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アラビアン・ダーク・ファンタジーRPGゲヘナ

――かつて砂漠にシェオ−ルと呼ばれる都市があった。栄華を極めたその都市は、邪神イブリスと一人の人間が抱えた怨念により、地獄へと落ちる事となる。
――数百年後……現在。都市と共に生きたまま地獄へ落ちた人間達は、今だその活力を失ってはいなかった。人々は地獄の中で自分達の生活圏をジャハンナムと呼び、そして、その他の非生活圏である地獄の事をこう呼んだ――"ゲヘナ"と。
2004年4月29日セッション
シナリオ『美食と悪食の街』リプレイ


――魔装刀士伝――

決別と死別悲しみの旅立ち


◆1.享受者達の供宴

GM:さて、今回から追加サプリである「人魔饗宴」を導入します! これも追加して成長して下しさい。
アーレン:あ、追加の≪術技≫や【闘技】がある!
ジャバール:なんだ≪愧拳術≫?
※解説1 「人魔饗宴」
 こういった解説において、今回プレイするゲヘナの説明を補助的に入れていきたいと思う。
 「人魔饗宴」は「煉獄彷徨」に続くゲヘナサプリメントの第二弾である。その内容は高レベルPCに対応した追加データ、追加モンスターデータ、そして新しい≪術技≫が3つも追加されたものだ。世界観の設定資料では幻鏡域についての説明、なにより死者の魂が囚われるという獄の説明がされているので、死んだPCを連れてくるシナリオも組みやすくなっただろう。
ルージュ:ん? 灰炎術師専用の【闘技】がありますね。私は使える……どうしましょうか。
ラティ:今の所≪妖霊使役≫一本だったから、今回から≪黒沙術≫を取ってもいいですか?
GM:いいよ、ラティの生まれは不明だったし、元は黒沙使いの里の生まれだった事にすればいい。
アーレン:でも黒沙って、武器をその場で創造できるみたいだけどラティはどんな武器にするの? 剣? 槍? あんま尖ったのは似合わない気がするけど……。
ラティ:それなら羽衣にしたいです。それでもいい?
一同:『おお〜〜』
GM:かまいません、データ的には何も変わりないし、ビジュアルだけ羽衣ならそれでカッコいいし。
ラティ:じゃあそれにします。
ジャバール:黒髪に黒い翼の少女が黒い羽衣を纏う……わしの次ぐらいにカッコイイな(笑)
ラティ:はい(笑)
GM:あ、それと今回のシナリオはかなりダークです。前回言われたのでそれっぽいシナリオにしました。
アーレン:どれくらい?
GM:ゾンビがいっぱいでてくるぐらい。
ジャバール:それはダークじゃなくて、グロイとか気持ち悪いとか言うんだ。
GM:あ、どっちかっていうとそっち方面。
一同:『おいおいおいおい!』
GM:と言う訳で――

※注意
今回のリプレイでは残酷なシーンや気分を害するシーンがあります。
そのような事が苦手な方や心臓の弱い方は、これ以上読み進める事を推奨致しません。


GM:
これで良し!
ジャバール:いいのか? それで?
アーレン:ねぇGM、この冥獄刀って欲しいなぁ。
GM:≪刀術≫が4レベルになってからです。
アーレン:今は我慢かぁ。
GM:ではそろそろ成長申告をお願いします。
アーレン:<防御>を3Lvに上げた。それと銘刀を鍛えて強くした。あと人魔饗宴で追加された共通闘技【不諦】を取得した。
ジャバール:おお、追加闘技を取るとはやるな!
アーレン:やっぱ使ってみたいし(笑)
ジャバール:わしは<剛力>を2Lvに、<防御>を3Lvにした。あと闘技に【爆刺】を追加だ。それと獣甲で<鎧獣>を追加して装甲を+2と、魔具で漲力というのを買ったぞ。
GM:漲力というと一瞬だけ筋力が+1される道具ですね?
ジャバール:<剛力>も上げたし、わしは一発のダメージ量に生きないとだめだと感じたんだ(笑)
アーレン:正解だと思います。僕は連撃回数ですし。
GM:ではラティ。
ラティ:私は余っていた術技ポイントで≪黒沙術≫を一気に2レベルで取得しました。懐かしい故郷の技を使う事を決意しました。
ルージュ:今までは封印していたの?
ラティ:黒沙は大変危険な代物なので……でも、もうそんな事もいっていられないと気がついたんです。皆さんとっても強いですし、現れる敵もみんな強いです。だから私も強くならなきゃって。
ルージュ:あらあらまぁまぁ。
ラティ:それで前衛に出る可能性も出てきたので<防御>を3レベルに、<武器戦闘(敏)>も3レベルにあげました。それと気力も1レベル分上げました。
ルージュ:なんか凄くラティが強くなった気がします。
ラティ:頑張りました。
GM:ま、ずっと妖霊使いだからって成長してなかったしね(笑)
アーレン:で、ルージュはどうしたの?
ルージュ:わたくしは溜まっていた堕落ポイントを3点打ち消して、気力を2点分……つまり6点上昇させて終了です。
GM:了解。
………………………………………………………………………………
名前 :アーレン
種族 :人間/黒髪黒目で赤銅色をした肌をしている。
年齢 :17(男)
術技 :刀術3/魂装術1
能力値:筋力4、強靭4、敏捷5、感覚2、精神5、知力2
生命力:32  気力:18  イニシアチブ:12
技能 :防御3、先制1、精神抵抗1、応急手当1、武器戦闘(敏)1、舞踊1
闘技 :影刃、瞬閃、終刃、反業、無限、流水、魂装・撃/穿、魔業、霊絶、檄吼、霊合、復技、不諦
魔具 :抗魔、危那、銘刀+2
信条 :友情肯定的/身分否定的

説明 :友情に熱い魂装刀士の青年。小さいころ親友を邪霊に殺された過去を持つ。しかし、その親友は生き返ってアーレンの目の前に現れ、しかも邪霊に魂を売っていた。その親友――ハーディアに真意を、そしてなぜ邪霊に魂を売ってまで生き返ったのかを聞くために旅を続ける。一人称は「僕」。
………………………………………………………………………………
名前 :ジャバール
種族 :獣人/草食獣タイプ(カバ)
年齢 :35(男)
術技 :獣甲術3
能力値:筋力5、強靭5、敏捷3、感覚2、精神2、知力2
生命力:46  気力:4/2  イニシアチブ:8
技能 :剛力2、生存1、肉体抵抗1、防御3、魔物知識1、裏知識1
闘技 :鋼壁、斬虚、絶闘、闘戒、裂闘、爆刺
獣甲 :剣腕、迅雷速、天殺翔、鎧獣
魔具 :漲力
信条 :自立肯定的/運命否定的

説明 :本人曰く"カッコいいカバ"である。その実力は凄まじくアーレンもジャバールの事は「先生」と呼んでいる。天殺翔でジャンプ力が10倍になり、本人はまた一段とカッコよさに研きがかかったと思っており、最近は良く無意味にジャンプしたがる。ちなみに馬鹿ではない、カバである。一人称は「わし」。
………………………………………………………………………………
名前 :ラティ(ラティファー)
種族 :堕天使/黒い翼で黒髪のロングヘア
年齢 :13(女)
術技 :妖霊使役3/黒沙術2
能力値:筋力2、強靭3、敏捷5、感覚2、精神5、知力2
生命力:25  気力:22  イニシアチブ:12
技能 :舞踊1、防御3、意思疎通1、精神抵抗1、武器戦闘(敏)3
闘技 :妖双撃、妖乱舞
魔具 :危那(アーレン所持の片割れ)
信条 :暴力否定的/身分否定的

妖霊 :クーヤゥ(天真爛漫な少女の妖霊)/舞踊、声真似、非実体化、危難の予感

説明 :奴隷だったのをアーレン達に救われ自由の身になった堕天使の少女。妖霊のクーヤゥが悪戯好きなやんちゃな妹なら、主人であるラティは静かなお姉さんである。とは言え、その2人ともまだまだ子供なのだが……。ラティがなぜ奴隷であったかなどはまだ語られていない。一人称は「私」。
………………………………………………………………………………
名前 :ルージュ(ムーラン=ルージュ)
種族 :天使/ウェーブのかかった金髪
年齢 :21(女)
術技 :黒炎術2、白炎術2、神語術2
能力値:筋力2、強靭1、敏捷3、感覚4、精神4、知力6
生命力:21  気力:26  イニシアチブ:10
技能 :武器戦闘(敏)1、危険予知1、応急手当1、文献1、魔術知識1、魔物知識1
闘技 :塵炎、穿炎、嵐炎
信条 :神肯定的/邪霊否定的

説明 :黒炎と白炎を使い分ける灰炎術師。元居た街の紫杯連が潰れた為、今は言論都市ウァスに向かっている。その道すがら、途中まではアーレン達に同行している。言語都市に行く復讐がてら独学しだした神語術で、すでに初級を飛び越えるなど、魔術の才能は並外れたものがある。一人称は「わたくし」。

◆2.美食の街ドータ

言論都市ウァスと瓦礫都市シェオールに向かう旅も、そろそろ一緒に旅を続ける限界に近づいていた。そして、この街を出ればルージュと別れ別れになるであろう最後の都市にアーレン達はやってきていた。
GM:と言うわけで美食の街ドータに到着しました。
ルージュ:ではわたくしはちょっと決意を秘めているのです。
GM:決意?
ルージュ:そう、わたくしは言論都市ウァスに向かっているのですが、アーレンさん達が目指す瓦礫都市シェオールとは方向が違いますし、この街がギリギリ一緒に旅ができる最後の街なのです。
アーレン:そうだったのか!
ジャバール:これでカバールと言われないですむ(笑)
ラティ:なんか寂しいです。
ルージュ:いえ、それは皆さんに言いません。わたくしの心の中だけの決意ですから(笑)
アーレン:じゃあ気にせずにいよう。
ジャバール:そうだな。別れなんて考えて旅をしているとは思えん! それより美食の街とはどういうことだ? 有名なのか?
GM:旅の間に噂で聞くぐらい有名です。ただし、ここ1年ぐらいで興った街だっていう噂です。
ラティ:1年?
アーレン:ずいぶんと新しい街だな。
ジャバール:「ほれ、何をしておる! 早く行くぞ!」
ルージュ:「ええ、そうですねカバールさん」
ジャバール:「あのなルージュ、いい加減わしの名前はだな……」
GM:と進んでいくと街の上空には巨大な泡が浮かんでいます。
ルージュ:「またフィサールの迷宮!?」
ジャバール:「だーー! またわしの話を最後まで聞かん!!」(笑)
GM:えっと、その浮いている泡なのですが迷宮ではなく幻鏡域です。
※解説2 「幻鏡域」
 幻鏡域とはジャハンナム特有の実体を持った蜃気楼の事です。ゲヘナでは特別な技術によってその蜃気楼を半永久的に留める事が可能であり、人々は幻鏡域からの水や食糧や資源等を得て生きてきたのです。
幻鏡域は幻鏡使いと呼ばれる特殊な技術を持つ者たちに管理されており、その者達がいるからこそ、幻鏡は半永久的に留まらせる事が可能なのである。この減鏡域の原理については解明されていないが、実質的な使用方法は確立されている。つまり異世界への移動である。
幻鏡域はそこから別の世界へと繋がっており、そこは海や密林、鉱山や機械都市、果ては音楽が支配する世界などにも繋がっています。すなわちそれが、それぞれの都市の特色にもなるのです。
ジャバール:つまり美食の源が生産されているって事か?
GM:この街では…ですね。
ジャバール:じゃああの幻鏡に入ってみよう。そして美味いモノを食おう(笑)
アーレン:先生、短絡的過ぎですよ(笑)
GM:というより、幻鏡域は街の領主とかが権利を獲得しているのが普通なので、一般人が勝手にほいほい入れるような場所ではありません。
ラティ:その領主の許可があれば入れるの?
GM:そうです。
ジャバール:入ってみたいのう(笑)
アーレン:先生ヨダレヨダレ(笑)
ジャバール:違う! 良い匂いで鼻がピクピクしているんだ!
GM:と、ドータの街に入って行くと、通りのそこかしこに屋台が建ち並び、街の人々は屋台でいろいろ買い食いして歩いています。どの料理も見た事ないものばかりですね。
ルージュ:幻鏡域で発掘されたようなものでしょうか?
GM:そうだね。ちなみに普通に見た事もある料理もいくらか出てますが……比率は少ないです。
ジャバール:どこもかしこもだな。
GM:と、突然ですが<感覚鍛錬>4/1で判定して下さい!
アーレン&ルージュ:『失敗』
ジャバール&ラティ:『成功』
GM:では通りの端に凄いめちゃめちゃ綺麗な美人がいる。もうこの世のものとは思えない程の美しさだね。
ジャバール:それはカバであるわしの美的センスでもか?(笑)
GM:綺麗ですね。内から出るオーラからしてもう特出しまくりです。
ジャバール:カリスマという奴だな。
ラティ:じゃあ私は憧れるような美しさに見惚れちゃいます。
GM:と、その美女がチンピラに絡まれ出します。まぁ目立っているので仕方なし。
ジャバール:フランスパンを食べながら――「おい」とチンピラの肩を叩こう。
アーレン:フランスパンなんてあったの?
ジャバール:美食の街だから何でもある(笑)
GM:チンピラは――「なんだ?……はんッ(鼻で笑った)――で、美人さんよぉ俺達と付きあわねぇ?」
ルージュ:無視されていますね。
ジャバール:フランスパンを飲み込んで、肩を掴んでグッとこっちを向かせるぞ――「おい?」
GM:「んだ? カバにカバってる暇はねえんだよ!」
ジャバール:「そのお嬢さんが困っているだろう」
GM:その女の人はかなり上等な服を…まぁジャバールならいろいろ街を旅しているから知っているでしょう。高級娼婦って感じです。美女はジャバールの後ろに隠れます。
ジャバール:「お前等、いいかげんにしろよ」
GM:「んだとカバが!」
ジャバール:ジャバールぱーんち! ジャバールきーくっ! ジャバールジャイアントすいーんぐ!(笑)
アーレン:適当だなぁ先生(笑)
ジャバール:「ふん、これぐらいで勘弁してやろう」(笑)
GM:「くっ……覚えてろカバが!」と逃げていきました(笑)
ラティ:「大丈夫でしたかお姉さん?」
ルージュ:「あらあらまーまー」とやって来ましょう。
アーレン:じゃあ僕も行こう。
GM:「危ない所をありがとうございました」
ジャバール:「いやなに、当たり前の事をしたまでさ。はっはっはっ」
GM:「本当に……あら? もしかして旅の方ですか? この街は初めて?」
アーレン:「あ、はい。そうです」――ちょっと緊張してたりして(笑)
ルージュ:「でも、美食の街の噂はかねがね」
GM:「そうですか……確かにこの街は、幻鏡域で取れる未知の料理によって潤っています。でも、街で出されている料理はその取ってきた料理を真似て作った模造品なんですよ? 知っていました?」
ラティ:「ニセモノ……なんですか?」
GM:「ええ、その辺の料理屋や屋台で売っているの物は幻鏡域で見つかった料理のコピー品です」
ジャバール:「材料が違うという事か」
GM:「材料……というよりその加工や味付けですね」
ジャバール:そりゃそうか(笑)
クー:『ねぇねぇ、だったら幻鏡域に行ってそのオリジナルの料理を取ってこようよ!』(笑)――クーがいる事をちょっと忘れていました(笑)
アーレン:「でも領主とかが仕切っているんじゃないかな?」
GM:「そうですね。この街の幻鏡域は領主様が仕切っていますから……あ、でもなんでしたら私が口を利きましょうか?」
ルージュ:え? そんなに凄い高級娼婦なのですか?
GM:「これでもハーレムの中では領主様に呼ばれる回数はダントツですよ」
ジャバール:「そうだろうな。カバのわしでもお前さんが美しいのはわかるからな(笑)」
クー:『じゃあこのお姉さんに言ってきてもらおうよ♪』
ジャバール:「駄目だ、そんな他人に頼るのは許さん! 行くのなら自分達で道を切り開くんだ」
クー:『カバのケチー』(笑)
GM:「ふふ……わかりました。口利きはやめる事にしますね」
ジャバール:「すまんな、せっかくの好意を」
GM:「でもせっかくですし、助けてくれたお礼をさせて下さい」――とチマキを4つくれます。
アーレン:「これは?」
GM:「ほんのお礼です。もちろん中でとれたオリジナルです。味は別次元ですよ」
クー:『ありがとう!』
ラティ:「あ、ありがとうお姉さん」
ジャバール:「すまんな……いただこう」(笑)
GM:「では私はこれで……何かあったら領主様の館に来て下さい。私の名はシェヘラザート。この街を楽しんで行ってくださいね」――と絶世の美女シェヘラザートはいなくなる。

◆3.悪食の街ドータ

ラティ:「綺麗な人でしたね」
ジャバール:「うむ」
アーレン:「先生が人に"綺麗"だなんていうとは思わなかったよ」
ジャバール:「あれは人外のカリスマとでも言おうか、神や天使といった感じで……まぁとにかく凄かった(笑)」
ルージュ:「でも貰ったチマキは4つですよ? 意外と意地悪なのかも」――とクーを見ます。
クー:『えええええ!? やだやだクー食べるからね!!』
ジャバール:「ま、普通妖霊は数に入れないわな。だから別に意地悪とかじゃないと思うぞ」
アーレン:「大丈夫だよクー、僕のをあげる」
クー:『ありがとなのーー♪』
アーレン:「ま、先生は自分で食べるだろうし、あとは女性だしね」
GM:では食べる前に新ルールが発動します。
アーレン:新ルール?
GM:その名を「到達ポイントルール」です!
※解説3 「到達ポイント」
 世界は常に隠されています。それは邪霊達の陰謀でありゲヘナの日常です。その真実を見通す感覚を<到達感覚>と呼びます。享受者は今までの経験により現実との矛盾やズレに敏感になっていきます。やがてその研ぎ澄まされた感覚は、ゲヘナでもっとも厳重に隠された道を……すなわり地上へと至る道を見出す事になるでしょう。
GM:で今まで邪霊倒したり、フィサールの4行詩を聞いたりでの経験で全員3ポイントの到達ポイントを持っています。それぞれそのポイントを視覚、聴覚、嗅覚、直感、体感の好きなところへ割り振って下さい。
アーレン:その割り振った感覚が研ぎ澄まされるって事ね。
ラティ:私は普通に視覚に3点つぎ込みます。
アーレン:じゃあ僕は主人公っぽく悲鳴聞いたりするために聴覚に3点。
ルージュ:私は魔法的な感じで直感に3点にしましょう。
ジャバール:ならわしは嗅覚にしよう(笑)
GM:マルチに分けたりはしないのですね?
アーレン:このゲーム、マルチ弱いし(笑)
GM:さて、今回その到達ポイントルールをオリジナルな使い方をします。費やしたポイント分のダイスを持って下さい。で、4以上がいくつでるか振ってください。全部4以上が出ないと全失敗です。
アーレン:(コロコロ)……1。
ラティ:……2。
ルージュ:2です。
ジャバール:うむ、0だ(笑)
アーレン:これで何に気が付くの?
GM:気が付くのは非認識の呪いです。
※解説4 「非認識の呪い」
 邪霊達はジャハンナムの人間達が本当の道を見抜かぬよう呪いをかけました。普通に生活している中で魔物が通りを闊歩していても、国の王妃が怪物であっても、兵士達が全員幽霊であっても、大通りが全てヘビに覆われていても、人々はそれが日常であるかのように特に反応しないのです。あきらかにおかしい、歪んだ論理がまかり通っている。それが邪霊による非認識の呪い=邪なるベールです。
アーレン:つまりこの街は何らかの「非認識の呪い」に覆われている?
GM:とりあえず全失敗のジャバールは何も気が付きません。チマキを食べると素晴らしく美味いです。
ジャバール:ムシャムシャ……「おおこれは凄い! 何だお前ら食べないのか? 恐ろしく美味いぞ!」(笑)
クー:『クーは食べるー♪ 本当だ! これすっごく美味しいー♪』
GM:そしてルージュ、キミは何か嫌な直感がしてこのチマキを食べていません。
ルージュ:「この嫌な感じは……」
GM:そしてアーレン、キミはチマキから悲痛な叫びを聞いた気がしたよ。
アーレン:ラティの持っているチマキを取り上げます。
GM:ちなみにラティ、キミは視覚だったね?
ラティ:ゔ。
GM:そのチマキの中には髪の毛やら、人間の小指の先っちょやらが見え隠れしているのがわかる。
ラティ:ガタガタ震えながらアーレンに取り上げられました。
クー:『ルージュ食べないの? ならヒョイ♪ パク♪ もぐもぐ!』――ルージュの食べた!
ルージュ:「あ……」
ジャバール:「アーレン、自分が食べないからってラティのを取っちゃいかんだろ」――ヒョイっとわしがアーレンが奪ったラティのを食うバクバク(笑)
アーレン:「あ……」
GM:ラティは視覚なので良くわかります。街では幻鏡域から採ってきたオリジナルの料理を自慢気に食べている人や、幻鏡域で取ってきた材料を売っている屋台もあります。
ラティ:ゔゔ……。
GM:それ等は全て人間です。人の手を肉の変わりに挟み込んでいるハンバーガー。人肉を焼いている屋台もあります。
ラティ:街の人は気が付いてないの?
GM:気が付いてないね。到達感覚のあるキミ達だけが非認識の呪いを打ち破って、異常に気が付いている。
ラティ:あゔ……。
ジャバール:「こいつは美味いのう! なぁクーよ?」(笑)
クー:『本当だねカバのおっちゃん♪』
ジャバール:「もう泣きたくなるぐらい美味いな! ばくばく(←PL的に泣)」
アーレン:言いましょう――「先生、クー……それ、吐いた方がいい」
ジャバール:ゴックン(泣)
クー:『ごっくん』
アーレン:「あ……」
ジャバール:「どうしたアーレン? それに皆も」
ルージュ:「とても言い辛い事なのですが……今お2人が食べていたもの……人間の肉ですよ」
ラティ:(うなずく)
ジャバール:「まさかぁ! そんな事あるわけないだろう?」
アーレン:「先生……そのチマキ、もっと良く匂いを嗅いでみて」
GM:どうぞ、もう一度判定していいですよ。
ジャバール:(コロコロ)……3成功(泣)――「これは!?」
クー:『ラティの封印具に戻る〜〜』
ラティ:封印しました。
ジャバール:わしは一人ブルーになっていよう。
ルージュ:「………………」
アーレン:「どうして……どうしてこの街はこの異常事態に誰も気がつかないんだ!?」
ルージュ:「非認識の呪い……それにしても最悪なものですね」
アーレン:「先生……もしかしてこの街、ハーディアが絡んでいるんじゃ……」
ジャバール:悪い、ブルーになっててあまり反応できん(笑)
ルージュ:個人的にはさっきの美女が気にかかります。
ラティ:シェヘラザートさん?
アーレン:そうかな? あの人は僕達のこの街の異常性を気付かせてくれたんだと思うけど……。
GM:シェヘラザートについて知りたいなら<魔術知識>4/6です。
アーレン:6個も!? めっちゃ難しいじゃないですか!?
GM:一応、ルールブック(煉獄彷徨)に載っているNPCだからね、難易度もルール通りだ。
アーレン:それなら納得です。
ラティ:公式NPCなんだ。
ルージュ:成功しました。
GM:え!?
ルージュ:わたくし【知力】が6で<魔術知識>1レベルあるので……ほら見て下さい。6つ成功しています。
GM:まさか成功するとは……。
ルージュ:「シェヘラザート……どっかで聞いた事ある名前だと思ったら――」
アーレン:「何か思い出したの?」
ルージュ:「ええ、シェヘラザート……それは――
※解説5 「シェヘラザート」
 最強最悪の邪霊王イヴリス。彼は時として人間社会へ紛れ込む事があります。その時の姿は男装した女性か、女装した男性の姿です。いずれにしても長い黒髪と蟲惑的な美貌に包まれています。その時に使うお気に入りの名前はシェヘラザートです。
一同:『邪霊王イヴリス!?』
ジャバール:それって最強の敵だろ!?
GM:そうです。絶対である神様の次に強い邪霊です。ここゲヘナでは実力最強です。
ラティ:「でも……なんで邪神王イヴリスなんかが……」
ルージュ:「気まぐれ…それとも……」
アーレン:「いや、今はイヴリスのことは忘れよう。それよりこの街の方です」
ジャバール:「そうじゃな、例えイヴリスを追ったとしても、今のわしらではどうする事もできん」
ルージュ:「………………」
ラティ:「ルージュさん?」
ルージュ:「いえ、そうですね。今は街の事を解決しましょう」――信条的に邪神は許すまじ…なのですが、さすがに手に余る相手ですしね、今回はあきらめます。
GM:ではそう思った辺りで、通りの辻で弾き語りをしている吟遊詩人の口調が突然変ります。まるで何かが乗り移ったかのように――
ルージュ:4行詩?
GM:そうです。全員<舞踊>判定お願いします。
ラティ:私の2個成功が最大です。
GM:では――

『――1つの欲望は至高となった。
        ――それは仮宿に究極をもたらした。
                ――………………。
                    ――………………』

ジャバール:2行目までだな。これじゃあこの街の現状ってだけであまり役に立たんな。
アーレン:確か次の日になればもう一度判定できるんですよね?
GM:そうです。
ルージュ:と、いう事はこの街で一泊ですね。
ラティ:ご飯どうしよう……。

◆4.気力を振り絞り

とりあえずこの街で宿を取る事になる一行。なるべく無難な宿を選んで入る事にするが――
GM:「おや、旅人さんかい?」
アーレン:「ええ」
GM:「この街は1年前に幻鏡域が現れてから美食の街として有名になってね! 食べ物は本当に美味しいよ! 夕飯はどうする? 先に言っておいてくれれば好きなもん作っておくよ?」
ルージュ:「わたくしはサラダだけでいいです」
アーレン:「僕、ダイエット中だからいりません」
ラティ:「うう……あの……トイレ貸して下さい」
GM:「お、そっちのカバさんは良く食いそうだな! スペシャルメニューもあるよ!」
ジャバール:「いや、わしもいらん」
GM:「もしかして外で外食してきちゃって口かい? しょうがないねー」
ジャバール:わしもちょっとトイレ……。
その夜、真っ赤なドレッシングのかかったサラダが出されつつ(ルージュ:やっぱいりません)、なんとか次の日となる。
アーレン:この街は厳しいです。いろいろ聞こえてくるし……。
ジャバール:わしは良い匂いと嫌な臭いが混じって漂ってくるぞ。
ラティ:見えすぎです……早く終らせたい。
GM:さぁ次の日になったのだし、もう一度<舞踊>判定をどうぞ?
アーレン:(コロコロ)……2成功。
ラティ:……4成功!
GM:では全てフィサールの4行詩が理解できます。

『――1つの欲望は至高となった。
        ――それは仮宿に究極をもたらした。
                ――紅の背徳を望まぬものは、時を統べる3枚の翼を探せ。
                        ――偽りの過去と決別せよ。』

アーレン:ハーティアとの決別か……それでこの街は元に戻る……そんな意味かな。
ジャバール:3枚の翼とはやはりあの赤い翼の3人姉妹の事だろうな。
ルージュ:情報収集した方がいいですね。
ジャバール:影響力ルールはつかえるのか?
GM:かまいませんよ。
――影響力を使って集めた情報――
  ◆ハーディアのことは誰も知らない。
  ◆赤い翼の堕天使3人が幻鏡域を見つけた最初の3人。
  ◆3姉妹はショートカットが長女のマチ、ロングが次女のツーリ、三女がツインテールのヌイヌイ。
  ◆赤い3人は領主に幻鏡域を献上したらしい。約一年前の出来事。
  ◆チームを組んでいる享受者はこの街にはいない。
  ◆幻鏡域へ入る為には領主の息のかかった兵士が4〜6人の護衛(享受者)を雇って入っていく。
  ◆幻鏡域から帰ってくる時は必ず1〜3人に減っている。
     が、その異常さを異常と考える人は街にいない。

 ――そして凌渦の紫杯連に行きさらに聞き込み――
GM:「ここには2種類の享受者がいる。一方はわかるもの…気が付く者、一方は知らぬもの…気が付かない者……」
アーレン:「頼みたいんだ。その幻鏡域に行く護衛任務、次に来たら僕に回して欲しい」(コロコロ)……影響力は成功。
GM:「わかったキミ達に回そう……しかし、本当に行くのか?」
ジャバール:「孤高の戦士ジャバールの名は知っていよう! この街をわし等が救ってみせるさ!」
GM:「そうか……わかった……」
そうして影響力により仕事を取り付ける一行、紹介されたは豚の獣人と領主の所の兵士が1人だった。
ジャバール:仲介屋の豚と、護衛対象の兵士か。
GM:その通りです。
アーレン:さぁさっさと終らせよう。この街は異常過ぎる。早く元に戻さないと。
ラティ:うん。
ルージュ:これが……ゲヘナ……ですか。

◆5.幻鏡域への突入

領主の館に付近にそれはあった。幻鏡域へと続く階段。門番も兼ねた幻鏡使いが、何かをくっちゃくっちゃ噛みながら話し掛けてくる。
GM:「護衛の特権としてな、つまみぐいできるぞ! よかったなお前ら!」
一同:『嬉しくねー』
アーレン:「そうだ。ここに赤い翼の3姉妹は来た?」
GM:「ああ、それならついさっき入っていったぞ。彼女達は最初に発見した功績から、幻鏡域への入出の自由が認められているからな」
ジャバール:「アーレン、覚悟を決めていけ。お前の戦いが待っている」
アーレン:「わかってます先生……ハーディア、決着を付けよう」――幻鏡域へ入っていきます。
GM:では幻鏡域へ続く階段を上りだそうとした瞬間、どこからとも無く歌が聞こえてきます。4行詩です。
ジャバール:<舞踊>か……ゲヘナには必須の技能だなぁ。
GM:一番高かった人は?
ラティ:4成功です。
GM:ではすべてわかるね――

『――過去と現在が対峙する時。
        ――命は死を覚悟するだろう。
                ――常に前だけを見据える者は、
                        ――鋭きゲヘナへ誘われるだろう。』

アーレン:どういうことだ?
ラティ:「後ろが危ない? 奇襲で死ぬ?」
アーレン:「前向きでないって事かも……でも僕は……」
ジャバール:「気にするな! いつものままのお前でいればいいんだアーレン」
ラティ:「そうですよ。前を見て進むことを教えてくれたのはアーレンです」
アーレン:「先生、ラティ……わかったよ。迷わない」
ルージュ:「では進みましょうか」
GM:さて、キミ達が幻鏡域に入るとそこは真っ暗闇だ。もっとも遠くに建物がありその明かりが1つだけ目印のように光っています
ジャバール:あそこを目指すのか。
GM:「そうだブヒ!」と豚の享受者も言う。彼は何度か来たことがあるらしい。ちなみにその建物までは<感覚鍛錬>を5回成功すれば到着できます。
ルージュ:難易度は?
GM:暗いので4/2です。
ルージュ:2レベル赤炎術<常に輝く炎>を使用してランプ代わりにします。(コロコロ)……成功。
GM:なら4/1でいいです。では1回目――
一同:『成功』
GM:あ、すでに豚の享受者は消えました。
ジャバール:もう迷ったのかよ(笑)
GM:では2回目をどうぞ。
ラティ:あ、失敗。
GM:ラティはイベント表1D6です。
ラティ:(コロコロ)……3。
GM:ああ、3は何もないですね。さて3回目です。
ラティ:また失敗です(コロコロ)……イベントは6です。
GM:ではガシャコン、ガシャコンやってくるシルエットは、金属柱に顔がついて両手がナイフとフォークのロボット魔獣だった(人魔饗宴P73 モレクの蒸気人形)。
ルージュ:<魔物知識>(コロコロ)……5成功。
GM:モレクの蒸気人形に似てます。魔物のレベルは7Lv。あと背中に籠があり、豚の享受者が捕まっています。
と、ここでさっさと豚の享受者を見捨てて逃げ出す一行。
GM:酷いですね。
アーレン:だってレベル7でしょ!?
ジャバール:だいたい豚の享受者などどうなってもかまわん!
ルージュ:さっきの4行詩もあるしなるべく気をつけた方がいいと思います、余計な事はしないようにしましょう。
ラティ:………………。
GM:では4回目の判定をどうぞ。
一同:『成功!』
GM:あ、領主から言われてきた兵士が消えた(笑)
アーレン:「護衛対象がいない……」――でも後ろは振り返らない。
GM:さぁ最後5回目の判定をどうぞ!
ジャバール:今度はわしが失敗だ(コロコロ)……うお、また6だ(笑)
ルージュ:また人形?
GM:そうです。ただ、今回はさっきの人形の両手にそれぞれ料理が乗っており、別段襲ってきません。食べて欲しいようです。ちなみに背中の籠にはさっきの兵士が捕まっています。
ラティ:まさか……。
アーレン:手に持っているのはブタ料理?
ジャバール:全力で逃げるぞ!
一同:『了解!!』

◆6.堕落した街

明かりのついていた建物は未知の料理を自動で作り続ける工場だった。ベルトコンベアが何かを運び、オートで動く機械が引っ切り無しに何かを断裁、過熱、調理していた。アーレン達は不気味な工場を、時々襲い掛かってくる人形達を蹴散らしながら進んでいった。
GM:ではその扉には『制御室』と書いてあります。
ジャバール:「さぁこれ以上奥は無い。この胸糞の悪くなる幻鏡域の原因がここだな」
アーレン:無言で扉を開けて入っていきます。
GM:そこには一人の男が立っています――「やっと来たかアーレン」
アーレン:「ハーディア……か」
GM:その通り。故郷バナジウムで見た時と同じ格好で、何も持たず一般人が迷い込んだかのような出で立ちで立っている。
アーレン:「ハーディア……この街を、この幻鏡域を制御しているのはキミだね。どうしてこんな…惨いことを!」
GM:「人々が堕落する手伝いをしているだけさ……料理は美味しかったかい?」
アーレン:「ハーディア……キミは本当に、魂を売ったんだね。悪いけど歓迎のディナーは辞退してきたよ」
ラティ:「酷い……」
ルージュ:「あのようなもの、食べると思いましたか?」
ジャバール:「わしらを舐めすぎだな!」
一同:『おい!!!』(一同爆笑)
ジャバール:一斉にツッコムなよ! だいたいクーだって食べてたじゃ……って今日はやけに静かだな?
クー:『実はチマキ食べていこうずっと喋ってません。相当ショックだったのです』
ルージュ:そう言えばそうでしたね。
アーレン:「それよりハーディア、どうして人々を堕落させる!」
GM:「それが邪霊王イヴリス様の考えが正しいと証明することになるからだ」
ラティ:「どういうこと?」
ルージュ:わたくしが説明しましょう――「かつてまだこの地がシェオールと呼ばれ地上にあった頃――
※解説6 「邪神王イヴリス」
 かつてその傲慢さから神により地上から駆逐された妖霊達ですが、その中で唯一天上に住まいし者がいました。それが妖霊イヴリスです。彼は同朋である妖霊達にほとほと飽きれ、天使達と同じように神に使える事を選んだのです。
 やがて地上から妖霊が消えると神は人間を新たな地上の主人公にと作り出し皆に祝福するように言いました。しかし、このことにイヴリスは納得しませんでした。なぜなら自分より劣る人間達を祝福するなど許されなかったのです。
  神はイヴリスを叱りましたが、イヴリスは首を縦に振らずこう言いました――「ならば神よ私が証明致しましょう。この人間達が地上の主人公の資格無しという事を、いつの日か必ず私欲にまみえる事を」――神はイヴリスの言い分を認め、イヴリスは天上を去り自分の意見を証明する為に人間達に囁くのです。そう自分の意見が正しかったと認めさせるために。
ルージュ:「――邪霊達はイヴリスの言葉が正しかったと証明させるため、人間を堕落させようとしているのです」
アーレン:「この街はハーディア」
GM:「そうだ。だからこの街を作った。幻鏡域を固定し、噂を撒き、非認識の呪いで真実を覆って……この街を見てどう思う? 自らの同族を食らい、その肉を…血を美味いと言う。この堕落した街を見て――いや人間達を見てどう思う!! このような者達など守る価値などありはしない!!!」
ルージュ:「そんな事はありません! 神はすべてを見ていらっしゃいます。例えその御声は届かずとも、必ず我等をお救いになられます。例え堕落した者がいようと、そう唆す者がいようと……価値の無い者など一人もいないのです!」
GM:「それはつまり、邪神に魂を売った俺でさえ神から見れば価値があると?」
ルージュ:「そうです。神はすべてに平等です。例えあなたであろうと救われぬいわれはありません」
GM:「本当に神は平等かな? このゲヘナには富と権力を持つ者がいる。一方で地べたを這い漁るしか生きる手段の無い者もいる。力あるものは奪い、力無い者は奪われる……この世界を作ったのは誰だ? この不平等な世界を作ったのは人間だ……そして、その人間を作ったのは誰だ!!!」
ルージュ:「それは……」
GM:「そういう事だ。俺は気が付いたんだ……このジャハンナムを支配する人間が、いかに愚かで救い難い存在かを」
ラティ:「それは……違うと思います」
GM:「………………」
ラティ:「私は1人でずっと暗いところにいました。でも、みんなが…アーレンが来てくれた」
アーレン:「ラティ……」
ラティ:「アーレンみたいに誰かの為に命を賭けて光を取り戻してくれる人がいる。私もそういう人になりたい。救われて感謝する気持ちも、誰かを救いたい気持ちも…私は嘘だなんて思えない!」
ジャバール:「そうだなラティ」――とラティの頭をポンと叩いて1歩前で出よう――「ハーディアよ。わしら人間は確かに愚かかもしれん。しかし人は愚かで終る種族ではない。愚かなりに試行錯誤し、失敗を繰り返しても諦めず、最後には必ず成功へと繋げる力を持っている」
GM:「だからどうした? 人間は愚かでは無いから救われて然るべきだとでも言うのか?」
ジャバール:「誰かに救われる必要は無いとわしも思う。富と権力を持っているから幸せなのではない。地べたを這ってでも生きる者が不幸なのではない。自らの意志で生きる者は誰もが幸せなのだ。その思いを手助けしようと思うのはそれぞれの勝手……それを救いだと考えるのならそれはお前の自由だ」
GM:「だが、そうやって手助けして助けられる者もいれば、救う事のできない者もいる。そして救う価値の無いものもな……アーレン、お前はわかっているはずだ。どう足掻いても救う事のできない者がいる事を、救う事のできなかった者達が存在する事を!」
アーレン:「ああ…そうだね」
GM:「どうだアーレン、お前さえよければ俺がザイナヴ様に口利きをしてやるぞ?」
アーレン:ザイナブ?
GM:上級邪霊です――「俺は死んだあと獄へと行った。その獄の主であるザイナブ様に俺は忠誠を誓った。どうだアーレン? 人間など自分の事しか考えぬ浅はかな存在だ。その全てを救えるとは思っていまい、まして、救う価値の無い者もたくさんいる。それならいっその事――」
アーレン:「(遮って)――ハーディア」
GM:「………………」
アーレン:「人間は愚かだしその全てを救おうなんて僕は考えていない。死んで構わないと思う人間もいる。だけど、だからってキミと同じ答えには行き着かないよ」
GM:「アーレン……」
アーレン:「例え救える者が目の前の数人であっても、僕はその人達を救うだろう。かつてキミを失ったように、僕はもう大切な誰かを失いたくない! ここにいる仲間達を! ラティを! 僕は全力で守る! それが僕の答えだ!」

◆7.決戦ハーディア

一瞬、部屋を沈黙が支配する。そして次にハーディアが口を開いたとき、一気に内包していた邪悪な気配が高まったことに、部屋にいた全員が気がついた。
GM:「やれやれ……では仕方無い。アーレン…キミの無力さをもっと知ってもらうしかないな……人は所詮思いや信念だけでは何もできないという事を!」――さぁ全員、後ろは注意してなかったですね?
一同:『あ゙』
GM:では全員<危険予知>4/3でどうぞ。
ルージュ:……失敗ですね。
ジャバール:2個しか行かなかったか。
アーレン:全失敗、そうとう動揺してます(笑)
ラティ:私は成功しました。
GM:(コロコロ)……ふむ、どうやらラティに集中攻撃が行くらしい。後ろから不意打ちね。
ラティ:私ですか!? 気が付いていていいんですよね?
GM:いいですよ、ラティだけ判定に成功してますし。
ルージュ:あ〜〜そう言えば4行詩が「後ろから気をつけろ」って内容だったのに忘れていました。
ジャバール:ああ、いろいろあってそれどころじゃなくなっていたしな。
GM:ではラティ、まずは命中4を3回避けてください。赤い翼の3姉妹がそれぞれ針を投げてきます。
ジャバール:赤い3姉妹か! そいつらもすっかり忘れてたぞ(笑)
ラティ:クーからブースト貰って(コロコロ)……1回目と2回目は避けました。3回目は堕落して回避です。
GM:回避されてもこっちは暗殺士なので連撃発動です。次は命中5が3回です。
ラティ:堕落使って(コロコロ)……3回目だけ刺さった。
GM:続いて3連撃目、命中5が3回です。
ラティ:(コロコロ)……今度は2本刺さった。
GM:ではさら4連撃目、命中5が3回、最後に5連撃目に命中5が3回で終了。
ラティ:堕落ポイント使って(コロコロ)……それでも合計7本刺さりました。かなり邪霊に囁かれまくっています。
GM:ダメージはありません。突然ラティが膝を付くとその背中には7本の針が刺さっています。
アーレン:「ラティ!?」
ラティ:「大…丈…夫…」
ルージュ:「アーレン、ラティの事はまかせて下さい。あなたは過去との決別を!」
ジャバール:「赤い奴等はわしにまかせろ!」
ラティ:「アーレン……心配しないで……だから、前へ進もう?」
アーレン:「ああ…ああわかったよラティ。そうだね僕は前へ進む……」――ラティをルージュに任せてハーディアへと向き直りましょう――「ハーディア、決着を付けよう」
GM:「そうだな……」そう言うと獣甲<超変形蟲>を使います。
アーレン:何?
ジャバール:ああ、あったなそういえば…だから見た目が普通だったのか!
GM:獣甲の<変形蟲>は体に変態して外見がばれやすい獣甲をカモフラージュします。<超変形蟲>だと全ての獣甲をカモフラージュしてあたかも一般人のように振舞える、擬装変装用の獣甲だ。
アーレン:それでいいさ。僕も銘刀を抜く! さぁ闘おう!!!
GM:では戦闘に入ります。先にラティは21点のダメージを食らって下さい。針1本につき3点づつダメージが毎ラウンド入ります。針を抜くには行動を使用して【強靭力】本だけ抜けます。
ラティ:もう残り4点です。
アーレン:<先制>を使う(コロコロ)……う、全失敗。
ジャバール:わしも<迅雷足>を使用する!
GM:では一番早いのは暗殺士の赤い3姉妹です。それぞれジャバール、ラティ、ルージュに命中4、5、5、5、5の5連撃で針を投げてきます。
ジャバール:(コロコロ)……2本刺さった。というか、わしは【強靭】が強いから余裕だ。
GM:でも抜く行動を取ると1R費やしてしまいますからね?
ジャバール:じゃあ刺しっぱなしで闘うか(笑)
ルージュ:GM! <聳え防ぐ炎>で防ぐのはありですか?
GM:5回唱えるなら許可って感じでいいです。カッコ良いし(笑)
ルージュ:じゃあ(コロコロ)……5回とも成功で全部防ぎました。気力が一気に20点も減りましたが……。
ラティ:私は駄目でした2本追加で刺さって合計が9本です。
GM:次はアーレンです。
アーレン:ラティの針を抜きたい! 心配するなって言ってもラティは僕が助けないと!
GM:じゃあそうだな……【敏捷】判定の成功分抜いていい事にしましょう。 でないと本気でラティが死にますし(笑)
アーレン:「ラティ!」――(コロコロ)……5本抜きました!
ジャバール:そうだなアーレンの行動が正しいかもしれん。わしもラティの針を抜こう(コロコロ)……2本抜いたぞ。
ラティ:「アーレン、ジャバールさん……ありがとう」――と言ってクーにも抜いてもらいます。たぶんそれでないと私は死んでしまう(コロコロ)……クーが2本抜いてくれました。これで0です。
GM:了解。そしてラティ自身の行動は?
ラティ:私は黒沙術の<黒い腕は死を運ぶ>で武器作成です。黒い羽衣を作成します!――「みんなありがとう。もう…大丈夫だから!」
ルージュ:さぁこっちの攻撃ですね。ツインテールの堕天使に<放ち葬る炎>(コロコロ)……1成功だから、抵抗されましたね。2点ダメージです。
GM:ちょっとだけですね。次はハーディアの行動ですが闘技【檄吼】を使って終了です。ラウンドの最後に針が刺さっているジャバールは本数×3点のダメージを受けて下さい。
ジャバール:6点程度じゃ痛くも痒くもないわ!
GM:では次のターンです。 赤い3姉妹は手を背中に回して針を再装填して終了です。
ジャバール:2ターンに1回装填か……。
ルージュ:このターン中に1人でも落さないと厳しいですね。
GM:ではアーレンです。
アーレン:ハーディアのところへ移動して攻撃!(コロコロ)……牽制で5命中の7点ダメージ!「ハーディア!!!」
GM:カウンター宣言(コロコロ)……7で成功、ダメージはこっちの5点を合計で12点!「この程度かアーレン?」
アーレン:「ぐっ……相変わらずだね」
GM:「お前は腕が鈍ったんじゃないのか?」――次はジャバールです。
ジャバール:わしは待機する。
ラティ:私は飛び立ってツインテールに羽衣で攻撃します(コロコロ)……牽制で6命中のダメージは7点!
GM:ゔ…けっこうきたな。防護点が2点しかないから薄い(笑)
ラティ:あ、そのまま連撃に入ります。クーからもブーストしてもらって(コロコロ)……渾身で4命中!
GM:それは避ける。こっちは回避が5だからな。
ラティ:堕落ポイント使って命中を6にします。ダメージは16点ダメージ!――「私はまだ頑張れる…アーレン達の為に戦う事ができる!」
アーレン:ああ、ラティが……本当に闘っている(笑)
ジャバール:ラティも成長しているのだなぁ。あのラティが16点もダメージを与えるとは(笑)
GM:きっついなぁ。
ラティ:これで終わりです。クーからは次のルージュさんに+3個のダイスボーナスが行きます。
ルージュ:そのままツインテールに――「例え神の姿が見えずとも、例え神の御声が聞こえずとも、それでも神は見ていらっしゃるのです。あなた達のように堕落したものに、その話をしても無意味でしょうが……」(コロコロ)……<放ち葬る炎>が8命中。
GM:抵抗できません。
ルージュ:「せめて、最後は神の御許へ――」ダメージは5点。さらに連撃で7成功、ダメージは6点です。
GM:ぐぁ…ツインテールが落ちた。ショートヘアとロングヘアの堕天使2人が、末妹が落とされて慌てだし、落下するツインテールをガッシとキャッチ! そのまま逃走に入ります。
ジャバール:何? まだ"引く"敵なのか? まぁ逃げてくれるならありがたいが(笑)
ルージュ:もう針は厳しいですしね(笑)
アーレン:ハーディアの部下じゃなかったのかな?
GM:では赤い3姉妹は末妹のツインテールを抱えて退場します。そしてハーディアの番です。
アーレン:来い!
GM:<蛇尖>で【霊合】使って牽制で攻撃(コロコロ)……9成功!――「今度はこっちから行かせて貰おう」
アーレン:防御は(コロコロ)……4成功。
GM:ダメージは3点。続けて牽制(コロコロ)……8成功、ダメージは8点。
アーレン:防御で……4成功。
GM:【闘戒】で3連撃目(コロコロ)……渾身の6成功!
アーレン:防御(コロコロ)……堕落ポイント使って6成功! 獣甲の渾身は嫌だ!――「ハーディア、キミの腕こそ鈍っているんじゃないのか」
GM:おのれ止められたか! だがハーディアの背中から3匹の赤い甲虫が飛び出してくる――「言ってくれるな」
アーレン:甲虫?
ジャバール:その獣甲は!!……くっいやらしい奴だ! <紅残滓>か!
GM:さぁジャバールです。
ジャバール:牽制でハーディアに(コロコロ)……5成功! 4点ダメージ!
GM:カウンター(コロコロ)……7成功、5ダメージなので合計9点ダメージをジャバールへ!――「野暮な事はするな!」
ジャバール:「例え野暮だろうと卑怯だろうと、目の前の仲間を救う事を恥じだとは思わん!」

GM:次のターンです。
アーレン:「先生……少しの間、お願いします! はあああああ!!!」――【檄吼】使って終了!
ラティ:私は待機します。
ルージュ:テリアカで(コロコロ)……10点気力が回復です。
GM:「アーレン、その余裕が命取りだ」――と、まず3匹の甲虫がラティに襲い掛かります。
ラティ:甲虫がこっちに!?
ジャバール:「しまった! ラティを狙うか!」――その甲虫は言わば自立型自動砲台…ファンネルだ!(笑)
GM:渾身の4命中です。
ラティ:(コロコロ)……5成功で回避した! 空中戦を繰り広げました(笑)
アーレン:「余裕じゃないさ、ただ、皆を信じているだけだ」
GM:「ふん、そんな心…踏み砕いてくれる! お前の大切な者達を殺す事でな!」――<灰撃掌>でジャバールを攻撃(コロコロ)……渾身の6成功!
ジャバール:いきなり渾身かい! 防御で(コロコロ)……回避した!――「信頼には答えないとな(にやり)」――今度はこっちだ。「クー!!」
クー:『おっけー! カバのおっちゃん!』――プラス3つね!
ジャバール:牽制でハーディアに(コロコロ)……6成功!
GM:「くっ…」(コロコロ)……6で防御、ギリギリかわしました。
ジャバール:今回はこれで止めておこう。
ラティ:私は黒沙の<悪意は影から掴む>を発動します。設置して終了です。
GM:では次のターンです。
アーレン:【霊合】使って牽制(コロコロ)……7命中の5点ダメージ!――「ハーディア、キミに僕の刃は避けられないよ」
GM:「ああ、避ける必要などないさ」――カウンター(コロコロ)……7成功だから失敗した…11点も食らってしまった!?
アーレン:2連撃目(コロコロ)……普通で5命中の13点!
GM:おのれ! 今度こそカウンター(コロコロ)……4成功で失敗!? 痛いぞまずい!――「な、なに!?」
アーレン:「無理だよハーディア、僕はキミの思っているよりずっと成長したんだ」(コロコロ)……渾身で8命中のダメージ13点!
GM:もうカウンターしない(コロコロ)……防御の4成功――「ぐっ!」
アーレン:「だから……」(コロコロ)……渾身で3命中! あ、やばい(笑)
GM:よし! カウンター!(コロコロ)……2成功!?――「な、なぜ!?」
アーレン:合計ダメージは17点ですね。
GM:き、きつい……「そんな、俺が見切れないだなんて! 俺はザイナヴ様から力を…どうして!!」――血だらけになりながらも、まだ立ってます。
アーレン:「ハーディア、もうやめるんだ。キミの頼っている力はキミを助けてなんてくれない! 本当の力はそんなものじゃないんだ!!」――終了です。
GM:くっそ〜もうアーレンは諦めた! せめて一人は道連れにしてやる!
ラティ:私は待機です。
ルージュ:<放つ葬る炎>をハーディアに(コロコロ)……7成功です――「アーレンには本当の力があります。そして本当の助けも」
GM:「うるさい! ウルサイ! 五月蝿い!!!」――飛んできた炎のナイフは【魔業】でキャンセル! 跳ね返す!
アーレン:魂装士の魔術反射闘技か!
ルージュ:「私に!?」(コロコロ)……<精神抵抗>失敗。黒い炎に自分が焼かれて膝を付きます。――「うう……」
GM:「アーレン! せめて後悔しろ! お前は何も変わっていない! 誰も救えやしないんだ!」――ラティに甲虫が渾身で4命中! ダメージは12点!
ラティ:来ると思いました。その瞬間さっき設置した<悪意は影から掴む>を始動します。甲虫は空を飛んでいるみたいですが、それを操っているハーディアさんは地面に足がついていますよね? それが発動の条件なので。
GM:ハーディアは地面に足がついています。地面から現れる黒沙の腕に、ハーディアの制御が一瞬乱れて<光残滓>の起動がそれる!(コロコロ)……<精神抵抗>にも失敗!? なぜか黒い腕に締められてダメージを食らってしまった。ダメージも9点に減ってしまった。
ラティ:カウンター魔術ですから。防御がクーのボーナスを足して(コロコロ)……8点防いだ。1点だけ通ります。
ジャバール:いや、今のはまずいぞ。
ラティ:え?
ルージュ:さっきの会話の流れからハーディア本体もラティに来ます!
GM:その通り! ハーディアの肩から<哭砲(鋼旋獣)>でラティへ! さらに【魂装・撃】で渾身(コロコロ)……7成功! さらに【烈闘】も使って8命中!
ジャバール:本気か!?
アーレン:「ラティ!!」
ラティ:回避(コロコロ)……駄目、避けれない!
ルージュ:「ラティさん!?」
ジャバール:「ラティ! 邪霊の囁きに耳を傾けてもいい! とにかく避けるんだ!!」――使ってる弾の<鋼旋獣>はダメージ修正がやばすぎる!
ラティ:……駄目、2点しか残ってないから完全回避を狙うと10点を越えちゃう!
ジャバール:なんだと!?
GM:ダメージは21点です。
ラティ:最初に不意打ちにさえ気が付いていれば……死亡しました。
ルージュ:ああ、ラティさんを最初に回復しておくべきでした!?
ラティ:生命力がマイナス17です。
アーレン:「ラティ駄目だ! ここで死ぬんじゃない! まだ自由になって1年じゃないか!」
ラティ:「う…ん……」
ジャバール:さぁ振るんだラティ。−17なら【強靭力】で必要達成数4だ。あとはお前次第だ!
ラティ:GM、クーの援護をこの判定に使ってもかまわないでしょうか?
GM:う〜ん。本当は駄目だけど、このままじゃ死んじゃうし今回だけ許可します。
ラティ:助かります(コロコロ)……1成功!? これでは堕落ポイント使っても届かない(泣)
アーレン:「ラ、ラティ…?」――駆け寄ります!
ラティ:アーレンの手の中に倒れていいですか?
GM:いいですよ。ハーディアもわざわざ攻撃しては来ません。
アーレン:「ルージュ! なんとか…なんとかならないの!?」
ルージュ:静かに首を振りましょう。
アーレン:「ラ、ラティ……」
ラティ:「アーレン……あり…がとう…この1年間ずっと……楽しか……った…よ――」
アーレン:「くっ………………」
ジャバール:「………………」
ルージュ:「………………」
GM:「アーレン、お前は昔と何一つ変わっていないんだ。お前には誰も守る事なんてできやしない」
アーレン:「よくも……よくも……くっそーーーー!!! ハーディアーーーーー!!!!」――【魂装・撃】【復技】【影刃】……初撃牽制7命中、追撃牽制11! 3連通常10! 4連渾身8! 最後に【終刃】渾身の7命中でダメージは7点、10点、15点、18点、18点だ!!!
GM:それでハーディアも終わりだな――「グフッ!?……アーレン……苦しむがいい……己の未熟さ無力さを……お前に力なんてありはしないんだ……」

◆8.悲しみの旅立ち

美食の街ドータは人々の手によって崩壊した。非認識の呪いが払拭されると共に……。
街の上に浮かんでいた幻鏡域も魂装刀士含むとある享受者達が入った後、突然消滅してしまい。いまや何も残ってはいなかった。
夕日が廃墟と化した街を染める頃、その魂装刀士は手に残った漆黒の羽だけを握り締めていた。
GM:場所はすでに人のいなくなったドータの廃街跡です。
ジャバール:「………………」
ルージュ:「アーレンさん……」
アーレン:「僕は昔"力"が無かった。だから親友を助ける事ができなかった……でも、今だって僕はラティを助けてあげる事ができなかった……やっぱり僕には…"力"が足りないのかな……」
ジャバール:「アーレン、お前自身も言っておったではないか、本当の力などそんなものではないと」
ルージュ:「そうです。ここにいるわたくし達が、アーレンさんが手に入れた本当の力じゃないですか」
アーレン:「でも僕は!?」
ジャバール:「なら諦めるのか? ラティをこのままにしておくのか?」
アーレン:「………………」
クー:(←基本的にラティのPL)『ねぇアーレン、ラティはどうなっちゃうの? もう一緒にいられないの? クーそんなの嫌だよ!』
アーレン:「僕も嫌だ……だから助けに行こう。今度こそ……今度こそ僕が助けに! このジャハンナムはゲヘナに繋がっている。きっとラティを救いにいけるはずだ」
GM:うむ。それは可能だな。凄い危険だけどね。
アーレン:「危険な事はわかってる。でも、それでも僕は行く。クー、キミも一緒に行くだろ?」
クー:『うん!』
アーレン:僕は≪妖霊使役≫を1レベル取ります。クーも連れて行きます。
GM:かまいません。術技ポイントさえ払ってくれれば。
ジャバール:「人を生き返らせる術…反魂……覚悟はいいなアーレン。地獄の亡者どもの中から救うのだ、並大抵の事じゃないぞ」
アーレン:「わかってる。……だから、先生ともルージュとも一緒に旅をできるのはここまでです。今までありがとう」
ルージュ:「アーレンさん」
アーレン:「ここからは僕だけで行きます。二人を巻き込むわけにはいかない」――そう言って旅立ちましょう。
GM:じゃあクーはそれに付き従って行くのかな。
ジャバール:ではわしは、アーレンが歩きだしたのを見て――「ルージュ、お主はどうする?」
ルージュ:「私は……当初の目的通り、言論都市ウァスに向かいます。誰かが魂込めの儀式を準備しなくてはなりませんから……信じていますよ。お二人ならきっと彼女を連れ帰ってくると」
ジャバール:「……ああ、そうだな」
ジャハンナムと呼ばれる地獄では、常に死が隣り合わせであった。しかし人々は生きている。なぜなら人間には本当の力があるからだ。決してあきらめない力……希望という力が――

「どうして先生まで付いて来るんです!? 僕はこれからめっちゃ危険な――」
「みなまで言うなアーレン。それともわしは足手まといとでも言うのか?」

「………………ありがとう先生。 行こうクー、先生! 例えここが地獄であっても!」
ゲヘナリプレイ     
『決別と死別悲しみの旅立ち』 了

◆ゲヘナ幻鏡域と非認識の呪い反省会

GM:ではお疲れ様でした。今回は幻鏡域と非認識の呪い、なによりアラビアン"ダーク"ファンタジーを目指してみました!
ジャバール:ダークと言うか……。
ラティ:気持ち悪かった〜〜。
ルージュ:人によっては好き嫌いが激しいシナリオですよ。
GM:まぁそんな感じは作った時に感じたのですが、非認識の呪いの異常性を表現するには、これが一番かなぁと。
アーレン:確かに非認識の呪いだった。ここが地獄(ゲヘナ)だって事が再認識された感じだったよ。
ラティ:うんうん。
ジャバール:しかし幻鏡域はこの前のフィサールの迷宮と変わらんな。なんでもアリだ。
GM:なんでも有りです。迷宮がダンジョンなら、幻鏡域はまるまる別の街や地域が入っている感じですね。しかし、よくシェヘラザートに気が付きましたね。コラムだけで説明するつもりで登場させたのですが……。
ルージュ:ダイス目が良かったので(笑)
ジャバール:まさか最大の敵だったとはな……良く考えると、あいつがあそこにいたのも、わしらの身に起こる運命の前触れだったのかもしれんな。
アーレン:ラティが……。
ラティ:実は幻鏡域に入るときに聞いた4行詩は、不意打ちに気をつけろって意味かなぁとは思っていたのですけど……ついつい忘れて油断してました。
ルージュ:あの不意打ちさえなければ堕落ポイントも残って、生きていたのですけどね。
ラティ:はい。
ジャバール:まぁなんだ。やはり4行詩は注意した方がいいって事だな。
アーレン:しかし、これから僕達はどうするのでしょうか?
GM:それはそれ、物語は続くから(笑)
ラティ:みんなが迎えにきてくれる日を信じて地獄で待ってます(笑)
ジャバール:なんかその言い方怖いな(笑)
ルージュ:がんばってくださいねアーレンさん、カバールさん(笑)
GM:それではこんな所で、感想戦も終了と致しましょう! 今日はお疲れ様でした〜〜!

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