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天羅万象・零リプレイ
セッション収録:2003年前後

 時は戦国、数百年続き、行く末さえ見えぬ戦乱の時代、一つの辛い物語があった
この世ならざるモノ、人の智を越えるモノ、それを人は妖(あやかし)という
  人に理解されぬモノ、人に理解できぬモノ、妖とはそういったものだ

  親の愛を知らず、自らの存在を疑問視する半妖
  子を失った悲しみを、人を救うことで癒す医師
  捨子だった自分を育ててくれた母を愛する傭兵
  無垢に無知に世界を知らずに父を尊敬するヨロイ乗り

  旅発ちは妖退治
  しかし、出会うは妖にあらず、心優しき一人の母
  たった一人で捨て子を養うその姿に、四人は何を思ったか……
  運命は残酷で、人は例えようも無く愚かなり
  自らの出世欲のため、母の子供達は一人残らず切り捨てられ、残るは無情の子守唄
  悲しむ間も無く呪いが広まり、民草は祟りに苦しみ死んでいく
  二度目の旅発ち、再度の退治
  そこは子供の墓を作った小さな小山
  待つは正体見せたり妖の母、呪いを撒きしは子供のためよと
  されど討たねば民が死ぬ
  決断するはその四人
  天羅によくある物語

………………とある旅人が唄う子守唄


〜雪の子守唄〜




[前準備]〜ステージセッティング〜


GM:では最初はキャラクターの作成です。今回のシナリオ『雪の子守唄』では、基本的にサンプルキャラクターの使用を想定していません。推奨アーキタイプは<半妖><医師><傭兵><ヨロイ乗り>です。そのアーキタイプを主軸にフルスクラッチキャラクターを作成して下さい。席順は時計回りに<ヨロイ乗り><半妖><医師><傭兵>と選んだ推奨アーキタイプ順に座って下さい。
※半妖……妖と人間の間に生まれたハーフ。人としての心と妖としての宿命を持つ。

※医師……医術の発達していない天羅の世界でありながら、医術を学び一人でも多くの人を救おうとする。

※傭兵……戦において金で雇われ働く兵士がいます。その者たちにとって戦場が生きる場所なのです。

※ヨロイ乗り……ヨロイという人型ロボット兵器に乗り一騎当千の働きをします。ヨロイ乗りは領主などの子弟から選ばれます。それは明鏡に接合するためには[業]が低くなければならないからです。
GM:それではキャラクターはできましたね。ではそれぞれ自己紹介して下さい。

冬霊:
領主である多門景雲(たもん けいうん)の長男である多門冬霊(たもん とうれい)が僕の名です。
GM:とうれい?
冬霊:季節の"冬"に、幽霊の"霊"です。まだ春は来ません(笑)
GM:題名の『雪の子守唄』にかけていますね(笑)
冬霊:アーキタイプは<半妖><剣士><武芸者>です。我心既空流の使い手です。因縁が<秘密:半妖であること>と<禁忌:人を斬る>を持ってます。

グエン:<医師><明王拳士>で<半鬼>も入っています。名はグル=グエン。漢字を当てると『繰颶延』と書きます。年齢は半鬼なんで68歳。たぶん今回のプレイでは最高年齢だと思います。因縁は<目的:弱者の救済><感情:半鬼であることの劣等感>です。半鬼は隠してます。角は手ぬぐいをバンダナのように巻いて隠します。

あやめ:名はただのあやめ、唯一の女ね。年齢は17歳、<傭兵><傾奇者><旅芸人>です。かぶった専用技能で操気術を取りました。因縁<感情:功名心><感情:家族への憧れ>を持っています。

霞:<ヨロイ乗り>で<天下人>、12歳の男の子です。領主多門景雲の次男で名前は多門霞(たもん かすみ)と言います。ヨロイ"雷鳴丸"に乗ってお父様の為に戦います。因縁は<感情:ヨロイへの愛情>と<感情:国への忠誠>です。
GM:わかりました。それでは皆さん、初期の因縁2つで[因縁]ロールを振って[気合]を獲得してください。[気合]の1番多かった人が裁定者です。
※気合……気合は1つ使うごとに行動を追加したり、ダメージのサイコロの数を増やしたり、判定に成功しやすくしたり、美味しい場面に偶然登場できたりする。また、キャラクターの成長も気合を使うことで成長する

※裁定者……プレイヤーが交代でする役割、他の人(GMを含む)が良い演技をした時、合気チットを渡して褒める(笑)。合気チットを渡せるのは、裁定者とGMだけである
GM:裁定者が決まりましたら、キャラクター同士の[因縁]を結びます。医師は傭兵に、傭兵はヨロイ乗りに、ヨロイ乗りは半妖に、半妖は医師に[因縁]を取ってください
※因縁……キャラクターの過去の出来事(トラウマなども含む)や目的といったもの。また、その対称に対する想いや決意も含まれる。
GM:(すこし経って……)では、それぞれ[因縁]はどうなりました?
冬霊:グエンに対して<感情:グエンへの興味>、何か感じるものがあります。同類?(笑)
グエン:妖じゃなくてオニだから(笑)、私はあやめに<血縁:何か…懐かしい…>を取得。昔、戦争孤児達を育てていた頃を思い出します。
あやめ:あたいは霞のその純粋な眩しさに<感情:霞は眩しすぎる>を取ったわ。
霞:僕はお兄様に<感情:兄(冬霊)への尊敬>を取りました。
GM:わかりました。それでは皆さんに特別な[因縁]である[宿命]を渡して前準備は終了です。休憩を挟んで[零幕]を始めましょうか!
※宿命……各個人に対応した特別な[因縁]。そのシナリオでは、その宿命が目的であることが多い

※今回の宿命
半妖:多門冬霊<目的:親からの愛情>
医師:グル=グエン<不幸:子供たちの死>
傭兵:あやめ<誓い:百鬼(母)への想い>
ヨロイ乗り:多門霞<感情:多門景雲(父)への尊敬>

[零幕]〜家族〜

医師 グル=グエン   宿命:<不幸:子供たちの死>

昔、子供達と一緒に暮していた。
皆、戦による孤児達だったが、君のことを第二の親と慕ってくれていた。あの時までは……
落ち武者達による食料の調達、ていのいい略奪行為に君は力なく倒れてしまった。
気が付いた時、君が見たのは黒く焼け焦げた子供の腕だった。
悲しみと共に、心に誓う「あの子たちの為にも、これ以上悲しみを広げはしない……」
GM:あの日、焼け落ちた家の合間から天を掴めと黒い腕が伸びているのを見た時、君は一度、修羅になった。 戦によって親を失った子供達、孤児達と一緒に君は静かに暮していた。お金もなく何も無い生活だったが子供達の笑顔があるかぎり君は幸福だった――「グエン様!ぐえん様! 今日は森に遊びに行きましょうよ!」――子供達の一人、12歳ぐらいのヤヨイという女の子が君を呼ぶ――「ほら、早く行きましょうよ!」
グエン:「そうですね。では一緒に森へ行きましょうか」
GM:[合気チット]をどうぞ。
グエン:どうも。
GM:そんな幸福な時間は、天羅では長くは続かない。運命の日が、訪れる……その日は、雪が降っていた……――「大変だグエン様! 隣国の落ち武者たちを、田吾作たちが村はずれで見たと言っとったで!」
グエン:「落ち武者?」
GM:「グエン様の家は村外れでねぇか! 子供たちゃー大丈夫か!」
グエン:急いでお堂まで走ります――「無事で……無事でいてくれ!!!」
GM:どうぞ一枚――嫌な予感がした。君は息をするのも忘れて無我夢中で走った。しかし……君は無力だった。悲しみより怒りが心を埋め尽くす。焼け落ちた家の合間から天を掴めと黒い腕が伸びていた。運命が君を助けたのならば、子供達は皆運命とやらに見捨てられていた。
グエン:「戦は全てを奪うのか! この子らは一度目の戦で家族を失い、そして二度目の戦でその命までを失った……そして私の家族までも……この戦、いつまで続くというのか……」
GM:――今、君は自らの手で弱き人々を救って周っている。愕悠州輝条国多々良の地で今、小さな女の子がつたない仕草で君に頭を下げ――「グエンさま、たすけてくれてありがとう」
グエン:ニコっと笑って頭を撫でます。
GM:弱き人々を救う。君はそれが、この天羅の地でどれほど困難なことか知っている。それでも、いつも夢に見るヤヨイを、子供達を、少しでも笑顔にできるのなら――
グエン:「私は、弱き人々を救い続ける。」

傭兵 あやめ   宿命:<誓い:母への想い>

本当の親は誰だかわからない。当時、妖が住むと噂の森に君は捨てられていた。
君は森に住む人間『百鬼(ゆき)』に拾われ育てられた。
『百鬼』は本当の母のように君に接し、少しすると弟や妹もできた。
母も弟も妹も、みんな血は繋がっていなかったが、本当の家族として暮していた。
そして成人した君は家族のため、育ててくれた母のために、上京して傭兵となった。
名をあげて……そして……。
GM:壬午の森(じんごのもり)――妖が棲むといわれる森――に赤子だった君は捨てられていた。その森には世捨て人然として一人の若い女性が住んでいた。名を『百鬼(ゆき)』と言う……君の育ての親だ。その人は、本当の母のように君に接し勉強や剣術を教えてくれた。少し経つと君と同じ境遇の弟や妹が増えていった。世間とは隔絶された暮らしだったが、君はそんな母が、弟や妹が好きだった。それから数年が経ち、成人した君は家を出ることにした。出発の朝、母が君に言った――「体には気をつけるのよ」
あやめ:「気を付けろって何に気を付けろって言うのさ? 何とかは風邪引かないってね(笑)」
GM:「あなたも女の子なんだから、もう少し――」
あやめ:「何言ってるのよ! あたいにおしとやかなんて言葉は似合わないわ」
GM:「そう……でもこれだけは覚えておいてね。母さんはあなたが立派に成功するよりも、無事に帰ってきて笑顔を見せてくれるのが、一番うれしいんだからね」
あやめ:「ふふ…わかったわ母さん」
GM:君が選んだ道は傭兵だった。血に塗れ、いつでも死と隣り合わせの世界。多門という家に仕えて幾度目かの戦、そんな中の一時の休息、野営中に古木に座っていた君の隣に知り合いの老兵が腰掛ける――「若ぇの、お前ぇさんは何のために戦っとるんだ?」
あやめ:「そうね………………いや、自分のためね」
GM:怖くは無かった。君には大切な家族がいるから、いつでも君の身を心配してくれている母がいるから、その家族の為にならと……君はまた刀を振るう――「そうかい若ぇの、あんた、何か大事なモノの為に戦ってるふうだったがね」
あやめ:「そう? まぁ、どっちでもいいけどね」
GM:「ふっ、もしも…もしもその大事なモノがなくなった時、そんときゃ、お前ぇさん…どうす――奇襲だ!!!」敵が目の前に現れる。こいつを切れば十人目、そうすれば報償がもらえる。そうすれば母さんを!弟妹を!!
あやめ:「さぁかかって来な! あたいが一番乗りだよ!!!」

ヨロイ乗り 多門霞   宿命:<感情:多門景雲(父)への尊敬>

多々良(たたら)の地の領主、多門景雲(たもん けいうん)の第二子、それが君だった。
腹違いだったが頼れる兄(冬霊)と、厳しくもやさしい父に囲まれ、君は何不自由無く育った。
父景雲は民のことを第一に考える人だ。
君はそんな父を尊敬している。
GM:多々良(たたら)の地の領主・多門景雲(たもん けいうん)が第二子、それが君だ。母は後妻として来た人だった。先妻は兄である冬霊を生んですぐに他界したらしい。君は勉強や剣術が好きだった。どんなに大変な勉強でも、どんなに辛い稽古でも、それが終わればやさしい父が誉めてくれるからだ。今日も剣術の稽古の後、父が待っていた――「霞、よくがんばったな! さすがは私の息子だ」
霞:「本当お父様!!」
GM:「ああ、私の若い頃を見ているようだぞ」
霞:えへへ…と笑っています。
GM:「そうだ霞よ、今日はお前に渡したい物があるのだ」――そこには人の何倍もの大きさの鉄の人形があった。
霞:「お父様……これは?」
GM:「これはヨロイというんだ。名は『雷鳴丸』。あげるよ霞、どうだ乗ってみるかな?」
霞:「ぼくが?」
GM:「大丈夫、私はここで見ていてあげるからな」
霞:じゃあ乗ってから――「すごいよお父様! まるで夢の世界みたいです!」
GM:それから少し経って――「すまないな霞、今日は民のために重要な話し合いをせねばならぬのだ。だが、話し合いまでもう少しだけ時間がある。それまでの間ここでお前を見ていよう」
霞:「いいえお父様、民のための話し合いならば行って下さい。ぼくは一人でも大丈夫です。」
GM:父は誰に対しても公平で領民に対しても優しい人だった。君はそんな父を心から尊敬し慕っていた。ある時、母が君に言った――「霞はお父上が好き?」
霞:「好きです! 大きくなったら、お父様のようになりたいです!」
GM:父は君の憧れだった。

半妖 多門冬霊   宿命:<目的:親からの愛情>

多々良(たたら)の地の領主、多門景雲(たもん けいうん)を父に持つ君は、この国の正当な後取だ。
しかし、君は家族というものを知らない。
実の母は君を産んですぐに他界し、父はまるで君を避けているようだった。
城下町の民が家族仲良く遊んでいるのが羨ましかった。
あるとき君は気が付く。偶然だったのだ……自分の背中を鏡で見たのは……。
「これは……ウロコ……!?」
――だれにも話していない。あれから何年経っただろう。
GM:多々良(たたら)の地の領主・多門景雲(たもん けいうん)が第一子、多門家の後継ぎ、それが君だ。しかし、君は家族というものを知らない。実の母は君を産んですぐに他界し、そして父は……まるで君に関心を示さなかった。父が君に無関心なせいか、家臣たちも必要以上に君を構おうとはしなかった。反応はする。だけどそれだけだった。あからさまな無視を受けるときもあった。だから、君が城下町へと抜け出すのは難しいことではなかった……そこでは、親と子が仲良く遊び、暮らし、そして笑っていた。その日、なぜ自分達は城下町の家族のようで無いのか、君は思い切って父に問い掛けた。
冬霊:真剣な眼差しで……「父上お聞きしたいのですが、『家族』……とはどういうものを言うのでしょうか?」
GM:「何が言いたい?」
冬霊:「僕は、何度か城下町へ降り家族という者を見ました。皆手と手を取り合い笑顔で暮していました……父上、父上は本当に僕の家族なんでしょうか?」
GM:「当たり前であろう。お前と私は、血が繋がっているのだからな」
冬霊:「ですが、父上も家臣たちも、僕をあからさまに避けているように感じます」
GM:「それで?」
冬霊:「何故です! どうして父上は僕に…僕に……」
GM:「必要ないからだ」――そう言って景雲は襖を閉めて出て行ってしまいます。
冬霊:唇を噛み締め、右手の手のひらに左の拳をぶつけます
GM:結局、父の真意は解らなかった。そして自分の存在さえ君はわからなくなった。それから数日、一人で着物を着替えている時、鏡に映った背中を見た――ウロコ――そうとしか見えない物がそこにはあった。
冬霊:「なっ!! これは!?」
GM:自分がさらに解らなくなる。それからだろうか、なかなか寝付けない夜。あの子守唄が聞こえてくるようになったのは……やさしい声ですべてを包み込むような声で……君はその子守唄だけが救いだった。
冬霊:「あの子守唄は……? ……なぜ、今僕は泣いているのだろう……」
GM:はい。これで全員の[零幕]は終了です。

〜次幕予告〜


自らの存在を考える、それは親の愛を知らぬため
弱き人々を救う、それは失った悲しみを癒すため
捨子だった自分、救われた母の愛
世俗を知らぬ、父への尊敬
旅発ちは妖退治
しかし、出会うは妖にあらず、心優しき一人の母
たった一人で捨子を養うその姿、四人は何を思ったか……第一幕―――「絆」。


零幕終了時での各PCの[因縁]
○多門冬霊
≪目的:親からの愛情≫初級 ●○○  →  ≪目的:親からの愛情≫中級●●○
<秘密:半妖であること>中級●●○
<禁忌:人を斬る>初級   ●○○
<感情:グエンへの興味>初級●○○

○グル=グエン
≪不幸:子供たちの死≫初級      ●○○  →  ≪不幸:子供たちの死≫中級●●○
<目的:弱者の救済>中級       ●●○
<感情:半鬼としての劣等感>初級   ●○○
<感情:あやめは何か懐かしい……>初級●○○

○あやめ
≪誓い:母への想い≫初級  ●○○  →  ≪誓い:母への想い≫中級●●○
<感情:家族への憧れ>初級 ●○○
<感情:功名心>中級    ●●○  →  <感情:功名心>上級  ●●●
<感情:霞は眩し過ぎる>初級●○○

○多門霞
≪感情:多門景雲への尊敬≫初級●○○  →  ≪感情:多門景雲への尊敬≫中級●●○
<感情:ヨロイへの愛情>中級 ●●○
<感情:国への忠誠>初級   ●○○  →  <感情:国への忠誠>中級   ●●○
<感情:多門冬霊への尊敬>初級●○○

[第一幕]〜絆〜

第一場 多々良の城下町

GM:冬が近いというのに活気溢れる多々良の城下町、そこで君は零幕ででてきた一人の少女の助けた後、とある旅籠で休憩していると。宿屋の女将さんがやってきて――「グエン様、多門家の方が来ておられますが……」
グエン:「多門家といえば、この地の御領主だったはず」
GM:見れば侍が三人待っています。
グエン:では話を聞きに行きますか
GM:「あなたを名高い医師グエン様だとお見受けいたします。よろしければ我等の力になってもらえますか? 事は急をようします」
グエン:「ふむ、いったい何事です?」
GM:「詳しいことは、領主様直々にとの話です。できれば一緒に来ていただきたい」
グエン:「わかった、一緒に行こう。」

第二場 傭兵隊隊長海豹 泰蔵

GM:あやめは多々良の地の多門家に仕える傭兵部隊の一員です。今日は戦も無く、何かやってる事あるますか?
あやめ:そうだね。訓練でもしてようかね
GM:ではあなたが訓練をしていると、――「あやめ! あやめはどこだ!」――と傭兵部隊の隊長である海豹泰蔵(あざらし たいぞう)の声が聞こえてきます。
あやめ:「なんだい、そんな大きな声出さなくても聞こえてるよ」
GM:「お前ぇがすぐ来ねぇから大きな声だしてんだろ! 使えねぇ奴だな!」
あやめ:「……で? そんなに急いでどうしたんだい?」
GM:「お前も最近城下町で原因不明な事件が起きているのはもちろん知っているな?」
あやめ:「そういや聞いた覚えもあるね……でも忘れちまったよ」
GM:では【天下】<事情通>で振って下さい
あやめ:忘れちまったのに(笑)……(コロコロ)……2成功です。
GM:2成功だと、ちょうど噂だけは聞いた事がある。なにやら原因不明の殺人事件が城下町で起きており、どうやら壬午森(じんごのもり)に住む妖の仕業らしい――との噂を聞いた事がある。
あやめ:「ああ、覚えてたり覚えてなかったり…」
GM:「ぁあ? どうせ知らねぇんだろ? 知ったかぶんなよ!」(笑)
あやめ:「うるさいねぇ(笑)、それがどうしたっていうんだい」
GM:「ああ、そこで、俺様の傭兵部隊が、その妖を退治することとなった。」
あやめ:「そりゃ、おめでと」
GM:「何言ってんだ! お前ぇも来んだよ! 詳しい話は御領主様直々におこなうそうだ。行くぞ!」
あやめ:「ああ、領主様の命令には従うしかないねぇ」

第三場 呼び出し

GM:では冬霊です。
冬霊:僕は今、何をやっているんでしょう?
GM:それはもちろん、領主の息子ですから帝王学とか作法とか、勉学に励んでいるのではないでしょうか
冬霊:やってる割には【知力3】なんですが(笑)、しかも帝王学も作法も無級です(一同爆笑)
GM:では勉強しても、頭に入らない……って事で(笑)
冬霊:なんだかなぁ。
GM:ではそんな時――「冬霊様、御領主様がお呼びです」
冬霊:「父上が?」
GM:「はい。…それと、弟君、霞様も一緒に連れて来るようにとの話です。」
冬霊:「解った」……霞の部屋に行きましょう。
GM:では霞は自室で何をしていますか?
霞:もちろん帝王学と作法を(笑)
GM:中級ですね(笑)
霞:【知力】も4あります(笑)
冬霊:なんと、領主になる資質がすでに弟に完敗している!!
グエン:教科書は弟の方が進んでる(笑)
冬霊:では霞の部屋をトントンって叩いて――「霞、父上が僕達に用があるようだ」
霞:「お兄様? ちょうどよかった! 今、五鶴の陣を勉強していたのですが、少しわからないところがあって――」(一同爆笑)
冬霊:「いや、霞が勉学に熱心なのはよくわかる。だが、これ以上、父上を待たせるわけにはいかない」
霞:「そうですね、わかりました」(笑)

第四場 多門景雲

GM:では領主謁見の場です。上座には多々良の領主、多門景雲が座り、脇には傭兵隊長の海豹、傭兵であるあやめ、そして連れてこられたグエンがいます。そこに冬霊と霞が入ってくる。
冬霊:「ただ今参りました」
GM:「来たか霞、冬霊」
冬霊:僕は霞の次なんですね……。
GM:「グエン殿、この者達が私の息子達、霞と…冬霊だ」
グエン:「旅の医師をやっております」
GM:では一通り自己紹介が終わり――「皆の者、最近城下町で起こっている怪事件は知っておるな?」――【天下】<事情通>で1個でも成功すれば、あやめと同じ情報を知ってます。
霞:(コロコロ)……お兄様、ぼくは2つ成功です(笑)
冬霊:それは…兄として負けらんねぇ(コロコロ)……よし! 1個成功だ! 負けてるじゃないか!(一同爆笑)
GM:では噂は知っています。
霞:「あの壬午の森に住む、妖が起しているという事件ですか」
GM:「そうだ、さすが霞、よく知っておるな……(冬霊の方を見て)……ふぅ」
冬霊:ちょっ、父上、僕も知っているのに!(笑)
GM:「そこでこの度、その妖を退治することになった。部隊に海豹率いる傭兵部隊を用いる。作戦中は霞も冬霊も部隊長である海豹の指示に従うのだぞ。」
霞:「はいっ」
冬霊:「しかし父上、作戦はわかりましたが、なぜ旅の医師であるグエン殿を呼ばれたのです?」
GM:「うむ。相手は妖、常識が通じない相手かもしれぬ。グエン殿、あなたのような旅慣れた者が街に逗留していたのも何かの縁、我が家の医療班では妖相手に何か不足の事態が生じた時に、対応できるとは思えませんから……私の子供達をよろしくお願いいたす」
グエン:「なるほど……いいでしょう。私のこの拙い腕であれば力を貸しましょう」

第五場 別の命令

GM:領主との謁見を終わらせると、あやめは一人海豹に呼びつけられます。――「いいか? 今回の仕事で、お前の役目は領主様の子供達を守ることだ。」
あやめ:「あのお坊ちゃん達の事かい?」
GM:「そうだ、だが、わかっているだろうな。手柄を立てるのは俺様だ。領主様の子供だろうと手柄をやるわけにはいかねぇ。もう、テメェがやることはわかっただろうな?あいつらに手柄を奪われないよう邪魔をしろ。」
あやめ:「はっ! あんたに手柄は渡さないわ!!」(一同大爆笑)
GM:「なんだと……まぁいい、これは隊長命令だ! わかったな!」
あやめ:「ふんっ、適当にやるわ」
GM:「適当じゃあ、困るんだよ。今まで拳の腕が立つからそういう発言も見過ごしてきたが、これ以上言ってみろ、この隊にいられなくなるぜ? お前ぇは俺様より地位が低いんだよ。俺はお前に命令できるんだぜ?」
あやめ:「……いやらしい奴」

第六場 情報収集

冬霊:父親に会いたいです。
GM:「会議の時間が迫っている、手短に頼むぞ」
冬霊:「父上、この討伐の任が終わり次第、父上にお聞きしたい事があります。」
GM:「なんだ?」
冬霊:「……亡くなったという、僕の…本当の母上の事です」
GM:「………………」
冬霊:「僕は実際、霞にどれだけ劣っているか解りません。けれど、父上は霞ばかり目をかけております。それは、僕の本当の母に原因があるからではないのですか?」
GM:「一つずつ質問に答えよう。まず、私はお前より霞ばかりに愛情を向けているとは思わん、実際、お前には後継ぎとしてやっていってもらわねばならぬしな、そして2つ目の質問、母親のことは聞くな。今の母を大事にせよ、それが霞のためであり、私のためでもあるのだ」
冬霊:「………はい」
GM:「それに、この任が終れば……」――そう呟いて景雲は去っていきます
冬霊:くそう! 涙をのんで討伐準備に入ります

第七場 出発の朝

GM:では朝出発します。城下町から壬午森までは2日目の昼には到着します。傭兵隊は全員で23人です。
霞:雷鳴丸に乗っていいの?
GM:あ〜、でも目立つし……
霞:でも乗るけどね(笑)
GM:なら朝、海豹が霞に言ってくる――「霞様、ヨロイは目立ちます、置いていって下さい」
霞:「何を言っているのです? 雷鳴丸が居れば妖など一刀両断です」
あやめ:「そうだよ海豹隊長、いいじゃないか派手で気持ちいいさね」
GM:「あん? グエン様からも何か言って下さいよ。このお坊ちゃん"達"何もわかっちゃいませんよ」
冬霊:このお坊ちゃん"達"って! 僕入ってるじゃん!! 今回一言も喋ってなかったのに(一同爆笑)
グエン:「しかし、民さえ守れればそれで良いではないでしょうか? それに、民の不安を拭うためにも、ヨロイなどで目立っておくのも策ですぞ」
GM:「ふむ……まぁいいでしょう」
霞:「行くよ雷鳴丸!」
GM:――さて、壬午の森までの行軍中、とある橋を渡ろうとしたとき、橋の下から声が聞こえて来ます。――「どうせ盗って来たもんだろうが!」「違うよ!これはお母さんから貰ったお金で買い物したんだから!」―― どうやら河原で12歳ぐらいの女の子が、チンピラ数人に絡まれているらしいです。
冬霊:橋の下へと降りていきます
あやめ:「なんだか面白そうな事になってるじゃないか」……あたいも降ります
グエン:即座に行きます
GM:では3人は降りるのね? 霞は?
霞:ぼくはヨロイから降りて、橋の上から3人を見ています。
GM:わかりました。では降りていったあやめはわかります。その女の子は君の妹『弥生』です。そしてグエンも気がつきます、その『弥生』の外見は、あなたの知る"ヤヨイ"と瓜二つです。
グエン:そんな気はしていました(笑)。
あやめ:ではチンピラに話し掛けましょう……「おやおや、気が強いのは私に似たのかねぇ……久しぶりだね弥生」
GM:「お姉ちゃん」「ほほう、この子のお姉さんですか? 困るんですよねぇ盗みは?」
あやめ:盗み?
GM:ちなみに弥生は――「盗ってないよ!」
あやめ:「あんた何かい? あたいの姉妹にケチつけようというのかい?」
冬霊:「大の大人が、よってたかって子供にたかるのか?」
GM:「その顔…領主の息子か……ちっ行くぞ」――チンピラは消えます
冬霊:「結局、家の威光か……」
GM:「ありがとう御座います」――冬霊に礼を言います
あやめ:「あたいからも礼をいうよ、ありがとうよ」
GM:「あのお名前は?」
冬霊:「僕の名は冬霊、でもそんな礼を言われるようなものじゃない」
GM:ここで弥生は姉の袖を引っ張って耳打ちします
あやめ:「なんだい?」
GM:「ねぇねぇお姉ちゃん、あの冬霊様って、なんか……お母さんと似てない?」
あやめ:「そうかい? あたいには――」
霞:橋の上から叫ぼう……「お兄様―!! そろそろ行きましょう!!!」
冬霊:「ああわかった! 今行く!」
あやめ:「ところで弥生、あんたこんな所でどうしたんだい?」
GM:「町へこの瓜を買いに行ってたの。そしたら、途中でさっきの人達にからまれて……ちゃんとお金を出して買ったのに……」
あやめ:「じゃあ、家に帰るまで一緒に行こうじゃないか、どうせ方角も一緒さ」
グエン:ああ、なんか思い出しそうで微妙です。

第八場 壬午の森

霞:そうだ、ヨロイに乗る前にお兄様に聞こう――「あの女の子は誰ですか?」
冬霊:「ん? ああ、あの傭兵の妹らしい。町に買い物に来て…身なりから怪しまれたのだろう、あのようなゴロツキどもに絡まれて」
霞:「なるほど、それをお兄様が助けたわけですね!」
冬霊:「……ま、そうなるね」(←ちょっと照れが入っている)(一同爆笑)
霞:さすがですお兄様!(笑)
GM:では森が見えてくると弥生が言います。――「私の家はあっちですから」――と森に沿うようにして帰っていく。
冬霊:「一人で大丈夫か?」
GM:「家はこの近くなんです――ね?お姉ちゃん」
あやめ:「まぁ大丈夫さ、本当に近いからね」
GM:では弥生は帰って行きます。それから時間が経ち、森の中で昼頃になります。天気は今にも降って来そうなくらい暗い曇り空です。では、ここで【感覚】<観察>で振って下さい。
冬霊:(コロコロ)……2成功
グエン:……1成功です
あやめ:こっちも2成功だね
霞:6成功!(←ヨロイ乗機中なのでヨロイの【感覚】および技能は<接合>で代用)
GM:では霞だけ傭兵達のひそひそ話を聞き取ります――「妖は夜刀神(やとのかみ)と言って別名祟ら神っていう蛇の妖怪らしいぜ」「なんでもそいつを切ったら祟られるんだとよ」「まぁどうせ迷信さ、妖がいるって事だってあやしいもんさ」
霞:ちょっとお兄様の元へ近づこうかな
GM:と海豹が――「くっちゃべってんじゃねぇ! さぁ行くぞ!」
霞:ああ、お兄様の元へ行けない(笑)
冬霊:では僕が霞の表情から何かを察したという事で――無理だ〜! ヨロイに乗ってるのに表情が見れるか〜(笑)
霞:情報はぼくが握りました(笑)

第九場 雨

GM:それから森の中を進むこと3刻(1時間半)、ぽつりぽつりと雨が降ってきます。辺りはさらに暗くなっています。そして、一度海豹が進軍を止めると、冬霊と霞のところへやって来る。――「これ以上一箇所に固まっていても無意味でしょう。ここで部隊をいくつかに別けたいと思います。よろしいですな」
冬霊:「確かに効率は良くなるだろう。だが、妖が現れたとき、少ない人数で対応できるのか?」
GM:「現場では部隊長である私に従ってもらいます」
冬霊:「ああ、わかった」
GM:「では冬霊様と霞様はここに待機していて貰います。」
霞:「待機!?」
GM:「私の命に従ってもらいますよ。これはお父上景雲様のご命令ですから」
霞:「う……はい。」
GM:「有事の際のためグエン殿もここで待機してもらえますか?」
グエン:「まぁ…妥当ですな」
GM:「一応護衛にはあやめを付けますから」
あやめ:来たよ……
GM:「では私達は行きますので……あやめ、おめぇの役は……わかってんな!」
あやめ:答えません
GM:では海豹たちは行ってしまいます。4人だけで残っていると雨が一段と激しくなります。本降りです。空はもう夜。星の明かりさえ見えない中で、さらに一刻(3時間)が経ちました。
霞:では雷鳴丸から降りてお兄様の所へ行きましょう
冬霊:「どうした霞?」
霞:「お兄様…先ほど、傭兵の方たちが話していたのを聞いたのですが、これから倒しに行く妖というのは夜刀神と言って別名祟ら神っていう蛇の妖らしいんです。」
冬霊:「蛇……か……」
霞:「しかも、その妖を切ったら祟られるらしいのです。……どうしましょう!」
冬霊:「いや……その……」
霞:「グエン様、祟りというのは治るのでしょうか?」
グエン:「そうですね……もし、祟りも病気の一種だと考えるならば祟りとて治る見込みはあります」
冬霊:「祟りがどのようなものであるか解らない以上、その妖、危険かもしれんな……霞、いざという時のため雷鳴丸に乗っていなさい」
霞:「はいお兄様」――雷鳴丸に乗ります。
GM:ところで、もう夜なのですが、海豹たちは帰ってきません。
冬霊:「しかし遅いな……謀られたか?」
GM:では、そこで【感覚】<観察>判定して下さい。
冬霊:2成功
グエン:2成功です
あやめ:
GM:ヨロイ乗りは?
霞:8(また代用)
GM:では霞だけです。遠くのほうから声が聞こえた気がします。
霞:「お兄様、今、向こうの方から何か声が聞こえます。」
あやめ:「海豹たちが帰ってきたのかい?」
GM:違いますね。少なくとも霞は違うと思います。別の声です。
霞:「いいえ、隊長さん達ではないです。もっと、別の声です」
グエン:「妖……という可能性もありますな」
霞:「どうしましょうお兄様?」
冬霊:「……行こう。もともと僕たちは妖を退治しに来たんだ。案内を頼む」

GM:霞の案内で進んでいくと、明かりが見えてくる。さらに近づいて行くと家を発見します。
あやめ:もしかして
GM:はい、見覚えのありまくる家です。
霞:声はもっと聞こえちゃっていいですよね?――「お兄様! 何か子供達の声がいっぱい聞こえます! 妖の住みかですか!?」
冬霊:「う〜む」
あやめ:「あ〜…ちょっと待ってくれないかい」
冬霊:「どうしたあやめ、なにかあるのか?」
あやめ:「いや……あの家なんだけどね……あたいの家だ」
冬霊:「はぁ?」
あやめ:「正確には昔住んでた家さね。今は妹や弟達とあたいの母さんが住んでいるだろうさ……ちょっと一人で行かせてくれないかい」
冬霊:「一人で大丈夫か? 妖の可能性もあるぞ」
グエン:「まぁ、我々も何かあればすぐに飛び出せる位置に居ればいいでしょう」
冬霊:「そう…だな」
あやめ:「じゃあ、ちょっくら行ってくるよ」

第十場 実家

あやめ:近づいて行って窓から中を覗きましょう。
GM:囲炉裏を囲んで子供達が騒いでいます。もちろん母親の姿もある。
あやめ:なんか帰りたくなってきた(笑)
GM:そんな事していると、子供の一人が君に気がついて――「あーー!! あやめ姉ちゃんだ!!!」
あやめ:うわっばれたし(笑)
GM:子供達が窓に集まってきて騒ぎ立てますが、お母さんが来て――「久しぶりね。元気にしてた?」
あやめ:「ええ、元気よ。」
GM:「どうしたの? そんな外に居ないで入ってきたらどう?」
あやめ:「あ……今あたい、傭兵ってのやってるんだけど、今、仕事の途中なのよ……」
GM:お母さんは戸口に消えると、傘を持って外に出てくる――「ほら、そんな所に立って……ずぶ濡れじゃないの? 風邪を引いたら大変でしょ?」
あやめ:「大丈夫よ。言ったでしょ、何とかは風邪引かないって」
GM:「もう……いつまで経っても、あなたって子は……」
あやめ:「……ま、嬉しいんだけどね」
GM:「まぁとにかく中に入りなさい。それに後ろの人達も風邪を引いたら大変よ」
冬霊:特にヨロイに乗ってない2名は風邪引きそうです。
あやめ:「悪いね…あたいはともかく、風邪引きそうなのが2人いるからね」
霞:雷鳴丸を置いとかなきゃ
冬霊:玄関口でパカッて開いて霞が降りてくる?
霞:う〜ん、玄関より広い庭の方に雷鳴丸は置いておきます。玄関に置いてあったら見た目怖いです。

GM:では玄関口に入ります。やっと雨の洗礼から抜け出しました(笑)
グエン:「申し訳ない」
あやめ:「気にする事ないわ、困った時はお互い様よ」
GM:「そうです。話は後にしましょう。今は体を温めるのが先ですよ、さぁ服を脱いで、囲炉裏で乾かしましょう」
冬霊:「えっ!?」
GM:「着替え用意しますから、風邪を引く前に……(冬霊を見る)」
冬霊:「いや、僕はお構いなく、先に弟とグエン殿の方を……僕は一人で着替えられますし」
霞:「えっ! お兄様一人で着替えられるの?」(ヨロイ乗りは蝶よ華よと過保護に育てられる)
冬霊:「ふっ……僕は、ずっと一人で着替えてきたのさ……」
グエン:さっさと上がって囲炉裏にあたってましょう。
霞:着替えを手伝ってもらいながら着替えます。
冬霊:上着の最後の一枚はそのままで着替えます。ちょっと気持ち悪い(笑)。
GM:「そういえば自己紹介がまだでしたね。私はこの子(あやめ)の母で、百鬼(ゆき)と申します。」――百鬼は黒髪を後ろで一度だけ束ねた30前後の女性です。

GM:
では皆さんが囲炉裏を囲んでいると、弥生が――「お茶をどうぞ」と持って来てくれる。弥生はその後、年齢が近いからか霞の横に座ります。他の子供達は興味津々と言った感じで別の部屋から、こちらを覗いています。
霞:ぼくも興味津津です(笑)
GM:「あやめ、お仕事の途中って言ってたけど、さすがの雨だし今日はここに泊まっていくでしょう?」
あやめ:「そうさせてもらえれば助かるよ、ちょっと大勢いるけどね」
GM:「大丈夫よ、今更何人増えようが御飯も用意も変らないわよ」
あやめ:「そうだったね」
冬霊:自己紹介とかは済んだのでしょうか?
GM:じゃあ済んだ事にしましょう。百鬼が言います――「今日は疲れたでしょう? 部屋は子供達と一緒になってしまうけど構わないかしら? 領主様のご子息方には辛いかもしれないけど……」
冬霊:「いえ、お構いなく」
GM:ではその日は夕飯を食べて、みんな眠ります。

第十一場 夢の続き

GM:冬霊、君はいつもの夢を見ます。あの子守り唄の夢です。君は真っ白などこかを歩いている。聞こえてくるのは子守り唄のみ。
冬霊:子守唄の声に導かれるようにフラフラと……
GM:すると、冷えた空気が肌を刺したか、君は夢から覚める、しかし子守唄は続く
冬霊:「……!?…夢では……ない?」
GM:声は隣の部屋から聞こえてきます。
冬霊:そっと襖を開けて隣の部屋を覗きます。
GM:そこでは、赤ん坊を抱きながら百鬼がその子守唄を口ずさんでいます。赤ん坊は夜泣きをしていたのですが、子守唄を聞いて、またスースーと眠り出す。優しく微笑む百鬼が…スッと君に視線を向ける――「ごめんなさい、起してしまったわね?」
冬霊:「いや、僕がかってに起きてしまっただけですから……どこか、懐かしい唄を聞いたので……その唄は?」
GM:「この唄? さぁ、どこで覚えたのか、私も忘れてしまったわ」
冬霊:ところで、この家に子供は何人いるのですか?
GM:いっぱいいます。一番お姉さん役をしている弥生が12歳ぐらい。それより小さい子供はいっぱいいる。20人ぐらい
冬霊:「この子たちは皆お子さん……?」
GM:「いいえ、この子たちはこの森に捨てられた可哀相な子達です。あのあやめだってそう。この天羅の地は悲しみが多すぎる」
冬霊:「あなたは代わりとなって育てているのですか」
GM:「ええ……冬霊さん、あなた、辛かったのでしょう?」
冬霊:「えっ?」
GM:「ふふ……母親を何年もやっているとね、いろいろと見えてくるのものなのよ」
冬霊:凄く動揺します。表情に出ます、声には出ません。
GM:「近くに来て……」
冬霊:言われるがままに(笑)
GM:「家族が……辛い?」
冬霊:ドキッとしてから……「僕には、本当の母が居なくて……」
GM:「そう……ここにいる間だけだけど、私があなたのお母さんになってあげるわ」――冬霊を引き寄せて抱きしめてあげます
冬霊:こっちは抱きしめ返したりはしませんよ。手も力なくだらんと垂れたままです
GM:「冬霊……母さんって呼んでいいからね」
冬霊:顔だけが動きます。無言で…縦に……そして涙を。


〜次幕予告〜

懐かしき我が家
忘れていた思い出
羨ましかった家族の温かみ
しかし、運命は残酷で、人は例えようも無く愚かなり
悲しむ間も無く、幸せ壊れ、残るは無情の子守唄……第二幕―――「母」。


一幕終了時での各PCの[因縁]
○多門冬霊
≪目的:親からの愛情≫中級 ●●○
<秘密:半妖であること>中級●●○  →  <秘密:半妖であること>上級    ●●●
<禁忌:人を斬る>初級   ●○○
<感情:グエンへの興味>初級●○○
     新しい因縁          →  <感情:百鬼への懐かしさ暖かさ>初級●○○
     新しい因縁          →  <感情:多門景雲への不安感>初級  ●○○
     新しい因縁          →  <感情:霞への劣等感>初級     ●○○

○グル=グエン
≪不幸:子供たちの死≫中級      ●●○
<目的:弱者の救済>中級       ●●○  →  <目的:弱者の救済>上級 ●●●
<感情:半鬼としての劣等感>初級   ●○○
<感情:あやめは何か懐かしい……>初級●○○
     新しい因縁               →  <感情:百鬼への望郷>初級●○○

○あやめ
≪誓い:母への想い≫中級  ●●○
<感情:家族への憧れ>初級 ●○○
<感情:功名心>上級    ●●●
<感情:霞は眩し過ぎる>初級●○○
     新しい因縁          →  <感情:冬霊への好感>初級●○○

○多門霞
≪感情:多門景雲への尊敬≫中級●●○  →  ≪感情:多門景雲への尊敬≫上級●●●
<感情:ヨロイへの愛情>中級 ●●○
<感情:国への忠誠>中級   ●●○  →  <感情:国への忠誠>上級   ●●●
<感情:多門冬霊への尊敬>初級●○○  →  <感情:多門冬霊への尊敬>中級●●○

[第ニ幕]〜母〜

第一場 朝

GM:次の日の朝です。とても冷え込んでいて。はっきり言って寒いです。雨は止み、庭一面に霜柱が立っている光景を見ます。で、ここであやめに百鬼母さんが言います――「そろそろ朝御飯だから、皆を起こしてきてちょうだい」
あやめ:「わかった」……起しましょう……「ほらほら! 朝だよ! みんな起きな!!」
GM:じゃあ、子供たちがわらわらと起きます
霞:「う〜…う〜る〜さ〜ぃ……」子供たちに交じって寝てました(笑)
あやめ:「おや、まだ起きてない子がいるみたいだね」
霞:「あやめさん! まだお兄様がいません!」(笑)
冬霊:何を!(笑)
あやめ:「なにやってんだい! あれでも次期領主なのかね!」(笑)

GM:
皆が揃ったところで、ちゃぶ台を3つ並べて、『頂きまーす!』とみんなで声を合わせて食べ出します。
グエン:昔を思い出す……
GM:御飯を食べながら子供が聞いてきます。霞に向って――「ねぇ、あの大きなのってなぁに?」
霞:「あれはヨロイさ!」
GM:「ヨロイ?」
霞:「雷鳴丸っていうんだ。すっごい強いんだよ!」
GM:「へぇ、すごいなぁ」――と話ていると、昨日の女の子、弥生が話し掛けていきます。――「霞さま霞さま! 今日、森に遊びに行きましょうよ」
霞:「えっ! 森に?」
グエン:ああ、なんだか過去を思い出す……ついでに嫌な予感まで感じます(笑)
GM:と百鬼母さんが止めます――「駄目よ弥生、今日は昨日の雨で、森には霧が出ているわ。妖怪が出たら大変よ」――ちょっと残念そうな弥生です(笑)
霞:ぼくも残念そうです(笑)
グエン:「そういえば、百鬼どの、この壬午の森に住む妖について何か知っていることは無いですかな?」
GM:「いいえ、そんな妖なんて……霧が出たときは妖がでるって子供に言って聞かせるおとぎ話ですよ」
グエン:「ふむ」
冬霊:「おとぎ話なのですか? 僕たちはこれから、この森に住む妖を探して退治するという命を受けているのですが……」
あやめ:「まぁ、行ってみりゃわかるさ、今日明日探してみて駄目だったら駄目でいいじゃないか?」
冬霊:「う〜ん」
GM:「まだ出発しない方がいいと思いますよ。今はまだ霧が出ていますし……」
冬霊:「しかし、僕たちも命を受けて来ている身ですから」
GM:「ならば、昼になってから出発したらどうですか? 普段ならそれぐらいで霧も晴れますし」
あやめ:「いいんじゃないかい? 昼に出発できるなら、あいつも問題ないだろうしね」
冬霊:「じゃあ……そうしましょう」

第二場 一番強い人

GM:「ねぇねぇ、あやめ姉ちゃん、この中では誰が一番強いの? やっぱ姉ちゃんが一番?」
あやめ:「どうだろうね、あっちの兄ちゃんも中々の腕前だからね」
GM:「ねぇ、冬霊さん、冬霊さんと姉ちゃんはどっちが強いの?」
冬霊:「さぁ、手合わせした事がないからな、わからんよ」
あやめ:「なら、手合わせしてみないかい? どうせやることもないしね」
冬霊:「しかし、僕たちが……」
GM:「姉ちゃんがんばれ〜!!」
あやめ:「まぁいいじゃないか、練習試合って事で……さ」
冬霊:「……ああ、わかった」
GM:じゃあ、練習試合ならルールを決めさせて貰います。使用武器は素手か木刀(武器修正+2)、ダメージは【活力】のみに入れること
あやめ:おーけー
冬霊:わかりました。――では木刀を構えましょう
あやめ:あたいは素手です。もともと格闘なので(笑)
冬霊:「なぜ木刀を取らない!?」(一同爆笑)
あやめ:「これがあたい流なんでね、遠慮は要らないよ。母さん直伝の格闘術、おみまいしてやるさ」
冬霊:「わかった……いいだろう」――我心既空流<浮雲>――「遠慮はしない。覚悟!!」(コロコロ)……4成功!
※我心既空流――居合の兵法。負けた方は成功数0と考える。
あやめ:【気合い】を使って、技能を一時的に上級へ上げて、さらにダイスを増加させます(コロコロ)……8!
GM:冬霊の成功数が0となり、冬霊は5点のダメージです。
冬霊:「くっ……踏み込みが浅かったか……」
あやめ:「木刀で居合だなんて、実践になれてない証拠ね。……来なさい。」――あたいは行動しません。
冬霊:また僕か……「今一度!!」<浮雲>(コロコロ)……8成功!!!
あやめ:(コロコロ)……6成功。負けたから0成功ですね。10点くらいました。
GM:どちらも後一撃ですね(笑)
冬霊:【気合い】消費、追加行動!――「僕が実践慣れしてないだって!? いい加減な事を言うな!!」――もう一度<浮雲>(コロコロ)……7成功!
あやめ:それは(コロコロ)……気絶しましょう。
冬霊:あやめに近づいて起します――「なぜ、本気を出さなかった。君ほどの力の持ち主なら、僕の圧勝にはならなかったはずだ……」
あやめ:「ふん、どうやら、やっと冷静になったみたいだね。そんなんだから、実践慣れしてないって言うのさ」
冬霊:「君は……」
GM:そこに百鬼が出てきて――「あやめ、手加減したとはいえ、少し腕が訛っているんじゃないの? 久々に稽古を付けてあげましょうか?」
冬霊:手加減って(笑)
あやめ:「それは違うよ、本気ってのはいざって時に使うものさ」

第三場 弥生

GM:では縁側で練習試合を見終ったあと、急に弥生が咳き込み出すします――「ごほっほごっ!……うう……ごほっ!」
グエン:「どうされた? どこか具合でも悪いのですかな?」
GM:「ごぼっごほっ……いいえ、気にしないで下さい。私の咳は、いつものことですから……ごほっごほっ……

グエン:「そうはいきません。私はこれでも医者です。もしも病気なら早いうちに手を打っておいた方がよい。私に見せて下さい」
GM:「いいえ、気にしないで下さい。……ごほっごほっ……うぅ…それに、うちにはお医者様にお支払いする蓄えもありませんから……」
グエン:「それなら気にしないでいい。一宿一飯の恩がある。さぁさぁ、あまり私を困らせないで欲しい」
GM:なら、弥生は大人しく言う事を聞きましょう。<応急手当>で判定して下さい。
グエン:(コロコロ)……3成功です。なにか解りましたか?
GM:現代で言うところの喘息です。どうも、霧が出てきたせいで湿度が変わり発病したみたいです。ちなみに喘息という病名は普通知りません。
グエン:どうすれば治ります? 喘息に効く薬とか持っていますか?
GM:そうですね。じゃあ、塗り薬で胸などに塗って呼吸を楽にするものを持っています。喘息自体はたいした問題じゃないので、薬を定期的に塗れば、大人になって体力がつく頃には治ると思います。
グエン:「――よし、これで良し、あとはこの薬が無くなるまで、ちゃんと定期的に塗るといい。体力がつけばすぐにでも治るだろう」
GM:弥生は少し落ち着いて――「ありがとうございます。グエンさま」
グエン:「いやいや、それが私の性分なんだ、気にしないで下さい」
GM:「グエン様、弥生は大丈夫なのでしょうか?」
グエン:「そうですね、発作さえ治まれば大丈夫だとは思う、が、もう少し近くで見ていた方がいいかもしれん」
あやめ:冬霊登場願います――「妖退治に行くの、今日はやめにしてもらえないかい?」
冬霊:「そう……だな、弥生殿はかなり衰弱している、ここはグエン殿の力が必要になるだろう。妖退治は先延ばしにいたそう」
グエン:「かたじけない」
あやめ:「あたいからも礼を言うよ。妹の恩はあたいの恩。この借りは仕事でかえさえて貰うよ」
グエン:「そうだ、百鬼殿、できればこのような森の中ではなく、湿度の変わりにくい、都などに移り住んだらどうでしょうか?」
GM:「そうですね……しかし、今は無理です。ここには五郎――赤ちゃんです――も居ます。この子がもう少し大きくなるまで……それに、弥生は強情な子ですから……」
あやめ:「誰に似たんだか(笑)」
グエン:「では、ここは忠告だけにしておきましょう」
GM:「申し訳ありません。私は森から出られないのです」

第四場 名刀

GM:では霞がふらふらと家の中を歩いていると、なにやら飾ってある刀を発見します。
霞:「なんだろう?」――もっと良く見てみましょう
GM:かなりの銘の珠刀ですね。すでに何回か使われたらしいです。
霞:誰が使っているんだろう? やっぱり百鬼さんかなぁ。他には何かわかりませんか?
GM:では【知力】<白兵戦闘>で振って下さい。
霞:(コロコロ)……3成功です。これでも中級ですし
GM:その珠刀に多門家の家紋が彫られているのがわかります。
霞:手にとって見ます。――「これは……」
GM:「それは昔、狩に来ていた多門家に連なる偉い人を助けたときに頂いたのよ」
霞:「百鬼さん……」
冬霊:登場します。――「その珠剣……かなり使い込まれていますね。それを頂けるとは……」
GM:「人には言えないこと……秘密の一つや二つ、誰にでもあるものですよ」――冬霊の言葉に、百鬼は少し悲しく言い放ちます。
冬霊:「秘密……ですか……」

第五場 お風呂

GM:その日の夜、子供達が霞とかを誘いお風呂に入ろうという事になります。――「みんなで風呂入ろうぜ!」
霞:「みんなで? じゃあお兄様も誘おう! お兄様! お兄様〜!!」
GM:では冬霊のところへ霞が来ます
霞:「お兄様! 一緒にお風呂に入ろう!! 一人じゃなくて皆で入れるんだって!!」
冬霊:「いや、僕はいい。霞だけ皆と一緒に入ってきなさい」
霞:「え〜」
冬霊:「それに、体の大きな僕が一緒に入ったら、皆と一緒に入れなくなる」
あやめ(子供役):「大丈夫だよ露天だもん!」(笑)
グエン(子供役):「温泉だよ温泉!!」(笑)
冬霊:うわぁ、嫌な援護射撃を(笑)――「わかった、だが今は駄目だ、もう少ししたら行くよ」
霞:「はい!」――じゃあ、先に行きます
GM:温泉に入りながら――「お前の兄さん中々来ないな?」
霞:「きっともうすぐ来るよ」
GM:「お風呂嫌いなんじゃないの?」
霞:「そんな事ないよ……きっと(笑)」
GM:「そうか?……そういえばお母さんも、おいら達と一緒に入らないんだよなぁ」

第六場 殺気

GM:ではその日の夜、皆が眠った頃です。【心力】<戦闘系技能>で気配感知をして下さい。
あやめ:(コロコロ)……2成功
グエン:……4成功です。
霞:あ、すごい全成功だ! 6です。
冬霊:兄の力です。7成功。
GM:1つ以上成功の人は気配を感じます。3つ以上成功の場合は多数の気配を感じます。そして、5つ以上成功した人は、家が殺気に包囲されているのを感じる。
霞:「お兄様」
冬霊:もう起きてます。――「どういう事だ」
グエン:「多数いるようですね」
あやめ:「何が起ころうとしてるんだい?」
GM:では皆が起きたところで、使い込まれた珠刀を持った百鬼が部屋に入って来ます。百鬼は口元に指を置き、音を立てないように指示を出します――「皆さん、これだけの数が取り囲むというのは尋常ではありません。あやめとグエン様は、子供達を起こして裏口から逃げて下さい」
冬霊:「一体、何が起こっているんですか? それに、僕と霞はどうすれば……」
GM:「どうも囲んでいる者たちは、多門家の者たちのようです。冬霊と霞さんは私と一緒に来て下さい」
冬霊:「それは……――」
GM:と――ドンドンドン!! 戸を叩く音が聞こえる
あやめ:子供達を起して裏口から逃げます。
グエン:嫌な予感がする……。
GM:玄関の方です。「こんな夜更けにどうなさいました」――戸をあけて百鬼が出て行く。珠刀は背中に隠すように持っています。もちろんいるのは海豹率いる傭兵部隊です。
冬霊:「海豹、一体どうゆうつもりだ。」
霞:ぼくも無言で睨みます。
GM:海豹は冬霊達を見て驚き――「こんな所におりましたか? 探したのですぞ」
冬霊:「僕の質問に答えろ、一体何しに来た。」
GM:「質問に答えよ…と? それはですね。妖退治に来て、手ぶらで変えるわけには行かないのですよ。せめて "森に住むあやしい者どものを退治した" という結果ぐらいなければ、民衆は納得しませんからなぁ」――百鬼母さんが言います――「ここには子供もいます。何にしろ穏便にして頂けないでしょうか?」
冬霊:「そうだ海豹、民衆を納得させ安心感を与えるのも大事だが、ここには子供達がいる。荒事は控えよ!」
GM:「子供ねぇ、知ってるとも(ニヤリ)」
冬霊:「では、なぜ兵を引かない! ここに居るのは罪無き親子だけだ。僕の命令が聞けないのか」
GM:「霞様も同じ意見ですか?」
霞:「そうです! ここにはみんながいます。早く居なくなりなさい!」
GM:「やれやれ……どうやら冬霊様も霞様も、妖に誑かされて帰らぬ人となったらしい! みなの者、冬霊様、霞様の敵討ちだ! さぁこの家に巣くう妖どもを討ち取れ!! 見事討ち取ったものには褒美をくれてやるぞ!」
冬霊:「海豹!!! 貴様ぁ、自分のやっていることが解っているのか! この僕や霞まで殺そうと言うのか!!」
GM:「邪魔なのですよ、あなた達は、あなた達がいなくなれば、俺様はもっと高い地位につけるのさ! やれ! 妖を倒すのだ!!」――海豹の掛け声と共に、矢が雨のように降りかかってくる。その中には火矢も含まれており、やがて家が燃え始める。一端場を閉じます。

第七場 脱出

GM:少し時間を戻します。百鬼母さんが冬霊・霞とともに表に出て行った後です。子供達はまだ寝ています。
グエン:子供達を起します――「起きなさい!」
GM:弥生が起きましょう……「どうしました? こんな夜更けに?」
グエン:「わけを説明している時間はありません! 今は急いで逃げますよ」
GM:そう騒ぐなら――「オギャーオギャー」――と赤ん坊の五郎が泣き出します。
あやめ:「この子はあたいが連れてくから! 弥生、あんたもみんなを起して!」
GM:「わ、わかったお姉ちゃん…みんな起きて!!」と皆が起きますが、それと同時に表の方から海豹の叫び声が上がり、何かが屋根に当たる音も聞こえる
あやめ:「海豹…あいつの仕業かぃ」
GM:屋根の音は次第に音の質を変えていく"トストスッ"という音から"ゴオゴオゥ…ボゥボウ"という音に
グエン:「火矢か……本当に急がないと」
あやめ:「あいつめ!!」
グエン:「あやめ急げ! このままでは皆煙に巻かれるぞ!」
あやめ:「わかってるわよ! みんな、いっきに走り抜けるよ! 遅れず着いて来な!」――裏口から森の方へ走り抜きます!
GM:「みんな早く! あやめお姉ちゃんに着いていって!」……あ、これは弥生です
グエン:「ほら、あとは君だけだ。行くぞ」
GM:「はい」
グエン:弥生の後、一番最後に家を出ます。
GM:了解しました。では皆が燃える家を出て、森へと走り始めると、森まであと僅かという所で――『トストストスッ!!!』――雨あられと矢が降り注ぐ。その数(コロコロ)……14成功です。
あやめ:ダイスブースとして(コロコロ)……14成功! さらに【気合】3点使って成功数を1上げます。15成功!
グエン:サイコロ25個ブースト!(コロコロ)……17成功!!
GM:では "君達" に飛んできた矢は全て打ち落としました。しかし、子供達はバタバタと矢に当たり倒れます
あやめ:「お前たち!!!!!」
GM:あやめが子供達に注意を向けた瞬間、『トスッ』と君の抱えていた赤ん坊の首に矢が刺さる。
あやめ:「………………」――無言です。
GM:逃げる時最後尾だったグエンは見ます。弥生の背中にも矢が数本刺さった事を
グエン:「弥生!!!」
GM:「また、森に遊びに行きたかったなぁ……」
グエン:「私はまた! 私はまた助けられなかったと言うのか!! うぉおおおおおおお!!!!!!!!」

第八場 乱戦

冬霊:「貴様、幼き命まで奪うというのか!!」
GM:「ふん、死人に口無し……ですよ」――と、家の裏手から声が上がり、途端、百鬼母さんが血相を変えます。――「あなた達……まさか!?」――「怪しい餓鬼どもがいるらしいなぁ(ニヤリ)」
冬霊:「海豹…貴様……!?」
霞:「そんな!! みんなを!?」
GM:「よくも……よくも!!!」――珠刀を抜いて傭兵部隊を百鬼母さんは切り捨てます。海豹が叫ぶ――「お前ら、さっさとそいつを殺せ!」――傭兵部隊が襲ってきます(コロコロ)……13点です
霞:【気合】20点使います。今になって雷鳴丸を庭に置き直したのが悔やまれます(笑)(コロコロ)……13成功でなんとか切り結んでいます。
冬霊:「覚悟は…いいんだな」(コロコロ)……11成功!? 【気合】使って成功数をブースト! 14成功に上げます!!――「貴様等のような腐った相手に、負けてたまるか!!!」
GM:幾人かの傭兵達が冬霊によって倒されます
冬霊:「もう一度言う。引く気は……無いんだな?」
GM:「あなた達には、俺様の踏み台になってもらいますよ」――と、そろそろグエンもあやめも登場可能です
冬霊:「外道め!」
GM:「口だけか?」
冬霊:「斬り捨てる!!!!!」――海豹へと斬り付けます
GM:(コロコロ)……海豹は8成功で切り替えします。
冬霊:【気合】消費!<浮雲>!(コロコロ)……16成功! 武器修正が+5で珠も全て爆発させます!
GM:ではその一撃で海豹の片腕が吹っ飛びます!
冬霊:「人は斬らぬと誓ったが、貴様は人間では無い! 人の皮を被った……化け物だ!!!」

第九場 目撃

GM:では乱戦の最中、霞は【感覚】<観察>で振って下さい。
霞:ぼくは雷鳴丸も無く、傭兵隊の剣撃を受け止めるのに必死なのですが……きっとぼくより百鬼さんの方が強い気がします(笑)
GM:そんなに必死になっている時に、何かを見たかどうかの判定です
霞:了解しました(コロコロ)……全部成功しました!3成功です(笑)
GM:では、あなたは一人だけ目撃します。――敵に切られたのか、百鬼の背中の服が破れている、そこから"ウロコ"が見える。もっとも、すぐに百鬼は移動してしまい、敵の中へと見えなくなる。今のは、目の錯覚だったのだろうか……――
霞:「えっ!? 今のは……」

第十場 命乞い

GM:海豹の番です。――「ほう…なかなか……次は俺の番だ」(コロコロ)……7成功です
冬霊:(コロコロ)……9成功です「これで終わりだ!」
GM:え〜と、負傷度を考えて…残りがこれで……あ……海豹は刀を捨てて、尻餅をつきます。そして冬霊に開いた手を向けて――「ま、待ってくれ!」
冬霊:「この後に及んで命乞いか」
GM:「頼む! 助けてくれ! 俺には家族がいるんだ!」
冬霊:「お前は過去、そう言って命乞いする人々に対して、どうやって来た!!」
GM:「お願いだ、俺には故郷に妻と娘たちがいるんだ! ここで俺が死んじまったら、誰があいつらを育てるんだ! 頼む助けてくれ! もうこれ以降、こんな非道なマネはしない!」
冬霊:「自分がのし上がる為だけに、幼き子供達の命まで奪う、貴様のような非道な奴に、助かる道は無い!!!」
GM:「俺じゃねぇ、俺の娘たちを助けると思って、ここは目をつぶってくれないか! 本当は俺も、こんな事したくなかったんだ! だが、家族の為に、娘の為に、金を稼ぐ必要があったんだ!」
冬霊:「貴様のような奴に、かける情けは無い!!」――ザグッ! と刀を振り下ろしますが、その刀は大地へと付き刺さります。――「だが、今回だけだ、今回は貴様の家族に情けをかけてやる。……二度と僕の前に顔を見せるな!!!」――この外道に背中を向けます。
GM:「あ、ありがてぇ、助かった。この恩は一生忘れねぇよ!」――海豹がいそいそと帰ろうとした瞬間。冬霊の後ろで"ザクッ……ブシャー"と音が……
グエン:登場します。このままだと登場しそびれそうです。――「冬霊殿!」
あやめ:しょうがないねぇ――「母さん……」
冬霊:僕は振り返ります。僕は斬られていたりするのでしょうか(笑)
GM:いいえ、冬霊は斬られていませんよ。ただ、冬霊が振り返ると、そこには首を落とした海豹が、そして、返り血で真っ赤に染まった百鬼が立っている。
冬霊:「………………」――無言です
霞:ゴクリっ……と喉を鳴らします。
GM:気温のせいだけではない。その声を聞いた時、君たちには本当に寒気が走った――

「許せるわけ……ないでしょう?」


〜次幕予告〜

多々良の街へと帰ってきたのはたった四人だった。
領主への報告は妖を退治してきた事となり、君達は約束の報酬をもらった。
三日もしなかった……呪いが広まり、民草は祟りに苦しみ死んでいったのは……第三幕―――「祟り」。

二幕終了時での各PCの[因縁]
○多門冬霊
≪目的:親からの愛情≫中級     ●●○
<秘密:半妖であること>上級    ●●●
<禁忌:人を斬る>初級       ●○○  →  <目的:人は斬らない>初級     ●○○
<感情:グエンへの興味>初級    ●○○
<感情:百鬼への懐かしさ暖かさ>初級●○○  →  <感情:百鬼への懐かしさ暖かさ>中級●●○
<感情:多門景雲への不安感>初級  ●○○
<感情:霞への劣等感>初級     ●○○

○グル=グエン
≪不幸:子供たちの死≫中級      ●●○  →  ≪不幸:子供たちの死≫上級●●●
<目的:弱者の救済>上級       ●●●
<感情:半鬼としての劣等感>初級   ●○○
<感情:あやめは何か懐かしい……>初級●○○
<感情:百鬼への望郷>初級      ●○○

○あやめ
≪誓い:母への想い≫中級  ●●○  →  ≪誓い:母への想い≫上級●●●
<感情:家族への憧れ>初級 ●○○
<感情:功名心>上級    ●●●  →  <感情:功名心>無級  ○○○
<感情:霞は眩し過ぎる>初級●○○
<感情:冬霊への好感>初級 ●○○

○多門霞
≪感情:多門景雲への尊敬≫上級●●●
<感情:ヨロイへの愛情>中級 ●●○
<感情:国への忠誠>上級   ●●●
<感情:多門冬霊への尊敬>中級●●○  →  <感情:多門冬霊への尊敬>上級●●●

[第三幕]〜祟り〜

第一場 城内異常事態

GM:初期情報です。多々良の地へと戻ってきてから3日が経ちました。領主である多門景雲には妖は退治した――と報告し、あなた達はまだ、この地へと滞在しています。今日は朝から雪が降っている。まずは城内です。冬霊と霞は、城内が騒がしいのに気がつく、しかし、どの人も忙しそうに走り周っており、取り合ってくれない。
冬霊:走り回っている女中さんを見つけて――「どうしたんだ一体!? 何があった?」
GM:「あ、これは冬霊様……いえ、今は忙しいので……」
霞:ぼくは自分の部屋に篭って迷っています。
GM:なんでですか?
霞:「う〜ん、百鬼さんの背中にウロコがあったような……でもなぁ……」

第二場 人体変化

GM:次はあやめです。
あやめ:稽古をしていますが、全然身が入りません。
GM:では練習場にも雪がちらちらと降っています。――「どうしたんじゃ、あやめ。気合いが入っておらんな」――零幕で登場した傭兵のお爺さんです。
あやめ:「ああ、そうかい…悪かったね」
GM:「そういや、お前、この前の妖を退治したんだってのぉ? しかし怖くないのか、あの森に棲むのは夜刀神(やとのかみ)って言っての、別名"祟ら神"って言われてるんじゃ。退治して祟られたら…とか考えなかったのか?」
あやめ:「ああ、そうだねぇ……」
GM:「気合いが足りんの」
あやめ:「ああ、悪かったね……」
GM:とか話していると――「う、ううッ!!!」――と、途中でお爺さんが苦しみだす。見るとだんだん指の先からウロコが生えてきている。お爺さんは苦悶の声を上げ倒れます。
あやめ:「ちょ、ちょっと! 一体どうしたんだい!?」
GM:お爺さんはしばらくして気絶します。しかし、気絶してからもウロコは男の体に広まっていく。

第三場 治療

GM:グエンです。あなたは今、最初にいた旅籠に泊まっています。その旅籠に病人が運ばれてくる。女の子でした。その子は、この街に来た時助けた女の子です。母親は傘も差さずに走ってきたのか、雪にまみれたままで言う――「お医者さま、この子は助かるんでしょうか?」
グエン:「これは?」
GM:ウロコが生えて来ています。今まで旅をしてきましたが、こんな症状は初めてです。
グエン:心あたりはあるんですけどね……祟りですかね
GM:全身の皮膚がウロコになり、身動きが取れなくなります。症状的には熱に浮かされたようになり、言葉もしゃべれなくなります。一日を過ぎると植物人間状態に陥り、数日後には餓死します。
グエン:相談に行こうか……
GM:さらに五日がたちます。謎のウロコ病は力の弱い子供や老人が優先的にかかり、その被害は留まる所を知らない。呪いにかかった者は皆、身動きが取れなくなり餓死して行きます。
グエン:領主様に会いに行きましょう。
GM:雪は、降っては止み、止んでは降り、と繰り返している。寒い日々が続いていた。

第四場 報告

GM:グエンが領主多門景雲に会いに行くと、冬霊も霞も、そしてあやめも領主に呼ばれます。
あやめ:あたいもですか?
GM:傭兵隊の生き残りはあなただけですから、今は傭兵隊長に昇格しました。
あやめ:もうぽっかりと穴が開いてるのさ……
GM:では領主の間です。謁見の間には領主の他にも偉い人達が座っている。――「さて、皆揃ったな。では我が問いに答えて貰おうか。なにか忘れていることは無いか?」
一同:『………………』
GM:「では質問を変えよう。…妖は本当に退治したのか?」
グエン:「ええ、確かに一匹」
GM:「他の者も同じか?」
冬霊:目を閉じています
霞:お兄様に習います
あやめ:「妖はいたとも言うし、居なかったとも言う。あたいにはそれを、妖だと断定できない」
GM:「では、グエン殿の言うように、皆は妖を退治したと言うのだな」
グエン:「領主殿、この度、私達一同を再度御集めになられたは、その事の確認のためだけですかな?」
GM:「察しがいいですな。実は私の放っていたクサたちは、別の情報をもって来まして」
霞:『えっ!?』って顔をする(笑)
GM:領主はクサの報告書を読み上げます。それは君達があやめの家で過ごした事が事細かに記されている。――「今回の事、実は次期領主の器を見るという目的もあったのだ。一部始終は監視させてもらった。妖など、お前達は倒していまい」
グエン:「では申します。何を持って妖とするのでしょう?」
GM:「結果だけ言おうか。今、この町を祟る者、それが妖だ」
グエン:ぐっ……ちょっと正論です。
GM:「まぁよい、こうなってしまった以上、これよりわしの指揮の元、討伐隊を再編成・出発する。よいな!」――「霞、お前は雷鳴丸に乗り、わしについて来い」
霞:俯いて考えています。
GM:「どうした霞、城の者達が、この町の民が、祟りで苦しんでいるのを知らぬのか」
霞:それは……お兄様を見上げます
GM:「冬霊、お前はどうする?」
冬霊:「一つ、教えて下さい。先ほど、討伐隊を再編成する…と仰いましたね。それでその、妖の居場所はわかっておいでなのでしょうか」
GM:多門景雲は少し苦い顔をして言います――「わかっているとも……そこは……」――多門景雲が話す場所は、紛れも無く、君達が森で過ごした家だった。
霞:「それは違います! 確かに、あの人は妖かもしれません!」
冬霊:「霞…お前……」
霞:「ごめん、お兄様、ぼく見たんです。お兄様が海豹と戦っている時、傭兵隊と戦っていたあの人の背中に、蛇みたいなウロコが生えているのを……」
冬霊:「そう…か」
霞:「でも、あの人は、ぼく達にとても優しくしてくれたんです! だから…――」
GM:「甘い事を抜かすな!!!!!」(大声)
霞:うわ〜ん、怒られた(笑)
GM:「どんな思いがあろうと、過去は過去だ。今は、民が祟りで苦しんでいる、その元凶も解っている。わしは領主だ。民の為に刀を振るうのが領主の務めなのだ」
霞:「…………はぃ」
冬霊:「その討伐隊に……入れて下さい」
霞:「ぼくもです」
GM:「よし、わかった。皆のもの、すぐに準備に取り掛かれ、準備が出来次第即刻出発する。事態は刻一刻を争う…急げ!!」

第五場 鬼子

GM:「ところで、あやめよ。お前は壬午の森出身らしいな」
あやめ:「ええ、だから? なに?」
GM:「その者は、妖に育てられし鬼子だ! 地下に繋いで置け!!」――兵士達が動きます
あやめ:それは抵抗します――「妖が居たとしたら、それは人の心の中に……――」
GM:「え〜い、黙れ黙れ黙れ! お前が妖の子である事実は変らんのだ。口答えは許さん!!」
グエン:刀を抜き、あやめを庇いましょう――「御領主殿に聞きたい。妖に育てられればその者は妖なのですか? それとも人か?」
霞:「グエン様、それは解っておりませぬ。領主とは、民のために少しでも危険を減らさねばならないのです。あやめさんの実力は……危険です」
グエン:「少し違いますよ。もし、あやめ殿を地下牢へ繋ぎ、そこで暴れられたら……」
霞:「もし、その危険があるというのなら……」――ぼくは刀を抜きます!
冬霊:「やめろ霞!」――柄を押えて霞の刀を鞘から抜かせません――「ここで争っても、意味が無い……」
あやめ:「笑えるねぇ…笑えるよ……あたいは今から "ただの" あやめさ。この地には二度と足を踏み入れないよ」
GM:「そうか……母を守りに行くのか?」
あやめ:「どうだろうね……でも、もしそうだとしたらどうするんだい? このあたいを止めれるのかい? もしそんな奴がいるのなら……せいぜい、命を捨てる覚悟で来るんだね!」――どうどうと去って行きます。
霞:「僕は、多門家の者として、この地の民の為に生きていこうと思う。あやめさん、あなたは、親の為に生きるのですか?」
あやめ:「………………………………………………どうだろうね。それを、確かめに行くのさ」


〜次幕予告〜

二度目の旅発ち、再度の退治
そこは子供の墓を作った小さな小山
待つは正体見せたり妖の母、呪いを撒きしは子供のためよと
されど討たねば人が死ぬ
決断するは、その四人
天羅によくある物語……最終幕―――「血異(けつい)」。

三幕終了時での各PCの[因縁]
○多門冬霊
≪目的:親からの愛情≫中級     ●●○  →  ≪目的:親からの誠意≫初級●○○
<秘密:半妖であること>上級    ●●●
<目的:人は斬らない>初級     ●○○
<感情:グエンへの興味>初級    ●○○
<感情:百鬼への懐かしさ暖かさ>中級●●○
<感情:多門景雲への不安感>初級  ●○○
<感情:霞への劣等感>初級     ●○○  →  <感情:霞への劣等感>無級○○○

○グル=グエン
≪不幸:子供たちの死≫上級      ●●●  →  ≪不幸:子供たちの死≫無級○○○
<目的:弱者の救済>上級       ●●●
<感情:半鬼としての劣等感>初級   ●○○
<感情:あやめは何か懐かしい……>初級●○○
<感情:百鬼への望郷>初級      ●○○

○あやめ
≪誓い:母への想い≫上級  ●●●  →  ≪誓い:母への想い≫無級○○○
<感情:家族への憧れ>初級 ●○○
<感情:功名心>無級    ○○○
<感情:霞は眩し過ぎる>初級●○○
<感情:冬霊への好感>初級 ●○○
     新しい因縁          →  <目的:自己の確認>初級●○○

○多門霞
≪感情:多門景雲への尊敬≫上級●●●  →  ≪感情:多門景雲への尊敬≫無級○○○
<感情:ヨロイへの愛情>中級 ●●○
<感情:国への忠誠>上級   ●●●
<感情:多門冬霊への尊敬>上級●●●

[第四幕]〜血異〜

第一場 焼け跡にて

GM:では冬霊と霞は多門景雲と共に出発します。グエンはどうしますか?
グエン:一緒に行きますよ、領主軍と共に
GM:ではあやめだけ別行動です。あやめの方が一人なので先に着くでしょう。
あやめ:そうですね。家に行きますよ
GM:家に到着するころには、雪がちょうど止み、焼け落ちた廃墟が真っ白に染まっています。しかし、そこには誰もいません。
あやめ:降り積もった雪を一握りして昔を懐かしみます
GM:そんなことをしていると領主軍が追いついてくる
あやめ:それが解るなら、この場所から離れます。ここに母さんはいません
GM:じゃあ、あやめは退場です。代わりに残りの三人は登場です。情景描写は同じです。雪が全てを覆い隠している。ではそこで【感覚】<観察>の判定をして下さい。
霞:明鏡修正が入るので8成功です
グエン:1成功ですね
冬霊:おおすごい! 無級なのに、やるな俺! 3成功!!
GM:では冬霊にだけ聞こえてきます。…あの子守唄が……、
冬霊:「これは……」――一人、その子守唄に導かれるようにフラフラと……
霞:では、ぼくはそれに気がつかず――「父上、何も見つかりませんね」
GM:「雷鳴丸の霊導夢はどうだ? 何かわからないか?」
霞:霊導夢を起動します、が……「いえ、反応はありません。グエン様は?」
グエン:「いえ、こちらも……」
GM:「そうですか……――ところで……冬霊は?」

第二場 子供の墓

GM:冬霊は子守唄が聞こえる場所に向かいます。すると、街を見下ろせる小高い丘に着きます。そこは、いくつもの石を墓標とした子供達のお墓があり、それぞれにはお花とお線香がお供えしてあります。――そして、そのお墓の前に、一人の女性が手を合わせています。真っ白な雪の中、同じような白い着物(別名:死装束)を来た百鬼が……
冬霊:「百鬼……さん」
GM:「冬霊……」
冬霊:「子供達のことは……」
GM:「気にしないで……あの子達が死んでから、いい事を思いついたのよ。あなたは、多々良の町で起こっている祟りを知っていますか?」
冬霊:「やはり、あれはあなたが……」
GM:「そうよ、多々良の町の人たちを呪ったのは私」
冬霊:「なぜそんな事を……町の人たちは何も関係がないはずだ!」
GM:「関係ない? 違うわ、あの人達は私の子供達を助けてくれなかった。見殺しにしたのよ? 許せるわけ無いでしょう?」
冬霊:「そんな!? あなたは、子供達を自分の悲しみを癒す道具として――」
GM:「違う! それは違うわ……確かに、最初に子供を拾った時はそうだったかも知れない。でも、人間の子供達と一緒に暮していくうちに……私は変っていった…………それに、子供達が皆死んでしまったわけでもないわ」
冬霊:「………………」
GM:「あなたを初めて見た時は驚いたわ、御飯を食べる時の何気ない仕草、ちょっとした癖、みんなあの人にそっくりなんですもの」
冬霊:「初めてでは無かったのですね……いつも夢で聞く子守唄を、あなたが歌っていたあの時から、あの夜、あなたが自分の事を母と呼んでいいと言ってくれた時から、僕は何度、何度あなたが本当の母ならば……と。僕にとってどれほど良かった……だろう…と」
GM:「どれほど良かった……だろう…って? もう私を母親と呼んでくれないの?」
冬霊:「呼びたいです! 呼びたいです……でも、今のあなたは、現実から目をそらし、自分の悲しみを子供達の恨みを晴らすと、そう置き換えてまで……」
GM:「じゃあ、あなたまで私を裏切るというの? あの人のように?」
冬霊:「それは違います。今ならまだ戻れるんです!」
GM:「もう遅いわ、私には聞こえる! あの子達がすすり泣く声が!! あの町のものに恨みを晴らせと!」
冬霊:「そんな事は無い!! 死んだあなたの子供達も、あなたを実の母親のように慕っていたはずだ! そんな子供達がそんな事を望むはずがない!!…まして、生きているあやめだって」
GM:「冬霊……」
冬霊:「……そして、僕が実の子供であるならば、僕はあなたに、あなたの手を、罪も無い子供たちの血で汚して欲しくない!! 考え直して下さい……母さん!!!」
GM:「それは……――」
あやめ:「あたいだって許せないよ。あの子達を見殺しにしたのは……。町の人間も、あたいも同じ。許せない……でも一番許せないのは…あたい自身かもしれない」――登場します。
GM:「あやめ……私は……」
あやめ:「でもね……あたいには解る。母さん、その恨みは晴らせないって……」
グエン:私も登場しましょう――「子を失った悲しみは、計り知れないものでしょう。しかし、それを理由に生きるのは、何も救われない。悲しみだけが繰り貸すだけです」
GM:「あなたなら、あなたなら解ってくれると思っていたのに……」
グエン:「解っていますとも、だから、今でも、私はあの日の事を夢に見ない日は無い」
GM:「なら……」
グエン:「違いますよ。その思いを、復讐の力に変えるだけでは、決して子供達もあなたも救われない。悲しみは、断ち切らなければならないのです」
GM:「結局、誰も私をわかってはくれないの……でも、もう無理よ。呪いを解くためには私が死なないといけないもの、私が死なない限り、祟りは町の人々全員を殺すわ」
グエン:「百鬼どの!」
GM:「邪魔よ。それに、これから出迎えに行かないといけないの、せっかく、あの人が来てくれたんですもの」

第三場 過去

GM:多門景雲と霞の登場です――「こんな所にいたのか……百鬼。町の人々を祟ったのはお前だね? すまないと思っている。けれど、僕は一人の男である前に、僕は一人の領主なんだ。……わかってくれ」――と言って手を上げると、百鬼達を囲むように多々良兵達が現れる。
霞:お父様を守るように、半歩斜めに出る
グエン:「手を出すな!!!――子を育てるは親の役目、そして、親の間違いを正すは、育てられし子の役目だ。その人を止める事のできる、その権利を持つのは、その子供達だけ……貴様ら兵士達には…手出しさせん!!!」
GM:「そうですか、ならばお前達は手を出すな」――多々良兵が一歩下がります――「私は彼女の夫です。私にはその権利とやらがある」
グエン:「景雲殿……」
GM:「私が彼女を愛する気持ちは……残っています……」
冬霊:「なれば……父上! 他に方法は無かったのですか!! 母様を愛しているならば、なぜ殺し合わねばならないのですか!?」
GM:「それは、百鬼が妖で、私が人間だからだよ。百鬼の事は愛している。だから…その間にできたお前が……日に日に百鬼に似てくるのを……私は見ていられなかった……見つめていたい! だけど見つめていられない! その悲しみが解るか!? お前を抱き締めたてやりたい! けれど、それは叶わぬ望みなのだ!!」
冬霊:「それは僕が……妖だからですか!? それは僕が、人間である父上と、妖である母様の……半妖だからですか!!!」――バッ!と上着を脱ぎ捨てます。背中のウロコを見せます!
GM:「愛しているから、怖かった……すまない事をしたとは思っている。だが、お前に本当の話を伝える日が来る事は…覚悟していた。それが……今日だった…というわけか……」
冬霊:「その伝える方法が! 親を失い! 孤独を味わった…子供達を殺す事だったのですか!!!」
GM:「あの傭兵たちを雇ったは……私の間違いだった。あれも私への忠誠心の現れだと思っていたのだ……本当なら、森で不思議な女性に出会ったと…そう、ただ、それだけで終る話だったのだ……」
冬霊:「そうかもしれません。しかし……あなたと…母様は…解り合えたはずです……人と妖を…なぜそこまで差別されるのですか! 人だから! 妖だから! ならば! 外見が人なら良いのですか!? 外見が妖ならば全て悪なのですか!? 受け入れられないだとか、人と妖だからだとか……なぜ、そのような形式にばかり拘るのですか!!!!!」
霞:「お兄様!!!!! もう止めて下さい!!!!! お父様だって、人だから、妖だからと、本心で別れたと思っているのですか!?」
冬霊:「……そんなはずは無いさ……でも、なぜそこまで、愛した者を殺さねばならない…こんな結果になるのだ!!!」
GM:「わからないか冬霊! 愛しているからこそ殺すんだ……愛する者の魂を、修羅に渡す前に……」
冬霊:「だから!?……だから!……なぜ…………」
GM:「ふっふっふっ……あははははっ……もう遅いのよ……昔、壬午の森で、ただ森を守るためだけに生きていた私、森に来る人間の生気を吸って生きていた私に……この人だけは違っていた。私に、妖の私にも愛があることを教えてくれた。でも運命とは残酷なもので、権力が、社会が……私達を引き離してしまった……そして二人の…愛の結晶さえも……。それでも、偶然森で見つけた赤ん坊が、そんな私を癒してくれた。でも、そんな大切な子供達まで私から奪って、これから、私にどうやって生きていけと言うの!? 教えてよ景雲!!!」

――その瞬間、百鬼は正体を現します。下半身が蛇となり、景雲へ向って突進して来ます。

第四場 百鬼

霞:お父様の目の前に出て――「ならば僕は戦う。この地の民のため、この地に住む、全ての人を守るために、領主である事を選んだ。お父様のように!!」――雷鳴丸のヨロイ太刀を構えます!
グエン:「同じ悲しみを味わった者として、私は全てを傍観しよう、この場で起こる全てを、見届けよう……」
冬霊:「僕は母様を止めます。これ以上母様の心が醜く歪んでいくのを見たくない。せっかく会えたと言うのに! それに、ただ会える事だけを望んできたと言うのに……」
GM:「冬霊…泣いて……いるのか?」
冬霊:やばい、本当に泣けてきた――
(※注意 この時点で冬霊のPLがあまりの感情移入の為、実際に涙をボロボロ流していました。)
――「父上…もうこれ以上…僕もあなたと一緒に居る事はできません……。僕が居れば…第二の母さんとして僕が…人々に危害を加える事になるでしょう……。母様を止めます……。でも…それで最後です」――涙を流しながら言い放ちます(ポロポロ)。
GM:リアルですね
冬霊:でも、涙腺が止まらないのです……(涙)
GM:景雲が冬霊に言います――「子が初めに越えていくもの、それを知っているか?」
冬霊:「越えるべきもの?」
GM:「それは…わかっているだろ?」――景雲は抜きます、それは同じだった。百鬼の持つ珠刀とまったく同じ刀だった。
霞:ぼくは守りますよ! 【気合】を使って(コロコロ)……14成功です。
GM:百鬼は邪魔なヨロイに一撃を加えます。(コロコロ)……15です!!!
霞:こ、これは神様がぼくを邪魔だと言っている……ヨロイの【致命】【重症】【軽傷】【活力】に入れて……次はぼくですね……ブーストで23個(コロコロ)……上級なのに…11成功
あやめ:【気合】で割り込んで庇いますよ。母さんは殺させない! こっちもブーストします(コロコロ)……18成功。珠を全て弾けさせて総合ダメージは16点です!
霞:残りの【気合】が6点だから、成功数を上げても届かない……『ドガッ』と吹っ飛ばされましょう――「あやめ……さん!?」
冬霊:母へ……攻撃……します。行動にならない行動で≪妖術≫の生体武器≪爪≫を出し――「これで、さよなら……です」――ダイスブースト!(コロコロ)……9成功
あやめ:手加減して庇います。ブーストして(コロコロ)……14成功。
GM:冬霊へのダメージは0です。
冬霊:「あやめ! 邪魔を……邪魔をするな!!!」
あやめ:「そうは…………いかないよ」
GM:「あやめ……」
あやめ:「母さん……この前、私が家に帰ってきた時、母さんは、ぜんぜん変わっていなかったね。本当はあの時、言えなかった事があるんだ。でも、今それは、まだ、言えないんだ……。それを言うために、あたいはやらなければならない事がある……。」
GM:「あやめ……?」
あやめ:「あなたは……もう戻れないと言った。だからもうそれは言えない。せめて、あたい達の手で、あなたをその束縛から……さよなら、母さん……」――【気合】をギリギリまで全て使います。それとGM、<兵法:繰気術>を特級に上げて良いですか?
GM:いいです! 認めます!!
あやめ:では<兵法:繰気術―零式―>を使います。霊力を数百点使用して、全ての想いを刀に乗せます。冬霊から後ろの母さんへと振り返って――「これが終って、初めて言える………(コロコロ)……――」
GM:それは……
あやめ:――「ただいま」

第五場 愛するからこそ……

GM:では君達の前には、出会った事と何一つ変らぬ、人間の姿をした百鬼が横たわっています。見ただけでは、彼女が妖だったのかどうか、わかりません。真っ白な雪の上に、血の華を咲かせます
冬霊:「母様!?」
GM:「最後にあなたに会えて良かった……。こんなにも大きくなって……。そしてこんなに真っ直ぐ育って……」
冬霊:「ごめん。母様……」
GM:「ううん。謝るのは私の方……」
冬霊:「話したい事はたくさんあったのに……」
GM:「ごめんなさい冬霊、これからも真っ直ぐ生きてね……私の分も……景雲の分も……」
冬霊:「母…様…………」――静かに…泣き…ます(ポロポロ…)
GM:最後に――「生まれてきてくれて……ありがとう」――そして、目を閉じる……
冬霊:その胸に抱きつくように――「生んでくれて……ありがとう」
GM:そんな冬霊に近づく者がいます。――「冬霊、お前が親を乗り越えたのなら、私は、領主や親としてではなく、一人の男として…一生を終えたいと思う」――景雲は百鬼の珠太刀の姉妹刀を持ち、ザグッ…と自らに突き立てる……そして、百鬼の側に寄り添うように……倒れる
霞:「父上……」
冬霊:では、その父上の手を、そっと母様の手と重ねるようにして――「良い夢を……この天羅の地で、二人が決して結ばれないと言うのなら……二人だけの…思い出の世界で……もう一度………………」

最終場 それぞれの

GM:では霞から……

霞:ぼくは領主として、お父様の跡を継ぎます。そして時々思うのです――「お兄様……あなたは今、どこにいますか?」

GM:次は冬霊です。
冬霊:僕は父上と母様の形見である、二振りの珠刀を持って旅に出ます。そして、もう僕は半妖である事を隠しません。もちろん、多門冬霊という名前も捨てません。自分を愛してくれていた両親の為に、僕は生き続けます。

あやめ:あたいは孤児院をやっています。
GM:森……ですね?
あやめ:その森には町を見下ろせる場所があるのですが、そこには小さな二つの小山が寄り添うように並んでいます。そして、私は家に帰ってきてから、子供たちに言い放ちます――「あなた達! 帰ってきたら、"ただいま"って言いな!!!」

 今より数十年前、壬午の森に狩に出ていた景雲(当時すでに若領主となっていた)は一人の美しい女性と出合う。名を百鬼(ゆき)と言う。百鬼との出会いから冬霊をもうけるまで、たいして時間は必要なかった。しかしどんなに深く愛し合っていても景雲には一つ不思議でならないことがあった。それは百鬼が決して森から出ようとしないこと。だから必然的に百鬼と合うときは壬午の森となっていた。しかし、秘密を隠し続けることなど出来ない、それは冬霊が生まれた時に隠しようがなくなった、その背中にウロコが生えていたからだ。

百鬼は全てを景雲に告げた。自分が壬午の森に住む妖だと。夜刀神(やとのかみ)と言われる人面半蛇の妖だと。また自分には使命があり、決してこの森から出ることが出来ない……と。その後、冬霊を連れて景雲は去った。その頃、すでに領主として人望厚かった景雲は民草を捨て一人の男として生きる選択肢は残っていなかったからだ。景雲が残していったものは、たった一振りの刀と、二人を別つ言葉だった……「忘れよう。時間が経てば人は変われる。この夢のような数年間は、本当に夢だったと思うんだ」……人は変わる。けれど妖は……。

景雲が赤子を連れ帰ったことで城は騒然となる、しかも景雲は決して冬霊の母の事について語らなかった。やがて冬霊の母は出産と同時に死亡したことにされ、真実は闇に葬られた。その後、冬霊が辛い人生を歩んだのは仕方が無いことだったのかもしれない。ただ、実の父である景雲も冬霊の事を素直に愛することが出来なかったのは、不幸としか言いようがない。それは景雲が百鬼を愛していたため、百鬼を忘れようとしていたため……。

  一方、一人森に残された百鬼は、ある日、壬午の森に捨てられた人間の赤子を見つける。そして、今まででは考えられなかったような行動を起こす。すなわち、人間の子を育てる……。

そして、今では百鬼を母と呼ぶ子供達は十数人となった。しかし、百鬼は忘れられない。本当の子供を、冬霊の事を……。

――…天羅のどこかで…――

ねぇねぇ……様ぁ、何か面白いお話、お話してよ!
あたいも〜、あたいもお話聞きた〜い
ぼくこの前の話が聞きたい!
あ、あたいもこの前のお話がいい〜、あのお話好き〜
ねぇねぇ……様ぁ、早く話してよ! 早く! 早く!

――本当は子守唄…なんですが……。わかりました。では話しましょう。これは実際にあったお話ですよ……

雪の子守唄 終


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