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セブン=フォートレス アドヴァンスト
Prologue an Evil Beast of RUBY

紅漆の決闘場

第7話「最終回:紅漆の決闘場」



魔方陣はその中心に黒い穴が開いており、
紅い光は全てその冥界へと繋がっているような底暗い穴へと吸い込まれていた。
そこは幾人もの人間が死んでいた。
そのほとんどがたった今殺されたかのように血溜まりを作って倒れている。
死んでいるのは、2種類――傭兵と黒ローブ――だった。
傭兵たちはアラムートで消えたと噂された強き者達、
黒ローブは直前まで儀式の準備に従事していた闇の宗教の魔導士達だった。
そして、今、魔方陣の上に立つのは2人。紫ローブの男と、黒い鎧の騎士。

今、物語は急転直下を迎える!!

シーン1:なんだこのプレッシャーは!!

ナオヤ:もうバンデッドは戻ってきたんですか!?
GM:いや、バンデッドはプラチナの鎧とハルバードだから、ゲンマの横にいるのは闇の宗教が幹部、闇騎士。
ナオヤ:なるほど。
GM:ちなみに闇騎士は儀式を進めている。暗い穴の中からは、何かが出ようとしているが、何か結界にでも阻まれているのか、バチバチバチッ! とスパークが飛び、こちら側へ来れないようだ。ナオヤとジャニスは【信仰心】でジャッジしてみてくれ。15以上ね。
ジャニス:(コロコロ)……28です。
ナオヤ:【信仰心】2の僕に何を……おお! クリティカル!!……16です! 最終回のご加護?(笑)
GM:では解る。女神の封印が効いていて、魔王は出れないようだ。
ナオヤ:走って魔方陣まで行きます。
ジャニス:「ナオヤさん危ないです!」――1人で行かないで下さい(←本音か(笑))
ナオヤ:ああ、『超病弱』で走ると気絶だっけ?(笑)
GM:しかし、偶然とはいえ、ジャニスの指摘は正しい(笑)――「<羅刹・伍ノ巻 皆 >!!」――との声と共に、ナオヤの一歩先を攻撃力50の光柱が立ち上り大地をえぐる!!
ナオヤ:羅刹って事は……「バンデッド!!!」
GM:その通り、魔法で現れたバンデッドがいる。
ジャニス:「バンデッド、ヒルダさんをどうしたんです」
GM:「ふっ……さぁな」
ナオヤ:「まさか!?」
GM:とナオヤの詮索を遮って、闇騎士が話し出す――「さぁ役者は揃った。今こそ女神の封印を断ち切り、魔王グルング様復活の時……」
ナオヤ:「そんなことは、女神レイドの名にかけて許さない!!」
GM:闇騎士の前にずいっと出ると、バンデッドが言う――「幕引きは俺がする」――バンデッドは手をゲンマに差し出すと、バンデッドはゲンマから不思議な手鏡を受け取る。
ナオヤ:あれは紅玉の……。
GM:バンデッドは手鏡をナオヤに向ると、そこから紅い光線がナオヤに走る――ナオヤは【神力】で対抗ジャッジだ!(コロコロ)……20。
ナオヤ:(コロコロ)……12です。無理。
GM:ナオヤは精神的な鈍痛に耐えるが、今にも倒れそうです。
ナオヤ:では僕も倒れておこう。
GM:ジャニスだけが見る。ナオヤから浮かび上がった等身大の美しい女性の姿を……その女性は紅いクリスタルに入っており、意志の疎通は難しい。
ナオヤ:レイドですね
ヒルデガルド:「ああ、女神様」……(一同大笑)――今、私は素だったのですが(笑)
GM:まぁ確かに女神様だ(笑) そして闇騎士が――「そして、これで封印は解ける!!!!」――闇騎士の手から生まれた闇の波動が、その紅いクリスタルを女神ごと貫く!
ナオヤ:「女神が…封印を解く鍵……」
GM:その瞬間!!『キーンッ!!』という音を響き渡らせ、女神のクリスタルが砕け散る!!!
ジャニス:「とうとう――」
ナオヤ:「――魔王が――」
GM:女神が消えると共に、魔方陣の中心、黒き穴のスパークが消え去る!
ナオヤ:「――魔王が復活してしまうのか!?」
GM:「さぁ今こそ復活の時! 我らが前に、その姿を現したまえ!!!」――闇騎士の声と共に、タウラギリ島に地鳴りが響き、地鳴りがおさまると、それに呼応するように『ぉぉおおおおぉぉぉぉおおお〜〜〜!!!』との叫び声が聞こえる、しかも、ナオヤ達は死より恐ろしい威圧感を感じる!!
ジャニス:「ナオヤさん!?」
ナオヤ:「なんだこのプレッシャーは!!」(笑)
GM:空は黒、稲妻が走り! 風は冥界の瘴気を運ぶ!! そして暗黒の穴から美しくも神々しい青年が、眼を閉じたまま現れた!!

シーン2:もしもの時、昔を思い出してくれ

ナオヤ:「復活を阻止できなかったのなら、命に代えてでもお前達を倒す!!」
GM:いいだろう、ここからは戦闘に入ります。
ジャニス:うわぁ〜勝てませんよ!
ナオヤ:遂に魔王が復活しちゃったしなぁ……。
GM:まぁ最初のターンは魔王は復活したてのペナルティで動けないから、しかも、闇騎士も儀式の完了(後始末とも言う)で動けない。だから第1ターンだけは、敵は2人(ゲンマ、バンデッド)と考えればいい。
ジャニス:それでも……。
ナオヤ:ええぇい!! とにかくやるっきゃない! (コロコロ)……バンデッドに斬りつけます! 命中は28!!
GM:(コロコロ)……回避26、ギリギリでバンデットは避けそこねた。
ナオヤ:(コロコロ)……ダメージは56点だ!
GM:ふっふっふっ、それは(コロコロ)……おお!? こっちも56で防いだ(笑)
ナオヤ:なに〜!? 互角だって!!
GM:鍔迫り合いってやつだね。そのままナオヤに語ろう――「ナオヤ、もしもの時は、昔を思い出してくれ」――昔の優しい瞳のまま。
ナオヤ:「バ……テル!?」――1回距離を取ります。
GM:ではナオヤが離れた瞬間、バンデッドは魔法を使って瞬間移動して消えます。
ジャニス:「バンデッドが…!?」
GM:NPC達も驚く、闇騎士:「バンデッド!!」 ゲンマ:「な、なんだと!?」
ナオヤ:なんか最後に……燃えるなぁ(笑)
GM:次はゲンマが攻撃するぞ、ナオヤに向かって――「双幻光紫<イル・イレイザー>」
ナオヤ:避けませんよ!……「貴様の魔法など効くか!!」
GM:「おのれ…レイドの力か……」
ジャニス:ゲンマに魔法で攻撃します――「落雷<ヴォウク・タン>!!」――命中が14です。
GM:(コロコロ)……30で"受け"た。ダメージはいくつ?
ジャニス:(コロコロ)……ダメージは37点。
GM:(コロコロ)……それはゲンマの胸から、自動で動く魔法の鞭が飛び出し、ジャニスの放った魔法を叩き落す、落雷はそれによって消え去る。では両方とも魔法が効かなかった。とここで、ナオヤとジャニスは【精神】ジャッジをしてくれ15以上出なかったら精神に異常発生!
ナオヤ:(コロコロ)……19で成功。
ジャニス:私は16です。このタイミングって事は……。
GM:そうか2人とも成功したか。
ナオヤ:「これが……魔王の圧迫感なのか……」――魔王の方へ視線を向けます。
GM:ゲンマや闇騎士も、その威圧感に押されて攻撃の手を止め、魔王を振り向く!
ヒルデガルド:GM!! ちょっといいですか!!! その時シーンが変わって、誰かの走っている足だけが映ります――「……急がなきゃ……」(一同爆笑)

シーン3:やれやれ…拍子抜けだな

それは眼を開いていた。民族衣装のような神官服を来た美青年。圧倒的な威圧感を身に纏った紅き瞳の――魔王が――
GM:「ここは……ラース・フェリアか……」――1歩踏み出し腕を"ブンッ"と一振りすると、北のほうの崖まで亀裂が入る。(コロコロ)……ちなみに攻撃力は154だってさ(笑)
ナオヤ:無理無理無理。
ヒルデガルド:方向転換しましょうかね(笑)
GM:「この波動…3女神?……いや、その末裔…といった所か? ――貴様か」――ナオヤに視線を向ける。
ジャニス:「あなたが魔王であろうと、ナオヤさんには指一本触れさせない!」(一同爆笑)
ナオヤ:ああ、なんか守るべきはずのジャニスに、僕が守られてる(笑)
GM:では魔王は邪魔げに、ジャニスへ魔法の波動を飛ばします。
ジャニス:死にますね(笑)
ナオヤ:かばいます!!――「ジャニス!!!!」
GM:では魔法なのでノーダメージ(笑)――「ほう、おもしろい……」――ちなみに魔王のパラメーターは 命中回避:90 攻撃:150 防御:100 魔導:20 神力:55 練気:20 INS:45 だから(笑)
ジャニス:勝てませんよ そんなの!!!
GM:あ、HPは3000ぐらいね(笑)
ナオヤ:あ〜、せめて800ぐらいだと考えて必殺技を考えていたのに……(笑)
GM:それでは遠慮なしに戦闘ターンに入ります。(コロコロ)……魔王のINSは61です。
ジャニス:27です。
ナオヤ:頑張ったんですが41が限界です。プラーナ的にも(笑)
GM:では魔王から、手刀をナオヤへ(コロコロ)……命中96。
ナオヤ:無理ですよ……回避は25です。
GM:(コロコロ)……攻撃力は153点。
ナオヤ:これってどーやって生き残れと(笑)
GM:さぁ(笑)
ナオヤ:防御は38ですから……HPがマイナス57ぐらいです。倒れましょう(笑) コレ(白紙のバーニングカード)を使う…のは、もうちょい後で……「魔王と、これほどの差があろうとは……」
※白紙のバーニングカード――すでにのバーニングシステムという単語をお忘れだと思うが、白紙のバーニングカードとは、その名の通り、カッコよければ何を起しても許される、バーニング許可証である。
GM:次のカウントでジャニスの目の前へ瞬間移動。さらに魔法で攻撃(コロコロ)……命中55。
ジャニス:無理です。
GM:魔法ダメージで108点です。死んだかな?
ジャニス:神力は高くても……マイナス27です――「ナオヤさんを守れないなんて……ぐはぁ…」
GM:「これが女神の力を継ぎし者か? やれやれ…拍子抜けだな」
ヒルデガルド:ここで!! 上空から光とともに急降下します――「うわあぁぁぁぁ〜〜!!! ハプスブルク・クラッーーーシュ!!!」――魔王をふっ飛ばしたいです(笑)
GM:では魔王は腕で防ぐけれど、ズズズ……と押される。
ヒルデガルド:くるくるくる…すたっ!!
ジャニス:「ヒルダさん!!」(一同大笑)
ヒルデガルド:バーニングで私は生き返りました! なんと"地味"な格好をした、"普通"の漁師の夫婦に"偶然"助けられたって話です(一同大爆笑)――「さっき感じた邪悪な気…あなたが魔王グルングね!!」

シーン4:あなたは絶対に許さない!!

絶望的な魔王との力の差、ナオヤもジャニスも魔王に絶望するしかなかった。
そんな時、天から響き渡る彼女の声! 今ここに派手に登場!!
ヒルデガルド:「ナオヤさん、ジャニスさん……この2人をボコボコにしたのはあなたね!」
GM:「ふっ、軽く触れてやっただけだが? この冥界の王グルング様に楯突くなど、愚かな人間だったな」
ヒルデガルド:「許せない……あなたは絶対に許せない!!」――バーニングカード!『貴様だけは許すことができない!』
『貴様だけは〜』――回避/INS×1.5 他戦闘能力×2 3R持続
GM:ヒルダの怒りと共に、緑色のプラーナが渦を巻いた!――「こ、こんな馬鹿な……人間ごときが……」
ジャニス:私もまだ死んではいません! 白紙のバーニングカードを使用します!――「辛い運命でも従わなければならない事もあります。でも! 今はその時じゃないわ!!」――倒れているナオヤさんを守るように、ヒルダさんの横に並びます!
ヒルデガルド:「ジャニスさん!?」
ジャニス:「ナオヤさんはきっと起き上がります(笑) この世界を救うために立ち上がってくれます!」
ヒルデガルド:「なら私達は、その希望を繋げる礎となりましょう!」――希望を託す必殺技を撃ちます!――「撃滅森怨妖刃<げきめつしんおうようじん>!!」
撃滅森怨妖刃――ヒルダのオリジナル剣技、命中+10、攻+4、と微妙に名前負けな技である。
ヒルデガルド:(コロコロ)……ファンブル〜!!(一同爆笑)
ジャニス:何やっているのですか!!
ナオヤ:真面目にやれよヒルダ!!
ヒルデガルド:あっはっはっはっ(笑)
GM:(コロコロ)……避けたね――「小賢しい事を……」
ヒルデガルド:「普通に戦って倒せる相手じゃないみたいね」
ナオヤ:クリティカルすれば倒せるんじゃないか。
ジャニス:ファンブルしなければ大丈夫だったのでは?
ヒルデガルド:みんなが虐めるよ〜(笑)
GM:と、そんな所で突然魔王が苦しげに叫び出す!――「グオオオオオオーー!?」
ジャニス:「い、いったい……」
GM:魔王の後ろから、後光のように紅い光が輝いている。
ヒルデガルド:「あの光は……」

シーン5:我が奥義見せてやる!

紅い光を受けて、悶え苦しむ魔王グルング。魔王の後ろにヒルダ達は見たのだった。
人の魂を紅玉へと封じる、あの手鏡を持ったバンデッドの……いや、テルの姿を!!
ヒルデガルド:せ〜の!
ヒルデガルド&ジャニス:『テルさん!!』(←ハモリ&ちょっとの間をおいて一同大爆笑)
GM:"せ〜の"ってあんたらねぇ(爆笑)
ヒルデガルド:いや〜、やっぱ声を揃えて叫びたいじゃないですか〜(笑)
ジャニス:見事でした(笑)
ナオヤ:い〜な〜、僕も一緒に叫びたかったよ(笑)
GM:「貴様!?」とばかりにゲンマの鞭がテルの手鏡を叩き落とす! 手鏡はテルの手を離れ大地に落ちると高い音を立てて砕け散る。しかし、魔王の絶叫は終らず、女神の時と同じように、紅いクリスタルに封じられた美しい青年が浮かび上がる。魔王の肉体はそのまま倒れる。
ジャニス:「このクリスタルは……魔王を封印した!?」
ヒルデガルド:「テルさんはやっぱり!!」
GM:闇騎士が言おう――「裏切ったな!!!」――その台詞にテルが、ナオヤの方に意識を向けながらも、闇騎士達にハルバードを構えて言う――「悪の芽は摘むだけじゃだめなんだ! 元から断たないとな!!」
ヒルデガルド:かっこいい〜!!!
ジャニス:テルさんバーニングですよ(笑)
GM:そのままテルがプラーナ解放――「……我が奥義見せてやる! "臨""兵""闘""者""皆""陣""烈""在""前"………""爆""!!!!!」
ヒルデガルド:その技は!?
GM:テルは光り輝くハルバードと共に、クリスタルへと精神を封じられた魔王に突っ込む!
ジャニス:剣技闘気法"滅"の自爆技ですか?
ヒルデガルド:「テルさん!? テルさーーーん!!!」
GM:と、テルの前にクリスタルを庇おうとゲンマが現れる! しかし! テルの勢いは殺がれる事無くゲンマの下半身を吹き飛ばす! が、ゲンマの半壊にダメージが半減させられたのか、クリスタルが壊れることはなかった。ただ、そこに開いたままであった冥界への穴へとクリスタルが吸い込まれていく、それを追うように落ちていくゲンマの体とゲンマの鞭……そして、光が収まった時、テルの姿はそこになかった……。
ジャニス:いったい、どうなったのですか!?
GM:簡単に言って、精神を封じ込められた魔王の紅玉のクリスタルと、ゲンマが冥界の穴へと落ちていったんだ――「いつか、いつか必ず戻ってきて……必ずや魔王様の復活を……」とかゲンマはいいながらね(笑)
ヒルデガルド:ああ、良くある台詞(笑)
ナオヤ:僕は倒れながらもその光景を見ます。そして……「テル、そうか君は闇の宗教を倒すために、闇の宗教へとその身を投じたんだね……それを見抜けなかったなんて……こんなところで倒れている場合じゃない!!!」――剣を握り締めながら立ち上がります!!
ヒルデガルド:「ナオヤさん!?」
ジャニス:「ナオヤさん!!!!」
ナオヤ:「ジャニス、ヒルダ、心配をかけたね。僕はもう大丈夫……さぁ、残るは1人だけだ」
ジャニス:「はい!」

シーン6:貴様は僕が滅ぼす!!

GM:では残った1人、闇騎士がわなわなと震えた声で呟く――「そんな、そんな魔王様が……」――すでに冥界への穴は閉じてしまい。闇騎士は魔王の空になった体のそばに膝をつく。
ナオヤ:その魔王の体っていうのは、いわば抜け殻ですよね?
GM:そうだね。魔王の精神は紅玉のクリスタルに封印され冥界へと落ちていったからね。
ナオヤ:なら警戒するのは闇騎士だけか――「魔王復活は阻止された。あとはお前だけだ!」
GM:闇騎士は1人……「魔王様……すべてお前達のせいだ」――と闇騎士がナオヤ達に向きなおると。その瞬間――『グォオオオオォォォォォォーーーー!!!』――と地の底から響き渡るような叫びと共に、コレ(盤上の魔王の体を指差す)が立ち上がり、闇騎士の胸を後ろから手刀で刺し貫く!!
ジャニス:うあぁ〜。
GM:「ま、魔王…様!?」
………………………………………………………………………………………………
 ――な、なぜこんなことになったのだろうか……。
  貫かれ致命傷を負いながらも、意識だけはしっかりしていた。
  ――なにが、いったい何が……このままでは、全てが無に帰してしまう……。
  瞬間的に複雑な儀式魔法が頭の中で描かれ、それは急速に失われつつある生命力を糧とし発動した。
  ――我が盟友、闇騎士たる同志ユーザンよ。タウラギリ島はもう駄目だ……。
  その魔法は血を媒介とした通信魔法だった。代償は使用者の生命力
  ――憎らしきはバンデッド……いや、空の神官テルよ!……。
  零れ逝く記憶を感情に乗せ、儀式魔法を完了する。
  ――……あとは…………お前に…………。
………………………………………………………………………………………………
GM:闇騎士が倒れます。そして魔王の腕からは血が滴り落ち、倒れた闇騎士はピクリとも動かない――死亡しました。
ヒルデガルド:びっくりマークだけで喋ってみます――「!!!!!」(笑)
GM:美青年だった魔王の体がみるみる変異していく、爪は伸び、髪は乱れ、肌は黒く濁り、なによりも体全体が巨大な獣のように変化していく。
ナオヤ:「精神を失って体が暴走しているのか!?」
GM:ナオヤの言うとおり、魔王の"精神力""知力""信仰心""幸運度"はゼロに成りました。戦闘能力も修正されます。
ジャニス:もしかして"神力"とかゼロですか?
GM:ゼロです!
ヒルデガルド:魔法ダメージに変えられればなんとかなりますね!
ナオヤ:希望が見えてきた!(笑)
GM:魔王は体の変異を完了して雄叫びを上げます。その声に理性の欠片も見当たらない
ナオヤ:「貴様のせいでテルはいなくなってしまった。貴様さえいなければ……魔王グルング! 貴様は僕が滅ぼす!!」――バーニングカード『おまえは生きていちゃいけない人間なんだ』を使用します
『おまえは生きて〜』――回避/INS×2 他戦闘力×3 対象が倒れるか逃げるかするまで持続する。
GM:では魔王はナオヤのプレッシャーに反応したのか、左手をブワッと振るうと、その腕から瘴気が漏れ、地割れを引き起こしながら、この島の山を打ち壊す
ジャニス:精神が無くても肉体のみの威力は前と変りませんね
ヒルデガルド:筋力や器用度が下がったわけじゃないから、物理的な攻撃力は落ちてないでしょう。もっとも、もう魔法ダメージが来る事はなくなったと思いますが……
ナオヤ:僕は魔法で来られてもなんにも問題無いけどね(笑)……ではバーニングもしたことですし、気を取り直して、魔王へ攻撃しましょう(コロコロ)……78で命中!
GM:(コロコロ)……甘いな92で回避だ。
ナオヤ:まだまだ足りない!?
ヒルデガルド:やっぱりバーニングで倒すしかありませんよ!
ナオヤ:いや、それは最後の手段だ。プラーナを解放します!
GM:ではこっちから攻撃しよう。魔王はナオヤに攻撃(コロコロ)……命中93、ダメージは156点!
ナオヤ:(コロコロ)……厳しいな回避できません。こっちもバーニングで強くなっているとはいえ……26点通りました……このままじゃジリ貧で死んでしまう。
ジャニス:私は2人のように戦闘能力が数倍になっていませんから、一撃で落ちます(笑)
GM:ではお約束、魔王は2回攻撃です(笑)。2回目もナオヤに攻撃します。
ナオヤ:それはまずいです。重症確実になります。
GM:はい命中が(コロコロ)……94です。
ナオヤ:……当たりますって!
GM:ダメージが……おおクリティカル!……おおおクリティカル!!……170点です!
ヒルデガルド:「ナオヤさん! 大丈夫ですか!?」
ナオヤ:なんとか……(コロコロ)……ギャー! ファンブルった〜!? 死ぬ死ぬ(笑)
ジャニス:ではここで使いましょう――「ナオヤさん!!!!」――『させるかぁ!』のカードを使います! ちょっと使い方が違うかもしれませんが、ナオヤさんへのダメージを全部私が受けきります。庇う演出でお願いします。
GM:了解した。では魔王の攻撃がナオヤへ致命的に入ると思った瞬間! ナオヤの目に信じられない光景が飛び込んで来る!
………………………………………………………………………………………………
「ジャニス!!」
膝を尽き、絶対絶命の危機を救ったのは、ずっと一緒に旅を続けてきた仲間だった。
「ジャニス! どうして!?」
それは、自ら命をかけて守ろうとした女性だった
「ナオヤさんが神に祝福された存在だって、気がついたのは私が最初なんですよ……だから……だから、これからも信じます。ナオヤさんなら世界を……」
そう言ってジャニスは倒れ付した。
安心しきった――まるでいい夢を見ているような――寝顔のままで……
………………………………………………………………………………………………
ナオヤ:「ジャニスーーー!!!!」……ジャニスに駆け寄ります。
ヒルデガルド:「嘘……嘘でしょ! 嘘でしょジャニスさん!!!」……駆け寄って涙を零します。
ナオヤ:ここで"チームの白紙バーニングカード"の使用を宣言します!
"チームの〜"――パーティーで1枚、全員の合意のもと使える白紙バーニングカードを渡していたのです。
ナオヤ:使用方法は『女神の力の解放』です! みんな異論はあるかい?
ヒルデガルド:無いです!
ジャニス:それでこそナオヤさんです!!
GM:では女神の力の解放という事で、GMが1つイベントを起しましょう。
ナオヤ:イベント?
GM:そう、別名『残っている伏線の消化』ともいう。

シーン7:私がもう1人の女神の末裔……

その時流した涙が、ジャニスの脇に落ちていた煌く欠片へと触れた。
それは紅い光を反射させると、その光はヒルダを貫く。
「うわぁぁぁぁ!?」
ヒルダの叫びと共に、1人の女性が姿を浮かび上がらせる!
それは――
ナオヤ:「女神レイド!!」
ヒルデガルド:なんで私から女神の力が!?
GM:ほら、前にエンジェル湖に言ったとき、2人の女神が言ってたでしょ?――『女神レイドの力を継ぎし者は、もう2人しかいない』――って話。
ヒルデガルド:でもそれはビレタ村出身のナオヤさんと、テルさんの2人じゃないんですか?
GM:本当にそうかな?
ナオヤ:…………あ!? 違う! テルは確かビレタ村の出身じゃないよ!
ヒルデガルド:へ???
GM:そう。テルは祖父の代でビレタ村に移住してきた旅商人の家系だよ。しかも本人が『俺はビレタ村の出身じゃないぞ!』と言っている。(注:リプレイ第1話参照)
ヒルデガルド:そういえば、そんな設定をプレイヤーがいた頃叫んでいたような(笑)
ジャニス:でも、それでテルさんがレイドの末裔では無いという事はわかりましたが、なんで、ヒルダさんが末裔なのですか?
ヒルデガルド:そうですよ。私はビシィルの民ですから(笑)
GM:じゃあ、そのビシィルの民は何を目的としていた一族か覚えているかな?
ヒルデガルド:さぁ(笑)
ナオヤ:ヒルダが忘れてどうするんだよ!(笑) 確か『森を守る』とか何とか言ってませんでした?
GM:そう、ビシィルの民とは、ダンガリの森を守りながら、森の中を移住する放浪の民だ。そしてその目的は森全体を守ることによって、ビレタ村を……ひいては女神レイドの地(血)を守るのが目的だったんだ。つまり、ビシィルの民とは、昔、レイドの末裔たるビレタ村の住人が組織した。自警団的な兄弟村なんだ。
ヒルデガルド:はぁ〜……。
ナオヤ:ビレタもビシィルも同じレイドの末裔だったのですね。そう言われてみれば、村の名前の語呂も意味合いも似ている(爆笑)
ヒルデガルド:それは偶然だから(笑)
GM:そうそう、エンジェル湖から戻って、闇の結界に覆われたアラムートに入ろうとした時、結界に阻まれて入れないところをナオヤ達はすんなり通ったでしょ? みんなは女神に祝福されたからだと、言っていたけど、本当はナオヤとヒルダに反作用を起して、結界が退いたんだ
ジャニス:え? でもそれでは、私が1人結界を通れないのではないですか?
ナオヤ:そういえば……。
GM:ではあの時、君達はどういう順番で結界を通り抜けたかな?
ナオヤ:え〜と、僕、ジャニス、ヒルダだったかなぁ?
ジャニス:私が真ん中だったのは覚えています。
GM:つまりジャニスを真ん中に置くことによって、結界が閉じる前に、最後尾のヒルダの女神の力で、結界を再び開き、2人の間に挟まれた状態だったジャニスも、無事に結界を通れたんだ。あの時、ジャニスが1人で通ろうとしたら、通り抜けられずに結界に弾かれる予定だった。
ジャニス:なるほど。
ヒルデガルド:気がつかない内に、そのような伏線を張っておくなんて、驚きました。
GM:さて、一通り伏線の解説も入ったところで、本編へと戻りましょうか。
ナオヤ:じゃあ、ヒルダがんばってくれ!
ヒルデガルド:ふっふっふっ…せっかくの力です。見せ場を盛り上げますよ――「この力は……ジャニスさん!」――ジャニスさんに手をかざして生き返らせたいです!
ジャニス:なんですって!?
ナオヤ:魔王はどうするんだ!?
ヒルデガルド:魔王を倒すのは、あくまでナオヤさんの仕事です。私達はその瞬間を彩る花みたいなものですから(笑)
ナオヤ:くっ! 僕にかっこいい場面を考えておけって事か!(笑)
ヒルデガルド:そういうことです(笑)
GM:ではジャニスは信仰心ジャッジ! 20以上で生き返るって事で
ジャニス:わかりました。信仰心は13なので大丈夫……かな?
ナオヤ:生き返るんだジャニス! 7以上だから期待値だよ!
GM:そして6以下の期待値で死亡(笑)
ジャニス:不吉な事を言わないで下さいよ!(コロコロ)……8!! 成功です!!!
ナオヤ:良かった〜!
GM:ではヒルダの体から女神レイドの力が急速に失われていくのがわかる。そしてジャニスは死の淵から女神レイドによって引き戻される。ビジュアルで言うと、ヒルダを包んでいた女神の光が、ジャニスへと移って行く感じだ。そして、そのまま女神レイドの記憶や力を発現する! ジャニスは女神の力を普通に行使していいよ。
ナオヤ:ジャニスが女神レイド?
GM:まぁそんな感じかな。
ヒルデガルド:ちょうどいいじゃないですか! ビレタ村出身のナオヤさんにとって『守るべき人』は女神レイドなんですから!
ナオヤ:おお!! 確かにそうだね!!!
ジャニス:ではやはり、ナオヤさんの『守るべき人』は私で良かったんですね(笑)
GM:なんと、俺の知らない所で、各自の伏線が符号していっている(笑)
ヒルデガルド:S=Fすげ〜(笑)
ジャニス:「わ、私……ヒルダさん。まだ、私は死ぬ運命では無いようですね……」
ヒルデガルド:「そうです! あいつをこの世界から消滅させるまで、せめてそれまでは! 私達は生きなくちゃいけない!」
ジャニス:このままヒルダさんと同時に攻撃できませんか?
GM:イニシア無視だけどOK! 熱いから許します!
ジャニス:では女神の力を魔法に載せて、全部のMPを解放して魔王に打ち出します!
GM:ではその光に魔王グルングは、眩しそうに手で眼を覆うよ。
ヒルデガルド:そこに飛びながらレイピアで滅多刺しにします!
ジャニス:私の魔法は右腕とかを打ち落としたいです!
GM:(なんか滅茶苦茶いっとらんか? まぁHPを1/4ほど減らせばいいか……)――では、魔王の右腕がジャニスの魔法で吹っ飛び、ヒルダのレイピアが魔王を穴だらけにする。
ヒルデガルド:「これだけやれば、さすがの魔王も……なに!?」
GM:なに?って、そのリアクションは再生して欲しそうだな。
ジャニス:なに言っているのですかヒルダさん!!
ヒルデガルド:いや〜(笑)
GM:では、魔王は咆哮をあげると、その瞬間、レイピアに貫かれた穴が肉によって内側から塞がり、さらにその部分からヌラヌラとした触手が這い出てくる。ジャニスが打ち落とした右腕のあった場所からも、数本の触手が生える。
ジャニス:ぐはぁ!
ナオヤ:グロッ……。
GM:その触手が一斉に2人へ攻撃しよう。複数攻撃かつ、全方向攻撃だから……命中値を1.5倍して……複数回攻撃は……2D6でいいか……。
ジャニス:これは本気で死ぬような……せっかく生き返ったのに申し訳ないです。
ヒルデガルド:ナオヤさん!? 『グロッ』とか言ってないで、そろそろ起きてください!
ナオヤ:う〜ん、確かに……わかった! ここは死ぬかもしれないけど、やってしまおう!

シーン8:世界は僕が守る!!

ジャニスとヒルダ、2人の攻撃を受けても魔王は倒れない。
あろうことか、その攻撃力を増すばかりだった。
新たに増えた触手の無差別攻撃によって、ジワリジワリと2人は追い詰められていった。
その姿はすでにボロボロ、立っているのもやっとという所だ。
GM:てな感じで。
ヒルデガルド:一瞬で死にそうです!(爆笑)
ジャニス:さっき生き返って、1行動もとってないです!(爆笑)
GM:それもこれも、ナオヤの一言が悪い。
ヒルデガルド:ナオヤさん、ここで決めて下さいよ!
ジャニス:決めなかったら恨みますから!
ナオヤ:わかった。任せてくれ!――『……結局みんなを、ここまで傷つけてしまった。テルも冥界へと行ってしまった。思えばこれは、俺と……女神レイドと、魔王の、因縁の戦いだったんだ……。これ以上、みんなを傷つけさせはしない!!!』――白紙のバーニングカードを使用! 全ての戦闘能力を×5倍にしたいです!
GM:了解! ではそのナオヤの気配に魔王が気がつ――
ヒルデガルド:ちょっと待った!! そこで私も叫びます! 「ハプスブルクの血統よ! 今こそ私に力を!! ……これだけは外すわけにはいかない!!!」――レイピアを構えて疾駆します!
GM:ぐあぁ! カウントも関係なしに突っ込んできやがって! しかも避けるなと台詞で言っている(笑)
ヒルデガルド:魔王の横腹を切り裂いて、魔王の後ろへ着地! ナオヤさんから魔王の注目を逸らします!
GM:では、その言葉に甘えて、魔王は後ろを――ヒルダへと向き直って、プラーナを凝縮した波動を打ち込む! 絶対命中の400ダメージね。
ヒルデガルド:それは……私は光の中に消えていきましょう(笑) そして最後に言います――「ナオヤさん、あとは…任せ……ます…………ガクッ」
ジャニス:「ヒルダさん!!!!!」
ヒルデガルド:さらにバーニングカード『君は笑顔で……』を使用します!!
『君は笑顔でいる方がいい……がくっ/あとのことは頼んだぜ……がくっ』――自分が死亡した時、自分の気にいっているキャラクター1人の、回避/INSを×2 他戦闘能力を×3させる。
ヒルデガルド:もちろん対象はナオヤさんです!
GM:では5倍された所に、さらに3倍される。
ジャニス:15倍ですか!?
ヒルデガルド:言葉には出しませんが……光に薄れていく私のアップのシーンで、私は口だけ動かします――『ずっと、ナオヤさんが好きでし――』――その顔は満足そうな、それでいて涙が光っていた……と、こんな感じです。
ナオヤ:「くっ!……ヒルダ……ありがとう…………」
GM:ではナオヤに魔王が……無理か後ろ向いてるし(笑)
ヒルデガルド:私が作った最後のチャンスです(笑)
ナオヤ:「ヒルダが命を賭けてまで守り通そうとしたこの世界! 僕も命を賭けてやる!! 僕の…僕の……最後の技を見せてやる!!」――『新必殺技を見せてやる!』を使用します!
『新必殺技を見せてやる』――新しい剣技や魔法を修得し、最初の一発は防御無視でダメージが通る。
ナオヤ:『死の舞踏』を修得! 滅の剣技を発動します!
『死の舞踏』――全身にプラーナを纏って、対象に特攻します。その姿、一筋の黒き光となって闇夜に踊る流星と化す!! 命中+110 攻撃+300 条件:死亡(滅)
ナオヤ:「世界は僕が守る!!」――ダメージの総合計は……(コロコロ)……2187点です!!!
GM:それは……マイナス800くらいになる(笑) 精神の無い魔王グルングは、断末魔の咆哮をあげて消滅する。
ナオヤ:倒れた魔王を見届けて――「これで…世界は、闇に覆われる事はなくなる……」――僕も倒れましょう。
GM:ちなみに、それは滅の剣技でしょ? 発動後の条件はなに?
ナオヤ:0−2Dから死亡判定を行い、成功しないと生き残れません。
GM:では2Dをどうぞ。
ナオヤ:(コロコロ)……2って事は、マイナス2から死亡判定ですね。信仰心は2だけど、筋力が14あるので、マイナス2して、基本が12、15以上でれば成功だから(コロコロ)……5だから、合計17で生き残りました(笑)
ジャニス:さすがナオヤさんです!!

シーン9:終わったんだな……やっと

魔王との死闘が終って、そこには倒れ付した勇者ナオヤと、女神の力を受け継いだジャニスだけが立っていた。
ジャニス:では女神の力を使って、冥界の穴を封印します。
GM:君は女神の記憶があるからわかるが、その封印を施すためには、本人やそれに関係する人々を、この地に縛る必要がある。ビレタ村の人間だったり、女神本人だったりとね。
ジャニス:う〜ん。でもナオヤさんを1人にするのもちょっと……。
ナオヤ:でも、穴は塞がったんでしょ? 魔王の精神の入った紅玉とゲンマが冥界へと落ちていった後に?
GM:うん、塞がっている。だからまぁ、このまま放っといても問題は無いかな。
ヒルデガルド:この場所を誰にも知られないようにすればいいんですよ。
ナオヤ:ああ、なるほど。
ヒルデガルド:それに魔王の肉体は滅んだのだから、もう復活は無いでしょう。
ジャニス:確かに……ではナオヤさんに膝枕でもしながら、回復魔法で立ち直ってもらいましょう(コロコロ)……――
ナオヤ:でも僕には魔法が効かないから無駄では(一同爆笑)
ジャニス:し、しまった(笑)
GM:(真面目に)いや効くよ。ジャニスの回復魔法は、傷ついたナオヤの傷を全快させる。
ジャニス:えっ!?
ナオヤ:なんで?
ヒルデガルド:そうだ! ナオヤさんの女神の力が紅玉によって消滅させられたから、女神の加護たる能力も消えたんじゃないですか!!
ナオヤ:ああ、確かに! じゃあ、僕って『名物好き』なだけの普通の人(一同爆笑)
GM:ここに名物好きな"だけ"の勇者が誕生した(笑)
ナオヤ:では、回復したようなので、ゆっくりと眼を開けましょう。
GM:薄っすらと明けたナオヤの眼に、女神の顔が映る……。
ナオヤ:「あなたは……」
ジャニス:「気がつきましたか?」
GM:声と共に女神の顔がジャニスに戻る(笑)
ナオヤ:「終ったんだな……やっと」
ジャニス:「……はい」
ヒルデガルド:(ナレーション風)――その時、風に吹かれてか"コツリ"と彼の小指に触れるものがあった。それは軽快な音を持った小さな鈴、涼やかな金属音が無音となった戦場に響き渡る。
ナオヤ:無言でヒルダの鈴を握り締めます。そして心の中で呟きます――「父さん、村のみんな、そしてヒルダ……やっと、やっと終ったよ……」――と、どこか遠くを見つめたりして終りたいです(笑)
GM:そうだね、港を出発したのが朝で、島までは半日の設定……さらに島で6時間歩き回ったから――
魔王が消滅し、空を支配していた暗雲が晴れると、紅い色に2人のいるコロセウムが染められる。
ナオヤは心の中で独白し、暮れなずむ夕日をぼんやりと眺めていた。
これが自分にとって、本当の終わりでは無いかのように……

シーン10:僕はこのアラムートの国王となります

戦いが終わり、世界は平和と安定を続けていた。
ナオヤとジャニスは約束通り、城塞都市アラムートへと帰ってきていた……。
GM:「終ったのですね! 全てが!!」(←ベルゼンお爺さん)
ナオヤ:「はい。魔王は消滅しました」
GM:「風の噂で聞きました。全てはナオヤ様たち3人のお力によるものだと……」
ナオヤ:「いいえ、あいつがいなければ、テルがいなかったら、僕達はここにいません」
GM:ちなみに本当にアラムートの国王になるかい?
ナオヤ:そうですね。ダイスで決めましょう、偶数ならなる。奇数ならならない(コロコロ)……4! なるみたいです(笑)
ジャニス:簡単ですねナオヤさん(笑)
ナオヤ:「僕はこのアラムートの国王となります、ただし、戦争の際には、僕が先陣を切って戦います」
GM:「なにを仰いますか! ナオヤ様が国王ならば、戦争などが起こる不穏の種はなくなるでしょう」
ナオヤ:「いや、戦争を起すのはなにも人間だけとは限りません。この世界には冥界の使者"魔族"や"冥魔"がいる事を忘れてはなりません」
GM:「では、もしまたいつか、この街が魔族に襲われるような事があったなら……」
ナオヤ:「僕が戦闘に立って、立ち向かいましょう!」
GM:そうか、では20年後にがんばってくれ!
ナオヤ:??? なにが20年後なんです?
GM:まぁ、ちょっとした伏線だ(笑) ジャニスはどうしてる?
ジャニス:ヒルダの事とかもあって、この一連の戦いを終って、ナオヤさんには今だに精神的に依存してはいるのですが、今は一度、そばを離れようと巡礼の旅に出ます。
GM:了解。アラムートに、ナオヤの元には戻ってくる気はあるの?
ジャニス:どうでしょう? 今は解りません。
GM:わかった。
ヒルデガルド:GM! 私も聞いて欲しいです。
GM:ヒルダは死んだじゃん?
ヒルデガルド:タウラギリ島の近海にある名も無き無人島、そこに1本のレイピアを墓石代わりに眠る者が1人……といった感じです。
GM:わかった、人知れず墓標が1つ、それを知る物は誰もいない……と。
ヒルデガルド:はい。
ナオヤ:では僕はその後、アラムートを平和に治めて――
GM:と、ちょっと待ってくれ、実はその後、フォーチューン地方で大規模な闇の宗教残党狩りが行われるのだが、その時、指名手配にされたのはバンデッド。しかし、どれだけの組織が、それだけの労力を裂いても、バンデッドを見つけることは出来なかった。
ナオヤ:そりゃあ、まぁ…そうでしょう。
GM:ではキャンペーン最後のナオヤのエンディングシーンへ行こうか。

シーン11:待っていたよ

そこは、破壊されてから数年が過ぎていた。
今はもう、風と雲が通るだけの廃墟だった。
1日の終りを告げる夕日が、その廃墟と男を紅く染めていた。
その男はたった1人で待っていた。
誰を待っているのか、何を待っているのか、それを知る者は、待っている本人と……そして――
ナオヤ:「遅れて……すまなかった」
GM:「待っていたよ。……お前は、昔からのんびり屋だったからな」
ナオヤ:「そうだったね」
GM:ボロボロのローブを脱ぎ捨てると、いつもの鎧が輝き、ナオヤへ向けてハルバードを構える。
ナオヤ:最終戦闘<ラスト・バトル>だ〜!(泣笑) ではかえって晴れ晴れとした顔で――「行くぞ!!」
GM:(コロコロ)……こっちのイニシアチブは29だ。
ナオヤ:(コロコロ)……こっちは28です。1差で負けた。
GM:「九字印闘法<羅刹・壱ノ巻 臨>!!」――INS+3です。
ナオヤ:では今度は僕ですね、普通に行きます(コロコロ)……命中がクリティカルで……合計38です。ダメージは51です。
GM:(コロコロ)……防御は48だから、3点来た――「どうして、どうしてこんな事になったんだろうな……」――(コロコロ)命中……
ナオヤ:(コロコロ)……19で回避です。
GM:こっちは20以上だから命中だね。(コロコロ)……ダメージは55点。
ナオヤ:(コロコロ)……49防御だから、6点通った――「それは、しょうがないさ」――命中22。
GM:こっちは24で回避した。(コロコロ)……命中26――「あの時、ナオヤには女神が味方した。けど、俺には……」――……ダメージは68――「俺は思った。俺は元々この村の出身じゃない。俺の両親が殺されたのも、この村の先祖の血の性じゃないか! ならば、どうして俺の両親が殺されなければならなかったんだ!!」
ナオヤ:回避が……17で失敗、防御が……61か――「それは……それは答えのでる質問じゃあないだろう?」
GM:「ああ解ってるさ、これが意味の無い問いだっていうことぐらい。でも俺には……お前みたいに女神の加護があるわけじゃなかったんだ……」
ナオヤ:「だけど、今こうして生きているじゃないか、あのタウラギリ島での爆発……あの時君は……テル……虹色の竜宮の使いを見たんじゃないか? だからこの場所に……」
GM:「ああ、たぶん……いや、きっとそう…だと思う」
ナオヤ:「なら、君にも女神の加護があったんじゃないのか? それなのに、なんで君は闇の宗教についたんだ!?」――命中24!
GM:「俺はあの時、世界を滅ぼそうとしている奴等に、復讐するために、闇の宗教へと身を投じた。いろいろと裏の事情はその時知ったよ。だけど結局、俺には女神の力も無い……できることといったら、あの手鏡で魔王を封印する事ぐらいさ」――(コロコロ)……回避23で失敗した。防御は(コロコロ)……63。
ナオヤ:(コロコロ)……ダメージは64だから、1点通りましたね。
ヒルデガルド:恐ろしく互角の勝負をしていますね(笑)
ジャニス:まさに好敵手(ライバル)!
GM:ではテルが言う――「結果的に魔王は滅び世界は救われた。けれど、俺達の友情は、もう戻れないところまで来てしまったな」――命中29です。ダメージは54。
ナオヤ:回避が20で失敗。防御が51で3点――「僕は君を、今だって友達だと思っている!」――これは斬れませんね。攻撃の手をやめます。剣を地面に突き刺します――ザシュ!
GM:「だけど、時代はそれを許してはくれない。俺達の友情は世界の歴史が引き裂いた」
ナオヤ:「そんなことは無い!!」
GM:「あるさ! ナオヤ…お前はこの世界を救った勇者……だが、俺は世界を破滅へと導こうとした悪の幹部だ……。世界中が俺の首を欲しているのを知っているだろ?」
ナオヤ:「僕が説得してやる! 世界中が納得するまで、テル、君の無実を証明してやる!!」
GM:「それは……それは出来ない!!」
ナオヤ:「どうして!?」
GM:「君は今、一国の王だ。その王が俺のような悪人に肩入れしてはいけない」
ナオヤ:「いや、そんなことはない。そんな時だからこそ、僕は君にそばにいて欲しい。たとえそれが、一般論で悪人扱いされていても、君がそうではないことを僕は知っている」
GM:「ナオヤ……」――ハルバードを取り落としましょう――「ナオヤ……本当にいいのか?」
ナオヤ:「テル……君は僕の親友だよ」
紅く暮れる夕日が、2人の男と彼等の故郷を暮れない色に染め上げた。
その光は1つの物語の終焉を告げ、新しい物語の――明日を迎える――序章を照らす光に過ぎなかった。

エピローグ1:〜邪悪への転生〜

闇の途切れぬ漆黒の空。生身の人間なら数分と持たず命を失うであろう瘴気の風。
ここは魔物や冥魔、魔族の大地――冥界。
今ここに、1人、その命を尽き果てようとしている人間がいた。
闇の宗教、闇騎士に次ぐ幹部であった男、紫のローブを常に纏い、精神移動や肉体支配に長けた『人形遣い』ゲンマだ。

――なんとか魔王様の精神だけは救えたか――

とっさの判断で、魔王様の前に飛び出し、そのダメージを受け流したのだ……冥界へ共に落ちて、魔王様の精神を封じし紅玉は、その場でスウゥッと大地へ吸い込まれるようにして消えた。

――しかし、このままでは魔王様の復活を実行するのは少々難しいか――

傷つき、命尽きかけているこの体では、あと数分も持ちこたえる事はできないだろう。
そうなってしまえば、魔王様の復活どころの話ではない。

――終るわけにはいかない。どんな手段であろうとも、人間を辞める事となろうとも――

かつて、冥魔である巨狼フェンリルと、人間であるドリーを融合させる魔法を開発研究したとき、副産物のようにして生まれた魔法があった。
それは自らを冥魔へと転生させる外法と呼ぶに相応しい魔法だった。
ただ、一度でもその魔法を肉体へ使用してしまうと、今後永久に人間へと戻れなくなる。

――構わない……たとえ魔族となろうとも、この命続く限り、かならずや魔王様の復活を成し遂げてみせる――
人間としての器が紫の光に包まれると同時、まるで砂で出来ていたかのようにサラサラと崩れ出す。そして、そこに残るは1つ。邪悪に歪んだ笑みを浮べた――仮面だった。

エピローグ2:〜引き継ぐ者〜

そう、あいつと出会ったのは、あれから6年が経ったある寒い日だった。
世界での指名手配も一時的に下火になり、裏の運び屋という職も板についてきた。
俺は名を偽り、アラムートに程近いロンカの街に腰を落ち着かせていた。
あの日、運び屋としての依頼をこなし、街へと戻る途中で道外れに倒れている10才ぐらいの少年を見つけた。その少年はボロボロの衣服を着て体中にいくつもの傷を負っていた。
「大丈夫か?」
とっさに駆けより抱き起こすと、手を胸に置き、まだ少年が生きているか確かめる。
「まだ、息はあるな……」
幸いロンカの街までもうすぐだ。帰って手当てをすれば十分助かるだろう。そう思い、少年を抱えようとした時だった。
「その少年、こちらに渡してもらおうか」
俺と少年を囲むようにして、黒いローブの連中が数人現れる。どうやら魔法を使って瞬時に現れたらしい。
「誰だ、お前達は?」
しかし、俺は知っていた。その黒きローブに見覚えがある――闇の宗教――。結局、俺もそういう運命からは逃れられないのか……。
「私達のことなど、どうでもいい! 大人しくその子供を渡してもらおうか!」
リーダー格の男が一歩前にでる。しかし、関わったからには、ここで大人しく退くわけにはいかない。過去の清算のためにも……。
「悪いな、俺のためにも、この子を渡すわけにはいかない」
「……後悔するぞ。やれ!!」
「後悔するのは…どっちかな」
俺は愛用のハルバードを力任せに一振りした。


「う……こ、ここは……!?」
寝室の方からの声に、俺は特製ビーフストロガノフを持って行く。
「あ、あんたは誰だ!!」
少年が警戒心をあらわにしてベッドに立ち上がる。が、まだ治りきっていない傷が痛んだのか、またベッドへと崩れ落ちる。
俺は料理をベッド脇の机に置くと、少年をもう一度寝かせた。
「俺はビーンバンデッドという。フリーの運び屋だ」
「運び屋?」
少しだけ少年の警戒心が薄れる。人を見る目はあるらしい。
「そう、運び屋だ。仕事帰りに君を見つけて手当てした。その時、君を追っていた連中に多少絡まれたがね」
「……覚えています。うっすらと、夢の中で見たような気がします。あいつ等を相手に、1人で戦っていたあなたを……」
「そうか……。できれば教えて欲しい、君は何者だ? なぜ奴等"闇の宗教"に追われている?」
俺の質問に少年は逡巡し顔を俯かせる。俺も黙ることにする。沈黙が部屋を支配した。
「おじさんは、1人で暮しているの?」
先に沈黙を破ったのは少年だった。質問に答えたくなかったのか……。
「ああ、そうだが」
少年は少し考えるように腕を組んでから、身を乗り出すように言った。
「俺をここに置いて下さい!」
「なに?」
「別にずっと一緒ってわけじゃなくて、せめて自分の身は自分で守れるぐらいに、俺はなりたい! おじさんのように強くなりたいんです!!」
少年の眼には"一生懸命"という決意が宿っていた。
闇の宗教に追われている少年を、この俺が……?
「やっぱり……迷惑ですよね。わかりました、明日にはここを出て行きます」
俺が困惑しているのを、突然の物言いに困っていると勘違いしたか、少年は1人で結論を出している。
「……君の名前は?」
「えっ?」
「名前は何ていうんだ?」
少年は初め、驚いたように目を見開いていたが、次に嬉しそうに顔を輝かせる。
一度は闇へと落ちたこの身なれど、ずっと闇に身を任せては置けない。なんの因果か、この少年とはどうも縁があるらしい。できれば、俺の全てを教えたい。そうして、いずれは俺とは逆の道を、まっとうな正義を貫いて欲しい。もしその時がきたら、俺の愛用の武具を譲ろう。これは贖罪ではない、これは俺の未来への希望だ。
少年は傷の痛みも忘れて喜んでいる。

――ナオヤ、いつかこいつと一緒にアラムートへ行けたらと思うよ。その時はまた、昔のように……共に笑おう……

エピローグ3:〜そして始まりの時〜

「まったく! あの頑固親父め!!」
極彩色の異空間通路を抜け、この地へ降り立ってからも、僕の怒りは収まっていなかった。
なにが"らしからぬその性格を直して来い!"だ。なにが"直るまで帰ってくるな!"だ。これは僕の性格だ、そう簡単に直るわけが無い。
しかも親父ときたら、狙って神聖力の強い場所へ送ってきたようだ。
この場所へ来るまでに大半の魔力を失ってしまった。昔どおりの力を取り戻すのには、多少時間がかかるだろう。
「ここが人間界か……」
僕はその人間界"らしからぬ"寂れた荒廃ぶりに驚いていた。
「神聖力が強かったから、神殿やなんかを想像していたんだけどな」
僕が現れたのは、どこかの廃村だった。人っ子1人居ない。寂しい廃村。周りをぐるりと森に囲まれているらしい。森の中にあった村と言った所か。
なんで、こんな所が神聖力が強かったのかは知らないが、とにかくどこかに行こうと思う。あの親父の事だ、すぐにでもお目付け役を送りつけてくるに違いない。そんなうるさい奴が来る前に、どこへでも移動しておきたかった。
僕はその村――途中『茸型の変なモノ(家?)』があったので、ここが本当に村なのか怪しいが――を出て、森の中へと分け入っていった。
そうして数分、気配を感じて僕は振り返った。突然、僕の後ろの藪から女の人が走り出して来た。それが、初めての人間との出会い。
「あ、あの、助けて下さい!」
どうやら、誰かに追われているらしい。助けてあげないと……。
僕の冒険が始まる。


Duel or Stock

紅玉の魔獣エピローグ
『 紅漆の決闘場 』

FIN

あとがき

『紅漆の決闘場』を読んで頂き、まことに有り難う御座います。もし読み終わった方が居られるなら、続けて『紅玉の魔獣』を読むことをお薦めします。また、まだ本リプレイを読んでないという方がおありでしたら、先に『紅玉の魔獣』を読むことをお薦めします。きっと複雑に絡んだ伏線を楽しんで頂ける事でしょう。――なんてどっかの小説家風な宣伝をしてみたり(笑)

さて、読んで頂ければ解るのですが、このリプレイ、題名にもあるように『紅玉の魔獣』というリプレイのプロローグです。『紅玉の魔獣』というリプレイをプレイしたのが、1999年の9月、そしてその時、消化しきれなかった伏線が大量に出てきました。その最たるものが"紅いクリスタルに封じられた魔王の精神"です。なぜ魔王の精神だけ封じられているのか? なぜ魔族たるゲンマは闇の宗教にコネがあるのか、ゲンマがなぜ魔王を復活させようとしているのか? それより魔王の肉体はどうした? などなど、数え上げればキリが無いぐらいの未消化伏線のオンパレード! 私はGMをやりながら思いました 。

「いつか、この時代(紅玉の魔獣の時代)よりも昔の話……そうだな、20年ぐらい昔の話をして、辻褄を合わせてしまえ!」――無謀な考えでした(笑)。
実際、このリプレイのプレイが始まったのが2001年の4月、実に『紅玉の魔獣』から1年半もの年月が流れていました。なにが伏線で何が未消化なのか……覚えてね〜〜よ!!! と何度私はシナリオを作りながら思った事でしょう(笑) それでも、できうる限りの伏線は消化したと思います。この2作品を通して、絡み合った伏線に、もしお気がつきになられたなら、ニヤリと口の端を吊り上げてください。

TRPGは現実と非現実に折り合いをつけて遊ぶゲームです。今回、幾度となく現実に振り回されましたが(プレイヤーが……とか、残りプレイ日数が……とか)、それでもGMをやった私も、プレイヤーの皆さんにも楽しんで頂けたかと思っています。限りある現実の時間の中で、悠久の非現実を楽しむ。それこそTRPGの醍醐味なんでしょうね。
それではそろそろ私は学校に行く時間です。この辺でおいとまするということで……いつかまた、S=FのGMをする時まで。

2002.4.2 GM・原作 相原 あきと


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