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第六猟兵TRPG
シナリオ

第六猟兵TRPG(2)アルダワ魔法学園・シナリオ
『Let It Bloom!』



■シナリオの概要

 アルダワ魔法学園の世界の猫の王国出身のケットシーの女の子ピオニーは、いつかアルダワ魔法学園に入学し、噂に聞こえる転校生達と肩を並べて地下迷宮アルダワの魔王討伐に行くことを夢見ていた。

 そして5年の歳月が経ち、10歳となったピオニーは念願叶ってアルダワ魔法学園の学生へとなっていた。そんなある日、地下迷宮に突如現れた獅子級災魔グランド=アザーの討伐依頼が告知され、腕に覚えのある学生や転校生達が討伐に名乗り出るも、グランド=アザーの討伐依頼は失敗に継ぐ失敗、腕利きの転校生達でも討伐不可能な非常事態へと発展する。

 獅子級災魔グランド=アザーはかつて特殊な力を持つ一族が討伐不可能だと判断し、封印したという魔王にも匹敵する厄介な災魔であった。

その封印を行った一族のPC@と、偶然一緒に依頼を受けることになったPC達は、グランド=アザーは時を遡るユーベルコード≪輪廻転生の華(ノースポール)≫を持っており、自分が倒されるとそのユーベルコードを発動させ、未来を知った状態で転校生達を迎え撃つ(その際、相手が使うユーベルコードに干渉するユーベルコードを自作して迎え撃つ。※相手のユーベルコードを事前に解っているから出来る技である)ので討伐が不可能だと知る。

結果、PC達はグランド=アザーを封印する為に地下迷宮へと出発。
迷宮内はノースポールの花(白いコスモスのような花)が咲き乱れる不思議な階層となっており、その道中で偶然ピオニーを拾い一緒に行動する事になるPC達。封印の一族であるPC@の助けも有り、なんとかグランド=アザーを封印する事に成功するPC達。
グランド=アザーは「汝等はいつか再び我を求めるだろう」と不吉な予言を残して封印されたのだった。

 それから半年、グランド=アザーとの戦いで猟兵へと覚醒したピオニーもいっぱしの猟兵としていろいろな世界を回っており、依頼によってはPC達と久しぶりに会う事もあった。
 だが、全ての世界の崩壊は少しずつ始まっていたのだった。
 SSW(スペースシップワールド)が花に浸食されているのでその原因を解明し解決して欲しい――それがPC達への依頼だった。だが、同時に他の世界も花に浸食され始めており、それらは別の猟兵達が解決に向かっていると言う。

 PC達はSSWで情報を集め、花が浸食を開始した元凶を突き止める。それは1隻の宇宙戦艦だった。 PC達はなんとかその宇宙戦艦へと辿り着き、戦艦に乗る花をばらまく船員達を倒す。
だが船員達は洗脳状態にあり、全ての原因という訳ではなかった。
ただ共通するのは船員達が口ずさむ歌――「ケット、ケット、花咲ケット……」――その歌は、ピオニーがよく歌っていた歌だった。そう、彼等はピオニーのユーベルコードによって花を咲かせるユーベルコードを自身も使えるようになり、それを無差別に広めていたのだった。

 原因は解ったが、ピオニー自身もこれの止め方は解らず、ピオニー自身を殺したとしても事件は止まらない。それこそ、ピオニーがユーベルコードを使えないように過去自体を変えない限り……。
 PC達はグランド=アザーのユーベルコードに干渉し、自分たちが過去に跳ぶ作戦を思いつく。自分達が覚えるユーベルコードをグランド=アザーの≪輪廻転生(ノースポール)≫に干渉するように改造して取得するPC達。

 そして封印を解き再度グランド=アザーと戦うPC達、そしてグランド=アザーを追い詰め、かの災魔が死の間際に≪輪廻転生の華(ノースポール)≫を使うタイミングに合わせ、事前に用意していた≪輪廻転生の華(ノースポール)≫に干渉するユーベルコードを使用し過去へと跳ぶPC達。
 PC達が降り立った過去で、ピオニーは未だ転校生に憧れる少女のままだった。

PC達はケットシーの少女の夢を……

■シナリオの背景

 アルダワ魔法学園に入学し、噂に聞く転校生になる事を夢見るケットシーの少女がいた。少女の名はピオニー、彼女は努力の末、10歳で魔法学園に入学する。
 数奇な運命を得て転校生達と共に巨大な災魔と戦い、ピオニーは転校生(猟兵)へと覚醒を果たす。
 猟兵となったピオニーはその後いくつもの依頼を経て、自身のユーベルコードをいくつか獲得する。
その中の一つ≪Let It Bloom!(レット・イット・ブルーム)≫は、対象に花を咲かせ、その対象に≪Let It Bloom!(レット・イット・ブルーム)≫を覚えさせ、さらに強迫観念的にこのユーベルコードを使いたくなる感染型のものだった。
それはピオニーの花が咲き乱れる平和で争いの無い世界にしたいという思いが形作ったものだった。
 だが、そのユーベルコードは恐ろしいほど強力で厄介なものと化す。ピオニーは元凶ではあるが被害者でもあるのだ。

■ステージセッティング

●世界観説明<アルダワ魔法学園>
 この世界は蒸気と魔法機械が発達した世界であり、すでに災魔(オブリビオン)はアルダワ魔法学園の地下に創られた地下迷宮に封印されており、この学園は迷宮から脱出を計る災魔と戦う学生達を育てる為に始まりました。
この世界での事件は全て学園内か迷宮内で発生し、地下迷宮の最下層には大魔王がいると言われています。災魔と戦う学生達ですが、最近では学生では手に負えない災魔が増え、それらを倒せるのは学生より強い猟兵(転校生と呼ばれます)のみという逼迫した状況に変わりつつあります。
 アルダワ魔法学園は今日も大騒ぎ!―それが、このアルダワ魔法学園での冒険です。

●キャラクターの作成
▼PC@ アルダワ魔法学園出身。とある災魔を封印した伝説の一族の末裔。
 <アクシスコード:災魔グランド=アザーをなんとかする>
▼PCA 猟兵として多様な世界でいくつもの事件を解決した事がある。
 <アクシスコード:ピオニーを守る>
▼PCB 猟兵として多様な世界でいくつもの事件を解決した事がある。
 <アクシスコード:ピオ二ーに借りを返す>
 ※スペワのクリスタリアン商人
▼PCC 猟兵として多様な世界でいくつもの事件を解決した事がある。
 <アクシスコード:ピオ二ーの夢を応援する>

キャラクターの名前を決定し、各々自己紹介をして貰います。

■アクシスコード

●PC@ 出身世界:アルダワ魔法学園

 きみはアルダワ魔法学園で言う所の転校生と同等の力を持っていた。
 なぜなら、この世界できみの一族は特別だったからだ。
 獅子級災魔グランド=アザー、この強力な災魔をきみの一族はかつて封印した。
 この災魔グランド=アザーは決して倒せない存在だった。
 なぜなら、死ぬ寸前に特殊な魔術≪輪廻転生の華(ノースポール)≫を使う、これは死と共に時間を戻る魔術であり、グランド=アザーはこれにより自身を倒した相手の攻略法を知った上で迎え撃つ事が出来、結果、かの災魔に殺された者は千を越えたと言う。
 結局、きみの一族が封印の道具を造り、グランド=アザーを封印する事に成功したのだ。
 その歴史から数百年、きみの代で事件が起こる。
 そう、災魔グランド=アザーが復活したのだ。
 アルダワ魔法学園の先生やってきて、きみにかの者の討伐に加わって欲しいと言う。
「あの災魔の伝承から、なんとかきみの一族を知ったのだ。どうか力を貸してくれないか、伝説の一族の末裔よ」
<アクシスコード:災魔グランド=アザーをなんとかする>

 ※PC@は猟兵と同じ力を持つが(封印の一族ゆえ)、猟兵としては活動しておらず、アルダワ世界のどこかで普通に生活していた。としてシナリオ上は記載している。
 もちろん、猟兵として活躍しているとしても構わない。その場合はシナリオの設定を適宜修正する事。



●PCA 出身世界:自由

 それは約束だった。ほんの小さな、反故にしても誰も何も言わないような。
「じゃあ、今度会った時はワタシが何かお願いするから、その時は約束ね!」
 きみがアルダワ魔法学園で初めて依頼を終えた時、事件に巻き込まれていた小さなケットシーの少女はそう言ったのだ。

 ※ケットシーの少女にどんな約束を守って貰ったかはPCに相談して決める。
  思いつかないようなら事件解決まで何かを預かってて貰った、等。

「ワタシ、ピオニー、ピオニーって言うの! またねーなのよPCA!」
 その日、ピオニーは手を大きく何度も何度も振って、きみを見送ったのだった。
 あれから数ヶ月は経っただろうか、きみは再び依頼でアルダワ魔法学園へとやって来た。そして、アルダワ地下迷宮の中できみは再びピオニーに出逢う。
「次に会った時、約束聞いてくれるって言ってたのよ! お願い、ワタシを守って! それがワタシのして欲しい約束! ワタシは災魔を倒して一流の学生に――転校生みたいになるのよ! だからそれまで、ワタシを守って欲しいのよ!」
<アクシスコード:ピオニーを守る>



●PCB 出身世界:自由

 ※これは少し先の未来の話(第一話終了後、第二話開始前)。
 きみはSSWでのとある物資輸送依頼の途中でピンチに陥っていた。
 輸送中に帝国軍は黒衣卿率いる残党軍に襲われたのだ。黒衣卿はフォースソードをブンと生み出し、さらにサイコキネス能力も強力だった。
 そして、激闘の中、黒衣卿の一撃がきみの命を刈り取ろうとした……その瞬間!
 周囲と黒衣卿の持つフォースソードが花となり、黒衣卿の一撃がはらりと花びらを散らすに終わる。
 それは、その依頼を一緒に攻略していたケットシーの猟兵ピオニーが、間一髪、きみを助けたのだった。
「大丈夫、PCB!?」
「ワタシ達は猟兵なのよ? 不可能な事なんて無い……」
「だから、ワタシ達は負けない、でしょ?」
 ピオニーの言葉に、きみは言葉を返し……そして。
「チッ、迫撃砲艦チェリーブロッサムに帰艦する。命は預けるぞPCB」
 そして黒衣卿の脅威は去ったのだった。
<アクシスコード:ピオニーに借りを返す>



●PCC 出身世界:自由

 きみは5年前から活躍するベテランの猟兵だった。
 そんなきみが5年前のその日訪れていたのは――アルダワ魔法学園。
 そして、その世界での依頼を終え、休憩がてらアルダワを観光していたきみは、その日初めてケットシー王国、通称猫の王国へと来ていた。
 アルダワでもケットシーだけが多く存在するケットシー達の王国、こんな国は他の世界にもなかなか無い。
「ねえ、お兄さん(お姉さん)は、旅の人? 魔法学園にも行ったことある?」 「ワタシね、ピオニーって言うのよ」
 きみに声を掛けてきたのは5歳程度のケットシーの女の子だった。
 どうも王国にきみのような旅人が来るのは珍しいのか、それともきみに他の人とは違う何かを感じたのか、その少女ピオニーはいやにきみに懐いてくる。
「ワタシね、いつかアルダワ魔法学園に入りたいって思ってるの。それでね、それでね、噂の転校生と一緒に地下迷宮の魔王を倒すのよ! すごいでしょ!」
「ワタシの夢、叶わないかな……」
 シュンとするピオニー。正直、その夢が叶うかどうかは本人次第だが、応援ぐらいはしてあげても良いかもしれない。
<アクシスコード:ピオニーの夢を応援する>

■主要人物紹介

●ピオニー
「ワタシは災魔を倒して一流の学生に、噂の転校生みたいになるのよ!」

▼シナリオにおける立場と経歴、そして秘密
 アルダワの猫の王国出身のケットシーの女の子。
 小さな頃からの夢を叶え、アルダワ魔法学園に入学、猟兵へと覚醒する。
 誰もが争わず、平和に仲良く暮らせればと常に思っており、
 それゆえ特殊なユーベルコードに目覚めてしまう。
 ピオニーのユーベルコードが巻き起こす世界的な破滅(カタストロフィ)は、
 ピオニーの意思とは無関係に広がり、事実を知ったピオニーはパニックとなり、
 その責任を取るよう自死を促されれば、言われるがまま自死する程の精神状態となる。
 ピオニーがそのユーベルコードに目覚めるのは全くの偶然であり黒幕はいない。

▼外見、ロールプレイ、人称
 外見は10歳前後、真っ白な毛並みが綺麗なケットシー。
 自分の事は「ワタシ」、他人の事は「〜さん」、仲良くなると呼び捨てにする。
 語尾のほとんどは「なの」「なのよ」になってしまう。
 参加PLの好みとして男の子ケットーの方が良い場合は男の子にして良い。その場合の名前は「ポチ」とする。

▼ユーベルコード
≪Bloom!(花咲かケット)≫
【両手】から【任意の花】放ち、【命中した対象の場所をその花に変化させる事】により対象の動きを一時的に封じる。
≪白き猫の毛づくろい(ホワイト・スリップ)≫
【ペロペロなめる事で】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
≪シンフォニック・キュア(ピポパポパ)≫
【歌声】をp聞いて共感した対象全てを治療する。

特殊≪Let It Bloom!(ケット、ケット、花咲かケット)≫
【任意の対象に花を咲かし、その対象にこのユ】【ーベルコードを無条件で取得させ、強制的に】【このユーベルコードを使用したくなる気持ち】を宿し超強化する。自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。

▼元ネタ
 花咲かじいさんに出て来る白い犬のポチ。

●獅子級災魔グランド=アザー
「汝等はいつか再び我を求めるだろう」

▼シナリオにおける立場と経歴、そして秘密
 チート級のユーベルコードを使用する獅子級災魔。
 そのユーベルコードの能力により不敗を誇る。
 かつてそのユーベルコードの謎を解いたPC@の祖先によって封印されるが、
 封印の劣化により復活した。
 獅子級に相応しく、強者との戦いに固執した行動理念で動く。
 グランド=アザーは時を遡るユーベルコード≪輪廻転生の華(ノースポール)≫を持っており、自分が倒されるとそのユーベルコードを発動させ、未来を知った状態で敵を迎え撃つ(その際、相手が使うユーベルコードに干渉するユーベルコードを自作して迎え撃つ)。

▼外見、ロールプレイ、人称
 外見は悪魔のような身体に鬼のような頭部を持った魔物。身長5m程。男性型。
 自分の事は「我」、他人の事は「汝」。上から見下ろすような口調で喋る。

▼ユーベルコード
≪獅子なる悪魔(デモンズ・レオ)≫
【獅子頭に6つの腕を持つ真なる悪魔の姿とな】【り、この章の難易度を、指定したPCのLV】【の9倍だけ回復させ、圧倒的なオーラ】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる(このユーベルコードは第三話で1度だけ使用する事)。
≪獅子咆吼(フリーズィング・ウェイブ)≫
【相手のエンチャントを打ち消す獅子の咆吼】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
≪時の干渉(クロノス・ファンタジア)≫
「属性(時間)」と「自然現象」を合成した現象を発動する。水が凍り、風が嵐に、大地が沼に、空気が膨張し、炎が空気を食い尽くし真空に、など。成魚が難しく暴走しやすい。
≪輪廻転生の華(ノースポール)≫
【このユーベルコードは常時発動している。自】【身が倒された際、1年以内の任意の地点まで】【時間を逆行させ、更に新たなユーベルコード】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常のどれを重視するか選べる。

▼元ネタ
 花咲かじいさんに出て来る意地悪爺さん。

●帝国軍迫撃砲艦チェリーブロッサム
「全砲門解放シマス……カウント3、2、1、フルバーストッ!」

▼シナリオにおける立場と経歴、そして秘密
 帝国軍で実験的に作られた試作艦の1隻。
 戦艦用砲塔は少なく代わりに迫撃砲(歩兵が持つ簡易構造火砲)を大量に装備している。
 戦艦用砲塔の費用を浮かす目的で作られるも、
 射程の問題と通常の砲塔に比べ火力が低い事で本生産は見送られる。
 SSWで帝国が滅びた後、残党軍が倉庫から引っ張りだし使用していたが、
 乗組員がピオニーのユーベルコードに感染、そしてチェリーブロッサムのAIも感染。
 SSWの宇宙を彷徨いつつ星を次々に花へと変えていった。

▼外見、ロールプレイ、人称
 駆逐艦級の宇宙戦艦。全砲門を開くと全身から隙間無く棘を生やしたような姿となる。
 もちろんその棘は全て迫撃砲である。
 艦のAIは自分の事を「ワレ」、他人の事は誰であれ「〜様」。片言で話す。

▼ユーベルコード
≪無限増殖(インフィニティ・コード)≫
自身の肉体を【無限に増殖する無数のコードの集合体】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
≪電力解放(エレクトリック・バースト)≫
【回避不能な広範囲高威力の電撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
≪自翔迫撃砲(モータル・ビット)≫
レベル×5体の、小型の戦闘用【の自立行動する迫撃砲型ドローン】を召喚し戦わせる。程ほどの強さを持つが、一撃で消滅する。

▼元ネタ
 花咲かじいさんの桜(チェリーブロッサム)と臼(モータル=迫撃砲)。


■その他紹介

◆ピオニーの歌の歌詞
ケット、ケット、花咲かケット、あの子が歩けば花がさく
ケット、ケット、花咲かケット、赤白黄色に青ピンク
(以下略)
▼元ネタ
 みんなの歌『花咲かにゃんこ』のメロディーで。

■シナリオ本編

●キャンペーン『Let It Bloom!』
 ※冒頭1〜6は、通常のTRPGのようにプレイしても良いし、箇条書きの情報として口頭で簡略化した情報のみをPLに伝えても良い。もちろん、前者の方が感情移入は深くなるだろうが、セッション時間等と相談した方が良いだろう。

◆冒頭1:5年前の出会い(PCC)
 今から5年ほど前の事だった。
 きみはアルダワ魔法学園での依頼を終え、ふと観光がれたその世界を見て回っていた。
 訪れたのはこの世界ならでは、ケットシー族が暮らす猫の王国。
 そこはその名の通り、二足歩行の猫達が人と同じように街を王国を作って暮らしていた。

「ねえ旅人さん、もしかしてアルダワ魔法学園から来たのよ?」
 そうきみに声を掛けてきたのは真っ白な毛並みが美しい5歳ぐらいの女の子(のケットシー)だった。
「ワタシ、昔っから普通の人とそうじゃない人がなんとなく解るのよ。旅人さんは後者、もしかしてアルダワ魔法学園の学生……ううん、もしかして噂の転校生さんなの?」
「(そうだと言った)やっぱり! ワタシ、そういう勘は外れた事ないのよ♪」
「(違うと言った)ええ〜、でもでも、きっと旅人さんはそういう才能あるのよ! ワタシの勘がそう言ってるのね!」

 なんやかんやときみに纏わり付いてくるケットシーの少女、屋台はここが美味しいだの、宿屋はここが良いだの、観光ならあれを見た方が良いだの、結局少女のペースに巻き込まれ、いつの間にかきみはそんな少女と仲良くなっていた。
 きみの横を自作の歌を歌いながら付いてくる少女、そして日も暮れだした頃……。
「ワタシね、ピオニーって言うの。そう言えば名乗ってなかったなーって。旅人さんは?」
「旅人さん……ううん、PCCは夢ってある?」
「ワタシね、いつかアルダワ魔法学園に入りたいって思ってるのよ。それでね、それでね、噂の転校生と一緒に地下迷宮の魔王を倒すのよ! すごいでしょ!」
「でも、パパもママもそんな夢は叶わないって言うの……ワタシの夢、叶わないのかな?」

 シュンとするピオニー。正直、その夢が叶うかどうかは本人次第だが……。
 今日一日一緒にいて少女の健気さと素直さを知ったきみは――。

<アクシスコード:ピオニーの夢を応援する>

◆冒頭2:それは約束(PCA)
 それは約束だった。ほんの小さな、反故にしても誰も何も言わないような。
「じゃあ、今度会った時はワタシが何かお願いするから、その時は約束なのよ!」
 きみがアルダワ魔法学園で初めて依頼を終えた時、事件に巻き込まれていた生徒――小さなケットシーの少女はそう言ったのだ。

 ※ケットシーの少女にどんな約束を守って貰ったかはPLに相談して決める。
  思いつかないようなら事件解決まで何かを預かってて貰った、等。
  その当時のロールプレイを行い、あらかた終わったタイミングで次の台詞へ。

「ワタシ、ピオニー、ピオニーって言うのよ! またねーPCA!」
 その日、ピオニーは手を大きく何度も何度も振って、きみを見送ったのだった。

 あれから数ヶ月は経っただろうか、きみは再び依頼でアルダワ魔法学園へとやって来た。
 そしてアルダワ地下迷宮で、きみは再びピオニーに出逢ったのだ。
「PCA? な、なんでこんな所にいるの?」
「ワタシは……災魔退治よ! この先には誰も勝てないって噂の超強い災魔がいるの!」
「え、PCA達があの災魔を倒しに……(はっ、とした表情となり)」
「お願い、ワタシを連れて行って! ねぇPCA、次に会った時、約束きいてくれるって言ってたよね!」
「もちろん、ワタシも一緒に災魔を倒したいなんて無理なお願いはしない……でも、一緒に行かせて! 危なくなったら後ろで隠れるから!」
「なら、ワタシを守って! それがワタシのして欲しい約束! ワタシは災魔を倒して一流の学生に、転校生みたいになるの! だからPCA達の戦う姿が間近で見たいの!」

 ここはすでに地下数階のダンジョンだ、今から引き返せば災魔の被害が更に広がるだろうし、ピオニー1人を返すには危険すぎる。

<アクシスコード:ピオニーを守る>

◆冒頭3:助けられる未来(PCB)
 ――これは少し先、未来の話である。
 (PLには第一話終了後、第二話開始前の話だと説明する事)
 きみはSSWのとある物資輸送依頼でピンチに陥っていた。
 輸送中の船に帝国軍の船が横付けしてきて、帝国軍の残党兵達が乗り込んで来たのだ。
 特に、元帝国軍幹部、赤く光るフォトンソードを持つ黒衣卿(BOSS)の強さは想像以上だった。
 物資が格納されている格納庫へ通じる一本道で、きみは黒衣卿から格納庫へ通じる扉をたった1人で守っている。

「いい加減あきらめろ、仲間は来ない。私1人に貴様ごときが勝てると思うか」
 ブンッ、と赤いフォースソードを柄から生やし、黒衣卿が凄む。
「ふん、良かろう、実力の差を思い知れ!」
 赤い光りが舞う、黒衣卿との息をのむ戦い。
 ほんの僅かな隙が死に直結するときみは集中力を切らさず黒衣卿だけを見て戦い続ける。 だが、ここに来るまで傷を追っていたきみの方が、どうしても先に限界を迎える。
 黒衣卿が無慈悲な一撃を放ち、きみの命を刈り取ろうと――した、その瞬間。

 周囲と黒衣卿の持つフォースシールドが花に変わり、黒衣卿の一撃が僅かに逸れる。
 それは、その依頼を一緒に攻略していたケットシーの猟兵ピオニーが、間一髪ここに駆けつけ、きみを助けるために放ったユーベルコードだった。
「大丈夫、PCB!?」
「ワタシ達は猟兵だよ? 不可能な事なんて無い……」
「だから、ワタシ達は負けない、でしょ?」
 ピオニーの言葉に、きみは言葉を返し……そして。

「チッ、迫撃砲艦チェリーブロッサムに帰艦する。命は預けるぞPCB」
 そして黒衣卿の脅威は去ったのだった。

<アクシスコード:ピオニーに借りを返す>

◆冒頭4:封印の一族(PC@)
 きみはアルダワ魔法学校が言う転校生と同等の力を持った一族に生まれた。
 その一族とは、かつてこの世界で不敗の魔王と呼ばれた獅子級災魔グランド=アザーを封印し、世界を救った一族であり、ゆえに――。

「PC@さんですよね、お迎えにあがりました」
 アルダワ魔法学園から来たという使者は、出し抜けにきみに言う。
「獅子級災魔グランド=アザーが復活ましたした。どうか、どうか御力をお貸し下さい!」
 その言葉を信じるなら大変な事だ。

 きみは慌ててアルダワ魔法学園へとやって来くる。
 学園ではどんなに討伐隊を送っても、その討伐隊を転校生達に任せても、誰もがグランド=アザーに返り討ちにされ大混乱に陥っていた。
「どれだけ討伐隊を送っても全て返り討ちにあってしまって……あの転校生達ですら、どの部隊も瀕死で救助される有様で……」
 きみはその理由を知っている。グランド=アザーは、死ぬ寸前に≪輪廻転生の華(ノースポール)≫と言う特殊な魔術(ユーベルコード)を使う、これは死と共に時間を戻る魔術であり、グランド=アザーはこれにより自身を倒した相手の攻略法を知った上で再び敵を迎え撃つ事が出来るのだ。
 故にグランド=アザーを倒す事は出来ず、かつてきみの一族は封印という方法を持って、この災魔より世界を救ったのだ。

 そして、学園の教師伝手に最後の討伐隊を送るという転校生の元へときみは案内される。グリモア猟兵だと名乗ったその者は、きみに頭を下げてこう言った。
「これ以上の犠牲を出すわけにはいきません、どうか、あの災魔を封印して下さい」

<アクシスコード:災魔グランド=アザーをなんとかする>

※グランド=アザーの封印方法
 これはPC@の家に代々『封印の巻物』として伝えられている。
 グランド=アザーが≪輪廻転生の華(ノースポール)≫の使用を宣言した時、
 同時に『封印の巻物』の使用を宣言すれば良い。
 具体的な演出はPC@が巻物に記載された呪文(魔術)を使った等すれば良いだろう。

◆冒頭5:任務(PC@とPCBとPCCが登場、PCAは後から登場)
 グリモアベース、グリモア猟兵から依頼の説明。
 獅子級災魔グランド=アザー討伐の依頼が立て続けに失敗している。その理由がやっと解った。とグリモア猟兵はPC@を招き入れる。

「PC@だ、かつてアルダワの世界で災魔グランド=アザーを封印した一族の末裔だ」
「できれば、グランド=アザーがなぜ討伐できないのか、説明して貰えないだろうか」
 PC@が説明を渋るようなら、今は時間が無いので道すがら聞いて欲しいとPC@に後で説明するよう促す。

「今まではグランド=アザーを討伐する事を目的にしていましたが、今回はPC@に強力して貰いグランド=アザーの封印を目的とした任務にした」
「それでも、皆ならきっとやり遂げるだろう。宜しく頼む」
 そう言うとグリモア猟兵はアルダワ魔法学園へと皆を送り届けるのだった。

◆冒頭6:予期せぬ合流(PC全員)
 アルダワの世界に侵略しているオブリビオンは災魔と呼ばれ、今はアルダワ魔法学園の地下に広がる大迷宮を根城としている。PC@達は地下迷宮へと入り、次々と出て来る小型の災魔を倒しつつ、グランド=アザーが出現したと言うフロアを目指す。
 地下何十階層(階層は任意)まで潜ってきたが、災魔グランド=アザーが居座るフロアまであと5階は地下に潜る必要があった。そんな時だった……不穏なダンジョン内には似合わぬ、少女の軽やかな歌声が聞こえて来たのは。

「あれ、もしかしてPCA?」
 自作の歌を歌いながらダンジョンを歩いていたのは、白い毛並みが綺麗なケットシーの少女ピオニーだった。彼女はトトトッとPC達を見つけると近づいてきて。
「偶然なの! まさかダンジョンの中でPCAに会えるなんて!」
「あれ? もしかしてPCCなの? すごーい、久々なのー!?」
「ワタシはアルダワ魔法学校でも10歳で転校生並みの実力を持つ天才って言われてるのよ! だから、みんなが倒せない倒せないって言う噂のグランド=アザーっていう災魔を倒しちゃうのよ!」
「それで、PCAたちはどうしてここにいるの?」

 ちなみにピオニーはこの階層まで運良くどんなザコ災魔にも会わずに降りて来れたと言う。もしここで地上に戻す場合、帰り道こそ災魔に遭って大変な事になりそうだと猟兵達は直感的に解って良いと伝える。
「PCA! 今度会った時はワタシの言う約束を守るって言ってたの!」
「お願い、ワタシを守って! それがワタシのして欲しい約束! ワタシは災魔を倒して一流の学生に、転校生みたいになるの! だからそれまで、ワタシを守って欲しいの!」
 ピオニーは何を言っても付いてくると言う。

 結局、ピオニーだけ地上に帰すより、ここまで来たからには一緒に行った方が安全だろう。きみ達はそう判断し、ピオニーと供にグランド=アザーの元へ向かうのだった。


●第1話『災魔封印』
シナリオフレーム:オリジナル<冒険→冒険→ボス戦>
1章:花びらが舞う迷宮/難易度64
2章:北極星の花(ノースポール)の迷宮/難易度80
3章:グランド=アザー封印戦/難易度128

◆シナリオの内容:
▼1章:白い花びらが舞う迷宮/難易度64
グランド=アザーがいるとされるフロア(階層)に付く。
その階層では花が咲き乱れる広大な花畑が広がっていた。

この花畑は花の色の種類でその花の周囲にいる侵入者に様々な効果を与える。
 0赤=体力が吸収される
 1ピンク=仲間の大切な物をバカにする
 2オレンジ=周囲のPCを好きになる
 3青=精神が吸収される
 4紫=仲間の悪口が言いたくなる
 5緑=趣味に没頭し出す
 6黄=カレー食べたくなる
 7黄緑=全てがどうでもよくなる
 8紺=周りが子供に見え見下す
 9茶色=仲間からお金を奪う

ただし白い花=寒白菊(ノースポール)だけ無害で、寒白菊を辿れば花畑を抜けられる。
判定前に1d10を行いどの花の効果を受けるか決めること。

▼2章:北極星の花(ノースポール)の迷宮/難易度80
花畑を抜けると花びらが舞う通路へと到着する。この通路を進めばグランド=アザーがいる部屋へと到着するのだろう。
この通路には北極星の花(ノースポール)の白い花びらが舞っていた。

花びらには幻覚の効果があり、手番プレイヤーは
――『自分の変えたいと思っている過去』――
の幻影を見る。どうやってソレを幻覚だと見破るかをプレイングして貰う。

▼3章:グランド=アザー封印戦/難易度128
花びらが舞う通路を抜けると大仰な部屋に出て、そこで巨大な玉座に座り獅子級災魔グランド=アザーが侵入者を待ち構えている。

グランド=アザーとの戦闘時、PCの誰かが判定に失敗した時、ピオニーが庇ってくれる(判定は失敗だが、ダメージは0となる)を1度だけ行う(※覚醒イベント)

グランド=アザーとは普通に戦い、倒しきるとグランド=アザーは≪輪廻転生の華(ノースポール)≫の使用を宣言し、それに会わせてPC@に封印される。
グランド=アザーは封印される直前、最後に『汝等はいつか再び我を求めるだろう』と不吉な言葉を言い残す。

※ピオニーの覚醒
 誰かがピンチに陥った時、その誰かが助かるようどこかに花が咲き(足下に花が咲き、それを踏んだPCが敵の攻撃をぎりぎり回避する、など)、ピオニーがユーベルコードを使って猟兵に覚醒する演出を行う。
 ちなみに誰も判定に失敗せず、このようなピンチに陥らなかった場合、グランド=アザー封印後に、ピオニーが「力が沸き上がってくる……魔法の力が強くなった気がする」とPC達猟兵の戦いっぷりを間近に見て猟兵へと覚醒する演出を追加する事。

●獅子級災魔グランド=アザー
 データは主要登場人物参照。

●幕間
 ※幕間1〜5は、通常のTRPGのようにプレイしても良いし、箇条書きの情報として口頭で簡略化した情報のみをPLに伝えても良い。もちろん、前者の方が感情移入は深くなるだろうが、セッション時間等と相談した方が良いだろう。
 ※時間軸的にこの幕間中にSSWで反帝国レジスタンスが猟兵達と手を組み、SSWを支配するオブリビオン・フォーミュラ(帝国の皇帝)を倒したとする。もちろん、倒す前だとしても構わないが、その場合はその時間軸に合わせてシナリオを調整する事。

◆冒頭1:5年前の出会い(PCC)

◆幕間1:ピオニーとの依頼(PCA)
 猟兵へと覚醒したピオニーと供に、きみはとある依頼をこなし終わった所だった。
 ダークセイヴァーの世界で、孤児院を隠れ蓑にし子供達を玩具にしていた吸血鬼の討伐だ。
 討伐も終わり、被害に遭う直前の子供達の救出し近くの村へと送り届けた……。

 だが、きみとピオニーはすでに犠牲になった何十人もの子供達を弔うため、
 再び吸血鬼が根城にしていた孤児院へとやって来ていたのだ。
「たった数日なのに……誰も手入れする人がいなくなると、一気に廃墟になるのね……」
「PCA、お墓の方は作った?」
 PCAがかつて亡くなった全ての子供達を思い作った大きな石碑。
 そこにピオニーが手を付け歌いながらユーベルコードを発動する。
「お墓に花を、ピポパポパ、子供達にも、ピポパポパ」
 すると簡素だった石碑だけのお墓がたちまち色とりどりの花畑と化す。
 これがピオニーのユーベルコードだった。

「天国にいった子供達にも、この花の香りが届くといいのよ」

◆幕間2:花に助けられ(PCB)
 冒頭の話の続きである。PCBがピンチをピオニーに助けられた後の話。
 激闘の中、黒衣卿の一撃がきみの命を刈り取ろうと……した瞬間。
 周囲と黒衣卿のフォースソードが花に変わり、黒衣卿の一撃が僅かに逸れる。
 それは、依頼を一緒に攻略していたケットシーの猟兵ピオニーが、間一髪、きみを助けたのだった。
「大丈夫、PCB!?」
「ワタシ達は猟兵だよ? 不可能な事なんて無い……」
「だから、ワタシ達は負けない、でしょ?」
 ピオニーの言葉に、きみは言葉を返し……そして。

「チッ、迫撃砲艦チェリーブロッサムに帰艦する。命は預けるぞPCB」
 そして黒衣卿の脅威は去ったのだった。
「ふぅ……これでこの依頼は無事成功、で完了なのよ!」
「どう、PCB? この半年でワタシもずいぶん実力を上げたのよ♪」
「あ、そうそう、さっき助けてあげたのは借りにしとくのよ?」
「(グランド=アザーの時に助けたとPCBが言う)もう、そういう意地悪言わないでいいのにー! もう今度こんな事があっても助けないのね!」
「ううん、PCBはワタシな大事な友達なのよ、やっぱり何度でも助けちゃうのよ♪」

◆幕間3:予兆(PC@)
 きみは猟兵として幾つかの仕事を終え、つかの間の休暇を自室で過ごしていた。
 アルダワの世界はあれ依頼、よくも悪くも平穏だった。
 少しだけ開いた窓からは気持ちの良い風が吹き込み、優しくカーテンを揺らす。
 外の通りを子供達がなにやら自作の歌を歌いつつ走り抜けていくのが聞こえた。
 その時だ、きみの視覚が何者かにジャックされたかのように別の映像を垣間見る。

 それは真っ暗な世界で花開く白い花――寒白菊(ノースポール)。
 花が消えると同時、闇の中で災魔グランド=アザーの声が響く。
『時の流れは逆流しない』
『分水嶺を越えた流れを止める事も変える事も出来ない』
『それでも汝等は足掻くのだろう』
『故に汝等は求める』
『再び……我を求めるだろう』
 視界が元に戻り、声も聞こえず、きみはきみの部屋で呆然としていた。

 今の予兆はいったい……。
 冷や汗が止めどなく流れる中、ちょうどグリモア猟兵からの緊急の連絡が入る。

◆幕間4:招集(PCC)
 ちょうどきみがグリモアベースを散策している所だった。
 猟兵達はグリモア猟兵達が各々予知する事件の告知を見て、自分に合う依頼を取捨選択して参加する。
 きみはいくつかお気に入りのグリモア猟兵達に声をかけつつ、時には知り合いの猟兵と雑談という名の情報交換をしつつ、良い依頼がないか散策を続ける。

 その日は、どのグリモア猟兵も神妙な顔で難易度の高い依頼を出す者が多かった。
 すれ違う猟兵達の間でも、難易度が高い依頼が増えている事に対して、ある噂で持ちきりだった。
 それはすなわり『世界が終わろうとしている』という、荒唐無稽な噂だった。

 だが、そんなきみを呼び止める声が――。
「PCCさん! 是非、ベテランのあなたにお願いしたい依頼が!」
 それはきみが一番贔屓にしているグリモア猟兵だった。
「実は、世界が滅びるかもしれない……そんな、そんな予知を見たんです」
「PCCさん以外にも、信頼のおける方に何人か連絡を直接入れました。全員揃った所で依頼の詳細を伝えたいのですが……まずはPCCさんに、と」

「ご参加、お願い出来ますでしょうか」

◆幕間5:グリモアベース(PC全員)
 PC@ABはグリモア猟兵から依頼を受けて欲しいと直接の連絡が有り招集される。
 グリモアベースに到着すると、すでにPCCは待っている。
「実はこのままではSSW(スペースシップワールド)が崩壊してしまいます」
「SSWの世界で、一部の戦艦や惑星が花で埋め尽くされる事件が発生し、その花がどんどん増殖しているんです」

 グリモア猟兵が花に浸食された惑星の映像を一部だけ投影する。
 それはコスモスに覆われた花畑……のようみ見えて、実はどこかのコロニーの街だ。
 街がコスモノの花に覆われ花畑を化していたのだ。
 そして、よく見れば住民だったと思わしき物体も……花に覆われ……。
「皆さんにはこの事件の原因を解明し、SSWを救って貰いたいのです」

「実は、耳の早い猟兵の方はすでにお聞きかも知れませんが、花による浸食はSSWだけに留まりません、UDCアースは10分の1が、アルダワ魔法学園は7分の1が、ダークセイヴァーはすでに2分の1が花に覆われ始めているとの事です」
 もちろん、他の世界の救済には他の猟兵チームが向かっており、実際はSSWの救済依頼もきみ達以外にも何チームか出発していると言う。
「どのチームが解決するか、解決の糸口を?めるか解りません。ただ、私は私が知っている仲で皆さんほど優秀な猟兵はいません。だから、きっと皆さんならSSWを救えると信じています」
「まずはSSWで一番大きな戦艦ミーティアに皆さんを転送します。そこで花の増殖について情報収集を行い、原因を突き止めて下さい」

「SSWの命運は皆さんに掛かっています。宜しくお願い致します」

●第1話終了時の成長を行う。


●第2話『宇宙の危機』
シナリオフレーム:オリジナル<冒険→冒険→ボス戦>
1章:0地点を探れ/難易度80
2章:迫撃砲艦チェリーブロッサムへの突入/難易度108
3章:AIチェリーブロッサム戦/難易度162

◆シナリオの内容:
▼1章:0地点を探れ/難易度80
 PC達はSSWにて帝国軍を倒した反帝国軍のレジスタンスの母艦ミーティアに転送され、そこで花の浸食について情報を集める。花の浸食が始まった0地点がどこだったか、それを調査すると1隻の戦艦から始まったと発覚する(その戦艦から降りてきた船員が降り立った惑星にユーベルコードで花を浸食させた事が発覚)、その戦艦は次々に惑星を花に浸食させ、今では戦艦から降りずとも近づいた惑星に花を浸食させる事ができるようになっている。その戦艦の名前は迫撃砲艦チェリーブロッサム、かつて帝国軍が試験的に作成した戦艦だ。

▼2章:迫撃砲艦チェリーブロッサムへの突入/難易度108
 迫撃砲艦チェリーブロッサムへ向かうと、邪魔する意図で近づいているのが解るのが戦艦自体が猟兵のPC達を自動迎撃してくる。戦艦の全身から迫撃砲の砲塔が無数に生え、無数の砲撃を開始、猟兵を近づけまいを全砲門を向け迎撃してくる。
 チェリーブロッサム内に突入したPC達は、元凶たる指揮官=黒衣卿を捜して艦内を走り回るが、発見されるのは(PC達を迎撃してくるのは)花に支配された船員達ばかり。この戦艦の艦長だった帝国兵幹部=黒衣卿すら花に洗脳されており元凶とは思えなかった。どうやら戦艦のAI自体が花に洗脳され、周囲の惑星に花を感染させているのはそのAIが元凶のようだ。

▼3章:AIチェリーブロッサム戦/難易度162
 PC達は迫撃砲艦チェリーブロッサムのAI破壊を目指し、迫撃砲艦チェリーブロッサム自体と戦闘を開始する。この時、PCがAIを破壊しようとコンソールルームやハッキングを行おうとした場合は≪無限増殖(インフィニティ・コード)≫を、エンジンルームの破壊に向かったら≪電力解放(エレクトリック・バースト)≫を、それ以外の破壊工作を行おうとしたら≪自翔迫撃砲(モータル・ビット)≫にて迎撃する。この時、違うユーベルコードの迎撃を受けているPC同士が合流した場合、特殊能力の【ダブルコード】を使用して2つのユーベルコードに対応するプレングをしないと、チャレンジ分の成功率ボーナスが得られなくなる。判定で難易度を削りきると、迫撃砲艦チェリーブロッサム(そのAI)を破壊出来、SSWの滅亡を食い止めることに成功する。

▼エンディング
 だが、全ての事件の原因がいったい何なのか……それと解く鍵は、洗脳された船員達が歌を歌いながらユーベルコードを使っている事がヒントとなった。彼等が歌っている歌は、きみ達の仲間たる猟兵のピオニーが自作した歌だった。そして、彼等が花を感染させるユーベルコードもまた、ピオニーが使っていたものに酷似しているのだ。

●迫撃砲艦チェリーブロッサム
 データは主要登場人物参照。

●幕間
 ※幕間1〜5は、通常のTRPGのようにプレイしても良いし、箇条書きの情報として口頭で簡略化した情報のみをPLに伝えても良い。もちろん、前者の方が感情移入は深くなるだろうが、セッション時間等と相談した方が良いだろう。

◆幕間1:原因の確信(PCC)
 SSWを救ってグリモアベースで他の世界がどうなったかきみは他の猟兵と情報を共有する。そして、共有すればする程、どの世界も花を浸食させていた者はピオニーの自作の歌と同じ歌を歌っており、彼等が花の感染に使っていたユーベルコードも、やはりピオニーの使っているもののようだ。
 つまり、この事件の原因にはピオニーが関わっているのは確実という事だ。

◆幕間2:崩壊と捜索(PCB)
 グリモアベースでPCBはいろいろな友人や仲間の猟兵から情報を得る。
 花を感染させる程に強いユーベルコードを持った感染者を倒せば、一時的に花の浸食は止まるが、すぐに別の感染者の中に力の強い者が生まれ、世界への花の浸食は再び始まる。
 今やいろいろな世界が花に浸食され、確実に滅びへと向かっているのだ。
 そして、すでにこの事件にピオニーが関わっているという噂は猟兵達の間に知れ渡っており、猟兵達の中でも『ピオニーを殺せば解決するのでは』という強硬派の意見が強くなっていく一方だった。
「おいPCB、お前は金さえ払えばどんな依頼でもどんな物でも運ぶって話だろう、ピオニーってヤツの居場所を教えろ、金ならいくらでも払う。世界の為なんだ」
 だが、肝心のピオニーの行方は不明で、どこにいるのか解らなず……。

◆幕間3:逃走と決断(PCA)
 きみは偶然渡った世界で何かに引き寄せられるように歩を進め、その今にも消え入りそうな小さな歌声を耳にする。その歌は何度か聞いたことのある歌で、その歌声は……。

※どの世界のどんな場所にピオニーがいるかはPCAと相談して決める。迷うようならダークセイヴァー世界の廃墟の孤児院とする。

「あれ? PCAなの……どうして?」
「PCAは違うよね? 他の友達達と違って……ワタシを……ワタシを、捕まえて……ころ、殺しに来たんじゃないよね?」
 泣きながらピオニーは聞いてくる。
 この後、ピオニーにこのままこの孤児院の廃墟で隠れているように言っても良いし、一緒に来るよう言っても良い。もちろん、ピオニーを殺しても良い。ただし、ピオニーを殺しても噂と違ってすでに感染が広がっている花の浸食は止まらず、世界の滅亡は変わりなく進んでいく。

◆幕間4:逆転の作成(PC@)
 きみは世界の崩壊を回避しようと猟兵達が慌てる中、どうしても1つ引っ掛かっていた。
 あの日、災魔グランド=アザーを封印した際、奴が残した言葉だ。
『再び……我を求めるだろう』
 その引っかかりが何なのか、それを考えつつ歩いている時、ポトリときみの胸ポケットから一族代々引き継いだ災魔グランド=アザーについて書かれた資料メモが落ちる。
 そして、落ちた際にたまたま開いたページを見て、きみはハッと思いつく。

『災魔グランド=アザーは相手の魔術(ユーベルコード)を知った上で、時間を逆行する』
『その上で相手の魔術に影響を与える(カウンターとなる)新たな魔術を作成する』
『新たな魔術は相手の魔術の効果を飲み込み、通常では許可されない強力な魔術となる』
『もし、グランド=アザーと戦い≪輪廻転生の華(ノースポール)≫を解析できれば……』
『現状では神の許可が降りないとされる程の強力な魔術、時間逆行すらもしかしたら……』

 バタン、ときみはメモ帳を閉じると、慌てて知り合いのグリモア猟兵へと連絡を取るのだった。

※PC@のプレイヤーがピンと来ないようなら以下を説明する事。
 第3話開始前にユーベルコードを新しく作成し獲得する事になるが(シナリオ上、そうなるようPCレベルとシナリオ難易度を調整しておく事)、その際にグランド=アザーの≪輪廻転生の華(ノースポール)≫に絡めたユーベルコードを自作する事で、通常なら許可されない時間逆行ようなユーベルコードを作成可能だと説明する。 (例:≪トリニティ・エンハンス≫を改造。【敵が≪輪廻転生の華≫を使用した瞬間、】【今から1年以内の任意の地点まで、任意】【の仲間達と一緒に時間を逆行し、時の力】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常のどれを重視するか選べる。)

◆幕間5:全てを戻す為に(PC全員)
 グリモア猟兵からPCABCが呼び出され、PC@(またはPC@から話を聞いたグリモア猟兵)より、グランド=アザーの≪輪廻転生の華(ノースポール)≫に絡んだユーベルコードを自作できれば、時間を巻き戻す事が(過去に向かう事が)出来る、と説明する事。

「もちろん、その為には獅子級災魔グランド=アザーの封印を解き、再びあの災魔と戦い≪輪廻転生の華(ノースポール)≫を使わせる必要があります……」
「つまり、これは相当難易度の高い依頼になります、もちろん強制ではありません」
「それに、この任務に成功した場合、ピオニーさんは……(猟兵になる未来とは別の未来に世界は分岐してしまうだろう)」
「それでも、皆さんがこれを実行すると言うのなら……私は、皆さんを全力でサポートします。どうか、ご武運を」

●第2話終了時の成長を行う。


●第3話『時を超えて』
シナリオフレーム:オリジナル<冒険→ボス戦→日常>
1章:復活の儀式/難易度21
2章:再戦! グランド=アザー!/難易度189
3章:過去へ……/難易度21

◆シナリオの内容:
▼1章:復活の儀式/難易度21
グランド=アザーの復活方法は、PC@の持つ先祖から受け継いだメモ帳に僅かに記載がある。PC達はそのメモを頼りに試行錯誤しつつグランド=アザーを復活させる。

▼2章:再戦! グランド=アザー!/難易度189
そして、復活したグランド=アザーは、こうなるのが解っていたかのように嘲笑を浮かべつつ自らを復活させたPC達をあざ笑う。
「何をしようと、何度封印しようと、倒される事のない我は不滅!」
「時間を戻し、何度でも何度でも何度でも何度も! 我は勝つまで時間を戻す!」
PCが自作したユーベルコードにより、グランド=アザーが倒された時に≪輪廻転生の華(ノースポール)≫を使用し、それに合わせて自作の新ユーベルコードを使う事で時間が戻る(どの地点に戻るか、などはPCの作成したユーベルコードに左右される)。

▼3章:過去へ……/難易度21
過去、この時代に何をするかはPC達の選択による。基本的にはピオニーをどうするか、この後、ピオニーがどうなるか……が大事である。

●獅子級災魔グランド=アザー
 データは主要登場人物参照。


●エンディング
 エンディングはPC達の選択によって幾つかに別れるだろう。
下記ではその代表的なものを記載しておく。

◆ピオニーは猟兵にならない未来となった
 ピオニーは猫の王国の実家の花屋に戻って親の店を手伝っている。
 PCが訪れた場合は、自作の歌を楽しそうに唄いながら仕事をしているピオニーがいる。

◆ピオニーを殺した
 世界は救われた。たった一人の猟兵の犠牲の上に……。

◆ピオニーは猟兵になるが世界崩壊の原因のユーベルコードだけ削除した
 世界は救われ、ピオニーは猟兵となって夢を叶えた。
 ピオニーは自作の歌を楽しそうに唄っている、だが、もう世界が崩壊する事は無いだろう。

●第3話終了時の成長を行う。

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