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アラビアン・ダーク・ファンタジーRPG
ゲヘナ シナリオ2

『復讐者への囁き』

◆1.シナリオの適正

  このシナリオは総合術技レベル3〜4の享受者4〜5人を想定して作られています。
  プレイ時間は4時間程度です。

◆2.シナリオの概要

 舞台となるのはどこにでもある街です。村以上であれば構いません。その街では現在、「界螺」「鐘杏」「凌渦」の各紫杯連同士が抗争中です。PCは自分の所属する紫杯連から依頼を受けます。それは「この抗争の発端となった殺人事件の犯人を見つけ、また抗争が止まるよう立ち回って欲しい」との事です。

 街で起こっている抗争を調べていくと、紫杯連の享受者同士の争いの中、不可思議な爪痕も発見されていきます。そしてそれに伴う怪しい証言も……そして、この街で起こった抗争の裏に邪霊ニアーシュの企みがある事を暴き、街に平穏を取り戻すのができれば、このシナリオは達成です。

◆3.シナリオの舞台

  舞台となる街に固定した名前はありません。GMが好きに決めて下さい。この街には「界螺」「鐘杏」「凌渦」の3つの紫杯連支部がそれぞれあります。それ以外の設定は自由です。今回のシナリオでは街名をバナジウムと仮名します。また、今回のシナリオではPC達は「界螺」に所属していると仮定して進めます。

◆4.シナリオの背景

  街に1人の享受者が居ました。その男は常日頃から「他の紫杯連がなければ」と呟く癖があるほど、街の裏社会の独占を考えていた男です。男の名はファファド(PCが所属する紫杯連のメンバーです)、その後ファファドは路地裏で死体となって発見されます。その胸には突き立った一本の銘刀が……。その銘刀の持ち主は別の紫杯連の享受者であり。その紫杯連では3つめの紫杯連に仕組まれたのでは? との話が起こり、どこも信じない三つ巴の抗争に発展しました。

◆5.シナリオ本編

▼5−1.導入

  「バナジウムにある紫杯連から連絡があってな、お前達そこの奴等に協力してくれないか?」
  別の街の紫杯連から頼まれてPC達はバナジウムへとやってきます。到着するなりバナジウムはかなり荒廃した雰囲気になっています。時間があるようなら街に入った所で「凌渦」に雇われた傭兵享受者「赤翼の3姉妹」にケンカを売られてもいいでしょう。ただし、1ターン戦ったら、3姉妹は忠告だけして去って行きます。

 「この街の享受者で無いのなら、さっさと街を離れるんだね」

▼5−2.依頼

  「おお、やっと来てくれたか!」

  宿屋兼業の紫杯連支部に行くと、そこにはお店の主人であり、支部長であるお爺さん(非享受者)だけがぽつりといます。話を聞けばバナジウムで界螺の享受者が殺され、その犯人が鐘杏の享受者がやったという結論に至るも、鐘杏は濡れ衣だと反論、凌渦の仕業だと言い放って、そのまま三つ巴の抗争に発展。街では今までで10人以上の享受者が死んでいる。との事です。

  PC達は、この騒動の原因となった事件の真犯人を特定して欲しいとの依頼を受けます。
  報酬は1人5000D、危険手当として+1000Dまでなら払います。
  バナジウムの界螺では、すでに享受者は全員殺されており残っているのは一般構成員だけです。
  純粋な戦闘で役に立つのはPC達だけでしょう。

 また、影響力ルールを使う事は可能だとPCに伝えましょう。
 影響力ポイントを持ってない場合は各自2ポイントずつ使える事とします。

▼5−3.情報収集

 街で調べると以下の事がわかります。

 ・殺された享受者は街全体で10人ぐらい。
 ・傭兵の「赤翼の3姉妹」に気をつけた方が良い。今は鐘杏に雇われている。
 ・凌渦には享受者が5人ほど生き残っている。
 ・鐘杏にはすでに享受者の生き残りはいない。ただし雇った享受者の傭兵3人(赤翼の3姉妹)がいる。
 ・界螺(PCのいる紫杯連)の享受者で生き残りはいない。

 「殺害現場」
 ・いくつかあるが、そのうち幾つかは人間がやったとは思えない傷(壁が抉れていたり)がある。
 ・一番最初の現場で「魔物知識4/2」に成功した場合、人外の痕跡を発見する。
 ・付近にいた人物が「襲っていた殺人犯に腕が4本あった……」と言っている人物がいる。

 「赤翼の3姉妹」
 ・フリーの傭兵で3姉妹の堕天使暗殺士。
 ・前の街では袈唇に雇われていた。

   ※赤翼の3姉妹はミスリードです。
   が、街中で出会って再び戦闘となり、3姉妹のうち1人でも気絶させることができれば、
   「この街には邪霊の臭いがする…気をつけな」と情報をくれます。

 「影響力ルール」
 ・影響力ルールを使って調べて失敗した場合は、全て下っ端構成員が邪霊に殺されて失敗した事になります。
  殺された現場で現場検証をすれば、それが邪霊の仕業だとわかるでしょう。

 「怪しい人影」
 この情報はPCが「殺人を起して街の紫杯連を邪霊が混乱させようとしているのではないか?」と、
 邪霊について調べだした場合に与えられる情報です。
・数日前(最初の殺人)で死んだ男(ファファド)を見た。
・街外れの廃倉庫に入っていくのを見た。

■赤翼の3姉妹(マチ・ツーリ・ヌイヌイ)

  データは基本ルールブックの暗殺士の能力値に全て+2した状態です。

▼5−4.鐘杏・凌渦の妨害

  街を自分達で調べる場合、調べる事柄1つにつき1回、代表のPCに1D6を振ってもらい、その出目の結果が「6」だった場合、他の享受者に襲われます。鐘杏の場合は「赤翼の3姉妹」が襲ってきます。「凌渦」の場合は、基本ルールブックに載っているサンプルキャラクターを適当に出して下さい。

▼5−5.紫杯連崩壊

 影響力ルールを使っていた場合。その期を見て(GMの判断により)、下っ端が全員死亡したというイベントを起しても構いません。これは影響力ルールに失敗して調べていた構成員が死体となって発見されてから、起すべきでしょう。

 支部長であるお爺さんからPC達は全員呼び出され、目の前に1人7000Dが置かれます。もうバナジウムの構成員は長である自分と、PC達だけになってしまった。PC達はこの街に対して責任は無い。この金を受け取ってこのまま街を去っても構わない……とう言います。この意見を聞き入れ街を去る場合、このシナリオはこれで終了です。

 事件は最後まで解決するとPC達が言った場合、いくつか魔具を貸してくれます。(PCの強さによってGMが判断して下さい)

▼5−6.街外れの廃倉庫へ

 街外れの廃倉庫に昼間来ると、別段何もありません。人のいた痕跡は見つかりますが、食事の跡などの生活臭はまったくしません。
 夜中にやってくると、ボソボソと声が聞こえ、そこには闇に向かって語りかけるファファドがいます。
ファファドはすでに生気が無く、とても生きているようには見えません。

話し掛ける/もしくはファファドに気が付かれた場合、ファファドは「そっちから獲物が来るとは……」と言って腰の銘刀を抜きます。さらにファファドが話し掛けていた暗闇から、巨人の邪霊(ニアーシュ 基本ルールブックp160)が現れ、事件の真相を語って襲ってきます。

 話し掛けたり、気が付かれないように見ていると、ファファドは急に怯えだし――「や、やめてくれ! どうしてだ! また俺は死ぬのか!?」――闇から現れる邪霊ニアーシュに食い殺されます。ニアーシュはPC達の方を向き、隠れているのを見破ると出てくるように示唆します。その後、ニアーシュの目的を語りながら戦闘に入ります。

「疑心暗鬼にかられ、うまくこの街の享受者どもが同士討ちをしていたというのに……」
「このファファドという男は裏社会の支配欲が強くてな…利用したまでだ」

 ※ファファドに話し掛けたり、気が付かれた場合はファファドもニアーシュと並んでPCの敵となります。その際のファファドのデータは基本ルールブックのサンプルキャラクター「刀士」を使って下さい。

▼5−7.全てが終わって

 ニアーシュを倒し、界螺の支部長に連絡する事で今回の任務は終了します。

途中でこの街の界螺が崩壊しているかどうかで、この街のその後の勢力図は変わりますが、街に暮す一般の人々の平和は保たれます。報酬は依頼条件の通りに受け取って下さい。

◆6.成長ポイントと術技ポイント

 術技ポイント1点、成長ポイント5点を獲得できます。また、事件の真相を知ってニアーシュを倒していた場合、到達ポイントを1点与えて下さい。


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