アラビアン・ダーク・ファンタジーRPG ゲヘナ シナリオ4 『美食と悪食の街』 ◆1.シナリオの適正 このシナリオは総合術技レベル4〜5の享受者4〜5人を想定して作られています。プレイ時間は3〜4時間程度です。 ※注意 今回のリプレイでは残酷なシーンや気分を害するシーンがあります。 そのような事が苦手な方や心臓の弱い方は、これ以上読み進める事を推奨致しません。 ◆2.シナリオの概要 舞台となるのは美食の街と呼ばれるドータです。その街には幻鏡域が上空に浮かび、そこから珍しい食べ物や材料を得る事で潤っています。しかし、到達感覚に優れた享受者から見れば、非認識の呪いによって真実を隠された悪食の街です。なんせ人々が美味しいと言って食べている料理は材料に人間を使った料理だからです。PC達が調べれば、どうやらこの非認識の呪いを撒いている邪霊は幻鏡域の中にいるようです。PC達が幻鏡域へ突入し、非認識の呪いを制御している邪霊ザハビンガ(『人魔饗宴』)を倒せば、このシナリオは達成です。◆3.シナリオの舞台 舞台となるドータは最近有名になった街で、街の大きさに比べ紫杯連の影響力はあまりありません(今だに宿場町での紫杯連レベルに影響力です)。紫杯連に行ってもPCレベルに強い享受者はおらず、基本的に総合術技レベル2程度の初心者享受者が集まっています。なぜなら、幻鏡域に入るための護衛に選ばれる為だけに、この街で享受者になった者が多いからです。PCの所属はどこでも構いまえん。◆4.シナリオの背景 街に邪霊ザハビンガがやってきて幻鏡域が固定されます、しかしその幻鏡域では人を材料とした料理が自動生産される幻鏡域でした、邪霊は非認識の呪いでこの真実を隠し、街の人々は幻鏡域で発見される未知の料理に舌鼓を打ちます。そう、邪霊の目的は同族食いによる人間の堕落です。ザハビンガは配下を使って街の領主に取り入り、この街の噂を急速に広めました。さらなる堕落を広めるために。◆5.シナリオ本編 ▼5−1.導入 「ようこそ美食の街ドータへ! どうだい一ついかがかな?」PC達が旅の途中で訪れた美食の街ドータは最近幻鏡域が固定され有名になった街です。PCが街へ入ると、通りには屋台がずらりと立ち並び、たくさんの珍しい料理を勧められます。PCがその料理を食べようとした場合、到達ポイントを割り振っている点数のダイスを持ち4/1の判定をします。成功すれば、それが人間を使った料理だとわかります。ですが街の人々はそれが当たり前のように振る舞い気が付いていません。PC達はそれが非認識の呪いのせいだと気がついて構いません。 ▼5−2.依頼 「あんた達……そうか、真実が見えてしまったんだね……気の毒に」紫杯連に行くとやけに初心者の享受者ばかりが集まっています。その理由は、享受者になるのがここの幻鏡域に入る一番の近道だから…だそうです。この街で起こっている現状をこの街の紫杯連の代表に説明すると、代表は気の毒そうに話してくれます。 「この街は最近大きくなった街でね、非認識の呪いを打ち破れるだけの享受者はいない」 「あんた達には真実が見えるんだね。それならこの街はずいぶん居心地が悪かろう。気の毒にな」 「この街で非認識の呪いを御している邪霊がどこかにいるはずだ、探して倒してくれないか?」 報酬は1人10000Dです。 大変危険な依頼であり、PCのレベルによっては紫杯連から魔具を1人に1つ2つづつぐらい貸し与えてもいいでしょう。また、影響力ルールを使う事は可能だとPCに伝えましょう。影響力ポイントを持ってない場合は各自3ポイントずつ使える事とします。 ▼5−3.情報収集 街で情報収集をすると以下の事がわかります。さらに最初の通りで吟遊詩人の口を借りてフィサールの4行詩を聞く事ができます。1行目――1つの欲望は至高となった。 2行目――それは仮宿に究極をもたらした。 3行目――紅の背徳を望まぬものは、時を統べる紅の3翼を探せ。 4行目――偽りの過去と決別せよ。 4行詩をどう解釈するかはPCに任せますが、一応シナリオ作成時の意味を載せます。 1行目――街は幻鏡域から出る料理で有名になった。 2行目――それは人々の喜びに満ちだ街だが、邪霊が操る非認識の中の街でもある。 3行目――この街を認めぬ者は、3人の翼持つものを探せ。 4行目――それがこの非認識の呪いを解く鍵となるだろう。 「街のどこでも聞く噂」 ・邪霊につては誰もしらない。 ・赤い翼の堕天使3人が幻鏡域を見つけた最初の3人らしい。 ・3姉妹はショートカットが長女のマチ、ロングが次女のツーリ、三女がツインテールのヌイヌイ。 ・赤い3人は領主に幻鏡域を献上したらしい。つい最近の出来事。 ・幻鏡域に入る為には領主の息のかかった兵士と共に護衛(享受者)として入るしかない。 「享受者から聞ける情報」 ・チームを組んでいる享受者はこの街にはいない。 ・幻鏡域から帰ってくる時は必ず1〜3人に減っている。が、その異常さを異常と考える人は街にいない。 ・護衛の度に人数が減るのでチームを組んでもすぐに解散することになる。 ・幻鏡域に入る兵士の護衛任務……影響力で成功すればPC達に回す事も可能。 「赤翼の3姉妹」 ・フリーの傭兵で3姉妹の堕天使暗殺士。現在はドータ領主のハーレムの一員でもある。 ・前の街では袈唇に雇われていた。 ・幻鏡域を発見した功績により幻鏡域への出入りが自由である。 「領主の館」 ・領主の名前はドータ=ドータ3世。欲にまみれたクズである。 ・幻鏡域に入る許可はPCの誰かがハーレムに入るか、5万D払えば許可してくれる。 ・PCが訪ねた場合は赤翼の3姉妹は館にはいない。 ■赤翼の3姉妹(マチ・ツーリ・ヌイヌイ) データは基本ルールブックの暗殺士の能力値に全て+2した状態、そして≪暗殺術≫3Lvの【魔薬:業】の使い手です。武器は「袈唇の筒(煉獄彷徨)」であり、3人で連投します。▼5−4.幻鏡域侵入 幻鏡域につくと、赤翼の3姉妹はついさっき中へ入っていったと説明を受けます。さらに踏み込む寸前、どこからともなく4行詩が聞こえてきます。1行目――過去と現在が対峙する時。 2行目――命は死を覚悟するだろう。 3行目――常に前だけを見据える者は、 4行目――鋭きゲヘナへ誘われるだろう。 4行詩をどう解釈するかはPCに任せますが、一応シナリオ作成時の意味を載せます。 1行目――非認識にて誤魔化された街の真実を知る者が、その元凶と相対する時。 2行目――誰かしら死ぬかもしれぬ覚悟をした方がいい。 3行目――前方ばかり気にして後ろに注意を払っていない場合、 4行目――袈唇の針がその者を死へと誘うだろう。 ▼5−5.悪食の幻鏡 そこはどこまでも真っ暗な平地です。闇の霧に覆われているような感じです。前方に一つだけ明かりが見え、そこをまずは目指すべきだとは感じます。しかし、そこまで行くには<感覚鍛錬>4/2を5回成功させる必要があります。失敗した場合、その度にイベント表を1D6で振ります。イベント表―― 1〜3は無し、 4は美味しそうな料理を発見<精神抵抗>4/4に成功しない限り食べてしまう。 食べた後ショックで気力が−1D6される。 5は明らかにやばい料理を発見…しかし<精神抵抗>4/3に成功しない限りなぜか食べてしまう。 食べた後ショックで気力が−2D6される。 6は「モレクの蒸気人形(人魔饗宴)」の魔物が1体現れる。ただし両手はフォークとナイフになっており、背中には籠がついている。PC以外と一緒に幻鏡域に入った場合で、さらにそのNPCが途中で迷子になっていた場合、背中の籠の中に材料として入っている。イベント表で6が連続で出た場合、その両手には料理が乗っており、PCがその料理を食べる場合は戦闘をせず大人しく消えていく。 ▼5−6.ヒューマンミートファクトリー 明かりの元へ到着するとそこは工場である。工場の中ではベルトコンベアで運ばれる材料や、機械が材料を断裁、加熱、調理している。ここはGMの好みでダンジョンにしても良いし、ここまで来た時と同じ<鋭敏感覚>5回振りイベント表対応形式でやっても構わない。時間が無い時はいの一番に省略する場所。 ▼5−7.制御室での決闘 工場の中を進み最後に行き着くのは制御室です。部屋には1匹の巨大な魚が泳いでいます。見れば邪霊ザハビンガだと気が付きます。ザハビンガと多少会話をしてモチベーションを高めましょう。「同族を美味いと言って食う人間ども……見にくいと思わないか?」 戦闘に入る直前、PCが後ろを警戒してない場合、ランダムで一人を集中し「袈唇の針」が奇襲で刺さります。気が付けば後ろに赤翼の3姉妹がいます。ザハビンガは3姉妹に「よくやった」と言います。 戦闘に入ったらザハビンガは襲ってくる奴を優先的に攻撃し、3姉妹は1人が1人に集中するように袈唇の針を投げます。あまちに強いPCがいた場合は、そいつを集中して攻撃します。PCのレベルが低い場合は、3姉妹は誰か一人が落ちた時点で、その姉妹を他の姉妹が庇いながら逃走しだします。 ▼5−8.ドータ崩壊 邪霊ザハビンガを倒すと幻鏡域は崩壊を起こし、街から非認識の呪いが消えこの街はパニックに陥り、美食の街ドータは崩壊します。もっとも、被害がこれ以上広まらなかったので享受者としての報酬は依頼条件の通りに受け取る事が可能です。◆6.成長ポイントと術技ポイント 術技ポイント1点、成長ポイント5点を獲得できます。また、ザハビンガを倒してた、4行詩を聞いた……と到達ポイントを3点与えて下さい。 |