと思う? あのね、私がゲームをクリアして、ルーシーちゃんを消して、流子が唯一の流子になるの!
明るく話す流子は、まるで友達と長電話している女子高生そのものだ。
だが、その手に電話は無い。
ただただ、机の上の鑑に映った自分の顔が、冷たく暗い瞳を自分に向ける。
流子:『勝手にすれば良い……』――そう、底冷えするような暗い声が聞こえます。
GM:ああ、もう1人の演出ね。
流子:『ワタシは出る権利が無いから……お兄ちゃんがいなくなってからワタシはもう……エゴの世界には、絶望しか無い……』――そして鏡を見る角度が変わって私の顔が消えます。
GM:もう1人が引っ込んだ演出か!
流子:そうそう。私はまだ明るく言うの――ほら、そうやってすぐに引き籠る。だから友達出来ないんだよ? 流子ちゃん……違う、ルーシーちゃん?
建:と、そこで流子に電話しても良いかな?
GM:流子が良いなら。
流子:問題無いです。鳴る携帯の画面を見て――あ、友達の建からだ。それじゃあ私は友達とお話あるから……またね?――と机の上の鏡をパタン。
中学からの同級生である建からの電話は、少し切羽詰まったような内容だった。
本人はいたって冷静を装っていたが、私にはわかる。
「一緒にあのゲームに参加して欲しい」
それが建の電話の内容だ。どうやら呪いのゲームと聞いて手を引くメンバーがいるかもと心配らしい。
建はどうしても願いを叶えてみたいらしく、クリア確率を上げる為にできるだけ人数が欲しいとの事だった。
流子:「でも、なんで私に頼みに?」
建:「え、それは……お前なら、なんか本気でゲームしてくれるって気がして……」
流子:「うん、任せて! それじゃあ明日、協力してゲームをクリアしようね!」――と電話を切って、ベッドに倒れ込もう。
「本気でゲームをしてくれそう……か」
流子は手を顔に当て、笑いを堪えるように呟く。

「うん、流子は本気でやるよ……本気で、ね?」

◆Opening 07◆本当の決意

3年前、自分が事故に巻き込まれたせいで、母はゲームの世界へ現実逃避しそのまま意識不明の植物人間になった。そして父は、自分が目覚めた時にはもう……失踪し行方不明になっていた。

そんな過去のせいか、明るい中学生だった門路建は高校入学と同時に180度性格が変わっていた。
全ては母親を目覚めさせる為、その為なら何だって手を伸ばし首を突っ込んだ。
しかし……未だに母親は目覚め無い。

そんな時だった、母親が最後にやっていたゲームMMORPGダブルクロスα版を、料理部の顧問が入手しようとしているとの情報を得たのは。
建:流子に電話し終わったあと、夜に黒木病院に行きます。母親が入院している場所です。
GM:本当ならこんな夜に病院に入れないんだけど……キミのお母さんが入院して何年だっけ?
建:俺が中三の頃からだから、約3年ですね。俺は3年間、なるべく通い続けてます。
GM:なら特別に知り合いの看護師さんに会って、入れてくれたって事にしよう。
建:なら母親の特別病室、ガラスの向こうでは植物状態で眠っている母親がいる。俺はガラスに手を付いてじっと見つめてます。
GM:それじゃあ馴染みの看護師さんがやってきます――「今日も異常はありませんでしたよ?」
建:そう……ですか。これからも宜しくお願いします。
GM:「ええ……。いつか意識が戻られると良いですね」
建:小声で言おう――すぐ戻してみせますよ。
GM:看護師さんは会釈して持ち場に戻ります。
建:看護師がいなくなったらガラスに手をついたまま絞り出すように言おう――何も知らないクズどもが、勝手な事を言いやがって!
重雄:い、意外とダメなキャラだったのか(笑)
流子:私はなんとなくそんな気がしてた(笑)
建:母さん、もうすぐだよ……やっと手掛かりを見つけたんだ。そのゲームをやれば、きっと母さんを……。
ガラスの向こうで、呼吸器を当てられた母親は3年前と同じ顔で眠っている。
あの瞳が開く日を、指が動く日を、口から名前を呼ばれる日を、どれだけ願い続けただろう。
だが、その願いがもうすぐ叶うのだ。
建:その為なら……俺はどんな事だってする。やってみせる。数年来の友人も、俺を慕う後輩も、なんだって……――と、そこで母親のロイスをSロイスに指定します。
GM:そうだね、キミは母親がモチベーションだし、Sロイスにするのは良いと思う。
建:決意と共にガラスから手を離し、俺は暗い病院の廊下を歩いて去って行きます。あとはただ、コツンコツンと足音が遠のいて行く。

◆Opening 08◆ゲームオタクの困った従姉

赤光ヒカルの家庭は片親である。
母親は仕事をしながら自分を育ててくれた為、小さい頃は寂しかった記憶もある。

それでも自分が明るく素直に育ったのは従姉の衣織の存在が大きい。
不在がちな母親に変わって、年の離れたその従姉はなんだかんだと家に来ては相手をしてくれたものだ。 そんなわけで他人からは自分勝手でわがままに映る衣織だが、ヒカルにとっては大切な家族の1人だった。
GM:夜中の11時ぐらいに、ヒカルの家のインターホンが鳴ります。ピンポンピンポンピンポン。
ヒカル:この3連発、またあの小さい人か……。態度は大きいけど。
GM:正解(笑)
ヒカル:うちは父親がいなくて、母親の妹の娘が衣織先生ってことで。
GM:了解、それじゃあ衣織先生が玄関に倒れ込みます――「さおりおばちゃん、ご飯食べさせて〜」
ヒカル:衣織姉ぇ、こんな時間にご飯なんて無いよ……――と玄関に出て行こう。
GM:「ええ〜、なんかあるでしょう〜? 私ゃ、今まで皆の分のヘッドセットを入手するのに躍起になってたっていうのに……冷たいねぇ」
ヒカル:はぁ……あ、冷蔵庫にならアイスぐらいあると思うけど?
GM:「じゃあガリガリする奴で〜」
ヒカル:63円の夕飯を出そう(笑)
GM:「ひや〜、生き返るねぇ〜?」――美味しそうに食べます。
ヒカル:なぁ、衣織姉ぇも今度の7月で30だろ? 良いのかよそんなんで。
GM:「あっはっはっ、ヒカル、お姉さんを舐めるんじゃぁないよ? 私ゃ7月の七夕で29歳、まだまだ30には届かないのだよ?」
ヒカル:ほとんど変わらないじゃないか(笑)
GM:「いやいや、その1歳がでかいのさ」
ヒカル:でかいのさって……威張られてもな。だいたい29にもなって、夕飯作るのがメンドクサイからってうちに来るのもどうかと思うし、学校の授業だってみんなが衣織姉ぇの事なんて言ってるか知ってる? 自習ばっかりだって言ってるよ。
GM:「ええ〜、授業が自習って学生にとっちゃ天国じゃない? 私ゃその方が嬉しかったけどねぇ〜」
ヒカル:だからってゲームしまくってて良い理由にはならないだろ?
GM:「何言ってるんだい、人生ってのはねぇ、年を取れば取る程、遊ぶ時間は少なくなっていくんだよ?」
ヒカル:……だから?
GM:「1歳でも若いうちに、たくさん遊んでおかないといけないってわけさ」
ヒカル:ぜんぜん真面目に授業やる気ねーなーって思ってよう(笑)――あ、そういえば今日言ってたゲーム、あれってどこまで本気なの?
GM:「どこまでって?」
ヒカル:ほら、願いが叶うとか、実際に死ぬとか。
GM:「う〜ん、全部アングラの都市伝説だからねぇ〜、全部本当とも言えるし全部眉つばだとも言える……かな」
ヒカル:……はぁ、まあいいや。そう言えば、どんなキャラクターやるかとか決めておいた方が良いのかな?
GM:「そうだねぇ、アタッカーとかサポートとかガードとか、それぐらいは決めておいた方が良いかもね」
ヒカル:なら俺はファイターだな! パワフルガイって友達に言われる俺は、やっぱりタフなキャラクターじゃないと!(笑)
GM:「あんたは変な所でノリが良いと言うか、頭が悪いと言うか……」
ヒカル:何か言った、衣織姉ぇ?
GM:「ううん、なんでもないさね……でもヒカル、あのゲーム本当に願いが叶ったら……どうする?」
ヒカル:別に? 今目指しているのは展覧会での金賞だけど……それは自分の力で取りたいしなぁ。
GM:「まぁ……そうだねぇ〜」
ヒカル:とりあえず、ガリガリ食ったら風呂入って寝なよ? 俺は先寝るわ、おやすみ衣織姉ぇ。
赤光ヒカルは自室へ行き、体の疲れに任せるまま夢の世界へ落ちて行く。
その時は思ってもいなかったのだ。
この日が、ヒカルにとって最後の、平穏な日常だったことを……。

◆Opening 09◆深夜のゲーム

生浄学園、料理部、部室。
深夜、真っ暗なサークルの部屋に明かり、いや、放電のような光が明滅する。 部屋の中で放電しているのは、昼間にあのゲームを保管した金庫だった。

放電の光が明滅するのにシンクロするように、若い女性の声が聞こえてくる。

――早く……世界へ……この世界は……
――たす……けて……

やがて放電が止み、真っ暗な部屋へと戻る。
画面がさらに暗くなりブラックアウトする。
暗い闇の中、ゆっくりと文字が浮かび上がってくる……

―― 『ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・AR』
グランドプロローグ

「伝説のゲーム」

MIDDLE PHASE

◆Middle 01◆目覚まし時計

枕元でけたたましい音を目覚まし時計がたてる。
高校に入学するまでは、かなり早い時間に起きて剣を振っていたのに、今は朝食の前に起きれば良いと言われている……。
目覚ましが鳴ってから起きたと思われるよう、少しだけ間を置いて時計を止める。
坂月恒輝の一日は、そうやって始まるのだ。
GM:では、最初のシーンは朝です。シーンプレイヤーは坂月恒輝、家で朝食を取っています。お姉さんの那岐は、登校時間があるわけでもないのでゆっくり自分のペースで食べています。
恒輝:俺はいつもより早目に飯を食い終わって、さっさと出よう――ごちそうさま。
GM:「恒輝、将来の道は……決めたの?」――テーブルを立つ弟に、那岐がぼそりと聞いてきます。
恒輝:別に……決まってないけど……。
GM:「ここを継ぐ気が無いのなら、どうなりたいか考えておいた方が良い」
恒輝:ギリっと拳を握りつつ――そうだよ、俺は姉貴みたいに力も無ければ才能も無い、どうせ坂月流も継げやしない。でも、だから俺はいろいろやってるんだ、姉貴に心配されたくなんかないっ!
GM:「………………」――那岐は無言で見つめます。
恒輝:くそっ!
GM:すると恒輝の声を聞いて台所から母親が――「ちょっと恒輝、朝から何お姉ちゃんと喧嘩してるのよ?」
恒輝:別に……俺だって将来ぐらい、考えてるって言っただけだよ。
GM:「そう。偉いじゃない? そういえば恒輝聞いた? お隣の氷山さん家のお兄ちゃん、登山家になるんだって在学中に海外留学までしたって話よ?」
恒輝:………………。
GM:お母さんはポンポンと肩を叩きつつ――「あんたもやりたい事が決まったなら、それぐらいやったって良いんだからね? お母さん、応援してあげるから」
恒輝:う、うん。
GM:そしてお姉さんが――「いっそ海外も悪くないかも……逃げるのなら」
恒輝:いってきます!!

◆Middle 02◆朝の登校

初等部から大学まで一貫のエレベーター式のモンスター学校、生浄院学園。
その登校風景は圧巻と言える。小さな子供から大人までが一斉に同じ方向に歩いて行くのだ。
また、この学園は私服登校が許可されているため、制服を着ていない学生がいるのも特徴である。
GM:次は朝の登校シーンです。シーンプレイヤーは流子。
流子:それじゃあひよっちに登場して欲しいな!
ひより:わかりました。登場させて頂きますね。
流子:ひよっちおっはよー!――と着物のひよっちに後ろから抱きつく!
ひより:きゃっ!?って驚いてから挨拶しよう。おはようございます。
流子:そういえばひよっちはもう決めた? ね・が・い・ご・と!
ひより:あ、えと、その……。
流子:やっぱアレだよねー! ひよっちはアレしかないよね!
ひより:え、ええ? アレって、その、何でしょうか?
流子:ずばり、アイドルでしょう!
ひより:確か料理部に現役アイドルの方がいらっしゃいましたよね?
GM:いるよー。聖海音、通称うーみんという高2の先輩だね。とっても明るく優しい良い人だ。
ひより:聖先輩みたいに……とは言えませんけど……はい、確かに変わりたいな、とは思います。
流子:やっぱりねー、そっかそかー。
ひより:でも、わたくしから見たら、流子先輩も尊敬する一人ですよ?
流子:え、私が?
ひより:はい! だって先輩変わったじゃないですか。高校に入学してびっくり致しました!
流子:そうかなぁ、流子は流子だと思うけど。
ひより:そんな事ありません! 2年あれば人は変われる。先輩とっても綺麗になられました!
流子:何言ってるのさひよっちは、私は昔から綺麗だって!……まぁ、ひよっちの言う通り、昔はちょっと暗くてダサくてイジイジしてて、友達の1人もいないような女の子だったかもしれないけど。
ひより:そ、そこまで言って無いのに(笑)――あの、流子先輩はどんな願いを?
流子:私は……もっともっと流子らしくなりたい!
ひより:先輩らしく……ですか?
流子:そう! だって嫌でしょう? 暗くて寝暗な子って……私はもっと明るく楽しく、綺麗になりたいもの!
ひより:うふふ……って笑っています。
重雄:その横を早歩きで通りすぎて行きたい。登場して良い?
鳳飛鳥:あたいも登場する。重雄が寝坊して遅くなった事を文句言いつつ。
GM:どうぞ、登場して下さい。浸食率のアップは忘れないように。
鳳飛鳥:先生にあのCDとヘッドセットを確認して貰いたかったのに、あんたが寝坊するから遅くなったじゃないか!――と怒りつつ通り過ぎます。
重雄:しょうがないじゃないか、昨日の夜あんなドタバタじゃ疲れて寝坊ぐらいするよ!――と、通り過ぎます。
流子:しげっちの襟を掴んで止める。
重雄:げふっ!?(笑)
鳳飛鳥:流子先輩、おはようございます。ひよりもおはよう。
流子:おはよう飛鳥ちゃん!
ひより:おはようございます。なにか急いでいたみたいですけど、何かあったのですか?
重雄:あ、ああ、えっと……急いでるんで!
流子:はい! 先輩命令〜! ゆっくり歩いて事情を話せ!(笑)
重雄:え、ええ〜!?(笑)
鳳飛鳥:はぁ……いや、言った方が良いさ。これからあのゲームをやろうってんだしね。
言っても良いものか迷いつつ、意を決して重雄は言う。
「『知り合いの子』がMMORPGダブルクロスαテスト版のプレイ中に倒れた」
そして今は、その子がプレイしていたバイザーを持ってきており、衣織先生に見せれば何か解るかもと急いでいた……そう話したのだった。

◆Middle 03◆ホームルームが始まるまで

朝のホームルームが始まるまでの時間は、学生にとって教室はまさに社交場だ。
昨日合ったこと、テレビのこと、放課後の遊びの約束、宿題の話。チャイムが鳴るまでの時間、それぞれの友達同士で集まり雑多な話をし続ける。

だが、今日の社交場は……一つだけ気になる噂が飛び交っていた。
GM:次は朝のホームルームです。シーンプレイヤーはヒカル、教室に入ってくると教室のみんなが「おはよう!」と挨拶してくる。
ヒカル:おう! おはよう!――あと恒輝も出て欲しい。
恒輝:じゃあ出る、ちょっと不機嫌そうに。
GM:教室の仲間は恒輝には壁を感じているのか、挨拶がありません。
ヒカル:寂しい奴だな(笑) 俺は恒輝にも挨拶するぜ! おはよう!
恒輝:おう。
ヒカル:なんだ、元気ねーな!
恒輝:……別に。
ヒカル:そういや放課後、お前は行くか?
恒輝:あのゲームか? ああ、行くつもりだけど……お前は行かないのか?
ヒカル:いや、来ないと後で解ってるなって昨日の夜脅された(笑)
GM:じゃあ脅しました(笑)
恒輝:そういや衣織先生と従姉なんだっけ? ま、姉なんていない方が良いよな。
ヒカル:なぜ共感してくるかいまいちわかんねーけど、同意しておこう――ああ、まったくだ!
GM:と、そんな感じで話していると、クラスメイトがヒカルに話かけてきます――「おいヒカル聞いたか? 昨日の夜、初等部の女の子がゲームのやり過ぎで病院に運び込まれたって話だぜ?」
ヒカル:初等部の? なんでそんなの知ってるんだよ?
GM:「いや、俺の友達の親が黒木病院の看護師やっててさ、それで教えてくれたんだ」
ヒカル:へぇ……ってか、なんで俺らにそれを言うんだよ?
GM:「だってお前らゲーム部だろ?」
ヒカル:違う! 俺は美術部だ!(笑)
GM:「じゃあ坂月?」
恒輝:俺だってゲーム部に入った覚えはねーよ。料理部って書いてあったし(笑)
流子:ちなみに料理部の扉には、遊びで書いた『美食クラブ』の看板が。
重雄:ちょ、何シーンに出て無いのに勝手な設定追加してるんですか!(笑)
GM:面白いから採用で!
重雄:おおいっ、顧問!(笑)
GM:「まぁゲーム部って冗談は置いておいてだ」
ヒカル:冗談だったのかよ、紛らわしいな。
GM:「実はその運び込まれた女の子、2年の土矢って先輩の妹らしいぜ?」

◆Middle 04◆屋上への呼び出し

土矢重雄の妹がゲームをやっていて倒れた。
その噂はいつの間にか高校で広まっており、重雄は否定したり無視したり、あれこれ聞いてくるクラスメイト達への対応に疲れ果てていた。

そんな時だ、先輩の門路建からメールで屋上に来るよう連絡が来た。
メールには他に「今日やるゲームについて話がある」とだけ。
妹の件もある、授業開始まで時間は無いが行くべきだろう。
GM:次は授業中のシーンをやろうと思います、ここからはNPCが登場する予定で――
建:あ、GM、俺は授業が始まる寸前ぐらいに重雄を屋上に呼び出したい。シーンを挟んでも良いか?
GM:じゃあそのシーンをやろうか。
建:重雄の妹がゲームをやってて倒れたって噂を聞いて、放課後になる前に話しておこうと思って……できれば誰もいない方が良いと思ったから授業開始間際で(笑)
重雄:そういう理由なら登場します。屋上に呼び出されました――先輩、どうかしましたか?
建:悪いな、授業も始まるって時間に。それより噂は本当か? 妹がゲームをやったまま倒れたって……。
重雄:噂になってるんだよね……なら全部話しましょう。かくかくしかじかで――もしかしたら、先生の言っていた呪いのゲームって本当だったとか、いや、信じたくないんですけど……。
建:あのゲームについて、俺は前から気になっていて噂を集めていたんだ……実際、先生の言うような噂はぽつぽつ見つかったよ。
重雄:そんな……。
建:だけど悪い噂ばかりじゃなかった。良い噂もあったんだ。それを伝えたくてね。
重雄:良い噂……ですか?
建:一度帰れなくなったが帰って来た……という人もいるらしい。
重雄:!?
GM:これはメタ的な質問だけど……それは嘘だよね?
建:嘘です。建的には流子を勧誘したみたいに1人でも協力プレイできるプレイヤーは多いにこした事は無いので。
恒輝:やってる事がほとんど敵ですよ(笑)
建:はっはっはっ、何のことかな(笑)――帰って来た人達の話によると、その鍵はゲーム世界でのクリア条件に関係していたって話だ。
重雄:ゲームクリアが戻る為の条件、そんな感じですか?
建:かもしれん。……そしてあのゲームは多人数協力型だ、本当に妹がゲームから帰れなくなっているとしたら……ゲームの中でゲームクリアを目指せば、何か助ける方法が出てくるかもしれない。
重雄:そ、そうですね。門路先輩、教えてくれてありがとうございます!――と、お礼して去って行こう。
建:いやなに、大したことじゃないさ……もっとも、この貸しはゲームの世界で返してもらうがね――ボソリと去って行く重雄の背中に呟こう。
授業開始のチャイムと共に、料理部の部長は教室へと戻って入った。
屋上に残された門路建は、重雄が消えた方向に視線を向けたまま口元だけでニヤリと笑った。

その時だ、背後――給水タンク――の方で物音がして誰かが屋上へ飛び降りてきた。
GM:と、せっかくなので登場する予定だったNPCを登場させます。給水タンクの上から建の後ろにジャンプして降りてきます。
建:なんと!? それじゃあ冷静に口元の笑みを消して振り返えろう。
GM:そこにいるのはキミと同じ3年生の料理部員、制服をアレンジしている南雲美空です――「お気に入りの場所でお昼寝って思ってたのに……」
建:南雲か。
GM:「いたいけな後輩を、変なふうに誘導するのはどうかと思うけど? たかがゲームじゃない」
建:ははっ、そう、たかがゲーム……だから? 皆と一緒にやりたいって思って何が悪い。
GM:「ふぅ……別に、私だって楽しみにしてるゲームだし、あんたが重雄をどうしようと口は挟まないよ」
建:ああ、そうしてくれ。できればさっき呟いていた言葉は聞かなかった事にしてもらいたい。
GM:「あんたがそう言うなら、別に口外はしないさ」
建:感謝しよう。
GM:「だけど……なんでそんなにゲームをするのに、いやクリアするのに、かな? 固執すんのさ」
建:これは他言無用で頼む。あのα版を作ったメンバーの中に俺の親がいるんだ。言うなればあのゲームは……親の形見とも言えるものでな。
GM:「……そういう理由か……あんたも大変だね。わかった、私もゲームは楽しもうって思ってたけど、なるべくクリアする方で頑張ってみるよ」
建:………………ありがとう。感謝する――そう言って南雲を置いて屋上から去ろう。顔は張り付いたように笑って無いままで。

◆Middle 05◆昼休み

この生浄院学園には1人の人気者がいる。それはテレビで活躍する現役アイドルだ。
学年は2年生、今や仕事が忙しくなかなか校内で見る事はできないその女子高生は、
なぜか料理部に所属していた。

彼女の名前は聖海音、アイドルとしての愛称は「うーみん」。
どこにいても人が集まってくる彼女は、たまに登校してお昼を食べる時いつも食べる場所が決まっていた。
GM:お昼休みのシーンをやります。シーンプレイヤーはひよりにしましょう。
ひより:それでは部室でお弁当を食べている事にします。ちょっとソワソワしつつ部室へ。
恒輝:あ、じゃあ俺も出て良いかな? 俺は静かな部室でコンビニのパンとか食べてると思うし。
ヒカル:友達いないもんな。
恒輝:放っておけ(笑)
ひより:ではトントンって扉をノックしてから入ります――あ、坂月くん。
恒輝:雫野さん? キミもお昼?
ひより:え、えっと……その、そうなのですが……――キョロキョロと先生がすでにゲームを持って来てないかなぁって思いながら(笑)
恒輝:それには気づこう――まだあのゲームはできないみたいだよ。先生が専用のバイザーを持って来ないと無理って言ってたし……それにCDは金庫に入ってるから、勝手に開けられないしね(笑)
ひより:あっ、そ、そうですね……――と赤くなろう。ゲームにワクワクしていたのを気づかれました。
恒輝:それ、弁当? 一緒に食う?
ひより:はい、それじゃあお邪魔します――隣に座ってお弁当を食べましょう。ゲームができないのはちょっと残念ですが。
GM:ひよりは意外とゲームやる気満々なんだね。
ひより:高校デビューな流子先輩のように、わたくしも何か変われるきっかけになれば、と思いまして(笑)
GM:なるほど。
ひより:坂月くんに話しかけましょう――いつもお一人でお昼を食べてらっしゃるのですか?
恒輝:別に、部室に来たのは、たまたまだよ。
ひより:………………。
恒輝:………………。
ひより:会話が終わってしまいました(笑)
GM:コミュニケーションが苦手な2人だしなぁ(笑)
ひより:もうちょっと頑張ります!――あ、あの、坂月くんは休日とか、何をしてらっしゃるのですか?
恒輝:最近か……最近は別に何もしてないな。趣味とかあれば良かったんだけど……。
ひより:お持ちで無いのですか?
恒輝:うん、今……探してる途中って言うか……そんな感じ、かな。
ひより:そうですか……。――GM、わたくし頑張りました(笑)
GM:OK、そこで登場予定のNPCを出そう。ドアがノックされて――「こんにちはー」と女の子が入って来ます。料理部の2年生で、現役アイドルの聖海音だね。お昼は人だかりができるから部室でこっそり食べるという設定です。
ひより:海音先輩。こんにちは、先輩もお昼ですか?
恒輝:俺、実はライフパスの経験表の「初恋」を聖海音にしてたんだよね(笑) 先輩の顔を見てちょっと硬直する。
GM:ウブな1年生って感じだねぇ(笑)
恒輝:ガタって席を立って一言だけ――こ、こんにちは。
GM:海音はにっこり笑って――「ええ、こんにちはひよりちゃん、恒輝くん」――と数回しか会った事ない2人の名前を呼びます。
ひより:さすが現役アイドル、人の名前は一度聞いたら忘れない(笑)
GM:そして海音は部室に2人しかいない事に気が付き――「あ、え、えっと、ごめん、もしかして……」――と慌て出す。
重雄:キョドりだした(笑)
恒輝:先輩、ぜんぜん、ぜんぜんそんなのじゃないですから! 先輩外で食べると大変でしょう、一緒に食べましょうよ!
GM:「え、ほ、本当? いいの?」
ひより:はい、是非ご一緒しましょう――と、アイドルなんて凄いなぁって思いながら笑顔で誘います。
GM:じゃあ海音は2人の正面に座るようにお弁当を広げます。
ひより:先輩は、今学校に来たのですか?
GM:「うん、朝から撮影で……終わってから登校してきたらお昼になっちゃった」
恒輝:アイドルと学生の二足の草鞋、大変ですよね。
GM:「うーん、アイドルの方は好きでやらせてもらってるわけだし……そんなにはって思うかな、あ、もちろん、大変は大変だけどね」
恒輝:大変だったら……やめたい、とか思わないんですか?
GM:「思う時もあるよ〜? 自分より歌が上手い人とか見ちゃうとね……でも、好きでやってる事だしね。それに……大変って言うなら、毎日授業に出て頑張ってるひよりちゃんや恒輝くんの方が凄いって思うよ?」
ひより:わたくし達……ですか?
GM:「うん。私はほら、授業に半分ぐらいしか出て無いから……しかも、その時間で好き勝手してるんだしね」――と笑顔です。
ひより:やっぱりアイドルの人は違うなぁ……って心の中で思っています。なんとなく心の中がアイドルのオーラに当てられてほんわかと(笑)
恒輝:俺はさっきの話題に戻すよ?――でも先輩はやりたい事が、やりたい仕事ができて……羨ましいって思います。
GM:「ぐ、偶然だよ〜? オーディションに本当に受かるなんて思って無かったし、今もドラマをやってるけど私なんかより演技の上手い人たっくさんいるんだから!?」――大仰な感じで手を広げます。
ひより:それでも、わたくしは先輩が眩しいです。自由に好きな事をやっている先輩は、とっても!
GM:「そ、そうかなぁ……」――と海音が照れます。
恒輝:くっ(笑)
GM:とそこで、校内放送が入ります――「今日の昼休みの音楽は、我が校の誇りであり、日本のトップアイドル、うーみんこと聖海音の先週発売された新曲。曲名は……『セイレーンの微笑み』」
ヒカル:曲名が80年代なんだけど(笑)
GM:海音は「も、もう、流さないでも……恥ずかしいなぁ」――と、さらに赤くなります。
恒輝:でも、この曲人気ですよ? まぁ先輩はどこに行っても人気でしょうけど(笑)
GM:「そ、そんな事言って……だいたい、人気って言うならひよりちゃんだって昔テレビ出てたんだよ?」
恒輝:あ、確か舞踊の天才子役が……とか、そんなのだったっけ?
ひより:そのフリを待っていました!――いえ、わたくしなんて、全然大した事無いですよ……それに、今わたくしがやってる事は、本当にやりたい事なのかなぁって……。
GM:海音は真面目に聞いてます。
ひより:お家の為に、お母様から習った舞踊……でも美空先輩や流子先輩いろいろな人と知り合って、わたくしももっと自由に何かをするべきなのかな、って……。
GM:「………………」
恒輝:いいんじゃないのかな。それでも。
GM:「そうだね……いろいろ挑戦してみる事は、悪いことじゃないと思うよ」
恒輝:それが合わないなら……また舞踊をやればいいんだし、さ――とぶっきらぼうに。
ひより:それはなんとなしに空気が悪くなったのを感じ取って謝ろう――す、すいません。なにか、真面目な話しをしてしまって……あ、えと、そうだ。坂月くんもお家が剣術の道場でしょう? 坂月くんは将来――
恒輝:最後まで言わせないように――家は家だろ。俺には関係無いさ。
ひより:あぅ……。
恒輝:でも、雫野さんは舞踊の才能があるんだし、それをとことん突き詰めれば良いのに……。
ひより:それは……。
恒輝:やりたい事だからこそ、才能があるって考え方も……あるんじゃない?
ひより:私は……でも……。
GM:「あ、お茶が!」――とお茶を海音がこぼします。
流子:アイドルが空気読んだ(笑)
GM:「ごめんねひよりちゃん、大丈夫? 恒輝くん、タオル持ってきて!」
恒輝:あ、はい!――タオル持ってこよう。
GM:ティッシュでテーブルとか拭きつつ――「ひよりちゃん、気にしないでも良いと思うよ? 今の家でやっている事に疑問を感じたら、時には違う事をやってみてさ。それで……ふと今までやっていた事が恋しくなったら、それが本当の、あなたの気持ちなんだよ」
ひより:先輩も……そうだったのですか?
GM:「辛い事はいっぱいあったよ……それでも私は――
「それでも私は、やりたいと思ったから……だから、歌うの」
海音の笑顔は、本気でいろいろな事を乗り越えた、そんな笑顔だった。
今の恒輝とひよりは、そんな海音を眩しく思えるのだった……。

◆Middle 06◆放課後、部室への廊下

呪いのゲーム、はたして本当にそんなものが存在するのか。
眉つばな都市伝説だが、重雄から聞いた伊緒のことを思うと鳳飛鳥は落ちつかなかった。
だからだろう、部室へ行く前にそいういう噂に強い最近入った1年生の元に向かったのは……。
GM:最後に部室に向かう廊下で、NPCの尾道満と話すシーンを作ろうと思います。シーンプレイヤーは飛鳥としましょう。
鳳飛鳥:なら呪いのゲームについて詳しく聞きたくって、一緒に部室へ向ってるって事で。
GM:「な、なんなんですか先輩、ちゃんと料理部行きますよ? なんか門路先輩にも昨日釘さされましたし」――伝説の不良の字を持つ飛鳥に、尾道くんはビビリ気味です(笑)
鳳飛鳥:先生の言っていたゲームの呪い、あれって本当にあるものなのかい?
GM:「ゲームの呪い……ですか? あの手の噂は多いですからね……正直、眉つばだと思います」
鳳飛鳥:じゃあ、あんたは信じて無いんだね?
GM:「あのゲームの呪いは……って限定されますけど。僕は黒魔術や呪い自体は存在するって思ってますからね」
鳳飛鳥:つまりゲームの呪いについては否定、だけど呪いが存在する事は肯定、か。
GM:「ゲームをやって呪われるなんて、理論的にありえないでしょう? まあ、ただこういう話のテンプレは踏襲しているみたいですけどね」
鳳飛鳥:テンプレ?
GM:「代償ですよ。何でも願いが叶えられる、でもゲームをしたら魂を抜かれる、みたいな。先輩も子供の頃、そういうおとぎ話とか聞いた事ありませんか?」
鳳飛鳥:そういう話なら、童話とかで読んだかもね。
GM:「ま、ゲームで呪いなんて信じられませんけど、それでもせっかく噂の都市伝説です。僕は正直楽しみです!」
鳳飛鳥:やれやれ……結局やってみないと何もわからないってことか。

◆Middle 07◆ゲームキャラクター登録

飛鳥と尾道が扉を開けると、すでに部室には3人の人物がいた。
ヒカルと建を手伝いに、衣織先生がゲームのセッティングを行っていたのだ。
ヘッドセットの数は11……本当に一晩で人数分を集めたらしい。
GM:ヒカルと建は自動登場で、衣織先生の手伝いをしてて下さい。
ヒカル:めんどくさそーに配線とかしてる。
建:超テキパキとやってる(笑)
重雄:そこで登場しよう――先生! あのヘッドセット、妹のやってたゲームが何だか何か解りましたか!?
鳳飛鳥:そのタイミングであたいも登場しようか、まぁ尾道と一緒にだけど。
重雄と飛鳥は学校に来てすぐ、伊緒が使っていたヘッドセットとゲームCDを衣織先生に渡しており、放課後までに調べておいてくれないかと依頼していたのだ。
GM:じゃあセッティングをヒカルと建に任せて――「いやー、見たよ見たよ、凄いねぇ〜。コレどこで手に入れたのさ?」
重雄:どこにって……妹がやってたんで、どこで手に入れたとかは解らないんですけど……。
鳳飛鳥:そんなに凄い物なのですか?
GM:「うん、まずこのヘッドセットも最新版だってのもあるけど、なによりこのゲーム、これ……α版だよ」
重雄:やっぱりって心の中で思おう。
GM:「ちなみに倒れたって聞いたけど……もしかしてプレイ時間って聞いちゃいけないレベル?」
重雄:え、えっと……はい、朝から晩までってやつです。
GM:「そりゃあ倒れるって! 小学生だったんでしょう? 駄目だなぁ重ちゃんは、もっと妹ちゃんのめんどうみてあげないと」
重雄:グサグサっ(笑)
鳳飛鳥:そうだ先生、伊緒の使っていたヘッドセットはどうでした?
GM:「電源入れたけど『ログイン中』って出ちゃうね。バグったまま変わらないから壊れちゃったんじゃないかな? なんかバグるような変な事したんじゃないのー?」
重雄:グサグサグサッ(笑)
GM:さて、そろそろ未登場の人は登場して下さい。南雲美空と聖海音も来ます。
ひより:わくわくしながら登場します!
ヒカル:俺はすでにセッティングでこき使われて疲れてる(笑)
恒輝:圧巻なヘッドセッドの数に思わず――先生、このヘッドセット代、大丈夫なんですか?
GM:「ああ、大丈夫大丈夫、今日は世界三大珍味を使った料理を作る予定だから」
恒輝:どこか大丈夫なのか1ミリも解らないけど(笑)
建:部費が使われている事だけは解った。
流子:ねぇ先生、ゲームってどれぐらいかかるのー?
GM:「キャラクター登録と、最初の街まで行く……って感じかな? 3〜4時間あればそこまで行くと思うから安心していいよ〜」――と言いながらヘッドセットを皆に配ります。
その後、先生による注意点としてアバターは自分と同じ外見、
同じ名前でやるように(衣織先生「ネカマとかやっても、本人知っているからキモイしね」)などを再び説明され、それぞれがキャラクターを登録する。

そして――
GM:「キャラクター登録はみんな終わったねぇ〜、それじゃあゲーム世界へログインするよ! みんな、準備はおーけー?」
ひより:どきどきしつつ待ってます。
建:ついに……あのゲーム世界に……。
GM:――と、皆がいくら待ってもゲームが始まりません。
流子:先生―、全然始まらないよ?
GM:「うーん、なにがいけないんだろう? とりあえずネットや配布元でパッチかなんかあるか探してみるかなぁ」
恒輝:α版なんだし、パッチなんて出て無いんじゃないですか?
GM:「ちっちっちっ、このα版、なぜか未だに管理者が動いてて、随時更新されてるって話なのさ」
恒輝:ふーん……。
建:………………。
GM:「とはいえ、それを探すのは家に帰らないとできないし……このゲームするのは、またちゃんと準備整ってからにしよっかー」
結局、その日はそのまま解散となった。
それぞれ思う事は胸に秘めつつ、部員達は帰路へつくのだった……。

◆Middle 08◆帰路

学校からの帰り道、影は3人だけ。
1年生のヒカルと恒輝を、3年の門路建が一緒に帰ろうと誘ったのだ。
建:1年生と邂逅してないから、帰るのに誘って下校でも良いかな?
ヒカル:じゃあ俺は恒輝と一緒に帰るから、先輩も一緒って事にしません?
建:ああ、それで良い。話題はゲームは楽しみだなーって話してる。
恒輝:話題決まってるんだ(笑)
ヒカル:ま、衣織姉ぇなら明日までになんとかしそうだし……きっとやれますよ(笑)
建:ちょうど明日は土曜だし、お昼食べたら部室集合って先生言ってたしな。
GM:じゃあ言ってました。明日は土曜日で昼過ぎに部室集合です(笑)
恒輝:それにしても……先輩ってそんなにゲーム好きだったんですね。
建:あのゲームだけな……そうだな、お前達には教えようか――と親父の名刺を渡そう。
ヒカル:名刺?
建:『プロジェクト・ダブルクロス・チームメンバー・門路将』――と俺が作った名刺です。
GM:ちなみに会社名は謎なので入ってません。
建:そういう事で(笑)
ヒカル:これってもしかして……あのゲームを作ったのが先輩の親父って事?
建:まぁ、そういうわけだ。
恒輝:通りで先輩があのゲームに詳しいわけですね。
建:3年前に親父は失踪したままだからな……あのゲームをやって少しでも、いなくなった親父に近づければ……って思ってる。
ヒカル:そうだったんですか!?
建:ああ、だからもし明日ゲームがプレイできたら、クリアを目指すのに協力してくれ。
恒輝:ええ、いいですよ。
ヒカル:俺も。
建:ありがとう、それじゃあまた明日な。

◆Middle 09◆先輩と後輩

学校から帰り道、尊敬する美空先輩にジュースをおごってもらった。
ジュースを飲みながら歩く――これは高校に入るまで、ひよりが出来なかったことだ。
こんなちょっとした事も高校に入り皆と出会うまではやれなかったのだ。
ひより:GM、美空先輩と帰りたいのですが……。
GM:いいよ、じゃあ美空が帰り道に自販機でジュース買ってくれて、ひよりに1本投げます。
ひより:わっ!?って受け取ります。
GM:ではジュースを飲みつつ、帰りましょうか。
ひより:わたくしはジュースを両手で持ちつつ――凄いですね、本当に……先輩と出会ってから、とても毎日が楽しいんです。先輩も部の皆さんも、わたくしの知らない事をいっぱい知ってる……。
GM:ゴクゴク飲みつつ――「そお?」
ひより:はい、わたくしはそれが……羨ましいって思っていましたから。
GM:「私達は当たり前の事を楽しんでるだけで、別段羨ましがられるような事は無いよ? ははっ」――と笑います。
ひより:いいえ! わたくしにとっては……全部、できないと思っていたことばかりだから……。
GM:「それは……家のせいで?」
ひより:わたくしの……勇気が無いから、でしょうか。わたくしはこのまま機械の歯車のように生きて、ずっと同じように周り続けるのだと思っていました……。
GM:「そんなの未来にならなきゃ解らないって! 悲観的に考えるもんじゃないの」
ひより:うつむいて嬉しいなぁって表情をします――はい、そうですよね。わたくし……今、とても楽しくて仕方が無いんです。明日のゲームも、とても、楽しみなんです。
GM:「そうだね、衣織ちゃんが頑張ってたしきっと明日はできるよ」
ひより:はい!
GM:「それじゃあ、私はこっちだから」――と別の道へ行きます。
ひより:手を振ってから家の方へ帰ろう。
GM:……が、たぶん美空はここで言うよねぇ〜。
ひより:呼び止められるのですか?
GM:ええ、呼びとめます――「ひより!!」
ひより:振り向きます。
GM:「ひより、あんたの美徳はその素直な所だ。だけどね……世の中の人間は、あんたみたいのばかりじゃない」
ひより:え、えっと……は、はい。
GM:「ひより……門路には気を付けな」
(一同爆笑)
建:言うんだ(笑)
重雄:美空先輩は言いそうだ。
GM:うん、そう思って言う事にした。NPCの枠を逸脱してる気がするけど。
流子:美空は良い先輩だねー(笑)
ひより:少し疑問を浮かべた顔のまま、先輩を見送ります。
夕日の中に消えて行く先輩を送り、ひよりは1人家路に付く。
想い出されるのは顧問の言ったゲームの噂……
――「ゲーム世界から帰ってこれなくなるらしいよぅ〜」
――「ゲーム世界で死ぬと現実の世界でも死ぬって噂があるんだって〜」
ひより:もし先輩がそうなっても……わたくしが必ず助け出してみせます――そして美空先輩をSロイスにします。

◆Middle 10◆黒木病院

学校から帰り、夕方。
黒木流子は親が経営する黒木病院の廊下を1人歩いていた。
廊下をすれ違う看護師達とも顔見知りなのか、皆が流子に会釈していく。

流子はやがてある病室の前で足を止める。そこは……
流子:GM、ちょっとシーンを作りたい。黒木病院で飛鳥ちゃんと会えないかな?
GM:構わないけど……飛鳥は?
鳳飛鳥:いいですよ、伊緒の着替えとかを重雄から借りて持ってきた事にしましょう。
流子:それじゃあガラス張りの特別病室で、呼吸器を付けられた伊緒ちゃんを見ています。
鳳飛鳥:流子先輩? どうして……ここに。
流子:ゆっくり振り返ろう――伊緒ちゃん、仲良かったんだってね?
鳳飛鳥:え、ええ、重雄や伊緒とは幼馴染ですから。
流子:大丈夫かな、伊緒ちゃん。
鳳飛鳥:先生が言うには命に別状は無いって話ですけど……。倒れた状況が、状況だったので……――ゲームを思い出しながら。
流子:それを見透かしたように言おう――本当に、あのゲームの中にいるのかな?
鳳飛鳥:先……輩?
流子:重ちゃんも必死な感じがしてたしねー?
鳳飛鳥:あたいは……ゲームに魂が食われるなんて、信じてません。
流子:重ちゃん、ゲームの世界で伊緒ちゃんと会ってどうするんだろうねぇ?
鳳飛鳥:もし会えたら……連れて帰りたい、そう思ってると思います。
流子:でもさ! もし出会った伊緒ちゃんがぜんぜん今までと違ってたらどうするのかな?
鳳飛鳥:え?
流子:記憶にある伊緒ちゃんと、ゲームの世界で出会った伊緒ちゃん……どっちを選ぶんだろうね?
鳳飛鳥:先輩……何を、言ってるんですか。
流子:ねぇ飛鳥ちゃん! 飛鳥ちゃんはどっちが良い? 伊緒ちゃんはどんな子でいて欲しい?
鳳飛鳥:………………例え少し変わっていたとしても、それが伊緒なら、あたいは伊緒を連れて帰ります。
飛鳥の脳裏に昔優しかった父親の顔が思い出される。
優しかったあの頃、皆で幸せに暮らしてた過去。
飲んだくれでダメな親父になってしまったが、それでも飛鳥は父親を見捨てられなかった。
流子:でも、伊緒ちゃんが戻るのを拒否したら?
鳳飛鳥:拒絶されたら辛いです……戻って来て欲しいと思う気持ちも、あたいのエゴなのでしょうし。
流子:うん。エゴだね。
鳳飛鳥:そ、それでも……帰って来て欲しいと、あたいは思います。
流子:ふぅ〜ん。
鳳飛鳥:流子先輩、結局先輩は……何がおっしゃりたいんです。
流子:実はここだけの話なんだけどね。料理部の中に、重ちゃん以外でも家族をゲームに囚われてる人がいるんだって。これ、内緒ね?
鳳飛鳥:………………。
流子:そんな怖い顔しないでよ飛鳥ちゃん? 流子はただ『その人や重ちゃんの為にもゲームクリアを目指そう』って言いたいだけだよ?
鳳飛鳥:そう……ですか。
流子:そうだよぅ?
鳳飛鳥:先輩の……言う通りですね。あたいもクリアは目指したいと思います。失礼します――退場します。
流子は肩を怒らせて帰って行く後輩の飛鳥を見送る。
彼女に自分の気持ちは解らないだろう、兄に心配される妹、その自分が出した比喩に。

流子はガラスに手を置いたまま次の特別病室へと向かう。
そのガラス張りの部屋のプレートには――『門路柔』――と書かれていた。

◆Middle 11◆導きの巫女(マスターシーン)

GM:それではマスターシーンです。これはその日の夜に全員が見る共通の夢です。では……――
キミ達はその夜、不思議な夢をみる。

そこは吹き抜けるような青空と、草原や森の世界。
風となって世界を巡れば中世ヨーロッパのような建造物がある町や港に、同じくファンタジー色の強い服装を着た人々が暮らしている。

世界を認識した所で、光の粒子が集まるように目の前に巫女が現れる。
彼女は洋風に改造した巫女服(巫女服をベースにしたファンタジーっぽい服)を着ており、現実には存在しないピンク色の髪をしていた。

彼女は両手を組んで祈るようなポーズを作り、上目使いにキミを見つめる。

「……早く……この世界へ来てください……」

「この世界は、滅びを迎えようとしている……」

「助けて下さい、この世界を……」

「私は……私の名は……導きの巫女、オフィーリア」

「この世界を……ロストエデンを……」

◆Middle 12◆土曜の朝

妹の小鳩からの電話。
父親に連絡を取っているのがバレたら大変な事になるので、今でもこっそり電話をしている。
土曜の朝、父親が起きてくる前のこの時間がお互いの定時連絡の時間だ。
GM:では土曜の早朝、小鳩から電話がかかって来ます。
鳳飛鳥:親父に見つからないように玄関の外に出て話そう。
GM:「お姉ちゃん元気? 大丈夫?」
鳳飛鳥:ああ、こっちは元気だよ、バイトとかでちょっと忙しいけどね。小鳩、そっちはどうだい?
GM:「うん、私も元気だよ。バイトはまだできないけど……高校になったらお姉ちゃんみたいに、アルバイトして早くお母さんを手伝いたい」
鳳飛鳥:そうね。……お母さんの方はどう?
GM:「パートで忙しいけど、体壊したりはしてないよ? 元気にやってる」
鳳飛鳥:良かった……今度、時間作って会いに行こうと思うんだけど。
GM:「うん、楽しみにしてる。でもお父さんには内緒だよ?」
鳳飛鳥:そうだね、でないとまたお母さんが……。
GM:「お母さんが……殴られちゃうし……。ねぇ、お姉ちゃんは大丈夫? 殴られたりしてない?」
鳳飛鳥:何、殴られたらその10倍殴り返してるから安心しなって。
GM:「……ごめんね、お姉ちゃんも本当はお母さんと一緒が良かったはずなのに……」
鳳飛鳥:違うよ、あたいがこっちに残ったのはあたいの意志さ。あんたが気に病む必要はないよ。
GM:「う、うん……」
一瞬暗くなる2人の会話。
その話をすれば、こうなるのは解っていたのに……それでも、小鳩が毎度心配してくれるのが、飛鳥は嬉しかった。
だからこそ、次に小鳩からあの単語を聞いた時、足元が崩れるようだった。
GM:「あのねお姉ちゃん、知ってる? ダブルクロスっていうゲームのこと」
鳳飛鳥:………………え?――茫然としつつ聞き返すよ。
GM:「あのね、αテスト版っていうのがあって――」
気が動転しそうな程動揺し、そして胸の奥から沸き起こる嫌な予感が身体中を一瞬で周る。
小鳩にやらせてはいけない……このゲームに関わらせたらいけない……。
頭の中で警鐘が鳴る。

その瞬間だった。
GM:飛鳥の携帯が奪われます。
鳳飛鳥:なっ!?
GM:見ると鬼の形相の親父がいます――「飛鳥! 貴様、俺に黙って翠のやつと連絡していただろう!」
鳳飛鳥:親父、あんたには関係無いっ!
GM:「関係無いわけあるか! 翠は俺の嫁だ! 小鳩は俺の娘だ! 居場所を聞いたか! どこにいる!」
鳳飛鳥:はっ、聞いてないよ。もし聞いてたってあんたには教えるか。
GM:「このクソったれが!」――バーンと携帯を折ります。
鳳飛鳥:こ、このクソ親父が! なんてことしやがる!
GM:「お前、こんな所で油売ってる暇があるなら、バイトでもしてこいや!」
鳳飛鳥:それはこっちの台詞だ!――思いっきり殴って学校に行こう。部室に昼過ぎって言われてるしね。
足早に家を出て行く飛鳥だが、その胸の内は早鐘のようだった。
鳳飛鳥:まさか小鳩……あんたまで……――。

◆Middle 13◆美術室にて

土曜日の午前中、学校の美術室に赤光ヒカルと黒木流子はいた。

もともとこの日、ヒカルの頼みで絵のモデルをして欲しいと約束してあったのだ。
午後からはあのゲームをする予定だが、展覧会用の油絵も完成させないといけない。
赤光ヒカルにとって、それは従姉の言うゲームと両立させるべき自分の課題だ。
ヒカル:土曜の午前中に美術室で流子先輩と会いたいです。まだ絡んでないし。
流子:私は良いけど、理由はどうするー?
ヒカル:じゃあ事前に今日の土曜は展示会用の油絵のモデルになって欲しいと依頼していたって事で。
流子:GM、それでいい?
GM:構わないよー、お昼になったら衣織先生に呼ばれるから、それまでに終わらせてね(笑)
ヒカル:衣織姉ぇの趣味のせいで俺の時間が削らせる……まぁ、なんとか終わらせるけど。
流子:それじゃあ、シーン的にはすでにモデルとして椅子に座ってる状態でいよう。
ヒカル:すいません、モデルやってもらっちゃって。
流子:別に良いよ? でもなんで私を描きたかったの?
ヒカル:俺、難しい事はわからないですけど、1つだけ自信がある事があるんですよ……人を見る目、が。
流子:へぇ〜。
ヒカル:先輩は光る物を裏に秘めてるって……そんな感じなんですよ。
流子:まぁね! 流子は太陽みたいなモノだから! 太陽は月も一緒にいるものだしね!
ヒカル:いえ、裏に秘めた……そんな感じですよ? 一緒にいる、じゃなくて。
流子:ふぅ〜ん。それで何が見えるの?
ヒカル:いえ、そこまでは解らないですよ。ただ先輩は……いつかきっと変わると思いますよ?
流子:私の家、お金持ちだしねぇ〜? セレブとかに?
ヒカル:そういうわけじゃないんですけど……。
流子:ぅん、ヒカるんは真面目だねぇ〜。重ちゃんだったら、もっと面白い反応してくれるんだけどなぁ(笑)
ヒカル:まぁ、部長はそういう星の下に生まれた人ですから(笑)
重雄:お、お前ら……僕がいないからって。
ヒカル:部長……大変ですよね。妹があんな事になって……。
流子:うーん、ただのゲームのやり過ぎでしょう? 大丈夫、それに……私が伊緒ちゃんを、特別な個室に移して置いてあげたしね!
ヒカル:そんなこと、したんですか?
流子:だって黒木病院って私のお父さんの病院だし、それぐらいの便宜は図れるよ――と笑顔で。
ヒカル:でも部長、あんがいあの噂を……信じてる気がするんですよ。
流子:帰ってこないって奴?
ヒカル:それと……。
流子:願いが叶う。
ヒカル:ええ……どうも何人か、必死な感じがして……。
流子:いいんじゃない? 必死でも。
ヒカル:流子先輩?
流子:何か必死になれるものがある。努力だけではどうしようも無いことが……それも大人になるって事じゃないかな?
ヒカル:うーん、俺には難しいですよ。
流子:ヒカるんは無いの? そういう夢みたいの。
ヒカル:無いですね。自分で叶えたい目標はありますけど――即答します。
流子:そっか――微笑もう。
ヒカル:じっと見つめて――先輩ってやっぱり不思議ですよ。時々、先輩の目って光るんですよ?
流子:ま、ね! 流子の目は光るんだよ? 特に才能のある子を見ると、特に、ね?
ヒカル:はは、光栄です(笑)
流子:ヒカるんこそ不思議だよ? なんで料理部になんて入ってるの? ご飯食べに来てるなんて理由の半分にも満たないでしょ。
ヒカル:まぁ、俺の家も片親で、小さい頃からいろいろお世話になったんで……。
流子:衣織ちゃんには頭が上がらない?
ヒカル:ええ、まぁ(笑)
流子:ふふ……さ、絵は描けた? そろそろ時間だし行かないとね?
ヒカル:ええ……これで……完成です――と油絵を完成させます。
流子:ぐっと伸びをしよう、動かないようモデルやってたし。あ、完成品を見よう(笑)
ヒカル:言われたら見せますよ?
流子:(絵を見つつ)なんだろう、流子が2人いるみたいに被ってるよ?
ヒカル:そういう技法の油絵なんで(笑)
流子:ふぅん……それじゃあ部室に行こうか?
ヒカル:あ、俺はこれを片付けたら行きますから、先に行ってて下さい――と画材を片付けよう。
流子:なら美術室から出ようとしてドアの所で止まる――
「それにしても、ヒカるんは本当に不思議だね……」
ヒカル:先輩?
流子:くるっと振り向いて――
「そんなヒカるんに1つだけご褒美をあげちゃおう……」
ヒカル:えっ?
くるりと振り向いた流子先輩の目が、さっき話していた時と同じようにキラリと光る。
そして笑みを浮かべつつ、先輩はその人の名を言った。

「建には気を付けなよ?」

そして、先輩は何事も無かったかのように美術室を去って行ったのだった。

CLIMAX PHASE

◆Climax 01◆プレイ開始

土曜のお昼過ぎ、約束の時間に料理部のメンバーは集まっていた。
1年生はヒカル、恒輝、ひより、尾道満。
2年生は重雄、飛鳥、そして何とか都合を付けた聖海音。
3年生は建、流子、南雲美空。

そして顧問の七夕衣織先生を含めた11名が、これから同時にゲームを始めるメンバーだ。
GM:それでは先生がゲームのセッティングを再び行いつつ、全員集合のシーンです。
鳳飛鳥:それじゃあ全員集まった所で聞きたい――みんな、ロストエデンって言葉を聞いたこと無いかい?
流子:ああ、オフィーリアって子の言ってたやつ?
恒輝:先輩もその単語、知ってるんですね。
ひより:あの、わたくしも夢で……そのような感じの事を……。
建:俺も見たな。
どうやら集まった料理部のメンバー全てが、そろって同じ夢を見たようだった。
重雄:僕もだ……で、でも、そんな事あるのかな? 同時に皆が同じような夢を見るなんて……。なんて言うか……怖いな。
ヒカル:そう言えば衣織姉ぇも見たの?
GM:では先生が腕を組んで――「いやぁ〜私ゃ嬉しいよ! みんながそんなにゲームの予習に熱心だったなんてねぇ〜」
鳳飛鳥:いや、先生、そうじゃなくてさ。
GM:無視して先生は語ります――「ロストエデンって言うのは、このMMORPGダブルクロスの舞台となるファンタジー世界の名前さね」
流子:世界が終わるとか言ってたけど?
GM:「そう! 実はロストエデンは魔神軍によって壊滅の危機にあるんだよ!」
流子:それじゃあ私達が助けに行かないとね!
GM:「その通りっ! それがロストエデンを救うオーキィ達のモチベーションっていうわけさ!」
恒輝:オーキィ?
GM:「あ、オーキィってのは……まぁ、冒険者みたいなモノだと思えば良いよ。詳しくはゲームが始まれば、チュートリアルとかでも説明あると思うしね」
鳳飛鳥:ゲームをクリアするっていうのは、もしかしてその魔神軍ってのを滅ぼせば?
GM:「だね! 一応世界観の説明では、魔神は4体いてそれを全部倒せばクリアだったはずだよ?」
ひより:ちなみに美空先輩とか海音先輩も同じ夢を?
GM:うん、NPCも同じ夢を見たらしい。
ヒカル:とりあえず……ロストエデンとかの単語はわかったけど……。みんなで夢を見るなんてありえないだろ。
建:尾道、どうなんだ?
GM:「ありえますね(断言)」
ヒカル:あるのか(笑)
GM:「人はあまりに霊的なモノに接触したり、接触しようとしていた場合、警告のように予知夢を見る事がオカルト界では常識です。もしこのゲームが本当に呪われしゲームなら……このような怪奇現象が起こっても不思議じゃありませんよ!」――尾道は興奮気味で饒舌になってます(笑)
ひより:正直……気味が悪いですね……。
鳳飛鳥:ああ、本当にこのままゲームを初めて良いのかい?
建:俺はやるべきだと思うな。何にせよ、ゲームが原因なら確かめる為にもプレイする必要はある。
GM:尾道もそれには同意します。
恒輝:雫野さん、怖いなら止めた方が良い。俺も……何か胸騒ぎがする。
ひより:そう言われると逆に言うなぁ――……いえ、怖いですけど。やります、やってみたいです。
恒輝:そう来るのか……。
GM:ひよりがやると言うと、美空も――「私もやるよ、もともとこのゲームには興味あったしね」――と、ひよりの方向いて目があうとウィンクしてくれます。
ひより:美空先輩。
恒輝:なら俺もやりますよ。気になるのは俺も同じですし。
GM:「はい! あんまり時間取れないですが……私もやって良いですか?」――と海音が言い、先生は「問題無いよー」って了承します。
重雄:飛鳥、僕はやってみようと思う。伊緒の手掛かりが少しでも見つかるかもしれないし……。
鳳飛鳥:そう言われるとあたいも断れないね。それに――って心の中で、小鳩が気になる事を言っていたしね。
建:もちろん俺は参加しますよ?
流子:みんながやるなら……私もやろうかなぁ?
GM:「おっけーおっけー! それじゃあ予定通り全員参加って事で!」――衣織先生が全員分のバイザーを配布します。
そして、衣織先生がゲーム開始の電源ボタンを押し込んだ瞬間だった。
GM:その瞬間、ゲーム本隊が光輝き、緑色の光の帯がハードディスクから溢れだす。
一同:『!?』
よく見ればそれは「0」と「1」の羅列、緑色の数字が帯状になってあふれていくのだ。
その緑色の帯は部室を浸食し、世界を書き換えて行く。
GM:「みんな! ヘッドセットを外してみて〜!?」
流子:外してみるよ?
重雄:外したら死んだりしない?(笑)
GM:死にません。ただ、世界が変わって行きます。
壁が数字に飲まれ、消えるとともに小さな部室はもっと巨大な、体育館ぐらいの広さを持つ石作りの部屋に変わる。
アポロン神殿のような白い柱が何本も立ち並び、足下は滑らかな大理石が碁盤の目のようにぴっちりと敷き詰められている。
さらに手や体を包むように緑色の数字の帯が出現し、ファンタジー世界の鎧や服、武器へと変わる。
この服装はMMORPGダブルクロスαテスト版で登録した時の格好だった。
ひより:これが……ゲームの世界?
恒輝:ヘッドセットを取ってるのに……おかしい、やっぱり俺の胸騒ぎは……。
GM:そして、フッとPC達の頭上から影が落ちる。見上げると目の前に……巨大な黒いドラゴン(西洋風)がいます。
ヒカル:これは……ドラ、ゴン?
鳳飛鳥:まさか……――
GM:ドラゴンはしゃべります――「まさか、無事にここまでやってこられるオーキィがいるとはな……いいだろう、このダンジョン、最後の試練を受け渡す……そう、我との戦いだ!!」

◆Climax 02◆vs古のドラゴン

それは突然始まった。
ヘッドセットを外しても周囲の風景は変わったままだし、自分達の服装もゲーム世界の物だ。
極めつけは目の前のこいつだろう――ドラゴン。
古の竜が獰猛な牙と爪を鳴らし、ゆっくりとその口を開く。
これは……ゲームなのか、現実なのか……。
GM:それではここから戦闘です。
ひより:キャラクター的に凄い混乱してますよ!(笑)
建:ふふふ……。
流子:私も何ができるか試したりしてるかなぁ?
ヒカル:俺はゲームだと思ってるな。
重雄:僕はゲームだと思い込んでる(笑)
鳳飛鳥:思いこみかいっ! まぁ、あたいは戦いの気配を感じてケンカの時みたいに神経張り詰めるかね。
恒輝:俺もそうですね……ここ3ヶ月感じてなかった……。
GM:そんなそれぞれに影がかかり、振り向くと巨大なドラゴンが叫びます。それでは……全員<意思>で目標値9の判定をして下さい。衝動判定です。またそれと同時にドラゴンは『Eロイス:堕落の誘い』を使用します。衝動判定に失敗した場合、侵蝕率が即座に100%になります。
その結果……
建:俺だけ失敗か……ふん、構わないさ!
ひより:こ、ここ、どこなんですか!?
GM:それには先生が答えよう――「これは、エリア1の隠しダンジョンだねー。それも一気に最深部のドラゴンだよ〜」
ヒカル:やっぱゲームの世界か!
GM:さて、皆さんはNPC含め11人でエンゲージしてます。そこから15m付近にドラゴンが4部位で存在します。
恒輝:4部位!?
GM:データ的には4体の敵がエンゲージして存在します。頭部、胴体、両翼、尻尾の4体です。
流子:衣織ちゃ〜ん? どうやって戦えば良いのー?
GM:「大丈夫、なんとなくで戦えばできるはずだよ! 使えるエフェクトはキャラクター登録の時に確認したでしょ? あれを使おうと思えば使えるからさ!」
ひより:そ、そんな事言われても!?
恒輝:そうだ、海音先輩とかNPCの人は?
GM:あ、先生を含めたNPC4人の役割を説明しましょう。

――NPC4人の役割――
◆キャラクターとして存在し、1点でもダメージを受けると戦闘不能になる(死亡ではない)。
◆NPCは毎ターンの最後に行動する。
◆NPCが行う効果はそれぞれ違っている。
   ・聖海音 :歌を歌い全員のHPを1D10回復する。
  ・南雲美空:楽器をかき鳴らし敵1体の行動値を−10する。
  ・尾道満 :呪いの魔術を使い敵1体の攻撃力を−5する。
  ・衣織先生:誰か1人の次の判定クリティカル値を−1する。

GM:――こんな感じね。
建:NPCはカバーリングしろってことか。
鳳飛鳥:この中でカバーリングが可能なデータの人は?
重雄:はーい……って僕だけか!?
流子:重ちゃん頑張ってー(笑)
恒輝:NPC同士は庇いあったりするの?
GM:します。何も指定が無ければ衣織先生は生徒を庇います。生徒はロイスを結んでいる人が指示してくれれば、その人の指示に従って誰かを庇います。
建:NPCへのロイスがここで生きるのか……。
ひより:あの、わたくし……絶対に美空先輩に誰かを庇ってくれなんて言えないです……。
流子:それはしょうがないよ。だからこそのロイスなんだしね!
ひより:流子先輩。
建:俺は尾道に庇わせるけどな。
重雄:鬼ですね(笑)
GM:それでは戦闘ラウンドへ入ろうか!

◆第一ラウンド

GM:まずはセットアップですが、一番行動値の早いドラゴン(頭部)が『Eロイス:破滅の足音』を使用します。効果はシーンにいる全員を対象に、それぞれ1dを振り、その出目+1の結果に等しいラウンド後のクリンナッププロセスに対象は戦闘不能(HP0)になります。
ヒカル:いきなり酷いのが来たぞ(笑)
GM:はい、それぞれ1d振ってね〜!
結果、流子11、飛鳥11、ヒカル10、建7、ひより5、恒輝5、重雄3ラウンド後のクリンナップに戦闘不能となることが決定。
重雄:なんで……なんで僕はこういう時に限って……。
鳳飛鳥:相変わらずの貧乏くじ。
GM:他にセットアップする人は?
重雄:あ、僕やる。頭部に対して≪灰色の庭≫、行動値を−3する。
GM:頭部は一番早くて行動値20だったのに……これで17か。
ヒカル:部長ナイス! これで俺の方が先に行動できる!
GM:じゃあヒカルからどうぞ!
ヒカル:よしっ! とその前に――衣織姉ぇ! もしかして俺のキャラデータいじっただろ!
GM:「ええ〜?」
ヒカル:だって、ファイターで設定してたのに……なんか貧弱だぞ!(笑)
GM:それはあんたがシーフでキャラデータ作ってたのに、セッション中にファイターが良い言ったから出来た齟齬じゃないのさ(笑)
ヒカル:衣織姉ぇがいじったんだろ?(笑)
GM:「うん、ひよっちとファイターが被ってたから変えといたんだよねぇ〜」――と悪びれもせず。
流子:結局、衣織ちゃんのせいになるんだ(笑)
ヒカル:ったく、しょーがねーからシーフのままやるぜ! 《光の手》《光の弓》《絶対の孤独》を組み合わせて……頭部に対して命中達成値20!
GM:頭部を両翼が《軍神の守り》で守ります。
ヒカル:装甲値有効の20点ダメージ! そしてこのラウンド中、両翼の行う全ての判定にダイス−3で!
GM:その程度ではまだまだ……よし、次は頭部の行動。ドラゴンのブレス! ≪獣の魂≫≪魔獣の本能≫≪サイレンの魔女≫≪フィジカルエンハンス≫のコンボでシーン攻撃……命中は35。装甲無視のダメージ32点!
重雄:先生を《マグネットフォース》でカバーリング――先生、危ない!
建:尾道! 南雲を!
ひより:あ、美空先輩はわたくしが庇います。
建:じゃあ海音を!
GM:建は尾道にロイスあるんだよね? それじゃあ尾道が「ゲームの世界ぐらい、女性を守りますよ!」――と、海音を庇って戦闘不能になります。
この結果、飛鳥と建はなんとか耐えるも、重雄、ヒカル、流子が倒れるも侵蝕率100%を超えていないので《リザレクト》で復活。100%を超えているひよりと恒輝はドラゴンにロイスを取得し即時タイタス昇華し復活する。
GM:次は行動値15でドラゴンの胴体ですが、その場でワキワキしてます。
恒輝:……? マイナーで移動しない?
GM:それには先生が――「古のドラゴンは、部位数が2以下にならないと移動してこないんだよ〜」――と説明します。具体的には2体以下になると《巨獣の背》を使って同時に移動してきます。
建:そういうデータなのか。
GM:という事で胴体は行動放棄。次は両翼が行動値10だけど……流子の方が先だね。
流子:さ、それじゃあ戦おうっか?
ひより:流子先輩、戦えるんですか!?
流子:大丈夫大丈夫、衣織ちゃんの言うようにイメージしてみれば……《ハンドレットガンズ》で銃が手の中に現れる。そしてメジャーで《コンセントレイト:モルフェウス》《スプリットアタック》《ペネトレイト》で対象は3体、頭部、両翼、尻尾に攻撃します。命中は……26。
その瞬間、流子の瞳が光る……そして一気に温度が下がったような空気をまとい。
流子は一段低い声で呟く。
流子:……死ね。
GM:おお。
流子:銃を持つことで別人格が発動です。暗い性格の方に替わります。ダメージは9点。
GM:両翼は頭部を庇って……うーん、マイナーを使って強化する前だから、翼も痛いなぁ。
重雄:次は僕だね。《コンセントレイト:バロール》《インビジブルハンド》を組み合わせて範囲攻撃、4部位瀬全てに……命中24のダメージ15点、装甲有効。
GM:頭部を翼がかばって……おお、危ない危ない(笑)
重雄:くそ、仕留め損なったか。
GM:次はドラゴンの両翼だけど……こいつは≪剛身獣化≫≪破壊の爪≫を使用してマイナーアクションでブーストします。メジャーアクションは……放棄、近接に入って来てほしいなぁ(笑)
建:遠距離攻撃を翼も持って無いのか。
GM:そういう事です。
恒輝:次は俺だな。マイナーで高速振動ブレードを起動させ、メジャーでドラゴンに向かって5m移動して終了。
ひより:えと、次はわたくしですが庇ったので行動済みですね。
建:マイナーで《骨の剣》、メジャーで暴走を直して終了!
GM:OK、では行動値5で尻尾が攻撃。コンボ『龍の尾』で攻撃、≪コンセントレイト:キュマイラ≫≪大蛇の尾≫≪鬼の一撃≫≪伸縮腕≫≪ジャイアントグロウス≫を組み合わせて固まってるエンゲージに範囲攻撃。エンゲージから離れている恒輝だけは対象にならない。
ヒカル:させるか!――《フラッシュゲイズ》でその判定のダイス−6だ!
GM:む、結構ダイスを減らされたな……それでも命中46だ!
重雄:ここは先生を《マグネットフォース》で庇う。
建:俺は南雲にロイス持っているし言うぞ――南雲、海音は後輩だ……わかってるよな?
GM:「あんたに言われるのは納得がいかないけど……我が高のアイドルを、倒されるわけにはいかないでしょ」――と美空が海音を庇って倒れます。
ひより:美空先輩!?
GM:ではダメージ行きます……52点。さらに1点でもダメージが通った人はバッドステータス硬直をあげます。さらにガードする人は追加で35点のダメージ。
建:《鬼の一撃》か!?
この一撃で恒輝は見る……尻尾で薙ぎ払われ次々倒れる部員達。
しかし、そんな中……1人だけ倒れていない男が!
建:ふふ……Dロイス[屍人]の効果も使ってなんとか1点で生き残った!
恒輝:門路先輩……他の皆が倒れたのに。
建:言ったろ、俺はこのゲームをクリアするって。それまでは倒れてなんていられない。
恒輝:先輩……。
その後、ヒカル、流子、重雄はドラゴンのロイスを即時タイタスで昇華させ復活。
ひより:わたくしはタイタスにするロイスが無いので……このまま倒れています。大丈夫でしょうか?
流子:大丈夫、いざとなったらプリーストの自動取得エフェクトで生き返らせてあげる……。
ひより:はい、それでは倒れています。
GM:最後は飛鳥。
鳳飛鳥:メジャーで硬直を解除して終わりかね。
GM:それではラウンドの終了時に、生き残っていた海音が「みんな、私の歌を聞いて!」――とそれぞれ1D回復して下さい。さらに衣織先生が誰かしらの次のメジャーアクションのクリティカル値を−1します。
重雄:先生は流子先輩に使って下さい。全部位を攻撃できるのは先輩だけですし。
流子:あなたも……範囲攻撃だと思うけど?
重雄:俺は威力がそんなに強くないんで。
流子:……わかった。

◆第二ラウンド

GM:まずはセットアップです。
流子:《サポートデバイス》を使用。
重雄:《灰色の庭》を頭に、今度は行動値−6!
GM:頭部が14まで下がったか……。
ヒカル:じゃあ最初は俺だな!《光の手》《光の弓》《絶対の孤独》……頭部に対して命中24! ダメージも24点だ!
GM:両翼が《軍神の守り》でカバーリング。全て弾きます。
ヒカル:なに、堅い!?
鳳飛鳥:さっき《剛身獣化》使ってたしね、装甲が上がってるってわけか。
GM:次は胴体だけど、近距離に誰もいないのでワキワキと腕を握ったりして終了。そして頭部の番、さっきと同じコンボでドラゴンブレス!
鳳飛鳥:それはイニシアチブプロセスで割り込む、Dロイス[触媒]で流子先輩を割り込み行動させる――流子先輩、あんたなら何かできるんじゃないかい?
流子:……ええ――と一言呟いて攻撃、さっきと同じコンボだけど今度は4体までいけるから全部位に……命中36のダメージは装甲無視26点!
GM:両翼が頭部を庇って落ちた。
鳳飛鳥:これでカバーリングは無くなった……か。
GM:そして頭部の行動、さっきのコンボでドラゴンブレス、シーン攻撃……命中38! 装甲値無視の31点ダメージ!
恒輝:それは落ちます。さっきの門路先輩の姿を見て、凄い人だと今後の接し方を改めます。門路先輩のロイスをタイタスにして昇華。
流子:私も建をタイタスにして昇華、必死な理由を知ってるし次回から感情が変わると思う。
建:全部防いだ。
GM:ちなみに先生は海音を庇って倒れます。
重雄:それはまぁ、仕方ないか。止めようが無いし。僕は飛鳥を庇って倒れる。僕の攻撃じゃ装甲を抜けないと思うしね。
鳳飛鳥:重雄……。
GM:それでは流子の番です。
流子:あれ? さっき行動したけど?
GM:さっきのは飛鳥の[触媒]の効果なので、未行動のままなんだ。だから普通に順番が周ってきます。
流子:そうか……なら同じコンボで全ての部位を攻撃……命中29の21点装甲値無視。
GM:それは……尻尾と胴体が落ちた。あとは頭部だけに!?
恒輝:次は俺ですよね。マイナーで戦闘移動、エンゲージして高振動ブレードで切りつけます。《コンセントレイト:ソラリス》《腐食の指先》《コントロールソート》《瞬速の刃》を使って……命中33!
GM:それは……ドッジできない!?
恒輝:終わらせる!……ダメージは48点、装甲有効!
GM:おお、1点オーバーキルで死んだ!
一同:『おお〜!』
最深部のドラゴンとの死闘。
恒輝の放った刃の一撃は、見事ドラゴンの頭部を捕らえる。
そして……。

「さすが、ここまで来るオーキィ、……我の負けだ、太古の竜たる我を滅ぼし者よ……」

ドウという音と共に、ドラゴンがゆっくりと倒れ伏したのだった。

ENDING PHASE

GM:ではエンディングに入る前にバックトラックを行いましょう。今回、敵が使っていたEロイスによる侵蝕率の低下は6個です。その分を減らしてから、通常のロイスによる低下を行って下さい。
恒輝:6個もあったのか!? それなら……うん、余裕。
ひより:逆に下がり過ぎてしまいました(笑)
結局、誰もが80%以下となり無事帰還。
GM:全員無事に帰ってこれたね? それじゃあエンディングに入ろうか!

◆Ending 01◆パスワード

ドラゴンを倒すと空中からひらひらと落ちてくるモノがあった。
それは輝くカードのようなものだった。数は7枚。見ればカードにはそれぞれ数字が描いてある。

「この桁数は、ログイン時に入力できる特殊パスだね! きっとこれで普通にログインできるよ〜」

衣織先生の気楽な声が響く。 そして周囲の神殿のような背景が再び緑色の光の帯となり、それが解けるように消えていく。
やがてヒカル達の服装も元通りとなり、またいつもの料理部の部屋へと戻るのだった。
GM:――と言うわけで、服装も部屋も元通りに戻ります。ただ、ドラゴンを倒して手に入れたカードだけは手に残りますね。
ひより:元に……戻って来た……のでしょうか?
GM:先生はカードを見ながら――「このパスワードは、あのダンジョンをクリアした証がステシに記載された状態で続けられる特殊なパスワードだね〜。たぶんだけど……これを使えば、ちゃんとこのゲームをプレイする事はできると思うよ!」
重雄:嬉しそうだなぁ(笑)
このパスワードはそれを手に入れたメンバー以外でも、自分のキャラクターアカウントと同時に入力すればプレイは可能だと、衣織先生より説明される。

だが、先ほどの戦いに参加したメンバーは皆、解っていた。
あの戦いが……決してゲームの中の事でなく、リアルに痛みをともなう現実の出来事だったという事を。
鳳飛鳥:このゲームは……本当に危険なゲームなのかもしれないね。
建:だからこそ、何でも望みが叶うって噂も……もしかして……。
GM:「どうする皆? ゲームをプレイするパスは7枚、全員で納得するまで話しあって……それで決めよう?」
一同:『………………』
GM:「――と言っても、やっぱり相談なんかできないか……それじゃあ、ゲームの世界に行きたいって人は、いるかい?」――テーブルの上に7枚のパスを置こう。
建:俺は行くぞ――パスを取る。
流子:そっか……うん、私も行くよ。良いよね?――パスを貰おうかな。
ひより:わたくしは……その……――さっきの戦いも怖かったし、何もできなかった自分がいるんです……だから、ここの残っても、いいでしょうか?
GM:なら美空がひよりの肩に手を置いて――「ひより、あんたはここに残っててくれる?」
ひより:え、美空先輩?
GM:「もし、私達に何かあった時は、助けて欲しいんだ。いいかな、ひより?」
ひより:……はい、その時は、絶対に!
GM:美空はニコリと笑ってパスワードを取ります。残りのパスは4枚です。
重雄:ど、どうしよう……ゲームも気になるけど、病院の伊緒も心配だし……。
GM:じゃあ衣織先生が言おう――「あ、重ちゃんは部長なんだし、何かあった時の為にこっちに待機で」
重雄:えええ!?(笑)
GM:先生がパスワードを取ります。
重雄:な、なんかこんなんばっかだ……じゃあ飛鳥を見て言おう――飛鳥、僕の変わりに……。
鳳飛鳥:ああ、あたいが行くよ。伊緒もそうだけど……――と心の中で小鳩の台詞がリフレインする。ぐっと拳を握ってからパスワードを取ろう。
重雄:ああ、頼む。
GM:それじゃあ尾道もパスワードを手にします――「あんな現象は初めてです。もしかしたら本当に呪いのゲームかもしれませんよ! 絶対、俺は行きますからね!」
恒輝:残り1枚か……ヒカルと海音先輩と顔を見合わせる。
GM:「私もゲームしてみたいけど……今日はこのあとレコーディングがあるから……」――と普通に断ります。
ヒカル:じゃあ、俺と恒輝のどっちか、か。
GM:まぁ、2人ともゲーム世界へ行かないのも有りだよ?
ヒカル:恒輝はどうしたい?
恒輝:………………。
ヒカル:恒輝?
恒輝:GM、俺はこれで力が使えるようになるんですよね?
GM:どうゆう風に力の使い方を理解するかはまた後のお話だけどね〜。
恒輝:……なら、俺は握った拳を見つめながらヒカルに言おう――俺は行かない。すぐに……やりたい事ができたから。
ヒカル:ふぅん……そうか、じゃあ後は俺かぁ。でもわざわざ行くってのもなぁ。
GM:「じゃあヒカるんは行くってことで!」
ヒカル:おいっ! なんで衣織姉ぇが決めるんだよ!?(笑)
GM:「せっかくお姉ちゃんが手に入れたレアゲーだよ? これをヒカるんは断るだろうか? いや、断らない!」
ヒカル:そんな力一杯言われても……たったく、しょーがねーな。行くよ! せっかくだしな!
GM:「おっけー! それでこそヒカるんだよ! あ、でも……」
ヒカル:なんだよ、まだ何かあるのかよ?(笑)
GM:「ただ、向こうがどんなか気になるから、必ず帰って来て報告するんだよ。これ約束ね?」
ヒカル:そんな事か。ああ、わかった約束するよ衣織姉ぇ――って言いながらパスワードを取ろう。
GM:「うん! それじゃあパスワードを取った7人はヘッドセットを起動させて、キャラクターアカウントを登録したら、その下のパスワードNo登録のとこにさっきのパスを入れるんだよ〜?」
そして建が、流子が、美空が、飛鳥が、尾道が、ヒカルがログイン画面で登録を終え、YESのアイコンを掴む。

だが……
GM:「あ、ごめーん、前にチートしたキャラのアカウントでキャラ作り直してたから、ログインできなかったよ〜」――と先生が。
ひより:せ、先生!?(笑)
GM:「重ちゃん! みんなあっちの世界で責任者いないってのも危ないし、向こうの事は任せたよ!」――と重雄にヘッドセットをかぶせます。
重雄:え、ええ〜!? ここで僕?
GM:「ほーら、文句言わずにハリーハリー!」
重雄:こ、こんなのばっかだよー!――とログインしよう(笑)
ひより:みなさん、無事に戻って来て下さいね。
恒輝:ま、たかがゲームだし、大丈夫だろ?
GM:「たかがゲーム……だと、良いんだけどね?」――と先生が呟いた所で、画面がブラックアウトします。
その後、7人がゲーム世界でどうなったのか……それは次回のお話です。

『ダブルクロス The 3rd Edition リプレイAR
伝説のゲーム』

TOPリプレイ ⇒ ダブルクロス3rd・AR                     戻る