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第六猟兵TRPG
シナリオ

第六猟兵TRPG(1)ダークセイヴァ―・シナリオ
『星に願いを』



■シナリオの概要

 モンストロの街は森に囲まれた平和な街だった。
 その街の領主の娘ビスキィは、外の世界を知らずある日、偶然森の外へと出てしまう。
 外の世界で魔獣に襲われるビスキィ、それを救ったのは猟兵達だった。
 その後、猟兵達はビスキィをモンストロの街へ無事届ける事に……。

 数日後、再び猟兵達の元に依頼が出る。
 それはモンストロへ攻め込もうとしているファウルフェローという吸血鬼の一味だった。
 猟兵達はモンストロ領内にてファウルフェロー一味を待ち伏せ迎撃する事に。

 3度目の依頼、猟兵達はとある地で人間狩りにあった人々を助けるべく依頼を受ける。
 しかし連れ去られた先はモンストロの街、平和な南西東地区と違い、街の人々が知らない北区にて、連れ去れてた人々は守護の森を強化する為の生け贄にされていたのだった。
 猟兵達は北区を取り仕切るオブリビオン、コーチマンを倒し人々を救出する。最期にグリモア猟兵から猟兵達に相談がある。このままモンストロを放置すれば罪も無い人々が誘拐され続けるだろう。それを取り仕切っているのはビスキィの祖父であり、モンストロの領主、ゼペット……。

 ゼペットを倒せば人々の誘拐事件は止まる、だが、ゼペットの力により守られていたモンストロの街は守護を失い、他の吸血鬼に目を付けられればひとたまりもなくなるだろう……グリモア猟兵は猟兵達に選択を促す、ゼペットを倒すか、見逃すか……。

 猟兵達は決断し、または決断する為にゼペットへと迫る。
 だが、そこで告げられた言葉は予想外の一言だった。
「儂にはもう、人間を誘拐する術はない……」
 それを信じるか否か、その上でどう判断するか……猟兵達の決断は。

■シナリオの背景

 オブリビオンである吸血鬼ゼペットには娘として可愛がるキオという少女の吸血鬼がいた。しかしキオは当時の吸血鬼同士の争いに巻き込まれ殺されてしまう。ゼペットは吸血鬼同士の争いに嫌気がさし隠居を決意……それから数十年後、ゼペットは打ち捨てられた陶器人形(ビスクドール)を見つける。それは愛娘のキオにそっくりであった。ゼペットはその人形に命を吹き込みビスキィと名付け育てる事にする。

だが、吸血鬼として育てればキオの二の舞になるのではと思ったゼペットは、ビスキィを人間として育てる事にする。そして、育て初めて数年……ゼペットは理解する、人形はどこまで行っても人形なのだ、と。しかしゼペットはそこで諦めなかった。それなら人間よりも人間らしく育てれば良い、と新たに決意したのだ。

 そうして作られたのがモンストロの街だった。人間達の街を結界の森で守り、かつて吸血鬼が世界を支配する前の平和と安定をモンストロの街に与え、その領主として自身が君臨し、街が大きくなった事を確かめてより、ゼペットは満を持してビスキィを領主の娘として街の人々と交流させた。

 街を大きくするのに数十年の年月がかかったが、その結果、ゼペットの思惑は成功した。ビスキィは人々と交流する事で、より人間らしく、人間よりも人間に近い存在へと変化して行ったのだ。

■ステージセッティング

●世界観説明<ダークセイヴァ―>
 ダークセイヴァ―、この世界は異端の神や吸血鬼に支配され、夜と闇に覆い尽くされた中世のような世界。 人類は百年ほど前に蘇ったヴァンパイア(オブリビオン)に敗北し、今や彼らの完全な支配下にあります。 世界は既にオブリビオンのものであり、ヴァンパイア達は次々と仲間のオブリビオンを呼び寄せ、世界の破滅を進めています。村や領地では圧政が敷かれ、荒野や森林と言った辺境は魔獣の領土と化しています。 人々の移動手段は馬や馬車で通信手段はありません。吟遊詩人や行商人からの風聞のみ。 武器はマスケット銃までが発明されていますが、一般住民は農具程度が関の山です。 世界の人々は未だ猟兵の存在を知らず、絶望の日々を送っています。

●キャラクターの作成
▼PC@ ダークセイヴァ―出身、猟兵として目覚めたばかりのキャラクター。
     <アクシスコード:幼馴染みの夢を叶える>
▼PCA ダークセイヴァ―出身、猟兵だがグリモアベースを知らず世界を放浪中。
     <アクシスコード:オブリビオンへ復讐する>
▼PCB 猟兵として他世界でいくつもの事件を解決した事がある。
     <アクシスコード:目の前の1人を見捨てない>
▼PCC 猟兵として他世界でいくつもの事件を解決した事がある。
     <アクシスコード:大勢を救うためには犠牲は厭わない>

キャラクターの名前を決定し、各々自己紹介をして貰います。

■アクシスコード

●PC@ 出身世界:ダークセイヴァ―(猟兵として章の途中で目覚める予定)

 キミが生まれたモンストロという街は、結界の森に囲まれた平和な街だった。
 そこでキミはビスキィという少女と出会った。
 彼女は領主の娘だったが、分け隔て無く街の人々と接し、またキミとも気が合った。
 だが、彼女は時々悲しい顔をする。
 それはいつも決まって暗く光りの無い夜空を見上げ、何かを祈った後にする顔だった。
「かつて夜空には星という煌めきが見えたのよ。そして昔の人はその星に願い事をしたの」
「そんなお伽噺……あなたは信じないかな? でも私、それを信じてでも叶えたいの……
 いつか、もっと、外の世界を見てみたいって」
<アクシスコード:幼馴染みの夢を叶える>



●PCA 出身世界:ダークセイヴァ―(猟兵の力に目覚めてダークセイヴァ―世界を放浪中)

 キミの育った村はダークセイヴァ―では良くある不幸に見舞われた。
 つまり、吸血鬼による人狩り。
 キミの村を襲った吸血鬼はコーチマン赤ッ鼻の巨漢だった。
 コーチマンは村人達を強引に連れ去り、どこへともなく去って行った。
 キミは運良くその人狩りから免れ、やがて力に目覚め猟兵となった。
 今なら解る。ダークセイヴァ―でキミのような目に会う人々は決して少なくないのだと。
 憎しみと復讐の念と共にキミはコーチマンの言葉を今だに忘れない。
「さぁ、人間たちよ喜ぶがいい!
 このコーチマンが自らお前達をプレジャーアイランドに招待してやるんだからなぁ!」
<アクシスコード:オブリビオンへ復讐する>



●PCB 出身世界:自由

 設定は自由。猟兵として他世界の事件をいくつか解決した事がある。
<アクシスコード:目の前の1人を見捨てない>



●PCC 出身世界:自由

 設定は自由。猟兵として他世界の事件をいくつか解決した事がある。
<アクシスコード:大勢を救うためには犠牲は厭わない>

■主要人物紹介

●ビスキィ
「……私、もっと外の世界を見てみたいんだ」

▼シナリオにおける立場と経歴、そして秘密
 モンストロの街の領主ゼペットの愛娘。街の人々とも分け隔て無く仲良くする少女。
 天真爛漫で常に前向きだが、時折寂しそうな一面を見せる。
 PC@の事は「秘めた恋心」的に気に入っている。
 実はゼペットの魔術で命を吹き込まれた人形(ビスクドール)である。

▼外見、ロールプレイ、人称
 外見は15歳前後、プラチナブランドのロングヘア。お嬢様らしい服装。
 自分の事は「私」、他人の事は「〜さん、〜君」、ゼペットは「お爺様」、
 ゼペットの配下は呼び捨てにする。

▼元ネタ
 陶器人形(ビスクドール)から名付けられた。

●老王ゼペット
「この街はビスキィの為に作ったビスキィの為の物、何人たりとも儂の邪魔はさせん」

▼シナリオにおける立場と経歴、そして秘密
 モンストロの街の領主ゼペット、オブリビオンの老吸血鬼である。
 普段は領主の館の玉座にフード付きローブを着て肩肘を付いて座っている。
 人間より人間らしくビスキィを育てる為、モンストロの街を維持している。
 街の北区は街の人々が入れない貴族街としているが、実は外の世界から連れてきた人間達を守護の森を強化する生け贄にしする儀式場として使っている。
 かつてダークセイヴァ―を支配する戦いの際には猛威を振るった大吸血鬼だが、
 100年の禁血飲生活でだいぶその力は減衰し、今では玉座に座りっぱなしである。

▼外見、ロールプレイ、人称
 外見80歳。白い髭だらけの老人。フードを降ろしたローブ姿。
 自分の事は「儂」、他人の事は「呼び捨て」。

▼ユーベルコード
POW≪操り人形の舞台(マチオネット・サーカス)≫
 【敵の放つユーベルコードを吸収する両手】から【他人を操る事が出来る糸】を放ち、
 【同士討ちさせ、そのダメージ】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD≪操り人形の心の真実(マリオネット・トゥルーマインド)≫
 質問と共に【拘束を解除しても毒が残る拘束糸】を放ち、
 命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。
 簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ≪操り人形に命を(マリオネット・ソーマ)≫
 自身からレベルm半径内の無機物を【自身の命を分け与えた自立した生物(達)】
 に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

▼元ネタ
 人形操りのゼペット。ピノキオ。

●衛士長ジミニー・クリケット
「この街を守ること、ビスキィ様を守る事、それが私の使命ですから」

▼シナリオにおける立場と経歴、そして秘密
 領主ゼペットの配下オブリビオン。タクシードを着た執事の恰好をしている。
 ゼペットに恩義があるような素振りで行動しているが、
 実際にはゼペットの力に圧倒され従っている。下克上する気は無くしている。
 恩があるから従っているようにする事で自身のプライドを保っている。
 人間に興味は無いがゼペットの思惑を誰より理解しておりその邪魔は誰にもさせない。

▼外見、ロールプレイ、人称
 外見40代。銀髪のオールバック。タクシードを着てと傘を常に持っている。  自分の事は「わたくし」、他人の事は誰であれ「〜様」。
 ただし自分以外のゼペットの配下は呼び捨てにする。

▼ユーベルコード
POW≪吸血蟋蟀(グラスホッパー・ヴァンパイア)≫
 【ユーベルコードを反射するバリアを貼る】事で、
 【本性たるキリギリスと吸血鬼が混じった姿】に変身し、
 スピード反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまえ毎秒寿命を削る。
SPD≪働き者の蟋蟀(ワーキング・グラスホッパー)≫
 自身の身体部位ひとつを【何でも食らう無数のキリギリスの群れ】に変異させ、
 その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ≪傘剣術(アンブレラ・ソードスキル)≫
 【傘を剣に見立てた剣術を使い、傘】で攻撃する。
 また、攻撃が命中した敵の【持つユーベルコード】を覚え、
 同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。

▼感情
<ゼペット:脅威><自身:プライド>

▼元ネタ
 ジミニー・クリケット。貧乏コオロギ、タキシードとシルクハットと傘の紳士。

●奴隷商コーチマン
「プレジャー・アイランドにご招待だ! 幸せの街に行けるたぁ嬉しいよなぁ?」

▼シナリオにおける立場と経歴、そして秘密
 領主ゼペットの配下オブリビオン。赤っ鼻の巨漢。
 ゼペットの力には心酔しているが、ゼペットの思惑はよく分かっていない。  ただ人間を誘拐してきて生け贄にするのは楽しく、自身の享楽の為にやっている。

▼外見、ロールプレイ、人称
 外見50代の赤ッ鼻の巨漢。赤のダブルのスーツに青いスカーフ。
 自分の事は「オレ様」(上位の者の前では私)、
 他人の事は呼び捨てだが、自分より上位の者には「〜様」とする。

▼ユーベルコード
POW≪我が命に従え(コーチマン・ドンキー)≫
 【指さした相手をロバに変え、自動追尾の鞭】が命中した対象にルールを宣告し、
 破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD≪我が拳にひれ伏せ(コーチマン・ジャイアント)≫
 【殺意】を向けた対象に、【巨人化し鋼の肉体と化した肉弾戦】でダメージを与える。
 命中率が高い。
WIS≪我が奴隷達よ蘇れ(コーチマン・スレイブ)≫
 自身が戦闘で瀕死になると【自身が攫った奴隷人間達の亡霊達】が召喚される。
 それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で闘う。

▼元ネタ
 コーチマン。プレジャーアイランドに子供を攫う奴隷商。

●魔獣使いストロンボリ
「魔獣達、ヤツを捕まえろ! これでオデ、褒められる」

▼シナリオにおける立場と経歴、そして秘密
 領主ゼペットの配下オブリビオン。ひょろ長い細身の男。頭は禿げ、髭はもじゃもじゃ。
 ゼペットの配下に居れば生き延びられると従っている。ゼペットの思惑は解っていない。
 人間を弄ぶのは好きだが、何より自身の保身と命が大事。
 森の外側を巡回し、森の結界では防げない強力なオブリビオンがモンストロの人々を狙ってやって来た場合、ゼペットやジミニーに報告する役目を担う(結果、そのようなオブリビオンは森の中でジミニーによって迎撃される)。それ以外は自由に生きている。
 武器はロープ付きのトゲトゲの首輪。

▼外見、ロールプレイ、人称
 外見50代、ひょろ長い細身。頭は禿げているが黒い髭はもじゃもじゃ。しゃべりはたどたどしい。  自分の事は「オデ」、他人の事は呼び捨てだが、自分より上位の者には「〜様」とする。

▼ユーベルコード
POW≪愛騎召喚(カモン・ピポポタマス)≫
 自身の身長の2倍の【更に倍の大きさの凶暴なカバ】を召喚し騎乗する。
 互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD≪調教師の一括(スィットダウン)≫
 【聞いた者は跪く(伏せする)大声】を放ち、
 自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIS≪見えない魔獣(ステルス・ゴーサイン)≫
 自身と自身の装備、【秘密裏に対象を攻撃するよう放った魔獣】対象1体が透明になる。
 ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。

▼元ネタ
 ストロンボリ。人形一座の親方。

●キオ
「………………」

▼シナリオにおける立場と経歴、そして秘密
 ゼペットに子供として愛された少女の吸血鬼。100年以上前、吸血鬼同士の権力争いに巻き込まれて死亡している。モンストロの街の北地の中心に墓がある。
 歌が好きだったらしい。星に願いを、の歌はキオの部屋に歌詞があった。

▼外見、ロールプレイ、人称
 外見はビスキィとそっくりな少女だったらしい。

▼元ネタ
 ピノッキオ。

●ファウルフェロー伯爵
「さぁ新たな領地を開拓するとしましょう。この夜の全ては我が輩の物!」

▼シナリオにおける立場と経歴、そして秘密
 別の領地のオブリビオン吸血鬼、伯爵を名乗っている。
 自身の領地拡大を主な活動としている。
 部下がモンストロの森を発見し、森の中に人間がいるが森が邪魔するとの報を受け、自身が手勢を連れて攻略にやって来た。
 自称正直者で領民は大切にすると嘘吹き、継ぎ接ぎだらけのスーツを着ている。
 嘘が大好きで誰かを騙すのはもっと好きな悪党。

▼外見、ロールプレイ、人称
 外見30代の細身の男。ボロボロのツギハギだらけのスーツを着て、葉巻が好き。
 自分の事は「我が輩」、他人の事は「〜君」、ですます口調で話す。

▼ユーベルコード
POW≪傍に寄り添う煙の相棒(スタンド・スモーク)≫
 【敵対者を毒で蝕む煙を吐き、その煙の動きで】対象の攻撃を予測し、回避する。
SPD≪嘘ついても針千本飲ます(レイニー・サウザンドニードル)≫
 【嘘に対する苛立ち】の感情を与える事に成功した対象に、
 召喚した【千本の針達を雨のように降らせて】から、
 高命中力の【千本の滝のように飛来する針達】を飛ばす
WIS≪真実となる嘘(トゥルー←フェイク)≫
 【嘘が真実となる言霊】を放ち、
 自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

▼元ネタ
 ハーネスト・ジョン・ワシントン・ファウルフェロー。正直ジョン(オネスト・ジョン)を名乗る詐欺師の狐。ぼろぼろスーツに葉巻。

●ギデオン
「ファウルフェロー様ぁ、ボクァ、役に立ちましたでしょうかぁ〜」

▼シナリオにおける立場と経歴、そして秘密
 ファウルフェロー伯爵の右腕オブリビオン。
 猫の魔獣。酒好き。二足歩行のブサ猫がボロボロのスーツを着ている。
 ファウルフェロー伯爵の事を主人と認識し、伯爵の命なら命も捨てる。
 酒が大好きでいつも半分酔っ払っている。口調も間延びしている。  酒以外に自主性はあまりない。

▼外見、ロールプレイ、人称
 外見ブサ猫の顔した二足歩行の魔獣。ボロボロのスーツ(ファウルフェローのお下がり)を着ている。いつも酔っており、もちろんお酒が大好き。
 自分の事は「ボクァ〜」、他人の事は呼び捨て、ファウルフェローのみ様付け。

▼ユーベルコード
POW≪化猫化(クリーピー・キャット)≫
 【全ての不利な効果を解除し、本来の姿】に覚醒して
 【両手の爪と牙で3回攻撃する猫の怪物】に変身し、
 戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD≪無敵玉(アンブレイカブル・ボール)≫
 自身の肉体を【どんな妨害も無効化し直進する肉の弾丸】に変え、
 レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIS≪火吹酒(ドランク・ファイアー)≫
 【口から吐き出した「燃える酒」】が命中した対象を燃やす。
 放たれた【酩酊感を与える燃える酒の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。

▼元ネタ
 ファウルフェローの相棒の猫。酒好き。

■その他紹介

◆モンストロ
 ゼペットが守護する森の中にある平和な街。
 住人は約1000人ほどおり、ダークセイヴァ―の世界では異様に大きな街である。
 (この世界では数十人規模の村が点在するのが基本のため)
 街の中央には領主の居城があり、その居城を中心にぐるりと大通りがある。
 大通りには屋台などが並びいつも賑わっている。

 街の南側は農地となっており、住民の大半は昼間はそこで働いている。
 街の西側は職人区外で職人の工房やお店が多い、住居も普通にある。
 街の東側は居住区であり人々の住居が並んでいる。
 街の北側は東西のどちらからも高い壁とその向こうの貴族の高層住宅で何があるか不明。

 街の人々は北側は貴族が悠々と屋敷を立てて暮らしていると思っている。
 だが、実は北区は高層住宅は壁際のみで、すぐに牧草地帯になっている。
 牧草地帯にはロバが放し飼いになっており、中央にはぽつんと墓(キオの墓)がある。
 ちなみに放し飼いになっているロバはいずれ生け贄となる誘拐された人間が変化させられている姿である(コーチマンのユーベルコードでロバに変えられ飼われているのだ)。

◆プレジャーアイランド
 コーチマンがモンストロに連れて行く際に言う国の別称。
 実際にはモンストロの北区の事で、連れてこられた人間はロバに変えられる。

◆ブルー・フェアリー
 人形に命を吹き込み人間にすると言われる伝説の妖精。
 モンストロの街やゼペットが知る伝説の存在。アドリブで存在している事にしても可。
 シナリオ上は登場しないが掛け合い台詞で使うと元ネタ的にカッコイイ。

■シナリオ本編

●キャンペーン『星に願いを』
 ※冒頭1〜7は、通常のTRPGのようにプレイしても良いし、箇条書きの情報として口頭で簡略化した情報のみをPLに伝えても良い。もちろん、前者の方が感情移入は深くなるだろうが、セッション時間等と相談した方が良いだろう。

◆冒頭1:幼なじみの少女(PC@)
 今から数年前、キミはまだ外の世界を知らず生まれ故郷のモンストロの街で平和に暮らしていた。両親は工房を持つ職人(何職人かはお任せ)だが、結界の森に囲まれたモンストロでの暮らしは、キミにとって多少退屈なぐらいだった。
 だからだろうか、危険だと言われていた森に入ってしまったのは……。

 ガササッ、暗い森の中で音がした。
 出てきたのはネズミだ、すぐにいなくなった。
 ガサッ、再びの音。
 振り向けば牙の伸びた猪だった。
 危機一髪の所で何かが投げられ(バスケット籠だ)、猪が意識を逸らす。
 キミの手を誰かが掴んで走る。
「早く! 走って!!!」
 必死に走って街の農地部分、森を抜けた所で2人は倒れる。

「何、やってる、のよ……」
「こんな所で、私は死なないわ、だって、夢をまだ、叶えてないんだもの」
 ゴロンと転がりビスキィは夜空を見上げる。
 この世界は闇が支配している、夜の空に星が出る事は滅多になく、今夜も真っ暗だ。
 しかし、そんな夜空にビスキィは祈る。
 そして決まって悲しげな顔をするのだ。
「空にはきっと星があるんだ、今は見えないけどさ……」
「お星様にお願い事するのって子供っぽいかな?
 PC@には言っても良いかな……私、もっと外の世界を見てみたいんだ」
「叶えてくれる?」
「約束だよ」

<アクシスコード:幼馴染みの夢を叶える>

◆冒頭2:良くある不幸(PCA)
 キミの育った村はダークセイヴァ―では良くある不幸に見舞われた。
 つまり、吸血鬼による人狩り。
「PCA、●●(妹がいれば)はそこに隠れてなさい!」
 キミの村を襲った吸血鬼は赤ッ鼻の巨漢だった。
 鞭で人々を叩きながら、強引に村人達を鉄格子の馬車へと乗せる。
「おお、まだこんな所に居たか! 入れ、子供の方が良い贄になるだろう!」
「あん? もう入りきれない? なら邪魔な大人を間引くとするか!」
 コーチマンは村人達を強引に連れ去り、どこへともなく去って行った。
 やがて村は静かになり、キミは隠れていた場所から出てきて、そして知る。
 きみの両親が間引きと称して殺された事に。

 あれから数年が経った、キミは力に目覚め吸血鬼や魔獣と戦えるようになった。
 今なら解る。ダークセイヴァ―でキミのような目に会う人々は決して少なくないのだと。
 憎しみと復讐の念と共にキミはコーチマンの言葉を今だに忘れない。
「さぁ、人間たちよ喜ぶがいい!
 このコーチマンが自らお前達をプレジャーアイランドに招待してやるんだからなぁ!」

<アクシスコード:オブリビオンへ復讐する>

◆冒頭3:逡巡の過去(PCB)
 何かしら選択を突きつけられ、それに迷った結果、目の前の1人すら助けることができなかった。そんな過去のシーン。

 <アクシスコード:目の前の1人を見捨てない>

◆冒頭4:選択の過去(PCC)
 何かしらの選択を決断した結果、大勢を犠牲にする事になった。あの時の選択を間違えなければ、その大勢は助かっていたはず。今でも夢にみる。

 <アクシスコード:大勢を救うためには犠牲は厭わない>

◆冒頭5:任務(PCBとPCC)
 グリモアベース、グリモア猟兵から依頼の説明。
 ダークセイヴァ―で魔獣を率いた人型オブリビオンが現地の少女を襲っている予知を見た。
 だが、たったそれだけの予知なので、2人で十分だと思う。
 それと、事件現場の付近で猟兵の力に目覚めている現地の戦士がいる。
 今はまだダークセイヴァ―内で吸血鬼狩りや魔獣狩りにしか力を使っていないようだが、
 できればその力は多くの世界の人々が必要としている事を伝え、勧誘して欲しいと言う。
 現地の少女をオブリビオンから救い、猟兵の力に覚醒した現地の戦士を勧誘して欲しい。
 御願いしますとグリモア猟兵は頭を下げる。
 猟兵達が依頼を了承すると、グリモアベースの背景がダークセイヴァ―のそれに変わり、
 2人の足下が光り、PCBとPCCはダークセイヴァ―の世界へと転移するのだった。

◆冒頭6:勧誘(PCA→PCBとPCC)
 PCA、キミの足下には【宵闇の獣】と呼ばれる魔獣が1体転がっている。
 もちろん、キミがやったものだ。
 妹を捜す旅の途中、襲ってきたので返り討ちにしたのだ。
 ダイスを振らせて50以上なら怪我をした事に。
 そこにPCBとCを登場させる。BとCはPCAが1体の魔獣を倒したのを遠目で見ていた事にして良い。どうやら彼(彼女)がグリモア猟兵の言っていた覚醒者だろう。
 ある程度勧誘話をした所で一端話を切る。

◆冒頭7:森の外へ(PC@→PCABC)
 PC@、キミは森で危険な目に遭ったあの日から数年が経った。残念ながらキミの両親は流行病で死んでしまったが、キミは両親の後を継がず、剣の腕を磨き、領主様に認められて今ではビスキィ付きの護衛にまでなっていた。
 そんなキミに、ビスキィは幼なじみの気軽さで、いつも無茶を言ってくる。
 そして今日も……。

「ほらPC@、やっと森を抜けるわ! すごいすごい!」
 モンストロの街を守る森の外に出てみたいという我が儘。だが、かつてと違い腕を上げたキミの前に、森の動物程度は相手にならず、ついに外が見えてきた。
「これは他の人に取っては普通の一歩かもしれないけど、私達にとっては偉大な一歩よ」
「せーの!」
 森の外は荒野だった。見渡す限り岩と平地、草木はほとんど生えていない。
「PC@、なんか思ってたのと違うね?」
 ふらふら歩いていると、周囲に岩がある岩場でPC@は森の動物とは比較にならない気配を感じる。
 突如飛び出してくる巨大な狼のような獣……いや魔獣。それが2人に突進してくる。
 (PC@の演出の通りにする)
 だが、獣はたいしてダメージが無いのか、すぐに反転して再びこちらを向く。
 さらに岩場から数体の同じ狼のような魔獣が現れる。絶対絶命。
 PCABCに登場を促す。

   ※ここからは通常の戦闘となる。
  ただしPC@は覚醒していないのでユーベルコードの使用は不可とする。


●第1話『夜が支配する世界』
シナリオフレーム:オリジナル<集団戦→冒険→ボス戦>
1章:宵闇の獣/難易度60
2章:荒野の探索/難易度40
3章:ストロンボリ戦/難易度80

◆シナリオの内容:
宵闇の魔獣に襲われるビスキィとPC@を助け、魔獣を追い払う。
しかしビスキィは大事なものが無いと、逃げた魔獣が持って行ったとしか思えない。
魔獣が逃げ去った方向を追跡する一行。
やがて魔獣の巣を見つけ、PC@とビスキィを残し巣へ向かうPCABC。
しかし3人がいなくなった後、PC@とビスキィの背後に巨大な影が……。
ストロンボリの鳥かごに捕まるPC@とビスキィ。
そこでPC@は猟兵の力に覚醒し……。
ストロンボリを倒した後は、ビスキィをモンストロの街へ返し、PC@はAと共にグリモアベースへと連れて行かれるのだった。

●宵闇の魔獣
▼ユーベルコード
POW≪魔獣の一撃≫
 単純で重い【血塗られた爪】の一撃を叩きつける。
 直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD≪暗闇の咆吼≫
 【血に飢えた叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIS≪見えざる狩猟者≫
 自身と自身の装備、【自身と接触している】対象1体が透明になる。
 ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。

●魔獣使いストロンボリ
 データは主要登場人物参照。


●第2話『モンストロの街』
シナリオフレーム:オリジナル<冒険→ボス戦→ボス戦>
1章:南地の避難/難易度40
2章:ギデオン戦/難易度80
3章:ファウルフェロー戦/難易度80

◆シナリオの内容:
モンストロの南の地に転移する4人。
南の農地の一般人達を説得して避難させるPC達。
やがてギデオンが肉弾戦車のようにゴロゴロ森を突破しやって来る。
ギデオンを倒すとファウルフェロー伯爵がやって来て戦闘となる。

●ギデオン
 データは主要登場人物参照。

●ファウルフェロー伯爵
 データは主要登場人物参照。

●幕間
 ※幕間1〜4は、通常のTRPGのようにプレイしても良いし、箇条書きの情報として口頭で簡略化した情報のみをPLに伝えても良い。もちろん、前者の方が感情移入は深くなるだろうが、セッション時間等と相談した方が良いだろう。

◆幕間1:領主の館で(PC@B)
 ビスキィと別れ、後でと言う。
 廊下で剣を教えてくれた衛士長ジミニー・クリケットに合う。
「この街を守ること、ビスキィ様を守る事、それが私の使命ですから」
 今までにないプレッシャーと邪悪さを感じる。今までこの人がそれをキミに向けなかったわけじゃない、それは元々彼が持っていたものだ。それをキミが感じ取れるようになった……それだけだ。

◆幕間2:グリモアベース(PCAC)
 グリモアベースに連れてこられる。
 グリモア猟兵から猟兵や世界の説明をされる。

◆幕間3:妹との思い出(PCA)
 PCAが平和に村で質素ながら暮らしていた頃の記憶。
 妹との仲良しの思い出。
 妹は歌を歌っていた。

 

◆幕間4:依頼(PC@ABC)
 グリモアベースに連れてこられる@。
 グリモア猟兵から猟兵や世界の説明。
 最後に依頼の説明をされる。


●第3話『連れ去れた人々』
シナリオフレーム:潜伏するオブリビオン<冒険→冒険→ボス戦>
1章:異端の森/難易度48
2章:北地の調査/難易度48
3章:コーチマン戦(特殊能力:タフネス)/難易度144

◆シナリオの内容:
ダークセイヴァ―のとある村に転移する4人。
すでにヴァンパイアによって人狩りにあった後……。
「プレジャーアイランドがどうとか……」
人狩りに来たヴァンパイアを追跡すると、モンストロの森に付く。
森は外部からの侵入者を許さず、木々が蜘蛛の糸を吐き出し拘束し、魔獣の餌にする。

PC@は自分の家にいくと綺麗に掃除されており、歌声が聞こえる。
歌声の主はビスキィ、彼女が部屋を掃除している。
「ごめん、実は勝手に掃除してて……私、お爺さまはいるけど、両親っていないから
 私のお父さんとお母さんがいたら、おじさんとおばさんみたいな感じかなって……」

森を抜けると北の地区へと到着する。そこは牧場、ロバしかいない。
中央には墓、西と東からは見えないような高い屋敷が壁のように。
ロバが連れ去れてた人々だと発覚するとコーチマンが登場する。
コーチマンを倒すとロバが元の人間に戻る。
コーチマンが最期にPCAの妹について気がつき何か言うが、そこで

<邂逅表>でPCAに生きてる方か死んでる方が決めさせる。
 生きてる→「たしか連れ去る際に途中で脱走したヤツラがいたが……
       魔獣が闊歩するこの世界で、奴隷たちが生きているけるわけがねぇ、
       もうとうに死んでるさ!」
 死んでる→「思い出した。居たなぁ、そんなヤツ。とっくに生け贄にして殺したがな!」

コーチマンが消滅し、その後、領主に気付かれて全身鎧の部下達が押し寄せる。
ロバから人間にもどった人々はパニック、だが猟兵も連戦すれば死ぬのは確実。
強制的に足下に彼岸花が咲乱れグリモアベースに転移される。

●奴隷商コーチマン
 データは主要登場人物参照。

●幕間
 ※幕間1〜3は、通常のTRPGのようにプレイしても良いし、箇条書きの情報として口頭で簡略化した情報のみをPLに伝えても良い。もちろん、前者の方が感情移入は深くなるだろうが、セッション時間等と相談した方が良いだろう。

◆幕間1:グリモア猟兵の義務(PC@ABC)
 グリモア猟兵が一般人を助ける前に皆を転送し、強制的にグリモアベースの場面となる。
 PC達は怒るだろうが、グリモア猟兵は冷静に対処する事。
「私達グリモア猟兵は、自分が予知した依頼に他の猟兵を送り込むかわり、送り込んだ皆の命の守る義務があります……それは何より優先しなければなりません」
「グリモアベースは住むような場所は無いですが、グリモア猟兵同士で情報交換したり、グリモア猟兵が予知した事件を猟兵達に告知する場があります……少し場所を変えましょう」
 PC達を他のグリモア猟兵のいない空き部屋のような場所へ連れて行く。

◆幕間2:やってはいけない事(PC@や一緒にいるPC達)
 他のグリモア猟兵がいない事を確認し、PC@を見つめてグリモア猟兵が言う。
「実は次の予知をしました……けれど、
これを依頼とするか迷っている……というのが正直な気持ちです」
「モンストロの街の領主はオブリビオンです。コーチマンに人を誘拐させていたのも領主当人です。だから、私はモンスロトの街の領主を倒す依頼を出さなければなりません」
「これは因縁のある皆さんに受けて頂きたい……もし、皆さんが受けてくれないのなら、この依頼は引き下げる予定です。もちろん、いつか別のグリモア猟兵がモンストロの街について予知する可能性もあるのですが……」
「よく考えて来て下さい、私はいつもの場所にいます……」
 グリモア猟兵はそう言って部屋を出て行った。

◆幕間3:空き部屋(PC@ABC)
 PC同士の会話が欲しい場合にこのタイミングで行う。


●第4話『星に願いを』
シナリオフレーム:オリジナル<冒険→ボス戦→ボス戦>
1章:城への侵入/40
2章:ジミニー戦/80
3章:ゼペット戦(特殊能力タフネス・見切り・ダブル)/難易度164(※)
 ※PCが敵側に回るなどした場合は難易度を100に減らす事。

◆シナリオの内容:
モンストロの城の入り口に転送される。
城の中は配下オブリビオンが徘徊し、トラップもある。
城の中でビスキィと出会うPC@。部屋に庇ってくれる。
「何か嫌な予感がするの……約束、覚えている?」

なんとか無事に領主の間へ。
領主の間の最後の扉の前、ジミニーが待ち受ける。

ジミニーと戦い終わり、扉を明けると領主ゼペットが待ち受けており。
「なぜここにきた。この街をどう思う? PC@、お主は何のために闘う」
・ゼペットの目的はビスキィを人間よりも人間らしい人間として育てる
・100年前、森に血をまき結界を作った。だが、コーチマンが倒され、維持は不可能となった。
 コーチマンしか結界を維持できない(特殊な吸血鬼は存在しない)。
・今後はジミニーが森に入ってきた敵対者だけを抹殺する方法に切り替えるしかない。
・言うなれば今後は人間達が被害に合う事はない。それでも儂を殺すのか?
・この街(1000人以上の人間達)を儂は守っている
・ビスキィは私の人形(ピノキオ)じゃよ……誰より大事な、のぅ

「この儂を倒せばこの街は守護を失い、いつ他の魔獣や吸血鬼に襲われるか解らなくなる」
「ビスキィも……」

●衛士長ジミニー・クリケット
 データは主要登場人物参照。

●老王ゼペット
 データは主要登場人物参照。

●エンディング
 エンディングはPC達の選択によって幾つかに別れるだろう。
下記ではその代表的なものを記載しておく。

◆ゼペット達を倒した
 ゼペットとジミニーを倒した場合、
いつかモンストロの街を他のオブリビオンに嗅ぎつかれ、1000人もの人々が狙われる事は必須だ。だが、それを守るのはキミ達ばかりではない、その時はその予知を得たグリモア猟兵が、また多くの猟兵達へと街を守る依頼をするだろう。キミ達は世界を守る第六猟兵だ。だから、その決断は決して間違ってはいないのだ。

◆ゼペットを見逃した
 キミ達は猟兵の本分より、自らの心の声に従いゼペット達を見逃す事にした。
 モンストロを離れる際、グリモア猟兵はすぐに転移せず、やがてビスキィがやってきた。
「お爺さまとの間に何があったか、詳しくは今は聞きません」
「でも、これだけは言わせて下さい」
「皆さんのおかげで、私は、星を見る夢をこれからも持ち続ける事ができます!
だから……ありがとうございます!」

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