アラビアン・ダーク・ファンタジーRPG ゲヘナ シナリオ7 『血河の獄』 ◆1.シナリオの適正 このシナリオは獲得術儀ポイント10点〜14点の享受者4〜5人を想定して作られています。プレイ時間は3時間程度です。 ◆2.シナリオの概要 舞台となるのはゲヘナのとある獄『血河の獄』です。PC達はかつての仲間を反魂する為に、血河の獄へとやってきました。血河の獄には邪霊律がはびこっており、最奥には上級邪霊が待ち構えています。血河の獄の支配邪霊ザイナヴを倒した後、その手下である堕天使にここを去るか、自分達までも倒してから去るか選択を迫られます。PC達は無用の争いを避けてジャハンナムへと帰れば、取り戻してきた仲間は半年後に死亡してしまいます(邪霊の呪いです)。しかし、堕天使達に戦いを挑めば、仲間の魂は真なる救いへと導かれます。なぜなら、手下の堕天使こそ本物の邪霊ザイナヴだったからです。PC達にはヒントとして最後にフィサールの4行詞を聞かせるべきでしょう。ジャハンナムにPCが帰ってきた時、その先がバッドエンドかハッピーエンドか……それは決断しだいです。 ◆3.シナリオの舞台 舞台となる「血河の獄」とはジャハンナム東部の黒沙帯を抜けた先、ゲヘナの中にあります。表面上は大きな赤い川に見えますが、それは全て死者の血液によって出来ています。その深層では死者たちが永遠に血を抜き出され苦しんでいます。◆4.シナリオの背景 かつてPC達の仲間だった少女が、とある事件にて死亡してしまいます。PCのウチ誰からはこの少女と縁(血縁関係でも良いですし恋人同士でも構いません)があった方が良いです。彼女は夢でPCに「血河の獄」にいる事を伝えてきます。情報を得たPC達は辛い旅を続け、やっと血河の獄へとたどり着きました。※助けに行く少女は、このシナリオ中では「ラティ」と呼称します。 ◆5.シナリオ本編 ▼5−1.導入 基本的にPC達は血河の獄へともうすぐ到着する所です。ゲヘナへと入っているので、それまでの背景をPC達に共通意識として与えておきます。「4.シナリオ背景」を説明すると良いでしょう。ここで反魂するかつての仲間の名前や性格、年齢なども確定して置いたほうがいいです。少女と縁の深いPCの好みに合わせると良いでしょう。 必要なアイテムは最初から買っておいた方が良いです。護魂の壷などは必須です。 ▼5−2.血河の獄 血河の獄に近づくと、周囲の風にのって血の匂いが漂ってきます。見れば広大な河が広がっており、その水の色は真っ赤です。ここでPLには邪霊律を説明しましょう。・この血河の獄では1Lv邪霊律「滂沱の血流」が常に発動します。赤い水に触ると1回につき生命力と気力が 1D6/2(切り上げ)上限ごと減ります。表面部なら1時間に1度、中層部なら40分で1度、最深部では20分で1度判定を行う必要があります。 ・調べたり、別の獄房(部屋)に移動したりすると20分経つと考えます。 (1)赤い河(表面部) 青い肌をした子供の邪霊が体についた砂を河で洗っています。到達ポイントによって門が河の底に あるのが判ります。到達ポイントルールを適用していない場合は、<感覚鍛錬>4/2で解ります。 子供の邪霊はジャフトー(人魔p78)であり、その数は30匹です。 見つからずに門に到達するためには<隠密>4/1に成功する必要があります。 PCにうち、誰か1人でも失敗すればジャフトー達は獲物を見つけて襲ってきます。 河の底の門は(2)へ通じます。 ※門……<魔術知識>4/1で知っている事にしていいです。獄房を繋ぐ扉の事です。 (2)血の滲む沼(中層部) どろ沼である。踏み込むとズブリと足がはまって赤い水が染み出してくる(邪霊律「滂沱の血流」)。 死者が泥沼に埋められており、ギリギリ顔だけが出ており。死者の顔を踏んでいけば泥沼に足を 取られずに進む事が可能である。 門はいくら探しても見つからず、死者に話を聞くしか方法は無い。 ・死者の顔を踏んだ →(3)の扉を教えてくれる。壁に小さな青い髑髏が埋まっている。触ると転移。 ・死者の顔を踏んでない→(4)の扉を教えてくれる。壁に小さい赤い髑髏が埋まっている。触ると転移。 また、(3)の青い髑髏は獄卒の部屋に行くと教えてくれる。 (3)獄卒の部屋(中層部) 下級戦鬼が3匹いる。(人魔p86) →倒した後(2)に戻ると、獄卒を倒してくれてありがとうと死者達は喜ぶ。 (4)落下(中層部) ふいに足元が消え空中に放り出される。下から赤い羽根が舞い上がってくる。触れると羽に血を吸われる <軽業>4/5で、足りない分×5の装甲無視ダメージが入ります。 その後、自動的に(5)の獄房へ落下する。 (5)逆さの滝(中層部) 死者の山に落ちてノーダメージ。近くに滝が見えるがその滝は水の流れが逆で、赤い水が上空へ 上がって行っている。水は途中から赤い羽根に変わって上昇していく。 死者の上に落ちたが死者の下は真っ赤な河であり、死者たちが潰されて血を絞られているらしい。 <危険予知>4/3で中級戦鬼(5匹)がやってくるのがわかる。<隠密>4/1で成功すれば、 死体の中に隠れてやり過ごせる。死体は話かけて来ても良いが、門についてはドクロの門しかしらない。 <感覚鍛錬>で1成功ならドクロの門を発見→(深層部)へ続く門 2成功なら滝の裏に門を発見→(7)へ続く門 入る場合は<軽業>4/2失敗「滂沱の流血」 3成功なら赤河底に門を発見→(6)へ続く門 入る場合は「滂沱の流血」 ・滝の裏にいく場合、<軽業>4/2に失敗すると「滂沱の流血」 ・河底の扉に行くには、問答無用で「滂沱の流血」 (6)紅のシャワー(中層部) 赤い水のシャワーが常に降り注ぐ赤い靄のある部屋。 とっても官能的な気分にさせる雰囲気である。 シャワーを浴びている女がいるのがシルエット的にわかる。 常に赤い水がシャワーと流れている「滂沱の流血」 さらに邪霊律「惑いの香り」<自我>4/2、失敗すると女は裸でシャワーを浴びる。 男はシャワーの奥に見える女に向かって行く。 ※リプレイにおける女性のシルエット設定赤い翼の3姉妹堕天使3姉妹が浴びている。 ショートカットの美女はボーイッシュな感じ長女のマチ ロングな美女は引き締まった体に巨乳の次女のツーリ ロングだけど、ウェーブかかった髪なのが本当はツインテールの3女のヌイヌイ(←幼児体系) 欲望に負けたPCは「滂沱の流血」、男は3人のうち誰に行くかで趣味が……(笑) (7)ハーティアの拷問部屋(中層部) 細長い洞窟が続いている。奥の方から悲鳴と嗚咽が聞こえてくる。 「今度こそちゃんとやる」「やめてくれ」「次こそは必ず」 <危険予知>4/1に成功すれば安全圏から奥の部屋をのぞける。 ラミア1体(p170)とガールマプ(p195)が ハーティアに噛み付いたり、管を突き刺したりして 拷問している。常にハーティアの口からは赤き水が注ぎ込まれて、血が永遠に循環している。 そのまま引き返す分には見つからずにやりすごせる。 ※ハーティアはリプレイ上の設定なので、短発でやる場合はPCの設定に合わせるのも可。 ▼5−3.神殿(深層部) 厳かな感じの大理石作りな神殿がある。中へ入ると柱には血が滴り、足元の床は赤い水がくるぶしまで浸っている「滂沱の流血」。さらに邪霊律2Lv「囁きの思念」がこの神殿内では発動している事をPLには言う。神殿の最奥の祭壇まで行くと、そこに真っ白い服を着たラティが吊り下げられている。黒い翼が対照的だ。 ラティの元へ行こうとするとでっぷりと太った象アザラシのような男が、上空から降ってくる。 「我こそはザイナヴなり、よくものこのこ来たものだ……が、余興には十分……」 ――とどこからともなく飛んできた管が3本、ラティの首に突き刺さり、そこからドクドクと血が流れ出す。ラティの白い服がみるみるうちに赤く染まっていく。 ザイナヴ(象アザラシ)――人魔p86の中級戦鬼のデータ流用。 ただし移動は転移で後列にも即攻撃可能。また強さ評価は11としてカウンターは得意とする。 生命力を140にしておく事。 特殊能力で【吸血流】というものがある。足元の赤い水が各自の血液を吸血します。全員<肉体抵抗>4/2。抵抗に失敗したら10点。成功したら5点のダメージが入ります。これは毎ラウンド自動的に発動します。 ※PCに<魔物知識>された場合、詳しいデータは明かせないが強さ評価は11だと説明しましょう。 ▼5−4.最後の四行詩 象アザラシを倒し、ラティの管を抜いて助け起す。ぐったりとしたラティだがその口から歌うような声が漏れる。フィサールの4行詩である。 1行目――神を断つ者が、ゲヘナへと降り立つ時、 2行目――堕天使は一時の安らぎを得るだろう。 3行目――そして虚構なる翼と、本当の戦いを終らせるならば、 4行目――世界は汝が物となり、堕天使は真なる安らぎを得るだろう。 4行詩をどう解釈するかはPCに任せますが、一応シナリオ作成時の意味を載せます。 1行目――邪霊を滅ぼす者が獄へとやって来て、 2行目――獄に囚われた少女は、一時的に助けられるだろう。 3行目――そして本当のザイナヴを倒す事ができたならば、 4行目――獄は解放され、少女に本当の救済が訪れるであろう。 ▼5−5.赤い翼の3姉妹 ザイナヴを倒し、四行詩を聞いたところで神殿のどこからともなく、3姉妹の堕天使が降りてきます。マチ「まさかザイナヴ様を倒すとはね。最初にあった時からは比べ物にならないくらい成長したのね」 ツーリ「……素直に関心しておく」 ヌイヌイ「ザイナヴ様を倒しちゃうなんておもわなかったよ♪ 偉い偉い♪」 マチ「さて、これからどうするのかな? 大人しく帰るなら何もしないよ」 ツーリ「正直、そこまでの実力者……こちらも無傷ではいられないだろうしな」 ヌイヌイ「遊んでもいいけどぉ、ザイナヴ様もやられちゃったしあんまり戦いたくないなぁ」 マチ「正直、キミ等は多少気に入っている、この獄を出てからキミ達がどうするかも気になるしね」 ここでGMは決断を迫ります。それは―― 「このままジャハンナムへ帰るか」 「本当のザイナヴを見つけ戦いを挑むか」 ――です。 このまま返った場合、ラティの命は半年で尽きます。これはジャハンナムへ帰った時点でPC達が解って構いません(解る方法は、到達ポイントでも、邪霊ザイナヴの使いが教えに来たでも、四行詩でも良いです) 本当のザイナヴに戦いを挑む場合は、5−6「3つ首竜ザイナヴ」へ。 ▼5−6.3つ首竜ザイナヴ マチ、ツーリ、ヌイヌイが合体して3つ首、3対6枚の翼、赤い龍へと変身します。データはp204のヒドラを基本的に使用しますが、いくつか変更点があります。・生命力は300点とする。 ・複数攻撃は3人まで、ただし射程は周囲30m。 ・炎のブレスの射程と範囲は周囲一帯の全体攻撃として扱う。 ◆6.成長ポイントと術技ポイント 以下の条件をクリアしているものにチェックをつけ、その合計分だけポイントを渡して下さい。▼ニセモノのザイナヴに勝った:成長ポイント5。 ▼本物のザイナヴに勝った:術技ポイント1、獄を潰した事になるので堕落ポイントを3点消去。 ▼反魂を成功させた:術技ポイント1。 ※少女が半年の命となる場合でも反魂さえ成功していれば良いとします。 ◆7.キャンペーンの展開 ◆本当のザイナヴと戦わず、ジャハンナムへ帰った場合にのみ、新しい展開があります。 それは、半年というタイムリミットまでに、本当のザイナヴを見つけて倒す。または少女にかかった呪いを解く方法を探して旅にでる……などが上げられます。 このシナリオは獲得術儀ポイント9点〜12点の享受者4〜5人を想定して作られています。 プレイ時間は4〜5時間程度です。 |