TOP ⇒ シナリオ ⇒ ニルヴァーナ 〜NIRVANA〜 戻る アラビアン・ダーク・ファンタジーRPGニルヴァーナシナリオ 『ツクヨミの姫巫女』 ◆プリプレイ―― ■シナリオデータ 本シナリオは『ニルヴァーナ』を適用して遊ぶことを前提としたシナリオです。プレイ時間は3〜4時間。プレイ人数は3〜5人。■ストーリー ガナパティ正統王国の藩国、トリタ藩国の上空1000mにはツクヨミと呼ばれる月がある。ツクヨミは自動防衛波動砲台型の衛星レガシーである。一定以上の戦闘力に自動的に波動砲を照射、その威力は龍さえも一撃である。トリタ藩国の王族は代々ツクヨミのレガシーアクシーダーであり、現在のアクシーダーはカグヤと呼ばれる姫であった。しかし、そこにハレルヤプログラムの中枢、ルビムントの策謀が迫る。鉄機乗りで構成された野党集団と、そのボスであるヒャドが姫を誘拐しようとしたゴタゴタに紛れ、カグヤ姫をツクヨミへと連れ去りツクヨミを暴走させる。ルビムントはカグヤ姫付きの専属治癒師のリンをワイヤとし計画は実行される。 PC達がルビムントの策謀を阻止し、ツクヨミの暴走を止める事ができればシナリオは終了となる。 ■今回予告 かつて衛星と呼ばれた宙空にたゆとう銀色の星は、今は人々から月と呼ばれていた。ここ、トリタ藩国の上空にも一つの月がある。 別名――ツクヨミ――。 トリタ藩国を守る自衛型波動砲台……レガシーである。 ツクヨミはたった一人の少女によって御されていた。 トリタ藩国国王の一人娘であるカグヤによって……。 月と姫の魅力に誘われ、国に崩壊の影が忍び寄る。 「カグヤ姫は月へ連れて行く」 『ニルヴァーナ』、『月の姫巫女』 黄昏の大地に戦いの灯がともる。 ■キャラクタ作成 ●シナリオハンドアウト PC1用ハンドアウトクイックスタート:スウィフト・エッジ(ニルヴァーナ P70) コネクション:ツクヨミの姫巫女"カグヤ" 関係:慕情 キミは全力で荒野を逃げていた。追ってくるのはバーラト最強の生物"龍"。助けは無く夜空の月だけが冷たくキミを見下ろしていた。死ぬ……そう覚悟を決めた時だった。彼方より光が輝き龍を貫き爆発させる。次に目覚めた時キミの横には少女がいた。月の女神もかくやという美しい少女が……命の恩人だった。 PC2ハンドアウト クイックスタート:エターナル・ヴォイス(ニルヴァーナ P62) コネクション:姫専任治癒師"メイドのリン" 関係:自身 キミはトリタ藩国の姫を護衛する一人だ。トリタ国の家系は代々呪われており、最たる子孫はその呪いによって体が弱い。その為トリタ国には専任の治癒師がおり、その治癒師であるリンは姫の護衛も兼ねている少女だった。彼女は姫を過保護にしており、彼女の暴走を止めるのはいつもキミの役目だった。 PC3用ハンドアウト クイックスタート:シャープ・シューター(ニルヴァーナ P68) コネクション:暴走盗賊"ヒャド" 関係:友人 キミは昔、水を求めて荒野を流離う野党の一人だった。その頃キミには親友と呼べる仲間がいた。名前はヒャド…白狼の獣人だ。しかし、キミとヒャドは道を違える事となる。キミはレガシー・アクシーダーとなったのだ。キミは野党を辞めた。しかし、ひょんな事からヒャドの噂を聞いた…会いに行くのも悪くない。 PC4用ハンドアウト クイックスタート:ヴァイオレント・ストライク(ニルヴァーナ P60) コネクション:スカー男爵 関係:好敵手 地に倒れ伏しキミは彼を見上げた。その男に"何か"を感じ、キミは彼にケンカを売った。その結果がこれだった。彼はスカー男爵と名乗り、キミにトリタ藩国に行くように言った。そこで起る事件に首を突っ込み、それでも生残れたら、今よりもう少しはマシに打ち合えるようになるから……と。 PC5用ハンドアウト クイックスタート:アイアン・メイデン(ニルヴァーナ P58) コネクション:トワイロウ 関係:同士 トリタ藩国にハレルヤ・プログラムの魔の手が迫っている……その魔の手からこの世界を守るため、君はトリタ藩国へと入り込んだ。トリタ藩国の上空には未知のレガシーが存在しており、そのレガシーは竜や巨大軍事兵器が国に接近した場合に、自動的に迎撃するシステムが組まれている。嫌な予感がした。 ●クイックスタート/コンストラクション クイックスタートの場合、サンプルキャラクターの指定はハンドアウトを参照すること。コンストラクションにて作成する場合、ギフトは最低でも一つは≪リヴァイブスノウ≫か≪エメラルドシャイン≫があった方がいいだろう。またPC1の性別は男性限定である。 ●PC間コネクション PC間のコネクションは、PC1→PC2、PC2→PC3、PC3→PC4、PC4→PC5、PC5→PC1、へと取得すること。 ◆オープニングフェイズ―― ●シーン1:月の姫 登場:PC1、他のPC登場不可舞台:トリタ藩国付近の荒野 ◆解説 PC1が龍に追われて絶対絶命の時、ツクヨミからの波動砲で龍が死亡。再び気がついた時、PC1はカグヤ姫に出会う。 ◆描写1 キミは荒野を全力で逃げながら絶体絶命だった。バーラト最強の生物である龍に運悪く目をつけられ殺されかけているのだ。 ◆セリフ1 ▼龍 「グォオオオオオオオーーーン!!!」 ◆描写2 もう駄目だと覚悟を決め意識を失う寸前、何かが輝き龍を背後から貫き爆散させる。そうして気絶したキミが再び目覚めた時、そこは豪華な一室のベッドだった。キミの寝ているベッドの脇、イスに座ったまま寝ている少女がいた。その少女は月の女神と見まごうばかりの美しさだった。 ◆セリフ2 ▼カグヤ姫 「あ、お気付きになられたのですね。あの……どこも痛く無いですか?」 「良かった……ツクヨミとリンクしている時に、龍に追われているあなたを見つけたんです」 「ツクヨミはこの街にあるファクトリーです。ここはトリタ藩国と言って、ツクヨミはこの街を守っているファクトリーなんです。私はツクヨミのアクシーダーだから……」 「私はこの国の姫でカグヤと申します」 ◆結末 カグヤ姫と会話をさせたら『チェストー!』という声が聞こえ、PC1の意識は再びブラックアウトする。原因は今の所不明としてシーンを切る。PC1に【ギアス:カグヤを助けるべし】を渡す。 ●シーン2:治癒師リン 登場:PC2、他のPC登場不可(※PC1は気絶中)舞台:トリタ藩国王城 ◆解説 トリタ藩国の国王オキナより、姫に過保護な治癒師リンの暴走を止めてくれと頼まれる。カグヤの姫に行くとベッドから起きたばかりのPC1に延髄切りを食らわせているリンを見る。 ◆描写 キミはトリタ藩国のカグヤ姫の護衛である。姫の専任治癒師リンはカグヤ姫を過保護にするあまり、姫に近づく男に容赦が無い。先日、カグヤ姫が荒野で倒れていた男を助けたらしい。キミがカグヤ姫の部屋へ入った時、目の前を裂帛の気合と共に飛び蹴りを命中させているリンが通り過ぎた。 ◆セリフ ▼リン 「チェストーーー!」 「姫様に近づく害虫が!!」 「私は治癒師だ。死ぬ1歩手前のダメージで止めておいた」 「カグヤ姫様はツクヨミの呪いでお体が弱いのです。このような男に構って何かあったら大変です!」 ▼カグヤ姫 「リン、この方はまだ病み上がりなのですから、あまり無理をしてはなりません!」 「ああ、PC2…あなたもリンと同じ意見なのですか?」 ◆結末 とりあえず、この男(PC1)をカグヤ姫様の部屋に置いておくわけにはいかない。PC1とは知り合いでもある。とりあえず場所を移動させよう。PC2が適当に会話をしたら【ギアス:リンの暴走を止めるべし】を渡してシーンを切ること。 ●シーン3:過去の噂 登場:PC3、他のPC登場不可舞台:どこかの街のとある酒場 ◆解説 逗留していた街の酒場、酒を飲んでいるとヒャドの噂が聞こえて来る。トリタ藩国のツクヨミを狙っているらしいとの噂をPC3に伝える。 ◆描写 酒場で酒を飲んでいた時のことだった。背中側のテーブルから気になる噂が聞こえてきた。その噂で聞いた名前はずいぶんと懐かしい名だった。 ◆セリフ ▼酒場の客 「おい知ってるか、あのチンピラ集団…暴走盗賊ヒャドのチームが今度はトリタ藩国のツクヨミを狙っているって話だぜ?」 「ツクヨミって言やぁ自動的に龍さえ迎撃しちまうレガシーだろ?」 ◆結末 キミは今、トリタ藩国へとやって来ていた。上空には銀色の月――レガシーであるツクヨミが浮かんでいた。過去の親友が何をするつもりかわからないが、止めなければなるまい。PC3がツクヨミを見て1言呟いたら【ギアス:ツキヨミを守るべし】を与えてシーンを終了する。 ●シーン4:再戦の為に 登場:PC4、他のPC登場不可舞台:どこかの街のとある大通り ◆解説 スカー男爵にケンカを売ってボロ負けするシーン。再戦の条件はトリタ藩国で起る事件に首をつっこみ、それで生きて帰ってきたらだとスカー男爵は約束する。 ◆描写 その男は只者ではなかった。キミは何かを感じて男にケンカを売ったが、地面とキスをしていたのは自分の方だった。このままでは終われない。キミはなんとか立ち上がった。 ◆セリフ ▼スカー男爵 「ほう、まだ立つか」 「ワシの名は……そうだな、今はスカー男爵と名乗っておこうか」 「ワシと再戦したくば、もっと力をつけるべきだな。ガナパティにトリタ藩国という国がある。そこで数日後にある事件が起るだろう。その事件に首をつっこみ生きて帰ってこれたら、ワシが再びお主に付き合ってやろう」 ◆結末 PC4が旅立ち、トリタ藩国に到着した旨を伝えたら【ギアス:強くあれ】を渡し、シーンを終了すること。 ●シーン5:策謀の影 登場:PC5、他のPC登場不可舞台:どこでも可 ◆解説 プリス・テラヴィからトリタ藩国に危険が迫っている事を知らされる。 ◆描写 満月の夜だった。その日は深夜とはいえあまりにも人通りが少なかった。こうして歩いていても誰とも会わない。不思議と思っていた時、キミを待つように少女が立っていた。 ◆セリフ ▼プリス・テラヴィ 「待っていましたPC5、ガナパティ正統王国にあるトリタ藩国に危険が迫っています」 「ハレルヤプログラムはレガシー・ツクヨミを狙っています……賛成40、反対22、棄権2……あなたに未来を託すことが決議されました」 ◆結末 PC5が覚悟を決めたら【ギアス:笑顔を守るべし】を与えてシーンを終了する。 ◆ミドルフェイズ―― ●シーン1:不穏分子捜索 登場:PC1、PC2は自動登場、PC3、4、5は登場不可舞台:トリタ藩国の城内謁見の間 ◆解説 PC1とPC2が、藩王オキナよりカグヤ姫を狙っている不穏分子が城下に入り込んだ事を聞き、その捜索を頼まれる。また、事が大事になるので治癒師のリンには内密にしろと忠告される。 ◆描写 PC2に連れられ、キミは謁見の間へとやってきていた。そこはすでに人払いがされており、藩王であるオキナが1人でキミ達を待っていた。 ※カグヤ姫とリンはカグヤ姫の部屋に残っているので、謁見の間にはPC1とPC2、そして藩王の3人だけが存在する事になる。 ◆セリフ ▼オキナ王 「キミがカグヤの拾ってきた旅人か……PC2から話は聞いた。レガシー・アクシーダーだそうだな」 「実はPC1、そしてPC2に内密で頼みたいことがある。これはアクシーダーであるキミ達だから話す事だ」 「この城下町にカグヤを狙って不穏分子が侵入したとの情報が入った。しかも、レガシーアクシーダーだそうだ」 「不穏分子の情報でわかっているのは"獣人族"であると言う事だけ。探し出して何か起る前に事前に防いで欲しい」 「それと、リンにはこの事は内緒だ。話せばこの城下町にいる全ての獣人族が被害に会う……頼んだぞ」 ◆結末 PC1とPC2が依頼を受けたらシーンを終了する。基本的にPC1はカグヤ姫に助けてもらった借りがある――という部分で動いてもらえるとスムーズに行くだろう。 ●シーン2:親友との再会 登場:PC3、他のPCは登場不可舞台:トリタ藩国城下町の裏通りの酒場 ◆解説 PC3がヒャドと再会する。ヒャドは懐かしい顔だとチームの仲間と共に歓迎してくれる。ツクヨミを狙っている事にPC3が賛同しなかった場合、ヒャドはPC3と決別する。 ◆描写 ヒャドは白い毛並みの狼族だった。探そうとして探せない特徴ではない。トリタ藩国へ入って数時間、キミはとある裏通りの酒場でヒャドと久しぶりの再会を果たした。 ◆セリフ ▼ヒャド 「久しぶりだなPC3! まぁ一杯やれ、再会を祝した俺のおごりだ!」 「ああ、実はこの国の上空にあるツクヨミを奪っちまおうと思っているんだ。なぁに、アクシーダーの姫さんを誘拐しちまって、ガルーダ(飛行機)使ってツクヨミまでひと飛びよ!」 「あん? どうやって誘拐するかだって? さぁまだそこまで考えてねーよ! まぁなんとかならぁな!」 (賛同してくれた場合)「そうだろう、そうだろう! お前ならそう言ってくれたって思ってたぜ!」 (賛同を拒否した場合)「なんだと? てめぇチームを抜けて腑抜けになりやがったな! ちっ、しらけちまったぜ、もうお前の顔は見たくねぇ、さっさと出て行け」 ▼チームの下っ端達 「PC2さんにあいさつ! チーーッス!」 ◆結末 ヒャドの行動に賛同しなかった場合、ヒャドはケチがついたと酒場を仲間と共に出て行きます。バイクの音とともに、ヒャドは城下町の裏通りに消えていきます。 ●シーン3:リンの焦り 登場:PC4、他PC登場可舞台:トリタ藩国城下町 ◆解説 PC4がトリタ藩国城下町の大通りを歩いていると、リンが大男をぶっ倒している場面を見る。リンは何か焦っているらしくPC4にカグヤ姫の写真を見せ、見てないかと聞く、どうやらカグヤ姫が行方不明らしい。 ◆描写 大通りを歩いている時だった。裂帛の気合を込めた声と共に、通りの向こうで人々のどよめきが聞こえた。何か事件かと向かってみれば、城仕えの服を着た女性が大男をのしたところだった。 ◆セリフ ▼リン 「チェストーーー!」 「ふん、大通りのど真ん中で姫様が大好きだなどとふざけた事を叫ぶからこうなるのだ!」 「ん、そこのお前、あまり見ない顔だな。そうだ…この写真の女性(カグヤ姫)を見なかったか? いつもの悪い癖で、私達のスキを見て脱走したんだ。また城下町で遊んでいるに違い無いのだがな」 「呪いで体が蝕まれているのだ、常々無理はしないで欲しいと言っているのだが……」 (PC1、2が姫を狙っている不穏分子の事をリンに言った場合)「なんだと!? では急いで姫様を探さねば! いつものように城を抜け出したのだ、なんとしても……協力してくれPC1、急ごうPC2!」 ▼街の野次馬 「おお、さすがリンさん、神出鬼没で地獄耳だ。あっという間に大男がのされちまった(笑)」 ◆結末 どうやら、この国の姫様が行方不明らしい。 ●シーン4:路地裏の笑顔 登場:PC5(いない場合PC1)、他のPCは登場可舞台:トリタ藩国城下町の裏路地 ◆解説 PC5が裏路地を通った時、ボールが転がってくる。見れば路地裏のスペースで、上等な服を来た少女が、浮浪児数人を相手に遊んであげている。カグヤのみんなの笑顔を守るためになら、自分の笑顔は我慢するという話をしたら、カグヤが突然吐血する。リンが登場しツクヨミの呪いの事を話し、カグヤ姫を城へ連れて行く。 ◆描写1 テンテンテン……と足元にボールが転がってきた。少年の声に振り向けば、ボールを欲しそうに立っている少年。その向こうでは上等な服を来た少女と、少年の仲間と思わしき浮浪児達がいた。 ◆セリフ1 ▼浮浪児 「ボールありがと! お兄(姉)ちゃんも優しい人だ! カグヤ姉ちゃんと一緒に遊ぼうよ!」 「わーいわーい♪」 ▼カグヤ 「子供と遊んで頂いてありがとうございます。見て下さい、こんな世界なのに子供達はあんな笑顔で」 「私は、みんなのこの笑顔を守りたい。その為なら、なんだって我慢します」 「本当は羨ましい。ああやって自由に笑顔で入られるのが……私もあの人に、心からの笑顔を向けたい……いえ、無理なのはわかっているんです。私には私しかできない事がありますから、その為には何かを我慢しなきゃいけない」 ◆描写2 突然カグヤが咳き込む。口に当てた手の隙間から赤い液体が垂れ出した。血……そう思ったとき、リンの声が聞こえた。 ◆セリフ2 ▼カグヤ 「ゴホッ、ゴホッ……うう……大丈夫です。いつもの事ですから、心配しないで下さい」 「ごめんねみんな、今日はもう帰るね。PC5さん、話を聞いてくれてありがとうございます。本当……自分でも笑顔で笑える日が来ればって思っているんですよ」 ▼リン 「姫様! こんな所でまた子供達と遊んで! 体が悪いのですから――」 「トリタ藩国の王族は、常にツクヨミのアクシーダーの宿命を背負っている。そして同時に呪いもな……一族の血に連なる一番年若い者は、15の年とともにツクヨミの巫女となり、次代が現れるまでその責任を持つ……呪いとは体の脆弱化。姫様もすでに……」 「城へ連れて行く」 ▼浮浪児達 「カグヤ姉ちゃんのいつものが出た! 早くだれかリンさんとか呼んで来なきゃ!」 ◆結末 城を抜け出していたカグヤ姫は見つかった。彼女はみなの笑顔のために自分を殺している。そしてツクヨミの呪いにも……。リンはこの場に登場しているPCは城へ招待する。 ●シーン5:リンの恋人? 登場:城にいないPC、他のPCは登場可舞台:トリタ藩国城下町 ◆解説 夜の城下町、治癒師のリンが誰か男とデートをしているのを見る。<知覚>20に成功すると、男のさげるネックレスが異様に気になる。男はリンにプレゼントの小さな包みを渡す。2人はそのまま夜の町へ消えていく。 ◆描写 夜の城下町、キミは殺気を感じてそちらを振り向く、そこではリンが誰かを待っているように待ち合わせをしていた。少し男がやってくるがリンの怒りは収まらない。が、リンに男がプレゼントの包みを出すと、よっぽど嬉しかったのか、リンは機嫌を直して2人で夜の町へ消えていった。登場PCは<知覚>20をする事。成功すると男の首に下げたネックレスに何か違和感を感じる。 ◆セリフ ▼リン 「遅い! なにやってるのよ!!」 「あ、ありがとう……嬉しい」 ◆結末 リンにも恋人がいるらしい。驚きの新事実だ。 ●シーン6:オキナ王暗殺 登場:PC2、城内に泊まっているPCは登場可舞台:トリタ藩国城内のオキナ王の寝室 ◆解説 PC2が早起きして廊下を歩いていると、オキナ王の部屋の中から殺気を感じる。部屋の扉を開ければ、白い狼の獣人が窓から飛び降りて逃げて行く。部屋の中ではオキナ王が爪に引き裂かれ暗殺されている。 ◆描写 早朝のピンと張った空気を吸い込み廊下を歩いている時だった。ふいに殺気を感じた。そこはオキナ王が寝ている寝室だった。急いで扉を開けると窓から白い狼の獣人が飛び降りて逃げていった。見れば部屋の中ではオキナ王が爪に引き裂かれ死んでいた。 ◆セリフ ▼白い狼の獣人 「………………(すぐに飛び降りて逃げる)」 ▼衛兵 「そんな…オキナ王!? いったい何がどうして!?」 ▼カグヤ姫 「お父様……どうして……」 ◆結末 騒ぎを聞きつけてかカグヤ姫が部屋に入ってくる。泣き崩れるかと思いきや、姫は走ってどこかへ行ってしまった。 ※オキナ王は死亡してからすでにシーンが変わっています、ギフトを使っても生き返らない事をPCには伝えましょう。 ●シーン7:ツクヨミ遠隔操作室 登場:PC1、他のPCは登場不可舞台:トリタ藩国城内の中央ツクヨミ遠隔制御室 ◆解説 PC1がカグヤを追う事を前提としたシーン。遠隔操作室でカグヤ姫が1人泣いている。強がるカグヤだが、相手がPC1だとわかると、その心内を正直にぶつけてくる。 ◆描写 カグヤ姫を追って城の中心にある部屋へとやってきた。そこは機械が存在するが、その殆どが竹林という不思議な空間だった。その部屋の中心、竹林の中で泣いているカグヤ姫がいた。 ◆セリフ ▼カグヤ姫 「お父様……どうして……カグヤはどうしたら……」 「あ、駄目ですよ。ここは代々ツクヨミのアクシーダーだけが入れる神聖な部屋なんです……でも、追ってきてくれたんですねPC1様」 「私ったらこの国の姫だと言うのに……恥ずかしい場面を見せてしまって申し訳ありません」 「本当は、本当はすごい悲しい…どうしたらいいかわからない……PC1様、私はどうしたら……」 「みんなに…笑顔であって欲しいと……私は……でも、でも本当は私……」 ◆結末 カグヤ姫にやさしい言葉をかけたらシーンを切る事。 ●シーン8:誘拐事件発生 登場:PC3、PC3が城にいる場合は城にいるPCは登場可舞台:城にいる場合は城、いない場合はヒャドとともに街の外の荒野 ◆解説 PC3がヒャドと一緒にいない場合は、城でヒャドから子供(浮浪児)は誘拐した、カグヤが1人で来いと脅迫状が送られてくる。ヒャドと一緒にいる場合は街の外でチームと共に誘拐作戦について話す。基本的にリンが反対しカグヤ姫を行かせる事はしない。PCの誰かを女装させて行かせる方向になる。 ◆描写1(城にいる場合) 衛兵が急いで走ってくる。衛兵は手紙を貰ったといっており、読むとトッポ(浮浪児の子供でカグヤ姫の友人?)をヒャドという盗賊が誘拐したらしい。返して欲しくば街外れの荒野にカグヤ姫1人で来いとの話だった。 ◆セリフ1 ▼カグヤ 「私は行きます。みなを守るのが私の使命です。みなさん…信じてますから」 ▼リン 「おのれ盗賊ごときが!」 「姫様を危険な目には合わせられない。PC●、頼んだぞ」 ◆描写2(ヒャドと一緒にいて城にいない場合) ヒャドは作戦の完璧さを自慢する。 ※この場合は次のシーンで城内のシーン(描写1)をやるべきだろう。重要なのはカグヤ姫とリンを2人きりにさせる事である。 ◆セリフ2 ▼ヒャド 「どうだこの完璧な作戦は!」 「姫さえ奪っちまえば、さっさとガルーダに乗ってツクヨミへ行くぞ!」 ◆結末 誘拐事件の情報がPCに伝わればOK。 ●シーン9:ハレルヤプログラム 登場:PC1、全員登場舞台:街の外の荒野 ◆解説 ヒャドが浮浪児を誘拐しており、カグヤ姫を出せという話になる。しかし途中からヒャドは口調が変り、ルビムントのワイヤである事が発覚、PC達を殺そうとする。 ◆描写1 街の外の荒野、ヒャドとそのチームが集合している。その中には街から誘拐された少年もいた。カグヤ姫(の格好をしたPC)が自ら前へ出て交換に応じた。 ◆セリフ1 ▼ヒャド 「よーしよしよし、これでツクヨミは俺達のものだ! おい、姫さんをサイドカーに乗せてガルーダへ行くぞ!」 ◆描写2 姫を手に入れた、もしくは手に入れるのに失敗したところから、ヒャドの口調が頭良さそうな口調に(落ち着いた口調に)変わる。ヒャドの付けた氷爪から氷交じり風が吹き荒れる。その胸には十字袈のアクセサリーが浮き上がってきていた。 ◆セリフ2 ▼ヒャド(ルビムント) 「私の名はルビムント、お前達は新しき世界に必要の無い生命体だ。ここで削除しておこう」 「ぐはぁ……だが、ハレルヤプログラムに狂いは生じない。ワイヤが私1人だけだと思うか?」(十字袈消滅) ◆結末 ルビムント=ヒャドを倒したが、最後の言葉が気になる。カグヤ姫の事を心配して城へ戻れば終了。 ■ヒャド=ルビムント 年齢/性別:20代後半/男種族/クラス:獣人族/召喚師/召喚師 レガシー:右手に装着した氷の爪 能力値: 技能: 【身体】15/5 <強靭身体>10 <白兵>2 【反射】6/2 【知性】20/6 <知覚>2 【意志】20/6 <強靭精神>4 <召喚術>3 【世界】10/3 【HP】70 【MP】38 【行動値】13 アビリティ: ≪BS無効≫≪全体魔法≫≪遺産継承≫≪遺産召喚≫≪獣族:狼人≫≪ゲートタイプ(4Lv)≫≪銀雪の蝶(4Lv)≫≪獣魔強化(4Lv)≫≪獣魔使役(4Lv)≫ ギフト: ≪トランスディエル≫≪ドラゴニックフレア≫≪デストロイサーキット≫≪ソウルアベンジャー≫ 攻撃方法: 『マヒャドの爪嵐』 マイナー:≪全体魔法≫ メジャー:≪銀雪の蝶≫ 判定:15 攻撃力:<氷>4D+16 対象:範囲 射程:15m クリティカル:15 ●シーン10:異変 登場:PC登場不可舞台:トリタ藩国城内 ◆解説 リンが気絶したカグヤ姫抱えて、兵士達をなぎ倒しながら中央ツクヨミ遠隔操作室へ入り、そこからツクヨミ内部へ転移する。 ◆描写1 城の中は混乱に陥っていた。それでも大事にならないのは相手が相手だからだろう。彼女は兵士の中を風のように走り抜けざま、一撃で兵士達を昏倒さえていった。城の中には気絶した兵士や城仕え達がころがる。 ◆セリフ ▼兵士 「カグヤ姫様をどうするおつもりです!」 「なぜ我等に対して……グハッ」 「そ、そこは中央ツクヨミ遠隔操作室……たとえあなたであろうと入る事は……」 ▼カグヤ 「………………(気絶中)」 ◆結末 気絶したカグヤ姫を抱え、邪魔をする兵士をことごとく昏倒させた彼女が、中央ツクヨミ遠隔操作室へと到着する。彼女はまるで知っていたかのように壁際の操作盤をいじると、部屋全体が光りを放ち始めた。彼女はカグヤ姫を抱えたまま部屋の中央へやってくると、次の瞬間、2人の姿はツクヨミ内部へと転移していた。 ●シーン11:中央ツクヨミ制御室 登場:PC3、全員登場舞台:トリタ藩国城内 ◆解説 城内の人間は全て昏倒しており、起すとカグヤ姫を抱えたリンが、中央ツクヨミ遠隔制御室の方へ向って行ったとの情報が手に入る。 中央ツクヨミ遠隔操作室へ到着した場合、この部屋から2人がツクヨミ内部へ転移したことがわかる。同じように転移するにも、ここにはカグヤがいないので難易度が高い。<管制>難易度30の判定か、<整備>難易度30の判定に成功すればツクヨミに全員が転移できる。 ※転移方法は上記の判定にクリティカルで成功する以外に、≪ディメンジョンウィング≫でも可能である。また飛行可能なPCに捕まって飛んでいく場合、ヒャドのガルーダを借りて行く事も可能であるが、その場合はシーン12へ行く。 ◆描写1 城へ戻るとそこは静まり返っていた。城の兵士、そして城仕えの一般人が、全て昏倒させられていたのだ。 ◆セリフ1 ▼兵士 「う……うう……俺は、生きている…のか?」 「カグヤ姫様をリンさんが抱えていたんだ。次の瞬間『チェストー』って声が聞こえて……」 「この先にあるのは中央ツクヨミ遠隔操作室だ」 ◆描写2 中央ツクヨミ遠隔操作室。今この部屋は生きている感じがしなかった。風は無く竹の葉が揺れる音さえしない。壁際の機械類も微かに点滅を繰り返すだけだった。カグヤ姫がツクヨミへ到着し、この部屋自体の必要性が最低限の機能でよくなったからだろう。 ◆結末 ツクヨミへ旅立ったら終了。 ●シーン12:ツクヨミ迎撃 登場:PC4、全員登場舞台:上空ツクヨミ目前 ◆解説 ツクヨミからは波動砲は撃たれないが、その表面にいくつかの小型砲台が現れPC達を迎撃する。データはニルヴァーナp174の「鉄騎兵」が2体。小型砲台に攻撃するには遠距離攻撃か、近接に入る場合は飛行状態で移動が必須。3回ほど回避判定を行えば外壁に到着した事にして良い。外壁は演出で壊れて構わない。 ◆描写 目前にツクヨミが迫ってくる。その時だ、ツクヨミの表面に小型の砲台が現れ、その方針がキミ達に狙いを定めた。簡単には通してくれないらしい。 ◆結末 ツクヨミ内部へ侵入したらシーンを終了する。 ◆クライマックスフェイズ―― ●シーン1:ツクヨミ動力炉の決闘 登場:PC1、全員登場舞台:ツクヨミ内部動力炉前 ◆解説1 動力炉前にてリン=ルビムントと対決する。 ◆描写1 ツクヨミ内部動力炉前、動力炉は一本の巨大な柱のようであり、その前にはカグヤ姫が血を流して倒れていた。しかし、その柱までたどり着くにはたった一本の桟橋を渡っていく必要がある。橋から落ちれば奈落のそうに深い穴にまっさかさまだった。そして、桟橋の上には1人の女性が立っていた。 女性の胸元にはヒャドと同じ十字袈のネックレスが下げてある。彼女…治癒師のリンがルブムントのワイヤだったのだ。 その時だ、急にツクヨミが揺れ不意に浮遊感を感じる。アクシーダーたるカグヤ姫の命が尽きかけ、レガシー本体のツクヨミが制御を離れトリタ藩国へと落下しだしたのだ。 ◆セリフ1 ▼リン=ルビムント 「遅かったな」 「このレガシーのオート砲台など副次的な機能にすぎない。アクシーダーの死を持ってこのレガシーの本当の力を解放してみせよう」 「無駄な生命よ。大人しくココで消滅するがよい」 ◆解説1 リン=ルビムントは桟橋の中心からは移動しない、封鎖状態として扱う事。カグヤ姫の下へ行くにはリンの封鎖を突破する必要がある。桟橋の全長は30m、リンは中心にいるのでPCとは15mほど離れている。 またカグヤ姫はすでに死亡状態であり、このままシーンが変われば完全死である。復活系ギフトで復活した場合、カグヤ姫はツクヨミのギフト≪ブレイクオーヴァ≫を使う事が可能、なんのギフトをコピーするかはPLの判断に任せること。 ◆描写2 スターンッ! とリンが構える。一筋縄でいかない……だが、ここで負けるわけにもいかない。 ◆セリフ2 ▼リン=ルビムント 「本気で行こう……はっ! チャストーーー!」 (カグヤ姫を復活しようとさせた場合、≪ヴォイドアッシュ≫で打ち消す)「アクシーダーの血が絶えれば、このツクヨミは機能を失う。下にある生命はその衝撃をもって生命活動を停止するだろう」 「この肉体のレガシーは技そのもの……付け焼刃の武器系レガシーでかなうとおもうな」 ◆結末 「そんな……イレギュラー発生……想定外想定外…………」 ルビムントが倒れ伏しリンの胸元の十字袈が消滅する。戦闘は終了しカグヤ姫の生死によってエンディングへ移行する。 ■リン=ルビムント 年齢/性別:20代前後/女種族/クラス:人族/神闘士/治癒師 レガシー:先祖より受け継ぎし技そのもの 能力値: 技能: 【身体】20/6 <強靭身体>100 <白兵>3 【反射】20/6 <運動>3 【知性】15/5 <知覚>3 【意志】15/5 <強靭精神>2 <治癒術>3 【世界】10/3 【HP】280 【MP】29 【行動値】12 アビリティ: ≪BS無効≫≪範囲攻撃≫≪死の力(3Lv)≫≪遺産継承≫≪遺産召喚≫≪ボディタイプ≫≪気功(3Lv)≫≪経絡秘孔(3Lv)≫≪鉄拳(3Lv)≫≪夜叉≫≪乱撃≫≪降魔(神剣)(神速)(臨界)≫ ギフト: ≪ヴォイドアッシュ≫≪ヴォイドアッシュ≫≪ストームキャプター≫≪ソウルアベンジャー≫≪トランスディエル≫≪バスタードブレイブ≫ (PCが5人の場合以下を追加) ≪ストームキャプター≫≪バスタードブレイブ≫ 攻撃方法: 『一撃必殺のチェストーーー!』 マイナー:≪気功≫ メジャー:≪経絡秘孔≫ 判定:12(の2回振り) 攻撃力:<殴>10D+3 対象:単体 射程:至近 クリティカル:15 『鉄拳連舞のチェチェチェチェストーーー!』 マイナー:≪範囲攻撃≫ メジャー:≪鉄拳≫ 判定:15(の2回振り) 攻撃力:<殴>4D+9 対象:範囲 射程:至近 クリティカル:15 ◆エンディングフェイズ―― ●シーン1:月 登場:全員登場舞台:ツクヨミ ◆解説 カグヤ姫が生きている場合のエンディングである。アクシーダーであるカグヤが生きていたため、ツクヨミはその機能を回復して、再びトリタ藩国の上空へ浮かび続ける。 ◆描写 ツクヨミが再び機能を取り戻した。眼下にはトリタ藩国の城下町が見える。笑顔は守られたのだ。 ◆結末 PC達がどうやって地上に戻ったかは言及しない。カグヤとPC1のシーン等を行っても良いだろう。 ●シーン2:落下 登場:全員登場舞台:ツクヨミ ◆解説 カグヤ姫が死亡している場合のエンディングである。唯一のアクシーダーであるカグヤが(すでにトリタ王国の血脈はカグヤだけである)死亡したため、ツクヨミは機能を停止し地上へ落下する。 ◆描写 ツクヨミが機能を完全に停止させた。ふいに強くなる浮遊感、瞬後、キミ達を叩きつけるような衝撃が襲った。トリタ藩国は巨大なクレーターを残し、その存在をバーラトから消滅させた。 ◆結末 PC達がどうやって生き延びたかは言及しない。ルビムントは倒しているのでPCは生きていた事で構わないだろう。 ●シーン3:衛星 登場:全員登場舞台:ツクヨミ ◆解説 PCが全滅してルビムントに負けた場合のエンディングである。ツクヨミはその本当の力を解放、周囲へ無差別な砲撃を始める。 ◆描写 ツクヨミが徐々に振動を強めていく。やがて1発…また1発と波動砲を発射し出した。その一撃は空を裂き地を落とした。もう誰にも止められない。 ◆セリフ ▼ルビムント 「新たな世界の誕生のために」 ◆結末 PC達は全員死亡している。個別のエンディングはする必要が無いだろう。 ●PC5 プリス・テラヴィから今回の事件について労いを受ける。それと共に新たに発生した事件の情報を受ける。 ●PC4 約束通りスカー男爵と再び決闘する。「どうやらルビムントのゲームには勝ったようだな。いいだろう、もう一度打ち合おうか」 ●PC3 荒野を1人懐かしく鉄騎で走っている。赤い夕日を背中に背負って。 ●PC2 リンの墓に花を添える。リンのためにもこれからのカグヤ姫を支えていかなくてはならない。 ●PC1 トリタ藩国に残り、カグヤ姫と一緒になるか決断する。決断した場合、ギアスの引継ぎを説明してもいいだろう。 ◆アフタープレイ―― これでシナリオは終了となる。ルールに従ってアフタープレイを行ってセッションを終了させる。「百年の虚読」にこのシナリオを使ったリプレイ『月の姫巫女』が載っている事を説明しても良いだろう。 |