TOPリプレイ ⇒ ゲヘナ〜アナスタシス〜                    戻る

アラビアン・ダーク・ファンタジーRPG
ゲヘナ〜アナスタシス〜

――かつて、砂漠の大国シェオールに1人の吟遊詩人が訪れた。
彼の名はフィサール。異貌の美と異端なる詩、そして全てを超越した才能。
天才と謳われた彼の者は、けれど決して人々に理解されず……孤独だった。

――そんな悲劇の青年に、やがて1人の理解者が現れる。
唯一の理解者である少女を得た青年だったが、その幸せはすぐに崩壊する。
少女は妖霊であり、そしてシェオールの王ラスマーンが寵姫の1人だったゆえに……

――かくして、青年は王の呪いを受け百年に及ぶ生き地獄を見る。
邪霊の王、イブリスの囁きに耳を貸す、その時まで……

――幻想刀士伝――

第一話 夢は地獄で目を覚ます


◆キャラクター作成

GM:それでは新しくなったゲヘナ〜アナスタシス〜のリプレイを取ります!
一同:『お〜〜!』(パチパチパチ)
GM:さて、まず最初にゲヘナの世界観の説明から入らないと駄目ですね。
プレイヤーC:え、そうなの?
GM:うむ、キミは前に虚読でやった『魔装刀士伝』(HP『百年の虚読』掲載のゲヘナリプレイ)にPL参加しているけど、残り2人(プレイヤーAとB)はやってなかったからね。
プレイヤーA:宜しくお願いします。
GM:まぁ簡単に言って、かつて存在したアラビアンな砂漠の国が、1個丸ごと地獄に落とされました。しかし、人間はその地獄でもたくましく生きていました――って世界。イメージ的にはアラビアンナイトの雰囲気だと思ってくれれば良い。
プレイヤーA:了解です。
プレイヤーC:で、GM。この質問はしとかないといけないと思うんだが、初期のゲヘナからアナスタシスになって、具体的には何が変わったの?
GM:大きく変わったのは成長の仕方と術技LVの計算方法かな? まぁその辺はおいおい説明するとして……基本的には闘技や術技などのバランスが良くなってる。世界観的には初期のゲヘナから20年ほど世界の時間が進んでいる。
プレイヤーC:なんと! 20年も経っているのか……。
GM:だからって気にする必要は無いけどね(笑) さぁ、とりあえずキャラクター作成に入りましょう。
プレイヤーA:えっと……何から?
プレイヤーC:まずは種族決めかな。
GM:そうですね……種族は[人間]と[天使]。神を見限り堕天した[堕天使]。地獄に落ちてから生まれるようになった突然変異種[銀糸の民]。そして、地獄へ落ちるきっかけを作ったフィサールという人物の妄想から生まれし[獣人]がいる。ちなみに[獣人]には肉食・草食・小動物の3パターンがあります。
プレイヤーA:人間かなぁ……性別は男で。
GM:人間はどんな術技にも応用が利く、汎用性が高い種族だ。
プレイヤーA:戦士系で行きたいので、問題は無いですね。
プレイヤーB:私は銀糸の民の女性にします。
GM:儚げで美しい外見で、「魔術耐性」「魔術適正」という魔術に対する抵抗力と行使力が元から高い種族だ。
プレイヤーC:昔みたいにひ弱だったりするの?
GM:いや、種族特徴に不利な特徴はなくなったからアナスタシスからは気にしないで良いよ。
プレイヤーC:そうなんだ……じゃあ俺は天使で行くかな。空が飛べる「飛行」以外に、何か特徴増えた?
GM:天使は「反応修正」という<舞踊>や<交渉>時に達成数が1点上昇する特徴が追加されたね。ちなみに堕天使だと「反応修正」の代わりに、「機動戦闘」という急降下攻撃をして命中値を1点上昇させる特徴になる。 プレイヤーC:次は≪術技≫かな?
GM:そうです。で、ここで重要になるのがルールブックの表「前提能力値一覧」です。
プレイヤーA:???
GM:とりあえず順に説明します。まず種族を決定した時に、「基礎能力値」と「能力値ポイント」というのがありましたね?
プレイヤーA:はい。基礎能力は【筋力】【強靭力】【敏捷力】【感覚】【精神力】【知力】が全て1って書いてあって、[能力値ポイント]は14って書いてあります。
GM:その14って言う「能力値ポイント」を好きに割り振って下さい。それがキャラクターの能力値になります。最大値は5で、最低は0です。
プレイヤーA:0? 最低でも1ですけど?
GM:選ぶ種族によっては【強靭力0】とかもいるので。そして選ぶ≪術技≫には「前提能力値」が設定されており、キャラクターの能力値がその条件を満たす必要があります。例えば刀で戦う≪刀術≫なら【筋力4】【敏捷力5】って表にあるように、能力値がそれぞれ4と5を超えている必要があります。
プレイヤーA:なるほど、つまりその「前提能力値」の条件を満たすように「能力値ポイント」を割り振れば良い……と。
GM:そういう事です。ちなみに条件さえ満たせば、いくつ≪術技≫を重ね取りしてもいいです。
※解説1 「術技」
こういった解説において、今回プレイするゲヘナ〜アナスタシス〜の説明を補助的に入れていきたいと思います……まずは≪術技≫について。≪刀術≫は銘刀と呼ばれる特殊な刀を使う主人公向きな剣士、≪魂装術≫は武器に霊を憑依させ戦うテクニカルな戦士、≪獣甲術≫は身体に獣甲と呼ばれる生体兵器を移植して戦う重戦士、≪暗殺術≫は隠し武器である暗器と特殊な魔薬を併用する軽戦士、≪愧拳術≫は素手で戦う格闘家、≪炎術≫は破壊の黒炎と癒しの白炎を操る魔術師、≪邪眼術≫は邪眼と呼ばれる視線に魔力を込め敵を呪う呪術師、≪神語術≫は神の言葉を操り抵抗不可な魔術を行使する魔術者、≪黒沙術≫は悪意の砂である黒沙を使いトラップ魔術を行使する魔術師、≪妖霊使役≫はパートナーの妖霊を使役する術であり、妖霊によって様々な事ができるようになる術です。
GM:――と、そのほかに実体ある幻を召喚できる≪幻鏡術≫、いろいろできる≪雑芸芸術≫があります。
プレイヤーC:≪幻鏡術≫はともかく、≪雑芸術≫のいろいろってなんだ?
GM:刀で舞いながら戦う≪雑芸術:ソードダンサー≫、一人用座空(空飛ぶ絨毯)に乗り戦う≪雑芸術:座空乗り≫、魔法の壷を使い炎や毒を吐く≪雑芸術:火吹き≫、空飛ぶ動物と連携して戦う≪雑芸術:鷹匠≫、投擲武器の専門家≪雑芸術:ジャグラー≫だね。雑芸術もアナスタシスで追加された術技で、これは特殊で「前提能力値」が無いので、誰でも取得可能です。
プレイヤーC:なるほどねぇ…ちょっと迷うなぁ(笑)
GM:術技が決まったら、その選んだ術技の【闘技】や≪術技≫を合計で4つ選んで下さい。これは1つの技を4つ重ねて取って【瞬閃ランク4】とかにしても良いし、全てをランク1ずつバラバラに取るのも可能です。
プレイヤーA:どうしよっかなぁ〜。
プレイヤーB:私は魔術系が良いし≪神語術≫と何かもう1つにしようかな……。
GM:≪神語術≫はすっごい強いけど、消費気力が大きいのがネックだね。
プレイヤーB:気力の消費が安いのは無いのですか?
GM:≪炎術≫か≪邪眼術≫が比較的安いかな。
プレイヤーB:そっか……その邪眼って言うのは額にある必要があるんですか?
GM:好きにしていいです。TRPGだし。
プレイヤーB:じゃあ≪神語術≫と≪邪眼術≫にします。前提を満たすように振り分けて……――
プレイヤーA:あ、GM。俺は刀とか使いたいんですけど……≪刀術≫で銘刀以外って良いのですか?
GM:いや、銘刀を使うから≪刀術≫なのであって……普通の刀が良いなら≪雑芸術:ソードダンサー≫が良いんじゃないかな?
プレイヤーA:そっか……じゃあ≪雑芸術:ソードダンサー≫と、≪魂装術≫にしようかな。
プレイヤーC:銘刀以外の刀で行くなら、≪黒沙術≫で刀を作るのも良いと思うぞ? ≪黒沙術≫は黒沙で好きな武器を作れるしね。
プレイヤーA:あ、そっちの方が面白そう……やっぱ≪黒沙術≫と≪魂装術≫にします。決定!
GM:了解。
プレイヤーC:その≪魂装術≫は武器の種類によって使用可能な【闘技】と不可能な【闘技】があるから、≪黒沙術≫で武器を状況によって作り変えて戦うとベストだ(笑)
GM:本気でテクニカルな戦士になるなぁ……そんなプレイヤーCは?
プレイヤーC:前衛と後衛が1人ずつだから、遠距離が可能な前衛……≪暗殺術≫と≪炎術≫にしよう。

GM:次は技能ですね。まず戦闘技能として<防御1LV>か<避け1LV>、そして<精神抵抗1LV>を自動取得します。次に取得した≪術技≫のうち1つを選んで、それに対応する<一般技能>をルールブックの表を見ながら書き写して下さい。
プレイヤーB:≪邪眼術≫を選択、対応するのは<感覚鍛錬2LV>と<危険予知1LV>……かな?
プレイヤーC:これって固定なの?
GM:応相談で他の技能と入れ替えは許可します。
プレイヤーC:了解……じゃあ俺は――……

GM:
最後に、取得した≪術技≫に対応した専用アイテムをタダで貰えます。それ以外は1,000Di(ディール)以内で装備品やアイテムを買い揃えて下さい。あとは名前などのパーソナルデータを決めて終了です。

◆キャラクターの成長

GM:さて、普通ならここで本編開始なのですが、せっかくキャラクターの成長が大きく変わったので、それを説明がてらLVを上げちゃいましょう。
プレイヤーA:えっと……どういう事ですか?
GM:簡単に言って、2回ぐらいセッションを重ねたキャラクターでキャンペーンを始めようと思います。
プレイヤーC:おお、それは良い! どれぐらい強くなるか解らないけど、LVが高くなるのは良い事だ(笑)
GM:(その分敵も強くなるけどね……)
プレイヤーC:ん?
GM:いやいや(笑) ではまず1回のセッションを終えると、そのキャラクターには「総ランク」を3つ上昇させる事と「フリーポイント3点」を獲得します。
プレイヤーA:総ランクって?
GM:総ランクはキャラクターの取得している【闘技】と≪魔術≫の"ランク"の合計数。今はみな初期作成のままだから総合ランクは「4」になるね。
※解説2 「総ランク、合計ランク、術技レベル」
  [総ランク]が全ての【闘技】・≪魔術≫ランクの合計値なのに対し、それぞれの術技ごとに取得した【闘技】・≪魔術≫ランクの合計は[合計ランク]と呼びます。(例えば【魂装・撃】1ランクと≪黒い腕は死を運ぶ≫3ランク、≪黒い指先は巧みに蠢く≫1ランクの場合、≪魂装術≫の合計ランクは1、≪黒沙術≫の合計ランクは4になります。また、それぞれの術技は合計ランクが「1〜2」だと術技レベル1、「3〜7」だとレベル2、「8〜19」で3、「20〜34」で4…となります。(先程の例で説明すると、≪魂装術≫の術技レベルは1、≪黒沙術≫の術技レベルは2になります)。
GM:って感じかな。
プレイヤーC:とりあえず、総ランクが3つ上がるって事は、【闘技】か≪魔術≫を3つ伸ばして良いって事か。
GM:その通りです。あと、総ランクが10、20、30になった時は、特別に種族ごとに異なる成長ボーナス(生命力+5や気力+8など)があるから、それも頭の隅に入れておいて下さい。
一同:『りょうかーい』
GM:さて、次は「フリーポイント」。これはルールブックの箇条書きのように、生命力の上昇、気力の上昇、戦闘技能の上昇/新規取得、一般技能の上昇/新規取得に使うポイント。1ポイントにつき1つだけ選択可能だけど、生命力と気力は最大で2ポイントまでしか1度に使用不可能。戦闘・一般技能については1度に1ポイントまでしか使えないので注意して下さい。
プレイヤーC:つまり一点特化で上げていくのは不可能って事か。
GM:そういう事。それじゃあこの成長を2回行って下さい。

一同:
(もくもくと作業し……)

GM:さて、完成しましたね?
プレイヤーC:もちろんだ!
プレイヤーA:たぶん、あってると思います。
プレイヤーB:さぁ始めましょう♪
GM:いや、もう今日は遅いので帰ります。
一同:『えええええ!?』
GM:しょうがないじゃないか!(笑) その代わり、次の本番までに各自背景や設定を打ち合わせましょう。今回のゲヘナ〜アナスタシス〜は、『魔装刀士伝』と違って世界観を多少は壊しても良いだろうって気概で行くので、好き勝手な設定作っちゃっても良いし。
プレイヤーA:え、いいの?
GM:せっかくのキャンペーンだしね。個人的には『魔装刀士伝』よりキャラクターの背景をシナリオに絡ませたものにしたいと思っているんだ。ってなわけで、あとはネットの世界で打ち合わせよう(笑)

◆それは享受者

そして日は改まり、再び一同に会する4人。
内訳は、ワクワク顔のPL3人と、戦々恐々としているGM1人であった。
GM:さて、ついに本番が来ました。……はぁ。
プレイヤーB:なんで溜め息なんですか(笑)
プレイヤーC:そうだぞ、もっとテンション上げてくれないと!(笑)
GM:くっそ〜楽しそうだなぁ。こっちは3人の設定を入れつつ試行錯誤だったってーのに。
プレイヤーC:う〜む、まぁそうだな。大変だったと思うぞ(笑)
プレイヤーB:あれ? Cさんも自信作の背景ですか?
プレイヤーC:ああ。『それやっちゃって良いの?』っていう背景だ。
プレイヤーB:ふふふ、私も負けませんよ? 『それは反則でしょ?』って言う設定を決めました。
GM:フッ…(遠い眼)。
プレイヤーC:大した自信だな。では発表は先に譲ろう。
プレイヤーB:いえいえ、Cさんこそお先にどうぞ?
GM:キミ等はいったいなんなんだ。誰が先でも変わんないでしょうが。
プレイヤーC:いや、後で言った方がインパクトあるし(笑)
プレイヤーB:基本です。
プレイヤーA:えっと……じゃあ、俺から自己紹介しましょうか?
GM:そうだね。宜しく頼むよ。
俺はここでない何処かの出身なのだろう。正直、記憶が曖昧だ。
どうしてここにいるのか、元の世界で自分はどうだったのか……考えれば考えるだけ頭が痛くなる。
しかし、いつかは帰る事になるだろう。懐かしいあの場所へ。
だからこそ、今は生きよう。この地獄のような世界――ゲヘナで。
プレイヤーA:はい、えっと……キャラクター名は藤川時雨(フジカワ・シグレ)、人間、男の高校一年生。16歳です。で、術技が≪黒沙術≫2レベルに、≪魂装術≫2レベルで……――
プレイヤーB:ちょ、ちょっと待って下さい!!
プレイヤーC:まったくだ!
プレイヤーA(以下時雨):はい?
プレイヤーC:『はい?』じゃないだろうが! なんなんだその日本人みたいな名前は!(一同爆笑)
時雨:ええ、日本人です。
プレイヤーC:なんだとぅ!?
時雨:GMと相談して決めました。
プレイヤーC:いやいやいや! GMに言っちゃうぞ? それやっちゃって良いのかよ!!
プレイヤーB:私もですよ! それは反則でしょう!
(一同爆笑)
時雨:……駄目?
GM:いや、もうOKです(笑)。いろいろ思ったけど「有り」とします。ただ、後々の展開はおぼろげなので、日本とは言及せずに記憶喪失って追加設定をお願いしました。
時雨:はい。記憶喪失でジャハンナム(ゲヘナにおける人間の生活圏の総称)を彷徨っているところからスタートします。
プレイヤーB:ありえないです……もう、なんというか……ずるい(笑)
プレイヤーC:俺のキャラ最初に自己紹介しておくんだった……。
GM:うむ、なんか2人が凹んでいるが気にせず進めよう。
時雨:はい(笑) そんなわけで最初は享受者ではありません。セッションが始まってから目覚める……と思います。
GM:まぁ一応、そういうシナリオを組んだので安心して下さい。戦い方は黒沙で武器を作って魂装で霊を憑依させて戦うんだよね?
時雨:そうですね。完全な前衛が俺1人なのでなるべく生命力を上げてみました。その分イニシアティブが最低ですが、そこは諦めです。
GM:キャラクターの信条をお願いします。
時雨:信条は『平和肯定的/退屈否定的』です。
プレイヤーB:ああ、なんか主人公っぽい。
時雨:主人公って言うか……日本は平和だし(笑)
プレイヤーB:そんな理由なんだ(笑)
時雨:退屈否定的っていうのは、退屈な日常がなぜか嫌だなぁって思ってるんです。記憶喪失なのでその嫌悪する理由は思い出せないのですが……もしかしたら、その辺がこの世界へ現れた理由なのかも?
GM:まぁこの世界に出現した理由はキャンペーンが進めば……って事で。

名前:時雨(フジカワ・シグレ)
種族:人間/黒髪黒目で黄色肌な東洋系。
年齢:16(男)
総ランク:「10」
術技:≪魂装術:LV2(合計6)≫、≪黒沙術:LV2(合計4)≫
能力値:【筋力4】【強靭5】【敏捷1】【感覚1】【精神5】【知力4】
生命力:54  気力:25  イニシアチブ:3

戦闘技能:<防御2><精神抵抗2>
一般技能:<裏知識1><魔物知識1><生存1>
闘技:【魂装・撃2】【魂装・斬2】【魂装・纏2】
魔術:≪黒い腕は死を運ぶ3≫≪黒い指先は巧みに蠢く1≫
アイテム:アズラエルの欠片、沙袋、エリクサー×2、革の戦衣

信条:平和肯定的/退屈否定的
説明:波風を立てるのは嫌いな癖に、自分からいざこざには首を突っ込みたがる少年。いつの間にかジャハンナムを放浪しており、過去の記憶が無い。ただ、自分がこの世界の住人では無いのでは……と、ぼんやりと感じている。血生臭い世界に慣れていない……何にでも驚く一般人。一人称は「俺」。



GM:では次の自己紹介どうぞ。
プレイヤーB&C:(お互い顔を見合わせてから)――
プレイヤーB:私から行きます。
プレイヤーC:どうぞ(笑)
プレイヤーB:名前はレン・ラ・エラーヘフ。長いのでレミィと呼んで下さい。銀糸の民の女の子で15歳。
私は由緒ある王族の血統を継いでおり、それ故に狙われている。
親は私が殺されないよう、生まれてすぐにジャハンナム屈指の享受者に私を預けた。――らしい。
というのも、それらの話は全て育ての父である獣人から聞いた話で、もしかしたら作り話かもしれない。
ただ昔から持ってる指輪には、確かに高貴な感じのする紋章が入っていた……。
時雨:おお! アラビアンなお姫様設定!?(笑)
プレイヤーB:(以下レミィ)ええ。もっとも私は疑い半分だけどね。父さんが言ってるだけだし。
GM:まぁどこの王族かは知らないけど、キャンペーンに盛り込むから王女設定だけは本当になるけどね。
時雨:いや、良いよ。なんかアラビアンナイトの姫様って幻想的で美人なイメージあるし(笑)
プレイヤーC:まぁ確かに(笑)
レミィ:う〜ん、でも王女として育てられてないからなぁ……そんなに美人なのかな?
GM:じゃあ化粧とか高貴な格好をすると超美人って事で。普段は享受者然と粗雑な格好をしているから、良く見ないと美人とわからない……とか。
レミィ:あ、それなら良いです。父さんは結構サバイバルな人だから、野宿とか当たり前な生活だし(笑)
プレイヤーC:ところで育ての親は獣人なのな?
時雨:ジャハンナム屈指って事は、どこかの組織のトップとかなの?
レミィ:いいえ。どこにも所属していないフリーの享受者です。ただ、ジャハンナムでは"最強なる者"の称号を得た享受者です。
プレイヤーC:最強なる者? そんなのいたっけ?
レミィ:ほら、ここに――(基本ルールブックp50の名称一覧を開き)
プレイヤーC:ジャバールかよ!!!(一同爆笑)
基本ルールブックの名称一覧にはジャバールの名があり、ジャハンナムでは"最強なる者"という意味らしい。ちなみにジャバールとは旧ゲヘナ版虚読リプレイ『魔装刀士伝』で、最強人気を誇った"かっこいい""カバの"獣甲闘士である。
プレイヤーC:お前……それはズルイって(笑)
レミィ:いえいえ、時雨には負けます(笑)
プレイヤーC:っつーか、そんな設定なら最後に自己紹介しろよ。俺を最後ってイジメか?
GM:まぁ……がんばれ(笑)
時雨:それにしても……なんかレミィは享受者ベテランなイメージだなぁ。
レミィ:うん、父さんから厳しく教わってるから、甘ったれた事言ったら私怒るよ?
時雨:え、怒るの!?
レミィ:信条が『誇り肯定的/弱さ否定的』なの。誇りだけは失うな……と、そして弱いのはその者の責任だ……と。
プレイヤーC:ああ、ジャバールが言いそうな言葉だ。
時雨:やばいなぁ、俺はずっと怒られてそうだ……。
レミィ:大丈夫大丈夫。これでも父さん譲りに世話好きだから、厳しく当たるけど時雨を見捨てたりしないよ。
時雨:本当? いやぁ〜良かった良かった♪
レミィ:調子に乗るな。死ね。
時雨:えええ!?
GM:ところで≪術技≫の紹介を……。
レミィ:ああ、そうでした。神の言葉を操る≪神語術≫と、古き呪いの邪視≪邪眼術≫を両方2レベルで使います。
時雨:第三の目! 邪眼で睨まれるのは怖いなぁ(笑)
レミィ:睨みます(笑) ちなみに邪眼は胸元にある事にしたいです。普段は胸の中央に赤い宝石が埋まっている感じなのですが、魔術を使うときはそれが瞳に変わります。
GM:別に良いよ。前に手の甲に出る邪眼も許可しちゃってたし(笑)
レミィ:じゃあ普段はネックレスをいくつか重ねておいて、赤い宝石を誤魔化しておきます。

名前:レミィ(レン・ラ・エラーヘフ)
種族:銀糸の民/銀髪の美人だが、普段は粗野な格好をしている。
年齢:15(女)
総ランク:「10」
術技:≪邪眼術:LV2(合計6)≫、≪神語術:LV2(合計4)≫
能力値:【筋力1】【強靭0】【敏捷2】【感覚5】【精神5】【知力5】
生命力:27  気力:35  イニシアチブ:9

戦闘技能:<避け1><精神抵抗3><武器戦闘(感)2>
一般技能:<感覚鍛錬2><危険予知1>
初期神語:【音を届けよ3】【かの武器に力を3】【見えざる鍵をかけよ3】【無意味3】
魔術:≪打ち据える瞳3≫≪不運を招く眼1≫≪矢を射抜く眼1≫≪情を奪う眼1≫
≪言の葉の槍よ敵を貫け1≫≪魔術から理を奪え1≫≪身をかわせ1≫≪かの鎧は砕けず1≫
アイテム:神語の写本、邪視の弓、王家の指輪、テリアカ×1、アロー×80、矢筒、革の戦衣

信条:誇り肯定的/弱さ否定的
説明:ジャハンナム屈指の享受者"最強なる者"ジャバールに育てられたせいで、自分に厳しく、他人にも厳しい性格になった……実は王家の血を引くお姫様。ただ、自身の出生には疑問を持っており享受者として普通に生きている。おめかしすれば超美人だが、普段はそれなり。一人称は「私」。



今から二十年前、俺の親であり兄弟であった燐誡は、大抗争に敗北し……消滅した。
他の紫杯連に吸収される仲間もいたが、俺は従わなかった。
仲間と共に在野へと落ちのび、いつか燐誡を復活させるその日まで、生き延びる道を選んだのだ。
今、俺達は「紅牙旅団」と呼ばれている。
しかし、胸の中でたぎる燐誡としての誇りだけは、決して折れてはいなかった。
プレイヤーC:俺の名前はファルカス。外見年齢28の天使男性だ。20年前の大抗争で消滅した紫杯連「燐誡」の生き残りで、燐誡残党を集めて「紅牙旅団」という盗賊団を組織している頭目だ。
レミィ:あ〜…盗賊ね。
プレイヤーC(以下ファルカス):まったく、俺が一番インパクト弱くなってしまった……。
レミィ:ま、まぁ仕方無いって(笑)
ファルカス:術技は≪炎術≫2レベルに、≪暗殺術≫2レベルのどっちつかずだ。戦闘では基本遠距離攻撃だが、前衛に出ても<避け>でなんとか持ちこたえる。回復魔術はしっかり取ったが、防御魔術は取ってないから気をつけて欲しい。
時雨:わかりました。
レミィ:ファルカスさんは、回復があるだけで十分ですよ。
ファルカス:ああ、ありがとう。
GM:それで信条は?
ファルカス:組織肯定的と自己否定的。組織肯定的は燐誡を復活させる事を最優先に考えているって所だ。もう1つの自己否定は、常々自分はリーダーの器では無いと考えている。だから俺より優秀な者が現れれば、いつでもリーダーの座は譲るつもりだ。
時雨:それは部下に慕われそうな上司だ(笑)
ファルカス:たぶん人望はあるぞ。天使だからずっと変わらずに20年過ごしてそうだしな。
GM:確かに。
レミィ:それにしても……今回のキャンペーンは話が大きくなりそうですね(笑)
時雨:謎の王女に滅んだ紫杯連だしね。
ファルカス:いやいやいや、高校生が何を言う(笑)
※解説3 「紫杯連と大抗争時代」
ジャハンナムには享受者達の相互扶助組織"紫杯連<マーリク>"が存在します。この支配連はかつて五大紫杯連と呼ばれており、最大規模の[界螺]、裏社会に顔の効く[鐘杏]、謀略に長けた[燐誡]、地上を目指す[凌渦]、邪霊との関わりを噂される[袈唇]が存在しました。しかし今から20年前、界螺と燐誡の間でいざこざが起き……鉱山都市クスンドの燐誡本部が壊滅するという大事件が起こりました。その火種はジャハンナム中に飛び火し、各紫杯連同士の大抗争に発展……その抗争は10年の歳月を得て沈静化しますが、五大紫杯連の1つ燐誡は消滅してしまいます。故に現在、紫杯連は四大紫杯連と呼ばれています。
名前:ファルカス
種族:天使/サラサラの金髪に碧眼、白い肌。
年齢:28(男)
総ランク:「10」
術技:≪炎術:LV2(合計6)≫、≪暗殺術:LV2(合計4)≫
能力値:【筋力1】【強靭1】【敏捷5】【感覚4】【精神2】【知力5】
生命力:25  気力:38  イニシアチブ:14

戦闘技能:<避け2><精神抵抗1>
一般技能:<隠密1><感覚鍛錬2><危険予知1><拷問1><舞踊1><交渉術1><土地勘1>
闘技:【魔薬・閃3】【暗撃1】
魔術:≪放ち葬る炎1≫≪貫き焦がす炎2≫≪放ち爆ぜる炎1≫≪癒し暖める炎2≫
アイテム:死の戦輪、浸食の手、静寂の足、抗熱、煉熱、テリアカ×1、エリクサー×1、革の戦衣

信条:組織肯定的/自己否定的
説明:20年前は、鉱山都市クスンドにある燐誡本部の孤児院にいる世話役だった。燐誡が大抗争で滅んでからも、燐誡の生き残りを探して「紅牙旅団」なる盗賊団を組織。今も盗賊家業の傍ら、燐誡を復活させるための情報収集に余念が無い。紅牙旅団の仲間達からの信頼は厚い。一人称は「俺」。

◆20年前の決別……

――今から20年ほど昔――

瓦礫の都シェオール。かつてラスマーン王が支配した夢の跡。
その付近に存在する"とある遺跡"の最奥で、裏切りの刀士は、愛用の冥獄刀で敵の魂を喰らい尽くした。
刀士に貫かれた敵――先ほどまで仲間だった天使――は、ゲヘナに飛ぶ事さえなく魂を消滅させられる。
魂の消滅。それは反魂さえ意味をなさぬ、ゲヘナにおける完全なる……死。
愛する者を殺された獣人が雄叫びをあげ刀士に襲い掛かる。
刀士は冥獄刀を構え獣人に向き直り、その激昂を受けて立つ。

両者の実力は拮抗しており、剣戟が数合続く頃には、お互い血塗れになっていた。

だが、刀士は冥獄刀を一振りするとその身を黒き闇が包み込み……一瞬で全身の傷が癒される。
最後の力で襲い掛かってきた獣人を一撃で吹き飛ばすと、刀士は部屋の中央に安置された鍵を手にした。
「鍵は……手に入れた……」
獣人がやっと立ち上がる頃には、すでに刀士は興味を失い部屋から出て行く所だった。
その背中に獣人が叫び声をぶつける。
それは愛する者を失った慟哭か、友である刀士の裏切りに対する激情か。

「なぜだ……なぜ裏切る! どうして殺した……アーレン!!!」

◆その出会いは……

ジャハンナムは人間が住む街以外は砂と岩の荒野が続く。
しかし、魔物が跋扈し天災吹き荒れる場所には、例えオアシスがあろうと人は近づかない。
その森は、そんな極地の1つだった。
GM:では最初はレミィから始めます。
レミィ:はい。
GM:キミは父親のジャバールと共に旅をするフリーの享受者だ。今はとある神語術師が作り出した幻の復活薬を、マホバの街にある界螺支部へ届ける途中だ。
レミィ:じゃあ砂漠を横断中なのかな。
GM:ああ、普通ならそういう道程を辿るのだが、ジャバールは近道しようと一直線に危険な森を突っ切る道を選びました。
レミィ:危険な道をわざわざ!? 父さん(笑)
ファルカス:まぁ"最強なる者"だし、良いんじゃないか?
GM:そうですね。ジャバールと対等に渡り合える魔物は上位邪霊や各紫杯連トップぐらいのものでしょう。普通の旅路じゃ敵はいません。
レミィ:そっか……なら私の修行の為にこの道を選んだのかな。これでも強くなった方だと思うんだけど……父さんを見ちゃうとまだまだって思うしなぁ――場面は夜、焚き火でも見ながら思います。
GM:じゃあジャバールは夕飯を捕まえに行って、まだ戻って来ていない。レミィは1人……と言った所で【感覚】で判定してみて?
レミィ:<感覚鍛錬>は駄目?
GM:ああ、持っているなら使って構いません。
レミィ:なら7個振って……4以下が5つあるから達成値は5!
GM:レミィはぼうっとしながらも、周囲への警戒は怠ってないようだね。少し行った草むらの方で、何かが倒れたような音がした。
レミィ:傍らの弓(邪視の弓)を持って、見に行きます。
GM:そうすると1人の少年が倒れています(時雨を見る)。
時雨:とても変な格好をしています。鮮やかな紺色の上下、上着の内側には白いシャツ。ネクタイは……無くていいかな?
レミィ:それって制服じゃない(笑)
ファルカス:世界観ぶち壊しだ(笑)
レミィ:そのブレザーな服装は無視して、大丈夫か見てみます。
時雨:意識も無く死にそうです。もうこのまま放っておいたらすぐにでも死ぬってぐらい(笑)
レミィ:少し警戒してジッと見てる。ジ〜〜……。
時雨:ピクリとも動きません。
レミィ:………………。
時雨:………………。
GM:……こうして異邦人時雨は放置され、冒険にも出る事無く、その平凡な一生を終えたのだった。
――「幻想刀士伝」(完)
時雨:待って待って! 判定どころか会話すらしてないよ!!(一同爆笑)
レミィ:……しょうがないから、夜営しているテントまで持って行きます。寝かせて傷とか見てみます。
GM:戦った傷があるとかじゃないね。衰弱死って感じです。意識は朦朧としており、しゃべる事もできないようだ。
時雨:助けて〜〜助けて〜〜。
レミィ:今、幻聴が聞こえた気がするけど……。ごめん、≪神語術≫の≪癒しの調べを(キュアウーンズ)≫は、まだ取ってない。だから回復はできない。
時雨:諦めないでくれ〜(笑)
ファルカス:他にもできる事はあるぞ?
レミィ:他に出来ること?………………遺言はある?
ファルカス:違ぇーーー!!!(笑)
時雨:だから殺すなよ(笑)
レミィ:う〜〜ん(真面目に悩み)……えっと、父さんは?
GM:まだ戻ってこない。待っていたらその間に死ぬんじゃないかな?
時雨:死にますね(笑)
レミィ:う〜〜ん……じゃあ、どうしようも無い……やっぱり見殺しにするしか……。
GM:しょうがない、ヒントを出そう。【知力】で判定してくれ。
レミィ:達成値3で成功です。
GM:キミは「復活薬」なるものを運んでいるのを思い出した。
ファルカス:(←頷いている)依頼の品だけどな。
レミィ:そ、そうよ! 依頼の品だから手をつけるわけには……って思って躊躇してたの。忘れてたわけじゃないわ!
時雨:そんな所で赤くなって無いで良いから! さっさと助けてくれ(笑)
レミィ:じゃあ依頼の品である復活薬を……そうだGM、復活薬って1つだけ?
GM:いや、小さな瓶に入ってて3つあるね。
レミィ:その内の1つを持ってきて、少年の口に入れる。
時雨:死の間際なので、自力で飲み込めない。顔を横にするとそのままタラ〜と全てが流れ落ちる。
レミィ:ちょっと!(笑)
時雨:いや、死にそうなんだからソレぐらい有りじゃないか? もっと献身的に頼む。
ファルカス:献身的?
レミィ:(一瞬で理解し)……やっぱ見殺そうかな……。
GM:いやいや、キャンペーン終わっちゃうから(笑)
レミィ:………………父さんはまだ帰ってこないよね? 一応周囲をキョロキョロした後、緊急事態だし……。
ファルカス:何をするんだ?
レミィ:復活薬を口に含んで口移しで飲み込ませます。
時雨&ファルカス:『おおっ!!!』
レミィ:これって絶対にセクハラだー(笑)
GM:ではレミィは"真っ青な"復活薬を口に含むと、口移しで少年にそれを飲ます。時雨は途端、身体中に電気が走るような痛さにみまわれ、その場で目を覚まして良いよ。
ファルカス:もう覚ますんだ(笑)
GM:"真っ青な"液体だからね。死ぬか生きるかの瀬戸際には、人間は火事場の力を目覚めさせるものさ。
時雨:じゃあパチッと目を開ける。
GM:時雨の前の前にはキミと同い年ぐらいの美少女がおり、その少女がキミにキスをしているね。
時雨:えっ? えええ!?――すっごくビビる(笑)――な、なんだよお前!?
レミィ:頬を染めながら横向く――それは、こっちのセリフよ。
GM:と、それと同時に時雨は<生存>で達成値5以上を出してくれ。身体中を言葉では表せない程の激痛が苛む。
時雨:5!? そんなの全成功しないと無理だよ!……失敗!!
GM:じゃあ苦しみ続ける。
時雨:ぐ……あ……ッ……あが……き……――のた打ち回ってます。
レミィ:ええ!? 私のせい? 復活薬ってそういう効果なんですか!?
GM:神語術師が作った新作の薬ですから。
レミィ:もしかして失敗作だった可能性もある?
GM:かもしれない。――と言った所でジャバールが帰ってくるかな。
レミィ:父さんに気がつかず、おろおろしながら時雨を抑えています。
時雨:ひときわ暴れたあと泡吹いて気絶します。それでも身体だけはビクビクと痙攣が続く。
GM:テントの入り口からヌッとカバのでかい顔が入ってきて言おう――「おいレミィ、どうした……なっ! お前……男なんて連れ込んで」(笑)
レミィ:ち、違う! こ、これはその……さっき倒れていたの! 死にそうだったから!
GM:ジャバールはこれでも高レベル享受者だし、だいたい理解しましょう――「そうか……だが、どちらにせよそいつは死ぬな。泡吹いてるし」
時雨:ジャバールさーん(笑)
レミィ:で、でも、依頼の復活薬を飲ませたのに! こんなになっちゃうなんて!!
GM:「依頼の品に手をつけたのか……」
レミィ:だって……目の前でこの子が死にそうだったから……。
GM:「別に咎めはせんよ……ただ、話だと実験前の新薬との話だったからな」――と小瓶を開け、そこに入った真っ青な液体を見るとジャバールは驚きます――「これは!?」
レミィ:え?
GM:「頽廃の果実酒(ザクムのエキス)じゃないか!! 界螺の奴らめ……この儂を謀りおって」
レミィ:ザクムの……エキス?
※解説4 「頽廃の果実酒(ザクムのエキス)」
 衛天使(ザパニーヤ)の死骸を苗床に邪霊の王が育んだ頽廃の樹。その樹になる実から作られる頽廃の果実酒は真っ青であり、それを飲めば聖なる力と邪悪なる力を享受せし超絶能力者"享受者"になれます。しかし、その毒性は恐ろしく高く、自らの血を混ぜ薄めたとしても生き残る確率は五分五分です。
レミィ:どうしよう……青いまま飲ませちゃった……。
GM:「ふぅ……諦めよう」
時雨:おいっ!!!(笑)
GM:「飲ませてしまったものは仕方無い。あとはこの少年の素質にかけよう。もし享受者としての素質が少しでもあるなら、命だけでも取り留めるだろう。こうなったからには……儂らにできる事は何も無い」
レミィ:………………。少年を心配そうに見つめよう。
GM:「レミィ……今は信じるしかあるまい」
レミィ:………………。
GM:「さて……飯にするか」(一同爆笑)
レミィ:ごめん、私は……もうちょっとこの子の様子を見てるから……。
GM:ジャバールはそんなレミィをジッと見たあと、1人焚き火のところで夕飯の準備を始めました。

◆燐誡崩壊の時……

鉱山都市クスンド。ジャハンナム東部を代表するその街には、かつて燐誡という紫杯連の本部が存在した。
  だが、その紫杯連はある事件をきっかけに消滅の運命を辿る事になる……。
  それは、今から20年も昔の話である……――
GM:では舞台は一度20年前の鉱山都市クスンドに飛びます。
ファルカス:俺か。
GM:鉱山都市クスンドは、今、界螺の謀略により獄との扉を開かれ街中に獄卒や邪霊が溢れ出しています。
それはまさに地獄絵図だった。
扉開きし領主の屋敷では、牛頭の鬼が逃げ遅れた召使たちを切り刻み、
空を飛べる邪霊は、塀を越え街へと飛び出し殺戮を開始する。
クスンドに本拠地を置く燐誡は、全力でその排除に当たるも敵の数は一向に減らず増えるばかり。
やがて燐誡のボスであるバジが、実力者を率いて扉の向こうにいる上位邪霊を討伐する決定を下す。
元を断てばこの混乱も収束すると見越しての作戦だった。
ファルカス:バジ様、俺も一緒に行きます!――とか言ってよう。
GM:全身を獣甲で覆ったバジは最終調整をしながら返事をしよう――「ファルカス、キミは来てはなりません」
ファルカス:そんな。
GM:「キミは孤児院の子供たちを連れて逃げて下さい」
ファルカス:しかし!――と、見るとバジ様達突貫組の顔には死相が浮かんでいるんだろうなぁ。
GM:そうだね。バジは決意を込めた目でキミを見て――「私達はたぶん、帰って来られないでしょう……けれど、この街だけは必ず守ってみせます」
ファルカス:バジ……様。
GM:「だからこそファルカス、キミには子供達を託すのです。界螺ばかりでなく、この混乱に乗じて他の紫杯連も動き始めるでしょう。この混乱が収まった後、関係の無い街の住人は良いですが、私達の仲間にはどういった対処をしてくるのか……火を見るよりも明らかです」
ファルカス:それは……確かに。
GM:「1人で決断できる大人は良い。けれど、孤児院にいるのはまだ成人も迎えぬ子供が大半です。混乱が続く今のうちに、キミが皆を連れて逃げるのです」
ファルカス:くっ……――俺はここに集ったベテラン達とは明らかに実力差があるんだ。一緒に行っても足手まといなのも理解している。だからこそ……悔しい。
GM:他の享受者達は、何かを託すような視線をファルカスに注ぎます。まるで――あとは任せた――と言うような視線を。
ファルカス:ぐはっ! 泣きそうだ。そして燐誡の享受者たちカッコイイよ(笑)――わかりましたバジ様。ですが、むざむざ燐誡を、他の紫杯連に潰されはしません。
GM:「……頼みましたよ、ファルカス」――そう言ってバジは拳大の小箱を渡す。
ファルカス:これは?
GM:「[土の棺]と言います。中にはフィサールの石版という秘法が入っています」――初めて聞く名前だ。
ファルカス:フィサールの……石版、ですか?
GM:「五大紫杯連の中でも秘匿にされている存在です。このジャハンナムに6つあると言われています。もしもの時は……頼みますよ?」
ファルカス:……わかりました。
GM:「常に冷静に、そして燐誡の仲間の為に……大丈夫、キミならできます」――バジ達は領主の館へ向かって一陣の風になって走っていく。
ファルカス:少しの間見送って……グッと小箱をしまうと孤児院へ奔る。そして孤児院の子供達を集めて、クスンドを脱出します。
GM:では脱出……しようとした所で、界螺の享受者がキミ達の前に立ち塞がります。
ファルカス:脱出できないのかい(笑)
時雨:(界螺の享受者)『てめぇ燐誡の享受者だなぁ? この落とし前、つけさせてもらおうかぁ?』
ファルカス:なんでチンピラなんだよ(笑)
レミィ:(やっぱり界螺)『おいおい、このガキどもの命が惜しくないってのか? 知ってるんだぜ、てめぇ……さっきバジから何か大事そうなモン受け取っていただろう……出せよ? そうしたら見逃してやるぜ?』
ファルカス:ちっ……付けられていたか……。
レミィ:(界螺)『ほれほれ、早くしろって言ってんだろうが!』――人質に取った女の子とかの顔に刃を。
ファルカス:やめろ……子供達は関係無い――他の仲間って駆けつけてくれそうか?
GM:それどころじゃないから無理だろうね。
レミィ:(界螺)『言ってるのがわからねぇのか!!』――顔に刃が走って頬あたりがざっくり。
ファルカス:おいっ!(笑)――待て!! 解った……[石の棺]はお前達にくれてやる――懐から取り出し、もう片方へ投げよう。
GM:じゃあ人質の女の子は突き飛ばされ、界螺の享受者はどっかへ行きます。
時雨:ええ〜〜行っちゃうの?
GM:行っちゃうの! 行かないと子供達が悲劇で終わりそうじゃないか(笑)
ファルカス:少女の頬を白炎で治療しよう。
GM:ん? それはキミの手を取って拒否する――「いい、あたいは大丈夫。ファルカスの力は、きっとこの後も使わないといけないから……」
時雨:ああ、良い子だ(笑) レミィひでーよ。
レミィ:私じゃない。界螺の享受者だもん。
ファルカス:ここは……確かに言うとおりか。気力を温存する。命に別状が無いなら涙を飲んでもらう――行くぞみんな、俺が誰一人として死なせはしない。だから、泣き言を言わずに……ついて来い。
子供達を連れてクスンドを逃げ出してから20年が経った……。
成長すると共にファルカスの元を離れる子供もいたが、残る子供もいた。
そして、ファルカスの噂を聞き集って来た燐誡の残党達も……。
やがて、ジャハンナムの人々を震え上がらせる盗賊団が出現する。
紅牙旅団……燐誡の志を受け継いだ、享受者達の集まりだった。

◆気がつけば……

さっきまで変な夢を見ていたような気がする……。
少年が目覚めると、嘘のように身体が軽く、どこからともなく力が無限に湧いて来るようだった。
ふと見れば、傍で舟を漕いでいる少女がいた。
GM:では時雨、キミは地獄の苦しみからなぜか解放されます。今はすっきりしており、身体中から力が溢れてくるようだ。
時雨:どうやら乗り越えたらしい……周囲を見るけど?
レミィ:すぐ傍に私がいます。
時雨:キスされたのを思い出す(笑)
レミィ:こいつは……――ああ、今の私はこっくりこっくりと座ったまま寝ています。看病したまま寝ちゃいました。
時雨:じゃあマジマジとレミィの顔を見よう……すっごい美少女な事に気がついてドキドキする(笑)
レミィ:とっても無防備です。
時雨:ドキドキしながら顔をもっと見ようと近づく(笑) でも違う! 俺は純情なんだ! そんな今ならもう一度あのやわらかさを味わえるとか、そんなよこしまな考えは……ドキドキドキ(顔を離しつつ、なぜかレミィの胸に手を伸ばし)
ファルカス:そっちかい!(笑)
レミィ:だ、男子高校生だ……。
時雨:据え膳喰わぬは男の恥って言うし! それにキスしてくれたって事は、俺の事を悪くは思ってないはずだし! ちょ、ちょっとぐらい(笑)
GM:レミィは<危険予知>。時雨は……<手業>で。
時雨:<手業>!!(一同爆笑)
GM:レミィが勝てば触らせる前に起きて良い。時雨が勝ったら触った後に起きる。達成値が同じ場合は受動側の勝利になるから、この場合はレミィが勝ちます。
レミィ:触らせはしない!……あれ? 1個も成功しない(笑)
時雨:【敏捷】は1しかないが……よし、1個成功だ!――おおっ……。
レミィ:ぱっ――と目を覚ますと――キャーーー!!――と悲鳴で一撃!
時雨:派手に吹っ飛ばされる(笑)
GM:「どうしたレミィ?」――テントにジャバールが入ってきます。
レミィ:顔を赤らめ胸を押さえています。
時雨:吹っ飛ばされています――いてて……。
GM:時雨が起き上がると、テントの中に直立歩行のカバがいます。
時雨:カバだーーーーーーー!!!
一同:『カバって言うなーーー!!!』
(一同大爆笑)
レミィ:ず、ずるい……プレイヤーいないのに面白い(笑)
GM:さすが最強なる者(笑)
時雨:か、カバが立ってる!?
GM:「立っちゃ悪いのか」(笑)
時雨:いや、そう言われても(笑)
GM:ジャバールはレミィの状況を見て――「貴様、レミィに何かしたのか」――ポキポキと指を鳴らしながら。
レミィ:駄目よ父さん、暴力はいけないわ。
時雨:お前さっき暴力振るったじゃないか!!(笑)
レミィ:それはあなたが……からでしょ!!!(笑)
GM:「ん? 儂の娘に何かしたのか?」
時雨:娘!? カバが人間生むわけないだろ!!!(一同爆笑)
GM:「ほ、ほう……このジャバールに向かってそのような暴言を吐く輩が、このジャハンナムにまだいようとはな……」
時雨:ジャバール!? 何カバの癖にカッコイイ名前名乗ってるんだよ!(笑)
GM:「んなに、カッコイイのは名前だけじゃないぞ? どうやら少々教育が必要なようだな」――と、時雨の首根っこを捕まえて森の中に消えていきます。



GM:ではジャバールは戻ってきます。
時雨:おみそれしました。
ファルカス:矯正されて戻って来た(笑)
GM:焚き火の前の丸太に――「さぁ座れ。レミィの話じゃ死にかけていたらしいじゃないか。お前はいったい何者だ?」
レミィ:私も丸太に座って話を聞きます。
時雨:何者って! 俺は……あれ? 俺は………………。
GM:「どうした?」
レミィ:どこから来たの? 名前は?
時雨:俺は……俺の名は時雨……フジカワ・シグレ……。俺はどこから……どこから来たんだ??? うう……頭が痛い(笑)
レミィ:父さん……もしかしてこの子、記憶が……?
GM:「ふむ……どうやら、そのようだな。時雨と言ったな。名前以外に何か思い出せないか?」
時雨:それ以外に……えっと、そうだ。確か俺は16歳だ。
GM:「それ以外は?」
時雨:解らない。すいません、ジャバールさん。
レミィ:さりげなく自分より年上だった事に驚いています(笑)
GM:「そうか……まぁ良い。記憶などいつか思い出すだろう……それより、身体の調子はどうだ?」
時雨:ええ、そうですね……。身体の調子ですか? そういえば、何か凄い力が湧いて来るような……。
GM:「時雨、享受者については知っているか?」
時雨:きょうじゅしゃ?……いえ、知りません。
GM:ジャバールは頷くと――「お前には素質があった。どうやら、いろいろと話しておいた方が良さそうだな……」――とジャハンナムや享受者について語ってくれます。
レミィ:焚き火のところにあったイノシシ鍋とかを時雨によそってあげます。
時雨:あ、ありがとう。
レミィ:手が触れそうになって、すぐに引っ込めたり。
時雨:どうした?
レミィ:な、何でも無いわよ!
時雨:とりあえず鍋を食べつつ、ジャバールさんの話に聞き入ろう。



時雨:――……って事は、俺は五分五分で死ぬ所だったのか!?
GM:「血を混ぜなかったから9割9分死ぬ所だった……というのが正確だがな」
時雨:おいっ!――とレミィの方を見て(笑)
レミィ:しょ、しょうがないでしょ! あなた、死にそうだったんだから! それに復活薬だと思ってたんだもん。
時雨:結果的にはそうかもしれないけどさ!
レミィ:だから……それは悪かったって思ってるじゃない。
時雨:思ってるだけで態度にも言葉にも出してないじゃないか!(笑)
レミィ:うるさいわねぇ。いいじゃない生きてたんだから!
GM:「ああ、正直儂も驚いたぞ。エキスを原液のまま飲んで生きていた者など、儂の知る限りお主で3人目だ」
時雨:3人もいるのかよ(笑)
レミィ:それは初耳な話かも……――父さんの知るだけでも3人もいるの?
GM:「ん? ああ、今目の前にいる時雨に、それにこの儂……そして――」――と苦虫を噛み潰した顔をジャバールがします。
レミィ:なんだろう……言い辛い事なのかな?
GM:――と言った所で全員<危険予知>を振って下さい。無い場合は【感覚】そのままでどうぞ。
時雨:達成値1。何も気がつかない(笑)
レミィ:私は4成功。緊張した声で――父さん?
GM:ジャバールは無言で獣甲を起動させます。
時雨:わっ! わっ!?――とか驚く(笑)――おい、レミィ! ジャバールさんがおか……変身したぞ!? どうしたんだ! いいのかコレ!?
レミィ:時雨は黙ってて!!
時雨:うぐ(笑)
GM:レミィが見れば、ジャバールが震えているのが解ります。
レミィ:父さんが?
GM:「レミィ、時雨……お前達は下がっていろ。……これほどの圧力、この儂が身震いするとは……」
レミィ:え?
その瞬間――ゴッッ!!!
  一陣の風が吹きつけ、レミィも時雨も目を閉じてしまう。
  それは叩きつけられた"襲撃者"の剣気! その圧倒的な威圧感による衝撃だった。
GM:2人は【筋力】の判定で2以上。失敗するとたたらを踏んで吹き飛ばされます。
レミィ:私は無理、全部失敗。
時雨:俺は成功。レミィを支えよう――なんなんだよいったい!?
GM:ジャバールは仁王立ちしたまま、襲撃者の方を向いて驚きの声を上げます――「貴様……なぜここに!?」
レミィ:支えられながらも、そっちを見る。
GM:風が止み、森の影から巨大な冥獄刀を持った男が現れます。年齢は二十歳前後だろうか、黒い闘衣に身を包んだ漆黒の髪を持つ青年です。
レミィ:父さんの側に駆け寄る!
時雨:それは腕を取って止める!――やめろレミィ! あいつは……なんか、ヤバイ。
レミィ:で、でも!!――私もそれは感じているから、引き止められたまま状況を見守るかなぁ。
GM:では漆黒の刀士が口を開きます――「ああ、先生か……久しぶりだね。悪いけど今日の用は別なんだ。そっちの少年を、貰っていくよ? 彼は地上への……鍵なんだ」
レミィ:咄嗟に時雨の前に出ます。
時雨:おい、レミィ!
GM:「君は…勇敢だね……。でも、相手の実力もわからないようじゃ、まだまだ半人前かな」――そう言うと漆黒の刀士は冥獄刀を振るいます。それは風を纏い距離の離れたレミィを襲う。達成値は14ぐらい。
レミィ:14!? そんなの無理に決まってます! 本気でダメージ入るんですか?
GM:いや、ジャバールが庇うから実ダメージはいりません。怪我がしたいなら演出でどうぞ(笑)
レミィ:父……さん?――と目の前で庇ってくれたジャバールを見上げつつ、右腕を押さえる。
時雨:おいレミィ! だ、大丈夫か!?
レミィ:ええ、大丈夫。コレぐらい平気だから――と、抑えてる指の隙間から血が流れる。
時雨:ち、血が出てるじゃねーか! な、なぁ、本当に大丈夫なのかよ!? やばいんじゃねーのか!?
レミィ:時雨は黙ってて!!
時雨:うぐ(笑)
GM:立ち塞がったジャバールが、漆黒の刀士に向かって吠えます――「20年前、貴様が何をしたのか忘れたとは言わさん! 貴様との師弟関係などあの時より断絶した。今、儂の目の前におるお前は! 仲間を裏切り、儂の最愛の妻を奪った……簒奪者だ!」
レミィ:父さんの因縁の相手……なのかな? だとしたら、私たちはあしでまとい……逃げる方向を確認し始めます。
GM:「ずっと……ずっと貴様を探し続けていた。今こそ仇を討つ!! レミィ! お前は時雨を連れて逃げろ!!!」
レミィ:黙って頷く。そして時雨を連れてさっき確認した方向に森の中を逃げていく!!

◆そして別れは来る……

時雨の手を取り暗い森の中をレミィは奔り続ける。
断絶的に聞こえてくる轟音や、木々が倒れる破砕音は、きっと父と襲撃者が戦っている証拠だろう。
どれだけ奔ったのか、いつの間にか背後からの音はしなくなっていた。
GM:森を走り続けたレミィと時雨は、やがて崖の上に出ます。崖の下は轟々と流れる激流。たぶん落ちたら死ぬでしょう。
時雨:おいレミィ、道間違えたんじゃないのか!? 行き止まりだぜ?
レミィ:はぁ…はぁ…うるさいわね。初めてくる森なんだから、どこに行けばいいかなんて解らないわよ!
時雨:逆ギレかよ(笑) どうする、森に戻って別の方角に進まないか?――GM、戦闘音はどっちからして来ます?
GM:森は静寂です。逃げている間に戦いの音は無くなりました。
時雨:それじゃあ、どっちに行けばわからないか……。おいレミィ、さっきの奴はジャバールさんの知り合いなんじゃないのか?
レミィ:う、うん……たぶん、そう思う……。父さん、時々私に内緒で小さい絵を眺めてる時があって……。
時雨:絵を?
レミィ:長い金髪の天使……凄い美人の人が描かれてた。きっと、父さんの奥さんだったんだと思う……。
時雨:心の中で、レミィは天使の子だったのか……どおりで可愛いわけだ。と場違いだけど納得してよう。
※ちなみにジャハンナムにおいて獣人は獣人と子を生し、天使や堕天使は独自の方法で子を作ります。ジャバールと件の女性天使が子を生す事はありえません(女性天使がそれを望んで作り出せば可能かもしれませんが、それでも生まれてくるのは天使です)。つまり上記の発言は時雨がジャハンナムの常識を知らないが故です。
レミィ:父さんはその話を私の前で絶対にしなかったから……もしかしたら、あの刀士は父さんの奥さんの……。
時雨:仇かも、しれないわけだ。
レミィ:……うん。
時雨:戻ろうぜレミィ。俺達に何ができるか解らないけど、ジャバールさんを放ってはおけない。まだ会って少ししか経ってないけど、俺はあの人嫌いじゃないんだ。見た目はカバだけどさ(笑)
レミィ:そんな事言ったら……父さんに殴られるよ?
時雨:……かもな(笑) さぁ、戻ろう!
GM:「その必要は無いよ」
時雨:レミィの前に立つ!
レミィ:ビクッとして足を止める。
GM:森の方から漆黒の刀士が現れます――「鬼ごっこは終わりだ。さぁ行こうか少年。僕にはキミが必要なんだ」
時雨:くっ――ジリジリと崖の方へ下がる。
GM:漆黒の刀士は、ゆっくりとキミ達に近づいてくる。
レミィ:……うん。ここは時雨を押しのけて前へ出る。
時雨:レミィ!?
レミィ:父さんは時雨を私に頼んだ。だから私は逃げない。父さんの……最強なる者の名にかけて、時雨はあなたに渡さない!
時雨:お前――とレミィが震えているのに俺は気が付きます。
レミィ:うん、すごい気丈に立ってるけど、今にも座り込みそうなほど恐怖が全身を包んでいるから。
GM:「……邪魔だよ」――漆黒の刀士が冥獄刀を突き刺します。
時雨:突き刺すの!? その瞬間にジャバールさん出て来てよ!(笑)
GM:ああ、そうだね(笑)
レミィ:『そうだね』じゃない! それだと父さんが(笑)
GM:レミィ、キミが殺されると覚悟した瞬間、その視界を何かが塞ぎ、気が付けば目の前にいつも見てきた大きな背中がある。
レミィ:あああ(笑)――と、父さん?
GM:その背中は真っ赤に濡れ、そこからは人の頭ほど幅広の刃が突き抜けている。
レミィ:え、そんな、背中から……。
GM:ジャバールは不適な笑みを浮かべると、レミィと時雨をトンッと崖から突き落とします。
レミィ:え?
時雨:う、うわあああ!?――崖から落ちながらレミィの手をしっかり握る!
それは現実だったのか夢だったのか……。
ただレミィが理解したのは、自分が真っ暗な闇へ落ちていく感覚のみ。 そしてそれが、ジャハンナムにおいて"最強なる者"と呼ばれたジャバールの、
父親としての最期の優しい笑顔だった。

◆漆黒の風……

そこは砂漠にある岩石地帯の1つ。
大きな岩によって作られた天然の洞窟の奥深く、その男は1人寡黙に舞いを踊っていた。
流れる金髪は光無い洞窟内においても眩く、中空に浮いた赤炎が男の舞いを幻想的にゆらめき映す。
GM:ではファルカスです。時間軸は現在。孤児院から連れ出した子供達と、この20年で合流した燐誡の残党と結託し、今は紅牙旅団という盗賊団を組織しています。
ファルカス:アジトの1つである洞窟の奥深く。淡い赤炎で照らされた幻想的な部屋で、1人舞でも踊っていよう。
時雨:踊ってるんだ。
ファルカス:ジャハンナムで最高の芸術は<舞踊>だ。それに≪炎術≫は舞いによって炎の揺らめきを操る。俺にとって踊る事は術技の修行でもあるんだ。
GM:ならファルカスは<鋭敏感覚>でどうぞ。
ファルカス:……余裕で4成功。
GM:キミにとある事件を報告に来た紅牙旅団のメンバーが、じっと見とれています。とりあえず1D6を振ってみて? No5まで紅牙旅団には幹部がいるので(笑)
ファルカス:No1は俺かな?
GM:だろうね。1と6が出たら享受者でも無い下っ端って事で。幹部の名前は適当にファルカスが決めて下さい。
ファルカス:……4と出たから、No4か……フォウとか?
時雨:適当だ(笑)
GM:じゃあフォウが見ていました。名前的に女性かな?
ファルカス:女性だな。青い翼の堕天使で愧拳闘士って事で――どうした、何か用か?
レミィ:ああ! フォウには頬に傷がある事にしません? 髪を伸ばしててその傷を隠しているの!!
GM:それだ!! あの時の少女が実は堕天使か! しかも健気にずっとファルカスの為に……。
時雨:いまや享受者でNo4まで上り詰めてる!
レミィ:もう、すごい良い子じゃないですか!
GM:じゃあそんなフォウが言おう――「あ、いや、邪魔しちゃ悪いと思ってさ……」
時雨:絶対見とれてた(笑)
レミィ:うんうん(笑)
ファルカス:お前等うるさい(笑) やっと俺の場面なんだから静かにしてくれ――いいや、気にするな……それで?
GM:「あ、ああ……実はマホバで情報収集してたドライから連絡があったんだ」
ファルカス:ドライから?――ちなみにNo3だよね?
GM:No3です(笑) ドライは移動が得意な≪幻鏡使い≫としましょう。種族は……
ファルカス:白熊の獣人で。この20年で仲間になった燐誡残党の享受者。年齢は30半ばでムードメーカーな明るいおじさん。
GM:肉食獣のおっちゃんか、なんか商人のイメージがある。
ファルカス:じゃあ紅牙旅団の経理担当にしよう(笑)――それで、ドライは何て言っていた?
GM:「う、うん……それがイマイチ的を得ないんだけど……"漆黒の風"って言う暗殺者を見た奴がいるって、マホバの界螺支部で噂になっているんだってさ」
ファルカス:漆黒の風?――GM、それを俺は知っているか?
GM:<裏知識>か【精神】で判定してくれ。
ファルカス:それは俺の役目じゃないんだがなぁ(←精神は2)……それでも1個は成功したぞ。
GM:まぁファルカス達もお尋ね者の盗賊団だしね、漆黒の風という名前は知っています。大抗争時代の10年間、無差別に享受者を殺して回ったと言われる伝説の刀士だ。巨大で幅広な冥獄刀を使い、その闘技はまさに黒い風と揶揄される。大抗争時代が落ち着きこの10年は噂を聞いた事は無かった。
ファルカス:漆黒の風……あの伝説の暗殺者か……、だが今頃どうして現れた?
GM:フォウは黙っています。
ファルカス:仕事に出てる奴等はいるか?
GM:「数人はいつものように、稼ぎに出てはいると思うけど……」
ファルカス:……そうか。俺も見回りに出る。
GM:「そんな良いよ! ファルカスが出張るような事じゃないって」
ファルカス:いや、もしドライの情報が正しければ……何かあってからじゃ遅い。フォウ、セッドの奴も呼んで来てくれ――セッドはNo2の剣士です。
時雨:本当に適当だ(笑)
GM:「わ、わかった……」
ファルカス:じゃあ俺は準備をしよう。
レミィ:と、フォウはセッドを呼びに行かず、ちょっと入り口で待っているんです。
ファルカス:どうした? まだ何かあるのか?
レミィ:(フォウになって)『は、話はかわるんだけどさ……その、今度街に行く事があったら……ファルカス、その、あたいと一緒に……』(一同爆笑)
ファルカス:なんで俺までラブコメなんだ(笑)
レミィ:ええ〜いいじゃないですかぁ(笑)
GM:じゃあフォウは――「い、いや! なんでも無い! すぐにセッドを呼んでくるよ!」――といなくなります。
ファルカス:俺は少し首を傾げながら――街か……そう言えば、フォウに休みを与えてなかったな……考えておくか――と(笑)
時雨:鈍い!
レミィ:ああ、フォウが可哀想だ……。

◆絶望の次に……

暗く深い闇の中に投げ込まれ一瞬意識を失いかけるも、時雨はレミィの手を離さずに必死に泳いだ。
だからこそ川面を朝日が照らす頃には、なんとか流れの緩い所まで流されて来た。
ジャバールさんの言っていた超人――享受者だからこそ、こんな状況でも生きていられたのだろうか?
レミィを川辺に引っ張り上げながら、時雨は1人、生きている事に驚いていた。
GM:川を流され気が付けば朝です。
時雨:レミィを抱えて川岸に上がろう。大きめの石とかに座って一息付く――ふぅ、ここまで来れば安心だろうな……。
レミィ:………………。
時雨:レミィ、大丈夫か?
レミィ:うん……大丈夫。
時雨:でも、いったいなんだったんだ? あのジャバールさんが……――と言った所で、ハッとしてレミィを見る――悪い、大丈夫なんかじゃ……ないよな。
レミィ:首を振って――父さんは、ジャハンナムで五本の指に入る享受者よ? そんな簡単に……死ぬ……わけ無い――と言いつつ、絶望が押し寄せます。
GM:まぁ相手もアレで、心臓も貫通したしね。
時雨:そ、そうだよ! あのすげージャバールさんが死ぬわけないって!!
レミィ:………………。両手で頬を叩きます。バシンッ!
時雨:びっくりする(笑)
レミィ:うん。父さんが死ぬわけなんか無い! それに……時雨に励まされるほど、私は弱く無い。
時雨:なんだよその立ち直り方は!(笑)
レミィ:でもちょっと目が赤く腫れてたりはするけど。
時雨:お前もしかして――と口をつぐむ。
レミィ:何よ?
時雨:……いや。俺に励まされるなんて、キャラじゃないってさ(笑)
レミィ:だからそれは私が言ったセリフじゃない。まぁいいわ、それよりこれからの事を考えましょう。
時雨:これからって?
レミィ:荷物も最低限のもの以外は、森に置いてきちゃったし……だからと言って戻るのは危険過ぎるし。
時雨:まぁな。あの黒髪の人に会ったら危険だ。
レミィ:心配しないで? 父さんは私にあなたの事を守れと託した…だから私はあなたを守る。あなたは黙って私に付いて来れば良いわ?
時雨:それは男としてやるせないモノを感じるが(笑)
レミィ:なに?
時雨:いや、頼りにしてるぜ。なんせ俺は、自分がどこから来たかさえ解らない記憶喪失だしな(笑)
レミィ:そうなのよね……。かといって何も覚えていないのでしょう?
時雨:ああ、それは本当だ。
レミィ:……とりあえずここを離れましょう。近くにマホバって街があるから、そこを最初は目指すから。
時雨:ああ、わかった。



果てはあるのかと疑いたくなるような砂漠。
ジャハンナムではごく一般的な光景だが、時雨にとってはそうではなかった。
丸一日近く歩き続ければ、いい加減飽きて来る。
時雨:ったく、どこまで行っても砂と岩ばかりじゃねーか! レミィ、本当にこっちで合ってるのかよ!?
レミィ:無視します。もうその問答は何度もしたと思うし。
時雨:無視されるの解ってて喚いていよう(笑)――あ゛〜〜暑い! あの太陽を誰か隠してくれよ!
レミィ:だから、太陽なんかじゃないって説明したでしょ? 空に輝くのは光帯。それに享受者になったんだから暑さだって平気なはずよ。
時雨:そりゃそうだけどさ……なんか、もう、永遠と同じ景色で……。
レミィ:景色だって同じじゃないでしょ? 昨日は砂ばっかりだったけど、この辺は砂より岩場が多めでしょうが。
時雨:つい3時間ぐらい前からはずっと岩じゃねーか。あ〜〜暇暇! 退屈って俺嫌いなんだよ!
レミィ:こ、こいつは……――黙れと言いたいけど、余計な体力使うだけだし無視無視。
時雨:慣れない砂漠の旅にグダグダ言ってる(笑)
GM:そんな2人、<危険予知>お願いします。
レミィ:……3個成功――時雨、気をつけて。
時雨:俺は……失敗――だからさぁ、いくら暑さに強くっても、日差しの強さは変わらないわけ――
レミィ:気をつけなさいって言ってるでしょうが!!(笑)
時雨:ビビろう。
GM:レミィは岩場の影に何人か隠れているのが解ります。
レミィ:足を止めて岩場の方に向かって――出てきなさい。そこにいるのは解ってるのよ!
時雨:え? え?
GM:「おお、おお、バレちゃあしょうがねぇ」――ぞろぞろと10人ほど、盗賊団が出てきます。
レミィ:ふぅ……――溜息。
時雨:うわ、もろ盗賊って感じじゃん。
レミィ:はぁ……――もう一個溜息。
時雨:なんでだよ(笑)
レミィ:盗賊に言おう――消えなさい。さっさといなくなるなら痛い目見ないで済ましてあげる。
GM:「おいおい嬢ちゃん。ちったー相手を見てからそういう事は言うんだな?」――男は銘刀を抜き、別の男は武器に魂を憑依させます。さらにもう1人の女性盗賊は獣甲を起動させますね。
レミィ:眉を寄せる……享受者の盗賊団? 10人全員?
GM:いえ、10人のうち5人ほどですね。
レミィ:半分も?!
GM:術技レベルは全員1だけどね。
レミィ:なら私の方が実力は上! 強気に出よう――へぇ…5人も享受者が混じってるなんて、ずいぶんね。
GM:「わかったら金目のものを置いて行きな」
時雨:ど、どうするんだよレミィ。金目のものって言っても、全部森に置いて来ちゃったんだろ?――と小声で(笑)
レミィ:だからって……舐められて命乞いなんて、私の誇りが許さない。
時雨:なに言ってるんだよ! 無駄に戦って何の意味があるんだよ! ここは平和的に話し合――
レミィ:あなた達! 死にたくないならどきなさい!!!
時雨:俺の話聞けよ!!!(笑)
レミィ:時雨、あなたはコレで身を守りなさい――その辺に落ちていた棒を投げよう。
時雨:守れって言われても……これでどうやって?
レミィ:<武器戦闘(敏)>で振ればいいの!
時雨:そんな技能持ってねーし。
レミィ:じゃあ【敏捷】の素目で振りなさい!
時雨:俺の【敏捷】って1なんだけど……。
一同:『………………』

――こいつ、使えねぇ……。

時雨:ちょ、ちょっと待て! なんかハモって心の声が聞こえた気がするぞ!(笑) だいたい≪黒沙術≫も≪魂装術≫もまだ使えないのか俺は!?
GM:まだ使えません。ちゃんと習ってないし。
時雨:ギャー! マジで俺は使えねー(笑)
レミィ:じゃあ遠慮なく先制攻撃しちゃって良いのかな?
GM:そうだね――
ファルカス:いや、その前に俺に登場させてくれ。低いけど良く通る声が岩場に響き渡る――そこまでにしておけ。
声と共に現れるのは、これまた10人近い盗賊達だった。
ただ、時雨もレミィもその集団に圧倒される。
正確には、その集団の中央にいる3人に……だ。
GM:「団長!」――一触即発だった盗賊団も、ファルカス達に向き直ります。時雨たちからすると、新しく現れた盗賊団のうち、青い翼の堕天使の女性と、寡黙そうな銀糸の民の青年、そして中央にいる金髪の天使は、他の享受者とも別格な雰囲気を感じる。
レミィ:そっちを睨もう――ちなみに銀糸の民がセッド? 術技は?(笑)
GM:腰には普通の刀を持っています。他に壷っぽいものも下げてます。
ファルカス:ええ、獣甲じゃないの?
GM:獣甲じゃありません。≪黒沙術≫と≪魂装術≫がメインの剣士です。セッドだけはこちらで決めさせてもらいます。
ファルカス:≪黒沙術≫と≪魂装術≫?……なるほど、了解。
時雨:???
ファルカス:見回りに来てみれば……その嬢ちゃん、お前等でかかれば負けはしないが無傷でもいられないぞ。
GM:「だ、団長……それは解ってますけど……けっこう上玉っぽいですし」
レミィ:それはフォウに殴られて欲しいなぁ――『そういう理由で襲うなって言ってあるだろう!』って。
GM:じゃあ一般団員は殴られて呻いています。
時雨:なんだろう、女は襲わないとかの義賊なのかな?――と思ってみてる。
レミィ:警戒は解かない。
ファルカス:フワリと一番前に出よう。左右にはフォウとセッドが従う――お嬢ちゃん。俺達はここいらを縄張りにしている盗賊団だ。俺は団長のファルカス。
レミィ:その名前は知ってる? <裏知識>は無いけど【精神】で……3成功。
GM:有名な享受者盗賊団"紅牙旅団"の団長の名前だ。[界螺][鐘杏][凌渦]、どこの紫杯連支部に行っても手配書が張られている盗賊団だね。
レミィ:あなたが……あの紅牙旅団の……。
ファルカス:団員たちから聞いたかもしれないが、金品を置いて行くなら見逃してやる。だが、抵抗するならゲヘナへ飛ばす。さぁ……どうする?
時雨:お、おいレミィ、なんか強そうなのが出てきたぞ? どうするんだよ?
レミィ:………………。これを守りながらだしなぁ……。
時雨:俺を物みたいに言うなよ。確かにお荷物だけどさ(笑)
レミィ:構えを解きます――正直に言うわ。私たちはある人物から逃げてる所なの、金目のものも荷物も全部、そいつに襲撃された時に捨ててきちゃったわ。渡したいのは山々だけど、本気で無いものは渡せない。
ファルカス:ほう……。
レミィ:信じてもらえないなら諦める……。もちろん、最大限の抵抗はさせてもらうけど……ね。
時雨:なんとなく棒を握ろう。
GM:「団長! 団長たち3人がいればこんな奴等、ミジンコだ! やっちまいましょうぜ!」
ファルカス:ああ……嘘か本当かは、あとで調べればわかる事だ。
レミィ:再び構えます。
GM:セッドもフォウも構えを取ったところで――全員<危険予知>をどうぞ。
レミィ:<危険予知>やくに立つなぁ……うん、達成値4!
ファルカス:俺は3個成功した。
時雨:や、やるのか!? ど、どうするんだ!?(←失敗)
レミィ:あんたねぇ!(笑)
時雨:しょうがないだろーが!(笑)
GM:ではレミィとファルカスは気配を感じます。僅かな地響きと共に、紅牙旅団の1人に危険な気配が迫っているのを感じる。
レミィ:そこのあなた! 急いで離れて!!
GM:一般旅団員は「え?」って顔をします。名前は……ロビタで(笑)
ファルカス:ロビタ! そこを離れろ!!――レミィに一拍遅れて言う。
GM:その瞬間、地面が割れ巨大な芋虫が現れロビタをくわえ上げます。<魔物知識>か【知力】で判定して下さい。
ファルカス:……2個成功。
レミィ:同じく。
GM:砂蟲です。サンドウォームです。見たところ幼虫ですね。ここから戦闘に入ります。まずイニシアティブ順に行動を決定します。アナスタシスからは一般技能の<先制>を持っていなくても、【敏捷】で代用して構いません。もちろん成功した分だけイニシアティブが増えます。

――1ラウンド
[1]ファルカス(15)
[2]サンドウォーム(10)
[3]レミィ(9)
[4]時雨(3)

時雨:ど、どうすればいいだ!(笑)
レミィ:ちょ、何よ3って! もっと真面目にやりなさいよ!(笑)
時雨:無理言うなよ! 基本が3で【敏捷1】だぞ? 3も4もかわんねーって!
レミィ:グズでノロマで鈍感で……何がしたいのよあなたは!!
ファルカス:ふっ……ちょっと可哀想な子だな、時雨は(一同爆笑)
時雨:哀れむなよ!!(笑)
GM:さぁ、最初はファルカスからだ。
ファルカス:ロビタが喰われ気味なんだよな。【魔薬・閃】を飲む。敏捷を2つ上げてから通常行動で砂蟲の前に出る。移動して終了だ。
GM:前線に立つんだ?
ファルカス:大事な仲間が食われているからな。それに俺の回避力ならたぶん避けられる。それよりセッドとフォウは攻撃しないのか?
GM:サンドウォームの生命力を2分の1にしています。半分は2人が削ったと思って下さい。
ファルカス:了解。
GM:では前線に出たファルカスに牽制で5命中。
ファルカス:<避け>……6成功。華麗に避けた。
レミィ:その動きに驚こう……――というか、何個ダイス振っているんですか!?
ファルカス:【敏捷5】+<避け2>+【魔薬・閃】ブーストで2、合計9個だ。
GM:高っ!!
レミィ:噂の紅牙旅団、その団長だけあるかも……。
GM:順番はそんなレミィだけど……どうする? 喰われているのは盗賊だし、今のうちなら逃げれるかもよ?
レミィ:……ううん、戦う。≪言の葉の槍よ、敵を貫け≫を砂蟲に……強制力5で12点ダメージ!
GM:「ピギャーーーー!!」――砂蟲は吠え、ロビタを口から離します。素通しで12点は痛いなぁ。
ファルカス:「声錬」はしないでいいのか?
GM:アナスタシスから、「声錬」という判定は標準行動で行う行為として残っているけど、その効果は「声錬した次の神語術の消費気力を半分にする」っていうものになったんだ。
ファルカス:はぁ〜〜便利になったなぁ(笑)
GM:さて次は時雨。
時雨:俺はマジで何もできないしな……砂蟲の口から落ちたロビタをキャッチして、そのまま後退する。
GM:OK。では次のラウンドだ。
その後、ファルカスが全ての攻撃を回避し、レミィと2人で魔術攻撃を繰り返し着実に生命力を削っていく。そして誰にダメージを与える事なくサンドウォーム(幼虫)は倒れ伏した。
ファルカス:ロビタに回復≪癒し暖める炎≫……9点回復。
GM:ロビタは復活します。
ファルカス:それから時雨とレミィに向き直って言おう――すまないな。お前達が手伝ってくれなかったら、ロビタは死んでいたかもしれん。
時雨:いや、俺は何も……。
ファルカス:誰かに追われていると言っていたな……どうだ、俺達のアジトに来い。歓迎しよう――言う事だけ言ってセッドやフォウと共に引き上げ始める。
GM:それは他の団員達も従って引き上げて行きます。
レミィ:噂ほど悪い人じゃないのかな……?
時雨:おいレミィ、行こうぜ? せっかく歓迎してくれるって言うんだし。
レミィ:ちょっと時雨! いくらそう言ったって、あの人たちはお尋ね者の紅牙旅団、盗賊集団なのよ? そんな簡単に信じちゃ……。
時雨:大丈夫だよ。俺を信じろ。あの人たちは本気で悪人なんかじゃないさ――と真面目に。
レミィ:う゛……わかった。
時雨:よし!

◆歓迎の宴……

ファルカス達紅牙旅団について行き、時雨たち2人は岩場の洞窟へとやってくる。
アジトにつくと着々と宴の用意がされ、夜になる頃には酒も料理も十分に広げられた、なんとも豪勢な宴が開催された。
時雨:うわぁ……すっげー!!! なぁレミィ、これって食って良いのかな? 良いんだよな? 食っちまうぞ? うめーーー!!!
レミィ:まったく……行儀悪いわね――私は普通に食べてます。
時雨:何言ってるんだよ! 川から上がってからずっと何も食ってなかったんだぞ? うめーー!!(笑)
レミィ:もう……――と言いつつ、ファルカスにお礼を言おう――ありがとう。紅牙旅団って言ったらお尋ね者の盗賊集団だし、まさか本当に歓迎してくれるなんて……。疑っていてご免なさい。
ファルカス:気にするな。俺達も好きでお尋ね者になったんじゃないしな、それに礼を言うのは俺達の方だ。遠慮はしないで良い、好きなだけ飲んで食べてくれ。
レミィ:ええ、そうさせてもらいます――笑顔で。
ファルカス:じゃあ食べながら――そう言えば、追われてるって言っていたが……何かしたのか?
レミィ:突然、襲われたんです。黒髪の刀士に……。
ファルカス:その言葉にピクっとする。
GM:フォウも驚いた顔でファルカスの方を見るね。
ファルカス:おい、もしかしてそいつは、幅広の冥獄刀を持っていなかったか?
レミィ:え、ええ――と黒髪の刀士の服装とか容貌を言います。
ファルカス:……漆黒の風……どうやら噂は本当だったらしいな。
時雨:ふぃっほふのふぁへ?(←食べてるらしい)
ファルカス:大抗争時代に伝説になった暗殺者だ。なぜか享受者ばかりを狙ったと記録にある。大抗争時代が終わり、ここ10年ほど音沙汰無かったんだが、最近ここいらにいると噂を聞いてな。
GM:「だけどファルカス、もし本当に漆黒の風に狙われたのなら……この子たちが生きてるはず……」――フォウが口篭ります。
ファルカス:……確かに。
時雨:ゴックンと飲み込んで――そりゃあ、ジャバールさんが守ってくれたからな! 俺達は崖から落ちて偶然助かったんだ。
ファルカス:ジャバールだと? あの"最強なる者"の称号を得たカバの獣甲闘士!! お前達はあの孤高なる伝説と知り合いなのか!?
GM:周囲の旅団員達もどよめきます。
レミィ:私は表情に影が落ちています。
時雨:あ……悪ぃレミィ……。
レミィ:ううん。ジャバールは……私の育ての親なんです。ずっと私と一緒に旅をしていました。
ファルカス:ジャバールの娘だと?
GM:「そう言えば聞いたことがありますぜ! ジャバールは銀糸の民の子供を連れて旅しているって!」
ファルカス:それじゃあお前が……。
レミィ:……はい。でも、そんな父さんでさえ、黒髪の……いえ、漆黒の風には……。
ファルカス:……そうか。
レミィ:………………。
ファルカス:果実酒の杯を出そう――今は飲め。なぜお前達が襲われたのかまで聞きはしない。ただ、ここにいる限り漆黒の風に見つかる事も無い。ジャバールの分まで生きている今を楽しんでおけ。
レミィ:……はい。

GM:
――と言った所で、でっかい白熊の獣人が入ってきます――「おやおや、私のいない間にずいぶんと楽し気な事をやってるじゃありませんか? 飲みすぎて赤字は出さないで下さいよ?(笑)」――情報収集に出ていたNo3の幻鏡使いドライです。
ファルカス:ドライ。久しぶりに客人が来てな……それよりどうした? 何かわかったのか?
GM:ドライはファルカスのすぐ側に来ると耳打ちします――「フォウに伝言しましたが、漆黒の風は確かにここの辺りに出没しているようです」
ファルカス:ああ、客人から裏は取った。あのジャバールさえ凌ぐ腕前との話だ。本気でぶつかれば俺達にも敵わないかもしれん。
GM:「あのジャバールさえ……ですか……。しかし、土の棺がマホバにあるのも確実……今、ここを離れるのは……」
ファルカス:ああ、解っている。なんとしても[土の棺]は手に入れる。やっとここまで来たんだ……逃すわけにはいかない。

GM:
一方、レミィの方には青い翼の堕天使フォウがやって来ます――「あんた、なかなかやるじゃないか?」
レミィ:まぁね。
GM:「どこの紫杯連に所属してるんだい?」
レミィ:どこにも……父さんは昔凌渦に所属してたって聞いてるけど、私が物心付いた時にはフリーの享受者だったし……。
GM:「ふぅ〜ん。それで、あの子はそのジャバールの弟子かなんか? にしてはちょっとアレだけど……」――時雨の方を見て。
時雨:ロビタと一緒になって騒いでます(笑)
レミィ:弟子なんかじゃありません。死に掛けてた所を助けたら成り行きで……。じゃなきゃあんな馬鹿、一緒にいるわけないじゃない!
GM:「へぇ〜そんなに馬鹿な子なの?」
レミィ:馬鹿も馬鹿、大馬鹿ですよ! 記憶喪失で何にもしらないのは許せるけど、父さんに向かって禁句は言うは、すぐにグチグチ文句は言うわ、退屈が嫌いって良いながらもイザコザが始まったら気弱になるし、それにあいつったら私が看病したまま寝てたら……寝てたら――赤くなります(笑)
GM:「寝てたら?」――グビッと飲みつつ。
レミィ:寝てたら……な、なんでも無い!! と、とにかくあんな馬鹿でスケベな奴、父さんに頼まれなきゃさっさと砂漠で放置するところよ!
GM:「ふぅ〜ん、へぇ〜……で、少しは良いところもあったりするの?」
レミィ:……え?
GM:「あら? 本気で馬鹿でスケベなロクデナシなの?」
レミィ:そ、そりゃあ少しは優しい所もあるし、不思議と信じれるって言うか信頼できる所もあるけど……――カーーッ!!!(一同爆笑)
ファルカス:む、プレイヤーが(笑)
レミィ:レミィ赤くなってます(笑) それ以上言葉がでない!
GM:「何よ何よ、けっこう気に入ってるんじゃない?」――ウリウリとフォウが(笑)
レミィ:ち、違う! 違うったら!! ぜったいそんな事無いんだから!!!!――多感な15歳です。 GM:一方時雨は?
時雨:ロビタと仲良くなって歌ってます――ラーラーラー(笑)
GM:とか楽しくやってると、キミの歌に合わせて何かが舞い始めます――「おお、時雨ー。お前って魂装術師なのかぁ? お前の歌に霊が踊ってるよ? あははは♪」
時雨:こんそう? なんだよソレ? でも俺の歌に踊るのかぁ……ならほれほれ、ちょちょいちょい♪
GM:「おおーすげーすげー♪」
時雨:調子に乗って立ち上がってさらに歌います――ついでに霊だけじゃなく、黒い砂とかも一緒に舞い始めません? 誰か黒沙とか持ってないの?
GM:じゃあ寡黙に飲んでたNo2、セッドの沙壷から勝手に黒沙が舞い上がり時雨の周囲を舞い始めます。
時雨:おお!? こりゃあ良い! あ、よよいよい♪ あ、よよいよい♪(笑)
ファルカス:普通に駄目な酔っ払いだな(笑)
時雨:楽しい時には楽しまなくちゃ駄目、これ鉄則。
GM:そんな事をしていると、霊も黒沙も突然消滅します。気が付くと時雨の側にセッドが来ている。
時雨:えっと……あんた確か、さっきミミズと戦ってた。
GM:「セッドだ」
時雨:むぅ、なんか真面目だ……あらたまって――どうも、時雨って言います。
GM:「お前は、術技が何も使えないらしいな」
時雨:術技っていうか……享受者にもレミィのせいで強制的になったんで、戦いって事自体さっぱりッスよ(笑)
GM:「……ファルカス」
ファルカス:ああ……時雨、お前には黒沙と魂を操る才能があるようだな。
時雨:黒沙? 魂? そうなの?
GM:そこはドライが説明しましょう――「そうですね。キミは黒沙を使う黒沙術、魂を操る魂装術、その2つの才能があるようだ……それに享受者となったのならば、それなりの強さも必要だと思いますよ?」
時雨:強さ……か――フォウと話しているレミィを見たりして。
レミィ:それには気が付きません。
GM:セッドが促すようにファルカスに視線を送り、ドライも同じく――「ファルカス?」と。
ファルカス:杯を置いて――時雨、さっきの戦い方を見る限り、覚醒はしていても享受者のイロハは覚えていないようだな。
時雨:そりゃあ……まぁ。
ファルカス:なら……どうだ? ここでセッドを師と仰ぎ、享受者としてその力を磨いてみる気はないか? 力を持っていて損をする事は無いぞ。
時雨:……ちょっと真面目な顔して――この世界には、さっきの蟲みたいのがたくさんいるのか?
GM:ああ、それと戦う事ができるのは、俺たち享受者だ。
時雨:………………。
GM:「それに……です」――ドライが続けましょう――「なにやら危険な男に狙われているとの話だ。ここにいれば安全に、しかも強くなれる? 悪い商売じゃ無いと思いますよ?」
時雨:うん、それは決意しよう。正座して手をつく――頼む、本当に強くなれるのなら、俺にその技を教えてくれ。
GM:ドライは満足そうな顔をします。
ファルカス:セッド……時雨の面倒は、お前が見てくれ。
GM:セッドは心無しか満足げに頷きます。
時雨:ありがとうございます……えっと、師匠!!!
レミィ:駄目よ!!!――と大声で!
ファルカス:そっちを見よう。
レミィ:私は反対だわ。あなたは自分が何者かさえ解ってないのよ? まずは記憶を取り戻す事の方が先決じゃない! 強くなんてならなくたって、私が付いてるんだから問題無いでしょーが!
時雨:何言ってるんだ! さっきみたいなのが沢山出てくるんだぞ? 自分の身さえ守れないじゃ……。
レミィ:何よ? だからそれは――
時雨:あああ!! 良いよ! これは俺が決めた事なんだ、レミィに口出しされる事じゃねー!!
レミィ:なっ!? 何よ! 心配して言ってあげてるのに、だったら勝手にすれば良い!! 好きに修行でも何ですればいいじゃない!!――ふん、宴会を外れて行きます。
時雨:な、なんなんだよアイツは……。
ファルカス:ふっ……若いな(一同爆笑)
時雨:クッソー、良いなそのポジション。
レミィ:ずるいよねぇ。
GM:フォウが泣いてるぞ?(笑)
ファルカス:フォウとはずっと一緒に居続け過ぎてね(笑)

◆そして修行の日々は……

次の日から、時雨の修行が開始された。
まずは午前中は基礎体力と戦い方の基本鍛錬。
午後になってからは黒沙を思った通りの形に成す修行に入る。
その修行も1週間を過ぎる頃には、黒沙を武器に形成する所まで行き、今度はそれに魂を憑依させる魂装術の修行に入った。
GM:修行開始から2週間が経ちました。基礎体力、戦い方の基本訓練、黒沙の初期魔術と、魂装の初期闘技ぐらいを覚えたところです。
時雨:これって早いのかな?
GM:めちゃくちゃ早いです。セッドも驚いています。
時雨:魂装で霊を憑依させた黒沙の刀を使い、戦いの"型"みたいなのを舞った後――どうですか師匠! なかなか様になってません?
GM:「……ああ」
時雨:おお、褒められた。
GM:ではセッドは木刀を持って構えます。本格的な稽古をつけてくれるようです――「……来い」
時雨:えっと……俺は黒沙刀で?
GM:頷きます。
時雨:じゃあ――宜しくお願いします! はぁぁああ!!! レミィ:そんな光景を、見下ろせる岩場の上から見ています。
時雨:なに? 応援してくれるの?
レミィ:あ、ここ2週間、一言も口聞いてないから。
時雨:おい(笑)
レミィ:ジっと眺めてる。ってわけで誰か大人な人に出て来てもらいたい。
ファルカス:ここはフォウの出番だろう。旅団の女性悩み相談役はきっとフォウだ。
時雨:恋愛相談役って気もするけど(笑)
GM:ではフォウが空から降りてきてレミィの横に座りましょう――「どうしたの? 意地張らないでもっと近くで応援してあげたら?」
レミィ:誰があんな自分勝手な奴。
GM:フォウは溜息かな(笑)
レミィ:危ないから心配して言ってあげたのに……本当、子供なんだから。
時雨:どっちが子供だー!!!(笑)
GM:いない人は出てこない(笑)
時雨:(退場)
GM:フォウは愛しい者を見るようにレミィを見て――「でも、守られるだけじゃなく、守れるようになりたいって言うのは、誰だって思う事なんじゃないかな」
レミィ:そんな事!!
ファルカス:レミィもジャバールの娘なのに享受者になったのは、そういう想いからなんじゃないか?
レミィ:……うん。そうかも……いや、それしかないって気もする(笑)――そんな事!……まぁ、わからなくは無いけど……。
GM:「ましてやあの子は男の子だし、女の子に守られてばかりって言うのは、かっこ悪いって思ったんじゃない?」
レミィ:だって……でも、私は父さんから時雨を頼むって言われたのに……――ちょっと涙目かもしれない。私の誇りが揺らぐ。
GM:「だったら……あの時雨って子よりも強くなれば良いんじゃない? あの子の修行をただ見ているだけって言うのも勿体無いしね」
レミィ:ハッと気が付いた表情をします――そっか、私が時雨に追いつかれないように強くなれば……。うん、そうだよね……そうすれば良いんだ。
GM:やばいね、フォウはレミィが可愛くって抱きつきそうだ(笑)
ファルカス:抱きついて良いんじゃないかな? なんか妹を得た姉って感じがするし。
GM:じゃあ抱きついた(笑) ギュ〜〜♪
レミィ:ちょ、ちょっとフォウ! やめてよ!
GM:「ああ、もう、可愛いんだから」(笑)

――さらに2週間が過ぎた。

GM:
では修行に入ってから1ヶ月が経ちました。場所は洞窟の入り口付近、ファルカスにドライが話しかけてきます。
ファルカス:どうした?
GM:セッドと時雨の稽古を見ながらドライは話します――「すごいですよあの少年。もう黒沙も魂装も自在に操り、木刀相手とはいえセッドも本気で相手をしている」
ファルカス:だが、セッドの本気は二刀流だろう?
GM:そうなんだ(笑)――「だとしても凄いと思いませんか? たった1ヶ月でこの強さだ。もしかしたら……掛け値なしの良い買い物だったかもしれませんよ?」
ファルカス:ああ、確かにな。それにあのレミィという少女もフリーの享受者と言っていた。上手く仲間になってくれると良いんだが……。
GM:「焦りは禁物……ですね」
ファルカス:そうだな。そして……そろそろ自分達で動きたいと言い出しても遅くない頃合だ。
GM:「ええ」
ファルカス:もしもの時は任せるぞ。すぐに俺に知らせろ――ぶっちゃけ、2人が勝手にここを抜けた場合、監視して常に報告しろって意味です。
GM:じゃあドライは以心伝心理解して――「ええ、任せて下さい」



レミィ:じゃあそろそろ時雨に話しかける。
時雨:なに、一ヶ月ぶり?
レミィ:いや、二週間前から普通に口は効いてるから(笑)
時雨:そうなんだ――ん、なんだよレミィ?――修行の休憩時間に……いや、やっぱ夜中に自己練やってて、ちょっと一息付こうと岩壁に腰掛けた所にしよう。
GM:細かいシチュエーションだ(笑)
レミィ:その後ろから声をかけたのかな?――ねぇ時雨、何か忘れてない?
時雨:え? 何か忘れてる事なんてあったっけ?
レミィ:そんなに修行が楽しい?
時雨:ああ、こんな事、今まで体験した事なかったしな。すげー楽しいよ♪
レミィ:……違うでしょ!? あなた、どうしてこの場所にいるの?
時雨:それは……いつか記憶を取り戻す為……だよ。
レミィ:それで、何か思い出した?
時雨:う゛……いや、何も……。
レミィ:はぁ……一つ提案があるんだけど、この近くに私と父さんが目指していた街があるの。街に行けば何か調べる事もできるだろうし、一緒にその街へ行かない?
時雨:街へ……か。
GM:ちなみに修行のほうは最近頭打ちです。ぶっちゃけ総合ランク10までの修行は終わりました。セッドも後は実践経験だと言っています。
時雨:それも有りだな……。でもあの黒髪の……漆黒の風は大丈夫なのか?
レミィ:ドライに聞いておいた事にしたいです。
GM:ここ1ヶ月は噂を聞かないようだね。
レミィ:……って事だから、たぶんもう大丈夫だと思う。
時雨:そうか……。よし、解った。一緒にその街へ行こう。俺もいろいろ見て周りたい。そうしたら何か、俺の失った記憶を思い出すかもしれないし。
レミィ:……うん。じゃあ私寝るから、時雨も無理しないで寝なさいよ?
時雨:……ああ――と言いつつ、レミィが本当に俺の事を心配してくれてるのが嬉しいので、それに報いる為にも、今日は徹夜で自主練だ(笑)

◆マホバの街の占いは……

時雨とレミィは、紅牙旅団の面々に見送られながらマホバの街へと旅立った。
ロビタ達旅団員からはかなり引き止められたが、幹部の3人や団長のファルカスは快く見送ってくれた。
時雨とレミィ、再び2人だけの旅が始まる。
GM:という訳で、ファルカス達は時雨とレミィを引き止めずに見送るんですね?
ファルカス:ああ、ここで焦るのは駄目なパターンだ。それに――と見るとドライがいない。
GM:さっき言ったように2人の監視に付いたのね。
ファルカス:そう。だから今は放っておく。
GM:ではそんな所で切羽詰った声で――「おい、リーダー!!」
ファルカス:誰?
GM:ここ1ヶ月、ドライの代わりに情報収集に出ていたゴイアンという人間の33歳。親分肌な男です。
ファルカス:No5か。
GM:セッドやフォウと同じく、元クスンド個人メンバーの1人です。その頃はいじめっこのゴイアン13歳でした(笑)
時雨:リサイタルとか開いてそうだ(笑)
レミィ:そういえばセッドって何歳だったの?
GM:セッドは29歳。美形ですよ?
レミィ:うん、そんな気はしてた。
ファルカス:それで? どうしたゴイアン。
GM:「俺が情報集に行った日に、宴会やったんだって!? オレ様にも歌わせろよ! ロビタに聞いたぞ!!」
ファルカス:ロビタってのび太かい!!(笑)
時雨:気が付くの遅いよ!(一同爆笑)
GM:「まぁその事はいいや。それよりマホバの界螺支部だ。そこの支部長ラギンが、どうやら[土の棺]について知っているらしい」
ファルカス:界螺の支部長ラギンか……。
GM:「どうする? 支部長を相手にするんだ、かなりの危険が伴うぜ?」
ファルカス:だが……そいつが[土の棺]を知っているなら……拉致るぞ。なんとしても情報を聞き出す。
GM:「じゃあ……」
ファルカス:ああ……マホバへ行く。



今までの殺風景な景色と違い、マホバの街はたくさんの人と、たくさんの物に溢れていた。
もっとも、レミィから見えばマホバの街は小規模な方だろう。
ここよりもっと大きな街は、このジャハンナムに山とある。しかし――
時雨:すっげー!! なんだよこれ! 食えんのかな? おいレミィ見てみろよ! なんかすげーのあるぞ?
GM:完全に田舎から来たおのぼりさんだ(笑)
レミィ:恥ずかしいから無視してます。
時雨:レミィに無視されるのは慣れてるから、俺も気にせず騒いでる(笑)
レミィ:ねぇGM、この街ってどこの紫杯連が支配しているの?
GM:ここは界螺の勢力下です。他の紫杯連はありません。
ファルカス:え、無いの?
GM:大抗争時代を得て、紫杯連同士の取り決めも変わったんです。ジャハンナムの中心である瓦礫の都シェオールは別格だけど、基本的に1都市1紫杯連制になりました。
ファルカス:そうだったのか……。
GM:では街中をふらふらしているなら、レミィは呼び止められます――「あなた、ちょっと良いかしら?」
レミィ:え?――そっちを見よう。
GM:それは人ごみの中でも、不思議と通る女性の声だ。いつもなら見過ごしてしまうような道の端に、ヴェールで顔を隠した女性占い師がいる。
レミィ:えっと……私?
GM:「ええ、そう……それにあなたのお連れさんも」
時雨:レミィの横に寄ってこよう――ん、なになに?
GM:その女性占い師は、顔こそヴェールで隠しているけど、首周りや胸元が大きく開いた、妖艶な服を着ている。もちろんスタイルは抜群だね。
時雨:おお〜〜♪
レミィ:足を踏みます。おもいっきり。
時雨:うぐッ!!……おま! それは!!(笑)
GM:レミィが風踊る妖精の美とするなら、占い師は闇へ誘い込む妖艶な美だ。
レミィ:それで、何か用ですか?
GM:「あなた達……いえ、あなたには迷いが見えます」――時雨に視線を向けて。
時雨:俺か――机の前にある椅子に座ろう。
レミィ:横で立ってる。
GM:占い師は水晶玉を取り出して――「あなた……あなたはここの住人ではありませんね」
時雨:え?
GM:「だからと言って、ゲヘナから来たわけでも、幻鏡域から来たわけでも無い……あなたはだからこそ迷っている」
レミィ:話半分。父さんと同じで占いは信じてないし。
時雨:俺は興味津々かな、言っている事は当たっているし。
GM:「フィサールの石版を集めなさい……それがあなたの未来に繋がる」
時雨:それを集めれば……俺の記憶も?
GM:コクリを頷きます――「まずは……土の棺を求めなさい」
時雨:土の棺……それを見つければ……。
GM:「ええ、きっと」
時雨:サンキュー占い師さん――立ち上がろう。
GM:「でも忘れないように……あなたが全てを思い出せば、あなたは全てを失うでしょう」
時雨:??? それは良くわからないけど……ああ、解ったよ(笑)
レミィ:私からも……とりあえずお礼は言っておくわ。
GM:「あなたは……占わないで良いの?」
レミィ:ええ、私の道は、私が切り開いていくものだから……。
GM:「そう……」
レミィ:時雨と一緒に立ち去ります。
時雨とレミィがそこを去ると、占い師は1人呟く。
「再び悲劇は繰り返えされる。そしてあなたは気が付くでしょう。人間に地上は過ぎた舞台だと……」
呟きは風と共に流れ、絶世の占い師と占い道具は、気が付けばともに灰となって消え去っていた。

◆フィサールの石版とは……

占い師に会った後も、時雨の観光気分は収まらず、結局宿屋で落ち着く頃には夕飯時になっていた。
GM:時刻は夕飯時、宿屋の一階で夕飯でも食べてるところかな?
時雨:買い食いしまくったせいで、いまいちお腹一杯だったり(笑)
レミィ:ほんっと子供よね――と呆れてる。
時雨:しょうがねーだろ? どれもこれも美味しそうだったんだから。って、それより聞きそびれてたんだけど……あの占い師が言ってたフィサールの石版って何なんだ?
レミィ:え、占いなんて信じるの?
時雨:まぁ別に信じる信じないはともかく、せっかくの手掛かりっぽい事だし、知っておいても損は無いだろう?
レミィ:GM、私はフィサールの石版って知ってるの?
GM:紫杯連の極秘事項なんだが……。
レミィ:父さんなら知ってそうじゃないかな? それなら聞いてる可能性もあると思う。
GM:……確かに。じゃあ<記憶術>か【知力】で判定してみて? 達成値4以上なら覚えていて良い。
レミィ:……うん、ちょうど4個成功!
GM:じゃあジャバールの話を覚えていた。この世界にはフィサールの4行詩という絶対的な未来を占う予言の詩があります。その4行詩の中でも一番最初に世界に現れたという詩を、1行ずつ彫りこまれた石版です。
レミィ:1行ずつ?
GM:そう。そしてその石版は6枚あると言われています。
時雨:4行詩なのに6枚あるの?
GM:そう伝えられています。ちなみにそれら全てを集めると原初の4行詩が完成し、その詩は地上への具体的な到達方法が記されていると言われる。ただし、この石版についてはどの紫杯連も極秘にしているらしい。
レミィ:そう……父さんが昔言っていた。
時雨:へぇ、なんか凄いな。
レミィ:父さんはただの噂、夢物語だって言ってたけど……。
時雨:どっちでも良いよ。それが手掛かりになるなら、俺はフィサールの石版を見つけるだけさ。
レミィ:ま……今はそれでもいいかもね。
時雨:それで? 土の棺って言うのは何なんだ?
GM:それは知りません。
レミィ:それは……解らないわ。
時雨:なんだよ。
レミィ:「なんだよ」とは何よ! 「なんだよ」とは! あなたなんて何も知らないくせに、偉そうにしないでよね!!
時雨:わ、わかったよ。ごめん、俺が悪かったって(笑)
レミィ:別に調べる手段が無いってわけじゃないわ。ここの紫杯連に行けば何か解るかもしれないしね。

◆界螺支部壊滅……

翌日。時雨とレミィは享受者から情報を集め、界螺の支部へとやって来ていた。
そこは場末の酒場を表の顔とし、裏通りに面しているせいで客は1人としていないような店だった。
GM:界螺支部の酒場に行くと、シン……と静まり返っています。
レミィ:なんか……変ね。
時雨:裏通りにあるから客が入らねーんだろ? さっさと行こうぜ?――酒場に入ります。
GM:中に入るとテーブルで酒を飲んだまま客が死んでいます。
時雨:はっ?
GM:さらにカウンターでは、店の主人役だった人が、コップと酒瓶を握ったまま死んでいます。2人とも<感覚鍛錬>で振ってみて下さい。
時雨:俺は1成功。
レミィ:私は3成功――ちょっと、これって……。
GM:1成功以上なら、ここにいた客の享受者も、紫杯連の店員も、何が起こったか理解する間もなく殺されたのが解ります。
時雨:なぁレミィ……こいつらって、自分が殺された事さえ気が付かなかったんじゃないか? でないと……。
GM:さらに3以上のレミィは、店の奥の奥から剣戟が僅かに聞こえました。
レミィ:時雨、静かに。
時雨:でないとこんなに笑ったまま死んでるなんておかしーって。それに――と気が付かずしゃべってる(笑)
レミィ:時雨! いいからあなたは黙って!!
時雨:またこれだよ(笑)――うぐって黙る。
レミィ:聞こえない? 剣戟の音……。
時雨:耳を澄ますけど……たぶん聞こえない(笑)
レミィ:まだ誰かが戦ってる……こっち――店の奥へ駆け出します。
GM:では扉を何枚か開けて、最後の扉を開けると。
ゴカッ!!!
時雨が扉を開けた瞬間、その脇に血まみれの男が吹き飛んでくる。
そして、男を吹き飛ばした張本人は……――
GM:黒い闘衣に、幅広の冥獄刀を担いだ、20前後の黒髪の青年だ。
時雨:お、お前は……!?
レミィ:息をのむ。
GM:「おや? まさかこんなところでキミと会うとはね……僕は運が良いな」
レミィ:時雨!
時雨:それは手で制す――解ってるさ。今の俺なら理解る。あいつが、一筋縄で行く相手じゃない事ぐらい。だけど、あいつが俺達を……見逃してくれるとも思わない。
レミィ:それは……。
GM:「無駄な戦いはしない方が良い……もっとも、その少年を置いて行くならキミの命は先生に免じて見逃してあげても良いよ」
時雨:レミィ……そういう事だ。ここは逃げろ。
レミィ:時雨! ちょっとあなた……どうしてそんなに時雨にこだわるの? こんな……こんな事までして……。
GM:「これは彼とは別件さ。キミ達が来たのはまったくの偶然……ただし、僕が彼にこだわるわけは簡単だよ? 彼は地上へ行く為の鍵なんだ……だから、僕は手に入れたい」
時雨:俺が……鍵?
GM:「さぁ、あまり長居はできない状況だと思うけど……いいのかい? 逃げなくて」
時雨:レミィ!!
レミィ:逃げません――私は誇り高き戦士ジャバールの娘レミィ。仲間を見捨てることも、仇に背を向ける事もしはしない!
GM:「……先生の娘を名乗るだけあって、ずいぶんと勇ましい事だ……」
レミィ:あなたは……あなたはいったい何者なの!
GM:「僕は……全ての獄を潰すもの。そして……全ての享受者を殺すもの。そうだな……昔は、漆黒の風と呼ばれていたかな」
時雨:漆黒の……風。
レミィ:やはりあなたが伝説の暗殺者……。あなたがここにいるって事は……父さんは……。
時雨:レミィ……。
GM:「さぁ時間切れだ。仲良く先生と再会するが良い」――漆黒の風は冥獄刀を振るい、衝撃波でレミィを斬りつけます。
時雨:それを黒沙刀で防御したい! 演出でって条件がつくけど(笑)
GM:別に演出で良いよ? ただし黒沙点は消費しておいてね。
時雨:了解……。じゃあバシンッ!!――とレミィの前に立って衝撃波を受け止めきる!
GM:「へぇ…」
時雨:俺を……1ヶ月前の俺と思うなよ。こういう時のために、強くなってきたんだ。
レミィ:時雨……。
GM:と、そこで2人とも<感覚鍛錬>を。
時雨:……はい、失敗。
レミィ:2個成功です。
GM:酒場の入り口付近から、何人もの気配が入ってくるのが解る――「どうやら、界螺の支部員に気がつかれたらしい。全員殺すのも可能だけど……焦る必要も無い…か」――チラリと漆黒の風が、さっき吹っ飛ばした男に注がれる。
レミィ:その人の前に立つ――大丈夫です。ここは私達がなんとかします。時間さえ稼げれば、ここの支部員が駆けつけてくれるはずです。
GM:男は界螺の支部長だったのでしょう。漆黒の風に斬られ息の漏れる喉を上下さえ――「土の棺……ヒュー……カリュオン……ヒュー……」と繰り返しています。
レミィ:土の棺? カリュオン?
GM:そう疑問に思った瞬間。漆黒の風が時雨の目の前から姿を消し、次の瞬間にはレミィの横に立っていて、その冥獄刀がヒューヒュー言っていた男の首を貫きます。
時雨:なっ!!
GM:「喰らえ……生者必滅」――漆黒の風が冥獄刀に呟くと、界螺支部長ラギンが食われたかのように消滅します。
レミィ:きょ、距離を取ります!――いつのまに!?
GM:「さぁ、キミ達もせいぜい逃げきってくれ。また今度、迎えに来る」――と言うと、奥の壁を斬り捨て漆黒の風は消えます。
時雨:助かった……のか?
レミィ:……たぶん。でも……。
GM:と言った所で時間は少しだけ巻き戻る。



GM:ファルカス。唐突だがキミは今、マホバの界螺支部へ来ている。
ファルカス:じゃあ[土の棺]を求めて事前に下見に来ていたんだろう。
GM:すると中が異様に静かだ。
ファルカス:入ってみる……そして死体に驚く――いったい誰が……こんな事を……。
GM:どうする?
ファルカス:もちろん死体を辿って、どんどん奥へ入っていく。
GM:では最後の部屋で時雨たちと合流します。



ファルカス:これはいったい……お前達がやったのか?
時雨:ファルカスさん!?
レミィ:違う……あの男よ。漆黒の風がさっきまでここに居たの。
ファルカス:漆黒の風か……。あいつと会って命があったんだ、僥倖だったな。
レミィ:命があった……というか、逃がしてもらったというか……拳を握る。
ファルカス:それより……ここにラギンという支部長がいたはずだが?
レミィ:その人ならたぶん……――と首の消滅した男の人の死体を見ます。
ファルカス:そうか……ちっ、土の棺について、また最初から情報の集め直しか。
レミィ:土の棺? ファルカスさんもそれを狙っているんですか?
ファルカス:ん? ああ、どうしても必要でね。
レミィ:それならたぶん、良い情報があります。さっきそこの男の人が呟いていたんです――『土の棺……カリュオン……』って。
ファルカス:……なるほどな。それは良い情報だ。
時雨:ってレミィ! ファルカスさん! どうするんだよこの状況! なんか沢山集ってきてるぞ?
GM:漆黒の風が開けた穴から外を見ると、数十人の界螺支部員が集りつつあります。さらに入り口からも支部員がこっちへやって来ているようです。
時雨:このままじゃ袋小路で挟まれるぞ!?
ファルカス:時雨、レミィ、その穴から外に出るぞ。逃げるにしても広い場所へ出てからが良い。
時雨:じゃあ漆黒の風が壊した壁から抜け出します。
レミィ:同じく!
GM:外に出るとすでに数十人……40人の支部員に囲まれます。そしてキミ達が出てきた支部長室の方からは――「おい、支部長が殺られているぞ!?」
ファルカス:状況は最悪だな。
時雨:ファルカスさん。師匠たちは来てないのか?
ファルカス:あいにくと下見に来ただけなんだ。セッド達とは夜中に押し入るつもりだった。
GM:では取り囲んでいる40人もファルカスに気が付いて――「おい、あの天使……」「あ、ああ、間違い無い。あいつは手配中の……」「紅牙旅団団長ファルカスだ!!」
レミィ:なんか……すごい誤解されそうな気がするけど……。
ファルカス:言い訳は無駄だろうな。なんとしてもここを突破する。あのジャバールの娘と言うなら、諦めるなよレミィ。
レミィ:もちろん。
ファルカス:時雨、修行の成果、見せてみろ。
時雨:ああ!!

――1ラウンド
[1]ファルカス(16)
[2]レミィ(9)
[3]時雨(3)
[4]40人の構成員(最後)

GM:敵は40人の界螺構成員。これはまとめて1人の敵とします。ただし敵との距離は無視します。遠距離攻撃でも近距離攻撃でも命中するし、敵から攻撃も喰らいます。
ファルカス:乱戦って感じか。
GM:イメージはそれです。
ファルカス:準備行動で【魔薬・閃】使用。通所行動で≪放ち爆ぜる炎≫……強制力3!
GM:抵抗値は2なので無理です。
ファルカス:ダメージは8点。
GM:その一撃で2人の構成員が吹っ飛びます。
レミィ:私は≪言の葉の槍よ、敵を貫け≫……強制力3だからダメージ12点!
GM:4人が倒れます。次は時雨。
時雨:俺ってさっきから黒沙刀出しっぱなしなんだけど、そのまま使ってて良い?
GM:別に良いよ、ちゃんと黒沙点も消費してたし。
時雨:やった! それじゃあ準備行動で【魂装・纏】を使って攻撃……牽制の6命中、ダメージは6点。続けて牽制……7命中でダメージ8点。3撃目も牽制……7命中のダメージ9点。最後も牽制……7命中のダメージ9点。
GM:それは痛い……8人がまとめて切り倒されます。
ファルカス:なら最後の一撃には≪貫き焦がす炎≫を付与する。最後だけダメージ+4だ。
GM:8人ではなく9人が倒れました。ギリギリ避けたと思った9人目は、突如伸びた黒い炎に焼かれて倒れます。
時雨:今のは!?
ファルカス:ニヤリと笑ってやろう(笑)
GM:ではこっちの行動ですね。攻撃は……時雨だ。
時雨:来い!!
GM:全て通常で行います。最初は4命中の9点ダメージ。
時雨:<防御>する……駄目か。4点だけ通った。
GM:2撃目も3撃目も4命中の11点ダメージ。
時雨:<防御>……失敗。<防御>……失敗した〜!3連続でたこ殴りにあって生命力が16点も削られた。

――2ラウンド

ファルカス:再び≪放ち爆ぜる炎≫……あれ、強制力が2しかない。これは悔しいな……邪霊の囁きに頷いて、堕落ポイント1点溜める。1つ成功にして強制力3。ダメージは8点。
GM:2人焦げた。
レミィ:≪言の葉の槍よ、敵を貫け≫……強制力2! はまずいから補正して強制力3にする。これで敵に12点ダメージ。
GM:今のでちょうど20人以下まで減ったね。それでもまだまだキミ達を取り囲む輪は小さくならない。
レミィ:本当に……どこからこんなにたくさん、わいてくるのよ!――もう気力が残り11点しかない。あと2ラウンドは持たないよ?
時雨:大丈夫、俺がなんとかする!
GM:次はそんな時雨。
時雨:準備行動で【魂装・撃】使用。そして牽制……4命中のダメージ11点、2撃目牽制……8命中のダメージ9点、3撃目牽制……10命中の9点ダメージ! 最後【魂装・纏】で増えた4撃目――
ファルカス:それには≪貫き焦がす炎≫……ダメージ+4!
時雨:渾身の命中3命中! ダメージ25点!!……どうだ! これが修行の成果だ!!!
GM:一気に15人が吹っ飛んだ!? ありえない、なんだその攻撃力の高さは!?
ファルカス:黒沙刀の基本威力が高くって、それに魂装の溜めてある闘技チット分ダメージブーストが入るから、連劇回数が増えればそれだけ総合ダメージは増える。
時雨:……です(笑)
GM:もう残り2人か……せめて1人ぐらい……は、無駄だな。命乞いをしながら逃げ出します――「た、助けてくれ〜」

――3ラウンド

GM:残った2人は逃げに入っています。このラウンドで攻撃せずに見逃してくれるなら、戦闘は解除です。
ファルカス:≪放ち爆ぜる炎≫……強制力3、ダメージ8点。
時雨:!? ファルカスさん! あんた……何やってるんだよ!!!
GM:ファルカスの放った黒い火球により残り2人が黒く焼かれて倒れます。
レミィ:ファルカスさん! 逃げてる者を後ろから攻撃するなんて……。
時雨:あんたなぁ!!!――ファルカスに掴みかかる――なんで! なんで殺すんだよ! あいつ等は命乞いしてたじゃねーか!
ファルカス:確かにそうだな。だが生かしておいて何になる。
時雨:そりゃあ……あいつらが……生き残る。
ファルカス:生き残ってどうなる? アイツ等が生きていたら、あの支部を襲ったのが誰だと報告する?
時雨:それは……俺達だ。けど! だからって殺すのかよ!!
ファルカス:お前の言っている事は正しい。だがな、俺のやった行動も、間違ってはいないんだ。
時雨:ぐっ……。
レミィ:ファルカスさん、時雨! 今のうちに!
ファルカス:頷いて――この世界で生きていれば、いずれお前もわかる日が来る。
レミィ:時雨、行きましょう。今するべきは、ここで立ち止まる事じゃないわ……。
時雨:そうだな……今は、前へ進もう。
ファルカスが、レミィが、そして時雨が……その場をあとにした。
一瞬だけその場を振り返ってみれば、そこには40人の死体が……。
時雨:これが……俺が求めた力なのか?
夢は地獄で目を覚ます……。
なぜならここは……地獄なのだから――
時雨:こんなのに……こんなのに憧れてたわけじゃないのに!!!!!
ゲヘナ〜アナスタシス〜リプレイ
『夢は地獄で目を覚ます』 

次回予告――

フィサールの木。

かつて狂気の吟遊詩人フィサールは、この木の下で愛する妖霊に歌を聞かせたと言う。
カリュオンへの道中、シグレ達はフィサールの木の下で、人間の少女と妖霊の少年と出会う。
しかしそれは、決して結ばれぬ運命の縮図だった。
運命は変えられないのか、変えられないから運命と呼ぶのか。
天使兎が飛ぶ街で、それでも明日はやってくる。


ゲヘナ〜アナスタシス〜リプレイ
幻想刀士伝
第2話『歌う少女と妖霊の夢』

邪霊の囁きが、キミを現実にする。

TOPリプレイ ⇒ ゲヘナ〜アナスタシス〜                    戻る