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ダブル+クロス The 3rd Edition ――曰く、一度プレイしたら二度とログアウトできなくなる。
――曰く、ゲーム内での死は、現実世界の死を意味する。
――曰く、トゥルーエンドを見た者はどんな願いも叶うと言う。
――それは、世界でもっと魅力的な……呪われしゲーム。

ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・AR

[ 1 ]ファースト・クエスト



相原 あきと/百年の虚読


■PREPLAY

あらすじ

一度プレイしたら二度とログアウトできない、ゲーム内での死亡は現実での死を意味する、 しかしトゥルーエンドを見た者はどんな願いも叶うと言う……そんな都市伝説を持つMMORPGゲーム 『ダブルクロスαテスト版』。生浄院学園料理部のメンバーは、ゲーム好きの顧問からそのゲームを皆でプレイしてみようと提案される。

プレイする前日、料理部のメンバーは全員同じ夢を見る。それは現実にはあり得ないピンク色の髪をした巫女オフィーリアという少女から、ロストエデンを救って欲しいと頼まれる夢。

  ロストエデン――それはゲームの世界の名前だった。  

赤光ヒカルは従姉である顧問に付き合わされ、坂月恒輝は趣味を見つけるため、雫野陽和はいろいろな物にチャレンジするため、土矢重雄は妹の伊緒がそのゲームのプレイ中に倒れたため、鳳飛鳥は自身の妹がゲームに関わっている不安を持ちつつ、黒木流子はもう1人の自分を消す願いを叶えるため、門路建はゲームの世界から母親を助けるため、それぞれがそれぞれの理由でゲームをプレイすることとなる。  

そして当日、ゲームの電源が入ったその瞬間、0と1の羅列が緑色の帯状となって溢れ部室を浸食し世界を
書き換えて行った。メンバー達の姿もゲーム内のアバターと同じ服装に変わり、目の前にはリアルな質量を
持ったドラゴンが現れる。

本物の血を流しながらも、ゲーム内の特殊能力を駆使してドラゴンを倒すことに成功するメンバー達。
嫌な予感は本物に変わっていた。  ドラゴンを倒し世界が元に戻った後、このままゲームに再びログインするべきか皆が顔を見合わせる。

だが結局、自らの目的と好奇心により11人中7人のメンバーがゲーム世界へとログインしていったのだった。

GM:さて、それでは第1話の収録と参りましょう!
重雄:今回、ゲームにログインしなかった坂月とひよりは不参加なんだよね?
GM:そうだね、あと衣織先生と学生アイドルの聖海音もゲーム世界には来ていません。
ヒカル:代わりに前回、凄い怖かった流子先輩と、凄い怪しかった黒幕がいるという(笑)
建:待て、せめて名前で言ってくれ! 黒幕ってなんだ! 俺はPCだぞ!
ヒカル:自分だって解ってるじゃないですか!(笑)
鳳飛鳥:ま、まぁ、門路先輩は本当に怪しかったからねぇ。
建:否定はしない。
GM:とりあえず今回はPC5人と、NPCで尾道満と南雲美空の計7人で協力していってもらうよ?
流子:今回は戦闘用人格の演出をいろいろする予定だから、すっごい楽しみ〜♪
重雄:でも流子先輩の演出って……なんか怖いんだよな(笑)
流子:重ちゃん、先輩に向かってそれは失礼なんじゃない? ごめんなさいは?
重雄:ご、ごめんなさい。すいませんでした。
流子:よろしい!
鳳飛鳥:重雄……情けない。ま、あたいはあたいで気合入れてるよ、小鳩がこのゲーム知ってた事もあるし、もしかしたらゲーム世界で伊緒に会えるかもしれない。
重雄:そうだ! 伊緒を探さないと!
鳳飛鳥:はぁ……。
ヒカル:ところでGM、俺達ってゲームの世界にやって来たけど、ゲームをプレイしている肉体ってどうなったんだ?
GM:そりゃ現実世界にあるでしょう。
ヒカル:???
GM:うーんと、これはメタ的だけど、今回はゲームをプレイ=魂がゲームの世界に、という感じでゲームの世界に取り込まれていると思って欲しい。だから今のキミ達は現実の世界がどうなったのか知る術は無いんだ。
ヒカル:それじゃあ……現実に戻ったら数年経ってたとか?
GM:ありうるかもねぇ〜。まぁ、現実の方のGMは私じゃないから私も解らないし(笑)
ヒカル:そうなんだ(笑)
GM:とりあえず、自分の体がどうなってるか知る為にも、現実世界に戻らないとだね。
鳳飛鳥:もとより現実世界には戻るつもりだ。小鳩はあっちにいるし、心配だからね。
GM:うん、現実に戻る為に頑張ってくれると、ゲーム世界編のGMとしてはありがたいよ? じゃあそろそろトレーラーを読み上げようか?
●トレーラー

目の前には緑溢れる草原が広がり、頭上には雲の流れる青い空がどこまでも続いていた。

そこはゲームの仮想現実世界。 「初めてやってきたって? じゃあ記憶石はもう手に入れたか?」

それはゲームをセーブする為に必要な最初のアイテム。
この世界にやってきた初心者が一番初めに受けるクエストだった。

ゲーム世界を堪能するプレイヤー達、しかしその道中、起こってはいけない事件が起こる。 「あんたら……プリズナーじゃないのか?」

『ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・AR』
「ファーストクエスト」

ダブルクロス――それは世界を変えるゲームの名
ヒカル:世界を変えるゲームの名……か。意味深だなぁ。
建:望みが叶う……とか、そういう意味かな?
GM:まぁ、それはおいおいね?
鳳飛鳥:あたいはそれより、プリズナーって言葉が嫌な感じなんだけど。
ヒカル:囚われた者? ゲームから出られなくなる?(笑)
重雄:い、いきなり不吉な空気が……。
流子:ずいぶん重いファーストクエストになりそうだよね(笑)
GM:それでは次はハンドアウトの公開だけど、誰がどのハンドアウトをやっても構わないから、自分で好きなのを選んでね? ただし、他人と被らないようにそこは相談で。
●PC@用ハンドアウト
ロイス:無垢なる者(イノセント)  推奨感情 P:庇護 / N:無関心
  キミがこの世界へきて最初に出会ったのは、白い一枚服を着た6歳ぐらいの子供だった。
  子供は自身のことを「イノセント」と呼ぶ不思議な子で、誰かに追われているようだった。
ヒカル:なんでこのPC@だけ、この子を助けるの?
GM:ああ、PC@以外がその場にいないからね。
重雄:え? どういう事?
GM:簡単に言うと、このゲームは登録してログインすると、スタート地点がいくつかあってランダムにスタートするの。なのでPC@は気が付くとたった1人で草原にぽつーん、となります。
流子:それでイノセントって子を見つけるってわけか。
GM:そういう事です。
ヒカル:主人公っぽいし俺がやろう。ゲーム世界にそこまでモチベーション無いから、イノセントと仲良くなった方が面白そうだ(笑)
●PCA用ハンドアウト
ロイス:導きの巫女オフィーリア  推奨感情 P:尽力 / N:疎外感
  キミがこの世界で気がつくと、一緒にログインした仲間の姿はなく、尾道満とPCCと3人だけだった。
  その時だ、周囲の画像がブレたかと思うと導きの巫女オフィーリアが現れた。
建:オフィーリア、この前の夢の人か。
流子:誰が取ってもよさそうなハンドアウト。
重雄:じゃあ余りそうだし僕が取ります。
鳳飛鳥:余り物と予想して取るのかい?(笑)
重雄:いや、そういう役回りだしなぁーって。
流子:じゃあ重ちゃん、全部見て微妙だったら私がAをやるね! いいよね?
重雄:流子先輩それはすでに命令ですよ! いや変えますけどね(笑)
●PCB用ハンドアウト
ロイス:南雲美空  推奨感情 P:連帯感 / N:不安
  キミがこの世界で気がつくと一緒にログインした仲間の姿はなく、南雲美空と2人きりだった。
  地平線の向こうに村が見える。まずはそこに向かってみるべきか。
流子:建が裏で動いているのに気が付いた人だっけ?
建:そうそう(笑)
ヒカル:見た目不良の自由人だけど、けっこう良い先輩ってイメージ。
流子:じゃあ私がこれやろうっかな! 同学年だしちょっと親睦を深めておきたい!
GM:そういえば、美空とはプロローグではそんなに話さなかったんだっけ?
流子:うん、私はほとんど後輩と絡んでたし(笑)
GM:それじゃあ同じ3年生として対等な会話をしましょうか。
建:ま、苦労するのは美空の方だろうな(笑)
●PCC用ハンドアウト
ロイス:尾道満  推奨感情 P:連帯感 / N:不安
  キミがこの世界で気がつくと一緒にログインした仲間の姿はなくPCAと尾道満と3人しかいなかった。
  ここは山道の途中らしく、周囲を探索しているとPCAがいる方で何かが光った気がした。
重雄:ああ、さっきの3人組のもう片方か。
GM:違いはロイスが尾道であるだけで、説明もスタートもPCAと変わらないね。
建:尾道へのロイスなら俺が取るべきだろうな(笑)
鳳飛鳥:まぁ門路先輩が強引にこのゲームに誘った張本人ですしね。
建:否定はしないぞ(笑)
重雄:しかしこの3人スタートは全員が男か……色気が無いなぁ。
建:まぁこういうのも良いじゃないか、女子がいるとできない会話も遠慮なくできるしな。
GM:じゃあ建にお願いしちゃおうかな。
●PCD用ハンドアウト
ロイス:「氷の大剣」スノウ・アルピニス  推奨感情 P:誠意 / N:恐怖
  キミがこの世界で気がつくと、一緒にログインした仲間の姿はなく1人きりだった。
  そしていつの間にか周囲はモンスターに囲まれ絶対絶命。
  その時だ、巨大な氷の剣がモンスターを薙ぎ払ったのだった。
鳳飛鳥:いきなり絶対絶命かい(笑)
流子:これはベテランゲーマーに助けてもらうっていうスタートかな?
GM:その通り。
鳳飛鳥:余ってるしあたいがやるよ。1人っきりで戦うホットスタートも違和感無いしね(笑)
重雄:中学の頃は喧嘩三昧だったしなぁ……飛鳥は。
鳳飛鳥:そういや怪我すると簡単な傷は重雄に診てもらってたね。
重雄:まぁ、怪我してくる事の方が稀だったけど。
ヒカル:さすが伝説の不良(笑)
GM:じゃあハンドアウトもこれで決定だね!
ハンドアウトをそれぞれが選択し終わり、ゲーム世界での冒険を見越して成長を相談し合うプレイヤー達。 ほどなくしてレベルアップ作業が完了するのだった。
▼赤光ヒカル
GM:それではヒカルから成長と固定ロイスの報告をお願い。
ヒカル:俺は《神の目》を取得した! これで回避が可能になったぜ!
GM:回避エフェクトかぁ……あれ? 《リフレックス》って持ってたっけ?
ヒカル:そこまでは経験値が足りなかった……ただ《神の目》は<知覚>で回避するので、GMの出目が悪ければダイス数的に回避できる目が出てくる。これはでかい!
流子:まぁ、このGM(衣織先生)はダイス運無いからねぇ(笑)
GM:いやいやいや、ダイス運なんてしょせん運だからね、いくら振っても駄目な時ゃ駄目さね。
建:諦めるんだ。
鳳飛鳥:どちらかというと<知覚>のレベルを着実に上げていった方が良いって可能性もあるね。
GM:他には?
ヒカル:《絶対の孤独》を2から3に上げた。
GM:ダイスペナルティが増えるのかぁ。
ヒカル:あとイージーエフェクトから《ウサギの耳》を取得、10km先の音を聞き分けるぜ!
GM:固定ロイスは?
ヒカル:流子先輩に感服、あとは現実に残ってる恒輝に尊敬と不安でプロローグから引き継ごう。



▼土矢重雄
GM:次は重ちゃん。
重雄:今回は支援系エフェクトの《解放の雷》を1レベル取得しました。さらに《灰色の庭》を2レベルに上げました。
GM:《解放の雷》を取ったのね……攻撃か、もしくはガード値を上げてくると思ったんだけどなぁ。
重雄:前回、門路先輩が異様に堅いと解ったので、攻撃を支援する方向でエフェクトを取った方が良いかなぁって。
建:異様って言うな(笑)
鳳飛鳥:まぁ先輩は置いておいて、そのエフェクトで何が上がるのさ?
重雄:誰か1人のクリティカル値を1下げて、さらに攻撃力を上げるんだ。
建:クリティカルを下げるのか、それは良いな!
重雄:部長らしくなんでも器用に出来るようにして行こうと思ってます。
GM:固定ロイスは?
重雄:飛鳥に誠意で持ってるのは変わらず、もう1つは伊緒になんだけど……ポジティブの感情を執着に変えます。
鳳飛鳥:ああ、それは良い。
GM:だねぇ〜、モチベーションとしてもそれぐらいの方が良いと私も思う。
重雄:ええ、伊緒を助けますよ!



▼鳳飛鳥
鳳飛鳥:《巨人の生命》を1レベル上げて、さらに《イージスの盾》を新規取得。そして<白兵>を4に上げたよ。基本的にタフで倒れず一撃必殺キャラです。
流子:《巨人の生命》?
GM:あまり取ってるの見た事ないけど……いわゆるHPを増やすエフェクトだね。
流子:それでガード値アップの《イージスの盾》も取ったって事は、盾役目指してるの?
鳳飛鳥:いや、キュマイラのできる事をまんべんなく、周り見ながらとは思ってるけど……あ、あとイージーエフェクトで《猫の目》を取ったので、あたいは暗視できるようになった。
重雄:じゃあ夜道で飛鳥に会うと、暗闇の中で瞳が光ってるんだ……怖いな(笑)
GM:そう言えば、《完全獣化》のビジュアルも猫系だっけ?
鳳飛鳥:苗字名前は鳥系だけど、獣化のビジュアルは黒豹なので(笑)
ヒカル:黒い女豹か……飛鳥先輩らしいぜ!
鳳飛鳥:どういう意味だ。
ヒカル:いや、なんでも(笑)
GM:固定ロイスは?
鳳飛鳥:重雄に慈愛、小鳩に憧憬、前回と変わらずだね。
GM:了解〜。



▼門路建
建:俺は《渇きの主》を1から一気に3へ上昇させた。
GM:装甲無効の攻撃で、HP吸収する数値が増えたのか……ますます死ににくくなるなぁ。
建:1人で戦い、1人生き残る、そんなコンセプト。
重雄:口では協力しようって言い周ってるのに(笑)
建:もちろん、協力する事で死亡率を下げ、クリア確率を上げようとしているのも本音だぞ?
ヒカル:リプレイ読んで「NPCがいる」って思ったのは俺だけじゃないはず(笑)
建:違うだろ、それは流子だって同じだ!
流子:私は怖い演出したけど、あんたは誰が見ても怪しい敵NPCだったじゃない(笑)
建:否定はしない。
GM:しないんだ。
建:あとドワーフの自動取得エフェクトの《ハードロック》を3に上げた。
GM:本当に死ににくく……。固定ロイスは?
建:もちろん母親の門路柔に愛情、そして部長の重雄に有為だね。こいつは利用できそうだ(笑)
重雄:それを知らずに良い先輩だと僕は思ってるんだよなぁ。



▼黒木流子
GM:最後は流子。
流子:前回、最終戦闘時に暗い人格であるルーシーが表に出て来たので、<射撃>と<意志>を1レベルずつ伸ばしました。
GM:ルーシーの方が流子より強いの?
流子:うん、元々防衛隊のお兄ちゃんっ子だったから銃の扱いとか凄いって設定。だからエフェクトも<コンセントレイト:モルフェウス>を3レベルに上げた。
建:コンセントレイトを上げたのか!?
重雄:渋いなぁ。
流子:これもルーシーの演出って意味が大きい、通常時から銃を握ると強くなるっていうね。あとは《サポートデバイス》と《スプリットアタック》をそれぞれ1レベルずつ伸ばした。
ヒカル:防御を捨てて攻撃特化って感じですね。
流子:まぁね。それとイージーエフェクトの《壁抜け》を取得。
GM:固定ロイスは?
流子:前回から引き継いで建に信頼。そして別人格のルーシーに対してネガティブ表の殺意で。
ヒカル:それがあるから怖いんですよ(笑)
流子:でもそれが流子のモチベーションだしなぁ(笑)



GM:それでは最後にPC間ロイスを決めましょう。順番はさっき選んだハンドアウト順に行くので、
ヒカル → 重雄 → 流子 → 建 → 飛鳥で。
ヒカル:それじゃあ部長にか……慈愛? 懸命に部活に励むのが部長だしなぁ、慈愛を表にしておこう
重雄:キミは料理部の部員じゃないだろう?
ヒカル:ええ、なので慈愛に満ちた目で微笑ましく、苦労している所を見てます。他人事だし。
重雄:おいっ!(笑)
GM:ちなみにネガティブは?
ヒカル:こっちも振るかな……脅威。うん、これは無い。振り直し。
流子:即答なんだ(笑)
ヒカル:……憐憫。これだ。
重雄:だから!!(笑) まぁいいよ、もう、僕は流子先輩に……ポジティブが尊敬、ネガティブが厭気。一応尊敬かな。
流子:私は建に対して持ってるけど、どうすればいいの?
GM:その場合は空欄のままで。セッション中に好きに使って下さい。
流子:りょうかーい。
建:それじゃあ俺か、飛鳥に対して……選んで有為と、ネガティブは振って……不安。伝説の不良って噂だし、本当に手駒のように使えるか不安だ……。
GM:手駒って(笑)
鳳飛鳥:あたしはヒカルに対して……ポジティブは好意。まぁ、普通だねぇ。
GM:ネガティブは?
鳳飛鳥:こっちも振るよ……劣等感、か。あたいから見たらヒカルの家庭環境は普通だし、羨ましいと思うよ。
ヒカル:普通がですか?
鳳飛鳥:普通ってのが大事なんだよ。




赤光ヒカル(しゃっこう・ひかる) 16歳(男)
シンドローム:エンジェルハイロウ (ピュアブリード)
ロストエデン称号:常夏のパワフルガイ  ロストエデンワークス:シーフ  カヴァー:高校1年生
Dロイス:超血統
エフェクト: 《コンセントレイト:エンジェルハイロウ2》 《フラッシュゲイズ3》 《絶対の孤独3》 《光の手1》 
        《光の弓1》 《神の目1》
イージーエフェクト: 《ウサギの耳》
ロストエデンクラス:《シーフ:リミットオーヴァ1》
解説
  誰とでも仲良くなる元気少年。絵画が趣味であり、いつか大きな賞を取ることを目指しているが、生来の慌て癖のせいか最後の最後でドジる事がある。母1人子1人の家だが明るく前向きな性格をしており友達は多い。料理部の顧問が従姉(七夕衣織)だった為、飯代を浮かす為に料理部に入り浸っている。他校に寒空ヒョウというライバルがいる。やっかいごとは起こすより巻き込まれるタイプ。



土矢重雄(つちや・しげお) 17歳(男)
シンドローム:バロール=ブラックドッグ (クロスブリード)
ロストエデン称号:ジオユーザー  ロストエデンワークス:セージ  カヴァー:高校2年生
Dロイス:秘密兵器
エフェクト: 《コンセントレイト:バロール2》 《マグネットフォース1》 《灰色の庭2》 《グラヴィティガード3》
        《インビジブルハンド1》 《解放の雷1》
ロストエデンクラス:《セージ:アイボリードリーム1》
解説
 両親が警察官僚であり、小さい頃から家に妹と2人きりで育った。常に苦労性な星の下らしく基本的に貧乏くじを引き当てる。本人は善意のつもりだったり、わざとじゃなくとも、なぜか他人から説教されたりする。親から妹(伊緒)の面倒を任されていたが、面倒見ないでいたら妹はいつの間にか立派な廃人ゲーマーになっていた。夢は医者になること。幼なじみの飛鳥の喧嘩に巻き込まれて治療していたせいとの噂もある。



鳳飛鳥(おおとり・あすか) 17歳(女)
シンドローム:キュマイラ (ピュアブリード)
ロストエデン称号:不滅の拳(イモータルフィスト)  ロストエデンワークス:モンク  カヴァー:高校2年生
Dロイス:触媒
エフェクト: 《コンセントレイト:キュマイラ2》 《完全獣化1》 《巨人の生命2》 《剛身獣化2》 《鬼の一撃2》
        《イージスの盾1》
イージーエフェクト: 《猫の目》
ロストエデンクラス:《モンク:オーラフィスト1》
解説
  鳳飛鳥は中学1年の時、両親が離婚したことをきっかけに不良となった。妹(小鳩)は母に連れられ家を出て、父は酒におぼれロクデナシになった。結果、中学の3年間で飛鳥が潰した不良やチームは三桁を越え、気が付けば伝説の不良となっていた。今は幼なじみの土矢重雄の妹がゲームの廃人となっていると聞き、思わずその世話を焼き始めている。実は面倒見が良く、男子からは一目置かれ、女子からは憧れられている。



門路建(かどみち・けん) 18歳(男)
シンドローム:エグザイル=ブラムストーカー (クロスブリード)
ロストエデン称号:屍人(リビングデッド)  ロストエデンワークス:ドワーフ  カヴァー:高校3年生
Dロイス:屍人
エフェクト: 《コンセントレイト:ブラムストーカー2》 《渇きの主3》 《骨の剣1》 《赤河の支配者3》 《伸縮腕1》
ロストエデンクラス:《ドワーフ:ハードロック3》
解説
  両親はプログラムの仕事で家にいない事が多かったが、小さい頃の建は友達も多く明るい素直な子供だった。しかし、建が中学の時、バスが大事故に遭って建は植物状態となり死亡と断定された。数日後、奇跡的に意識を取り戻した時、父親は失踪、母親は建が死んだと思い気がふれ開発中のゲームをしたまま意識を失い植物状態となっていた。建の母はある伝説のゲームの中にいる、少なくとも建はそう思いそのゲームをプレイする。



黒木流子(くろき・りゅうこ) 17歳(女)
シンドローム:モルフェウス (ピュアブリード)
ロストエデン称号:流星の双子(ジェミニ)  ロストエデンワークス:プリースト  カヴァー:高校3年生
Dロイス:戦闘用人格
エフェクト: 《コンセントレイト:モルフェウス3》 《ハンドレットガンズ1》 《スプリットアタック2》 《ペネトレイト1》
        《サポートデバイス2》
ロストエデンクラス:《プリースト:リバイバル1》
イージーエフェクト: 《壁抜け》
解説
  流子はかつて暗い性格であった。黒木病院の娘として生まれた流子は兄しか話せる相手がおらず、このままではまずいと社交的なルーシーという人格を生みだした。しかし愛する兄の正が防衛隊へ入隊し家を出て行った時、流子は心の奥へ引き籠り、身体の支配権を明るいルーシーに明け渡した。今ではルーシーが主人格となり、本当の流子は心の奥から戻る事はない。ただ一つ、兄との繋がりを思い出す銃を手にするその時以外は……。

■NPCリスト

【「シンセ」南雲・美空(なぐも・みそら)】
  高校3年生の18歳女性。軽音楽部と兼部している音楽好き。料理部ではもっぱら食べ専で、息抜きや遊びに来ている感覚。格好が破天荒な為、教師や他の生徒からも不良だと思われているが、本当の不良では無い。好きなジャンルは電子ミュージックであり、シンセサイザーを自前で弾きこなす明るい子。

【「魔術師」尾道・満(おのみち・みつる)】
  高校1年生の15歳男性。オカルト研究会の部長。研究会を立ち上げたばかりで部員がおらず、部員になってやるから料理部に入れと門路建に言われ、そのまま料理部に入部した。自己中だが気は弱い。黒魔術や都市伝説に造形が深く、部活動の際には怪しげな儀式を執り行っている。

OPENING PHASE

◆Opening 01◆無垢なる者イノセント

どこまでも広がる草原と青空。
服装などは登録した状態のままだが、ヒカルの周りに一緒にログインした仲間たちは誰もいなかった。
そうこうしていると、複数の足音が聞こえてくる。
そちらを見れば6歳ぐらいの子供を、フードを目深にかぶった黒ローブの一団が捕まえようとしている。
これがゲーム世界のイベントとかクエストとか言うものなのだろうか。
GM:それじゃヒカルから始めようか。草原にポツンと1人っきりだね。
ヒカル:ここがゲームの世界か……――あ、GM、このゲームってウィンドウが開いたりするの?
GM:開かないね。ただ、本当はステータス画面とかのウィンドウは開く仕様だよ。
ヒカル:だけと俺達は開かない……ってことね。じゃあアイテムを取り出したりとかは?
GM:腰に下げてるポーチとか、ポケットから取り出せるみたいだね。
ヒカル:普通に現実世界と変わらないって事か。うーん、良くできてるなぁ。周囲を見渡しつつ。
GM:一面の草原だね、空は青く澄み渡っている……そういえばイージーエフェクト取ったんだっけ?
ヒカル:《ウサギの耳》を取った!
GM:では<知覚>で判定して下さい。
ヒカル:ん? やけに耳が良くなったような……シーフだからかな? 達成値は9!
GM:なら子供が走っている足音を聞きとります。さらにその子供を追っている大人の足音が複数あることもわかる。
ヒカル:こんな草原で? そっちに向かおう。走るぜ!
GM:すると見えてくるね、真っ白い一枚布の服を着た6歳ぐらいの子供を、黒ローブの大人達が追いかけている。今にも捕まりそうだね。
ヒカル:こんにちは!――ゲームだしまずは挨拶だよな(笑)
GM:するとキミに気が付いた子供が、方向転換してキミに向かって来て、キミの後ろに隠れる。
ヒカル:ん? なんだ? お前は誰だ?
GM:「イノセント、助けて、追われてる」
流子:片言キャラかぁ。
建:子供で白くて片言か……嫌な予感しかしないけど、キーキャラっぽさも全開だ(笑)
ヒカル:追われてるのか? そうか! そういうイベントか!(笑)
GM:ザザッと黒ローブ達がヒカルを取り囲もうとする。手には剣や杖、ダガーなどそれぞれ武器を持っているよ?
ヒカル:しっかり捕まってろ?――と子供を抱えて、黒ローブの隙を見てダッシュ! 囲いを抜ける!
GM:まぁオープニングなのでOK。
ヒカル:俺の移動力に付いてこれるか?
GM:それは……シュタタタタとアサシン走りで追うのだけど、どんどん差を開けられて途中で黒ローブは立ち止まる。
重雄:ヒカルは行動値高いもんなー(笑)
GM:黒ローブ達はお互いに頷き合うと、そのまま無言で消えます。ログアウトだね。
ヒカル:追ってこないのを確認して子供を降ろそう。
GM:子供はキョトンとした顔で見てます。
ヒカル:大丈夫か?
GM:子供は真っ白な肌、真っ白な服、真っ白な髪の毛をしているけど、無表情なまま――「イノセントは、感謝した、助けてくれたあなたに」
ヒカル:この子、プレイヤーがいるキャラクターって感じはしないよね?
GM:そうだねぇ。
ヒカル:「お前、イノセントって名前なのか?」
ヒカルが子供の頭を撫でながら聞く。
しかし、子供は小首を傾げて聞き返すのだった―― 「イノセントはイノセント、名前って……何?」

◆Opening 02◆さすらいの商人ネコ

どこまでも続く草原に2人、気がつけば流子は南雲美空と2人きりだった。
遠くを見渡せば、食事の支度か煙のたつ小さな村がある。
まずはあそこを目指すべきだろうか……。
GM:次は流子ね。美空と2人きりで草原に出現しました。他の人はいません。
流子:美空! 見て見て! 空がすっごい綺麗! 空気もおいしい気がするし! 良い場所だよ!
GM:「そうだね、ここがゲームの世界だなんて信じられ――
流子:そうだ! ここに家を建てようよ! それでそこに住むの! ここで良いよ! 永住しようよ! 美空、結婚して!
GM:「ちょっとは私の話を――ってか、なんで結婚するのよ!(笑)」
流子:美空はイケズだなぁ。
GM:「そんな事より、他のみんなはどうしたのかな? 私達しかいないみたいだけど……」
流子:え、放っておけば良いんじゃない? 大丈夫大丈夫!
GM:「いや、中には1年のヒカルもいるし、探した方が良いんじゃない?」
流子:うーん、それは部長の重ちゃんとかに任せてさぁ〜――と、ここで村を見つけよう――美空! あれって村じゃない? 行ってみよう!
GM:「ちょっと、先行かないでよ!」――と美空も追おう。
流子と美空が辿りついた村は、アーサー村というのどかな村だった。
流子の「こういう時は宿屋って決まってるの!」という意見により、2人は宿屋へと入り。
その入り口で宿屋の女将に捕まっていた。
GM:「だから、あんたら初心者だろう? なら始まりの町へは行ったのかい?」
流子:うん、行ったよー♪
GM:「それじゃあ旅団には入ったかい?」
流子:うん、入ったー♪
GM:「どうやら旅団には入って無いみたいだね、あんたら初心者だろう? なら始まりの町へは行ったのかい?」――とループします。美空が「さっきからループしてるけど?」と。
流子:面白いね美空! 本当にゲームのキャラって同じ事言うんだ(笑)
GM:試してたんだ(笑)
流子:じゃあ、もう一度街には行ったって言おうかな!
GM:「あんたら、初心者かいな?」――宿屋の奥の方から若い女性に声を掛けられますよ?
流子:誰? 誰? どんな子?
GM:大きいリュックを背負った、17歳ぐらいのネコ耳の女の子です。
流子:ネコ耳だ! さっそく触ろう!
GM:じゃあポロっと耳が取れます。
流子:ああ!?(笑)
GM:「なにすんねん! 人のアイディンティティを! けっこうレアアイテムなんやで!?」――とネコ耳を奪って再び装着します――「ったく、これだから初心者は……」
流子:えっと、あなたはプレイヤー?
GM:「せや、ウチはネコ! ワークスは見ての通りマーチャントや!」
流子:やっぱり中身入ってるプレイヤーだ! ね、美空、当たったでしょ?
GM:それにはネコが不思議そうな顔で――「そんなん、カーソル合わせてステシ確認すれば、誰だって解るやろ?」
流子:カーソルカーソル……ってネコの頭をポンポンと。
GM:「そうそう、そうやって手を当てて相手の所でダブルクリックを……って、なんでやねんっ!」(笑)
流子:この子ノリが良い(笑)
GM:「ま、まぁええ、うちは商売しながら冒険してるんやけど……あんたら、何が目的でこのゲームに? やっぱクリアして何でも望みをかなえられるっちゅー噂を信じて?」
流子:うん、建はそんな感じだったよ? あ、建は一緒にログインした仲間ね? やっぱその噂本当なんだ!
GM:「あはは、そんな眉唾……ってゲーム開始時には言ってたんやけど。その噂が立ってから少しすると、何人もの大金持ちが金にあかしてα版を集めてクリアを狙いだしたっちゅー事実があってなぁ……もしかしたらって言われとる」
流子:そうなんだ! でもネコは凄いね、良く私の家がお医者さんで大金持ちって解ったの?
GM:「へっ? あんたんち金持ちなん? まぁ、この時期にこれ見つけてくるっちゅー時点で、それなりの小金持っとらんと駄目だろうけど」
流子:まぁね! ネコはいつから?
GM:「ウチは最初に配布された時からのベテランや! 何でも知らない事があれば聞いてくれてかまへんで?」
流子:じゃあ始まりの町ってどこにあるの?
GM:「ああ、そこならウチも一緒に行ったる。もともとあの町へ向う予定だったし。ワンダリングの相手も2人よか3人の方が心強いやろ?」

◆Opening 03◆氷の大剣スノウ

長い草をかき分けて飛鳥は進む。
ログインして気がつけば、周囲に仲間の姿はなく1人ぼっちだった。
やがて聞こえてくるのは……低い動物のうなり声、現れたのは――
GM:頭の上まであるような長い草が生える草原です。気が付けばキミは1人だ。
鳳飛鳥:他のみんなはどこ行ったんだろうね。
GM:すると複数の気配がキミを取り囲むように近づいてくるのに気が付く。草むらを分けて現れるのは複数のウルフだ。
鳳飛鳥:狼か……やろうって言うなら、遠慮はしないよ。
GM:ウルフの数は20匹、さすがの飛鳥もピンチになります。
鳳飛鳥:20匹って! それはさすがのあたいも1人じゃ無理(笑)
GM:その時、声が――「伏せろ!」と。
鳳飛鳥:素直に伏せる、すると頭の上を氷の大剣が薙いでいくって感じかい?
GM:その通り(笑) 長い草が一気に半分になり、集まっていたウルフ達も全て一刀両断されます。ウルフ達は全て倒され消滅するね。
鳳飛鳥:誰だか解らないけど助かったよ。
GM:「大丈夫だったかい? もしかして登録したてかな?」――飛鳥の手を取って助け起こしてくれるのは、空色の髪をした二十歳ぐらいの美女だね。
鳳飛鳥:一緒に始めたのも何人かいたんだけど、いつの間にか1人になっちまっててね。
GM:「それは運が悪かったね。スタートで飛ばされる3つの場所の中で、ここだけホットスタート――戦闘が発生する――場所だからね」
鳳飛鳥:こう言ったゲームをやるのも初めてで……あんたは何者だい?
GM:「私はスノウだ。氷の大剣スノウ・アルピニス」
鳳飛鳥:あたいは飛鳥だ、宜しく。
GM:「ああ、こちらこそ……うーん、私は今から旅団メンバーと落ち合う予定だったんだが……キミがよければ、始まりの町へ寄り道していこう」
鳳飛鳥:始まりの町?
GM:「ああ、一緒にログインした仲間がいたのだろう、なら彼らも始まりの町を目指すはずさ」
鳳飛鳥:でも、あんたは用事があるのだろう、その町の場所だけ教えてくれれば勝手に行くさ。迷惑はかけられないしね。
GM:「迷惑だなんて気にしないでくれ、MMOゲームではベテランが初心者をサポートするのはマナーみたいなものだしね」
鳳飛鳥:そういうものなのかい? なら……お願いしようかね。

◆Opening 04◆オフィーリアの導き

気がついた時にはすでに3人しかいなかった。
建と重雄と、そして尾道満の3人だ。
ここは山道の途中らしく、山を下って少し行ったところに町も見える。
まずはあそこを目指すべきだろうか?
GM:最後は建と重ちゃん、同時に登場して下さい。尾道もいます。場所は山道の途中のようです。麓が見えるんだけどそこに町が見えるね。そこが目指す場所なのかな?
建:これが俺達のスタートか。
重雄:男だけ3人でスタートかぁ。
建:ふっ、こういうゲームでは女キャラはたいがい男だ! 覚えておけ!
重雄:ああ〜。
GM:「キモイですね」――と尾道も。
建:装備品やアイテムはどうなってる? 服装は登録したアバターのものだとして。
GM:うん、常備化ポイントで得ているアイテムは持ってるけど、それ以外は無いね。ただ『太古の竜を滅ぼし者』と書かれたプレートが荷物に入っている。
建:これは……と取り出そう。
重雄:部室?で戦ったドラゴンを倒した証みたいなものですかね。
GM:ちなみに重雄の荷物にも入ってるし、ヒカルや流子の荷物にも入っているってことで。
流子:はーい。
建:とりあえず、これはしまっておくか。使えそうなものでもないしな。
重雄:あ、そう言えば麓に町が見えましたから、そこを目指せば良いんじゃないですかね?
建:町か……そうだな、そこに向かおう。
GM:と、そこで目の前に光の粒子が集まって来たと思うと、光の扉が現れます。そしてゆっくりとその扉が開き――
扉から現れたのは、ピンクの長いふわっとした髪の毛、西洋風に改造された巫女服を着た少女だった。
建:導きの巫女……オフィーリア。
重雄:夢に出て来た人……。
GM:その通り、オフィーリアは祈るポーズのまま――「皆さん本当に、この世界へ来てくださったのですね……ありがとうございます」
建:オープニングイベントというやつだな。
GM:「助けて下さい。このままではこの世界は終わってしまう……この世界の命の泉が、魔神達によって支配されてしまったのです……」
重雄:命の泉?
GM:「この世界の大いなる神、デウス=エクス=マキナも、魔神達によって封印され、その力を振るうことができなくなっています……。この世界を救えるのは、魔神の力を持ちつつ、意志の力で正気を保っていられる皆さん、オーキィの皆さんしかいないのです」
建:デウス=エクス=マキナ……それがこの世界の神の名、か。
GM:「どうか命の泉を、デウス=エクス=マキナを、助けて下さい! まずは……始まりの町へ向かって下さい。冒険を始まる上で、いろいろと役に立つ情報もあるでしょう。きっとあなた達と旅団を組む仲間もいるはずです。みなさん、どうかよろしくお願いします」
重雄:なんか最後はテンプレ台詞になった気が(笑)
GM:そこまで言ったところで、オフィーリアの後ろに光の扉が出現、再び扉の向こうへと彼女は消えて行くよ。
重雄:消えちゃいましたね。
建:イベントだからな、強制的に説明して一方的に終わる、そんなものだ。
重雄:先輩、僕は妹を……伊緒を探したいです。
建:それなら情報収集だな、他のプレイヤーが集まっている町で聞き込みした方が早いだろう。それに流子達とも合流したいしな。
GM:「なら、始まりの町って所に行ってみますか?」
建:ああ、そうしよう。
重雄:飛鳥達、大丈夫かなぁ。

MIDDLE PHASE

◆Middle 01◆始まりの町

建、重雄、尾道満の3人が麓に見えていた町へと降りてくると、そこは活気溢れる石畳の町だった。
通りを歩けば屋台が並び、焼き物の煙と美味しそうな匂いが漂ってくる。
そしてそんな人ごみの中、見知った背中を見つける事となるのだった。
GM:それではミドルフェイズに入ろう。登場はオープニングから続けて男3人組で。
重雄:ゲームの中って言うけど、結構活気あるなぁ……なんか外国へ旅行に来たみたいだ(笑)
建:他にオーキィがいないか見ていよう。動きがランダムというか、統一性が無いのがプレイヤーキャラクターだと思うし。
GM:何人かはプレイヤーがいるっぽいのは目星付いて良いです。ただ、通常のMMORPGより参加者が圧倒的に少ないので、たくさんって感じでは無いですね。
建:逆にそれは多いと思おう、αテスト版……制作者の関係者にだけ配布された、というには多過ぎるな。
重雄:露店から良い匂いとか漂ってくるのかな?
流子:じゃあその露店の前で、ネコと美空と3人で串焼きとか頬張ってよう――うん、これもおいしいね♪
GM:では登場で。美空は流子に「お金あるの?」とか聞いてます。
流子:大丈夫だって、ネコが払ってくれるって言ってたじゃない?(笑)
GM:「誰もそんなん言っとらんわ!」――ってネコがツッコミつつ、ちゃんと払ってくれます。
流子:ほらね?(笑) いや〜、ゲームの世界とは思えない味だよね! こんなにおいしいなんてびっくりしちゃった!
GM:するとネコは自分が褒められたみたいに――「せやろ? このゲームは直接脳に電磁波送って、味覚まで再現されてるんやで? 凄いやろ、遠慮せんといっぱい食い?」
流子:ネコは良い人だなぁ、そして面白い(笑)
重雄:門路先輩、あれって流子先輩と美空先輩じゃないですか?
建:横にいるネコを見ながら言おう――さっそくネカマな仲間を得たようだな。
GM:では尾道が呼びかけます――「流子先輩―! 美空先輩―! ネカマー!」
建:勇者だな、尾道(笑)
GM:そして反応する道端の関係無い幼女オーキィ。
重雄:おいっ(笑)
GM:ちなみにネコは振り向きません。流子達は気が付いて良いです。
流子:あ、重ちゃんと建、尾道も無事だったんだね!
建:お前もゲームの世界を楽しんでるようだな。
GM:美空も串焼きを尾道に渡しつつ――「とりあえず合流できて良かった」と。
流子:あ、ネコに紹介しないとだね!さっき話してた重ちゃんと建と尾道だよ?すっごい頼りになる仲間だよ!
GM:「ああ、一緒にログインしてた仲間やな、おっと、うちはネコ、さすらいの旅商人ネコ・ロングブーツや。よろしゅうな」
重雄:あ、ああ、宜しく。
建:こいつは使える……とか思っていよう――それで流子、お前達はどこに行く予定だったんだ? それとも屋台巡りしてただけか?
流子:してただけだよ? 美味しそうな食べ物がいっぱいだし、味見したくなっちゃって!
GM:「ちゃうやろ!」――ビシッとネコが突っ込みます――「うちが最初に言うたやないか、クエストを貰える宿屋に向かうって! 流子が屋台に行きたい言うから道草食ってただけやで?」
流子:乙女から買い物を取り上げるのは不可能なのだよ、ネコくん。
GM:「何キャラやねん!」(笑)――美空は「さっきからこの調子でさー」と笑いながら教えてくれます。
重雄:あの、飛鳥やヒカルは一緒じゃないんですか?
流子:うん、こっちは私と美空の2人きりスタートだったよ?
GM:「ちょい待ぃ! 流子、あんたらこいつらの他に、まだ一緒にログインした仲間がおるんかいな!?」
流子:いるよ? 他に2人。
建:俺達は総勢7人で同時にログインしてきた。
GM:「へぇ〜、お医者さんって言うとったけど、ほんま金持っとるんやなぁ」――言外にあんなレアゲーをそれだけの多人数でいきなりやり始めるなんて、凄いって言ってます。
重雄:まぁ衣織先生の黒いルートのおかげって感じだけど(笑)
建:とりあえずその宿屋に案内してくれないか?
GM:「ああ、せやな、付いて来や?」
重雄:その宿屋って名前あるの?
重雄の問いにネコがくるりと振り返って応える。
「あるで〜、オーキィが集まるギルドの宿屋、その名もレッドブロッサムや」

◆Middle 02◆宿屋レッドブロッサム

6歳ぐらいの子供であるイノセントの手を引きつつ、ヒカルは草原を抜けた先にあった町へとやって来ていた。 綺麗な石畳を歩きつつ行き交う人に、人が集まる場所は無いかと聞くとオーキィならレッドブロッサムへ行けと言われた。
どうやらそこが初心者プレイヤーが最初に向かう店らしい。
GM:それではヒカルの番です。イノセントを連れて町までやって来ました。町の人に聞くと初心者はレッドブロッサムという宿屋に行けって教えてくれるね。
ヒカル:じゃあそこに向かいつつイノセントに話かけよう――そういえばキミはプレイヤーか?
GM:「イノセント、違う、プレイヤー」
ヒカル:キミはどこに行きたい?
GM:「?」
ヒカル:ふーむ、とりあえず手を取ってその宿屋に向かうか。そうだ――キミの名前はイノセントって言うのか?
GM:「イノセント、わからない。名前?」
ヒカル:イノセントは名前じゃないのかな? うーん、わからん。
GM:そんな感じで宿屋レッドブロッサムに到着します。すると宿屋には飛鳥と空色の髪の女性がすでにいます。飛鳥は登場で。
鳳飛鳥:じゃあ登場します――ここで待ってれば、あたいの仲間も来るのかい?
GM:「ああ、初心者ならまずはこの宿屋に来るはずさ」
ヒカル:飛鳥先輩!
GM:「どうやら……さっそく仲間が見つかったようだね」
鳳飛鳥:ヒカル、無事だったようだね。
ヒカル:ちょっと変なのがいましたけど、逃げたんで大丈夫でした(笑) この人は?――と青髪の女性を。
GM:ではスノウが自己紹介しましょう――「私はスノウ、スノウ・アルピニス。旅団『アイスエイジ』の旅団長をやってる。草原でモンスターに襲われている飛鳥を見つけてね、一緒にここまでやってきたんだ」
ヒカル:飛鳥先輩、モンスターに襲われたんですか!?
鳳飛鳥:あれだけの数は、さすがのあたいも1人じゃさばききれなかったよ。
GM:「このゲームはスタート時、いくつかの場所に転送されてスタートするんだ。この町のすぐ近くの草原、この町の近くだが最初に敵に見つかってしまう草原、そしてこの町に一番近いアーサー村の3カ所だ。まぁ時々バグでそれ以外の場所からスタートする時があると聞いたが……まぁキミ達は大丈夫のようだな」
建:未登場のまま俺達はバグスタートだと宣言されたな。
重雄:どうしてこのハンドアウトを選んじゃったかなぁ(笑)
ヒカル:さっきの黒ローブの事を聞いてみようかな? カクカクシカジカとスノウに説明しよう。
GM:「スタート直後にそんなイベントが? それでそっちの子が今話していた?」
ヒカル:イノセントって言うらしいです。なんか懐かれちゃって。
GM:スノウはイノセントを見て首をかしげます――「これでもベテランを自負しているが……正直、見たことの無いアバターだ。α版であるコレは、アバターが追加される事は無いはずだけど……もしかしてオリジナルのSCなのか?」
ヒカル:SC?
GM:と、そこで宿屋の扉が開いて、流子と美空、建と重雄と尾道が合流です。登場して下さい。ネコが――「ここがレッドブロッサム。最初にクエストを受ける人がやってくる場所や」と説明しながら入って来ます。
建:ここが……か。
ヒカル:あ、先輩達、そっちは一緒だったんですね!
流子:イノセントに気が付こう――ヒカるん達も無事で良か……ヒカるん、なに幼女誘拐してるのー?
重雄:あ、本当だ、幼女の手を握ってる(笑)
GM:尾道が建に――「でも、ああいう幼女キャラはネカマなんですよね?」(笑)
建:ああ、8割方そう思って良い。
ヒカル:何言ってるんですか先輩……あれ? そういえば、イノセント、お前は女の子だったのか?
GM:「イノセント、女の子、わからない」
ヒカル:見た目はどっちか解らないんですよね?
GM:うん、中性的だね。そしてイノセントが――「ヒカル、女の子が良い? 男の子が良い?」
ヒカル:ん? まぁ、流子先輩達も言ってるし、女の子か?
GM:「イノセント、なる、女の子」――と、その瞬間にイノセントのアバターが少しだけ女の子っぽくなります。
鳳飛鳥:一瞬、目を擦ろう。なんか女の子っぽくなったような気がしたけど。
ヒカル:そういうゲームなのかな? と思っていよう(笑)
と、そうやって再会を喜ぶ料理部の面々だったが、その横で一気に空気が重くなるやりとりが発生する。
それは流子達が出会ったネコと、飛鳥を救ったスノウが、お互い睨みあっていたのだ。
「やぁネコ君、また会ったね。どうだろう、この前の話もう一度考え直してくれないか?」
「はぁ? あんたの頭はカビでも生えてるんかいな? うちは一度言った事を簡単に曲げる女やないで!」
「そこをなんとか折れてほしい。私達の旅団には腕の未熟な仲間もたくさんいる。キミが協力してくれれば彼らも良い防具を装備でき、死ぬ確率がぐっと減るんだ」
「はっ、結局欲しいのはうちやなくて、うちの集めてるアイテムっちゅー話やろ。正直に言うたらええやんけ! もっとも、あんたらみたいにしょーもないやり方でクリア狙っとう輩とは組むつもりあらへんけどな!」
それはネコとスノウ、お互いキライ合っているというより、一方的にネコがスノウを嫌っているようだ。
GM:――と、そんな口喧嘩になります。
重雄:派閥?
鳳飛鳥:スノウ、今、クリアを狙ってるって聞いたけど。
GM:それはネコが口を挟もう――「そうやで。こいつらは超巨大な旅団を作って全員でクリア目指しとる効率派や。うちはゲームを楽しむ為にゲームをするんや。クリア目的で楽しくも無い作業なんかしてられへん」
ヒカル:個人的には同意だなぁ。ゲームは自分でクリアしないと(笑)
GM:が、スノウはスノウで険呑な雰囲気で――「ああ、こっちはキミと違ってお遊びでゲームをしているわけじゃないからね」
流子:それは名言(笑)

「ふん、クリア報酬の何でも叶えられる願いを狙ってるっちゅー話やろ? せやかてクリアした全員がばらばらに願い事叶えてもらえるんかいな? たった1人だったらどうないするっちゅーんや? あんたが代表で自分の好きな願いごとでも叶えるんかいな!」

「私達の願いは皆1つだ。たった1人、共通した願いが叶えられれば良い。そういう仲間を集めている」

「仲良し子よしでごちそうさん! うちは気分悪ぅなってきた。流子、美空、なんかレア物が欲しくなったらウチを探しぃや? お金次第じゃどこにでも届けたる。じゃあ、さいなら」

GM:――そう言って、ネコは扉に向かって去って行きます。
鳳飛鳥:去るネコに言おう――皆を連れて来てくれて感謝する。
GM:「礼はいらへんで? 借りは銭で返してくれれば十分や」――ニカっと笑って手をふりふりしつつ宿屋から出て行きます。
流子:またねー♪

◆Middle 03◆ログアウト方法

重くなった空気を破るように、すまなさそうに青い髪の女性が頭を下げる。
さらに宿屋の主人にスノウは全員分の飲み物を頼んでくれる。
「これは気持ちだ」
GM:スノウが謝りつつ言います――「すまない、見苦しい所を見せたね。ゲームへの参加理由や、クリアへのモチベーションは人それぞれだから強制はできないんだが……彼女はアレで、この平原エリアじゃ有名なベテランだからね。是非とも協力して欲しかったんだが……(やれやれとジェスチャー)」
流子:スノウって名前の割に熱いんだね?
GM:「はは、この名前は氷の能力が使いたかったからだしね」――苦笑します。
建:それよりスノウと言ったな。このゲームのクリア方法を知っているのか?
GM:「ああ、このゲームはいくつかのエリアに分かれていてね。そのエリアを1つずつクリアしていき、最終エリアをクリアすればエンディングだ」
鳳飛鳥:スノウ、あんたは何エリア目なんだい?
GM:「最初のエリアだ。まだまだ先は長いさ」
流子:次のエリアは?
GM:「森林エリアだな。ちなみにここは平原エリアだ」
重雄:そういえば、クリアの目的が1つって話をしてたけど、それって?
流子:重ちゃん、そういうプライベートな事は聞いちゃダメじゃないかな?
重雄:あ、そ、そうか、……失礼な事を聞いて、すいません。
流子:うん、それで宜しい。……で、スノウ、あなた達の叶えたい願いって何?
重雄:ちょっと流子先輩(笑)
GM:スノウは真面目な顔で言おう――「私たちの目的はただ一つ、このゲームからの脱出だ」
建:ピクっと反応しよう。
GM:「信じてもらえるかわからないが……このゲームをしているプレイヤーの中には、自由にログアウトできなくなった者も数多くいるんだ」
鳳飛鳥:ログアウトできなく?
GM:「ああ、このゲームにはログアウトの方法が3つ用意されている。1つはステータス画面から普通にログアウトする事だが……そうだ、キミ達せっかくだからやってみると良い」
流子:スノウ〜? ステータス画面って何?
流子の声に合わせるように、料理部の面々は全員が全員、ステータス画面とは何かわかっていなかった。
GM:「もしかし……皆、ステータス画面が見えないのか?」
重雄:ええ、そうみたいです。
ヒカル:え? それじゃあ俺達もログアウトできないって事?
GM:「あ、いや、それはバグだ。ステータス画面が見えなくなるバグは初期から確認されていてね。深刻ではあるが絶望する程でもない」
建:つまり、何か他に方法がある?
GM:「有る。ただのバグなら2つ目の方法をとれば、ログアウトできるかもしれない。実際、私の仲間達もキミ達と同じバグが発生していてね。その方法を使ってログアウトしてみようという話になっているんだ」
重雄:それで、その方法って?
GM:「2つ目の方法、それはエリアクリアの条件を満たして、サーバ移動を行う際に自動的にログアウトするのを利用する方法だ。エリアクリア時にデータ引継用の特殊パスワードが貰える。それを入力すれば自動的に出られるって事だ。もちろん、自動的にログアウトするのを、そのままゲームを続行するとして次のエリアにログインしたままっていうのできる……私たちは覚悟を決めたメンバーだけ、そのままログインし続けてゲームクリアを目指す予定だ」
ヒカル:実際にその方法でログアウトした人は?
GM:「いる……という噂だが、理論的には可能のはずだ」
鳳飛鳥:それで3つ目の方法は?
GM:「最後の1つはおすすめできない。はっきり言って……ゲーム内で死亡する事だ。ただバグがある場合、死亡後に死体が残る事がある……普通のキャラクターは死体が残らず自動的にログアウトされて、こちら側からはアバターの姿は消滅するはずなんだ。これは私たちの推測だが……バグ持ちの者が死亡し、死体が残った場合……それは現実の世界でも私たちが死んだことになるんじゃないか、そう思っている」
重雄:そ、それは……確かに試したくはないかな。
GM:「ああ、だから確証を得るまでは軽々しく死ぬなんて選択肢はとらないことだ」
流子:もちろん! そんなに簡単にゲームオーバーにはならないから大丈夫だよ!
GM:「それと……キミ達もバグ持ちの可能性が高いから言っておくが……私たちはそうやって簡単にログアウトできなくなった者をこのゲームに囚われた者――プリズナー――と呼んでいる。私の旅団はプリズナーを集めて結成したギルドなんだ」
鳳飛鳥:プリズナーを……もしかしたらって重雄を見よう。
重雄:飛鳥に頷いてスノウに聞く――教えて欲しい、もしかして最近、あなたの旅団に入った小学生とかいないかな?
GM:「いや、最近はいないな。エリアクリア目指してたから、もう少し前ならプリズナーのメンバーに声をかけてたので解らないが……力になれずすまない」
重雄:い、いや、それならしょうがないですよ。気にしないで下さい。
GM:「そうだ。せっかく出会ったんだ。一応、このエリアを最短でクリアする方法を教えておこうか? それともネコ君のように私が話すのはずるいと思うなら、もしくはゲームがつまらなくなると言うなら黙っているが……」
建:いや、教えて欲しい。それで最短を行くかどうかは俺達次第だ。
鳳飛鳥:たしかに……選択肢はあった方が良い。
GM:「じゃあ言おう。実は第1エリアではハイランド王国の「王様の心配ごと」というクエストをこなすと、あるイベントが発生するんだ。そのイベントをクリアすれば第2エリアへと移動できる」
ヒカル:つまり、まずはハイランド王国に行けば良いのか?
GM:「それだけでは駄目だけどね。王様に会うにはいくつものクエストをこなしておく必要がある。もっとも、それをせずに会う方法が無いわけじゃないけど……」
建:教えてくれ! 早い方法があるなら、それを!
GM:「……大量のクエストをこなさずとも、地下100階層の隠しダンジョンに潜り、最下層のドラゴンを倒す事で手には入る称号を持っている事、だ。だがとても初期レベルで倒せる相手じゃない」
重雄:え? それってもしかして……。
建:ああ、あのドラゴンの事か? 確か倒した証のプレートがあったな……――スノウに見せよう。
GM:「それは!? どういう事だ? わからないけど……それが隠しダンジョンのドラゴンを退治した称号だ。初心者で初めたばかりなのに……」
流子:一緒にログインする予定だった先生と一緒に倒したんだ!
重雄:ちなみにその先生は、チートしてたらしくってログインできませんでした……。
ヒカル:もしかして俺達がバグってるのって……衣織姉ぇのせい?(笑)
GM:「チートか……可能性はあるな。ま、まぁ、私は今の話、聞かなかった事にするが……時には管理者がキャラクターを動かして監視している場合がある、ゲーム内では今のような話は口外しない方が良い」
重雄:そ、そうします(笑)
GM:「とりあえず、キミ達は気にせず死なないようにゲームを楽しんで欲しい。それと言い忘れていたけど、記憶石を手に入れた時に貰える特殊パスワードを使えば、その時にエリア移動のチュートリアルとしてシステム側からの誘導でログアウトが可能だ。まだ記憶石を手に入れて無いならそれを試した方が良いかもしれない。それでログアウトできるようなら完全なプリズナーにはなっていないって事だからね」
流子:記憶石って何?
GM:「ああ、記憶石はこのゲームを始めた際、一番初めにやるクエストさ。そのアイテムを持つことでいつでもどこでもセーブができるようになるんだ。もっとも、どちらかと言えば制作者サイドがチュートリアルでいろいろ教える為のお試しクエストって意味が強いけどね。まぁ、詳しくはギルドで聞いてくれ」
建:ああ、そうしよう。
鳳飛鳥:それで、あんたはこれからどうするんだい? 仲間の元へ?
GM:「ああ。そろそろ私は行こう。これ以上は説明より、自分の足で調べた方が理解が早いだろうしね」
重雄:あなたは仲間と合流してこのエリアをクリアするんですか?
GM:「その予定だ。あまりゆっくりもしていられなくてね、精神的に参ってる仲間も、多いんだ」
流子:あ、GM、スノウ達『アイスエイジ』をあらわす旅団エンブレムみたいのってスノウは持ってたりする?
GM:ああ、マントの留め金として雪結晶のバッジを付けてるね。これが旅団『アイスエイジ』のエンブレムのようだ。
流子:わかった。ちなみにネコは?
GM:ネコは付けてません。ネコはソロプレイヤーなので旅団に入っていないし、作ってもいません。
重雄:凄いな(笑)
GM:ではスノウは最後に言います――「まずは死なないように気をつけること。生きてさえいれば、私たちアイスエイジがゲームをクリアして願いを叶える。叶える願いは1つ、プリズナーとなった者を現実の世界へ戻す事。キミ達がもしプリズナーだっとしても絶望しないで欲しい」
鳳飛鳥:困った事があったら言ってくれ。あたい等に手伝える事なら力を貸すよ。
GM:「ありがとう。それじゃあ、また会おう」――スノウは宿屋から出て行きます。

◆Middle 04◆この先をどうするか……

スノウが去ったあとのレッドブロッサムには、料理部のメンバー以外にオーキィはいないようだった。
ギルド員だと言われた宿屋の親父は、カウンターの向こうでグラスを拭いており、自分からこちらに話かけてくる事は無さそうだった。
イノセントが所在投げに椅子に座る中、最初に口火を切ったのはヒカルだ。
ヒカル:この世界から出ましょう! ここって何かおかしいし!――テーブルを叩いて言おう、現実世界でのドラゴンとの戦いもそうだけど、ステータス画面とかゲームの中とは思えない状態は普通じゃない!
鳳飛鳥:まぁ、ヒカルの言うのも正しいことだけどね……。
建:ああ、だとしても今の俺達に必要なのは記憶石だ。スノウの言葉を信じるならログアウトするにもそのアイテムを取りに行く必要がある。
重雄:そうですよね……まぁ、少しの間はゲームをする必要があるって事ですね。
ヒカル:いや違いますよ部長! そのゲームで、遊びで、もしかしたら命を落とすかもしれないってスノウは言ってたんですよ!?
GM:それには美空も同意します――「ヒカルの言う通り。さっきのスノウが言ってたじゃない、私たちはステータス画面もアイコンも、何も見えない状態だし……リアルに死ぬって可能性は、信じたくないけど……」
流子:はいはーい! この宿屋に泊って露店で美味しい物食べて、楽しく過ごしてれば良いんじゃないかな?
重雄:いや、それじゃあ……
流子:だって待ってればさっきのアイスエイジの人達がクリアしてくれるんでしょ? そうしたらログアウトできないバグだって直るって言ってたし。
鳳飛鳥:それも確かに……だけど流子先輩、あたいはあんまり時間をかけたくない。できるなら早く現実世界に戻りたい。重雄、あんただってそうだろう。
重雄:それは……ああ、その通りだけど……。
ヒカル:何か理由があるんですか?
重雄:伊緒の事を言おう……――実は僕の妹が……
土矢伊緒、重雄の小学5年生の妹が、ダブルクロスαテスト版をやっている最中、意識を失ったという話を皆にする重雄。
重雄:――と言うわけだ。もちろん、伊緒が本当にゲームの世界に取り込まれた、そんな荒唐無稽な話を信じるかと言われたら難しいんだけど……。
鳳飛鳥:ただ、都市伝説やドラゴンとの戦いを考えると……噂だけで判断するのも、ちょっとね。
ヒカル:……確かに。
建:なら、この世界でまずは情報収集をしよう。重雄の妹やこの都市伝説の信憑性について何かわかるかもしれない。
流子:ま、良いんじゃないかな? やれることからやってみるのはさ。ね、ヒカるん?
ヒカル:そう、ですね。
GM:と大人しく椅子に座っていたイノセントが、不安そうなヒカルを見つめています。
ヒカル:そういえば、こいつについても調べた方が良いんだよな……よしっ! それじゃあいろいろ調べますか!

◆Middle 05◆情報収集

GM:それではここから情報収集フェイズに入るよ? 判定は1人1シーン1回まで! そして情報収集可能な項目は……これだー!

・イノセント
・黒ローブの一団
・旅商人ネコ・ロングブーツ
・願いを叶える噂
・氷の大剣スノウ・アルピニスとアイスエイジ
・導きの巫女オフィーリア
・この世界について
・大いなる神デウス=エクス=マキナ
・デウス=エクス=マキナの封印
・SCとは
・自由にログアウトできなくなる事件
・プリズナーと本当の死
・第1エリア「平原エリア」のクリア方法
・クエスト「記憶石を手に入れろ」

重雄:多っ!?(笑)
鳳飛鳥:……14項目?
GM:そして特別ボーナスがあります。
ヒカル:特別ボーナス?
GM:この情報項目を3つにつき1点、セッション終了時の「シナリオの目的を達した」の経験点が加算されます。
建:それは俺達全員に? それとも個人?
GM:全員です。例えば9項目を調べれば、終了時に+3点の経験値がボーナスで手に入ると思って良いよ。
鳳飛鳥:端数は? 今だと全部調べても14個だし。
GM:切り捨てです。
流子:たぶんだけど……15個目が追加されるフラグがあるはず。
建:とりあえず片っ端から当たるか……。
重雄:でも、調べれば調べるだけ僕達の侵蝕率がやばいことになりません?
建:それがどうした。
ヒカル:強気だなぁ(笑)
流子:私はいくつかポイントの情報だけ集めれば良いや。
鳳飛鳥:なら侵蝕率が危なくなったら調べなければいい。まだ侵蝕率に余裕があって自分が調べたいと思ってるなら続ける……基本的に自己責任なら問題無いだろうしね。
重雄:まぁ、それならいいか。あとGM、このフェイズはどうやったら終了?
GM:プレイヤーからの宣言で良いけど、キャラクターの行動としてはギルドの親父に話かけて、記憶石のクエストを受注したらイベントシーンをスタートします。
重雄:そういう事か。了解。
建:よし、それじゃあ皆、この街で各項目について調べるぞ!
建の言葉によりそれぞれ情報を集めに町へと繰り出すメンバー達。

始まりの町は様々なゲームのキャラクターがいた。その誰もが生きているように滑らかに動いている。
しかし実際に話かけてみると、あまりに細かい事やイレギュラーな事だと、通り一辺倒な返事しかかえってこないのが解る。これは全てNPCなのだろう。

逆に人間味ある返事をしてくれる者もいた。数は少ないが彼らはプレイヤーが動かすオーキィなのだ。
料理部のメンバーは、できるだけ多くのオーキィに接触し情報を集めたのだった。


GM:では長かったけど15項目、全て調べ終わりました。場所はレッドブロッサム、テーブルに付いて情報を共有するシーンで!
ヒカル:イノセント、何か食べるか?
GM:「イノセント、食べたい、食べたい」――ちょっとだけ嬉しそうです。
ヒカル:親父! 適当に頼む!(笑)
流子:イノセントちゃん……イノちゃんは正直だねぇ(笑)
ヒカル:勝手に名前を略してるし……まぁいいか(笑)
建:俺は隅っこでどんよりと沈んでいよう……なぜだ、この世界は俺の……俺はこの世界を……ぶつぶつ。
重雄:なぁ、門路先輩はどうして沈んでるんだ?
ヒカル:いや、それが(笑)
建:ヒカル! ……言うな。
流子:ヒカるん、言わないとダメだよ?
ヒカル:流子先輩の方が怖いんで言います(笑) 実はですね……――
情報収集の途中、町の外でオーキィから情報を得た建とヒカルは嫌な気配を感じてその足を止めた。
見れば草むらから半透明のプリンのような可愛い生物が5体現れるではないか。
2人は後で知ることになるが、この生物は「プティン」といいロストエデンのマスコット敵モンスターだ。
このゲームをプレイした場合、一番初めに誰もが倒す事になる最弱モンスター。
そして2人はバトルへと突入し……
ヒカル:《光の弓》を使用! 演出で持ってたシーフのブーメンランが輝く、これで……どうだ!
GM:うん、ヒカルのブーメランで1体が倒される。
ヒカル:よしっ! 攻撃力無い俺でも倒せる! 門路先輩そっちは!?
建:ああ……なかなか強敵だ、さっきからなぜか俺の攻撃が避けられる。
ヒカル:いや、避けられるなんておかしいですって! 一番弱いんですよ!?
建:なら……一番弱いのは俺だった、ってことだ……すまない。プティンによって俺は殺されるが――
ヒカル:いやいやいや、死んでない死んでない死んでない。
建:くっ、俺はこんな所で負けるわけにはいかないんだ……命中18!
GM:……あ、周った。ちょうど18で回避。
建:なん……だと……!?
結局、現れたプティン5体のほとんどをヒカルが倒すという結果に……。
GM:回想シーン終わりで(笑)
建:膝を叩きながら呟く――何か、何かの間違いだ!
流子:あははははっ、なっさけなーい!――大笑い(笑)
GM:ちなみにプティンはトループなのでHPも行動値もありませんでした。
鳳飛鳥:そんな触れば倒せるような敵に……苦戦?
建:違うっ、あのモンスターは、恐るべき素質を秘めていたんだ! ほ、本当だ! 信じてくれ!
流子:必死だ(笑)
ヒカル:あー、はいはい、あれは強かったです。本当ですね。
建:ヒカル、お前、目が冷たいぞ!(笑)
重雄:え、えっと……それじゃあ情報を交換しましょう。まずは俺と飛鳥で宿屋の親父から聞いた所によると……――

――宿屋の親父から聞いた情報――
◆この世界は『命の泉』のおかげで平和だったが、魔神がやってきてその泉を汚染、魔に汚染された
  泉のせいで魔神の眷族が増えて世界の危機となっている。
◆オーキィは魔の力に汚染されながらも自分の意志でその力を操れる存在。
◆この世界のエリアは「平原エリア」「森林エリア」「山岳エリア」「砂漠エリア」「雪原エリア」「廃墟エリア」と
  分かれており、魔神軍のボスは4人の魔神らしい。
◆デウス=エクス=マキナとはこの世界の神様であり、この神に会うことがトゥルーエンドの絶対条件と
  言われている。
◆デウス=エクス=マキナは魔神軍が命の泉を占拠した際に封印された。
◆記憶石のクエストをクリアしていない場合、他のクエストを受注できない。ただし旅団として受注する場合は
  旅団員の誰かしらが記憶石を持っていればクエストの受注は可能。
◆オーキィギルドというクエストをオーキィに発行してくれる組織がある。通称「ギルド」。

重雄:って所だったな。
ヒカル:この不思議な力を使えば使うだけ、魔神ってのに近づいて行くって事?
建:だろうな。最悪、ゲームオーバー、良くてNPCとしてアバターを取り上げられる仕様かもしれん。
鳳飛鳥:超能力みたいな力だけど、使い過ぎは良くないって事か。
流子:トゥルーエンドは命の泉を解放して、神様に会う必要があるんだ。
建:目指すべきは命の泉、そして魔神討伐、と言った所だな。
重雄:ヒカル、その子については調べたのかい?
ヒカル:イノセントについてですか? ええ、調べましたけど……――

――システムに強いオーキィに聞いた情報――
◆イノセントはゲームストーリーと関係無いらしい。ただSCに追われているのでバグじゃないかとの噂がある。
  管理者に目を付けられるから関わらない方が良い。
◆イノセントを追っていた黒ローブは管理者のSC。バグ狩り。自動ボットAIやバグを見つけては消去して
  周っているSC。
◆ちなみにSCとはシステム・キャラクターの略であり、ゲーム管理者が動かしているキャラクターと、自動AIの
  キャラクターの2パターンが存在する。

建:管理者に目を付けられたら……確かにまずいな。
ヒカル:もう遅いですけどね、イノセントを黒ローブの奴らから助けて逃げましたし、俺。
建:それは……確かに遅いな(笑)
GM:イノセントは言います――「イノセント、よく追われる、黒い人達に」
ヒカル:ぽんぽんと頭を叩こう、気にするなってニュアンスで。
流子:それを言ったらヒカるんと一緒にいて、この子も一緒にいるって時点で、私達も目を付けられて当然って事かな?
ヒカル:そうでしょうね。
鳳飛鳥:ま、だからってこんな小さな子を放っておくわけにはいからないだろ。管理者に見つかったら逆にここからの出方を聞くまでさ!
建:……そう簡単に行くかな――と誰にも聞こえないようにボソリと。
流子:そういえばネコとかスノウとかって、誰か調べたの?
ヒカル:それなら尾道と門路先輩と一緒に調べました。
建:ああ、普通にゲームしているオーキィを見つけて聞いたんだが――

――ゲームを楽しむオーキィに聞いた情報――
◆ネコはこの平原エリアで豪商を目指すベテランゲーマーらしい。目的はトゥルーエンドらしいが、なかなか
  先に進もうとしないのが謎。聞いた噂によると全てのアイテムを得てから次のエリアを目指しているらしい。
◆アイスエイジはプリズナーと揶揄される廃人ゲーマーだけで組織された旅団。その旅団長はスノウ。
  彼らは人数を集めて効率的なクリアを目指していると言われているが、実際には非効率な低レベルPC
  (それでもログアウトを見たことが無いとの噂のPC)を旅団メンバーに加えたりもしている。
  近々平原エリアをクリアするらしい。
◆導きの巫女オフィーリアはこの世界の神に仕える巫女で、全てのエリアに共通して1体しかいない存在。
◆このエリアのクリア方法は、このロストエデンにあるハイランド王国の王様の心配事を解決し、その後に
  起こる特殊イベントを解決する必要があると言われている。

重雄:ネコはコレクターっていう奴ですかね?
流子:それで欲しいアイテムがあったらって言ってたんだ。
鳳飛鳥:スノウのチームは廃人ばかりなのか……。
ヒカル:でも、そんなやり込んだ人ばかりなら、レベルが低い人が混じっているっておかしく無いですか?
鳳飛鳥:いや、これは推測だけど、本当の死を恐れているなら……モンスターと戦わずに低レベルのままって可能性はあるね。
ヒカル:ああ、プリズナーだからこそ、か。
建:それとエリアのクリア方法を調べたら、「王様の心配事」っていう項目が追加された。これは誰が調べたんだ?
流子:あ、その辺は私と美空で調べておいたよ? 他にも願いごととかベテランオーキィ捕まえて聞いたんだけど――

――ベテランオーキィに聞いた情報――
◆願い事が叶うと言う噂の真偽だが、α版が配布された後ゲーム内で金持ちに雇われたと宣言する
  オーキィが多発した時期があった。すでに平原エリアをクリアしているため、これ以上彼らの情報は不明。
◆自由にログアウトできなくなる事件について……噂によるとこれは2段階あり、ステータス画面でログアウトが
  自由にできなくなるバグ型と、どんな条件を満たしてもログアウトできないプリズナー型があるらしい。
  前者はその存在が確認されており、後者は都市伝説。
◆ゲーム内で死亡した場合、現実世界でも死ぬという都市伝説について。今のところそれを確認したPCは
  いないとされている。ただし、ゲーム内で死亡すると自動的にログアウトするが、ログアウトされず死体が
  残る場合がある。死体が残るのは気持ちの悪いバグだと言われているが、その現象のせいでこのような
  噂が広まったと思われる。
◆クエスト「王様の心配事」は、始まりの町から北にいくとロストエデンで唯一の王国の首都が見えてくる。
  そこの王宮で王様に会い、話を聞くことで発生すると言われているイベント。

建:まずは記憶石を手に入れ、ハイランド王国に向かって王様に会う、それが最初にやることだな。
ヒカル:あの、流子先輩。死んだ場合に死体が残るって言ってましたけど、その死体ってどうなるんです?
流子:腐ったりせず、ずっと残るらしいよー。そうだGM、その死体にプリーストの《リバイバル》とか使えないの?
GM:それは無理。《リバイバル》で癒せるのは戦闘不能状態だけだしね。
流子:そっか、完全死とはまた別モノなんだっけ。
鳳飛鳥:つまり、完全死した時に死体が残ったら……要注意って事か。
GM:そんな感じで。とりあえず情報交換も含め一度シーンを切ろうか。
それぞれ購入判定で手に入れたポーションなど回復アイテムを、皆で分けた事をここに記載する。

◆Middle 06◆クエスト受注

情報交換を終わらせたメンバーは、さっそく記憶石のクエストを受注する事になる。
もくもくとカウンターでグラスを磨く宿屋の主人に、部長である重雄が話しかける。
その反応は期待通りのものだった。
重雄:それじゃあクエストを受注しよう。僕がやっちゃって良いのかな?
鳳飛鳥:旅団長なんだし、良いんじゃないかい?
建:重雄、頼んだ。
重雄:じゃあ話しかけます――あの、クエストを受注したいんですが?
GM:ギロっと主人は重雄を見て――「クエストだぁ? ふん、お前さんたち、まだ記憶石も持ってないじゃないか。なら紹介できるクエストは1つだけだ。ちゃんと記憶石を持って帰ってこられたら、他のクエストを紹介してやるよ」

「クエスト『記憶石を手に入れろ』を受注しますか?」

重雄:なんかコマンドっぽく言われた(笑)――はいっ!
GM:「クエストを受けるか、良い度胸だ。怪我しても責任はとらねーぜ?」――がははと主人は笑う。
建:言う言うそういうこと(笑)
ヒカル:こういう所は普通のゲームだ(笑)
GM:親父は続けます――「記憶石ってのはその人の人生を記憶するって噂の特別な鉱石だ。アーサー村の東にある山のてっぺんに石の鉱脈があるって話だ。途中、危険なモンスターが現れる事もあるだろう、その山には村人は危険で近づかないって話だしな」
鳳飛鳥:アーサー村?
流子:あ、その村なら私知ってるよ? 美空と一緒に最初に行ったのがその村だったし!
重雄:じゃあ道案内は流子先輩に頼めばいいか。
GM:「もしお前達がそんなモンスターどもに負けず、記憶石を持って帰ってきたなら、いっぱしのオーキィとして認めてやろうじゃねーか。期間は別にもうけちゃいねー、諦めないなら何度でも挑戦すると良い。ただし、何度やっても無理そうなら旅団を組んでいくことをおすすめするぜ。1人じゃできないことも仲間がいればなんとかなるもんだ」
建:1人より複数人で行った方が良いってことか。パーティを組む事が前提のゲームなのか?
GM:ちなみに主人は追加で――「旅団の説明を聞きたいか?」と。
流子:パス!
ヒカル:説明飛ばすんだ(笑)
GM:すると次に主人は――「旅団の有用性だが、聞きたいか?」
流子:パス!
GM:次に――「窓を開くって意味がわからないだと?」と。
流子:パス!
重雄:ま、まぁ、僕達はバグってるのか、ステータス画面すら開けませんしね(笑)
GM:すると――「さぁ、他に聞きたいことはないか?」
流子:さ、すぐに出発しよう! おじさん、ありがとう!
GM:「アーサー村はこの町から東に行ったところにある。気をつけて行って来い。良い報告を待ってるぞ」
ヒカル:イノセント、お前も行くか?
GM:「イノセント、付いて行く、ヒカル行くなら」
ヒカル:よし、それじゃあ付いてこい!
重雄:あ、さっき言ってた旅団って登録できるのかな?
GM:「ああ、旅団員の募集をギルドで行いたいなら、ここで登録する事も可能だぞ?」――と主人が。
重雄:せっかくだし登録しておこう……どんな旅団名が良いかな?
ヒカル:「アアアアア」とかで。
建:お前、舐めてるだろう(笑)
流子:美食Clubで良いんじゃない?
重雄:じゃあ流子先輩の言う通り『美食Club』で……登録お願いします。
その後、宿屋の主人に各自が話しかけ、旅団『美食Club』へと入団を行った。
流子:それじゃあ記憶石を手に入れる為にしゅっぱーつ!
ヒカル:最初の冒険か!
鳳飛鳥:嫌な予感しかしないけどね……。
重雄:そういう事言うなよぉ(笑)
建:ところでGM、さっき説明を飛ばした項目は、あとで調べたりできるのか?
GM:<情報学問>の判定に成功すれば、ゲーム内の図書館(ライブラリ)とかに行って調べた事にできます。

※ライブラリの情報「旅団について」
旅団は仲間と作るチームみたいなものです。
ステータス画面を開き「旅団に参加する」を指定すれば話している相手の旅団に入団届けを送れます。
相手が受理してくれれば旅団の仲間入りです。
自分で旅団を立ち上げる場合も同じ、ステータス画面の旅団を作成するというコマンドで作成可能です。
旅団は1キャラにつき1つしか自分の旅団は作れません。
もし変な名前で登録してしまった場合などは、旅団を取り消すコマンドで旅団を削除できます。

※ライブラリの情報「旅団の有用性」
旅団員は他の旅団員のログイン状況と生死状態を確認できます。
これでいつでもログインしているメンバーに窓を開いて話しかけ、いつでも一緒に冒険を楽しめます。

※ライブラリの情報「窓を開く」
窓を開くとは、旅団員に対してどこにいてもログインしていれば話しかけられる機能のことです。
もっとも、ログインしていても特殊な場所(主にダンジョン)に入っている時、窓は開きません。
ただし同じダンジョン内にいる場合は別です。その時だけは一緒に探索している仲間にのみ窓を開くことができます。
それと窓を開いて相手に話しかけたりする場合も、シーンへの登場と見なすので浸蝕率は上昇します。

◆Middle 07◆その名は神を超えし超魔王

始まりの村を出発する旅団『美食Club』のメンバー達。
フィールドの草原を歩く事1時間近く、街道の真ん中に黒い歪みが現れたと思うと、その黒い穴からマントを吸血鬼のようにひるがえした25才ぐらいの美男子が出現する。
GM:それではアーサー村へ向う道中です。空間が歪んだかと思うと、キミ達の前に25歳ぐらいの黒マントを吸血鬼のように着こなした美青年が現れます。装備品もかなりゴテゴテと強そうなアクセを付けています。
流子:おーい!
ヒカル:こんちはー。
重雄:緊張感無いな(笑)
GM:「ふんっ」――と、男は鼻で笑います。そして――「お前たち……初心者だな! 俺様の名は『神を越えし超魔王』ゲヘナ・エンシェントゴットだ!」(一同大爆笑)
建:か、完全に中二病なプレイヤーだ(笑)
鳳飛鳥:ありえない名前だ(笑)
GM:ゲヘナは続けます――「お前たちは不幸だな。なんせ俺様に出会ってしまったのだから!」
ヒカル:なぁ、あんた普段何やってるんだ?
GM:「言わなかったか? 俺様は、魔王だ!」
ヒカル:………………話が通じない。
建:正直なことを言っていいか? いきなりだが……戦闘になるぞ。
GM:正解! ゲヘナは――「この魔王様に会ってしまったのが運の尽きだ! さらばだ初心者諸君、これが……PKだ!」
建:やっぱりか!?
GM:というわけで戦闘になります。セットアップで《小さき魔眼》《赤方偏移世界》を使用。ゲヘナの行動値は20+16で36になります。
ヒカル:俺より早い!?
重雄:そういうレベルじゃないだろ!
GM:ではゲヘナから行動しますよ――「希望の光を切り裂く槍よ、我が手に!」――マイナーで《魔眼槍》《斥力跳躍》《ダークマター》
建:全力でバロールシンドロームか。
ヒカル:中二病っぽいし、魔王っていう名前のエフェクト多いから決めたってパターンだと見た(笑)
GM:魔王ゲヘナは空に浮きあがって槍を構えます。その槍の先端に黒い魔球が生まれ、急激に膨張していく――「魔王たる我が力を見よ、地獄から召喚されし闇に飲まれるがいい! いくぞ必殺、魔王幻魔眼!!」――《魔王幻魔眼》《因果歪曲》《黒の鉄槌》《魔王の理》《黒星の門》《インビジブルハンド》《虚空の陥穿》《魔神の心臓》《魔王の腕》を使用します。
鳳飛鳥:ど、どんだけコンボ連ねてるんだい! これが噂の魔神か!?
GM:いや、魔王ゲヘナはオーキィです。こんな恥ずかしいNPCネームを管理者は付けません。
建:もし付けてたら制作チームに両親がいた俺は複雑だ(笑)
重雄:GM、これってどっちかが死ぬまで戦闘終わらないの!?
GM:いや、イベント戦闘なので1ターンが終了するとゲヘナは帰ると言っておきましょう。
重雄:それは……大人しくやられとけってことか。
GM:その辺の判断は任せます。そして命中が……55の、ダメージが108点ね。
建:馬鹿だろ(笑) 俺は戦闘不能を宣言だ。
流子:うわ〜、やられた〜(笑)
ヒカル:魔王には勝てないぜ……バタリ。
重雄:大人しく死んでおこう。リザレクトすれば良いし。
鳳飛鳥:くっ、これがPK……か――あたいも倒れとく。
突如現れた魔王を名乗るプレイヤーキャラクター。
その攻撃によって全滅する旅団「料理Club」のメンバー達。
しかし、魔王の一撃をくらってもなお、立ったままのキャラクターがいた。
GM:1人だけ攻撃をくらったのにピンピンしている人がいます。
流子:あ、もしかしてイノセントかな?
GM:その通り、魔王は無傷のイノセントを見て――「お、俺様の攻撃をくらって無傷だと!?……そ、そうか、チートか! くそっ、チートする奴らは大っ嫌いなんだ! お前らみたいのがいるから!」――ゲヘナが手をイノセントに向けると手元に引き寄せます。《虚空の陥穿》の効果です。
ヒカル:それは……倒れながら手を伸ばそう――イノ……セント……だめだ、逃げろ!
GM:「この距離なら防げまい! 魔王の切り札を特別に見せてやる……黒き星よ、砕け散れ!」――《黒星粉砕》を使用します。
重雄:まずい……あの技は……――と倒れながら(笑)
魔王の放った必殺の一撃が、黒一色に空間を染め上げ爆発する。
ふはははは……さすがのチートも、この一撃は防ぎようがあるまい!」
自信に満ちた笑い声だけが響く、しかし次の瞬間、魔王は笑った顔のまま目を見開くことになる。
GM:イノセントはバリアーのようなものを張って防ぎます。もちろん、ヒカル達にダメージが行かないように。
建:守ってくれた?
GM:「イノセント、怒る、ヒカル達、きずつける」
ヒカル:あいつ……。
GM:が、そこでイノセントのバリアーは消滅して、ばったりとイノセントは気を失います。魔王はイノセントの行動に驚愕していたのですが――「ふ、ふはははは、あんなチートをしているからだ! 処理が間に合わなくなったか? フリーズしおったわ!」
建:勝手に独自解釈しだした(笑)
GM:「ふん、チートしてようと、フリーズしている間にストーリー上のギミックに組み込めば、こいつだって死ぬだろう」
ヒカル:おいっ、イノセントを、どうするつもりだ――《リザレクト》で立ち上がろう。
GM:「この先に記憶石のイベントがある。そのイベントにこいつを組みこんでデータを破壊するまでだ。それにしても……その場で復活するとはな、やはりお前達もチート組か。くそ、ムカつく!」――そして魔王ゲヘナはイージーエフェクトの《ディメンションゲート》を使用します。そして――

「今日のところはこれくらいにしてやる。助けたければ記憶石のある山の頂上に来るんだな。こいつが死ぬまで……果たして間に合うかな?」
そう言って、神を越えし超魔王ゲヘナ=エンシェントゴットは、空間の歪みへとイノセントを抱えて消えて行った。

◆Middle 08◆死体

魔王が去り、再び草原には静寂が戻る。
皆がイノセントを誘拐されたことに憤りを感じる中、美空の悲痛な声が響く。
ヒカル:くそ、イノセントが連れて行かれちまった……。
建:仕方ないだろう。あれはベテランゲーマーだ、それも……相当やりこんでる、な。
ヒカル:助けに行きましょう! 記憶石のある山頂って言ってましたよね!?
重雄:記憶石の山は……まぁ、もともと行く予定の場所だったしね。
GM:と、話していると美空が叫びます――「尾道! ちょっと、どうして起きあがらないの!? 返事しなよ!」
思わずシーンと静まり返る一同。
GM:尾道はピクリとも動かないね。
建:プリズナー化してたのか……?
重雄:これがスノウの言ってた死体のまま残るっていう……現象?
鳳飛鳥:これって、尾道は……。
流子:死んじゃったかはわからないよね。本当は、自動的にログアウトしてて、アバターだけここに残ってるって可能性もあるし!
建:確かにそれを確かめる術は無い、か。
流子:建、アーサー村まではもうすぐだし、尾道はあなたが背負ってあげてよ。
建:そうしよう。
重雄:ちなみに美空先輩は大丈夫だったんですか?
GM:あ、美空は皆と同じで《リザレクト》して復活してます。
鳳飛鳥:先輩はあたいらと一緒ってことか……。
ヒカル:じゃあ尾道は、何が違ったんだろう。
流子:さ、なんだろうね。とりあえず村に行くよ? ほら出発出発!
魔王の一撃で死亡した尾道、他のメンバーと違い意識を取り戻すこともなく死体だけが残った。
一行は尾道の死体を背負い、アーサー村へと到着。
その足で村の教会に尾道の死体を預ける事にしたのだった。
GM:では死体は教会があずかってくれました。ゲーム的には生き返りの呪文やアイテムを手に入れるまで、仲間のデータを預かって貰える場所って感じです。
建:プリースト連れて来て《リバイバル》を使って貰うまでの保管場所、って所か。
GM:そうですね、基本的にゲーム内では戦闘不能が死亡っていう認識です。完全死はログアウトや管理者によるアカウント停止っていうイメージ。
流子:ねぇ、今の時間は?
GM:もうすぐ夜だね。アーサー村には宿屋があるのでそこで休むことは可能だよ?
ヒカル:え? 休んでる暇なんてないですよ! イノセントがあいつに何されるかわからないんですよ!?
流子:だって私、もう疲れてへとへとで歩けないもん!
ヒカル:そんなの!
GM:流子に美空も同意しますよ――「あの子を心配するのはわかるよ……でも私達だって尾道の事やこの世界の事、もっと真剣に話すべきだと思う」
鳳飛鳥:先輩達の言う通りかもしれないね……今は、少し冷静に話し合った方が良いかもしれない。
重雄:う、うん、そうだね……僕もそう思う。
建:どうする、ヒカル?
ヒカル:……わかりました。従います。
その後、宿屋を取りそれぞれが自室でポーションなどを使ってHPを回復することに。
そして一息ついた所で、美空が皆を同じ部屋へと呼び集める。
流子:あ、私は眠いから部屋で寝てる。
GM:それは美空が起こす!――「ちょっと流子! あんた3年生なんだから寝て無いで来なさいよ!」
流子:ええ〜、だって歩きっぱなしで疲れたよ〜――としぶしぶ連れて行かれよう。
重雄:部屋は僕の部屋かな?
鳳飛鳥:じゃあ重雄の部屋に集まろうかね。
ヒカル:GM、俺はそこにいない。ってか宿屋にすでにいない。イノセントが心配だから先に行きたい。
GM:む、そういう行動に出るか……。
建:俺はそうやって抜け出すヒカルを見つけて、その後を追いたいんだが……良いか?
GM:……いいでしょう。それじゃあ部屋での会議前に、2人の抜け出したシーンをやろう。

◆Middle 09◆無謀なる挑戦

宿屋に入ってすぐ、赤光ヒカルは皆の目を盗んで宿屋を飛び出した。
イノセントは出会ったばかりの子で、自分と何か関係があるわけじゃない。
だが、イノセントは魔王ゲヘナが襲来した時、危険を顧みず身をていしてくれた。
それが、その事が……ヒカルの中では……――
GM:ではヒカルのシーン。山に向かって1人で行くって感じかな。
ヒカル:暗がりの山道を1人で進む。
建:そこに登場だ。後ろから声をかけよう――ヒカル、1人で行くつもりか?
ヒカル:門路先輩……。
建:1人でなんとかできると思ってるのか?
ヒカル:倒せる、とは思って無いですけど、助け出すぐらいは1人でもやってみせます。
建:なぁ、あの子はこのゲームに来て出会っただけの何も関係が無い子だ。それに、もしかしたらプレイヤーのいないSC、下手をすればバグで生まれたキャラクターの可能性だってある。
ヒカル:………………。
建:そんなキャラクターの為に、どうしてこんな危険を冒そうとする。
ヒカル:大した理由は無いですよ……ただ、あいつは俺が攻撃された時……怒っていた……。そして俺達を……危ないってのに、守ってくれたじゃないですか。
建:………………。
ヒカル:それだけですよ。確かに先輩の言う通り、たかがバグキャラに命を賭けるのは間違ってるかもしれません。けど、あいつは俺らを命懸けで守ってくれた。そんなあいつを見捨てるのは……俺には、できません。
建:……まったく。わかった、助け出すにも囮役は必要だろう。
ヒカル:先輩? 俺を連れ戻しに来たんじゃ。
建:一緒に行ってやる。それとも俺がお前と一緒に行く理由が、何か必要か?
ヒカル:……いえ、ありがとうございます。行きましょう、あいつを助けに!
そうして山を登ること数分、やがて水かさが増した激流に、丸太橋が半分浸水している場所に出る。
ヒカル:川を越えろと?
GM:はい、水の流れの緩い場所を見つけて渡るか、水に流されないよう注意して渡ってね。判定は1人ずつで【肉体】<白兵><回避>か、【感覚】<知覚>で目標値11!
建:失敗した場合は?
GM:ダメージを受けてもらい、そのままシーンから退場して貰います。そしてこの山は川を含めて3つの障害をクリアしないと、次の山頂シーンになりません。
ヒカル:川以外に2つも判定があるのか……キツイなぁ。
建:ん? じゃあここで退場した場合でも、誰かが3つの試練をクリアすれば、山頂シーンになるんだな? なら試練に失敗してても山頂シーンにだけ登場する事は可能?
GM:可能だね。川に流されても、誰かが山頂シーンに到着したら「待たせたな」「死んでなかったんだな!?」という演出ができる(笑)
建:ふむ……(←何か考えている)
ヒカル:先輩! とりあえず行けるとこまで行きましょう!
建:……ああ、そうだな。
ヒカル:<知覚>で安全な場所に目星を付けつつ渡ろう……11で成功。
建:俺は<白兵>だな、【肉体】の能力値は8あるし……ウゲボロベバボハァッ!?(一同爆笑)
流子:流れさてるじゃん!(笑)
ヒカル:じゃあ川を渡りつつ――俺、先輩が来てくれて嬉しかったんです。俺以外にもイノセントのこと、思ってくれる人がいたんだってことが……。――って振り返ると(笑)
建:あああああ〜〜〜〜〜……と濁流に飲まれて消えていく俺が。
ヒカル:せ、先輩―――――ッ!!(笑)
GM:ひ、酷い、ここまでカッコイイキャラだったのに。
建:く、くそ、ここでヒカルに恩を売って、あとあと有為に立とうと思ってたのに!
ヒカル:そういう邪念をいだいているから失敗するんですよ!(笑)
結局、建は川に流されてリアクション不可の2Dダメージ(装甲有効)を受けつつ退場。
そしてヒカルは第2関門たる谷に掛かった細い橋(<意志>の目標値11に失敗すると落下)を成功させ、最後の関門へと辿りついたのだった。
しかし、最後の関門の内容が……――
GM:細い橋を渡って山頂を目指すヒカルですが、木々や草むらの中からたくさんの敵意を感じ取ります。
ヒカル:もしかして……最後の関門は戦闘!?
GM:その通り。プティンや動物モンスターなどの弱いモンスターが50体現れます。ギミック的には1ターン中に全員で50点のダメージを与えればクリアできます。
ヒカル:全員で……か、俺1人しかいないのに(笑)
重雄:第三関門は飛鳥か、流子先輩が必須かな。
鳳飛鳥:まぁ、2〜3人いればあたいとかいなくとも大丈夫だろうけど……。
建:宿屋の主人が、無理なら旅団を組めって言ってたのはこのせいか(笑)
重雄:ああ〜。
ヒカル:門路先輩がいてくれれば!
GM:そうだねぇ(笑)
ヒカル:いや、良く考えたらプティンにすら苦戦してる先輩だった! 俺のあとを付いて来るって言った時に、断っておくべきだったんだ……(笑)
GM:ちなみに勝てないと思ったら自主的にシーンから退場する事で、逃亡成功とみなします。
ヒカル:わかりました、俺はまず森の中へ入って――

◆Middle 10◆これからについて

南雲美空が部長である重雄の部屋に皆を集める。
それは尾道の死体化、スノウや他のオーキィから聞いた都市伝説。
それら全てのことを踏まえて、この呪われたゲームの中でどうするか、という相談だった。
GM:それでは重雄の部屋で会議のシーンです。ヒカルと建はいませんね。
重雄:美空先輩が流子先輩を連れて来てくれて、これで全員ですね。
鳳飛鳥:ちょっと重雄、門路先輩とヒカルはどうしたんだい? 男組はあんたが呼びに行ったんだろう?
重雄:いや……それが、なんか2人ともいなくなっちゃって……。
鳳飛鳥:あの2人のことだから、たぶん先に行っちまったんだろうね。
GM:「どうするのよ!」
重雄:今から追っても間に合うかわかりませんし、とりあえず尾道のこととか話しましょう。
流子:おやすみなさ〜い――と二度寝!
GM:「流子、もうちょっと頑張って! 尾道が死んだかもしれないんだよ!?」
流子:だって、それも噂でしょ〜? 本当に死んだかだってわからないじゃない。
鳳飛鳥:結局、それを確かめるには現実世界に戻らないといけない。
重雄:その為には記憶石を手に入れて、その場でチュートリアルのログアウトを試してみる、それが近道でしょうね。
GM:「それは解ってる……でも死ぬ可能性があるのに、この先、危険なゲームを続けるの? 記憶石を手に入れる必要があるっていっても、そこまで行くのに危険だってたくさんあるはず……」
流子:バタンとベッドに倒れつつ――大丈夫〜、ちゃんと起きてるよ〜――って言いながら寝てる(笑)
重雄:こ、この人は……。
鳳飛鳥:美空先輩の言う事もわかります。もし、危険を冒さずに現実に戻れるなら……それに賭けた方が良いってことですよね。
GM:「え、ええ。あのスノウっていう人が言ってたでしょう? 自分達がこのゲームをクリアしてログアウトできなくなってる人を全部元に戻すって」
鳳飛鳥:でも、それだって可能性の話です。あのスノウって人達が失敗するかもしれない。
GM:「それは……」
鳳飛鳥:あたいは、誰かに任せる選択より、自分で切り開く道を行きたい。現実から目を背けて何もしなかったら……何も変わらない――と最後のは自分にだけ聞こえるように。
GM:「重雄、あんたは部長でしょう。どうしたいの」
重雄:ぼ、僕ですか? う、うーん……。
GM:「もしかしてこのゲーム……本当はしちゃいけなかったんじゃないの?」
重雄:そんな事、今さら言われても……。呪いや都市伝説は知ってたはずじゃないですか。
GM:「だからって……。やっぱり、先輩の私が、ゲームをプレイするのを止めるべきだったのかもしれない……そうしたら、尾道だって……」
重雄:それは先輩のせいじゃない!……と思う……たぶん……。
鳳飛鳥:美空先輩、重雄、今ここで誰のせいかだなんて話しあっていても意味は無い。今は行動するべき時だとあたいは思う。
流子:そこで《ハンドレットガンズ》を発動、ゆっくりベッドに上半身を起こします。
「鳳飛鳥、お前の言う通りだ。それは正しい選択だ」
ゆっくりと身を起こした流子は、今までとは別人の空気をまとっていた。
手の中の銃を弄びつつ、冷たい光を称える瞳で部屋の3人を見渡す。
流子:銃を手にしたことで、暗い裏人格のルーシーが表に出てきます。
重雄:え?――なんとなく雰囲気が変わったので戸惑おう。
鳳飛鳥:………………あんた、誰だい?
流子:ワタシは流子、黒木流子。
鳳飛鳥:………………。
GM:「だけど流子、解ってるの? 死ぬかもしれないんだよ?」
流子:南雲美空、大事なのはそこじゃない。尾道満に対してワタシ達にできる事は無い。だが、イノセントはワタシ達が助ける事ができると言う事だ」
鳳飛鳥:あんたやっぱり、流子先輩じゃないだろう。いったい、誰なんだい。
流子:ワタシはワタシだ。だけど、どうしても違うと言うなら……ワタシのことはルーシーと呼べ。
重雄:これもゲームの影響なのか、とか思っていよう。
鳳飛鳥:納得はできないけど言っている事は正しいから黙る。
流子:土矢重雄、次に何をすれば良いか解っているな。
重雄:え、えと、山に行って……――
流子:そうだ。ワタシの予想だが。赤光ヒカルと門路建はすでに山に入ってかなり先へと進んでいるだろう。もしかしたらもう山頂に――
建:そこで登場しよう(笑)――いや、まだ山頂には着いてないはずだ。
流子:門路……建?
建:ヒカルを追っていたんだが……途中で見失った。すまない。
鳳飛鳥:門路先輩、ヒカルのあとを追わなかったのかい? 1人で行かせたらどんな危険があるか!
建:ああ、解ってる。だから1人で追うのを止めて戻って来たんだ。協力を求める為に。
GM:美空が――「ならヒカルが1人で向かった時、私達に言ってくれれば!」
建:………………。――黙っていよう、恩を売ろうと思ったとか言えない。
流子:門路建。昔と同じで……クズね(一同笑)
建:なんか中学の頃の性格に戻ってるなーって思いつつ――お前も追い詰められてるんだな。
流子:途中まで行ったのなら、そこまでの障害と敵について教えろ。
建:いや、川に流されただけだから何も知らないんだ。
流子:本当に……クズね(一同爆笑)
鳳飛鳥:残っているポーションを門路先輩に渡そう――案内して下さい。ヒカルを1人で行かせるわけにはいかない。
建:ああ、案内は任せろ。
流子:門路建の案内で赤光ヒカルに合流する。土矢重雄、それでいいな。
重雄:あ、ああ、わかった。そうしましょう。美空先輩は?
GM:「みんなが行くなら私も行くよ。何かあった時、1人でも多い方が良いでしょう」――渋々っていう感じです。
流子:それでは各自、部屋で準備を整え2200(ふたふたまるまる)に宿屋前に集合するように。

◆Middle 11◆山の試練

暗い山道を歩く5人。
先頭は拳銃を構え、クールな雰囲気を醸し出す黒木流子――ルーシーだった。
そしてそろそろ、建が流された濁流の川が見えてくるという、その時だ。
GM:それでは山のシーンです。最初は川ですね。判定はヒカルと建がやったのと同じです。
鳳飛鳥:目標値は11だね?
GM:そうだね。美空は誰かしら成功すれば自動的に成功します。
鳳飛鳥:とっとと行くよ――と<白兵>で余裕。成功。
流子:門路建、先に行け。
建:ああ、解っている……ウゲボロベバボハァッ!?(一同爆笑)
再び濁流に飲まれて流されていく門路建。
重雄:門路先輩!(笑)
ヒカル:またか!(笑)
GM:ちなみに流子は?
流子:普通に<知覚>で……成功している。門路建をクズを見る目で見つめてから――先を急ぐぞ。
鳳飛鳥:門路先輩を放っておいて良いんですか?
流子:使えないクズは必要無い。行くぞ。
重雄:……なんとか<白兵>で成功。いいのかなぁって思いつつ先へ行こう。



次の障害は、かなり高い谷間に細い吊り橋がかかっている場所だ。
己の中の恐怖心に打ち勝ち、細い吊り橋を渡って向こう側まで行く必要があるようだ。
GM:次は谷間に渡された細い橋です。<意志>で目標値11が必要。失敗した場合落下して退場です。
鳳飛鳥:あたいはさっさと行くよ?
重雄:飛鳥って<意志>得意だったっけ?
鳳飛鳥:得意な方じゃないけど、一応想い出の品は持ってる……あ、出目5。
重雄:え、つまり?
鳳飛鳥:ごめん、落ちた(笑)
重雄:ちょっと待て! 僕だけ残されても困るぞ!?
鳳飛鳥:あたいのことは良い、先に行きなっ!――と落下して退場だね。
GM:落ちた飛鳥は、装甲無視の3Dダメージね。エフェクトでダメージ減少させるのは有りです。
鳳飛鳥:とりあえず、欄外で《リザレクト》だね。
重雄:飛鳥……わかった、僕は行くよ……――と成功。<意志>は得意だし。
流子:80%エフェクトの《サポートデバイス》を発動。そして<意志>……成功――残ったのは土矢重雄と南雲美空か、次へ向うぞ。

※流子の《サポートデバイス》は取得時に感覚を指定しているため、 上記の精神での利用はミスとなります。 今回に関しては通常で成功したという扱いで捉えて頂ければ幸いです。


山頂へ向う途中、木々や草むらから小さなモンスター達が現れる。
その数50匹。
このモンスター達を蹴散らさなければ……
重雄:美空はダメージにボーナスがある?
GM:ないよ。NPCには頼れないってか、尾道の死体が残ってからは美空は戦えない状態だと思ってね。
重雄:すると2人で25点ずつ……か。
流子:全力で行く――《サポートデバイス》使用。
重雄:僕も攻撃します。《コンセントレイト:バロール》《インビジブルハンド》《セージ:アイボリードリーム》を使って地面の岩を礫のように飛ばす……命中28。ダメージが……18点。
鳳飛鳥:流子先輩の負担がでかい(笑)
ヒカル:ちなみに50点を削りきれなかった場合は?
GM:2ラウンド目に追加で50点分のモンスターが合流します。ぶっちゃけ1ラウンド目の残っているHP+50点が、2ラウンド目の目標値になります。
建:そういうことか。
流子:はい。《コンセントレイト:モルフェウス》《ハンドレットガンズ》《ペネトレイト》を使用……29命中。ダメージは……駄目だ、振るわない。18点。
GM:14点残りました。それではモンスターが反撃してきます。それぞれ1D+10点のダメージを受けて下さい。
重雄:装甲とエフェクトは?
GM:両方とも有効です。
その攻撃で流子も重雄もHPを削られるも、戦闘不能になる程ではなかった。
そして2ラウンド目が始まる。その場合、敵のHPは50+14で64点となる。
重雄:流子先輩! これ以上は無理ですよ、一端戻りましょう!
流子:戻る選択をするのはお前自身だ。
重雄:え、じゃあ流子先輩は?
流子:ワタシはここに残る。突破できるできないの問題では無い――と、ここでゲヘナへ途中取っていたロイスをタイタス、昇華。さらにイノセントへ取っていたロイスも昇華する。
ヒカル:イノセントもですか!?
流子:ただの知り合いだったけど、今後は関係を変えたい。次に会えたら……関係を庇護にしたいと思う。あの子も、仲間だ。
建:ちょっと流子の確率を計算したんだが……命中が70ぐらい行けば期待値で倒せるな。タイタスを2つ昇華してるとはいえ……重雄が攻撃に参加しても五分って所だ。
流子:だからこそ言おう――共に残れば死ぬかもしれない。自分で決めろ、土矢重雄。
重雄:戻って皆ともう一度っていうのは無いんですか!?
流子:赤光ヒカルの死体はここには無い。先に行ったか、山の中を逃げ回っているか……ここで戻れば、彼の命の存命確率が下がる。
GM:「ヒカルは……もう死んだかもしれないよ?」
流子:南雲美空、土矢重雄、赤光ヒカルが死んだというのなら……ワタシはここを引き下がるわけにはいかない。
GM:「流子……」
重雄:なら、僕も部長として――
流子:役職なんて関係無い。効率を考えるならお前達は戻って鳳飛鳥や門路建と合流するべきだ。
GM:「……わかった。私は戻る。それで飛鳥や建を連れてくる」
流子:ああ、それで良い。
GM:「でも、どうして流子は残るの? 効率で言ったら不利だって、自分で解ってるんでしょ!?」
流子:それは……ワタシが、私だから。
GM:「意味……わかんないよ……」
流子:それで構わない。ワタシは死んでも悲しむ者は誰もいない。
GM:「重雄、あんたはどうするの?」――期待値的に残っても倒せる可能性は五分五分。ただ、美空は覚悟していますが、流子1人残った場合、流子はたぶん死ぬでしょう。
重雄:たしかにキャラクターとして考えると、置いて行ったら死ぬと思ってるよなぁ……。
流子:時間が無い。早く決めろ。
重雄:……も、戻ります。
流子:そうだな、正しい選択だ。ここはワタシに任せて――雑魚モンスター達に乱射して牽制しよう。
重雄:シーン退場します。
流子:それじゃあさっきの組み合わせと昇華した効果を使って……命中77。ダメージは……59点、か。
GM:5点足りないね。
重雄:あ! 僕が残るって選択をしていれば……倒せたのか。
GM:それじゃあモンスターが残ったので反撃が来ます。1D+10点で……15点ダメージね。
流子:それで死ぬ。



GM:山を降りるシーンをちょっとだけ……美空が重雄に言います――「重雄、流子を置いて来るってのは、どんな結果になるか、解ってて置いて来たんだね?」
重雄:……え、ええ。わかっています。お叱りも……もっともです。
GM:「叱ってなんていないさ。私も同罪だからね……だけど忘れるんじゃないよ。私もあんたも、流子を見殺しにしたんだ」
重雄:………………。



山の麓で再び建と飛鳥と合流する重雄と美空。
その時、やれやれと言わんばかりに達観した声で建が口を開く。
その言葉に激高したのは……南雲美空だった。
建:やはり駄目だったか。
GM:それは美空が殴る――「あんたは! いったい何なんだ! 尾道をこの世界に連れて来て! 尾道だけじゃないだろう、他の皆だってあんたはゲームに勧誘していた!」
建:ゲームが好きな料理部で、ゲームに勧誘するのの何が悪い。それとも何か、この呪いのゲームに巻き込んだのは、全部俺が悪いと、言いたいのか?
GM:「だけど、そのせいで尾道は、流子は!」
建:そうやって他人のせいにするのがお前の責任のとり方か?
GM:「!?」
重雄:門路先輩! そんな言い方!
建:概ね流子を見捨てて逃げ帰って来たんだろう。なら俺をとやかく言える資格は無いはずだ。
重雄:そ、それは……。
鳳飛鳥:美空先輩……流子先輩が死んだって?
GM:それは美空が説明しましょう。
鳳飛鳥:そう……ですか。でも、それならなおのこと急いで行きましょう。ヒカルの死体も残って無かったんですよね? それならヒカルも流子先輩も死んだとは言えない。
重雄:飛鳥……でも、あの数の敵に囲まれたら……。
鳳飛鳥:それでも、あたいは死体でも見無い限り、信じない。
GM:「また、あの危険なルートを進むの?」
鳳飛鳥:はい、そうします。
重雄:僕達は……ただの高校生だ。できる事には限度がある……。
建:なら、せめて仲間ぐらいは助けられる高校生になれば良い。
鳳飛鳥:!――建を睨みます。
建:なんだ?――冷たく言おう。
鳳飛鳥:……なんでもありません。ただ、さっきのやりとり……あたいにとっても、あまり良い気分のものじゃなかったので。
建:そうか、だが今は時間が惜しいのだろう。
鳳飛鳥:………………。行こう、重雄、美空先輩。
重雄:う、うん……。できれば……流子先輩には生きていて欲しい。
GM:では美空も渋々同行します。何かの助けになるかもしれないしね。
その後、川と谷を危なげなく越えて行く4人。
そして第三関門として50匹のモンスターが現れる。
鳳飛鳥:少しだけ希望が見えたね。
重雄:何が?
鳳飛鳥:見てみな。流子先輩の死体は無い。もちろんヒカルのもね。
建:都市伝説が本当なら、死体が残っていないのなら死んでいない。そう考えられるしな。
重雄:そ、そうか……でも、どちらにせよ、これを突破しないと。
鳳飛鳥:なぁに、ここはあたいに任せときな!――《完全獣化》《剛身獣化》を発動。後ろで縛ってある髪紐をほどいて、口元から牙が伸び鼻がネコ科の動物のように尖る。そして服の下は黒い毛皮がつややかに。
その瞬間、黒い女豹のような姿へと変化する飛鳥。
それは伝説の不良として恐れられていた中学時代、その戦闘スタイルから他校の不良に例えられていた姿だった。
鳳飛鳥:この数に対してあたい1人かい……あの頃を思い出すね――ニヤリと笑みを浮かべて、《コンセントレイト:キュマイラ》《鬼の一撃》を使用して……命中57。ダメージは……出目が良い。51点だ!
重雄:一撃!?
鳳飛鳥:パンチ一発で50匹を蹴散らす。獣化を解除して髪を縛り直そう――ま、こんなもんだね。

CLIMAX PHASE

◆Climax 01◆プレイ開始

山頂に到着する4人。
巨大な輝く岩がそそり立っている、あれが記憶石の鉱脈なのだろう。
4人が近づいて行くと解る。
記憶石の鉱脈付近に十字架が立てられ、そこにイノセントが縛られていた。
GM:夜の山頂です。巨大な岩が輝いておりそれが記憶石の鉱脈でしょう。その前に十字架がありイノセントが縛り付けられているね。
重雄:ヒカルは?
GM:「いない……みたいだね。せめて、あの白い子ぐらいは助けてあげよう」
鳳飛鳥:そして記憶石を手に入れて、現実世界へ戻る。
建:ああ、そうだな。
GM:では、4人が近づいて行くと地震が起こります!
その時だ、大地が地震で揺れ動くと共に、目の前に岩でできたモンスター、ロックゴーレムが3体現れる。 さらに、イノセントの縛られた十字架の下から、十字架を体に生やすように2倍もの大きさのロックゴーレムボスが現れる。
重雄:ネーミングが……まぁ、わかるけど(笑)
鳳飛鳥:イノセントを救う場合は、ロックゴーレムボスをどうにかしないといけないってことか。
GM:そういうことです。さらに空、夜空の月をバックに空間が歪み、神を越えし超魔王ゲヘナ=エンシェントゴットが現れます――「思ったより早い到着だったな」
重雄:早い……かな?
建:なぜ俺を見る(笑)
GM:「ん? 当たり前だろう。普通は宿屋で休んでからクエストに挑むものだ。俺様も明日来ると思って《帝王の時間》を使って休んでいたと言うのに」
重雄:イージーエフェクトで休んでたんだ。
GM:「まぁ良い。このイベントはお前達のような記憶石を持って無い者が来ない限り発動しない種類だしな、お前達は目の前であの子供が消える様を指をくわえて見ているが良い」
鳳飛鳥:どういうことだい?(ドスの利いた)
GM:「ふはははははっ、良いだろう。ヒントぐらい教えてやる。このロックゴーレムボスの3ラウンド目の行動、その時がガキの最後だ! 例えバグだろうとシステム上の仕様に巻き込まれれば消滅する!!」
重雄:えっと……つまり3ラウンド目の敵の行動がリミットってことか。
建:ひとつ聞いていいか? お前はそれで……何がしたい。
GM:「何がしたい? ふん、決まっているだろう……俺様の気が済む!」
建:気が済む? たった、たったそれだけの理由しか無いのか!?
GM:「ああ、それがどうした。俺様はな、このゲームに何十何百って時間を費やしているんだ。この強さを手に入れる為にどれだけ苦労したと思っている。それを……お前達みたいなチートプレイヤーは!」
建:俺みたいに深い理由は無く、単純に私怨なのか……――ボソリと呟こう。
GM:「まぁ、お前達みたいな初心者に、俺様が本気になるのも恥ずべきことだ。俺様は手を出さない、ロックゴーレム達にひねりつぶされるが良い!!」
4人がいる場所から10m前方に、ロックゴーレム3体と、ロックゴーレムボスが1体おり、4体が一斉に雄叫びをあげる。それが戦闘開始の合図だった。
GM:――というわけで、ロックゴーレムボスの雄叫びに衝動判定です。侵蝕率も2D増やしておいてね。
鳳飛鳥:暴走はしないけど……キビシイね。
建:同じく。
重雄:暴走はしない、大丈夫。
GM:それでは戦闘に入りましょう!

◆第一ラウンド

GM:行動値はロックゴーレムが10。ボスが8です。まとめて4体がエンゲージしている状態で距離は10m。キミ達も全員がエンゲージしている状態です。美空は山のギミックと同じ理由で戦闘には参加しません。攻撃も受けないので今回は気にしないで下さい。
鳳飛鳥:わかった――さ、こいつらを倒して、先輩とヒカルを探しに行こうじゃないか。
重雄:でも飛鳥、この人数で勝てるかな?
鳳飛鳥:勝てるかどうかじゃない。勝つんだよ――獰猛ににやりと笑おう。
建:だが厳しい戦いというのは正しいな。
GM:それではセットアップやる人?
重雄:今回は使いません。
GM:ゴーレム達も使わないので、次は行動値が高い人――
ヒカル:そこで登場する!
流子:同じく、登場。
GM:登場する場所はどこでも良いよ?
ヒカル:ゴーレムを中心とした反対側に出る。距離は30mとかで良いですか?
流子:問題無い。
実は50匹のモンスターに囲まれ絶対絶命になったヒカルは、すぐに森の中へ逃走、身を潜めていた。
その後、流子がたった1人で奮戦しているのを見つけ、敵が減った瞬間に流子を救出。
そしてモンスターが現れるルートをヒカルが《ウサギの耳》で感知しつつ、流子の《壁抜け》などを生かしショートカットしながら、この山頂へと到着したのだった。
ヒカル:ボスに対して攻撃! 《コンセントレイト:エンジェルハイロウ》《絶対の孤独》《光の手》《光の弓》を使って……ブーメランが光の軌跡を描いてロックゴーレムボスへと命中する! 達成値は40! ダメージは19点だ。
GM:む、それは護衛のロックゴーレムAが《砂の結界》でボスをカバーリング。19点だと……うん、Aは倒れない。
重雄:い、今の武器は!?
流子:間髪入れずに連続で攻撃する。
GM:ああ、その方が良い流れだね〜(笑)
流子:マイナーで《ハンドレットガンズ》、メジャーで《コンセントレイト:モルフェウス》《スプリットアタック》《ペネトレイト》……《サポートデバイス》をミドルで使い切ったのがキツイが4体全てに……命中67、装甲無視の41点ダメージ。
GM:ゴーレムAがボスを、ゴーレムBがCを《砂の結界》でカバーリング……だがAとBが両方落ちた。
鳳飛鳥:2人とも、生きてたんだね!
ヒカル:話は後です! 今は……イノセントを助ける為にもあれを倒しましょう!
重雄:あ、ああ、わかった!――次は僕だね。《コンセントレイト:バロール》《インビジブルハンド》で攻撃……命中34のダメージ21点の範囲攻撃。
GM:ゴーレムCがボスを《砂の結界》。抜けたダメージが倍だけど……Cはまだ落ちません。
重雄:これは……装甲がけっこうあるかな。
GM:そしてゴーレムCはマイナーで《シールドクリエイト》を使用。さらにメジャーで《コンセントレイト:モルフェウス》《砂の絆》《砂の刃》《パラライズ》《ペトリファイ》《想像の御手》を使用。対象はダイスで決めて……建。命中は27、ガードする場合はガード値が−5されるので注意してね。
建:まだ《骨の剣》を作ってないしガードはしない。《赤河の支配者》《ハードロック》でダメージ軽減だけ使う。
GM:ダメージは36点、さらに命中したのでバットステータス硬直を与え、ガード値−24、行動値−12をあげます。ガード値と行動値のマイナスはそれぞれマイナーを使えば打ち消せるよ?
建:命中したら入る系か……ダメージは軽減して0だけど、硬直とかもろもろ入ったな。
GM:そしてゴーレムボスが動く。マイナーで《インフィニティウェポン》《ダブルクリエイト》。
護衛のロックゴーレム達に守られ、いまだ無傷のロックゴーレムボスが動き出す。
まずは自身の体(岩)を移動させ、両手にそれぞれ大剣を作成する。
問題はその材料となった岩が十字架を巻き込んでいたということだ。
ヒカル:は? つまり、どういうこと!?
GM:うん、つまりボスの大剣の片方にイノセントが融合している。さらにボスはメジャーアクションで《物質合成》を発動、2本の大剣を1本に合成、超巨大な剣へと変える。イノセントは刀身に埋まっている感じです。
ヒカル:なっ! イノセントー!
流子:そうか……ゲヘナ=エンシェントゴットの言う3ラウンドの意味を理解した。
ヒカル:どういうことですか!?
流子:……3ラウンド目、あのボスは《ギガンティックモード》を使う。
ヒカル:え、それはどういう効果なんですか?
流子:範囲攻撃になる変わりに、使用した武器が壊れる……たぶん、イノセントごと。助けるなら……急いだ方が良い。
ヒカル:そんなの、解ってますよ!
GM:次は飛鳥。
鳳飛鳥:髪紐をバッとほどいて《完全獣化》《剛身獣化》を使用。メジャーでボスに接敵して終了――さぁ、殴り合おうじゃないか。
重雄:俺もマイナーで《骨の剣》を使用、メジャーで《渇きの主》《伸縮腕》で遠距離から蛇腹剣のように伸ばしてゴーレムCを攻撃……命中24、ダメージは20点。
GM:それはガードしてちょうど防いだ。

◆第二ラウンド

GM:それではセットアップ、ボスは《サポートデバイス》を発動!
ヒカル:イノセントごと武器を壊されて溜まるか!――ゴーレムボスにさっきと同じコンボで……命中38、ダメージは25点。
GM:ゴーレムCが《砂の結界》でカバーリング。25点だと……惜しい、あと2点残りました。
流子:次はワタシだな。
重雄:いや、ここは僕の範囲攻撃でCを落とすよ。
流子:ならワタシは待機だ。演出的にはスナイパーライフルに銃を変形させているって感じで。
ヒカル:あ、それカッケー(笑)
重雄:同じコンボで……命中47の20点!
GM:ゴーレムCが《砂の結界》でカバーリング、0点です。
重雄:出目が……ダメージの出目が……。
GM:それではゴーレムCが対象はランダムで……飛鳥。命中は39、ダメージは36点。
鳳飛鳥:《イージスの盾》でガードして……装甲が9点で、イージスで13弾き、あたいのHPが22だから……ぎり1点残った。いや、ガードした場合はガード値−5だっけ?
重雄:飛鳥!?
鳳飛鳥:大声出すんじゃない、この程度どうってことない――ロックゴーレムにロイス取って即タイタス、昇華、復活する。
GM:ただ行動値−12と、ガード値−24は受けます。
鳳飛鳥:それは……仕方ないね。
GM:そしてお待ちかね、ボスの攻撃です。《カスタマイズ》《ペネトレイト》《レインフォース》《ライトウェイトモード》そして《ギガノトランス》でシーン全体攻撃だ!
建:来たか!
GM:リアクションする人はダイス−8個で宜しく。
ヒカル:《フラッシュゲイズ》を使用! 光弾を顔にぶつけて狙いを逸らす! その判定のダイス−8個だ!
GM:くっ、同じだけペナルティか……それでも命中は37、装甲無視の97点ダメージだ!
一同:97!?
流子:1ラウンド無駄に使っているだけある……でも……。
重雄:スノウのロイスをタイタスにする。スノウを頼ってクリアを待つっていう選択肢もあったけど……やっぱり、自分の手でクリアを目指すべきだ。と蘇生。
建:ああ、それは有りだな。
ヒカル:俺は魔王ゲヘナのロイスを使って蘇生――こんなことでしか憂さを晴らせないなんて……可哀そうな奴だ。
流子:ネコ……次に会う時はもっと良い関係になろう。今は力を貸して欲しい、あんたに出会ってここにこられた。次に会う時は……ワタシがあんたを助ける――ネコのロイスで蘇生。
鳳飛鳥:あたいもゲヘナのロイスをタイタスにして昇華、復活だね――あんたみたいな自分勝手な子は、あとで説教だね。
GM:すると上空からゲヘナが――「ムカツク、お前みたいな自分は何でも解ってますって感じの奴は大っ嫌いだ!」
重雄:なんか言われてるよ飛鳥?
GM:「ちなみにお前(重雄を指さし)は、顔がキライだ。ムカツク!」
重雄:ちょっ、僕を嫌う理由が理不尽なんだけど!(笑)
建:皆がばたばた倒れる中……残りHP3点で生き残った。親からのパスワードで手に入れたバリアーが、0と1の壁になってダメージを防ぐ。
GM:それを見たゲヘナは激高するよ!――「チートだ! 今見たぞ! 完全にチートだ! 管理者に言いつけてやる!!」
建:ああ、言えるものなら言ってみろ。
GM:「く〜〜〜!!」
鳳飛鳥:《コンセントレイト:キュマイラ》《鬼の一撃》《モンク:オーラフィスト》でボスを……って何だ!? これだけ振ってこの出目って……命中26。
GM:まずはボスが<回避>するぞ……クリティカル……回って29だ。避けたのでゴーレムCも庇わない。
ヒカル:《フラッシュゲイズ》はここで使うべきだったか!?
鳳飛鳥:いや、回避されるとは思わなかった……あたいも、調子に乗ってたよ。すまない、みんな。
建:後輩のフォローは先輩の務めだな。《コンセントレイト:ブラムストーカー》《渇きの主》《伸縮腕》で攻撃……34命中。
GM:それは……ロックゴーレムCが《砂の結界》でカバーリング。
建:ダメージは21点、どうだ!?
GM:装甲とガード値合わせて20点、1点抜けるけど庇ってるから2点、残りHPが2点なのでちょうど倒した!
建:よしっ!
流子:待機を解除、残ったボスにいつものコンボで攻撃……命中30、ダメージは装甲無視の36点。
GM:初めてボスにダメージが入ったな。だが、まだまだだ。

◆第三ラウンド

GM:護衛役がいなくなったが3ラウンド目に入るよ。セットアップでボスは《サポートデバイス》を発動。
重雄:《灰色の庭》で行動値−9! これでボスより僕達全員の方が早くなる!
建:これで俺と飛鳥もダメージを出せる。
GM:まずはヒカルからだ。
ヒカル:イノセントに呼びかけよう――絶対、お前を助けてやる! もうちょっとだ!
GM:では大剣に融合しているイノセントが――「イ、イノセント、嬉しい、ま、待ってる」と。
ヒカル:なら期待にこたえないとな! イノセントをSロイスに指定、そして輝くブーメランを投げつける! いつもので……命中28! 26点ダメージ!
GM:<回避>するけど……駄目だ11しかない。でもその程度じゃ倒れない。次は流子。
流子:一つプレイヤーとして相談、流子の現在侵蝕率が125%。そして[戦闘用人格]のペナルティ込みで、3倍振りしてもバックトラックのダイスは最大で6個。
建:え? ぎりぎりじゃないか!?
流子:[戦闘用人格]はロイス数が減るのがキツイ……あと、ミドルで昇華しすぎた(笑)
鳳飛鳥:先輩、あとは任せて、無理しないで下さい。
建:流子、エフェクト使わない攻撃、ってぐらいで良いと思うぞ。
流子:ではそれに甘える……エフェクト使わず作成済みの《ハンドレットガンズ》の銃で攻撃……命中17。
GM:<回避>は……14だ。あたった(笑)
流子:ダメージは17点ね。
GM:こっちの装甲、実は10点しか無いので7点通りました。
重雄:僕はクリティカルを下げる《解放の雷》を飛鳥に使おう――飛鳥、あとは頼む……。
鳳飛鳥:ああ、任せておきな。こいつを倒して、皆で帰らないとねぇ! 同じコンボで……命中40、ダメージ26点!
重雄:《解放の雷》の効果でダメージも+4点だ。
鳳飛鳥:合計で30点、装甲無視! 正直低いけど……――これでどうだい!?
GM:ゴーレムは動き続けます。
鳳飛鳥:まだか!?
建:皆の戦いを後ろから見ながら――俺は、この世界で必ず母さんを助ける。例え、誰を犠牲にしようとも……――と皆の顔を見つつ、いつもので攻撃! 命中は……17だって!?
重雄:ちょっ!(笑)
ヒカル:そんなだからプティンにやられたり、川に流されたりするんですよ!?(笑)
鳳飛鳥:あ、あとは……GMが回避しないのを……。
GM:普通に<回避>……あ、回った。達成値19。避けたね。
なんとも言えぬ重い空気が場を支配する……。
流子:タイタスで達成値の上昇を。
建:すでに侵蝕率179%なんだ……ロイスを使ったら帰ってこられなくなる。
ヒカル:それじゃあ……イノセントは!?
建:諦めるしかないな。
ヒカル:!? なんで俺は門路先輩とエンゲージしてないんだ! 近接だったら殴ってるのに!(笑)
重雄:でも……これ以上の手は無いし、みんな全力でやったんだ……しょうがないよ。
流子:………………。
鳳飛鳥:いや、切り札はまだ残ってる……――あたいの[Dロイス:触媒]が。
一同:『おおっ!』
GM:そういえば持ってたねぇ(笑)
鳳飛鳥:問題は誰に使うか、だね。
重雄:門路先輩と流子先輩は帰ってこられなくなるから攻撃できないし、やっぱり飛鳥が使うべきじゃない?
鳳飛鳥:いや、触媒の効果は自分には使えないんだよ。
重雄:え? それじゃあ……僕かヒカルの2択?
鳳飛鳥:……そういうことになるね。
建:よりによって、一番攻撃力の無い2人か……。
GM:最後だから言おう。ボスの装甲値は10、そして残りHPは5だよ。
重雄:結局、僕達どちらでも……微妙に届くか届かないか(笑)
ヒカル:いや、それなら俺に下さい! イノセントは……俺が助けます!
鳳飛鳥:その粋や良し!――あたい達じゃ、あの子を助けられそうにないんでね……ヒカル、あんたの思いを、その一撃に乗せな!
ヒカル:ならいつものコンボだけでなく、恒輝との関係を変える――恒輝、誰かがいなくなるってのは嫌なもんだぜ。お前、俺がこの世界から戻ってこなかったら……こっちの世界に来ちまうんだろうな――とタイタスにして昇華、クリティカル値を下げる!
GM:恒輝のロイスを変えるのね。
ヒカル:こっちの世界で冒険して気が付いた、恒輝は俺が思っているより、俺のことを友達だと思ってくれていたなって。
GM:それは恒輝のプレイヤーもそんな事言ってた(笑)
ヒカル:行くぜ! イノセントを……解放しやがれ! 命中28!
GM:それでは<回避>するぞ!
ヒカル:それには《フラッシュゲイズ》! ダイスペナルティ8個!
GM:ダイスが11個まで減ったか……お、回った。そして……駄目だ。16で回避失敗。
ヒカル:問題はここだ。ダメージ行くぞ……よしっ! 20点!
GM:オーバーキル5点か、それで落ちたね。ロックゴーレムボスは崩れて行きます。そしてイノセントも地面へと降ります。ゴーレムは――「強き者、汝、オーキィ……」――そう言って消えていきます。
ゴーレムが消えてすぐ、急ぎイノセントの元へ走るヒカル。
しかし、それと同時に上空から激高する声が響き渡る。
GM:「なんで! なんで倒しちゃうんだ! 初心者のくせに! やっぱりチートだからだ! これだからチートのやつらは大っ嫌いなんだ!」
ヒカル:黙れよゲヘナ、それ以上言っても男を下げるだけだぜ?
GM:「男を下げる? ふんっ、それがどうした! わたしにとって、そんなの関係無いし!」
鳳飛鳥:わたし?
建:……まさか、ネカマ、なのか?
流子:わたしじゃなくって、魔王様にとって、じゃないの?
GM:「そ、そうだ! 魔王様にとって男も女も関係無い!」
流子:言い直した……ちょっと可愛いかも(笑)
GM:「だいたい! お前達は初めて会った時からイラついてしょうがなかったんだ! そっちの女(飛鳥)はガミガミうるさい奴を思い出すし、そっちの男(重雄)は、そのアバターを見ているだけでウザくってしょうがない!!」
重雄:……え?
鳳飛鳥:あたいと重雄を?……ま、まさか。
GM:「お前達、覚えておけ! お前達は絶対わたしがぶっ殺してやる!」
建:魔王ゲヘナ、一つ聞いていいか? お前……チートしたいんじゃないのか?
GM:「ふ、ふざけるな! わたしがゲームに何百時間費やしてると思ってるんだ! チートなんてそういう行為をする不正な奴らと一緒にするな!」
建:したいんだな? そうか、したかったのか。
GM:「したいだなんて言って無いだろ! 本っ当ムカツク! 死んじゃえ! バーカバーカバーカっ!」――と、ゲヘナは《ディメンションゲート》を開きます。
重雄:え、ええ!? ちょっと、ちょっと待て!
ヒカル:実は中二病の中学生じゃなくって、小学生ぐらいなんじゃないか?(笑)
鳳飛鳥:いや、もし本当に小学生なら……。
GM:ゲヘナは歪みの空間を通って消えます。退場しました。
鳳飛鳥:重雄、あの言動、あの感じ……まさかとは思うけど……。
重雄:いや、そんな馬鹿な……でも、もしかしてゲヘナは……。
建:まぁ、あんな廃人は置いておこう。とりあえずこれで記憶石を手に入れられるな。
GM:記憶石は誰も戦闘不能にならなかったので、全員分をゲットできます。とりあえずクライマックスのシーンを切りましょう。

ENDING PHASE

GM:ではエンディングに入る前にバックトラックを行いましょう。今回、敵はEロイスを使って無いので、通常のロイスによる低下だけを行って下さい。そしてこのトラックバック……今回から特別なルールで振ろうと思います。
ヒカル:特別なルール?

――トラックバック特別ルール――
◆侵蝕率低下のダイス判定は、GMと1対1の部屋で振り、その結果を他のPLは確認できない。
◆トラックバックでジャーム化した場合、担当PLの判断にもよるが、ジャームとして次回も参加が可能。
◆もちろん、ジャーム化したPCはNPC化してGMに任せるのも自由。
◆ジャーム化したまま次回参加する場合、侵蝕率の上昇など、通常の通りプレイする(侵蝕率の上昇などは
  フェイクとしてレコードシートに記載したりはして良い)。

流子:つまり、ジャーム化してても誰がジャーム化しているままなのかとか不明ってこと?
建:そうか、気が付いたらPCの中にダブルクロス(ジャーム)が混じってるってこともあるのか。
GM:そういうことです。
鳳飛鳥:それは……けっこう面白いかもね(笑)
流子:ちなみに私は侵蝕率125%で、振れるダイスは3倍振りでも合計6個。
建:俺は侵蝕率179%、3倍振りで15個だ。
ヒカル:2人とも厳しいなぁ(笑)
GM:はい、それでは部屋に1人だけ残ってもらって、全員振りましょうか――
そしてGMと1対1で誰にも知られないように侵蝕率低下を振る一行。
GM:はい、これで全員下げました。その点数の経験値を貰って下さい。
ヒカル:なんだ、誰かジャーム化したの?
建:もしジャーム化していても、それは言えないだろ(笑)
流子:疑心暗鬼だねぇー(笑)
GM:表向き全員無事に帰ってこられたみたいだね? それじゃあエンディングに入ろう!

◆Ending 01◆パスワード

巨大記憶石の周囲に立つと、持って行けとばかりに巨大な岩から拳程度の石が6個、落ちてくる。
これが記憶石なのだろう。
そして目の前に特殊パスワードが降りてくる。
GM:「これであなたは、いつでもセーブが可能です。セーブをしたらログアウトしてゲームを終了して下さい。エリアクリアの際、パスワードを入力してログアウトする事でデータを次のエリアに引き継げます。それでは、チュートリアルとしてログアウトを行います。パスワードを入力して下さい」――と機械的な声が聞こえてきて、皆の中央にパスワードを入力するような台が現れる。
ヒカル:これにさっき降って来たパスワードを入れれば……現実世界に戻れるのか?
GM:チュートリアルとして自動的にログアウトできるようですね。
流子:どうする?
一同:『………………』
GM:誰も手を上げないなら美空が動くよ?――「やらないなら、私は最初に試させてもらうよ?」
建:ああ、いいんじゃないのか?
GM:「じゃあ……」――と美空はパスワードを台座に入力する。すると美空の足元から0と1で出来た緑色のわっかが現れ、その輪が美空を足元からスキャンしていく。そして――
緑色の輪は美空の腰まで行くと、急に勢いと止め、巻き戻しされたかと思うと消滅してしまう。
GM:「ど、どういう事……どうして? どうしてログアウトできないの!?」――美空の分のパスワードも消えます。
流子:プリズナー……。
重雄:美空先輩はプリズナーに……なったんだ。
GM:「ねぇ、そんな……一生、このゲームの中から出られないっていうの?」
建:少なくとも、お前はそうだ。プリズナーになったようだしな。
GM:「門路、あんた!」
建:俺に怒ったってしょうがないだろう。プリズナー化の条件は俺だって知らない。
GM:「くっ……」
鳳飛鳥:本当に帰れないのかい? 次はあたいが試してみるよ。――とパスワードを入力。
重雄:僕もやってみるよ――飛鳥と一緒にパスワードを入力しよう。
すると緑色の輪が現れ……飛鳥は消え、重雄は美空と同じように消えなかった。
ヒカル:飛鳥先輩が消えた!?
建:だが……重雄、お前はどうやら……。
重雄:み、みたい、ですね……はは、そうか、僕もプリズナー、か。
建:現実に戻れば尾道の確認や、このゲーム世界で何をやっているのか、そしてこのゲームの危険性を現実に残ってるメンバーに伝えられる。
流子:だけど一度現実に戻ったら、逆にこの世界に来るのも簡単じゃない……。
建:ああ、そうだろうな。
流子:そこまで解ってるからこそ、門路建、お前は現実に戻るべきだ。そして土矢重雄が出られないこと、ゲーム世界で尾道に何があったのか、このゲームの危険性……それらを説明しに行く必要がある。
建:俺にか? だが本当にゲーム世界に戻ってこられるかと言うと……。すでに管理者に目を付けられている可能性もある、そうすると先生のように……。
GM:そうだね、先生のように管理者に目を付けられていた場合、ゲームへのログインは不可能になるね。
建:流子、お前はどうするんだ?
流子:この世界に残る。ワタシにとって……この世界の方が都合が良いから。
建:そうか……なら、わかった。俺は現実に戻る。重雄、このゲームはあまりに危険だ、もしこのゲームのことを調べるならリアルとゲーム、両方から調べる必要があるだろう。お前に……ゲーム世界での情報収集を任せていいか?
重雄:え、僕にですか?……ま、まぁ、わかりました。あ、ならこっちからも1つ、変わりに魔王ゲヘナのプレイヤーについて現実世界で調べられるなら調べておいてくれませんか?
建:……ああ、わかった――と、パスワードを入力する。
GM:足元から緑色の輪っかが建をスキャンしていき、それと共に建は消えて行きます。
建:だが、俺は必ず、この世界に戻ってくる――ニヤリと笑みを浮かべつつ呟いて消えよう。
GM:はい、ログアウトできたね。あとは……ヒカルかな?
ヒカル:イノセントを見よう、せっかく出会った子だし放っておいて良いか迷う。
GM:「イノセント、ありがとう、また助けてくれた」
ヒカル:当たり前だろ。お前は俺達の為に怒ってくれた、俺達を助けようとしてくれた、その想いに報いるのは当然のことだぜ?……イノセント、お前、イノセントっていうのは名前じゃないんだよな?
GM:「イノセント、知らない、名前」
ヒカル:なら、お前の名前はイノだ。流子先輩もそんな感じで呼んでたしな。
流子:……確かに。
GM:ならイノセントは――「イノセント、イノ、名前」
ヒカル:ああ、イノだ。
GM:イノセント――イノは少しだけ笑顔で頷きます。
ヒカル:頭を撫でよう――イノ、俺はこれから現実に戻る。一度は戻るって約束したし、それに向こうには大切な友達がいるからだ。
GM:「ヒカルの、大切な友達」
ヒカル:ああ、だがお前も大切な友達だ。だから俺はいつかきっと戻ってくる。
GM:「ヒカル、戻ってくる」
ヒカル:そうだ――と流子先輩に言おう――それまで、こいつのこと頼めますか?
流子:……任せておけ。
ヒカル:イノ、また戻ってくる。約束だ。それまで元気でな!――パスワードを入力しよう。
ヒカルの足元から緑色の輪がスキャンしていき、やがてヒカルの姿は消えて行った。
イノセントはヒカルの裾を離し、流子の元へと走ってくる。
GM:イノは流子の服の裾を持ちます。残ったのは流子、重雄、美空の3人ですね。
重雄:とりあえず、これからどうしますか?
流子:ここで《ハンドレットガンズ》の銃を消そう。明るい人格が表になって雰囲気も明るくなります――ん〜? じゃあハイランド王国ってとこ目指そうよ? なんか王様に会う必要があるんでしょ?
重雄:そうですね。まずはそこを目指しましょうか。
GM:すると美空が重雄に釘を刺します――「重雄、また山の時みたいに見捨てて逃げるみたいな真似は……」
重雄:え、ええ、わかってますよ。
流子:もう美空は〜そんな怒らないでもいいじゃーん?
GM:「怒ってないわよ! だいたい流子が優しすぎるの! あなた山で置き去りにされたんだよ!?」
流子:それは美空だってそうじゃん?
GM:「そ、それは、そうだけど……」
流子:もういいってそんな事、これからは3人……いや、イノちゃんを入れて4人、ここでゲームクリアを目指さないといけないんだしさ? ね、重ちゃん?
重雄:は、はい――と、良く考えたら3年の女の先輩2人と一緒なのか、すげー怖い感じだ(笑)
流子:ほら、重ちゃん早く〜!
GM:「遅いよー!」
重雄:あ、ちょっと、待って下さいよ!
仮想現実の空の元、重の声が響く。
『ダブルクロス The 3rd Edition リプレイAR
ファーストクエスト』

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