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セブン=フォートレス V3 & パワード
超長編キャンペーンリプレイ

――世界名:ファー=ジ=アース 地方名:バミューダ海域 場所名:上空――

その空の上には1人の存在が浮かんでいた。
中空に足場など無いというのに、その人物は確固たる大地を踏みしめるように立っている。
見下ろすはこの世界の住人が"魔の三角形"と噂する海域。
「ふっ……」
その人物の口から嘲笑とも取れる息が漏れる。
「あら? もう終わったの?」
背後に闇が渦巻くと7歳程度のゴスロリ服を着た少女が現れる。
「大き目のを放っておいた。十分だろう」
「でも、日本のタワーではあなたの自慢の子が倒されていたわ?」
――ゾクリ――

少女……リーンの背中に悪寒が走る。
気が付けばその人物が自分の方をちらちと一瞥した所だった。
その瞳に嫌味も敵意も無い。ただ、言葉に反応して振り向いただけ。
たった、それだけなのに……
唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえた。
その人物はリーンなど視界に入らないとばかりに首を戻すと、無言のまま空間を転移する。
残されたのはリーン1人。

「こっちに来るのはミスティね。さて、生き残れるかしら?」

真竜伝説

第35話「外伝7 出会い、ミスティの決断」





シーン1:あらすじ

 禁書図書館にて混沌軍(と思われる者達)に盗まれた世界封印の書全7巻のうち、アンゼロットの調査によって、その3冊がイギリスのストーンヘンジ、バミューダ海域の魔のトライアングル、ナスカの地上絵――だという事が判明した。

 アンゼロットに召集されたイシル、ミスティ、めぐみ、小夏、ディランは、どこに調査に行くか選択を迫られる。
結果、皆でストーンヘンジに向かう事になったのだがその時ミスティは1人異を唱え、単身バミューダ海域に向かう事を宣言した。

 そしてアンゼロット直属のロンギヌス(計8人)と"天才"上条も同行するという事で、イシル達も
不承不承ミスティの独断に納得したのであった。

シーン2:眠れない日々

ヨーロッパへと旅立つ飛行機が、蒼穹へと吸い込まれるように飛んで行った。
飛行場の見送り室で見えなくなるま仲間を見つめ、やがてミスティは1人背を向けた。
GM:今日はミスティ1人のセッションです。宜しくお願いします!
ミスティ:はい、宜しくお願いします。
GM:では最初のシーン。飛行場でイシル達を見送った後、ミスティはどうします?
ミスティ:世界魔術師教会の自身にあてがわれた部屋へ戻ります。時間は夜が良いです。
GM:じゃあ夜です。
ミスティ:ベッドに横になって眠ろうとしますが、なかなか寝付けない。
GM:すると聞こえてきます。大いなる母の声が(笑)
ミスティ:そうです(笑)
GM:その声は君を闇の世界に誘うようで、とても甘美で意志をゆだねたくなる。
ミスティ:寝苦しそうに何度も寝返りを打ったのちに、目を開けます。
GM:その母の誘惑は日に日に増してくる。それはもう自分では押えきれない程だ。
ミスティ:「私は……私でいられなくなる……?」――これ以上イシル達と一緒にいてはいけない。これ以上いると……と最悪の考えが頭を過ぎり、私は皆と一緒にストーンヘンジへ行くのをやめたのですね。
GM:その通り。
ミスティ:その夜も悪夢にうなされてたように、全身にひどい汗をかいています。そんな不安を振り払うようにして、シャワーでも浴びようと寝室を出て行きましょう。……そう言えばポンポンは?
GM:君と一緒に居残りだよ? 今はベッドでスピースピー寝てます(笑)
ミスティ:それは起こさないように毛布をかけてあげてからシャワーに行きましょう。
GM:では君がシャワー室から出て部屋に戻ってくると、部屋には2人の人影があります。アンゼロットと上条君です。
ミスティ:それでは、きっとどんなことを言われるのか、察していたのでしょう。ただ静かに立ったまま2人が口を開くのを待ちます。
GM:アンゼロットが言います――「そう警戒しなくてもいいですよ。私達はあなたの力になろうと思いやって来たのですから」
ミスティ:「力に……ですか?」
GM:「そうです。あなたはもうすぐ自分が闇にのみ込まれる事を知っています。そして、それに巻き込まぬようイシル達と別れる道を選んだ……そうですね?」
ミスティ:うなずく様に、うつむいて黙り込みます。
GM:「結論から言いましょう。あなたの中で渦巻く邪悪なる混沌を封印します」
ミスティ:「混沌を……封印?」
GM:「ええ。すでに封印の準備は上条君が手配済みです。ただし、それを行うか否かはあなたに任せます。私達はここで(と封印場の地図の入った手紙を机に置き)待っています」
ミスティ:「それを行えば……私は今まで通りに?」
GM:「封印が成功すれば……です。申し訳ありませんが、混沌が暴走した場合……あなたには……」
ミスティ:「死ね……と?」
GM:「いいえ、私達が全力を持って」――ここで一息アンゼロットは息を吸い――「殺します」
ミスティ:そ、それは息を飲みます。面と向かって殺すといわれると……。
GM:「封印の儀式はあなたの中の混沌が暴走する危険があります。それなら、今のままの方が安全なのかもしれない……判断は、あなたにお任せします」――そう言って部屋を出て行く2人。
ミスティ:「私の中の邪悪……封印する……私の…封印…私…」――2人が出て行った後、うわごとのように言葉を繰り返すと、十分に時間をかけて震える手を伸ばして地図を手に取ります。そして窓際まで行き、星空を見上げる……。
今日は新月。
夜空は暗い。
それでも星々は小さいながらも瞬きを忘れてなくて。
ミスティ:「私は本当ならいてはいけないのかもしれない……」
思い出すのはフォーチューンのアラムート城で見た、私の出生が書かれた祖父の日記。
ミスティ:「私がいるから世界が……みんなが……」

GM:
その声に反応するものは誰もいない。ただ夜の闇だけがたゆたっている。
ミスティ:「……でも…仕方ないんです。だって、そうしないと…私……。仕方ないことなんです」――まるで誰かに言い訳をするように…でも、その声は次第に小さくなっていき――「ごめんなさい…ごめんなさい、ごめんなさい……!」
手に持った地図を冷え切った雫が濡らしていった。

シーン3:封印の儀

そこは星の見える関東某所。
アンゼロットが見守る中、総勢百数十名のナイトウィザードが魔方陣を組んでいた。
その中心にミスティは案内される。
ミスティ:「ポンポンはここで待ってて」――と魔方陣の外にポンポンを置いて、私は中に入っていきます。
GM:「ご主人」――とポンポンは心配そうに。
ミスティ:大丈夫と笑ってから行きます。
GM:では呪文が聞こえ出し空を見上げれば、円錐の頂点となるように上条君が空に浮かんでいる。
ミスティ:上条さんが儀式の長ですか?
GM:そのようだね。上条君はミスティが魔法陣の中心へ入るのを確認するとその封印の儀式を開始する。次々と起動する小型の魔法円、それらが複雑で巨大な魔法陣へと展開されて光の乱舞が始まる。
ミスティ:ぐっと胸の前で両手を組んでます。
GM:さてミスティ、儀式が始まると君の中で次々と記憶が沸き起こり、白い闇に飲まれていく。
ミスティ:「これは……私の……記憶……?」

そこはアラムート城の地下牢。
赤い不思議生物ポンポンとの出会い。

ミスティ:「うう……ポンポン……」
GM:その記憶が浮かぶと白い闇と一緒に消えて行く。

そこはアラムート城の地下牢。
在りし日の少女だったミスティ。
暖かくもフィルナに見守られ過ごした幼少の頃の記憶。

ミスティ:「フィルナ様……」

GM:
ジョニーやキョウコ、サルガク……。ドンドン消えていきます。君の中、最後に残る記憶は誰かな?
ミスティ:最後に残った人は共に歩んできた仲間達。共に笑い、泣くことを覚え、教えてくれた人たち……。

シャルマが仮面騎士として仲間に合流した事。
リーンをミスティが救い小さくなった事。

ミスティ:「うん…怖くない……」

めぐみちゃんが政二から気が付いた事。
イシルとの出会い、旅の始まり――

ミスティ:「皆いる…皆…いつもそばに……」――三角錐の中でゆっくりとうずくまるように剣を胸に抱きしめます。
GM:そして――

「………………消滅も封印もしない」
魔王タラスを倒した後、ルオはそう宣言して言葉を続けた。
「私は仲間を救うため、ミスティを助けるために闘う……だって、ミスティは仲間だから」

ミスティ:「仲間だから……私も……私も『ココに、いるよ』……」

GM:
では最後に大きく円錐が輝くと儀式は終了する。空から上条君が降りて着て――「これで封印の儀式は終了だ。ミスティ……大丈夫か?」
ミスティ:心の中に大いなる母の波動は?
GM:闇の波動は感じない。上条君が言います――「どうだ。何か違和感はあるか?」
ミスティ:ゆっくりと目を開けます。
GM:が、心なしか顔半分(&体も)に違和感があるかな。
ミスティ:両腕をみつめ、それから顔にも手を当てます。ゆっくりを指先から、手の帯を解いていき――「……!?」
GM:「ふっ、儀式は成功のようだな」
ミスティ:「え?」
GM:「闇を全て封印した。浄化の力との拮抗が崩れ体も元に戻ったのだろう。ま、この天才のおかげだ」
ミスティ:その言葉を聞いて顔の包帯もとります。恐る恐る手を当て、ゆっくりと離してから――「ありがとう! ありがとうございます!」
GM:上条君は饒舌に――「私は昔から封印術には長けている。その闇の封印は私以外には絶対に解ける事は無い。私に何か無い限り封印は完璧だ。安心しろ」
ミスティ:PL的には(笑)ですね――「それじゃあ私は……また、みんなと一緒に?」――期待と不安の入り混じった声で尋ねます。
GM:「ああ。この"天才"が保証しよう! これからも彼等と一緒に世界を救ってくれ」
ミスティ:微笑が自然と浮かびます。
GM:「ご主人、良かったですポン♪」
ミスティ:「うん、ありがとうポンポン」――飛びついてくるポンポンを抱きしめましょう。
GM:と、アンゼロットも傍へやってきて――「さて、儀式が成功したのなら、あなたにはやってもらいたい事があります」
ミスティ:「はい!」――もちろんと言う感じで真面目だけどどこか笑顔で!
GM:「良い返事です。それではこれより、魔のバミューダ海域へと向かって下さい。イシル達はすでにイギリスのダンガルド魔法学校との協力を得たとの情報があります。ミスティ、あなたも急ぎ出発して下さい。宜しいですね?」
ミスティ:「はい!」

シーン4:魔のバミューダ海域

そこは魔の三角地帯と呼ばれる海域。
魔のバミューダトライアングルとも言われている。
今、ミスティは船の上にいた。
船にはミスティのほかに上条誠、そしてロンギヌスと呼ばれる精鋭8人が揃っている。
彼女達はすでに先に現地入りしており、先見調査を行っていたらしい。
GM:簡単な説明は彼女達から聞くが、実際に見たほうが早いという事でこれから三角地帯に潜ります。水中装備は支給されました。会話は可能なのでよろしく(笑)
ミスティ:了解しました!
GM:「ミスティ、この海域には何かが封印されている…という逸話がある。私やロンギヌスの面々と離れるなよ」――上条君が注意します。
ミスティ:「封印ですか?」――不思議そうにいって水面を覗き込みます――「穏やかな海なのに……」
GM:「まずは自分の目で現状を見てみるといい」――ドボン――と海へもぐる上条、ロンギヌスの面々も次々に飛び込みます。
ミスティ:続きます。
GM:ではどんどん薄暗くなっていく海の中ですが……次第に目も慣れてきて、水中の小さな生き物達にも目が行くようになります。
ミスティ:「これがファージ=アースの海」……そう言えばポンポンは?
GM:さすがにポンポン用の水中装備は無いので船の上でお留守番です。
ミスティ:では潜るときに「行ってきます」とだけ言っていた事にしましょう。
GM:さて、さらに潜っていくと、小さな生物たちが変わってくる。魚から小型のエミュレイターにね。
ミスティ:じゃあ、近くに来た魚に手を伸ばそうとして、その異様さに気づき驚きます。
GM:もうそこらじゅう、うじゃうじゃ小型のがいる。全て月衣によって弾かれる程度の弱さの奴等ね。
ミスティ:気味悪い……。
GM:ロンギヌスが説明しよう――「この数週間、海底を探索しましたが、小型のエミュレイターが大量にいるだけで、今だ新たな発見はできていません」
ミスティ:「そんな、これが全部……モンスター?」
GM:上条君が――「そうだ。私達のようなものには問題は無いが、一般人にとっては脅威となるだろうな、ここが魔のトライアングルといわれる所以さ」
それから数日が経った。
ミスティ達はこの数日、かなりの海域を調べた。
そこで最近気がついた事がある。
それは、最近、小型のエミュレイターの数が減ってきている――という事だった。
ミスティ:ではそのことを上条さんに聞きに行きます。
GM:上条君は答えましょう――「それは私も気になっていた。君はどう思う? 何かの予兆だと思うか?」
ミスティ:「(少し黙るように)……彼らの生態環境に変化があったのではないでしょうか」
GM:「生態系に変化……」
ミスティ:「昔、お城でそのような本を見つけたことがあります。小さな彼らはより大きな何かから逃げたのか……もしくは……(諦めたように首を振る)……いえ、分かりません。でも、何か急がないといけないような気にがします」
GM:「………………そうだな。今はまだ推測の域を出ない」――そして再び海の中です。やはり小型エミュレイターの数が最初の頃より減っている。と、今日は海底の付近で沈没船を発見します――「あれは……タイタニックU」――上条の呟き。
ミスティ:「ご存知なのですか?」
GM:「198×年頃「二度と沈まない船」をキャッチコピーに制作された豪華客船だ。もっともそのジンクスを破ろうと進水式でこのトライアングルに消えてしまった沈没船だがな……そうか、君は異世界人だったな、日本でも有名になった船なんだ。唯一の生存者が日本人の女の子だったからな」
ミスティ:「確かに、この海は一般人には危険かもしれませんね……」
GM:「どうだろうな。そのタイタニックUの沈没に関しては、もしかしたら別の理由・目的があったんじゃないかと言うのが、最近の説さ」
ミスティ:「え?」
GM:「ふ……なんせその生残った日本人の女の子って言うのが、あの波乱原ル――」――と上条君が言った所で、ミスティの目の前を攻撃力600ちょいの破壊光線が横切る!
ミスティ:「!!」
GM:下の方ではタイタニックUが破壊され、中から青い色のグロテスクな巨大な怪物が現れる。君はそれに似た生物を見た事があるよ。
ミスティ:それはもしかして……東京タワーで?
GM:イエス(笑)
ミスティ:「あれは……精霊獣!? どうしてこんなところに!」
GM:潜水服についたイヤホンからロンギヌスの「なんだあれは!?」「やばい!」「どうすれば!?」とか聞こえてくる。
ミスティ:「皆さん!」――そう言って急いで向かいます!
GM:で、もっかい破壊光線。ミスティも上条君も全員くらいます。演出なので、死亡はしないでいいよ。ダメージは640点です。
ミスティ:カスるってイメージでしょうか?
GM:そんな感じです。上条君が「ミスティーー!!」って叫んだりする(笑)
ミスティ:演出でいいなら、気絶します(笑)
GM:では気絶します。が、その瞬間、君の横をイシルが精霊獣に向かって凄いスピードで降りて行くのを見ます。
ミスティ:「え……イシル? どうして……」――パタ(笑)

シーン5:その彼の名は……

気がつくと、そこは「ピチョンピチョン…」と雫の音だけが響く洞窟の中だった。
インカムやイヤホンは壊れ、誰とも連絡は取れない。
状況からいって海底洞窟だと予想はつくが――。
ミスティ:「ここは? ……! 皆さん? 上条さん、イシル!」――声を上げて起き上がります。
GM:誰も声はしない。君の声が洞窟に響き渡る。ただ、足元に血の跡が転々としているのを見つける。
ミスティ:血の跡はどこかに続いていますか?
GM:洞窟の奥かな。
ミスティ:追います。それしか取れる選択肢もなさそうですし。
GM:では少し行って曲がったところで、イシルが倒れている。もっとも、よく見るとそれはイシルでは無い。
ミスティ:イシルではない?
GM:ルオが最初にいた病院の屋上でイシルに突っかかって来ていた、もう一人のイシルだ。思い出せば精霊獣に向って行ったのもこっちのイシルだと再確認。
ミスティ:ええと……どんな状態なのでしょう?
GM:重症状態で気絶しているらしい。ちなみに右手は無い。もっともその傷は今回ついたものではないようだがね。
ミスティ:助けます。回復魔法は使えるはずです――「この人は! 怪我が……酷い。でも今ならまだ、間に合う!」
GM:じゃあ気がつく――「うう……」
ミスティ:「大丈夫ですか?」
GM:イシルそっくりさんは――「お前……なぜ俺を助けた。お前は偽者(イシル)の仲間だろう」
ミスティ:魔法で治りきらない部分は包帯とか持ってきていたものや、服の裾とかで応急処置をしながら――「ほうっておく訳にはいかないでしょう? あのままだと、死んでしまうかもしれなかったのですよ?」――さも当然のごとく、むしろ怒ったようにいいます。
GM:「お前……馬鹿か? 俺はお前の仲間を殺そうとしてるんだ。ここで俺が死んでいた方が仲間のためになるじゃないか」――彼はきょとんとしたような、本当に驚いたような顔で聞き返す。
ミスティ:「何を言っているんですか! そんなことで、そんな下らないことで人を見捨てて良い訳がないでしょう」
GM:「くだらない? 仲間のために……自分達のためになる事がくだらない事なのか?」――今度はミスティを信用してないような疑惑の目を向けます。彼的にはミスティの言っている事はおべんちゃらであるように聞こえるのでしょう。
ミスティ:「……それに、あなたは私の仲間によく似ています。そんなの……なおさら放っておけるわけ……ないじゃないですか……」――と手当て終了。
GM:「似ている……か……ふんっ、どいつもこいつも――おい、礼は言っとく。じゃあな」――スタスタと洞窟を先へ一人で進んでいきます。
ミスティ:じゃあ、引き止めます――「待って!」
GM:「?」
ミスティ:「あの怪物は……あなたが?」
GM:「………………お前には関係無い」
ミスティ:「……助けてくれてありがとう、えっと……」――と呼び名に困っている様子で(笑)
GM:彼は少しソッポを向きながら――「イシュ・ファ・カール……俺の名だ」
ミスティ:不思議な名前ですね。
GM:古代マヤ文明の言葉です。
ミスティ:じゃあ、コホンと咳払いをして言い直します――「ありがとう、イシュ!」
GM:イシュは無言です。
ミスティ:「私はミスティです、よろしくおねがいしますね、イシュ」――もう一度。
GM:「別に……よろしくするつもりは無い。ただ、目的の通り道に居たから、気まぐれで助けただけだ……それに、イシル以外の奴に恨みはない(ボソっと)」
ミスティ:イシルもそういうとこ不器用そうだったなぁ……と思い出して一人くすくすと笑います。
GM:「なんだ?」――ちょっと不機嫌そうです、なぜ笑われたのか判らなかったから。
ミスティ:「ごめんなさい……あの……イシルを、恨んでいるのですか?」
GM:「ああそうさ。あいつがいると俺の存在意義が無くなる」――暗い憎悪の炎が燃え上がる。
ミスティ:とは言え、置き去りにされてもかないません。その辺をがんばって察知して触れないようにします、自分はちゃっかりイシュについて行きます。
GM:じゃあ「ついてくるなよ」――とか言いながらも、別に強引に振り切ったりもしないイシュ。それとなしにトラップとかもあったりするのだが、先頭を行くイシュが全て解除、もしくは破壊します。
ミスティ:別に逃げも隠れもしません、近くをどうどうとついて歩きます! 2メーターくらいの微妙な後ろを(笑)
GM:「お前……変っているな」――とフォートレスを歩きながら会話(笑)
ミスティ:「良く言われます」――ニコニコと。
GM:「俺がお前を罠にはめるとか考えないのか? ここにはイシルもお前の仲間もいないんだぜ?」
ミスティ:「そうですね、そうかもしれません。でも、そうじゃないかもしれません。あなたが分かりやすいように理屈で答えるなら、そのどちらも私には立証なんてできませんし、逆に間違いだと決め付けることもできません。なら……どちらも同じじゃないですか」――「それに…」(ばつが悪い顔をして)
GM:「……?」
ミスティ:「道に迷いました」――悪戯が見つかった子供みたいに笑います。
GM:「……」
ミスティ:良く考えたら、なんで私はこんなに安心しているのでしょう? フィルナ様と一緒に過ごした子供時代の様相です(笑)――「方向音痴なんですよね昔から……もう、一人では戻ることもできませんし……なら、2人いたほうが心強いでしょう?」
GM:「はっ……」――と緊張の抜けた顔で気を抜くイシュ。と、すぐに恥ずかしがってそっぽ向く――「好きにしろ。別に罠になんてかけねーよ」
ミスティ:そんなイシュをおかしそうにクスクス笑って今までどおりついて行きます♪

シーン6:奇妙な共闘

ミスティとイシュの不思議な2人組みはそのまま海のフォートレスを進んでいく。
そして数時間が経った。
イシュは文句言わないでミスティと共に進んでいる。
トラップやクリーチャーでミスティに危害が加わりそうになるとそれとなく庇うイシュ。
性根は悪い人では無い――そう確信するミスティ。
やがて重厚な扉の目の前にやって来る。
GM:その扉を開けると、そこは広大な部屋です。そして中央には一体の巨人。広場は空間が捻じ曲がっているのか、その巨人の身長は1kmはあるんじゃなかろうかって巨体だ(笑)
ミスティ:1km(笑)
GM:イシュはそれを見て舌打ち――「1シナリオ1回の特技を使い切るんじゃなかったか……」(笑)
ミスティ:なんてメタな、きっと精霊獣に使ったんですね(笑)
GM:その通り(笑) ではイシュは呟いてから――「お前は下がっていろ。すぐにケリをつける!」――巨人に走り出すイシュ!
ミスティ:私も行きます。
GM:じゃあ巨人にイシュが斬りつけた時、横に君がいるのを見て驚く――「お前、なんで!?」
ミスティ:「当然です、イシュが戦うなら私も戦います。ここまで一緒に来たのですから」――そういってイシュの支援を始めます。――「それに……」――ガキンと剣でイシュをかばいつつ――「私は、変わり者ですからね」(笑)
GM:「お前……(と見つめてから口元を綻ばせ)……そうだな。お前は変わりもんだ(笑)」――すぐに気を抜けない相手だと解り、表情を引き締めるイシュ――「援護を頼む!」
ミスティ:「はい!」
それからどれだけの剣戟が、魔法が飛び交っただろう。
やっとのことでその巨人を倒した時、ミスティもイシュもボロボロになっていた……。
ミスティ:回復します。休憩しながらですけど……。座り込みます。
GM:では一息ついてイシュも座ったまま呟こう……「俺は今まで一人で戦ってきた……だけど……背中を守ってくれる奴がいるってのは心強いな」
ミスティ:「そうですね。 でも何でも一人で背負い込むのはよくないです」――誰に向けるともいわず呟きます。
GM:「そうかも……しれないな……」――イシュも一人呟こう。
2人の間に奇妙な間が流れる。それはとても不思議な感覚だった。
やがて広間に新しい扉が現れる。巨人を倒す事がトリガーだったようだ。
ミスティ:「さぁ、いきましょう! もう少しですよね?」――右手を差し伸べて起こして上げましょう。
GM:とはいえ、彼には右手が無いと言わなかったかね?
ミスティ:あ……。
GM:イシュは立ち上がって「ああ、もうすぐさ」――新しい扉に入っていきます。

シーン7:イシュの真実

その部屋をミスティはどこかで見た事があった。
何本かの石柱が円状に並び、その中心には台座がある。その台座には1本の剣が突き刺さっていた。
そしてその刺さっている剣は黒い、長さ的にもティアマトーと違っており、
だいたい剣では無く片刃……刀であった。
正確に言えばその長さは脇差程度であろうか。
ミスティ:最初にティアマトー見つけた場所と似ていますか?
GM:そっくりだね。こっちの方は黒を基調としているって程度の違いかな。
ミスティ:「ここは……ティアマトーがあった場所と似てる? でも、あの剣は……」――ティアマトーの時と同じに、神聖力みたいな力場があったりしますか?
GM:とっても神聖力が強いよ。イシュは勝手に語ろう――「この世界は天界をティアマトーが、冥界をバハムートが統治している。だが、もともとバハムートはこの8世界を統治していた」
ミスティ:「8世界を?」
GM:「そう……だが、混沌との戦いのせいで、バハムートは冥界をも統治する必要ができた。そしてバハムートは自分の体を分けた。混沌の支配する冥界には自分が、人間の住まう8世界には自分の分身たる者を……」――一瞬、イシュがミスティの方を見る。そして刀に手を伸ばす。
ミスティ:「もしかして……この魔剣はバハムートでは無くて――」
GM:「そのもの――バハムートの分身こそベヒモス……この3本目の魔剣だ」――刀は黒く輝くが、やがて持ち主の手の中で落ち着き、光が収まる。刀からの波動も収まります。
ミスティ:「……魔剣ベヒモス」
GM:イシュは穏やかに――目的を果たした顔でミスティに声を――「俺はイシルのニセモノだ」
一瞬、何を言われたのかわからない。
しかし、彼が……イシュが嘘を言っているようには思えなかった。
それは、不器用で強がりで、けれど心の中に真っ直ぐな何かを、
彼が持っているという事を、私が気がついていたからかもしれない。
GM:イシュは真摯に見つめながら言う――「あいつの前では俺こそ本物だと言っていたが、あれは嘘だ……本当のニセモノは俺の方……なんだ……」
そして沈黙するイシュ。
少しの間、2人しかいない空間が静寂に包まれる。
それを破ったのは……――
ミスティ:「……そうかも……しれません」
GM:「………………」
ミスティ:「イシュとイシルは良く似ています。でも、明らかにイシュはイシルと違いますし、イシルもまたイシュとも違います……だけど」
GM:「………………」
ミスティ:「……ただ、それだけです。イシルはこの世界のどこかにいて、今日私を支えてくれたイシュもいま私の目の前にいます。ただ、それだけですよ」
GM:「お前……」
ミスティ:「更にいうなら……私も『大いなる母』の偽者ですね」――クスリと微笑みましょう――「この世界は、偽者がいっぱいです。私は、今までそれをどうにかすることばかり考えてきました。向うでは……魔王を倒せば、大いなる母の根元を断てばいいのだと思っていました。でも、それは……少し間違っていた」
GM:「………………」
ミスティ:「何かを、自分や、相手を否定するのではなく、その事実を肯定する強さ、信じる強さが必要でした。私にはそれが足りなかったの……私が『大いなる母』の偽者だから、そう思っていたから怖くてしょうがなかった。皆を信じていたら、そんなこと全然関係なかったのに……。私が『大いなる母』でも『ミスティ』でも……私は、ココにいた。私がどちらでも、信じる人たちは……みんなは……私を『私』として接してくれるのだから」
GM:ちょっと感動なイシュ君。でも――「無理さ……俺にはお前みたいに――」
ミスティ:台詞を遮りましょう。そしてイシュが言いたかったことを少し悟ったのか――

 「だからイシュも……ココに……いるよ」

ミスティ:安心させるように手を握ってあげます。
GM:ぽつりぽつり……「俺の名前…ファカール(日本語読みだとパカル)は盾って意味なんだ……俺はあいつの……イシルの盾になるのが生まれた時からの運命なんだ……だから俺はあいつを殺して、俺が本物になりたかった……」
ミスティ:静かに聞いています。
GM:「でも……」――と今までで一番生き生きとした顔で、それでいて少し照れくさそうに言いましょう。――「俺も……俺でいられる事を……信じていいのか……な」
ミスティ:「私も信じます、目の前にいるイシュが『イシュ』なんですから」
GM:ずっと一人だったイシュにとって、その言葉はどれほどのものだったのだろう。ただ、イシュは上向き目を瞑る、心なしか嬉しそうに……。そして君に手を差し伸べる――「戻るぞ。ここから脱出する」
 そして――イシュの持つ魔剣ベヒモスが黒く光り出す。
ミスティ:手を取って帰ろうとして、剣が光っていることを告げます――「イシュ! みて、剣が……!?」
GM:「ベヒモス……お前は俺に力を貸してくれるのか……いくぞ!」―― 『乾坤一擲』発動(笑) 天井に向けて一撃を放つと大穴が開く。魔法障壁でミスティごとカバーして空へ…正確には海だが…へと上っていく2人。 
※「乾坤一擲」――ベヒモス本体の持つ特殊能力です。ここでイシュもルオのように覚醒である(笑)

シーン8:ミスティの優しさ

そこはバミューダ海域が見える砂浜だった。
ミスティを探していた上条は、そこでミスティと……イシュが立っているのを発見する。
GM:「ミスティ!」――天才上条参上! 魔力を追ってやってきたらしい。そして魔剣ベヒモスとイシュを見て警戒態勢。
ミスティ:「上条さん、無事だったのですね!」
GM:「天才だからな!」(笑)
ミスティ:上条さんにイシュのことを助けてくれた仲間だと紹介します。
GM:「………………」――上条は警戒を解かず視線もイシュから外しません。そして、そんな上条君を見てイシュも警戒態勢です。
ミスティ:それでも話を進めないと――「皆さんは無事だったのですか?」
GM:「ああ、皆無事だ。怪我人は出たがな……それより、イシュと言ったか……ミスティを助けてくれた事には礼を言おう。だが、この場所を誰に教わってやってきた。イシル達の向かったストーンヘンジにも貴様は現れたらしいな。もっとも魔剣はイシルに奪われたようだが……この短い期間で、どうやってこの場所を調べ上げた……答えろ」
ミスティ:うう……まずい展開な気がします。
GM:黙るイシュ……そして上条はフッと余裕をかまして続ける――「もっとも、貴様が答えずとも天才の私にはわかる。世界魔術協会の禁書を誰かに渡されたな?」――無言の肯定をかますイシュ。
ミスティ:「上条さん! イシュは少し疲れているんです、そういった質問は後になさっていただけませんか? 早めにアンゼロット様にも報告しなければなりませんし」
GM:上条君はちょっと2人を見て……「私は先に戻っている。仲間を助けてくれた礼だ、この場は見逃す。最近の事件の黒幕が混沌軍とやらだとは、まだ断定できてはいないしな……」――最後にチラリとミスティを見るが、そのまま上条は帰っていく。
ミスティ:「………………」
GM:上条君は消えます。
ミスティ:「………………」
GM:なんか気まずい空気だが……。
ミスティ:ですね。
GM:ではイシュがちょっとしどろもどろになって言おう(笑)――「あ…えっ…と…な、なぁ、俺と一緒に……来ないか?」
ミスティ:と、イシュの台詞にかぶらせて――「イシュさんは、これからどうするんですか?」
GM:なんてことを!(笑) イシュはちょっと赤くなりながら――「お、俺は今まで通り使命を果たすだけだ。……この世界を救う」――その言葉を言う時、イシュからは覚悟とも決意ともとれる自信が感じられる。
ミスティ:PC的にはついて行きたい……でもこれ以上長い間イシル達と別れるのは、シナリオ的にもストーリー的にもめんどうですよね……。
GM:好きにしんさい。これはミスティの物語だ。PLの物語では無いんだ。というかなんでこんなにイシュに肩入れする?
ミスティ:PL的にはわかりません。なにかミスティ自身が共感する部分があったからですしょうか。こんなつもりじゃなかったのですが……(笑)
GM:まぁシナリオについては大丈夫。どんな覚悟もしてあるからミスティの好きにしなさい。
ミスティ:じゃあ――「なら、目的は一緒ですね。皆にもきっとすぐに会えるような気がします。それに……1人より2人のほうが良いですしね。よろしく、イシュ」――今度は"左手"を差し出します。
GM:じゃあイシュは驚く。もともと一緒に来てくれるとは思ってもいなかったから――「あ、ああ……」――そして君の手を握り返し、初めて君の名を口にだす――
「こちらこそ、よろしくな……ミスティ」



真竜伝説
第35話「外伝7 出会い、ミスティの決断」

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