TOPリプレイ ⇒ゲヘナ〜アナスタシス〜                    戻る



百年の虚読キャンペーンリプレイ

最新作



――今から20年ほど昔――

瓦礫の都シェオール。
かつてラスマーン王が支配した夢の跡。

その付近に存在する"とある遺跡"の最奥で、
裏切りの刀士は、愛用の冥獄刀で敵の魂を喰らい尽くした。
重厚な冥獄刀の刃に貫かれた敵――先ほどまで仲間だった天使――は、
その全てを刀に喰われ、ゲヘナに飛ぶ事さえなく魂を消滅させられる。

魂の消滅。

それは反魂さえ意味をなさぬ、ゲヘナにおける完全なる……死。




「……ーーー!!!!」

遺跡内に声にならない獣人の雄叫びが響き渡る。
一瞬で獣甲を起動させた獣人が、渾身を込めて剣椀を刀士へと振るう。
刀士は華麗な身こなしで受け流すと、流れるように部屋の中心へと降り立った。
必殺の一撃をかわされた獣人は、踏み込んだ足で強引に体を止めると、
そこを軸に超重の二撃目を射ち放つ!

――ズガガガガガガッ!!!

刀士はそれを予期していたかのように、冥獄刀の腹で全ての弾丸を受け止めた。
しかし、弾丸の雨は刀士の予想を超え、やがて――

「ッ!?」

刀士の体が弾丸の物量と重さに耐え切れず、その体ごと壁際まで吹き飛ばされる。
獣人はすぐに撃つのを止めると、剣椀でトドメを刺すべく距離を一気に縮める。
しかし、
刀士は壁に激突する瞬間、体を回転、慣性のまま着地するとそのまま壁を蹴り疾駆。
駆け込んできた獣人の剣椀と、壁を蹴った刀士の冥獄刀が重く硬い音を響かせる。


それから数合。


両者の実力は拮抗しており、刀士と獣人は数瞬で血まみれになっていた。
獣人がダラリと下がった右腕を押さえ、鼻息荒く刀士を睨みつける。

――このまま戦い続ければ、必ずどちらかが命を落とす――

獣人の額に汗が流れ、血と混ざる。
違和感を感じた。

相手の刀士、その瞳に一切の迷いが無かったから……。
底知れぬ不安。

自分はこんなにも危機感を感じていると言うのに……。
そして、

それは的中する。 刀士は冥獄刀を一振りすると、足元より現れた黒き闇がその身を包む。
一息後、


霧が晴れるように闇が消えれば、そこには無傷の刀士が立っていた。
ありえない光景に獣人が目を見開き、長期戦は危険と即断。
力を溜め最後の一撃を剣椀に賭ける。
同時、
刀士は紙一重でその攻撃をかわし、そのまま獣人の勢いを利用し切り返す。
切り裂かれる音と、ひしゃげる音、真っ赤な血が噴出す音が嫌な多重奏をかなで……――
――……獣人は倒れた。
刀士は冥獄刀を腕にしまうと、そのまま部屋の中央に安置されたソレを手にする。


「鍵は……手に入れた……」


僅かな時間が経ち、
獣人が意識を取り戻すと、刀士が部屋から出て行く所だった。
その背中を見て獣人が息を呑む。
そこにあったのは、
見慣れているはずの背中では無かった。
見ず知らずの他人……今は、そうとしか思えない。



その後、
ジャハンナムにおいて"最強なる者"の称号を得るその獣人は、
全てを飲み込み、
声を発した。


それは……愛する者を失った慟哭か、
友である刀士の裏切りに対する激昂か……。




「なぜだ……なぜ裏切る! ……アーレン!!!」



かつて、砂漠にシェオールと呼ばれる都市があった。

栄華を極めたその都市は、邪神イヴリスと1人の人間が抱えた怨念により、

死者の世界……地獄へと落ちる事となる。

数百年後……現在。

都市と共に、生きたまま地獄へ落ちた人間たちは、今だその活力を失ってはいなかった。

人々は地獄の底で、自分達の生活圏をジャハンナムと呼び、

そして、その他の非生活圏である地獄の事をこう呼んだ――

"ゲヘナ"――と。
  百年の虚読キャンペーンリプレイ

待望の新シリーズがついに登場

  <システム:ゲヘナ〜アナスタシス〜>

  近日公開決定


  ゲヘナ〜アナスタシス〜

リプレイ



幻想刀士伝



かつて、砂漠の大国シェオールに1人の吟遊詩人が訪れた。

彼の名はフィサール。

異貌の美と異端なる詩、そして全てを超越した才能。

天才と謳われた彼の者は、けれど決して人々に理解されず、孤独だった。

そんな悲劇の青年に、やがて1人の理解者が現れる。

唯一の理解者である少女を得た青年だったが、その幸せはすぐに崩壊する。

少女は妖霊であり、そしてシェオールの王ラスマーンが寵姫の、1人だったゆえに……

かくして、青年は王の呪いを受け百年に及ぶ生き地獄を見る。

邪霊の王、イヴリスの囁きに耳を貸す、その時まで……


〜幻想刀士伝〜

第1話『夢は地獄で目を覚ます』



――20年後……現代――

森の中をその少年は彷徨っていた。
ここがどこで、なぜここにいるのか……少年には全てが曖昧で夢の中を歩いているようだった。
ドサリ……。
力尽き、前のめりに倒れる。

このままでは死んでしまうのでは……?

消えかかる意識のもと、少年はふとそんな事を考える。
このゲヘナにおいて、行き倒れが行き着く終着点は無残な死に他ならない。
なぜなら、この魔物が俳諧する砂漠において、1人で旅をする愚か者はいないから。
しかし――


「ちょっと! あなた大丈夫!?」 その少女との出会いが、少年の運命をどれほど変える事になるのか……。
少年は今、新たなる伝説の一歩を踏み出す。


1人の少年が地獄で目覚める。その地の名はゲヘナ。

かつてフィサールの呪いにより、地の底へと封じられた世界。

少年は少女と出会い、地上を目指す。

「フィサールの石版を集めなさい……それがあなたの未来……」

謎の占い師が言葉を残す。

フィサールの石版とは、少年の進む未来とは!?



邪霊の囁きが、キミを現実にする。


TOPリプレイ ⇒ゲヘナ〜アナスタシス〜                    戻る