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ほのぼの あったか ろーる ぷれいんぐ
ゆうやけこやけ

誰もが心に覚えている懐かしい町、だけど少しだけふしぎが当たり前な町。
その町で紡がれるのは、傷つけあう戦いではなく、心とこころの物語。
獣達が人に化ける時間。遠くて近い、ゆうやけの空の下で会いましょう。

シナリオ『大好きだよ、お婆ちゃん』リプレイ


けん太は寂しがりやだから


◆ほのぼの百年町

GM:さて、今回は「ほのぼのあったかろーるぷれいんぐげーむ『ゆうやけこやけ』」をやります。
一同:『おお〜〜♪』
GM:で、この『ゆうやけこやけ』ですが――簡単に言ってほのぼのするような物語をみんなで作るシステムです。ずばり戦闘など血みどろなシーンは一切ありません。
プレイヤーC:ブーブー!
GM:ブーイングなら帰れよ(笑)
プレイヤーC:いや、冗談です。一応内容は聞いてから集っていますし(笑)
GM:ならよし。ちなみにほのぼのと言っても、恋愛より友情が推奨されます。
プレイヤーB:ときめいたりはしない……と?
GM:しません。ジーンと心にくるような物語です。悲壮感で涙じゃなく、幸福感からくる感動、そんな感じ。
プレイヤーA:とりあえず何となく解りました。
GM:OK、舞台となるのはどこかの町です。
※解説1 「どこかの町」
 こういった解説において、今回プレイする『ゆうやけこやけ』の説明を補助的に入れていきたいと思う。システムの趣旨は上記説明した通りだが、舞台が固定されているわけではない。今回舞台とするのは、日本のどこかにある『百年町』という田舎町である。そこへ行くには1時間に1本しか走っていない電車で行くか、街灯も無い山道を車で頑張って走ってくるかである。
プレイヤーD:田舎の町……って事ですかね?
GM:そうですね。コンビニでは無く駅前には雑貨屋、家の数より田んぼと畑が多く、遠くには山、林に入れば誰もいない神社、誰の心にもある自然がいっぱいな町。そんな場所です。
プレイヤーA:それで、僕達は田舎の少年とかやればいいの?
GM:う〜ん、ちょっと違います。キミ達にやってもらうのは変化と呼ばれる存在です。
※解説2 「変化」
 変化とは人に化ける力を持った動物です。できないことはたくさんあるけど、ほんの少しだけ人間よりもできることがある……大人でも子供でもない町を導く存在。変化が持つのは小さなきっかけを作る力、戦う力は無いけれど、心とこころの距離をほんの少しだけ縮める事ができる力を持ってます。
プレイヤーC:つまり動物か。
GM:動物です。
プレイヤーD:妖怪じゃないんですか?
GM:微妙な所ですね。変化は100歳ぐらい生きる動物なんですが、100歳を超えると変化より上の存在(土地神様)になります。これはNPC専用なんで。
プレイヤーD:じゃあまだまだ半端な妖怪って所ですね。
GM:まだまだ"子供"の妖怪ってイメージだとプレイがスムーズだと思います。
プレイヤーD:了解。
プレイヤーA:それで、僕達は変化になって何をするの?
GM:はい。簡単に言うと、この物語では"ほんの少しの不幸"が起こります。それをキミ達は"ほんの少し幸せ"な物語に代える事が、このゆうやけこやけの遊び方です。
プレイヤーB:それをハートフルにやれと。
GM:そういう事です(笑) それでは各自の変化を作ってもらいましょう。ルールブックに乗っている6種類の動物から1つを選んでください。
プレイヤーA:犬に猫、狐に狸……は対になってるのかな?
GM:まぁ選んだ動物によって使える特殊能力や、その動物ならではの習性もくっついてくるので、その動物を想像して自分がやりやすいものを選ぶのが良いです。素直なキャラなら犬、素直でないなら猫、上から物を言いたいなら狐、お調子者なら狸、寂しがりやなら兎、自由人なら鳥、みたいなね。
プレイヤーD:飼い犬とか飼い猫ってあるんですか?
GM:あります。あ、そうだ。今回のシナリオには「ヨモギお婆ちゃん」という飼い主が登場します。お爺さんが他界してから、この百年町で1人暮らしをしています。そのお婆ちゃんの飼い犬を1人はやって下さい。
プレイヤーA:飼い犬かぁ……それは面白いかも。
GM:ただし条件があります。この飼い犬は、物語序盤はただの動物です。変化して人間に化けれるようになるのは中盤に入ってからだと思って下さい。
プレイヤーB:つまり……主人公?
GM:まぁみたいな感じです。中心人物となるNPCがヨモギお婆ちゃんなので。
プレイヤーA:えっと……他の皆が良いなら、僕が飼い犬やっても良いかな?
プレイヤーD:いいですよ。私は……狐がいいかな。
GM:他の人は?
プレイヤーB:猫で。
プレイヤーC:迷う……う〜ん……迷うが……よし、狐もいるし狸にしよう。
GM:OK。ちなみに覚えておいてほしい事に、変化には3段階あります。完全な人間状態、尻尾が出ている状態、尻尾と耳が出ている状態です。
プレイヤーB:尻尾とか出てたら一般人に見つかって大変なんじゃ……。
GM:ああ、この百年町はのんびりゆったりなので、変化たちがいても町の老人たちなら驚いたりしません。子供は驚いても打ち解ければ友達になれるでしょう。都会の子は……逃げるかも(笑)
プレイヤーC:なるほど、本当にほのぼのだ(笑)

GM:さて、動物が決まったら、6種類の基本能力(特殊能力)を写して下さい。そしたら弱点を選びます。
プレイヤーA:弱点?
GM:動物ゆえに持っている本能のようなものです。これを取れば対応した特殊能力が追加されるので、せいいっぱい取った方が面白いです。
プレイヤーB:取らないとダメなの?
GM:最低でも1つは取って下さい。変化としての特徴にもなるので。
プレイヤーA:じゃあ<くびわ>と<ぶきよう>と<ひとみしり>を取ろう。
GM:……はい、全員取ったら次は能力値の割り振りです。8点分を【へんげ】【けもの】【おとな】【こども】へ好きに入れて下さい。最低は1、最大は4点、ただし【おとな】はゼロでも構いません。
プレイヤーC:どうやって使うの?
GM:【へんげ】は変化としての力の比べあい、【けもの】は動物としての運動能力など、【おとな】は人間社会での常識や機械などの慣れぐあい、【こども】は子供としての優遇されぐあいや可愛らしさ(?)です。基本的に判定にカードもダイスも使いません、お互いの能力値を比べあって高かった方が勝ちです。
プレイヤーA:同値だった場合は?
GM:引き分けです。どうしても勝敗を付けたい場合は[想い]というポイントがあるので、それを使うことで能力値を一時的に上昇させる事が可能です。
プレイヤーA:なるほど。
GM:さて、最後は人間に化けた時の姿を決めます。ちなみに名前には制限があります。みなさんは動物なのでカタカナか平仮名でしか名前を付けられません。漢字の名前や苗字を持つのは飼い犬や飼い猫、もしくは社を持つキツネだけです。それでは自己紹介お願いします。

◆あったか変化

GM:では最初はヨモギお婆ちゃんに飼われている犬から。
けん太:名前はけん太! まだまだ生後半年の子犬で、人間変化すると9歳の気弱なおとこのこ。人見知りがあるんで知らない人に会うと恥ずかしがります。
GM:内気なおとこのこだね。
けん太:うん。ヨモギお婆ちゃんが大好きだから、ずっとお婆ちゃんと一緒にいます。
GM:友達は?
けん太:みんなの所にお婆ちゃんが連れて行ってくれるんです。それで一緒に遊んだりします。
GM:最初は動物のままだけど頑張って下さい。
けん太:うん、僕頑張るよ! 知らない人には人見知りするけど、そうじゃない限り庭を駆け回るぐらい元気元気♪

けん太
正体:飼い犬(雑種の芝犬)
年齢:半年
性別:おとこの子
人間の姿:半ズボンの気弱そうな9歳の男の子
能力:【へんげ2】【けもの3】【おとな0】【こども3】
基本能力:
<わんこ><なつく><なでなで><だいじょうぶ><みがわり><ほえる>
追加能力:
<弱点:くびわ>⇔<能力:おうち>
<弱点:ぶきよう>⇔<能力:がまん>
<弱点:ひとみしり>⇔<能力:しんじる>

つながり:
<この百年町は好きだよ、好意で><オレオは家にも来るから信頼>
<タローは親分だし憧れ><稲守は頭良いから尊敬>

備考:ヨモギお婆ちゃんと一緒に暮らす生後半年の雑種犬がけん太です。けん太は寂しがりやでいつもお婆ちゃんと一緒です。けん太はまだまだ子供だから、けん太の世界はお婆ちゃんと友達たちしかいません。



GM:次は猫!
オレオ:ボクの名前はオレオ、生まれて3年の野良猫だよ。変化するとつり眼の9歳、髪をツーテールにしてる女の子。
GM:なるほど。ちょっとキツめだね。
オレオ:そんな事ないよ、弱点でぐうたらを持ってるから、あんまりやる気ない。いろんな家の縁側に勝手に上がりこんでお昼寝してる。
GM:じゃあご飯とかもその人たちから貰ってるのかな?
オレオ:違う違う、ボクが貰ってるんじゃないよ。寝てるとご飯を出してくるから、"仕方なく"ボクが食べてあげてるんだ。
けん太:仕方なくなんだ……。
オレオ:そうだよ? けん太たちが遊んでいる時も、基本的にはちょっと遠くから見てる。
GM:それは一緒に遊びたいんじゃ……。
オレオ:ち、違うよ! ボクは弱点で<うずうず>があるから好奇心旺盛なだけで、みんなが何してるか気になるだけ! 一緒に遊びたいなんてこれっぽっちも思ってないんだから!!
けん太:………………。
タロー:ほら、オレオもこっち来いよ! 楽しいぜ?
オレオ:し、仕方無いなぁ……そこまで言うなら一緒に遊んであげるよ♪

オレオ
正体:野良猫(三毛猫)
年齢:三歳
性別:おんなの子
人間の姿:つり眼で髪をツーテールにしている9歳の女の子
能力:【へんげ2】【けもの2】【おとな2】【こども2】
基本能力:
<にゃんこ><すりすり><こころのぞき><ぬきあし><ねこみち><おともだち>
追加能力:
<弱点:うずうず>⇔<能力:どろぼうねこ>
<弱点:ぐうたら>⇔<能力:すやすや>
<弱点:びりびり>⇔<能力:いかく>

つながり:
<百年町への好意><けん太は素直だから好意>
<タローはしょうがないから家族><稲守はしょうがないから家族>

備考:百年町のいろんな家の縁側を渡り眠る、恥ずかしがり屋の猫がオレオです。本当は構ってほしいのに、自分から輪に入る事はありません、いつでも"仕方なく"輪に入るのです。



GM:では狸!
タロー:名前はタロー! 狸の12歳で、変化しても12歳のおとこの子。趣味は化かすことだけど、どうにも自分が化かされることは考えてない。そして食いしんぼ!
GM:油揚げがあっても?
タロー:俺がもらう。
稲守:なっ!?
タロー:【けもの】が高いので運動能力はばっちり。いつも奪って走り去るぜ!
オレオ:うわぁ…まぁボクに被害がなければ良いや。
タロー:そんな悪がきな狸だけど、基本的におひとよしだから、困った友達がいたら助けるぜ?
けん太:親分肌なんだね!
タロー:おう、まかせとけ!――と腹をポンと鳴らす(笑)

タロー
正体:狸
年齢:十二歳
性別:おとこの子
人間の姿:悪がきっぽい12歳の男の子
能力:【へんげ2】【けもの4】【おとな1】【こども1】
基本能力:
<おかね><おばけ><なんでもへんしん><まねっこ><たぬきばやし><ゆめまぼろし>
追加能力:
<弱点:おひとよし>⇔<能力:おっちょこちょい>
<弱点:くいしんぼ>⇔<能力:おなかのむし>
<弱点:おちょうしもの>⇔<能力:たぬきおどり>

つながり:
<百年町への憧れ><けん太はヨモギお婆ちゃんがいていいなぁと憧れ>
<オレオはちょっと気になる……好意><偉そうにしてる稲守への対抗>

備考:百年杉の広場でよく遊んでいるやんちゃ君。自分勝手で好き勝手、とくに狐の稲守にはついついイタズラをしちゃう威張りんぼです。でも心は誰より優しいから、友達のためならたくさん頑張れちゃいます。



GM:最後は狐。
稲守:狐の変化、生まれて52歳だから他の子よりもお姉さんです。
タロー:まじだ、【おとな】の値が3点ある。
稲守:ふふん♪
GM:人間に変化すると、どんな感じ?
稲守:9歳ぐらいの女の子です。服装はお嬢様風。好きなものは油揚げ! これを食べると変化の段階が1段階下がります。
GM:尻尾がボウンとか出る奴だね(笑)
稲守:そうです。基本的に強がりなのでなんでもできると思っています。そして感情を表に出すのが苦手なので、どこか冷たいイメージがあります。
けん太:あまり話す事に慣れていない、強がっちゃう委員長?
タロー:ああ、解りやすい(笑)
稲守:ちょっと! 勝手に人のイメージ作らないでくれる? 私はこう見えても52年は生きてて土地神様を目指しているんだからね!――という事で、先輩の変化狐から社を預かってる事にしたいです。
GM:まだ自分のものじゃないけど……って意味?
稲守:はい。だから名前を漢字で書きたいです。
GM:う〜ん、じゃあ見習いって事で許可しましょう。ただ苗字はちゃんと引き継いだ時に……って事で。
稲守:問題ないです。

稲守(いもり)
正体:狐
年齢:52歳
性別:おんなの子
人間の姿:どこかのお嬢様みたいな9歳の女の子
能力:【へんげ3】【けもの1】【おとな3】【こども1】
基本能力:
<こあくま><おつげ><ひのたま><かくれみの><にせもの><きつねのよめいり>
追加能力:
<弱点:あぶらあげ>⇔<能力:うそつき>
<弱点:つめたい>⇔<能力:えんむすび>
<弱点:つよがり>⇔<能力:おくりもの>

つながり:
<百年町は私が保護しないと><けん太は私が保護しないと>
<オレオは私が保護しないと><タローは私の油揚げを……対抗です>

備考:百年杉に昔からいる女の子。他のみんなよりちょっと大人な自分だから、少しの事じゃ怒らない。でも、あぶらあげを横取されたら――もう許さない! タロー待ちなさいったら!!

◆百年杉の木の下で

百年町を見下ろす山の上、そこには百年杉と呼ばれる古い大木が全てを包み込むように生えている。
木漏れ日が差す木の下は、動物たちにとって元気に駆け回れる広場になっていた。
GM:場面は変化3匹がいつも遊んでいるたまり場からスタートします。そこは百年杉という大木の下、木漏れ日の差すちょっとした広場です。
オレオ:全員いるの? それならボクは一番下の枝に乗って寝てるから、起こさないでよね?
稲守:じゃあGM、その百年杉の根元には山の神様を奉る小さな社があるんです。私はこれを先輩から預かってまして、今日もキレイに掃除を終えた所です――ふぅ、これで良し♪
タロー:おい稲守! 勝負だ!!
稲守:はぁ? 何を言ってるんですか。唐突に。
タロー:唐突じゃねーよ! お前が掃除終わってからって言うから手伝ったんじゃないか!(笑)
稲守:そうだったんだ(笑)――もう、しょうがないなぁ……でも何するの?
タロー:う〜ん……よし! あそこで寝てるオレオを、どっちか先に起こすかで勝負だ!
オレオ:むにゃむにゃ……。
GM:ちなみに3匹ともまだ動物状態ですよね?
稲守:そうですね。別に変化する必要性もありませんし。下から呼ぶ――オレオ〜オレオ〜!
タロー:よっしゃ! いくぜ!!――ドスーンっ!!
稲守:ドスーン? 何をしたの?
タロー:木に体当たり!
GM:大樹と言ったでしょう!? そんなの【けもの10】の判定だよ(笑)
タロー:無理!(笑) おもいっきり頭からぶつかって――キュー……――気絶、。
稲守:何がしたいんですかあなたは!!(笑)
オレオ:ふにゃ……今、誰かボクを呼ん――!?――って枝から落ちます。
GM:落ちるんだ(笑)
オレオ:でも猫の身こなしで着地は問題無し!
稲守:と思っていたら着地点には私が(笑)
オレオ:えええ!? じゃあ稲守と頭からぶつかって気絶?
稲守:私も気絶です(笑)
GM:いや、3匹して気絶って……。まぁいいや、そんな所に日課の散歩コースとしてヨモギお婆ちゃんとけん太がやって来ます――「おやおや……みんな揃って寝ちゃっておるよ?」
けん太:ワンワン♪――走っていって3匹の周りを回る回る!
稲守:それには「夢」を上げます♪
タロー:そうだね。俺もあげよう。
※解説3 「夢」
 夢とは、他のプレイヤーが良い演技をした場合に与える事が可能なポイントです。1つの言動につき1点ずつしか与えられず、また自分に対して与える事もできません(ただしGMには与えられます。)可愛かったり救われたりした言動には優先してあげましょう。
GM:さて、お婆ちゃんが最初に介抱してくれるのは……一番【こども】が高い子かな?
稲守:私は1です。
タロー:俺もだ。
オレオ:ボクは2。
GM:「ほらほらオレオ、大丈夫かい?」
けん太:ふんふん匂い嗅いでからオレオを舐めまくる!
オレオ:ピクっと起きてから――
けん太:ハッハッハッハッハッ(笑)
オレオ:シュタッて飛びのいてけん太と距離を取る!
けん太:面白い!! 追いかけます(笑)
GM:お互い【けもの】の比べあいで。
オレオ:ボクは2だよ。
けん太:3!――追いついてじゃれつく! もう砂まみれ!
オレオ:ニュアーニャー!!――や、やめろよけん太! ボ、ボクはお前なんかと遊ぶつもりは、く、くすぐったい!(笑)
GM:「おやまぁ、けん太とオレオは仲が良いねぇ」――とお婆ちゃん、残った2人を起こしましょう。
稲守:ピクッ!――と起きて変化! 時刻は?
GM:夕方としましょう。
※解説4 「変化」
 変化には時間と段階によって、変化に必要なコストが変わります。朝より昼、昼より夕方の方がコストが軽く、完全な人間状態より耳出し、耳だしより耳&尻尾出しの方がコストが軽いです。消費コストは時刻と状態の累計コストとなります。
稲守:なら耳だけ出た状態で変化!――どうタロー? オレオを起こしたのは私が先よ?
タロー:しかしタローは勝ち誇っていた。なぜならお婆ちゃんの手の中で幸せそうにしていたからだ。
稲守:お、お婆ちゃん! ずるい!!!
GM:お婆ちゃんかよ!(笑) 「夢」をあげよう。
けん太:ヨモギお婆ちゃんはみんなに優しいのです。「夢」をあげます。
オレオ:ボクはタローにあげる。
GM:「おやおや、稲守はみんなよりお姉さんなんだから、これぐらいで怒っちゃダメだよ?」
稲守:で、でもでも!
GM:「ほら、今日もあぶらげ持ってきたよ? 機嫌お直し?」
稲守:うわぁ♪――尻尾がボゥンと出る!
タロー:お婆ちゃんの手から油揚げとって逃げる!(笑)
GM:【けもの】で対抗だね。
タロー:【けもの】は4!
稲守:1しかない……――ああ!?
けん太:オレオの首を甘噛みしてお婆ちゃんの所に戻って来る――どうしたの? どうしたの? 何か面白い事あったの!?――と言う顔で(笑)
オレオ:仕方無いから、なされるがままです。
稲守:ああ、けん太! タローを捕まえて!! また私の油揚げ取ったのよ!!――タローを指差す!
タロー:狸状態のまま一時ストップして振り返る、口には油揚げ。
稲守:むかーー!!
けん太:あれ? あれを行けばいいの? いいの?――オレオをお婆ちゃんの所へ置いて、タローの元へ走る!――【けもの】は3!
タロー:俺はぎりぎり逃げてる(笑)
オレオ:これだから男の子は困るよね――呟きつつお婆ちゃんの足元で丸まる。
稲守:本当本当――オレオに同意です。
GM:「まぁ良いじゃないの、みんな仲良しは良いことよ?」
稲守:でも人の物を取るのは悪い事よ! お婆ちゃん、今度タローを叱ってやってよ!
GM:「はいはい、今度お婆ちゃんから言っておくから、稲守ちゃんもこれ食べて落ち着きなさいな」――と新鮮なキュウリ3本とトマト2つをくれます。好きなの食べて良いです。
稲守:じゃあ素直にキュウリを1本貰います。タローとけん太の追いかけっこ見ながらポリポリ食べてる。
オレオ:たったコレだけなの?
GM:「おやおや、じゃあオレオはいらないのかい?」
オレオ:そんな事言ってないじゃない。仕方無いから今日はトマトを貰っておくよ。今度来るときはもっといっぱい頂戴よね?――トマト食べてる。
GM:お婆ちゃんはオレオを優しく見守ります。
稲守:そんなお婆ちゃんに[つながり]を持ちたいので【おとな】でアピールします。想いを5点使って合計8、お婆ちゃんから2点の[つながり]がもらえるけど、弱点で<つめたい>あるから1点になる。
※解説5 「つながり」
 [つながり]とは他者との絆です。自分から他者へ持つ[つながり]は、場面終了時にそのポイント分の[ふしぎ]をもらえます。逆に他人が自分に持っている[つながり]は、同じく場面終了時にそのポイント分の[想い]をもらえます。
[つながり]は場面が終わり次の場面が始まるまで(つまり幕間)に、[夢]を使うことで上昇することが可能です。「ゆうやけこやけ」は、そうやって[ふしぎ]や[想い]を貯めていきます。
※解説6 「ふしぎ」
 [ふしぎ]は変化の特殊能力を使う時に必要となるコストを差します。
※解説7 「想い」
 [想い]は能力値を一時的に上昇させる時に使用します。この行為は自分だけでなく、友達の能力値に自分の[想い]を乗せてあげる事もできます。
GM:……なんだかんだと、全員ヨモギお婆ちゃんに[つながり]を持ったみたいだね。ヨモギお婆ちゃんも皆に印象判定して[つながり]を取りました。<けん太:家族><オレオ:信頼><タロー:保護><稲守:友情>と言う感じです。
タロー:なんで俺が保護で、稲守が友情なんだー!
稲守:私とお婆ちゃんはずっと昔から知り合いなの! 子供のあなたとは付き合いが違うのよ。
オレオ:ボク……信頼されてる……。
けん太:僕は追いかけっこ止めて、トマト食べてる。カシュカシュ♪
タロー:婆ちゃん! 俺のは! 俺のは無いの!?
GM:「タローは良く食べるから余分に持ってきたんだよ」――と残った2本のキュウリを。
タロー:グモモモモ……うめーー!!
稲守:駄目よお婆ちゃん、そうやって甘やかすからタローがこんなに太っちゃうのよ。
けん太:太ってるんだろうなぁ(笑)
タロー:なんだと! 俺はいつ冬が来ても良いように食いだめしてんだ! だいたい土地神様になるっていつも言ってるくせに、稲守はセコいんだよ?
稲守:プチッ!――もう許せない! 今日と言う今日は――
タロー:ピューって逃げてる――【けもの】4だし。
稲守:待ちなさい!! 絶対に許してあげないんだから!――と言って追いかける!
オレオ:もう……稲守も子供なんだから……――シャクっとトマトかじりつつ。
けん太:いっきにトマト食い終わって、ヘトヘトになってる稲守の足元にじゃれつく!――なになに!? おもしろいの? 何が楽しいの!? ハッハッハッハッハッ!
稲守:ゼーゼーゼー……う、うっとおしい!!(笑)
GM:「さて、そろそろ帰るかのう……行くよけん太」
オレオ:え、もう帰っちゃうの?
GM:オレオの頭を撫でつつ――「今日はねぇ、都会から私の息子夫婦が孫を連れて帰ってくるの。いつもより多く夕飯の支度しないといけないから」
オレオ:そうかぁ……。
けん太:なになに!? 帰るの?――お婆ちゃんの所に戻って来る。
タロー:俺も稲守より先にお婆ちゃんの所に。そういえば季節っていつ頃?
GM:「ゴホッ、ゴホッ……うう、それにしても最近は冷えて来たね」――季節は秋です。
稲守:ゼェーハァー――ヨモギお婆ちゃん、夜はあったかくして寝ないと駄目よ? 風邪引かないようにね?
GM:「はいはい、稲守は優しい子だね。わかってますよ」――稲守の頭をポンと撫でて、けん太と一緒にお婆ちゃんは帰っていきます。

◆若葉ちゃん

次の日の夕方、再び3匹が百年杉の広場で遊んでいると、山の小道をヨモギお婆ちゃんとけん太、そして見た事の無い小学生ぐらいの女の子が登ってくる。
稲守:そうだタロー、一つ勝負しない?
タロー:勝負? いいぜ、受けて立つ!
稲守:今、お婆ちゃんが女の子と一緒に登ってくるでしょ? あの女の子が最初に触った方が勝ち。どう?
タロー:勝った方は?
稲守:もし私に勝てたら、あなたが取った油揚げの事を忘れてあげる。でもタローが負けたら、ちゃんと私に謝りなさい!
タロー:おう、いいだろう!!
オレオ:ふわぁ〜〜あ(←欠伸)。
タロー:フッフッフッ――そんな条件なら俺には一つ悪巧みがあるぜ(笑)
稲守:私も勝算があるから勝負を振ったんです。今日は負けません。
GM:オレオは【おとな】を2匹と比べあってみて。勝ったら悪巧みしてるのが解ります。
オレオ:ボクは2だからなぁ、稲守が考えてる事は解らない。でもタローがなんか悪い事考えてるのは解る。
タロー:フッフッフッ。
オレオ:何も言わないけど(笑)
GM:では、お婆――
稲守:ちょっと待って下さいGM、実は昨日の夜のうちに特殊能力<おつげ>を使っていた事にしたいです。
タロー:何!? 能力を使うのか!?
稲守:対象はお婆ちゃんの孫娘、<おつげ>の内容は「百年山にお婆ちゃんと一緒に登ったら、最初に狐に触るのです」――と(笑)
タロー:きったねー!!!(笑)
稲守:ふふん♪ 勝算の無い勝負はいたしません。
GM:では孫娘の【おとな】と、そっちの【へんげ】で勝負だね。
稲守:私の【へんげ】は3です。子供には負けないでしょう。
GM:甘いな、こっちは"都会の子"なのです。現実主義を舐めるな! 孫娘の【おとな】は3だ!
稲守:ええ!? じゃ、じゃあ[想い]を使って【へんげ】を3→4に上昇させます。ふぅ……。
GM:OK。ではそんな事とは露知らず、タローは勝負に乗ってしまったと(笑)
けん太:リード握ってるのは孫娘だよね? 引っ張って行きます――早く! 早く行こうよ!!
GM:「けん太! 早い! 早いよぉ!」――と広場に到着すると――「あ、狐さんだ……」
稲守:優雅に女の子の方へ歩いていこう。
タロー:そこで<たぬきおどり>!【おとな】で4以上を出さないと、今している事をやめて大笑いし始めます!
稲守:ええ!?
GM:じゃあ女の子は踊りだした狸を見て――「あはははははッ、うわぁ面白いたぬきさん♪」
けん太:【おとな】0なんで、大爆笑(笑)
タロー:ちなみに笑った人は[夢]が3点もらえます。良い能力だ(笑)
けん太:やったー♪
GM:もちろんお婆ちゃんも笑います。
稲守:ま、負けるか! 負けるわけには――[想い]を使って【おとな】を上昇、耐えた!(笑)
けん太:孫娘を引っ張ったまま面白いからタローの所へ行こう。
稲守:はっ! このままじゃ負けちゃう!? GM、変化して人間になります!
GM:それをすると……孫娘が[びっくり]するのだが……。
稲守:だってこのままじゃタローに最初に触っちゃうし、それならこっちに注意を向けさせます!
GM:いいでしょう、では――「ええ!? 狐さんが女の子に!?」――と[びっくり]したので表と照らし合わせて結果を決めましょう。
※解説8 「びっくり」
 変化たちが変身したり、不思議な力を使っている所を見ると、一般の人はみんな[びっくり]してしまいます(特殊能力によっては変化同士でも[びっくり]します)。そうしたら変化の【へんげ】と、相手のもっとも高い能力値を比べ、【へんげ】の方が上回っていた場合、相手は[びっくり]します。この時、いくつ上回っていたかで[びっくり]した対象の取る行動の結果が変わります。
稲守:一気に想いつかって5上回る!
GM:5以上は気絶だね。女の子はあまりの事にびっくりして気絶しました。
タロー:な!? 何してんだよ稲守! 女の子びっくりして倒れちゃったじゃないか!!
稲守:だ、だってそれは!!
GM:そこでヨモギお婆ちゃんが一言――「おや、まぁ」(笑)
オレオ:お婆ちゃん、狙ってたよ今の一言(笑) ボクも人間に変化しよう。耳と尻尾は出た状態で――もう、女の子が気絶したんじゃ、この勝負は引き分けだね?
タロー:くっそ〜〜稲守が余計な事しなかったら俺が勝ってたのに。
稲守:な、何言ってるのよ! 変な事しだしたあなたがいけないんじゃない。
オレオ:はぁ……やれやれ。
けん太:僕は特殊能力<だいじょうぶ>を使います。ペロペロ顔を舐めてびっくりした状態から解放します。
GM:「う、う〜〜ん……」――女の子は起きます――「けん太くすぐったいよ」
けん太:ワンワン♪
GM:「そうだ! お婆ちゃん! 耳! それに尻尾!!」――と女の子が稲守たちを指差し、ヨモギお婆ちゃんは――「大丈夫、その子たちはこの森に住む動物さんだよ? 若葉と遊べるように人の姿に変身してくれたのさ」
稲守:驚かせてしまって御免なさい。私は狐の稲守、宜しくね――手を出そう。
GM:「えっと……私は若葉、秋山若葉っていうの。よろしく♪」――握手します。
タロー:俺は狸のまま二足歩行、手を出して――俺はタローだ! 宜しくな若葉!
GM:若葉はしゃがんでタローの小さい手と握手します――「よろしくねタローくん」
けん太:意味も解らず周り走ってる(笑)
GM:「それからえっと……」――とオレオの方を見ます。耳とか出てるから動物だろうとは思ってるみたいだ。
オレオ:何?
GM:「あなたは? なんの動物さんなの?」
オレオ:ボクは猫だよ? 見て解らないの?
GM:「へぇ〜〜。私若葉、よろしくね♪」
オレオ:ボクはオレオ……宜しく。
GM:「うん♪」
けん太:ワウワウワウ♪――と自主的に真似して自己紹介。
オレオ:けん太は自己紹介しないでもわかってるよ(笑)
けん太:ワウワウ♪(笑)
GM:「猫なのにけん太となかよしなんだね?」
オレオ:別に? けん太が勝手にじゃれ付いてくるだけだよ。仕方無いから遊んであげてるだけ――と、いいつつお腹撫でてたり。
GM:若葉も一緒に撫でよう。
稲守:私はヨモギお婆ちゃんに――またタローが〜!って泣き付く。
タロー:婆ちゃん、何かよこせーー!(笑)
GM:好き勝手だなぁ、オイ(笑) まぁそんなこんなで若葉とも仲良くなり(若葉も全員に印象判定し、それぞれに[つながり]を取りました。同じように変化たちも若葉へ[つながり]を取りました)、そろそろ暗くなってくる頃合。お婆ちゃんは若葉と一緒に帰ります――「ほらけん太、そろそろ帰るよ?」
けん太:ワンワンッ♪
稲守:わ、若葉、もう行っちゃうの?――若葉ちゃんの手握って。
GM:若葉がこたえましょう――「もうすぐ夕ご飯だから。でもだいじょうぶ、若葉は3日間お婆ちゃんのところにいるから、あしたも稲守ちゃんたちにあいにくるね♪」
稲守:そっか、良かったねオレオ?
オレオ:別に……――と言いつつ、尻尾は若葉に寄り添ってます(笑)
※猫は気に入った相手だと尻尾を寄り添わせます。
稲守:じゃあまた明日ね♪――手を離してバイバイ。
タロー:えええ〜〜もっと遊ぼうぜ? 夜はまだまだこれからだ(笑)
GM:そんな事言ってると、お婆ちゃんも咳き込みながら――「ごめんねタロー、明日はお昼ご飯持ってくるから許しておくれ……ゴホゴホッ」
稲守:ほらタロー! 夜は寒いんだからお婆ちゃんが風邪引いたらどうするのよ?
タロー:それは大人しくなろう――わかった、また明日にする。じゃあな若葉!
GM:「うん、また明日ね♪」

◆外れた首輪

その日の夜、けん太が庭先の小屋の中で幸せに眠っていると、なんとも不思議な夢を見ました。
GM:場面はヨモギお婆ちゃんの家、秋山家です。登場はけん太のみ。他の人は登場できません。
けん太:僕だけ?
GM:けん太は夢の中で大好きなお婆ちゃんとたくさんたくさん遊んでいます。
けん太:ワンワンワンワン♪――棒を拾ってきたり、とにかく駆け回ったり(笑)
GM:するとお婆ちゃんは、けん太の首輪についているリードを外します。
けん太:なんで? どうして外しちゃうの?
GM:「けん太、ちょっとの間だけ寂しいと思うけど我慢しておくれ、その間、お前は自由だからね……」
けん太:何を言っているんだろう? わぅん?
GM:「自由だからね……自由だからね……自由だからね……」――とお婆ちゃんの声がエコーがかって響き渡り、キミは朝方目覚めます。
けん太:今の夢、なんだったんだろう?――お婆ちゃ〜ん?――とりあえず呼んで見ます。
GM:すると犬の吠え声じゃなく、若葉や稲守たちと同じ言葉がしゃべれます。ここからは通常の変化と同じに活動して構いません。
けん太:う〜ん、まぁ喋れても別に深くは考えない(笑) とりあえずお婆ちゃんを呼ぶ!
GM:お婆ちゃんの返事はありません。【けもの】で判定してみて、2以上で解る。
けん太:3あるから大丈夫!
GM:家の中はしーんと静まり返って、人の気配がありません。そして気がつけば首輪からリードが外されています。
けん太:家の中を駆け回る! とりあえずお婆ちゃんの匂いのする部屋へ!!
GM:キレイに布団が畳まれており、そこにお婆ちゃんはいません。
けん太:え? どうして……そうだ、若葉ちゃんの部屋へ!
GM:若葉の部屋にはその両親の分とともに、3人分の布団がキレイに畳まれています。
けん太:呆然としよう……。そして玄関まで出てくる。若葉ちゃん達は都会から来たなら、車で来たんだよね?
GM:そうですね。昨日は大きな車が玄関の前の道路に停めてありました。
けん太:今は?
GM:ありません。チュンチュンチュンと雀の声と、どこからか鶏が告げる朝の鳴き声だけが聞こえます。
けん太:お婆ちゃん……どこ行ったんだろう……。
GM:どうしますか?
けん太:……玄関前の道路に座って待つ。特殊能力<しんじる>! お婆ちゃんはきっと帰ってくるよ。だから僕はここで待ってる。僕が良い子にして待ってれば、いつだってお婆ちゃんはすぐに帰って来てくれるんだ!
山の稜線から太陽が顔を出し、その太陽がゆるゆると空へと昇っていく。
けん太は1匹、誰もいない家の前で、すっと背筋を伸ばしたまま待ち続けた……。
必ず、お婆ちゃんは戻って来ると信じて。

◆お昼ご飯……まだ来ない

一方こちらは百年杉の木の下。いつもの3匹がいつものように遊んでいる。
だけど今日はいつもよりハイテンション!
なんせお昼を持ってヨモギお婆ちゃんと若葉ちゃんがやってくるからだ。
タロー:おっひっる〜♪ おっひっる〜♪ まだかな?まだかな〜♪
稲守:まったく、ガッツイちゃって! 恥ずかしいから涎垂らすのやめてよね?
タロー:なんだよ! お前だって涎ぐらい垂らすだろーが!
稲守:そんな事無いわよ。私をあなたと同類にしないでよね?
オレオ:油揚げ(←ボソっと)
稲守:ジュル……ハッ!?
タロー:ニヤニヤ〜〜と笑う(笑)
稲守:ち、違う! 今のは違うの! もうオレオも止めてよ!!!(笑)
GM:むぅ、合いも変わらず仲良しっぷりに「夢」をあげよう。
※ちなみにリプレイではカットしているが、プレイ中に「夢」は飛び交いまくっております。
GM:そんなキミ達だが、そろそろ気がつく。もうすぐお昼だというのにヨモギお婆ちゃんはやってこない。もちろん若葉ちゃんもけん太もやって来ない。
タロー:おそーい!! 何を婆ちゃんはやってるんだ! 俺のお腹と背中がくっつくじゃないか!
オレオ:良いんじゃない。痩せれて。
タロー:痩せちゃ駄目だろう! 冬に備えてるんだから!(笑)
稲守:でも……本当に遅いね。まさかとは思うけど何かあったのかなぁ。
タロー:だーーー! もう我慢できない! オレオ、お前婆ちゃん家知ってるだろ? 今から迎えに行くぞ!
オレオ:え、別に良いけど。
稲守:ちょっとタロー! そんな事したらお婆ちゃんに迷惑じゃない! 今日はまだ若葉ちゃんのお父さんやお母さんだっているんだよ!?
タロー:そんなのは知らん!!(一同爆笑)
けん太:すげー(笑)
オレオ:ボクは他人なんてどうでもいいし、でもお婆ちゃんが心配なのは同じだから、タローが行きたいって言うなら連れて行くよ? 何度か縁側でご飯も貰った事あるし家の場所は知ってる。
タロー:よし、さぁ案内しろ! 俺は行く! そして美味い昼ごはんを貰う!(笑)
稲守:だ、駄目よ! 迷惑がかかるって!!
タロー:うるさいな! 別に稲守が行くわけじゃないんだからいいだろ!――とオレオの後をついて山を下りる。
オレオ:じゃあお婆ちゃんの家へ。
稲守:ちょ、ちょっと! そんな事したら駄目なんだからー!!――と叫びつつ、百年杉のところに私は取り残されます。真面目なので(笑)

◆ヨモギお婆ちゃんの家

そろそろ太陽が真上に昇ってきた。
お昼になっても、まだお婆ちゃんは帰ってこない。
けん太は朝から微動だにせず、ずっと玄関前の道路で待ち続けていた。
タロー:けん太!!
けん太:その声に反応して振り向く! でもお婆ちゃんじゃないのでガックリ――なんだ、タローか……。
タロー:けん太! 婆ちゃんはどうしたんだよ! 今日はお昼にはご飯持って来てくれるって約束だろ!
けん太:それが……ヨモギお婆ちゃん、いなくなっちゃったんだ……。
タロー:いなくなった!? 何言ってんだよお前!
けん太:朝起きたら……若葉ちゃんも、若葉ちゃんのお父さんとお母さんも、ヨモギお婆ちゃんも、みんな家からいなくなってたんだ……。
タロー:……そんな。
GM:ちなみにけん太は普通にしゃべってます。
オレオ:!?――ねぇけん太、けん太も変化になったの?
けん太:何が?――気にしてないので(笑)
オレオ:う〜〜ん、まぁ別にいいけど……。
GM:(稲守がいてくれた方がツッコミがいがあるなぁ……)
タロー:とりあえず家に入るぞ! 婆ちゃんを探せー!!
オレオ:ボクも入る。人間に変身して家捜し。
GM:家捜しするなら【おとな】の6以上です。
オレオ:これは……稲守の見せ場っぽいから失敗しておく(笑)
タロー:……だな。戻って来て――けん太! 婆ちゃんいねーじゃねーか! どうしたんだよ!!
けん太:どっか行っちゃったんだ。だから僕、大人しく待ってるの。
オレオ:それで、お婆ちゃんはどこに行くって言ってたの?
けん太:う〜ん、知らない。
オレオ:知らないって事無いでしょう? 今までそう事あったの?
けん太:………………無かった。
オレオ:じゃあどこ行ったか解らないじゃない。
けん太:……うん。解らない。
タロー:解らないじゃないだろう!! お前は婆ちゃんと暮らしてたんだろ! お前が知らないでどうするだよ! なんとかしろよけん太!!!
けん太:だって……そんな事言われても解らないよ……。大丈夫さ、待ってればきっとお婆ちゃん帰ってくるから……。
タロー:どうしてお前にそんな事が言えるんだよ!
けん太:真顔でちょっと怒り気味に!――解るよ! 今までだってそうだったんだ! 少し居なくなってもお婆ちゃんはちゃんと戻って来てくれたんだ!!
タロー:お前……。
オレオ:けん太、キミは何も解ってないようだから言ってあげる。どうしてお婆ちゃんは何も言わなかったのか、どうしてキミの首輪から鎖を外していったのか……。
けん太:ゴクリ……。
オレオ:けん太、キミは捨てられたのよ。
けん太:!?
タロー:がーーーん!――となる俺!(笑)
オレオ:別に普通のことだよ? 人間なんて自分勝手、ボクも昔はそうだった。
けん太:そんな……そんなはずない! お婆ちゃんが僕を捨てるなんてありあえない!! お婆ちゃんは、お婆ちゃんはすぐに戻って来る! 戻って来るんだ!!――そしてフラッシュバックする僕の過去!
GM:ほう。
けん太:僕は生まれて間も無く1人ぼっちになりました。雑種なのでどこかの犬が産んだ後、僕だけ迷子になったのでしょう。ふらふらとさまよう赤ん坊の僕、その時拾ってくれたのがお婆ちゃんだったんです。
GM:その日は雨の日、暖かい手を差し伸べてくれたのはヨモギお婆ちゃん。
オレオ:
リフレイン風にもう一度――けん太、キミは捨てられたのよ。
けん太:
ち……違うもん! お婆ちゃんは僕を捨てたりしない!! 絶対……絶対に違うもん!! うわーーー!!――どっかに走っていく!
タロー:おい、けん太!!
オレオ:タローを掴む――捨てられたのは事実、けん太だってあとで解る。
タロー:だけど、わざわざ言う必要無いじゃねーか!!
オレオ:でも、誰かが言わないと。
タロー:……くそっ!!
稲守:そこで人間変化したまま家の中から出てこよう――タローもオレオも、それぐらいにしなさい。
タロー:稲守……でもこいつ!
オレオ:稲守、お婆ちゃん、行き先も告げずにいなくなったんだってさ……。
稲守:………………家の中に入って調べた事にして良いですか? [想い]使って【おとな】6! これで何か解るはずです。
GM:うむ。家の中なのだが、息子夫婦の荷物が置きっぱなしなのがわかるね。もしかして一時的に家を空けているのかもしれない。
稲守:なるほど……――大丈夫、早とちりしないで。
オレオ:どういう……事?
稲守:お婆ちゃんも若葉ちゃんの両親も、一時的に家を空けてるだけで、戻って来るみたい。人間が遠出する時に持つような荷物は置いてあったしね。
タロー:おう……そうか…そうか!!
オレオ:でも、じゃあお婆ちゃんはどこに行ったの? どうしてけん太に何も告げずに出て行っちゃったの? 何か大変な事が起こったんじゃないの!?
稲守:それは……私に聞かれても……。
GM:と言ったところで【けもの】で4以上、判定して下さい。
タロー:素で成功。
GM:車の音が近づいてきます。
タロー:稲守! オレオ! 動物に戻って隠れるぞ!
オレオ:コクリと頷いて動物に戻る。そして庭の草むらに。
稲守:同じく。

◆お婆ちゃんの行方

ブロロロロロ……ブルン。ジャリジャリ。
その車は砂利を踏みしめ、ヨモギお婆ちゃんの家の前で停まりました。
バタンバタンとドアが開き、3人の人間が降りてきます。
GM:車から降りてくるのは若葉ちゃんと、その両親ですね。ヨモギお婆ちゃんはいません。
オレオ:お婆ちゃんはいないんだ……。
稲守:何かしゃべってないかな?
GM:【けもの】2以上で。
タロー:それは聞こえる。
GM:「お婆ちゃん! お婆ちゃんどこ?」「若葉は車に戻ってなさい」「う、うん……わかった」――と全員降りた車に、若葉ちゃんだけ戻って行きます。
タロー:先回りして車に乗り込む! それで<なんでもへんしん>使う!
GM:何に変化するの?
タロー:ルームミラーに下がっているキーホルダー(?)とかぬいぐるみとかに変化する。
GM:じゃあ狸のぬいぐるみがなぜか増えているって事にしよう、そんな車に再び若葉が乗り込んできます。
タロー:若葉? 若葉?
GM:「あれ? いまの声……タローくん?」
タロー:そうだよ、俺だよ! ここだ、ここ、ここ!――ブラーンブラーンと。
GM:「もしかして、そのぬいぐるみがタローくんなの?」
タロー:おう、俺は狸だからな、なんだって化けられるんだ! それよりお婆ちゃんはどうしたんだよ?
GM:「お婆ちゃん、ずっとおびょうき、だったんだって……」
タロー:病気!?
GM:「うん……、ずっとずっと我慢してたんだって……それで、きのうの夜、たおれて病院に……」
タロー:俺も! 俺も病院に連れて行ってくれ! このままここで大人しくしてるから!
GM:と言ったところでお父さんが車に戻ってきます――「若葉、お婆ちゃん、家に戻っているわけじゃないみたいだ。お父さんはとりあえず病院に戻ってみる。若葉はどうする? お母さんと一緒に家で待ってるか?」――「うん、家で待ってる」――と若葉は言うと、一瞬だけタローの方を見て車を降ります。
タロー:え!? 俺1人? それはヤバイ気がする……誰か助けて〜〜!(一同爆笑)
稲守:まったくしょうがないな。特殊能力<かくれみの>で姿を透明にします。そしてぬいぐるみを回収。
タロー:おお、なんか俺浮いてる(笑)
稲守:そして透明のまま、若葉の耳元で囁く――若葉ちゃん、夕方になったら、昨日の百年杉の広場に来て。私たちがなんとかしてあげる。
GM:「えっ?」
稲守:フワフワとぬいぐるみと一緒に退場。
タロー:俺もかよ!(笑)
オレオ:ボクは家にいたお母さんの方を観察する……なんか解らないかな?
GM:じゃあお母さんは――「お婆ちゃんったら、手術の確率が五分五分だって聞いたものだから……きっと……ああ……」
オレオ:そんな……――ボクも退場します。

◆お散歩道

けん太は歩いていた。
その道順はいつもの散歩コースだった。
今、自分のリードを持つお婆ちゃんはいない。
それでもけん太は、いつの間にかその道を歩いていた。
けん太:トボトボ歩いている。
GM:ではお散歩コースを一巡りしました。お婆ちゃんの姿はありません。
けん太:う、うう……――と今まで<がまん>してた部分が決壊し、とめどめなく悲しくなってきて泣き出します――うわぁ〜〜んうわぁ〜〜ん!――もう自分では泣いてるんだか遠吠えしているんだか解らない!
稲守:私は出ないよ?
タロー:俺も。
オレオ:……じゃあ出てくる――けん太。
けん太:ビクッとしてから――なんだよ! また何か言いにきたのかよ! 嫌だ! もう悲しい事なんか聞きたくない!!
オレオ:人間変化して抱きしめる。
けん太:え?
オレオ:偽りの姿だけど、それでもお婆ちゃんに抱きしめられた時のようにけん太を撫でる。能力<すりすり>使用。相手の心をいろんなしがらみから解放して、楽にさせます。
けん太:じゃあ不思議と落ち着いて来て――お婆ちゃん……。
オレオ:けん太、良く聞いて。お婆ちゃんはキミを捨てたりなんかしてなかった。
けん太:え? 本当!?
オレオ:ゆっくり頷いて――でも、お婆ちゃんの身にもっと大変な事が起こってるの。このままだと……もしかしたら永遠に会えなくなるかもしれない。
けん太:永遠にって?
オレオ:ずっとずっと二度と会えなくなるって事。
けん太:嫌だ! そんなの嫌だよ!!
オレオ:ボクだってそれは嫌。だから、キミの力が必要なんだ。
けん太:……え? 僕の?
オレオ:キミが変化できるようになったのは、きっとお婆ちゃんの為。だから……一緒に行くよ。
けん太:行くって……どこに?
オレオ:山を……百年杉を見上げます。
けん太:じゃあ何かを察して――うん! わかった! ありがとうオレオさん!!
オレオ:ちょっと照れながら――別に、ボクだってヨモギお婆ちゃんは元気でいて欲しい、だから仕方なく手を貸してあげるんだ。わかった? 仕方なくなんだから。
けん太:うん♪ うん♪ わかったよ! ありがとう♪

◆お婆ちゃんの元へ

空が少しずつ赤く染まっていく。
もうすぐ夕方という時刻。
百年町の守り神、百年杉の木の下へ、少女は走ってやってきた。
GM:では若葉ちゃんが走って山を登ってきます。
稲守:完全人間状態で待ってます。
タロー:俺は尻尾と耳が出っ放しの状態で。
オレオ:ボクもけん太と一緒にいるよ? 猫耳&尻尾は出てる人間状態で。
GM:けん太は?
けん太:別に犬のまま。
GM:「稲守ちゃん、タローくん、オレオちゃん……それにけん太まで」――若葉ちゃんが到着します。
けん太:どうしよう……美味しい所持って行っちゃって良いかな?
稲守:構わないよ?
タロー:おう、任せる。
オレオ:好きにすれば。
けん太:じゃあ若葉ちゃんに向かって喋る!――若葉ちゃん、お婆ちゃんは……。
GM:それは[びっくり]するかな。
けん太:擦り寄って舐める。<だいじょうぶ>があるから[びっくり]は解除します。
GM:「けん太……」
けん太:若葉ちゃん……。
GM:「お父さんから連絡があってね……お婆ちゃん、病院にも戻ってないんだって……。お婆ちゃん、きのうの夜、病院を抜け出してから、どこにいるかわからないの……」――けん太をギュッと抱きしめます。
けん太:若葉ちゃん……僕、お婆ちゃんに会いたい。
GM:「けん太……うん。会いたい。若葉もお婆ちゃんに会いたい……会いたいよ。うわぁ〜〜ん」――泣き出します。
けん太:同じく泣き出す! そしてグズリながら3人の方を向いて――稲守さん、タローさん、オレオさん、3人はふしぎな力を持ってるんでしょ?
稲守:ええ、そうよ。
けん太:神様と同じなんだよね?
タロー:あたりまえだ!
けん太:お婆ちゃんを、お婆ちゃんを助けて! これ、僕の宝物をあげるから!!――と唯一残ってる首輪を器用に外して渡す。
稲守:それは……。
オレオ:けん太の首に戻します。
けん太:え?
オレオ:そんな物を貰ってもボク達は何も嬉しくない。これはキミがお婆ちゃんからもらったものなんだから、大切にするべきだ。
けん太:でも……だって僕、他に何も……。
オレオ:その代わり、お婆ちゃんが帰ってきたら、ここにたくさん新鮮な食べ物を持ってくるよう頼んでよね。けん太と若葉ちゃん、2人でさ。
GM:若葉はけん太の顔を見ます。
けん太:同じく若葉ちゃんの顔を見て、そして同時に――
若葉&けん太:『うんッ!!』
オレオ:2人の頭を撫でます。グシャグシャっと、ボクの笑顔が見られないように(笑)
タロー:まったく、オレオは素直じゃねーよな?
稲守:タローみたいに猪突猛進なのも困るけどね。
タロー:なんだと!?
稲守:さぁ! 話は決まったわ! さっそくヨモギお婆ちゃんを迎えに行きましょう! でもその前に……――と若葉ちゃんに近づきます。
GM:「???」
稲守:若葉ちゃん、私たちはこれから特別な道を使ってお婆ちゃんを迎えに行くの。でもその道は動物しか通る事ができない道なの。
GM:「え?」
稲守:だから、若葉ちゃんは家で待っててくれるかな? 私たちが、絶対にお婆ちゃんを助けてあげるから。
GM:「でも……」
稲守:特殊能力<うそつき>を使います――その道は人間がいたら使えないの。ごめんね。
GM:じゃあ騙されよう――「うん。わかった。若葉は家で待ってる。信じて待ってる!」――そう言うとけん太を放して山を下りていきます。
稲守:にっこり微笑んで見送りましょう。
タロー:なんだよ、別に若葉がいても問題ないだろう?
稲守:そんな事無いでしょ? これからは変化の時間、普通の子には刺激が強すぎるわ?
タロー:ふぅん。
けん太:ねぇ稲守さん、でも、どうやってお婆ちゃんを見つけるの?
稲守:ふふん♪ 私が何年ここにいると思っているの? オレオ、そろそろ集ってくる頃じゃない?
タロー:???
オレオ:ああ、なるほど。じゃあ特殊能力<おともだち>を使う。町中の猫が百年杉に集ってきて大合唱!
けん太:え、ええ、えええ!?
タロー:すげー!(笑)
オレオ:ふんふん……なるほど……ふんふんふん……うん、もう良いよ――猫達を解散させる。
稲守:ヨモギお婆ちゃんの場所は解った?
オレオ:うん……だけど、ちょっと遠いかな。
タロー:よし! それなら俺の出番だ!! <なんでもへんしん>使用!!
稲守:あ!(←ある事に気づいた) 駄目! それは危険(笑)
タロー:狸のバスになる!!!(一同大爆笑)
稲守:あああ(笑)
GM:ネタ、そのまんまじゃねーか(一同爆笑)
タロー:さぁ乗れ! 行き先は『ヨモギ婆ちゃん』だ!(笑)
皆を乗せてタローが走る。
風のように、雲のように。
空が……真っ赤に染まっていた。

◆タローは寂しがりやだから

「うう……さすがに山二つ越えるのは無理だったかねぇ……」

畦道のちょうど良い石によっこらしょと腰を下ろし、ヨモギお婆ちゃんは息をついた。
山向こうの病院から、一生懸命歩いてきたが、胸を締め付ける苦しみが足を引っ張る。

「こんなにも……弱っていたとはねぇ……いつもは、けん太がいてくれて気がつかなかったから……」

お爺さんが先に逝って、それからしばらく経っておばあさんは胸が苦しくなって病院に行った。
決して治らない病気じゃない。けれど手術は高齢のお婆ちゃんにとって危険でもあった。
それならいっそ、このままお爺さんの下へ……。
そんな風に思っていた矢先だった。
春先の冷たい雨の中、その小さな子犬を見つけたのは……――

「けん太……あんたきっと、寂しくって泣いてるだろうねぇ……」

あの日も、あの子犬は泣いていた。雨に濡れ震えながら、たった1人寂しそうに。

「大丈夫、お婆ちゃんが今行くからね……すぐに良い子良い子して撫でてあげるから……」

けん太が来てから胸の痛みはスッと引いて行った。
それから半年、お爺さんがいた時のように幸せな暮らしだった。
だから、息子夫婦が心配して来てくれた時も、その晩、急に苦しくなって病院に運ばれた時も、
自分は絶対に大丈夫だと思っていた。

――思った以上に、病床が悪化しています。今から手術しても五分五分、いや……――
医者は嘘つきだ、自分がけん太を残して死ぬわけが無い。
今も1人ぼっちのけん太は、あの雨の日のように泣いているに違いない。
だから……だから……――

けん太:お婆ちゃん!
GM:畦道にある岩に腰掛けて、そのまま頭を垂らしたヨモギお婆ちゃんが居ます。
けん太:お婆ちゃん!!!
GM:けん太の声が聞こえたのか、ゆっくりとお婆ちゃんの顔が上がります――「今、けん太の声が……したような……」
けん太:お婆ちゃん!!!!!
GM:ヨモギお婆ちゃんはけん太の方を見ます。
けん太:そこには人間変化した僕です。そんな僕が走って来て抱きつく!!!
タロー:おおっ!
GM:「おやまぁ……けん太、そんなに慌てて……どうしたの?」
オレオ:人の姿なのにけん太って!?
GM:お婆ちゃんだからです。
稲守:(うんうん……と頷いている)
けん太:お婆ちゃん、僕、僕頑張ったんだよ!?――相手に抱きついて安らぎを与える<なつく>使用。
GM:「おやおや、そんなに泣きはらして……」――お婆ちゃんの胸の痛みがスッなくなります。
けん太:グシグシやりながら泣いてる。
GM:お婆ちゃんはけん太を撫でてくれます――「大丈夫だよけん太、お婆ちゃんはどこにも行かないからね、1人で寂しい思いをさせてすまなかったねぇ」
けん太:本当? お婆ちゃんどこにも行かない?
GM:「ああ、本当だとも、もう突然いなくなったりなんかしないからねぇ……」
けん太:うん♪
稲守:本当に――と言いながら登場します――本当に、そう思っているんですか?
タロー:人間状態で俺も出よう。
オレオ:ボクも出る。
稲守:話は若葉ちゃんから聞きました。お婆ちゃん、手術を受けないと死んでしまうのでしょう? それなら、こんな所で油を売っている暇は無いと思います……。
GM:「だけどねぇ……病院にけん太は連れて行けないし、そうしたらけん太は1人ぼっちになってしまう。私も……1人ぼっちになってしまう」
けん太:お婆ちゃん……。
タロー:婆ちゃん、婆ちゃんの事を必要としているのはけん太だけじゃないんだぜ? 見てみろよ、今も若葉やその父ちゃんや母ちゃんは、必死で婆ちゃんを探している――と、<ゆめまぼろし>を使用! これは完全な幻覚だけど見破られません! これで若葉やその両親の必死の光景を婆ちゃんに見せる!
GM:「若葉……草太……それにすみれさんまで……」
タロー:もちろん、俺や稲守やオレオだって、婆ちゃんの事は大好きだ!
稲守:ここで私も<えんむすび>を使います。私たちの[つながり]が減っても良いから、若葉ちゃん達とお婆ちゃんの[つながり]を強めます――私たちの事は良いのよタロー。でも、お婆ちゃんを若葉ちゃん達が本気で心配しているのは嘘じゃないよ。
GM:「でも……」――けん太を見つめてお婆ちゃんは迷います。
オレオ:<こころのぞき>でお婆ちゃんが何に迷っているかを知りたい。
GM:『(でも……手術をして失敗したら、けん太を1人ぼっちにさせてしまう。けん太といると胸の痛みは治まるし、このまま手術を受けなくても……)』
オレオ:!? もしかして病気が悪化しているのに気がつかなかったのは……けん太の<なつく>とか<だいじょうぶ>の能力のせい?
稲守:それは……ありうる(笑)
けん太:僕のせい!?
オレオ:それを説明しよう――お婆ちゃん、お婆ちゃんの胸の痛みがやわらいでいるのは、けん太が特別な力を使っているから……でもそれは、あくまで……一時的な…………。
けん太:ええ!?――って顔でオレオさんを見る!
オレオ:ボク、嘘は付かないよ。
けん太:え、ええ、じゃ、じゃあ僕……。
GM:お婆ちゃんはけん太を優しく撫でてくれます――「おやおや、今までけん太が私の事を守ってくれてたんだねぇ……。大丈夫、病は気からって言ってねぇ、けん太が傍にいてくれたら、私の病気はすぐに良くなるんだよ?」
稲守:違う!! お婆ちゃんは何も解ってません! 手術なんてホンの数ヶ月の別れじゃないですか! その別れさえ乗り切れば、病気も治ってその先2年3年と、ずっとけん太と一緒にいれるのに! まるで……まるでお婆ちゃん、死ぬまでの間、ずっとけん太と一緒に居てあげるよって!!!――ちょっと涙溜まってます。
けん太:……お婆……ちゃん?
タロー:本当かよ!?――と驚いた顔する。
オレオ:<こころのぞき>でボクはそこまで解ってたから……何も言わない。
GM:ヨモギお婆ちゃんはジッと稲守を見つめてます。
稲守:私だって、毎日お婆ちゃんには会いたいけど、だけど、それでお婆ちゃんが病気で死んじゃうなんて、もっと嫌だ! 少しの間お別れがあったとしても、お婆ちゃんには元気になって戻って来てもらいたい!!
けん太:お婆ちゃん……ねぇ、本当なの? このまま一緒にいたら、お婆ちゃん……死んじゃうの?
GM:お婆ちゃんは心配するなと微笑むだけで、その問いに答えません。それが精一杯のお婆ちゃんの嘘なんでしょう。
けん太:稲守さんの言うこと……本当なんだね……。駄目! 駄目だよお婆ちゃん! ずっと一緒にいてくれるって言ったじゃん! 僕は我慢できるから! 風が吹いたって雨が降ったって泣いたりしない! ずっとお婆ちゃんの事待ってる!!
GM:「けん太……」
けん太:家で良い子にして待ってる! 知らない人が来たら吠えて追い返してやる! 何日だって、何ヶ月だって、僕はずっと待ってるから!! だから、だから元気になって……。
GM:「だけどけん太……それじゃあ……」
けん太:僕は大丈夫! だって……だって……お婆ちゃんは、いつも約束守ってくれたもん♪――泣きながら笑顔で。
GM:「でもねぇ、もしも……」
稲守:大丈夫ですよお婆ちゃん、お婆ちゃんの手術は絶対に成功します。この私が保証します!――<うそつき>使います。病は気からと言うのなら、これは効果があるはずです!
GM:「ふぅ……そうだねぇ、なんだか私もそんな気がしてきたよ。うん、わかった」
けん太:お婆ちゃん?
GM:「けん太、待っててね。少し長くなるかもしれないけど……お婆ちゃん、病院に行ってくるよ」
けん太:ずっと待ってるよ。みんなには僕がお野菜分けてあげるんだ。お爺ちゃんのお墓にも毎日僕が行ってくる。だから、必ず元気になって帰って来てね!
それから……――
百年町を見下ろす山の中、百年杉の木の下で、変化たちは今日も元気に遊んでいます。
稲守とタローは毎日のようにケンカをして、その様子を眠そうにオレオが見つめます。
木漏れ日の差す広場には、3匹の変化たちが今日も仲良く遊んでいます。 そして、百年町のある家の前。
玄関前の道路には、今日も今日とて1匹の犬が姿勢を正して座っています。
1匹の犬が……今日も明日も明後日も……――
ゆうやけこやけ
『けん太は寂しがりやだから』


◆感想

GM:4人ともお疲れ様でした!
一同:『お疲れ様でした〜!』
GM:では感想戦と行きましょうか。
稲守:すっごいアバウトですね(笑)
GM:基本は会話と物語優先な流れだからね、特殊能力の拡大解釈やなんかは有りで行きました。それに、その方が面白かったでしょう?
オレオ:うん、それはそう思う。
タロー:俺もそれで助かったぜ! やりたい事もやったしな!
稲守:あれはやり過ぎ(笑)
けん太:僕は[夢]を与えるのが面白かった! 最初は動物プレイでどうなるかと思ったけど、実は動物状態で遊んでいる時のほうが、たくさん貰ってたし。
タロー:たしかにけん太は犬状態の時のほうが「夢」を稼いでたよな。
稲守:私はダイスもカードも使わないのが良かったかなぁ……能力値の比べあいも大雑把で楽だし。
オレオ:いざとなったら[想い]を使えば良いしね。
タロー:逆に[ふしぎ]は真面目に使おうとすると駄目だな。GMじゃないけど、拡大解釈で無理して使った方が効果的だし盛り上がる。
GM:そうだねぇ、数値的にどうこうってゲームじゃないからかな。
稲守:確かに話しているだけで進むシステムだけど、たぶん動物を主軸においているのがミソだと思う。動物が主役で動き回るから、ほのぼの感が共有できると思うの。
けん太:それは有る。ぜったい殺伐とした状況にはしたくないし(笑)
オレオ:それを言うと、今日のシナリオはちょっと悲しい感じがしたのはボクだけ?
GM:何を言う、悲壮感こそ虚読じゃないのかね。
稲守:……嫌なテーマですね。
タロー:でも今日はじ〜んと来るほのぼのあったかだったさ! 良い話だった! 俺も好き勝手できたし!
GM:まぁ凄い限定されるけど、本気で「ほのぼのあったか」なストーリーを「会話」だけで紡ごうとしたら、このシステムはかなりピンポイントかもしれないね。
けん太:うん♪
GM:それじゃあ今日はこの辺で一端締めましょう。それでは皆さん、本当にお疲れ様でした!

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