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ソード・ワールド 2.0
――そこは3本の剣が創りしラクシア。中世ヨーロッパに似て非なる世界。
――300年前、蛮族の大侵攻<大破局>により人の文明は破壊され、禍々しい異形なる蛮族や
   怪物が闊歩することになった世界。
――そんな世界を自由に旅する者たちがいた。人々は彼等をこう呼んだ

――冒険者――と。

百年の虚読SW2.0リプレイ(6)
開催! 裏武道大会

◆成長申告をどうぞ

GM:それでは第5話がぜんぜん終わって無い気がしますが、第6話です。
それぞれ成長申告をテューレから――

テューレ:能力値上昇で知力が15になったッス。そしてスカウトが4LVに上がって冒険者LVも4に。あと隠密判定の達成値に+2されるサイレントシューズを買ったッスね。
アルト:アルトだよー。筋力が19に上がって経験値は温存。ただ壊すとダメージを−2点してくれる薔薇のチョーカーを買ったよ。
ミナ:私も筋力が上がって今は13、技能はフェンサーを上げて3LVになったわ。あと買い物なんだけど……どうも魔剣が呪われて気持ち悪いから、精神抵抗の+1の修正が付く光のアミュレットを買ったわ。
権兵衛:余は今回敏捷度が1上がって9に、そして技能はソーサラーを伸ばして4LVにした。ついに<ファミリア>が使えるようになったぞ。
テューレ:ああ、カエルとかヘビとかの使い魔ッスね。
権兵衛:余の使い魔はスズメだ! 名前はマロン!
GM:そこまで決めてあるんですか。了解です。
権兵衛:あと魔晶石を10点分買っておいた。
GM:なんか今回は……みなさん買い物してますね。
ミナ:セッション開始時に前回の報酬を山分けしたからね。1人5100ガメルは手に入った計算よ? ちなみに端数はパーティ資金としてポーション系とか買い足しておいたわ。
テューレ:あと前回使ったエンジェルリングを再びパーティ資金で買っておいてもらったッス。
ミナ:アレは使えることが証明されたしね、買っておいて損は無いわ(笑)
GM:た、確かに……。
権兵衛:そしてみんな冒険者LVが4になったか。
アルト:みんなアルトに追いついたね!
テューレ:スカウトだから戦闘能力には関係ないッスけどね(笑)
GM:そうか……みなさん前回は3LVだったんですね。よくもまぁ7レベルに強化したユニコーンに勝ったものです。
権兵衛:お前のせいだろうが!(笑)
テューレ:正確には勝って無いッス! いつものように裏技で戦闘回避したようなもんッスよ!(笑)
アルト:実際には全滅してたしね……。
GM:まぁ今回はアレに勝ったことを念頭に置いてシナリオを組んで来たので安心して下さい。
アルト:今日も激戦の予感だなぁ(笑)
権兵衛:ふん、余がいるのだ。安心するが良い!
テューレ:姉御、なんかさっきから黙ってるッスけど、どうしたッスか?
ミナ:いや……私、まだ冒険者LV3なんだけど。
GM:………………。

◆迷子の迷子のアルトちゃん

今日も今日とてルキスラは良い天気である。
挫折の始まり亭に席を置く武道家ドワーフっ娘のアルトは、フランクフルトを10本買い込んで、ぽてぽてと裏路地を歩いていた。
「そうだ、スラム街の孤児院でも寄って行こうかなぁ」
前に知り合いになった孤児院の子供達と遊んだアルトだったが、その帰り道に事件に巻き込まれる事となる。
スラム街に立ち寄ってさえいなかったら、その後の運命は変わっていたかもしれなかった……――。
GM:最初はアルトから始めます。ルキスラのどこにいますか?
アルト:じゃあスラム街でご飯食べてよう。
GM:え、スラム街ですか? おいしいご飯はもっと上級な界隈に……。
アルト:質より量で! フランクフルト10本ちょーだいっ♪
GM:じゃ、じゃあスラムで好き勝手に食べて、遊んでとした帰り道です。裏路地の奥から「助けて! 助けて!」って女の子の声が聞こえます。
アルト:人攫い!?――って思って走って行くよ!
GM:すると黒いフードの暴漢3人によって4歳ぐらいの小さな女の子が袋を被されて連れて行かれようとしています。
アルト:待ちなさい!!
GM:「なんだ!?」
アルト:とうっ!――暴漢に飛び蹴り!
GM:「くっ、筋力と共に体重が上がって威力の増したキックだと!?」
アルト:説明長いよ! そんな事言われる筋合い無いもん!!――フルボッコにします!
GM:ではフルボッコにされます。しかし、暴漢3人はピンチと思って仲間を呼びます。
アルト:それは……女の子を抱えて逃げる!
権兵衛:(両手で頭の上に抱えるジェスチャー)
ミナ:(サムズアップ)
アルト:なんでそのイメージなのさ!(笑)
スラム街の暴漢達から逃れ、ちょっとした小屋で一息つくアルトと少女。
GM:少女は落ち着くとアルトに向かって泣きだします。(1)
アルト:え、え、ええ!?――あたふたするけど、頭でも撫でつつ何で泣くのか聞こうかな。怖かったから?
GM:もちろん怖かったのもあるのですが、どうやら少女の父親がさっきの奴らに誘拐されたらしい。
アルト:お父さんも誘拐されたの?
GM:「それにこの前は近くに住む友達も誘拐されちゃった……」
アルト:な、なんかすごい大事件な気がする……。
テューレ:でもスラムなら国は動かないッス。
GM:確かにただの誘拐ぐらいじゃ動かないですね。少女は――「どうしよう〜! お父さ〜ん!」って泣きだします。
アルト:どうしようって言われても、アルトもどうしようだよ!?
GM:いや、あなた冒険者でしょう?(笑)
アルト:そう言われても……。
GM:少女は泣き続けます。
アルト:あ、ううう……困った……アルトが泣きたいぐらいだよ……。

◆アーちゃんはね……

挫折の始まり亭。
本通りから外れ裏道を進むとやがて辿りつく冒険者の店。
そこは表の世界で挫折し、日の当らない場所にしかいられなくなった人々が集まる店。
GM:そういえば挫折の始まり亭にはニューフェイスがいます。
ミナ:ああ、ザインね! 前回の最後にここに来たんだっけ(笑)
権兵衛:良いだろう、余がザセッティーをおごってやろう。
ミナ:まぁ、人生いろいろってね、あんたも頑張りなさい(笑)
GM:「ああ、ミナ殿、権兵衛殿、申し訳ない」――ズズズっとザセッティーを飲みます
テューレ:ここは底辺の人種が集まる冒険者の店ッスからね。一攫千金を狙えばまた返り咲きもあるかもしれないッスよ?
ミナ:そうそう、私たちも何かあなたの力になれそうな事があったら、仕事回すからさ(笑)
権兵衛:なんだテューレ、今日のミナは優しい気がするぞ? 毒でも食べたんじゃないか?
GM:「ところでミナ殿、同情して頂けるなら前回お渡しした5000――」
ミナ:さ、仕事仕事、マスター? 何か良い仕事ないー?
権兵衛:ただ5000ガメル返したくないだけか(笑)
テューレ:姉御はいつもの姉御ッス(笑)
GM:じゃあ、ザインはがっくり項垂れました。そんな所で、そろそろアルト登場して下さい。
アルト:うん、小さい女の子と手を繋ぎながら、半べそで入ってくる。
ミナ:あんたも泣いてるのかいっ(笑)
アルト:だってもう何をどうすれば良いかわからないんだもん。アルトも泣くよ!――いつもの席につく。
テューレ:女の子用の椅子を用意するッスかね。
GM:じゃあ女の子も座りました。
ミナ:で、何があったのよ? この子はどうしたの、友達? 誰かに苛められたの?
権兵衛:余はなんでも解っているぞ。悪い奴に苛められたに決まっている。そうだろうそうだろう。
ミナ:いや、だからその悪い奴が誰かっていうのが大事なんじゃないのよ?
権兵衛:そんなの決まっている。悪い奴と言えばミナだ!(一同爆笑)
ミナ:ビシッとチョップを権兵衛に。
アルト:違うよ! ミナが悪いのは違くないけど、泣いてるのは別の理由だもん!
ミナ:引っかかる言い方だけど、ちゃんと聞きましょうか。テューレ、ザセッティー持ってきて。
GM:じゃあ少女はザセッティーを飲んで落ちつくと、誘拐されそうになった事、近隣の友達が誘拐されている事、自分の父親も誘拐された事を説明してくれます。
権兵衛:それはミナが犯人では無いんだな?
アルト:うん、黒いフード着てる男の人だったよ。
権兵衛:なら……うん、違うな(笑)
ミナ:なぜ私を見た。
テューレ:そう言えば、少女の名前を聞いてなかったッス。なんて名前なんスか?
GM:「わたし? わたしは……アルト」(2)
テューレ:アルトッスか。きっとバイエルンとか言われて苛められたッスね、可哀そうに。
アルト:ツッコむところソコなの!?(一同爆笑)
GM:「……別に、名前では苛められなかったけど」
ミナ:きっと痩せてるからでしょうね。あ、アルトの頭に手を置いて拳を届かなくするので。
アルト:ずーるーいーっ!!(ぶんぶん)
テューレ:で、結局この子もアルトなんスか?
GM:そうみたいですね。
権兵衛:わかったぞ! つまりこの少女が本物のアルトで、このむっちりが偽物だ!
アルト:むっちり言うなっ! それにアルト本物だもん! 偽物はそっちだよ!
GM:「うわ〜ん、偽物って言われた〜(涙)」
ミナ:ああ、もうっ! 収拾がつかないわね!(笑)
テューレ:とりあえず2人とも静かにするッス。どっちが本物だって別に良いじゃないッスか。
アルト:うう……わかった。
GM:「うぐ……」――少女の泣きやみます。
権兵衛:? どっちが本物でも良いわけ無いだろう。
ミナ:本当だ!(一同爆笑)
テューレ:あ、そうっすね(笑) じゃあスラムの少女に苗字を聞くッス。
GM:「苗字? そんなの無いよ?」
テューレ:じゃあスラムの子はアルトのままで、うちのアルトは苗字で呼ぶ事にするッスよ(笑)
権兵衛:テューレにしては良いアイディアだな。
ミナ:まぁ、それで進めましょうか。
GM:解りました。それで区別しましょう。
アルト:え、えと、その、アルトも苗字無いんだけど……?
ミナ:え? バイエルンじゃなかったっけ?
テューレ:そうッスよ。
権兵衛:(何を言ってるんだ?という顔)
アルト:違うよ! みんなが勝手に言ってるだけで、アルトそんな苗字じゃないもん!!(一同爆笑)
とりあえずスラムの少女はアーちゃんと呼ぶことに決定。
事情を聞くにはイマイチ要領を得なかったが、病気の母がいることを聞いたミナ達は、その母親から詳しい話を聞こうとミナとアルトの2人が護衛しつつスラムへ向かうのだった。

◆裏武道大会!

ミナとアルトがアーちゃんの付き添いでスラムに行ってしまい。
挫折の始まり亭にはテューレと権兵衛の男2人が居残っていた。
そんな暇そうにしている2人に店のマスターが声をかけてくる。その手には一枚のポスターが握られていた。
GM:挫折の始まり亭に男2人が残りましたね。
テューレ:姉御とアルトで大丈夫ッスかねぇ。
権兵衛:別にユニコーンが現れるわけでもない、心配いらないだろう。
GM:そんな2人に始まり亭のマスターが話しかけてきます――「そう言えばお前ら、この前の仕事でがっつり稼いだせいか暇そうだな」
テューレ:がっつりは稼いだッスけど、儲け話があるなら聞くッスよ? きっと姉御も乗ると思うッス(笑)
GM:「ならこの大会に出てみないか?」――と一枚のポスターを出してきます。
権兵衛:なんだ? 利きスイーツ大会なら出てやるぞ?
GM:そこにはこう書いてあります。『裏武道大会』と。
ミナ:ちょっと! ネタに詰まったマンガじゃないんだから!(一同爆笑)
権兵衛:それとももうネタが無くなったか! まだ6話目だぞ!(笑)
GM:確かに王道で考えてたキャンペーンネタは全部おじゃんになりましたけどね! 別にそういう意味じゃありません!
テューレ:じゃあどういう意味ッスか! ある意味では武道大会は王道ッスよ?(笑)
アルト:でも裏ってついてるから邪道なんじゃない?
GM:その通り、今回行われる武道大会は表向きじゃありません、だから挫折の始まり亭に出場者募集の連絡が回ってくるわけですしね。
権兵衛:それで、優勝者は何が貰えるんだ?
テューレ:100万ガメルとかッスかね(笑)
権兵衛:それは無いだろう(笑)
GM:「いや、100万ガメルぐらいの価値はあるんじゃないか?」
テューレ:マジッスか!?
GM:「ああ、なんてったって優勝賞品は生きたユニコーンって話だからな!」
ミナ:………………。
アルト:………………。
テューレ:……あ、そういう事ッスか。
権兵衛:……うむ、いろいろ納得してしまったぞ。
GM:「まぁフリーで出場するチームも、どこかの後ろ盾で出場するチームもいるらしい」
テューレ:大会の運営はどこが行っているんスか?
GM:「複数の貴族が共同で出資しているようだな。もちろん、どの貴族も匿名だが……大会出資に協力しつつも、自分の息のかかった参加者で、優勝賞品も頂こうって噂の貴族もいる」
権兵衛:そんな悪い奴がいるのか?
GM:「本名じゃないだろうがブラック卿と名乗る貴族だ。こいつは今回の大会の大元をやってるな」――ぶっちゃけ出資者の中で一番多く出しているリーダーです。
権兵衛:ミナの父親だな。
ミナ:おいっ(笑)
GM:「ほう、権兵衛は知っているのか?
権兵衛:当たり前だ。会った事だってある! あれはなんとも腹黒い男だった。まさにミナの父親に相応しい。
テューレ:むんずと耳を掴むッス――俺ッちすら会って無いのに、ウサギごときが姉御のご両親に会えるわけ無いッスよ。
権兵衛:宙吊りのままフフンって鼻で笑う(一同爆笑)
テューレ:(ピキッ)
権兵衛:ミナの子分ごときが、なんでも知ってる気になるでないわ!(笑)
テューレ:そっちこそ、姉御の何を知ってるッスか、ボケウサギ!
権兵衛:ボ、ボケウサギ!? 余が後列だと忘れたようだな。戦いになったらライトニングで巻き込んでやる!
テューレ:いや、俺っちも後列だし、それより月の無い晩には気を付けるッスよ。
GM:「いや、お前ら、なんでこんなに張り合ってるんだ?」(笑)

◆動き出した運命

スラムを少女とともに歩くミナとアルト。
3人の頭上を1羽のスズメがチュンチュンと飛んでいる。
アルトが時々、ジャンプしてそのスズメを捕まえようとするが、当のスズメは大概迷惑そうだった。
GM:一方スラムです。
権兵衛:ファミリアのマロンもそっちに行かせるぞ。
アルト:じゃあ頭の上にスズメのマロンを乗っけてる。
権兵衛:なんでだ! 何か範囲魔法とかあったらマロンまで巻き込まれるじゃないか! 見失わない程度に上を飛んでるぞ(笑)
GM:わかりました。それではアーちゃんに連れられて来たのはスラムの一角です。目の前には家なのでしょう、バラックがあります。
ミナ:ここがあなたの家なのね。
GM:「うん」――ドアを横にはずして中へ入ります。
アルト:それはドアと言わない。板だよ(笑)
GM:中にはボロの布団に寝かされたアーちゃんの母親がいます。ゴホゴホ言いながら起き上る。
ミナ:ああ、無理しないで。
アルト:それより気を付けてよ。アーちゃん誘拐されそうになってたよ?
GM:「え? うちのアルトが……すいません、助けてくれたのですね。ごほごほっ、ああ、亭主もこの前誘拐されてしまい……しかし私はこの病のせいで働けない……すいません、すいません、ごほごほっ」
ミナ:その誘拐って最近多いのかしら?
GM:「はい、なんでも噂じゃ奴隷にされていると聞きました……」
アルト:多いんだ……ねぇミナ、このままじゃアーちゃん達が危ないよ?
ミナ:危ないよって言われても、私たちにはどうしようも無いじゃない。
アルト:なんで? その誘拐犯達をやっつけようよ! そうすればアーちゃんも安心して外に出れるし!
ミナ:あんたねぇ、私たちは冒険者なのよ? なんでそんなタダ働きみたいな真似しないといけないのよ。
アルト:冷たいよ! 助けてあげようよ!
ミナ:ダメ。お金がなきゃ冒険者は動かないもんなのよ? やりたいなら一人でやりなさいよ。
アルト:うう……。
テューレ:しかし余の中には悪人には人権が無いっていう便利な方便が……。
ミナ:む……確かに。
GM:確かにって、勝手にいない人の電波受信しないで下さい(笑)
アルト:わかった。それじゃあミナ達を雇うよ!アルト、6000ガメル残ってるから1人2000ガメル出す!(3)
ミナ:はぁ……しょうがないわね。わかったわ、この誘拐事件をなんとかしましょう。
アルト:おお♪ じゃあアーちゃんに良かったね! なんとかしてあげられるよ!って手を取って喜ぶ♪
テューレ:姉御が折れたッスね(笑)
権兵衛:して、その心は?
ミナ:誘拐事件を解決して、事件の黒幕から火事場泥棒を……って、何を言わせるのよ(笑)
GM:それが本音か! 誘拐犯よりたちが悪い!(笑)
ミナ:まぁそれは置いておいて……そうと決まればテューレ使って裏の情報集めるわよ。挫折の始まり亭に戻りましょう。
アルト:うん♪
GM:それじゃあ2人がバラックを出たところで、スラムの細い道を我が物顔で歩いてくる横に太い男を見ます――「ゲフッゲフッゲフッフッフッフッ」
ミナ:気持ち悪い笑い声あげてんじゃないわよー!――ってバラックの屋根板を投げつける。キモイのよ、そういうNPC!
アルト:いや、ミナ、いくらなんでも問答無用過ぎだよ!(笑)
ミナ:大丈夫、キモイからきっと敵よ。
GM:それよりアーちゃんの家を壊さないでもらいたい(笑)
ミナ:あ、ゴメン(笑)
GM:ま、まぁいいや、とりあえず板を投げつけられても、その厚い脂肪の壁でダメージは入りません。横太男はミナ達を見て言います――「なんだぁお前らは? おお、女じゃねーか? ちょうど良い、痛い目みたくなかったら俺様と一緒に来るんだな!」
ミナ:速攻魔法≪ウィンド・カッター≫!
GM:ああ、やるならちゃんと戦闘に入りますって(笑)
横太男(仮)と唐突に戦闘に入るミナとアルト。
もちろん、こんなやられ役に負けるわけもなく……――
GM:「ひ、ひぃ……た、助けっ」――もう死にかけなので、四つんばで逃げ出すのですが、裏路地に入ろうとした所で、弾き飛ばされます。
アルト:弾き?
GM:路地裏から身長2m50cmぐらいの黒ローブにフードで顔を隠した戦士が現れ、横太男の首を踏みつけトドメを刺します。
アルト:ええ!?
ミナ:殺すんだ……それは身長の高い方に言おう――やってくれるじゃないのよ?
権兵衛:ミナっぽい(笑)
GM:「余計な事をしてしまったか?」――さて、身長2m50の男に対して、2人とも冒険者+知力で判定して下さい。
ミナ:(コロコロ)……11。
アルト:13だよ?
GM:なら2人とも解る。フードの下はリルドラケンのようだね。
ミナ:リルドラケン……――あんた何者よ? さっきの一撃、ただの冒険者じゃ無いんでしょう。
GM:「ああ、冒険者じゃないな。俺は……拳闘士だ」
アルト:闘技場とかで戦う人?
ミナ:みたいね……――とりあえず、人と話す時はフードぐらい取ったらどう? リルドラケンの拳闘士さん?
GM:「ゆえあって人前で顔を出せない身の上でな……無礼は承知の上だ、それより……」――チラリとフードの下の眼がアルトを見た気がします。
アルト:え? なんで?
GM:「それより……これ以上、裏の世界に踏み込むな」
ミナ:そんなつもりは毛頭無いっ!(笑)
アルト:そんなつもりは毛頭無いよっ!(笑)
GM:無駄にハモりましたね。
ミナ:言い直そう(笑)――裏の世界? 誘拐犯をなんとかしようとするのがいけないこと? それとも、なんとかしようとしたら……あなたも困るのかしら?
アルト:え、この人……誘拐犯の一味!?――構えるよ!
GM:「………………誤解を与えたなら謝ろう。つまり、お前達は冒険者として事件を解決するつもり、そのようだな」
ミナ:………………ええ、そうね。
権兵衛:微妙な間があったぞ(笑)
GM:「いいだろう。この事件を解決したいのなら、この街で最近行われている裏武道大会、その地下闘技場に来るが良い」
ミナ:罠かもしれない……それを私たちに信じろと? 顔も名前も明かせない拳闘士さん。
GM:「……私の名はカイザー、いずれまた会うことになるだろう。そこに全ての答えがある。だが、真実を手にできるかどうかは……お前達次第だ」――そう言ってカイザーは去って行きます。(4)
アルト:見逃すの?
ミナ:向こうに戦う気が無いなら、無駄に戦う必要も無いでしょう。なにか……事情があるみたいだしね。
アルト:うん……そう、だよね――と、言いつつ何かアルトは引っかかるなぁあのリルドラケン。
GM:そうですね。アルトは何か知り合いなんじゃないかなぁって程度に引っかかります。
アルト:おお!? でもリルドラケンの知り合いはいないんだけどなぁ(笑)
ミナ:ま、今度会ったらフード取ってみれば何か解るかもね。
アルト:……うん、わかった。それより地下闘技場って……もちろん行くよね?
ミナ:当たり前でしょう? 非合法の臭いがする闘技場……ふふふ(笑)
テューレ:あ、姉御……顔が(笑)
ミナ:(パンパンっと顔を叩き)アルト! 誘拐された人はきっとソコにいるわ! テューレ達と一緒に乗り込むわよ!
アルト:おー!!

◆大会出資者の貴族たち

挫折の始まり亭にて、テューレと権兵衛が裏武道大会についてあれこれ話していると、何やら身なりの良下げな使用人が店へと入ってきた。
GM:挫折の始まり亭です。テューレと権兵衛がいると、そこに身なりの良い男がやって来て――「ここにミナ殿のご一行がいらっしゃると聞いたのですが……」
テューレ:姉御に何か用ッスか?
GM:「ミナ殿のお仲間の方ですかな。実はあなた方の実力を見込んでお願いしたい事があるのです」
テューレ:依頼ッスか?
権兵衛:とりあえず詳しい話を聞かせろ。
GM:「はい、すでにお耳に入っているかと思いますが、最近裏の世界で武道大会が開かれるのが決まりましてな……是非あなた方に我が主人の名を背負って出場して頂きたいのです」
テューレ:スミス卿ッスか?
GM:「いいえ」
権兵衛:じゃあブラック卿か!
GM:「それも違います……我らの主人はデューク卿と申します」
テューレ:なんか新しい貴族が出てきたッスね! 名前覚えるのがメンドイッスよ(笑)
権兵衛:ぶっちゃけ過ぎだ! 余も実はそう思ってたけど(笑)
GM:大丈夫です、今回出てくる貴族は3人しかいないので。
権兵衛:そのデューク卿って知ってるか?
GM:セージで振って下さい。
権兵衛:(コロコロ)……14!
GM:子爵の位を持つ貴族だね。スミス卿やブラック卿は偽名だけど、デューク卿は本名を使っている。
テューレ:良いんスか? 裏武道大会なんてバレたら大変なんじゃ。
GM:そう言うのもこのデューク卿、表向きもいろいろ悪どい事をして財を成したって有名な貴族なんだ。今更偽名もあったものじゃない。
権兵衛:お前、デューク卿の使いか。
GM:「我が主人のことをどうやら知っておられるご様子……なら、この誘い断ったらどうなるかお解かりかと……受けて、頂けますね?」
テューレ:くっ、脅してきてるッス……ここは姉御が帰ってくるまで時間を伸ば――
権兵衛:その誘い、断るっ!(一同爆笑)
テューレ:ぅおいっ(笑)
GM:「な、なんですと!?」
権兵衛:貴様の主人のように金に汚い奴は大っ嫌いだ! 消えろ! 帰ってさっさと主人に伝えるが良いっ!
テューレ:こ、このウサギ、いきなり何言うッスか(笑)
GM:使いの者は青筋ぴくぴくさせつつ帰って行きます――「こ、心変わりしたのなら、主人のお屋敷に来るが良い。このクソ兎が」
ミナ:じゃあそれとすれ違い様に帰ってこよう――ただいまーって、どうしたのよ権兵衛?
権兵衛:どうしたもこうしたもあるぞ! さっき余より偉そうな分をわきまえぬ最低な使用人が来たのだ! マスター! 塩は有るか! 巻くぞ塩を!
テューレ:さっきは金に汚いのはとか言いつつ……本音はソレッスか(笑)
権兵衛:塩を外に投げながら――余は大変イラっとしたのだ!(笑)
アルト:ペッ、ペッ、辛い〜――って塩かかりつつ入って来た。
テューレ:姉御もアルトもお帰りなさいッス。
ミナ:とりあえず情報交換して良いかしら?



アルト:裏武道大会! 出よう出ようっ♪
テューレ:でも、そのカイザーって人が出てらダメって言ってたのがこの大会じゃないッスか?
ミナ:あのリルドラケンは一筋縄でいかないわ……どの貴族の下で拳闘士として登録しているのかが気になるわね。
アルト:あ、そうだ! アーちゃんのお母さんが病気なの! あれってユニコーンの角の力があれば治せないかな?
GM:よく気が付いてくれました! 確かにユニコーンの角があれば治りますね。さっきスルーされたのでこのままなかった情報になるかと思いました。
アルト:えへへ♪ 情報を整理してて思いついたんだ!
ミナ:(ちっ)
アルト:ミナっ!?(一同爆笑)
GM:今の……気が付いててわざとスルーしてたんですか、あなたは!(笑)
ミナ:さぁねぇ〜(笑)
アルト:殴って良い? やって良いよね?
テューレ:姉御をやるなら、俺っちが相手になるッスよ?
権兵衛:というか……病気なら普通に神殿に行けと言いたい。
アルト:………………あれ?
ミナ:まぁ、権兵衛にしてはまともな意見ね。
権兵衛:プレイヤーの素だ(笑)
アルト:……GM?
GM:………………。そ、それも一つの手です。
アルト:目を逸らすなーっ(笑)
ミナ:たいしたモチベーションじゃないんだから、そんなの置いておいて話進めるわよ?(GMとアルトが微妙な顔)
テューレ:それなら、裏武道大会に出るかどうかを先に決めないッスか?
GM:そうですね、出場すればさらに名も売れますし、いろいろ知名度も高まるでしょう。
権兵衛:悪の道へ進む感じがするがな(笑)
GM:今更な気がしますが……。
アルト:カイザー以外も強いのいるのかな? すごい楽しみ♪
GM:まぁ、3貴族以外の出資者の拳闘士もいますからね。中にはイロモノもいる可能性がありますが(笑)
ミナ:と、言うか。そんな大会出るわけないでしょうが。
アルト:えええっ!?
GM:出ないんですか!?
権兵衛:なんと、ミナが光の道に(笑)
ミナ:光の道とか関係無いし(笑)
テューレ:じゃあ、どうして出ないんスか?
ミナ:どうしてって……別に出る必要無いじゃない。私たちの目的は誘拐犯を倒してアーちゃん達を安全に暮らせるようにする事でしょう? 確かに黒幕が大会に関わってそうだけど、それなら大会に出なくても尻尾を掴む方法はいくらでもあるじゃない。
アルト:で、でもでも、せっかくの名を売るチャンスなのに? 優勝すれば賞金も貰えるかもよ?
ミナ:あのねぇ……私は確かにリプレイを読み返すと悪人かと思われる行動を取ってるけど、別に好き好んで悪の道を進んでるわけじゃないのよ? それが私のやり方で一番近道だからやってるだけ。だいたい、裏の世界で名前を売っても損こそすれ何一つ得なこと無いじゃない。
アルト:う、うう……なんか説得力がある。アルト的にはアーちゃんの為にミナが考えてるなら、これ以上はわがまま言えないなぁ。
権兵衛:余としても、悪名を売る必要性は無いと思うしな、ここはミナの事に従――いや、余もそう思っていたのだ、うんうん(笑)
ミナ:それに良く考えてみなさい。優勝して貰える商品がアレなのよ? 貰った瞬間に『ここで会ったが百年目! ドブシュ!』って刺されるのがオチじゃない。(5)
アルト:あ……うん。
権兵衛:余は華麗に避けるが、3人は刺されるだろうな。
ミナ:ほら、納得でしょ。
テューレ:じゃ、じゃあ、武道大会は放っておいて、情報収集が優先ッスね。なら俺っちはスカウトギルドにちょっくら行ってくるッス。
ミナ:それじゃあ私たち3人はスミス卿に話を聞きに行きましょうか。

◆情報収集した結果……

そうしてスミス卿の屋敷にやって来て、裏から応接間へ通されるミナ達3人。
ミナ:裏武道大会って話を聞きまして……何か知ってるなら、教えてもらおうと。
GM:「ほう、なぜそれをキミ達が?」
ミナ:優勝賞品について耳に入りまして、それなら私たちが興味を持つのも自然な流れでは?
GM:「なるほどな……良いだろう。だが先に言っておくぞ、あの商品を用意したのは私では無い」
アルト:ええ? じゃあ別のユニコーンなの!?
GM:「いや、生きている希少種など滅多に市場に出るものじゃない、私が流したソレを、どこからか入手したのだろう」
権兵衛:そう言えば大会出資者のリーダーは、別の貴族と言っていたな……。
GM:「ああ、元締めはブラック卿だ。この大会は不定期だが何度か開かれていてな、ホスト主催者は連続して同じ者が行わない暗黙の了解になっている……が、ブラック卿はここ最近ホストを行う回数が多いのも事実……」
ミナ:目を付けていた……と?
GM:「国は綺麗ごとだけ進めば空気を入れ過ぎて破裂する風船と同じだ。時に良い塩梅になるようガスを抜く必要がある……しかし、それを甘い汁と勘違いして群がる害虫も……国には少なからず、いるのだ」
ミナ:参ったわね……スミス卿は手強いわ。このままだと乗せられそう(笑)
GM:「ま、今のは独り言だ、聞かなかったことにしてくれ……それより、もし大会に参加するなら是非私のお抱えとして出場してくれたまえよ。キミ達なら実力も信用がおける」
ミナ:それはどーも。
アルト:でも、ミナが大会には出場しないって言ってるから……。
GM:「そうなのか。残念だな……今回は絶対王者のカイザーにも陰りが見え出したと、他の参加者も息巻いているのだが……」
アルト:カイザー? それってリルドラケンの?
GM:「うむ、この数回の大会では連続で優勝していてな。しかし前回、前々回と不調が続いており、そろそろ王座陥落かと噂されている」
権兵衛:そのカイザーは誰のお抱えだ? いや、言うな、余には解る。ブラック卿だな?
GM:「ああ、確かに彼はブラック卿のお抱えだ」
権兵衛:余はなんでも知っている(笑)
アルト:ねーねー、ブラック卿の下にはカイザーみたいに強い人いるの?
GM:「ああ、いるぞ。リルドラケンの絶対王者カイザーの他に、エルフの怪人テッドやドワーフの巨砲グラなんかも有名だな」
アルト:おおお♪ ミナ! ミナ!
ミナ:だから参加しないって言ってんでしょーが(ちょっぷ)
アルト:あうっ!?
GM:「まぁ参加を強制はしない。しかし何か困った事があれば遠慮なく言ってくれたまえ。特にブラック卿の息がかかった輩がスラム街で何か行っているという噂がある。スラムに行く場合は注意してくれたまえ」
ミナ:ええ、お気使いありがとうございます、スミス卿。
その後、挫折の始まり亭に戻ってテューレを待つミナ達、夕方になって戻って来たティーレはギルドで聞いてきた話をするのだった。
テューレ:結構話を聞けたッス。かいつまんで話すと……――

――テューレがスカウトギルドで聞いた情報――
 ◆デューク卿は古くからルキスラの裏社会に影響力を持つ貴族。親分の顔を持つ。
 ◆ブラック卿はここ数年で裏社会で幅を利かせ始めた新参者。
 ◆ブラック卿は表の世界に出る時は常に影武者を使っているとの噂がある。
 ◆スラムでの誘拐事件にギルドは関わっていない、証拠があるとギルドも動けるのだが……。
 ◆現在わかっている武道大会参加者の簡易データ(技能と冒険者LVのみ)

テューレ:とりあえずGMが用意していたトーナメント表ッス(机に広げる)。
GM:虫食いの部分は参加者未定です。みなさんが参加する場合は、その虫食いのどこかから参加することになります……なる予定でした。
アルト:予定って(笑)
ミナ:うーん、やっぱり参加登録してみましょうか。
アルト:本当♪
ミナ:だって、どう見てもこれだけの参加者のデータをGMが作ってるっぽいじゃない?(笑)
GM:苦労しました。
権兵衛:だからと言って信念を曲げるのはミナでは無いと思うぞ(笑)
ミナ:それもそうね。
テューレ:コンベンションとか、見ず知らずのGM相手にはやっちゃいけないヘソ曲がりっぷりッスね(笑)
GM:気心の知れたGMにも、できればやらないで頂きたい。
ミナ:まぁ置いておいて。
権兵衛:うむ。もし参加するならブラック卿だろうな。
ミナ:そうね。虎穴に入らずんば虎子を得ずって言うしね。
テューレ:ああ、大会目的より証拠探しの為の潜入ッスか。それなら俺っちだけ参加登録するッスよ?
アルト:ええー! アルトも参加したいよ!
ミナ:じゃあテューレとアルトでブラック卿に売り込みに行って、そこから参加できないか交渉して来てくれないかしら。
テューレ:そうッスね。スカウトギルドに戻ってちょっとブラック卿のお抱えになれないか話してくるッス。
権兵衛:アルト、お前はブラック卿のところに行けばきっとカイザーに会える。カイザーとは何か因縁のようなものを感じるのだろう。会ったら話してみると良い。
アルト:うん、そうだね……あのカイザーっていう人、どっかで会った気がするし……。気になるんだ。
その後、スカウトギルドに幾らか積みブラック卿に紹介してもらう2人。
強い冒険者なら勝率を上げる為にも歓迎すると、ブラック卿の執事を名乗る者から実力試し(怪人テッドとの1ラウンドのみの戦闘)を行い、その試験に見事2人は成功し、雇われる事になるのだった。
そして……
テューレ:白い粉ッスか?
一人になったあと、屋敷をこっそり調査するテューレだったが、部屋の一つで妖しい『白い粉』を発見するのだった。

◆裏武道大会当日

テューレとアルトがブラック卿のお抱えになり数日、その間、屋敷の外に出ることが叶わず、そのまま大会当日となっていた。
そして、ミナや権兵衛と情報交換する間もなく武道大会の会場へと2人は連れて来られていた。
テューレ:せっかくの粉の情報も、姉御に伝えられなきゃ意味ないッス。
アルト:カイザーとも会えなかったし、どうしよう、もう大会当日だよ?
テューレ:そうッスね……うーん。
GM:それじゃあ大会会場の廊下を歩いていると――
ミナ:だからー、アルトの回避は大した事無いけど、問題はタフさなのよ。
権兵衛:あいつは薔薇のチョーカーも買っていたぞ、タフさはさらに上がっていると見ていいな。
GM:あー……じゃあミナと権兵衛がいました(笑)
アルト:ミナに飛び蹴り!――てりゃーっ! なんでココにいるのさ!?
権兵衛:アルト、丁度良いところに! その薔薇のチョーカーを余にくれ(一同爆笑)
アルト:なーんで、そうなるの!?
権兵衛:お前のタフさを減らそうと思ってな!
アルト:アルトのタフさを減らして何する気なのさ!?(笑)
権兵衛:それは……言えない!
アルト:言えないって、今明らかに対アルト戦術組んでたじゃん!(笑)
テューレ:本当にどうして姉御がここにいるッスか? 大会には参加しないんじゃ。
ミナ:いやー実はさぁ……――
大会には参加せずに情報収集を行っていたミナと権兵衛だが、テューレ達との連絡が取れなくなった事で、しょうがないので自分達も大会に潜入して2人と連絡と取る事にしたのだった。
もちろん、参加資格はスミス卿のお抱え冒険者としてである。
ミナ:ま、あんた達だけじゃ心配だったからね。
テューレ:うう、姉御、俺っちは嬉しいッスよ! あ、そうだ、ブラック卿の屋敷でこんなものを見つけたッス――白い粉を姉御に見せるッス。
GM:粉を見たならセージで判定して下さい。
ミナ:(コロコロ)……達成値13ね。
GM:麻薬の一種だと思うね。常習性があって効果的にはドーピング剤的な効果がある種類だね。
権兵衛:いうなれば筋肉増強剤とかのたぐいか。
テューレ:じゃあブラック卿のお抱えはコレを使ってる可能性があるッスね。
アルト:ミナ達の方は何かわかったの?
ミナ:あのカイザーって男の噂を少しね。2年前にふらりと街に現れて、裏武道大会に参加していきなりチャンピオンになったみたい。それでブラック卿の目に止まってお抱えになったんだけど、どうもそれから神がかった強さになったそうよ――白い粉を見つつ――コレで納得もいったわ。
権兵衛:それだけでは無いぞ! なんとカイザーの装備している鎧は、魔導機文明時代の兵器らしくてな、その鎧自体が身体能力をブーストするものらしい。
テューレ:つまり薬だけでなく、アイテムでもブーストしているってことッスか。
権兵衛:もっとも最近では苦戦続きらしい、その古代兵器を使いこなせていないのだろうな。余なら完璧に使いこなせるが(えへん)
ミナ:ま、テューレの話を聞いて、禁断症状って方が確信っぽいけどね。
アルト:あの人が麻薬とアイテムでドーピング……。
ミナ:アルト、あなたの過去とか詮索する気は毛頭ないけど……あのリルドラケン、知り合いじゃないの?
アルト:……わからない。そうかもしれないし、違うかもしれない……ただ、懐かしい気はする。
ミナ:………………。
テューレ:姉御、とりあえず俺っちとアルトはこのままブラック卿の周りを張るッス。カイザーにもきっと会えると思うんで。
ミナ:それが良いわね。どっちにしろあなた達は自由に動けないんでしょ? この白い粉とかそっちの情報とかは私たちに任せておきなさい。
テューレ:姉御達は自由に出れるッスか?
権兵衛:当たり前だ! お前達と一緒にしないでもらおうか!
ミナ:違うでしょう(笑) ただスミス卿が融通利かせてくれてるのよ。
権兵衛:余がいるのだ当たり前だろう。それよりアルト、気をつけるんだぞ。例え知り合いであろうとカイザーは限りなくクロに近いブラック卿の懐刀だ。
アルト:う、うん……ありがとう、権兵衛。
ミナ:そんなアルトを見て、テューレに目配せしてから去りましょうか。

◆ザイア神官戦士の再起

会場を出てルキスラの街に繰り出すミナと権兵衛。
まず最初にスミス卿の屋敷に向かい白い粉の半分を渡して調査を依頼すると、残りの半分の粉を持ったまま次に向かったのは……――
ミナ:というわけで、挫折の始まり亭に来るわ。
GM:来るのは良いのですが、それでどうするのですか?
ミナ:ザイン! ちょっとザイン、どこにいるの?
GM:ザインなら奥のテーブルで寝てたのですが、ビクリと起きて出てきます――「え!? あ、はい! なんでしょう」(6)
ミナ:約束通り、仕事を持ってきたわよ――と白い粉を出そう。
GM:「えっと……これは?」
権兵衛:砂糖だ。
GM:「ありがとうございます。それじゃあザセッティーに入れて――」
ミナ:ザインを殴ってから、権兵衛にちょっぷ!(笑)
権兵衛:なにをする!?(笑)
ミナ:それはこっちの台詞よ! 変なこと吹き込まない!――「これは麻薬よ? それも中毒性の高い、ね」
GM:「なんで私は殴られ……って、ええ? 麻薬ですか!」
ミナ:ブラック卿という賭け武道大会を開いている貴族が、どうやらコレに関係あるみたい……って説明する。
GM:「そんなことが行われていたなんて……わなわな」
ミナ:とりあえずコレをあなたに預けるわ。
GM:「ええ!? し、しかし、私は今や一介の冒険者……正義を成す神官ではない今の私には……」
ミナ:そうね、確かにあなたは神官ではなくなった。けれど、元神官だったというコネはある。失った信頼を再び勝ち取るなら今よ。コレで手柄を立てなさい。
GM:「ほ、本当に……本当に良いんですか? はっ!? ま、まさか後で報酬をせしめるつもりじゃ」(笑)
ミナ:報酬なら前回5000ガメル貰ってるつもりだけど? まだ払いたいなら追加で請求しましょうか?(笑)
GM:「ミ、ミナ殿! 権兵衛殿! わかりました! 必ずやブラック卿の闇を白日の下にさらし、このルキスラから悪の芽を摘み取ってみせましょう!!」
権兵衛:うむ、礼にはおよばん。あとで有名店のケーキを100個ほど持って来い。
GM:「ええ、それぐらいなら100個でも200個でも!」(笑)
権兵衛:おお! ミナ! ミナ! こいつはなかなかやる奴だ!(笑)
GM:そんなこんなでやる気になったザインはザイア神殿へと走って行きます。
テューレ:ところでブラック卿が表の圧力で何もなかった事にするんじゃ……。
ミナ:ま、その場合はザインだけの責任だし、別に良いんじゃない?
アルト:酷い! さっきちょっと良い人っぽかったのに、ミナには幻滅だ(笑)
ミナ:うっさいわね! あんたはさっさとカイザーと会って話なさいよ!

◆因縁の恩人カイザー

ミナと権兵衛と別れてから、テューレは「ちょっと調べることができたッス」と1人いなくなってしまい、アルトはぽつんと暇を持て余していた。
しかし、アルトも冒険者である。権兵衛に言われた通りせめてカイザーとは接触を図る為に動いてみようと立ちあがるのだった。
アルト:ねぇGM! 直接ブラック卿のところに行って、カイザーに会わせて欲しいって直談判する!
GM:ほほぅ、テューレはどうしますか?
テューレ:今は様子見ッスね。会うぐらいならアルトの好きにさせるッス。
GM:じゃあブラック卿に会わせてと騒ぐと、テストを行った怪人テッドがやってきます――「おやおや、そんなに騒がずとも……しかし残念です。今、主人は別件で出払っておりここにはおりませんよ?」
アルト:じゃああなたで良いよ! アルトをカイザーに会わせて!
GM:「……それは、どうして?」
アルト:チャンピオンのカイザーに、本番前に挨拶したい! それが武道家の礼義だから!
GM:「ふむ……カイザーはこの時間ですと瞑想し集中力を高めているはず。行っても邪魔になるだけです」
アルト:じゃあここにいるんだ!?
GM:あ、それはテッドが「しまった」という顔に僅かになるか。
アルト:会いたい! 連れて行って! 邪魔しないから! ねーねー!
テューレ:ただの駄々っ子ッスね(笑)
アルト:うんと言ってくれるまでしつこく言うよ(笑)
GM:そういうのテッドは嫌いそうだしなぁ……「わかりました。ついて来て下さい」
テッドに連れられて来た場所は、カイザー専用のトレーニングルームのような場所だった。
扉を開けて入ると、部屋の中心には背を向けてカイザーが微動だにせず立っていた。
GM:テッドは扉付近で待っています。話かけるならご自由に?
アルト:じゃあおずおずと近づいて……――あの、スラムの時はありがとう。
GM:反応はありません。
アルト:瞑想中だから無視されたのかな?――えと、それで、実は聞きたい事があって……。
GM:カイザーは微動だにしません。
アルト:もしかして……だけど、アルトとどっかで会ったことない? アルト……あなたの事を見ると、なにか懐かしい感じがして……。
GM:フードをかぶり、鎧を付けたままのカイザーは、アルトの問いに全く反応しませんね。
アルト:……前に回って見てみる。
GM:目を瞑っています。そしてアルトは気が付く、カイザーはほとんど息をしていません。瞑想というレベルでなく……仮死状態のまま立っている、という感じです。
アルト:えええ!? 何がどうして……触ってみるけど。
GM:限りなく冷たいです。
アルト:ゆっさゆっさする!――ねぇ! カイザー! アルトの話を聞いてよ!!
GM:「無駄ですよ」――後ろからテッドが言います。
アルト:ねぇテッド! どうして動かないの! この人死んじゃってるの!?
GM:「死んでなどいません。ただ、まだ動かしていない……それだけです」
アルト:動かして……いない?
GM:テッドをカイザーに近づきながら――「本当は、誰にも言ってはいけないのですが……あなたはどうもカイザーと因縁があるらしい。なら、共に秘密を共有しましょう。それがあなたの為であり、そしてカイザーの為でもある」
アルト:何を……言ってるの?
GM:テッドを懐からカードのような鍵を取り出すと、カイザーの背中から鎧の隙間――スロット――に差し込みます。そしてその瞬間、カイザーの鎧の接ぎ目から蒸気が噴き出し、鎧全体に光の紋章が一瞬だけ走る。
権兵衛:なんか起動したっぽい(笑)
テューレ:ソードワールドなのにロボっぽいッス(笑)
ミナ:魔導機文明の奴ってロボみたいなもんだし、間違っちゃいないけど。
アルト:なんか嫌な感じがする! 入口まで逃げる!
GM:「そうはさせませんよ」――入口とアルトの射線上にテッドが立ちふさがります。そしてボコボコと身体の形が変わって本性を現します。
テューレ:本性?
権兵衛:人型に化けてたのか? そうか、レッサー・オーガか!(7)
ミナ:ああ、食べた人間の姿に変身できる蛮族だっけ?……って、蛮族?
GM:ちなみにアルトはセージが無いのでこれがレッサー・オーガと解りません(笑)
アルト:化け物になったことぐらいは解る! どうしよう、強さが解らないから戦って良いか判断つかないよ!?
テューレ:姉御ならどうするかを考えるッス!
アルト:ミナだったら……じゃあ死んだふりする!
ミナ:どこが私の行動なのよ!(一同爆笑)
アルト:ポテっと気絶したフリして動かない(笑)
GM:じゃあ演技……平目で振って下さい。
アルト:一世一代の大演技! ここで演技を――
GM:フードのままカイザーがアルトの鳩尾を殴り気絶させます。
アルト:ちょ、判定してないのに!?――ガクッ(笑)
意識がブラックアウトし、その後どれだけ経ったか解らないが、アルトが再び目を覚ました時、そこはトレーニングルームとはまったく別の部屋だった。
GM:アルトが次に気が付くと殺風景な部屋ですね。アルトは椅子に座らせられて、手足は縛られています。猿轡が無いところをみると、ここで騒いだ所で助けは来ない場所なのでしょう。
アルト:きょろきょろするけど、何も無い部屋?
GM:奥に扉が一つ見えます。そして数歩先に同じように椅子に座ったフードのカイザーがガックリとうな垂れています。
アルト:カイザー!? ねぇ、ちょっと! 大丈夫?
GM:アルトの声にカイザーも気が付きます――「う、うう……ここは……お、お前、アルト……」
アルト:やっぱりアルトのことを知ってる?
GM:「なぜ……ここに、来た」
アルト:なぜって……あなたに会いに。ねぇ、あなた誰なの? どうしてアルトの事知ってるの!?
GM:「私は……身も心もボロボロにされた、哀れな拳闘士さ」――カイザーは腕を上げるのも辛いのか、ゆっくりとした動作で顔を覆っていたフードを取ります。
アルト:あなたは!
GM:そこに現れた顔をアルトは確かに覚えている。4歳の頃、1人でモンスターの巣に突っ込んでいった時に助けてくれた冒険者。その後、その人に憧れ冒険者になるも、最初のモンスター退治で死にそうになり、その時偶然再び助けてくれたのが、このリルドラケンだった。
アルト:ああ! キャラクター作成の時に振った経歴表の!(8)
ミナ:そういえば何度も助けてもらった憧れの冒険者がいたんだっけ?
テューレ:というか、その冒険者がリルドラケンだったのは初耳ッス(笑)
アルト:アルトもプレイヤーも知らなかった(笑)
GM:勝手にリルドラケンにしました。
アルト:何を勝手にー!(笑)
GM:「どうやら……気が付いてなかったようだな」
アルト:だって……だってあの時はアルト小さかったし……それに、助けてくれた時、あなたは名前を名乗ってくれなかった!!
GM:「私は覚えていたぞ。お前は小さかったが、その目はキラキラと輝き未来に溢れていた。お前ならいつかきっと良い冒険者になると、その時思ったものだ」
アルト:カイザー……。
GM:「それに比べて私は……私は、強さを求めるあまり、未来も何もかもを失ってしまった……」
アルト:失ったって、何を?
GM:「全てさ。目的も未来も、守りたい今も……」
アルト:どうして、なぜこんな事になっちゃったの?
GM:「負けたのだ……。私は強くなったつもりでいた。しかし、私は自分で思っているほど強くなかった……そして私は、さらなる強さを求め、奴らの力に屈した……」
アルト:誰に……誰に負けたの? カイザー、あなたが負けるなんて、いったい誰に!
GM:「ふっ、ここに私が居続ける理由を考えればわかるだろう……ここの主人、ブラック卿だ」
アルト:ブラック卿!?
テューレ:貴族なのに強いんスね(笑)
権兵衛:ただの貴族では無いんだろう。いや、ヘタをしたら人間では……。あ、もしかしたらパワーって意味の力じゃない可能もあるか。
ミナ:そうね、こっちで調べるのが大事になって来たみたいね。
GM:「アルト、ここで再会したのは運命だったのかもしれない。一つ、頼まれてくれないか?」
アルト:え、アルトにできること? できるなら、アルト頑張るけど……。
GM:「ああ、ありがとう……それじゃあ私を……――

――殺して欲しい。

GM:――……自らの意志を奪われて、魔導機文明の鎧に制御され、奴らの言われるがままに戦う私はすでに誇りを失った。このまま罪を犯し続けるぐらいなら……――」と言ったところでカイザーの電池が切れます。フウゥン……。
アルト:ちょっとー! 今の音何!? 電池切れってどういうこと!(笑)
GM:カイザーはガックリと全身の力が抜けたかと思うと、鎧の節々から蒸気が吹き光の紋章が一瞬輝く、そしてかくかくと身体の各部を動かしてゆっくりと立ち上がる。
アルト:な、なぁ〜んか、嫌な予感。
GM:カイザーはぐっと右拳を握り込むと、ゆっくりとアルトを目指して振りかぶり――
アルト:ストップストップストーーープ! 逃げるよ! この縛ってる縄をブチ切れない!?
GM:筋力とグラップラーで判定して下さい。難易度は15で。
アルト:それ高くない!?(コロコロ)……あ、出た、16! ブチブチって縄を切って転がるように射線から逃げる!
GM:するとカイザーの拳がドゴンと椅子を砕きます!
アルト:ぎ、ぎりぎり……あ、カイザーは!? どうしちゃったの?
GM:目は虚ろで口の半開き、明らかに意思が無い状態です。そして振り返ってターゲットを再確認します。
アルト:急いで部屋のドアから逃げる!――ごめんカイザー、やっぱりアルト……恩人のカイザーを殺すなんてできないよ……。
GM:ちなみにドアは鍵が閉まってます。
アルト:えええーーっ!?(笑)
GM:そりゃそうでしょう。実験室みたいなものですし。会話できてたのもカイザーの強靭な精神力があればこそです。
アルト:ドアをダンダンダンって叩いて――出してー! 出してー!(笑)
テューレ:GM、俺っちが来て内側から開けたらダメッスかね。
GM:うーん……隠密判定ですかね。
テューレ:あ、隠密は途中からしないッス。カイザーが薬中で操られてるって情報と、ブラック卿が蛮族と吊るんでいるって情報が手に入ったッスから、もうここにいる必要は無いんで。かなり強引でもアルトを助けて脱出するッス。
GM:強引に来ますか……わかりました。ならテューレがドアを内側から開けて良いです。
テューレ:さぁ、さっさと逃げるッスよ!
GM:テューレがここまで強引にやって来たのなら、アルトが部屋を出ると、そこにはたくさんの黒いフードの一般研究員とかが倒れていたりします。
アルト:テューレ! で、でも、カイザーが! アルトの恩人のカイザーが!
テューレ:それは後ッス!――アルトの手を引っ張って脱出するッス。

◆ブラック卿を急襲せよ!

その後、武道会場をスズメの使い魔マロンで観察していた権兵衛が、逃げだしたテューレとアルトを発見、2人を先導しブラック卿の手から逃げると、裏路地でミナと権兵衛も合流するのだった。
権兵衛:ここまでくれば大丈夫だろう。
ミナ:それで、何か掴んだの? カイザーとは話せた?
アルト:う、うん……カイザーとは話せた。あの人、やっぱりアルトが憧れてた冒険者の人だった……だけど……うう、うわ〜ん!――って泣きながら、カイザーが薬漬けで廃人一歩手前な事とか、自分を殺して欲しいって言われたとか、魔導鎧で強制的に動かされてるとか説明する!
ミナ:アルトの頭をなでつつ――つまり、ブラック卿は薬を使ってのドーピングでカイザーをチャンピオンにしていたってことね。
テューレ:それにしても魔導機文明時代のアイテムッスか……なんか懐かしい気持ちになるッスね(笑)
権兵衛:余の知らない3話の話か?(笑)
テューレ:いや、それもあるッスけど、俺っちの因縁もあるんで。
ミナ:どういうこと?
テューレ:ほら、俺っちのマギテック技術を教えてくれた師匠って、マッドサイエンティストなナイトメアマギテックって設定だったッスから、ある意味、こういう実験とか懐かしいッス(笑)
ミナ:あ、危ない師匠ね……まぁいいわ。それよりアルト、それ以外には何も見なかったの?
アルト:テッドがバケモノになった事を言うー、外見とかこれこれこんな感じーって。
権兵衛:セージで判定しようか(コロコロ)……14だ。
GM:あきらかにレッサーオーガですね。
権兵衛:それは人間を食い、食った人間になりすます蛮族じゃないか!
ミナ:これでブラック卿が真っ黒なことは確定ね。
テューレ:どうするッスか姉御?
ミナ:ブラック卿の屋敷の場所はわかってる?
テューレ:俺っちがギルドで一応の場所は聞いて来ているッス。
ミナ:なら屋敷に向かいましょう。警備が手薄だったりするなら、ちょっと強襲しちゃった方が良いと思うわ。
アルト:じゃあ武道大会は?
ミナ:そんなところに行ったら袋の鼠じゃない? それにブラック卿は会場にいなかったんでしょう、いるなら屋敷にいる可能性の方が高いわ。
権兵衛:だが、余達だけで突入して良いのか? 余には負けるとはいえブラック卿もそれなりの貴族なのだろう? いや、余がいれば援軍などおらずともぜんぜん余裕ではあるがな(笑)
ミナ:そうね……テューレはスカウトギルドに武道大会の後始末を言ってきて。
テューレ:了解ッス。
権兵衛:なら余はザインに話でもしに行くか、ザイア神殿に表向きの援軍を多少時間経っても来てもらった方が良いだろう。
アルト:アルトは?
ミナ:アルトは……一応、挫折の始まり亭のマスターにでも伝えておいて、あまり派手にやるつもりは無いけどもしもの時はフォローお願いって。
アルト:うん、わかった。ミナはどうするの?
ミナ:スミス卿の所に行って裏から手をまわして貰うわ。さすがに貴族相手に殴り込みかけたら、どんな理由があってもこっちが悪者にされちゃうしね。
テューレ:じゃああとで合流ッスかね。
ミナ:そうね、合流地点はブラック卿の屋敷に近い……ココで――と、適当に地図を指差して裏路地を指定ってことで。
GM:わかりました。
ミナ:それじゃあみんな、後でね!
テューレ:了解ッス!
権兵衛:うむ、任せておけ。
アルト:わかった!
黒幕を掴み、それを急襲するための外堀埋めに奔走する4人。
スカウトギルドはブラック卿がお縄についた場合、裏武道大会で麻薬を使って優勝する不正を行っていたことについて強制捜査を行う事を約束。ザイア神殿は騒ぎが起こった場合はすぐに駆けつけられるよう付近に見回りを増やすとの話が付く。

もちろん、スミス卿と挫折の始まり亭のマスターも、もしもの時に圧力がかからないよう裏での根回しに協力してくれる事になった。
そして……――
GM:時刻は夕方を過ぎ夜になったばかり、今日の深夜に武道大会が行われます。そして4人は裏路地で合流ですね。
ミナ:こっちは上手く裏から手をまわしてくれるって約束してくれたわ。
アルト:お店のマスターも!
権兵衛:付近にザイアの騎士達が集まってくる手はずだ、すべて余の部下だな。
テューレ:ギルドも大会への不正について同時に強制捜査することになったッス。
ミナ:外堀はこれで十分ね。あとは私たち次第か……準備は良い?
アルト:うん!
テューレ:それじゃあ裏からブラック卿の屋敷に潜入するッスかね。
ミナ:そうね。こっそり侵入してブラック卿を見つけたら襲いかかるわよ………………ふと思ったけど、これって思いっきり強盗じゃない?(笑)
GM:え、今さら!?
ミナ:ま、いっか、悪いことしてるわけじゃないし(笑)
権兵衛:冒険者には2通りあるのを知っているか?
アルト:2通り?
権兵衛:そう、王道を行く冒険者と……そして、タンスを開ける冒険者だ(一同爆笑)
ミナ:まったくね!(笑) さぁ行くわよ!!
GM:それなら全員、レンジャーかスカウトで隠密判定して下さい。目標は9です。
アルト:(コロコロ)……素目で9! 凄い!
ミナ:……レンジャーで13ね。
テューレ:14で余裕ッス。
権兵衛:ちょっと危なかったが10で成功だ。
GM:それでは屋敷の裏庭当たりに潜入しました。庭の草陰とかに隠れてると思って下さい。
ミナ:草陰を移動しつつ、ブラック卿を探すわよ? いない場合は適当に使用人を捕まえて居場所を聞き出すわ。
GM:実はこの後の大会に向けて相談中なんですよね……すると、会議室のような場所で話し合いをしている4人を見つけます。
それは高級そうな服装の黒いローブ男、灰色のローブとフードで顔を隠した男、装飾の無い服を着た細身の男、怪人テッドの4人だった。
ミナ:妖しいとしか言えない4人ね(笑)
テューレ:高級なのはブラック卿ッスかね?
GM:ぱっと見ですが4人の立ち位置的に中心人物っぽいので、たぶんそうでしょう。
権兵衛:余は大丈夫だが、4人も敵がいて勝てるか?(笑)
ミナ:そこはまぁ……先手必勝で一発ブチ込んで、その後は各個撃破すればいいわよ!
アルト:そうそう! なんとかなるよ!
権兵衛:あのさ、毎回戦闘がキツイって感想戦で言うけどさ、ウチらってこういう突っ込み方をするから悪いんだよね。明らかに2回か3回に分けて戦う予定の敵っぽいし。(9)
ミナ:そこはプレイヤーの素の感想だから!(笑)
テューレ:それはセッション後にするッス(笑)
GM:ちょっと待って下さいね……敵のページを開きやすいようにするんで……(ルルブのページをいろいろ折ったりしている)
アルト:うわぁ……もっと前の方のページが良かったなぁ。
GM:ブラック卿が超強化ゴブリンとかでも良いなら、そうしますが?
アルト:ごめんなさい(笑)
GM:はい、どうぞ。最初はこっちが不意打ちするのなら1行動だけ動いて構いません。
権兵衛:なら<ライトニング>が4人全員に入る射線を探して打ち込む!(コロコロ)……あ、低い、12だ。
窓が吹き飛び突然ライトニングの魔法が部屋中に吹き荒れる!
GM:ブラック卿が……抵抗、灰ローブ男が……抵抗、細身の男が……抵抗、レッサーオーガのテッドが……失敗。
権兵衛:ダメージは13点だ。テッド以外は半減の7点!
ミナ:3m制限移動で前に出て、錬技<ガゼルフット>、そして窓をブチ割って<リープスラッシュ>(コロコロ)……目標はテッドで達成値10! ダメージは10点!
GM:テッドは(コロコロ)……抵抗、半減して5点通った。
テューレ:姉御に並んでからテッドを集中するッス<ソリッドバレット>(コロコロ)……16命中、ダメージは12点ッス。
GM:(コロコロ)……回避は無理だ、けどまだ耐えてる。
アルト:<ビーストスキン>だけ使って6m前に出る! 来いっ!!

◆それぞれの因縁

ラスボスっぽい人達が集まっている中にいきなり魔法をブチ込んで戦闘がが発生。
武道大会はどうなったのか? GMの用意した十数人のデータはどうするのか?(10)
その辺を無視してラストバトルがスタートである。

――1ラウンド目

GM:ここから戦闘ターンです。まずは先制判定、こっちは18です。
テューレ:(コロコロ)……15ッス!
GM:ではこちらの行動です。ブラック卿は割れた窓から飛び出して、アルトの前にふわりと降り立ち行動終了。
アルト:あれ? 今飛んでたような……ブラック卿って弱いんじゃないの?(笑)
テューレ:嫌な予感がバリバリッスね。フードの中は見えないッスか?
GM:まだ見えないね。そしてテッドと細身男と黒ローブがそれぞれ窓から外に出ます。ブラック卿をワントップにして後衛5mに3人が配置。
ミナ:ブラック卿が1人で前衛!? これは……やばい気がする。
権兵衛:ミナ、やっぱり2〜3話使って倒すボスだったんじゃないか? きっとモンスターLV9とかだぞ(笑)
ミナ:そう言ったってもう遅いでしょうが!
GM:本当、もう遅いですよね(にやり)。ブラック卿が言います――「挨拶も無く、裏庭から我が屋敷に入ってくるとは……ずいぶんと礼のなっていない客もいたものだ」
ミナ:挨拶なら今ので十分でしょう? 裏武道大会で麻薬を使った不正、蛮族との繋がり、スラムでの誘拐事件は麻薬と魔導鎧での洗脳実験の実験体にでも使っていたって所かしら? すべてネタは上がっているのよ、観念しなさいブラック卿!――ビシッと指を突き付ける!
GM:「アルトさんにテューレさん、会場から逃亡したと思ったら……なるほど、最初からこのつもりでしたか」――とテッド。
アルト:カイザーを返して! あの人を元に戻してよ!!
GM:「ふふふ……あれはかなりの傑作じゃ、元に戻るなど不可能じゃよ」――アルトの言葉には細身の男が答えます。
テューレ:なんか口調が爺ッスね。
権兵衛:次はこっちだな。相手が不明のこういう時は全員に<カウンターマジック>(コロコロ)……発動! 精神抵抗に+2だ!
テューレ:テッドを<ソリッドバレット>で(コロコロ)……14命中ッス! ダメージは10点!
GM:回避を(コロコロ)……それは失敗だ。そしてそのダメージで倒れる。2m以上の筋骨隆々のレッサーオーガの姿になって死亡します。
ミナ:とりあえず、蛮族と繋がっていたって証拠は確定みたいね……いつから蛮族と繋がっていたの?
GM:「ふん、愚かな。我が蛮族と繋がっていたわけではない……我こそが、お前達のいう蛮族の1人よ」
権兵衛:強がりを言うな! このルキスラは守りの剣が8本もある大都市、蛮族がそうやすやすと入り込めるわけがない!
GM:「確かにここにいる限り、我の力は抑制され常に不愉快な気分にされされるさ。だが、それを押しても成すべき必要があった……このような大国を、内側から腐らせる為にもな」
テューレ:なんかこの人……実は高レベルなんじゃって気がして来たッス(笑)
GM:「我が多少の苦痛さえ我慢すれば、あとは結界に影響されない部下を集めるのは簡単なこと。もちろん、蛮族以外でも協力者は増やせる」――そう言うと、細身の男が一歩前に出て自分に掛かっていた<ディスガイズ>を解きます。その姿は普通に人間の老人です。ただ一つ違うのは……額に角があります。
ミナ:ナイトメアね。
GM:そしてその老人の顔を、キミは知っている。
テューレ:師匠!? なんでそんなところにいるッスか!?――で、合ってる?(笑)(11)
GM:その通り、ブラック卿の仲間の1人は、小さい頃テューレにマギテック技能を教えてくれたナイトメアのスレイ師匠だ。
テューレ:スレイ……そんな名前だったんスね。
権兵衛:今日はPC設定が出まくりだな(笑)
テューレ:師匠、なんでそんな奴にくっついているんスか!
GM:「テューレよ、わしは魔導機文明の謎を解き明かし、全ての力を手に入れるためなら……その手段など選ばんよ。知っているだろう?」
テューレ:た、確かに、師匠は昔っから手段もパトロンも選らばない人だったッス。もっと付き合った人は選んだ方が良いって何度も言ったのに!(笑)
権兵衛:いや、それはお前だろう。
アルト:ミナと一緒にいちゃダメだと思うよ?
ミナ:それはどういう意味よっ!!(一同爆笑)
テューレ:まったくッス! 姉御ほど素晴らしい人はいないッス!
GM:「強欲のミナか……噂は聞いている。テューレ、人を見る目が無いな」(一同爆笑)
ミナ:だからあんたにも言われる筋合い無いっつーのよっ! ちょっとテューレ! あの失礼な爺さんはあんたの知り合い!?
テューレ:村外れに住んでいた面白いナイトメアの爺さんで、俺っちの師匠ッス。
ミナ:あっそう!
権兵衛:あっそうって(笑)
ミナ:とりあえず何でもいいわ! 倒すわよテューレ!
テューレ:了解ッス!
アルト:ミナも力強く流すしなぁ……そして間髪入れずに同意するテューレもテューレだよ!(笑)
GM:ブラック卿が言おう――「アルト、と言ったかな、そこのドワーフよ。我に寝返る気は無いか?」
アルト:断る! 何を当たり前な!
GM:「お前の大切な恩人が……どうなっても良いのかな?」
アルト:良くない! だけど……カイザーはきっと、自分のせいでアルトが蛮族に協力するのをきっと喜ばない! だから、お前らを倒してカイザーを、今度はアルトが助けるんだ!!
ミナ:悪いけど、あんた達がどれだけ強かろうと、私たちは揺るがないわよ。
GM:「さてどうだろうな……お前達だって、我に協力すればこの国を自由にできるのだぞ? 国の半分をやろう、とでも言えば良いかな?」(笑)
権兵衛:余の国を勝手にミナに渡すな!
ミナ:ビシっとチョップを。
権兵衛:うぐっ。ち、違った。この国どころは余はいずれ世界を手に入れる! だからお前らなんぞに国の、しかも半分なんかもらって満足などせん!
ミナ:私もね、欲しいのは国なんてめんどくさい物じゃないの。私が欲しいのはお金よ! すぐに使う事ができるあとくされの無いお金があれば良いのよ! 国の半分なんて願い下げね!
GM:「ふ……なるほど、その紛れもない強欲さが、その強靭な欲が、その魔剣の誘惑に勝つお前の精神力の根源というわけか」
ミナ:カッコ良さそうで、凄い失礼なこと言わなかった?
権兵衛:大丈夫だミナ、気のせいじゃなく明らかに言われたぞ(笑)
ミナ:違う! 正義の心よ!!
アルト:………………。
権兵衛:………………。
テューレ:………………。
GM:………………。
ミナ:金の為に死ねー!
一同:『ダメじゃん!』(一同爆笑)
GM:とりあえずブラック卿が回避するか(笑)
ミナ:あ、攻撃は後ろのスレイに<リーフスラッシュ>ね(コロコロ)……達成値16。ダメージは8点。
GM:スレイに来るのかよ! なんかズルイ!(笑) でも魔法使い系をなめるな……19で抵抗、4点通しで。
アルト:ブラック卿にパンチパンチパンチッ!(コロコロ)……16、13、クリティカル!
GM:それには演出で答えよう。アルトの3連撃がブラック卿を捕らえるも、その拳は霧や霞を殴っているようにダメージが入らない。
アルト:え、ど、どういう事!?

――2ラウンド目

GM:「こういう事だ」――とブラック卿はローブをマントのように広げる。そこには……という事でセージ判定して下さい。
権兵衛:13だぞ!
GM:レッサーヴァンパイアです。LVは11。
ミナ:はぁあ!? バッカじゃないの! なんで11LVのモンスター出てきてんのよ!(12)
アルト:勝てるわけないじゃん!?
権兵衛:だから2〜3回で倒す事になるボスなんじゃないかと言ってたんだ……いや、足りないな(笑)
テューレ:ってか、レッサーヴァンパイアって何LVになったら倒せるんスか?
GM:ゲームデータ的には8LVぐらいになれば倒せると思います。
アルト:半分しか無いよ(笑)
ミナ:私なんて3LVだから半分も無いわよ(笑)
GM:そして次のターンですが、ブラック卿は周囲をキョロキョロと首をめぐらせます。そして――「ふむ、LVが低い冒険者だと侮っていたようだ。ザイアの神官達を事前に呼びよせていたか」
権兵衛:おお! ザイン達が集まって来てるのか!
GM:「ふん、こんな所で躓くわけにはいかん、今日のところは命拾いしたな」――ブラック卿はふわりと浮きあがります。
ミナ:命拾いした? それはあなたの方じゃないの?
GM:「強気な女は嫌いじゃない……だが、そうだな。強がるならせめてこれぐらいで死なないでくれたまえ」――退場間際にテッドの死体に<クリエイトアンデッド>(コロコロ)……成功。テッドは起き上がります。
テューレ:敵が復活したッス!
GM:あ、すでにアンデッドになってレッサーオーガじゃないので、もう一度セージで判定して下さい。
ミナ:私が11ね。
GM:LV4のモンスター、ワイトに変化しています。そしてブラック卿は闇夜に消えて行きます。
テューレ:やばいのはいなくなったッスけど……嫌な置き土産をされたッスね。
アルト:ミナが挑発するからー!
権兵衛:とりあえず敵は3人、あいつらを倒せば良いわけだな!
GM:ではワイトは起き上がってこのターンは終了、そして今まで黙っていた黒ローブがフードを外しながら前へ出てきます――「あいつがいなくなったからには、俺は好きにやらせてもらおうか」
ミナ:こいつも蛮族なの!?
権兵衛:(コロコロ)……セージで16だ!
GM:黒ローブは美しい男性の姿をしていて、その額には優美な角が生えています。そして、その背中にはバサッと大きな羽を広げている。モンスターLV6のドレイクだ。
権兵衛:ミナ、こいつはドレイクだ! 蛮族の中でも上位種だぞ!
ミナ:レッサーヴァンパイアだけでなく、ドレイクまでって……ちょっとルキスラの警備ゆる過ぎない!?
GM:「何を言うか、俺達がここにこうやって入り込むまで2年以上の計画が必要だった……お前のようなひよっこ冒険者共に、邪魔されてたまるか!」――全員に向かって<ポイズンクラウド>(コロコロ)……14!
ミナ:7以上(コロコロ)……15で抵抗!
アルト:(コロコロ)……無理ー!
テューレ:1足りない、失敗。
権兵衛:余は抵抗だ!
GM:抵抗に失敗した人は、以降6ラウンドの間、行動終了時に3点の毒ダメージね。
テューレ:後衛の俺っちにとってはキツイッスね。
GM:そんなテューレに畳み込みます<ソリッドバレッド>を師匠が(コロコロ)……16命中。
テューレ:回避はできないから当たるッス!
GM:(コロコロ)……回った(コロコロ)……25点貫通!
ミナ:クリティカルするんだ、さすがテューレの師匠(笑)
テューレ:姉御、冗談言ってる場合じゃなく残りHP2点ッス。毒で死ぬッス(笑)
ミナ:ここからは私たちのターンだし、回復するしかないわね。
権兵衛:なら先にやろう。アルトとテューレに<ディスペルマジック>(コロコロ)……18で毒を解除!
アルト:おお!
テューレ:助かったッス!
アルト:それじゃあアルト行くよ! ワイトに近づいてパンチパンチパンチ!(コロコロ)……11、13、13!
GM:(コロコロ)……8、13、10。2発当たった。
アルト:ちょっと気持ち悪いけど全力で殴る! ダメージは9点と11点!
ミナ:私はテューレにポーションを飲ませるわ(コロコロ)……12点回復。終了。
テューレ:俺っちも自分に<ヒーリングバレット>……7点回復ッス。

――3ラウンド目

GM:ではこっちの番です。今回はスレイ師匠がミナに<クリティカルバレット>(コロコロ)……18命中。
ミナ:19で回避!
GM:「さすがブラック卿に息巻くだけの事はあるようじゃな」
ミナ:あなたなんかに撃たれるいわれは無いわ!
GM:「ブラック卿が認めたか……なら、お前から死ぬが良い。はあああ!!」――ミナにドレイクが乱戦宣言してから≪魔力撃≫(コロコロ)……18!
ミナ:(コロコロ)……18で同値回避!
GM:「なにっ!?」
ミナ:悪いけど、ボスの手下程度にやられる私じゃないわよ?――調子に乗ってみた(笑)
GM:最後にワイトが……権兵衛に近づいて爪で攻撃、命中13です。
権兵衛:なぜ余に来るんだ!?(コロコロ)……素目で回避失敗。というか乱戦じゃないのか?
GM:さっきアルトが乱戦を宣言してなかったので、遠慮なく後衛に来ました(笑)
アルト:ああ!? 言うの忘れてた!
権兵衛:このハムが!(笑)
アルト:ごめんなさい。
権兵衛:ハムと言ってもハムスターじゃないぞ、ボンレスハムの方だ!
アルト:わかってるよ!(笑)
GM:ダメージは11点。そしてダメージが入ったら生命力抵抗の目標値12で振って下さい。
権兵衛:生命抵抗は高いんだぞ(コロコロ)……12で抵抗した。ぎりぎりだ(笑)
ミナ:次は私たちね。権兵衛、エンチャできる?
権兵衛:できなくはないが乱戦に入らないと――っていうか、すでに余が乱戦か。なら制限移動で3mミナ達に近づいて乱戦を宣言、乱戦の範囲を広げて全員同じエンゲージにする!
GM:まぁ……できますね。じゃあ7人全員が同じ乱戦エリアになりました(笑)
権兵衛:そして<エンチャントウェポン>をミナとアルトに(コロコロ)……成功! ダメージが+1だ!
テューレ:<ソリッドバレット>でワイトを(コロコロ)……命中17のダメージ11点ッス。
GM:回避は(コロコロ)……無理か。
ミナ:ワイトに私も攻撃するわ(コロコロ)……20命中!
GM:無理!
ミナ:(コロコロ)……回った!(コロコロ)……回った!……21点ダメージ!――さぁ、あとは2人ね。
GM:はい、ワイトは撃沈です。
アルト:スレイに3連撃!(コロコロ)……18、17、15!
GM:(コロコロ)……15、16、19の回避、2回当たったか。
アルト:ダメージは15点と12点!

――4ラウンド目

GM:スレイ師匠が言おう――「さて、そろそろわしもお暇しようか」
ミナ:逃げるつもり?
GM:「お前達に負けるとは思えぬが、神官どもがやってくるまでの時間稼ぎをされるわけにはいかん。わしもまだまだやりたい事があるからのぅ」――そう言うと<グライダーマント>を発動。背中に黒いグライダーの翼が現れると、垂直ロケットのように飛び上がってそのまま逃亡します。
テューレ:あいかわらず逃げ足だけは早いッス!
アルト:だからそれはテューレもじゃん!(笑)
権兵衛:この師あってこの弟子あり、だな。
GM:そして残ったドレイクの攻撃、ミナは避けるからアルトに≪魔力撃≫(コロコロ)……命中19!
アルト:19!? そんなの(コロコロ)……無理だよ(笑)
GM:ダメージは24点! 防御点は有効です。
アルト:残り11点で残ってる。
ミナ:私はアルトにポーションを飲ませる(コロコロ)……10点回復。
アルト:ありがと〜♪
権兵衛:ドレイクに<パラライズ>(コロコロ)……13!
GM:(コロコロ)……あ、ファンブッた!
権兵衛:よしっ、これで回避−2だ!――アルト、今だ!
アルト:行っきまーす! 錬技<マッスルベアー>をかけ直してから、ドレイクにパンチ3連発!(コロコロ)……10、16、17!
GM:回避は(コロコロ)……13、14、16、2回当たった。
アルト:13点と17点、バーンッ!!
GM:くっ、痛いな……しかしドレイクを倒せるぐらいの強さになったんだなぁ。
権兵衛:前回の強化ユニコーンの方が7LVで強かったんだが(笑)
ミナ:あれはありえない(笑)
テューレ:武器をテンペストに変えて<ソリッドバレッド>(コロコロ)……14命中!
GM:(コロコロ)……14で同値回避!
テューレ:<ターゲットサイト>を入れておけば良かったッス!

――5ラウンド目

GM:次のターン、7LVユニコーンに並ぶ強敵との戦闘に入ります。ドレイクは<竜化>を宣言。流線形の美しい体躯のドラゴンに変身します。そしてHPとMPが全快、魔法によるバッドステータスも回復します。
ミナ:変身した……。
権兵衛:HPもMPも回復したぞ!……いまいち新鮮さが無いな(笑)
アルト:ユニコーンにさんざんHP全快はくらったしねぇ(笑)
ミナ:そっちは変身で行動終了よね?
GM:そうです。竜形態ドレイクは胴体と翼×2の3部位モンスターです。
アルト:パンチ3発、右翼から落とすよ!(コロコロ)……18、16、17!
GM:右翼は(コロコロ)……16、17、14で2発か。
アルト:14点と13点ダメージ!
テューレ:同じく右翼に<ターゲットサイト>で<ソリットバレット>(コロコロ)……命中17!
GM:回避は(コロコロ)……17だ!
ミナ:私も翼に行くわよ(コロコロ)……18命中!
GM:回避は17!
ミナ:ダメージは(コロコロ)……クリティカル……18点! これで落ちたでしょう!
GM:はい、右翼が落ちて飛翔できなくなりました。
権兵衛:全員に<プロテクション>だ(コロコロ)……成功!

――6ラウンド目

GM:竜形態ドレイクが(コロコロ)……ミナに噛み付き命中16!
ミナ:回避なら余裕で(コロコロ)……あ、15で当たった(笑)
GM:……あ、低い、15点。
ミナ:低くないって!
GM:次は翼でアルトを打ち付ける……命中18のダメージ14点!
アルト:(コロコロ)……回避は無理〜! HPが残り9点!
ミナ:このラウンドで左の翼も落とすわよ!
アルト:うん! ≪牽制攻撃≫も宣言して3連撃(コロコロ)……13、13、18!
GM:……12、14、16で2回当たったか。
アルト:ダメージは13点と14点!
ミナ:翼を落とす!……命中19のダメージ12点!
GM:回避失敗……でも、1点残った!(笑)
権兵衛:それなら余が落とす!<エネルギーボルト>……達成値15のダメージ11点!
GM:それは抵抗しても半分入るから左翼も落ちた。
権兵衛:よし、あとは胴体だけだ!
テューレ:このラウンドは回復した方が良いッスね。<ヒーリングバレット>でアルトを(コロコロ)……8点回復ッス。

――7ラウンド目

GM:翼が両方落とされたか、頭にきたな。ミナに<エネルギーブレス>(コロコロ)……14!
ミナ:ブレスが来た!?
GM:ちなみに生命力抵抗です。
ミナ:(コロコロ)……無理、だけどここで食らったら死ぬ気がする。[運命変転]で抵抗を成功させる!
GM:む、ダメージ14点だったので半分で7点ですね。
ミナ:裏返して無かったら私死んでたわね。残りHP5点!
権兵衛:<アースヒール>でミナとアルトを回復させよう(コロコロ)……11点回復だ。
アルト:元気になった! このままパンチパンチパンチで(コロコロ)……15、14、17!
GM:……14、15、14で2回下さい。
アルト:13点と14点ダメージ! さっきからこのパターンが多い気がする(笑)
ミナ:アベレージで当ててるから十分よ! 私も攻撃……17命中の12点ダメージ!
GM:回避は……無理だが、そこまで痛くは無いな。
テューレ:弾込めで今回は終了ッス。

――7ラウンド目

GM:次は自分含め全員まとめて<スパーク>(コロコロ)……18! ダメージは11点!
アルト:(コロコロ)……無理!
権兵衛:……余も無理だ。
テューレ:失敗したッス! これはヤバイッスね。
ミナ:あっはっはっ、ファンブルだった(笑)
GM:あ、ミナはファンブルしましたか。それでは隠しフラグが発動します。
ミナ:隠しフラグ?
GM:その瞬間、ミナの持つハインリヒソードがまがまがしく赤黒く染まったかと思うと、ミナを中心に空気が渦巻いて気が付けばドレイクと1対1の空間にいます。
テューレ:それって、前回受けたハインリヒソードに追加された特殊能力じゃ……。
ミナ:でも、なんで勝手に……はっ!? ま、まさかこれ、呪いだからファンブルしたら自動発動なの!?
GM:その通り、それが呪いの正体です。(13)
ミナ:最悪よ!
権兵衛:だがチャンスだ! 余達はこのラウンド死なないっぽい(笑)
ミナ:錬技<ガゼルフット>発動してからポーションで自分回復……これでHPは17まで回復!
テューレ:俺っち達は結界の中に入れないし、攻撃もできないッスか?
GM:できません、黒い半球状の結界からテューレ達は弾き出されました。入ろうとしても入れませんね。
テューレ:姉御ー! 姉御ー!
アルト:権兵衛、ミナが中に!?
権兵衛:これは結界だな。そうかミナ、余達を逃す為に犠牲に……よよよ(笑)
ミナ:よよよじゃないわ! って、中からじゃツッコミも届かない!(笑)

――9ラウンド目

GM:ドレイクは全力で<エネルギーブレス>(コロコロ)……達成値19のダメージ17点!
ミナ:生命抵抗だっけ(コロコロ)……13で無理。残りHP2で生き残った! ポーション飲むわよ!
GM:そこで1ラウンドが経ったので結界が解除されます。結界が消えるとポーションを飲んでるミナがいる。
権兵衛:なんだ、1ラウンドだけなのか(笑)
ミナ:こっちは死ぬ気で生き残ったっていうのに!
GM:行動順は変わらないから、ミナ達ですよ?
ミナ:ポーションで6点だけ回復して、私は行動終了。
アルト:<牽制攻撃>付けてパンチ3連撃!(コロコロ)……12、15、18命中!
GM:15、12、17で2回。
アルト:14点と12点! どうだ!
GM:まだ20点ぐらい残ってる! まだまだ! ドラゴンも雄叫びを上げます!
テューレ:<ヒーリングバレット>で姉御を8点回復ッス。
権兵衛:自分以外に<アースヒール>(コロコロ)……10点回復!

――10ラウンド目

GM:再び自分巻き込みつつの全体<スパーク>を(コロコロ)……19! ダメージは10点!
ミナ:(コロコロ)……それは無理だって!
アルト:アルトも……ダメ!?
テューレ:俺も厳しいッス。
権兵衛:よしっ、余は抵抗だ!
GM:まだ死なないのか!? こうなったら誰か一人でも道連れにする! 次も自爆<スパーク>をやってやる! 演出だけど呪文の詠唱に入った!
ミナ:そうはさせないわよ! アルト!
アルト:うん! 3連撃で18、19、18命中!
GM:それは……2回目のみ当たった!
アルト:ダメージは14点!
ミナ:こっちも行くわよ!(コロコロ)……20命中!
GM:回避……18で失敗!
ミナ:ダメージは(コロコロ)……ファンブル!? え、えーっと……呪いの結界が発動?
GM:そ、そうです……ね。
権兵衛:ところでさっきスパークを準備とか言ってたな。
ミナ:えっと……それって私だけくらうことに?(笑)
アルト:そうか! だからミナはこの結界を! アルト達を守ってくれたんだね!(笑)
テューレ:さすが姉御ッス!

――11ラウンド目

ミナ:さぁ来いスパーク!
GM:1人になったのに全体巻き込み魔法なんて使うか!(笑)
ミナ:ちっ。
GM:くそ、なんだその結界能力! 最悪だ!
ミナ:あんたが作った設定でしょうが!(笑)
GM:噛み付く!(コロコロ)……17命中! ダメージは17点!
ミナ:……あ、16で当たった。残りHPが1! そしてポーションを飲む!
GM:結界が薄れて消えると、そこにはポーションを飲むミナが(笑)
アルト:いつもそのパターンなの!?(笑)
権兵衛:絵にならないな(笑)
ミナ:ちなみに7点まで回復したわよ!
テューレ:<ヒーリングバレット>……6点姉御を回復ッス。
アルト:そろそろ終わりにしよう。パンチ3連撃(コロコロ)……15、14、16!
GM:21、16、ファンブルか。
アルト:ここで決める(コロコロ)……13点ダメージ!
GM:まだ倒れない!
権兵衛:これでトドメだ!<エネルギーボルト>(コロコロ)……18!
GM:抵抗は……失敗!
権兵衛:ダメージは10点。
GM:まだ……大丈夫!

――12ラウンド目

GM:こんな所でドレイクたる自分が……負けるわけにはいかないっ! 自分が入っても関係無い! <スパーク>を全員くらえ!(コロコロ)……19! ダメージは12点!
アルト:はぁ!?……14だよ〜。
ミナ:無理に決まってるじゃない!? 12点だと残り3点で立ってるわ。
権兵衛:余は同値で抵抗だ! ミナと同じく3点で立ってるな(笑)
テューレ:あぅ……ぴったりHP0で倒れたッス。
GM:「結局、誰一人倒すこと、叶わ…ず…か……」――残りHPがちょうど12点だったドレイクもこれで倒れます。(14)
ミナ:よっしっ!
アルト:やった〜!
テューレ:長かったッス。
その後、ドレイクから剥ぎ取りを行い。慌ただしくやってくる神官戦士団をしり目に、ミナ達4人はこっそり裏口から逃げだしたのだった。

◆ブラック卿事件のその後

そして夜が明け、ミナ達は事件の報告にスミス卿の屋敷へとやってきていた。
GM:では大変な夜が明け、翌朝。スミス卿の屋敷で卿が労いの言葉をかけます――「しかし、こんなに早く解決してもらえるとは思わなかったな」――スミスさんの話だと、ブラック卿の屋敷や裏武道大会の会場などに麻薬がいくつか残っていたとの話です。
ミナ:まぁ、蛮族の作戦を防げただけでも良かったです。
GM:「もっとも、主犯のブラック卿は逃がしてしまった。表の神殿も裏のギルドも追っているが……あれほどのLVの蛮族だ、簡単に行くとは思えんな」
権兵衛:だが、これだけ派手に動いたんだ。次に動くまでは少し大人しくしているだろう。
GM:「そうだな。その間に尻尾を掴めるか否か……ふっ、まぁそれは我々の仕事だな」
ミナ:ええ、お願いします。
テューレ:ところで、スラムで誘拐された人たちってどうなったッスか?
GM:「ああ、彼らならブラック卿の屋敷の地下倉庫に閉じ込められていたのをザイア神殿が救出したよ。なんでも怪しい魔導技術の実験体にされていたらしい。実際、救出できたのもここ一ヶ月以内にいなくなった人々だけだったらしい……」
ミナ:つまりそれより前に誘拐された人は……。
GM:「……ああ。だが、どうしようもない事もある。キミ達が責任を感じる必要は無いさ」
アルト:一ヶ月……じゃあアーちゃんのお父さんは大丈夫だね!――笑顔で(笑)
権兵衛:うむ、そうだな!
ミナ:単純だなぁって思いつつ、アルトの頭をなでよう(笑)
アルト:あ、そうだ! あの……カイザーは、どうなったの?
GM:「武道大会のチャンピオンか……残念だが、すでに影も形もなかったようだ。彼もブラック卿と共に逃亡したとみるべきだろうな」
アルト:そ……か。
テューレ:大丈夫ッスよ。俺っちの師匠も逃げたッスからね。あのカイザーっていうのは魔導技術の鎧を着てたんすよね? なら師匠が絡んでるのは確実ッス。師匠ともどもまた会えるッスよ。
アルト:うん、そう、だね。
GM:「さて、今回の件は私からの依頼というわけではなかった。しかし、大変な事件を未然に表沙汰にした功績は大きい。正統な報酬を出すわけにはいかんが……ブラック卿の施設をいくつか差し押さえた、そこで手に入ったものを報酬変わりに受け取ってくれないか?」
ミナ:もらえるなら、もちろん喜んで♪
GM:「なら施設をいくつか言う、キミが選んでくれたまえ」――と2D6振って下さい。2D×5000ガメルの報酬を上げます。
ミナ:なら私しか無いわね!(コロコロ)……あああ! 1ゾロじゃない!?
アルト:これはミナだなぁ(笑)
権兵衛:最後の最後でファンブルか(笑)
テューレ:姉御、朝になってるから使えるッスよ!
ミナ:そっか! [運命変転]を使って6ゾロに、結果12だから6万ガメル! うわ、最っ高っ♪
GM:じゃ、じゃあ6万ガメルの報酬をあげます。予想外に高額になってしまいましたが。
ミナ:ふふふ、私を誰だと思ってるのよ!(笑)
結局姿を隠したまま消えたアルトの恩人カイザー。
自分の研究のため蛮族の手下になっていたテューレの師匠スレイ。
そして逃亡したレッサーヴァンパイア。
ルキスラの街にかなりの不安要素を残しながら、1度事件の幕は下りる。
ミナ:さ、挫折の始まり亭に戻って祝杯を上げるわよ! 6万も有れば豪遊できるじゃない!
アルト:ミナ! アルト大きいお肉食べたい!
権兵衛:余はルキスラで有名なシェフを呼んで高級スイートを食べるぞ。
テューレ:ところで姉御、なんかドレイクから怪しい錆びた魔剣を手に入れたッスけど、どうするッスか?
GM:なにか普通とは違う感じがしますね。(
ミナ:うーん、なんだか複線が大量に出てきた気がするけど……。とりあえず気にしたら負けよ! こんだけお金があるんだから、なんとかなるって!(笑)
ソード・ワールド2.0 リプレイ
第六話 『開催! 裏武道大会』 了

【おまけ補足・GMのひとりごと】

(1)『泣きだします』:アルト相手だから通用した導入。他の奴は無視するに違いない。
(2)『わたしは……アルト』:なので、駄目押しで名前を同じにしました。はてさて。
(3)『ミナ達を雇うよ!』:効き目、とてもあったようです。
(4)『私の名はカイザー』:NPCの名前はわかりやすくがモットー。…やっつけじゃないですよ!
(5)『ここで会ったが百年目! ドブシュ!』:狙ってなかったわけでは……ない。
(6)『え!? あ、はい! なんでしょう』:え、出番あるの?(シナリオにはない)
(7)『レッサー・オーガか!』:前回のボス回収。
(8)『キャラクター作成の時に振った経歴表の!』:伏線も回収。
(9)『こういう突っ込み方をするから悪いんだよね。』:そ、そうそうそのとおり!
(10)『十数人のデータ』:ま、まあ……いつものこと……(ガッカリ)
(11)『師匠!? 』:決してシナリオのあり合わせの詰め合わせでは…ない!
(12)『なんで11LVのモンスター出てきてんのよ!』:ラスボス(候補)の顔見せだからねえ。
(13)『呪いの正体』:これでミナをやっつけられる!
(14)『結局、誰一人倒すこと、叶わ…ず…か……』GMの本音。敵のLVあげようかな?

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