天羅万象・零シナリオ 『雪の子守唄』 [一]シナリオの概要 この世ならざるモノ、人の智を越えるモノ、それを人は妖(あやかし)という人に理解されぬモノ、人に理解できぬモノ、妖とはそういったものだ 親の愛を知らず、自らの存在を疑問視する半妖 子を失った悲しみを、人を救うことで癒す医師 捨子だった自分を育ててくれた母を愛する傭兵 無垢に無知に世界を知らずに父を尊敬するヨロイ乗り 旅発ちは妖退治 しかし、出会うは妖にあらず、心優しき一人の母 たった一人で捨て子を養うその姿に、四人は何を思ったか・・・ 運命は残酷で、人は例えようも無く愚かなり 自らの出世欲のため、母の子供達は一人残らず切り捨てられ、残るは無情の子守唄 悲しむ間も無く呪いが広まり、民草は祟りに苦しみ死んでいく 二度目の旅発ち、再度の退治 そこは子供の墓を作った小さな小山 待つは正体見せたり妖の母、呪いを撒きしは子供のためよと されど討たねば民草が死ぬ 決断するはその四人 天羅によくある物語 [二]事の起こり 今より数十年前、壬午の森に狩に出ていた景雲(当時すでに若領主となっていた)は一人の美しい女性と出合う。名を百鬼と言う。百鬼との出会いから『半妖』をもうけるまで、たいして時間は必要なかった。しかしどんなに深く愛し合っていても景雲には一つ不思議でならないことがあった。それは百鬼が決して森から出ようとしないこと。だから必然的に百鬼と会うときは壬午の森となっていた。しかし、秘密を隠し続けることなど出来ない、それは『半妖』が生まれた時に隠しようがなくなった、その背中にウロコが生えていたからだ。百鬼は全てを景雲に告げた。自分が壬午の森に住む妖だと。夜刀神(やとのかみ)と言われる人面半蛇の妖だと。また自分には使命があり、決してこの森から出ることが出来ないと・・・。その後、『半妖』を連れて景雲は去った。その頃、すでに領主として人望厚かった景雲は民草を捨て一人の男として生きる選択肢は残っていなかったからだ。景雲が残していったものは、たった一振りの刀と、二人を別つ言葉だった・・・「忘れよう。時間が経てば人は変われる。この夢のような数年間は、本当に夢だったと思うんだ」・・・人は変わる。けれど妖は・・・ 景雲が赤子を連れ帰ったことで城は騒然となる、しかも景雲は決して『半妖』の母の事について語らなかった。やがて『半妖』の母は出産と同時に死亡したことにされ、真実は闇に葬られた。その後、『半妖』が辛い人生を歩んだのは仕方が無いことだったのかもしれない。ただ、実の父である景雲も『半妖』の事を素直に愛することが出来なかったのは、不幸としか言いようがない。それは景雲が百鬼を愛していたため、百鬼を忘れようとしていたため・・・ 一方、一人森に残された百鬼は、ある日、壬午の森に捨てられた人間の赤子を見つける。そして、今まででは考えられなかったような行動を起こす。すなわち、人間の子を育てる・・・。 そして、今では百鬼を母と呼ぶ子供達は十数人となった。しかし、百鬼は忘れられない。本当の子供を、『半妖』の事を・・・ [三]ステージセッティング ○キャラクターの作成(仮) 今回のシナリオ『雪の子守唄』では、基本的にサンプルキャラクターの使用を想定していません。GMは推奨アーキタイプをPLに提示した上で、フルスクラッチキャラクターを使用します。 推奨アーキタイプの[因縁]は残しておくようにPLに指示すること。 シナリオに適したキャラクターは以下の4つ。タイプが決まったところで、宿命を渡します。 主軸アーキタイプは必ず組み込んでください。 また、PLの人数が3人なら、Cのキャラクターを優先的に外すこととする。 ※不適正アーキタイプ(組み込んでも[因縁]が使えないと思われるアーキタイプ) 傀儡師、式神使い、シノビ、元ヨロイ乗り ※組み込んではいけない禁止アーキタイプ 金剛機、軍師、平の位/巫女 注)オニの<神通力>で結界は禁止です。『傭兵』は機人を入れた場合、顔を変えるようなカラクリは不可です。 [1]<感情:家族への憧れ> 指定アーキタイプ:半妖 [2]<不幸:子供たちの死> 指定アーキタイプ:医師 [3]<誓い:母への想い> 指定アーキタイプ:傭兵 <初心者用> [4]<感情:父への尊敬> 指定アーキタイプ:ヨロイ乗り ○席順はGMから見て時計回りに『ヨロイ乗り』『半妖』『医師』『傭兵』と座ってもらいます。 半妖 医師 ヨロイ乗り 傭兵 GM ○キャラクターの名前を決定し、各々自己紹介をしてもらいます。 ○初期の因縁2つで[因縁]ロールを振って[気合]を獲得してください。[気合]の1番多かった人が裁定者です。 ○PC間の[因縁] ☆ 『医師』→『傭兵』 "望郷""稚児""同志""幼子""好感""既視"など昔を思い起すものをプレイヤーが[因縁]を決められない場合<感情:『傭兵』への老婆心>を提示しましょう ☆『傭兵』→『ヨロイ乗り』 "稚児""あこがれ""救済""無垢""興味"など守りたくなるようなものを プレイヤーが[因縁]を決められない場合<感情:『天下人/姫』を守りたい>を提示しましょう ※『傭兵』→『半妖』(プレイヤーが3人の場合) "知り合い""救済""幼子""血縁"など他人では無いものを プレイヤーが[因縁]を決められない場合<感情:『半妖』への共感>を提示しましょう ☆『ヨロイ乗り』→『半妖』 "忠誠""あこがれ""感銘""一目ぼれ""師匠"など尊敬するようなものを プレイヤーが[因縁]を決められない場合<感情:『半妖』への尊敬>を提示しましょう ☆『半妖』→『医師』 "あこがれ""感銘""好感""興味"など憧れるようなものを プレイヤーが[因縁]を決められない場合<感情:『医師』へのあこがれ>を提示しましょう ○PCに[宿命]を渡します。また、セッションログシートに記入してもらいます ○セッション開始宣言 ――シナリオの概要を読んで下さい。天羅の琵琶法師が歌う子守唄――[四]宿命 主軸アーキタイプは必ず組み込んでください。※不適正アーキタイプ(組み込んでも[因縁]が使えないと思われるアーキタイプ) 傀儡師、式神使い、シノビ、元ヨロイ乗り ※組み込んではいけない禁止アーキタイプ 金剛機、軍師、平の位/巫女 注意事項)オニの<神通力>で結界は禁止です 『傭兵』は機人を入れた場合、顔を変えるようなカラクリを入れることはできません 半妖 多々良(たたら)の地の領主、多門景雲(たもん けいうん)を父に持つ君は、この国の正当な跡取だ。 しかし、君は家族というものを知らない。 実の母は君を産んですぐに他界し、父はまるで君を避けているようだった。 城下町の民が家族仲良く遊んでいるのが羨ましかった。 あるとき君は気が付く。偶然だったのだ・・・自分の背中を鏡で見たのは・・・ 「これは・・・ウロコ・・・!?」 ――だれにも話していない。あれから何年経っただろう。 【宿命】<目的:親からの愛情> 医師 昔、子供達と一緒に暮していた。 皆、戦による孤児達だったが、君のことを第二の親と慕ってくれていた。あの時までは・・・ 落ち武者達による食料の調達、ていのいい略奪行為に君は力なく倒れてしまった。 気が付いた時、君が見たのは黒く焼け焦げた子供の腕だった。 悲しみと共に、心に誓う「あの子たちの為にも、これ以上悲しみを広げはしない・・・」 【宿命】<不幸:子供たちの死> 傭兵 本当の親は誰だかわからない。当時、妖が住むと噂の森に君は捨てられていた。 君は森に住む人間『百鬼(ゆき)』に拾われ育てられた。 『百鬼』は本当の母のように君に接し、少しすると弟や妹もできた。 母も弟も妹も、みんな血は繋がっていなかったが、本当の家族として暮していた。 そして成人した君は家族のため、育ててくれた母のために、上京して傭兵となった。 名をあげて・・・そして・・・ 【宿命】<誓い:百鬼(母)への想い> ヨロイ乗り 多々良(たたら)の地の領主、多門景雲(たもん けいうん)の第二子、それが君だった。 腹違いだったが頼れる兄/姉(『半妖』)と、厳しいくもやさしい父に囲まれ、君は何不自由無く育った。 父景雲は民のことを第一に考える人だ。 君ははそんな父を尊敬している。 【宿命】<感情:多門景雲(父)への尊敬> 注意)ヨロイ乗りのキャラクターは半妖のキャラクターより年下にして下さい。 [五]主要人物紹介 百鬼<ゆき> 「この子守唄、どこかで聞いたことがあるのですか?」○シナリオにおける立場、経歴と秘密 壬午森(じんごのもり)に住むと言われる妖、その正体は夜刀神(やとのかみ)と言われる人面半蛇の妖怪(別名:祟り神)。『傭兵』の育ての母であり、『半妖』の実の母である。背中にウロコ(蛇)があるので子供達に見せないようにしている。お風呂等は一緒に入らない。 ○外見、ロールプレイ、人称の使い方 外見上30前後に見える女性、黒髪を後ろで一度だけ束ねている。いつでも子供たちの事を思い、自分の分まで健康に生きていてくれることを願う。景雲の事は今でも愛している。礼儀正しく清楚な感じがするが、子供たちにとっては良い母であり、強い母である。 自分のことは「私」、他人のことは「〜さん」、子供達や親しい人は呼び捨てです。 ○ゲームデータ 体:12 敏:21 感:9 知:6 心:6 共:6 天:9 負傷ゲージ:軽6 /重3 /致2 /死1 活力:17 霊力:12 <格闘>上級 <白兵>中級(上級) <回避>中級 <意志力>上級 <その他>状況に応じて ※妖力は状況に応じて全て使うことが出来ることとする 名称 武器修正 射率 射程 装填数 珠剣(名刀)+5 2 ―― 6 ※また妖力<生態武器>は強度5とする [因縁]<感情:子供達を守る>(特級)←最重要 <感情:景雲への慕情>(上級) <禁忌:壬午森から出る>(上級) <目的:壬午森を守る>(特級) 多門景雲<たもん けいうん> 「民草のため、この命に従ってもらうぞ」○シナリオにおける立場、経歴と秘密 愕悠州(がくゆうしゅう)輝条国(きじょうのくに)にある多々良の地の領主、正式には多門多々良守景雲。その心は常に民の事を思っており、その為なら私情を殺すことも厭わない。そのせいあってか領民からの支持は厚い。『半妖』の事は百鬼を思い出してしまうので、悪いと思いながらも関わらない冷たい態度をとっている。 ○外見、ロールプレイ、人称の使い方 外見上40前後に見える壮年男性。 自分のことは「わし」、他人のことは「〜どの」か呼び捨て。 ○ゲームデータ 体:5 敏:9 感:4 知:8 心:8 共:7 天:12 負傷ゲージ:軽3 /重2 /致1 /死1 活力:13 霊力:16 <白兵>上級 <回避>中級 <意志力>上級 <帝王学>上級 <その他>状況に応じて 名称 武器修正 射率 射程 装填数 珠剣(名刀)+5 2 ―― 6 [因縁]<目的:領民を守る>(上級) <感情:百鬼への慕情>(中級) <感情:家族を守る>(初級) <感情:百鬼を忘れる>(中級) 海豹泰蔵<あざらし たいぞう> 「この手柄は俺様の物だ! 誰にも渡さん!!」○シナリオにおける立場、経歴と秘密 多々良家の傭兵隊隊長、強きに屈指、弱きを挫く、出世欲と権力欲の塊。妖退治の命を受け、意気揚揚と森に出かけるが、領主の子供達に手柄を立てさえまいと画策する。サムライを埋め込んでいる。 ○外見、ロールプレイ、人称の使い方 無精ひげを生やした無骨な男、汗臭く無駄毛が多い。常に自分本位であり、出世するためなら何をしようと構わない。 自分のことは「俺様」、他人のことは呼び捨て、自分より偉い人には「わたし」、領主の子供達は「〜様」 ○ゲームデータ 体:9(12) 敏:9(12) 感:6(9) 知:4 心:5 共:3 天:5 負傷ゲージ:軽5 /重3 /致2 /死1 活力:14 霊力:9 <白兵>上級 <回避>中級 <意志力>中級 <早業>中級 <その他>状況に応じて 名称 武器修正 射率 射程 装填数 太刀 +5 ―― ―― ――― [因縁]<感情:功名心>(上級) 弥生<やよい> 「今日は森に遊びに行きましょうよ!」○シナリオにおける立場、経歴と秘密 壬午森(じんごのもり)に捨てられた女の子、百鬼に育てられた。常に『天下人/姫』の後をついてまわる。『天下人/姫』がいない場合は(プレイヤーが3人の場合は)、『医師』の後ろをついてまわる。 ○外見、ロールプレイ、人称の使い方 12歳ぐらいの女の子、その容姿は過去に『医師』が一緒に暮らしていた"ヤヨイ"と瓜二つである。線の細いかわいらしい子。 自分のことは「私」、他人のことは「〜さま」、『傭兵』のことは「〜兄/姉さん」 波澄<はすみ> ○シナリオにおける立場、経歴と秘密『ヨロイ乗り』の母親、多門景雲の後妻。 地名 ○愕悠州輝条国多々良地(がくゆうしゅう きじょうのくに たたらのち) 多門景雲が収める活気溢れる街がある ○壬午森(じんごのもり) 妖が住むといわれる森、多々良の城下町からは二日ほどで到着する [六]シナリオ本編 零幕『家族』 ○第一場 〜医師〜<不幸:子供たちの死> あの日、焼け落ちた家の合間から、天を掴めと黒い腕が伸びているのを見た時、君は一度、修羅になった。戦によって親を失った子供達、孤児達と一緒に君は静かに暮していた。 お金もなく何も無い生活だったが、子供達の笑顔があるかぎり、君は幸福だった。 「『医師』様!『医師』様! 今日は森に遊びに行きましょうよ!」 子供達の一人、12歳ぐらいのヤヨイという女の子が君を呼ぶ 「ほら、早く行きましょうよ!」 ここで、よい返事、またはそれに準じた行為を行なったなら[合気チット]を渡すこと。 またヤヨイに対して[邂逅ロール]を行う、結果はできるだけポジティブなものを選択すること。 そんな幸福な時間は、天羅では長くは続かない。運命の日が、訪れる・・・その日は、雪が降っていた・・・ 「大変だ『医師』様! 隣国の落ち武者たちを、田吾作たちが村はずれで見たと言っとったで!」 「『医師』様の家は、村はずれでねぇか! 子供たちゃー大丈夫か!」 嫌な予感がした。君は息をするのも忘れて無我夢中で走った。しかし・・・ 君は無力だった。悲しみより怒りが心を埋め尽くす。 焼け落ちた家の合間から、天を掴めと黒い腕が伸びていた。 運命が君を助けたのならば、子供達は皆、運命とやらに見捨てられていた。 ――今、君は自らの手で弱き人々を救って周っている。 小さな女の子が、つたないしぐさで君に頭を下げ――「『医師』さま、助けてくれてありがとう」 弱き人々を救う。君はそれが、この天羅の地でどれほど困難なことか知っている。 それでも、いつも夢に見るヤヨイを、子供達を、少しでも笑顔にできるのなら―― 君は弱き人々を救い続けるだろう。 ○第二場 〜傭兵〜<誓い:百鬼(母)への想い> 壬午の森(じんごのもり)――妖が棲むといわれる森――に赤子だった君は捨てられていた。その森には世捨て人然として一人の若い女性が住んでいた。名を『百鬼(ゆき)』と言う・・・君の育ての親だ。 その人は、本当の母のように君に接し勉強や剣術を教えてくれた。 少し経つと君と同じ境遇の弟や妹が増えていった。 世間とは隔絶された暮らしだったが、君はそんな母が、弟や妹が好きだった。 それから数年が経ち、成人した君は家を出ることにした。 出発の朝、母が君に言った。 「体には気をつけるのよ」 母のセリフに対してよい返答をしたなら[合気チット]を渡すこと。 また、ここで百鬼に対して[邂逅ロール]を行い、ポジティブな結果を選択する。 「これだけは覚えておいてね。母さんはあなたが立派に成功するよりも、無事に帰ってきて笑顔を見せて くれるのが、一番うれしいんだからね」 君が選んだ道は傭兵だった。血に塗れ、いつでも死と隣り合わせの世界。 多々良という家に使えて幾度目かの戦、そんな中の一時の休息、野営中に古木に座っていた君の隣に、知り合いの老兵が腰掛ける。 「若ぇの、おめぇさんは何のために戦っとるんだ?」 怖くは無かった。 君には大切な家族がいるから、いつでも君の身を心配してくれている母がいるから その家族の為にならと・・・君はまた刀を振るう 「そうかい若ぇの、ならその大事なモノがなくなった時、そんときゃどうす――奇襲だ!!!」 敵が目の前に現れる。こいつを斬れば十人目、そうすれば報償がもらえる。そうすれば母さんを!弟妹を!! ○第三場 〜ヨロイ乗り〜<感情:多門景雲(父)への尊敬> 多々良(たたら)の地の領主・多門景雲(たもん けいうん)が第二子、それが君だ。母は後妻として来た人だった。先妻は兄/姉である『半妖』を生んですぐに他界したらしい。 君は勉強や剣術が好きだった。 どんなに大変な勉強でも、どんなに辛い稽古でも、それが終わればやさしい父が誉めてくれるからだ。 今日も剣術の稽古の後、父が待っていた。 「『ヨロイ乗り』、よくがんばったな! さすがは私の息子/娘だ」 父のセリフに対して返答、またはそれに準じた対応をしたなら[合気チット]を渡すこと。 さらに[邂逅ロール]を行い、ポジティブな結果を選択すること。 「そうだ『ヨロイ乗り』、今日はお前に渡したい物があるのだ」 そこには、人の何倍もの大きさの鉄の人形があった 「これはヨロイというんだ、あげるよ『ヨロイ乗り』」 「どうだ、乗ってみるかな?」 「大丈夫、私はここで見ていて上がるからな」 「すまないな『ヨロイ乗り』、今日は民のために重要な話会いをせねばならぬのだ」 「だが、話し合いまで、まだ時間がある。それまでの間なら私が稽古をつけてやろう」 父は誰に対しても公平で、領民に対しても優しい人だった。 君はそんな父を心から尊敬し慕っていた。 ある時、母が君に言った。 「『ヨロイ乗り』はお父上が好き?」 いつかは、自分もああなりたい。 父は君の憧れだった。 ○第四場 〜半妖〜<目的:親からの愛情> 多々良(たたら)の地の領主・多門景雲(たもん けいうん)が第一子、多門家の跡取、それが君だ。しかし、君は家族というものを知らない。 実の母は君を産んですぐに他界し、そして父は・・・まるで君に関心を示さなかった。 父が君に無関心なせいか、家臣たちも必要以上に君を構おうとはしなかった。 反応はする。だけどそれだけだった。あからさまな無視を受けるときもあった。 だから、君が城下町へと抜け出すのは難しいことではなかった。 そこでは、親と子が仲良く遊び、暮らし、そして笑っていた。 その日、なぜ自分達は城下町の家族のようで無いのか、君は思い切って父に問い掛けた。 無視されると思ったが父は珍しく答えてくれた。 「必要ないからだ」 父のセリフに対して返答、またはそれに準じた対応をしたなら[合気チット]を渡すこと。 また、ここで景雲に対して[邂逅ロール]を行い、あやふやな結果を選択する。 「なぜお前に答える必要がある?」 結局、父の真意は解らなかったが、自分の存在がわからなくなった。 それから数日。一人で着物を着替えているとき、鏡に映った背中を見た。 ――ウロコ―― そうとしか見えない物が、そこにはあった。 自分がさらに解らなくなる。 それからだろうか、なかなか寝付けない夜。あの子守唄が聞こえてくるようになったのは・・・ やさしい声で、すべてを包み込むような声で・・・ 君は子守唄だけが救いだった。 一幕の予告 自らの存在を考える、それは親の愛を知らぬため 弱き人々を救う、それは失った悲しみを癒すため 捨子だった自分、救われた母の愛 (世俗を知らぬ、父への尊敬) 旅発ちは妖退治 しかし、出会うは妖にあらず、心優しき一人の母 たった一人で捨子を養うその姿、三人(四人)は何を思ったか・・・第一幕―――「絆」。 [零幕の幕間] [1]諸行無常フェイズ――[零幕の幕間]では[因縁]の新規取得か段階の上昇しかできません。 特に[宿命である因縁]の上昇を呼びかけましょう。 [2][因縁ロール]――できるだけ[合気チット]を[気合]に変換するよう奨めて下さい。 [3]プレイヤーやGMと相談――天羅に慣れていないプレイヤーへのルール説明や、情報の整理など。 [4]休憩――コンベンションならお昼休憩にするのに適しているでしょう。 一幕『絆』 ○多々良の城下町 『医師』 冬が近いというのに活気溢れる多々良の城下町、そこで君は一人の少女の助けた後、とある旅籠で休憩していると。宿屋の女将さんが「『医師』様、多門家の方が来ておられますが・・・」見れば侍が三人「あなたを名高い『医師』様だとお見受けいたします。よろしければ我等の力になってもらえますか?事は急をようします」○傭兵隊隊長海豹泰蔵 『傭兵』 『傭兵』は多々良の地の多門家に仕える傭兵部隊の一員だった。最初に『傭兵』に何をしているかを聞いてから「『傭兵』!『傭兵』はどこだ!」傭兵部隊の隊長である海豹泰蔵(あざらし たいぞう)が『傭兵』を呼ぶ。「お前も最近城下町で原因不明な事件が起きているのはもちろん知っているな?」【天下】<事情通>で1個でも成功したなら知っている。 ※情報 原因不明の殺人事件、どうやら壬午森(じんごのもり)に住む妖の仕業らしい 「そこで、俺様の傭兵部隊が、その妖を退治することとなった。 詳しい話は御領主様直々におこなうそうだ。行くぞ」 ここで海豹に対して[邂逅ロール]を行い、裏切りなどネガティブな結果を選択する。 ○呼び出し『半妖』→『ヨロイ乗り』 『半妖』が今何をしているかを聞いてから(何も言わない場合自室で勉強)、「『半妖』様、御領主様がお呼びです」「それと、弟/妹君『ヨロイ乗り』様も一緒に連れて来るようにとの話です。」 『半妖』に『ヨロイ乗り』を連れてこさせる(『ヨロイ乗り』が動かないようなら[合気チット]を渡すか、場を閉める) ○多門景雲(たもん けいうん) 謁見の間、そこにはPL4人と海豹がいる。「皆の者、最近城下町で起こっている怪事件は知っておるな?」【天下】<事情通>で1個でも成功すればいい、情報は前の場でのと一緒 「そう、そこでこの度、その妖を退治することになった。部隊に海豹率いる傭兵部隊を用いる。作戦中は『ヨロイ乗り』も『傭兵』も部隊長である海豹の指示を守るのだぞ。また、『医師』殿、相手は妖、常識が通じない相手かもしれませぬが、あなたのような旅慣れた者が街に逗留していたのも何かの縁、我が家の医療班では妖相手に何か不足の事態生じたとき対応できるとは思えませんからな、私の子供達をよろしくお願いいたす」 ここで多門景雲に対して[邂逅ロール]を行い、あやふやな結果を選択する。 ○別の命令 領主との謁見を終わらせると、『傭兵』は一人海豹に呼びつけられる。「今回の仕事で、お前の役目は領主様の子供達を守ることだ。だが、わかっているだろうな。手柄を立てるのは俺様だ。領主様の子供だろうと手柄をやるわけにはいかねぇ。もう、テメェがやることはわかっただろうな?あいつらに手柄を奪われないよう邪魔をしろ。これは隊長命令だ! わかったな!」 ※この後、PLたちに何かしたい事があるか聞いてから、それが終わったら出発した事になる。 ※情報収集がしたい場合、<事情通>でわかった事意外はわからない。 または、妖は夜刀神(やとのかみ)と言って別名祟ら神っていう蛇の妖怪らしいとの噂。倒せば祟られるかも・・・との噂が聞ける。 ちなみに海豹の傭兵隊は『傭兵』と海豹本人を入れて23人である 『半妖』と『ヨロイ乗り』が出陣なのは表向き、次期領主の器があるか量るため(本当は子供を百鬼に会わす為) ○出発 城下町から壬午森までは2日目の昼には到着する。その行軍中、とある橋を渡ろうとしたとき、橋の下から声が聞こえてくる。「どうせ盗って来たもんだろうが!」 「違うよ!これはお母さんから貰ったお金で買い物したんだから!」 どうやら河原で12歳ぐらいの女の子が、チンピラ数人に絡まれているらしい。 だれも助けないようなら『傭兵』はその女の子を知っている。自分の妹達の一人、弥生だ。 弥生の外見は『医師』の知る"ヤヨイ"と瓜二つです。2人のうちどちらかが助けるはずです。 「何をしている! そんな事に構うな! さっさと行くぞ」海豹は歯牙にも止めません。 「助けていただいて、どうもありがとう御座います」「『傭兵』兄/姉さん!?」「私? 買い物に行ってたの」 ※弥生は町へ瓜(甘い)を買って帰ってきたところです。 この後、森に着くまで、弥生は一緒に行動するでしょう。 「『傭兵』兄/姉さん、もしかして仕事中? 何をしてるの?」 「『半妖』さまって、なんか・・・ううん、なんでもありません」「・・・お母さんと何か似てるなぁって・・・」 ※この時点では『医師』と『ヨロイ乗り』とは話さなくてもよい。あとで話す機会が多いので ○森の入り口 弥生が帰っていく「私の家はあっちですから」と森に沿うようにして帰っていく。もちろん森に住んでいるなどとは言わない。「家はこの近くなんです」○壬午森 昼頃に、天気は今にも降って来そうなくらい暗い曇り空だ。城下町で情報を聞いてない場合、ここで【感覚】<観察>で振らせ、成功した者には傭兵達のひそひそ話が聞こえる 「妖は夜刀神(やとのかみ)と言って別名祟ら神っていう蛇の妖怪らしいぜ」「なんでもそいつを切ったら祟られるんだとよ」「まぁどうせ迷信さ、妖がいるって事だってあやしいもんさ」 「さぁ行くぞ!」海豹の号令で無駄話は中断する ○雨 森の中を進むこと半刻(1時間半)、ぽつりぽつりと雨が降ってくる。辺りはさらに暗くなる。ここで一度海豹が進軍を止め、『半妖』と『ヨロイ乗り』のところへやって来る。 「これ以上一箇所に固まっていても無意味でしょう。ここで部隊をいくつかに別けたいと思います。よろしいですな」 「では『半妖』様と『ヨロイ乗り』様はここに待機していて貰います。有事の際のため『医師』殿もお願いします。護衛には『傭兵』お前がつけ」 「今回の件に関しては私が全権を頂いているので、私の指示に従ってもらいますぜ」 「『傭兵』、おめぇの役は・・・わかってんな!」 ○大雨 雨が一段と激しくなる。本降りだ。空はもう夜。星の明かりさえ見えない中で、一刻(3時間)が経った。【感覚】<観察>判定、成功すれば遠くから声が聞こえた気がする。 PCをとにかく移動させる。その後、明かりが見えてくる。→家を発見。 ちなみに傭兵には見覚えのありまくる家だ。 家の中からは子供達の声が雨音に紛れながらも聞こえてくる ※ここでPCたちがあまりに騒ぐようなら、家がしーんと静まり返る。百鬼母さんが野党かと思い警戒しだす。 ○実家 傭兵の名を呼ぶ子供「『傭兵』兄/姉ちゃん!」姿を見せる母※ちなみに百鬼は他のPCが隠れていようが気配察知で気がついている。 「久しぶりね。元気にしてた?」 「とにかく入りなさい。雨に濡れて風邪をひいたら大変だわ」 「話は後よ。今は体を温めるのが先、さぁ服を脱いで?」(半妖がもめるでしょうが意見を尊重してあげましょう) 「そういえば自己紹介がまだでしたね。私はこの子(傭兵)の母で、百鬼(ゆき)と申します。」 ○懐かしき我が家 囲炉裏を囲んでいるPCたちと百鬼。「お茶をどうぞ」ともって来てくれるのは弥生である。弥生はその後、『ヨロイ乗り』の横に座る。 他の子供達は興味津々と言った感じで別の部屋から、こちらを覗いている。 「それで、今日はどうしたの? 友達を家に連れてきたって訳でもないのでしょう?」 「今日は泊まっていっていいのよ」 「今日は疲れたでしょう? 部屋は子供達と一緒になってしまうけど構わないかしら?」 ○夢の続き 結局、たいした話もせず、その日は皆眠ってしまう。妖という人知を超える存在に、少々気が張っていたのかもれない。そして・・・『半妖』君はいつもの夢を見るよ。あの子守り唄の夢だ。君は真っ白などこかを歩いている。聞こえてくるのは子守り唄のみ。 冷えた空気が肌を刺し、君は夢から覚める、しかし子守唄は続く・・・隣の部屋から聞こえてくる ※隣の部屋は百鬼の部屋であり、百鬼とまだ小さい赤ん坊が2人だけいる。赤ん坊は最近来た子で名を五郎という。夜鳴きが激しいので部屋を母と一緒にしている。 隣部屋を覗き込むと、百鬼が赤ん坊の頭を撫でながら、あの子守唄を歌っている。赤ん坊は幸せそうに眠っている。 「ごめんなさい、起してしまったわね?」 「この唄? さぁ、どこで覚えたのか、私も忘れてしまったわ」 「『半妖』さん、あなた、辛かったのでしょう?」 「ここにいる間だけだけど、私があなたのお母さんになってあげる」 「なんでかって? 母親を何年もやっているとね、いろいろと見えてくるのものなのよ」 ニ幕の予告 懐かしき我が家 忘れていた思い出 羨ましかった家族の温かみ しかし、運命は残酷で、人は例えようも無く愚かなり 悲しむ間も無く、幸せ壊れ、残るは無情の子守唄・・・第二幕―――「母」。 [一幕の幕間] [1][業]の上昇――今まで消費した[気合]を[業]に追加します。 また、珠・カラクリ・蟲・装備の入手・技能の取得/上昇など[気合]の消費を必要とする作業ができます。 [2]諸行無常フェイズ――[因縁]の新規取得、昇華、段階の変更、 特に全てのプレイヤーに[百鬼に対する因縁]を取ってもらいましょう。 [3][因縁ロール]――できるだけ[合気チット]を[気合]に変換するよう奨めて下さい。 [4]プレイヤーやGMと相談――軽い雑談などを交えて、他のプレイヤーがこのシナリオにどのような イメージを抱いているか聞き出しましょう。 [5]休憩――十分間ぐらい。 二幕『母』 ○朝無条件に伝える)とても冷え込んでいる。はっきり言って寒い。雨は止み、庭一面に霜柱が立っている。○朝御飯 『傭兵』に百鬼母さんが「そろそろ朝御飯だから、まだ寝てる子達をお越して来てくれない?」ちゃぶ台を3つ並べて、『頂きまーす!』 皆で朝御飯を食べながら、子供達が聞いてくる。 ・傭兵 「強くなったの? 偉くなったの?」<功名心>を刺激 ・ヨロイ乗り 「ねぇ、あの大きなのってなぁに?」<ヨロイへの愛情>を刺激 ・医師 「いいなぁ、そっちの瓜の方が大きいんだもん」<子供達の死>を刺激 ・半妖 「兄/姉ちゃんこれあげるよ(人参をくれる)」<親からの愛情>を刺激 ○家族 この日は夜までPC達が動くことは出来ない。理由1:昨日の雨で、今日は濃い霧が出ている。 理由2:霧の出ている日は妖が出ると言われている。(『傭兵』も昔聞かされた覚えがある) 理由3:昼になれば、普段は霧が晴れるので、それから集発した方がいい。 ○一番強い人 「ねぇねぇ、『傭兵』兄/姉さん、誰が一番強いの?」「俺に稽古つけて下さいよ」庭に出て練習、木刀はある(武器修正+2)、ダメージは活力にしか入らない。 最後に百鬼母さんが戦っても良い。「まだまだ修行が足りないわね」 ☆天下人 <ヨロイへの愛情><景雲への尊敬>を刺激 百鬼「最近の多々良の城下町は、どのような感じですか? それで景雲・・・いえ領主様はどんな感じですか?」 ※百鬼は街の情報を子供達のお使いと昔景雲から聞いた情報しかしらない。最も最近は赤子がいるので、どちらにしても家を離れられないのだが・・・ 弥生「『ヨロイ乗り』さま『ヨロイ乗り』さま! 森に遊びに行きましょうよ」 ※このセリフは『医師』の前で話すこと(絶対) ※また、結局森に遊びに行くことは出来ない。霧が出ているので百鬼母さんに止められる。 ☆医師イベント <弱者の救済><子供達の死>を刺激 弥生「『医師』さまは昔何やっていたの?」 弥生「あの時、心配してくれてありがとう」 ☆傭兵イベント <功名心><百鬼への想い>を刺激 百鬼「あなたがこの家を出る時、母さんが言った言葉、覚えている?」 百鬼「本当は辛いんじゃないの? 母さんには嘘ついて欲しくないのよ」 ○名刀 かなりの銘の珠刀が飾ってある何回か使われたらしい 【知力】<白兵戦闘>に成功すると、その珠刀に多門家の家紋が彫られているのがわかる 「昔、狩に来ていた多門家に連なる偉い人を助けたときに頂いたのよ」(嘘です) 「人には言えないこと・・・秘密の一つや二つ、誰にでもあるものですよ」(本音です。少し悲しく) ○弥生 急に咳き込み出す「ごほっほごっ! ・・・うう・・・ごほっ!」霧が出てきたせいで湿度が変わり、持病である喘息が発病した(喘息という病名まではNPC達は知らない) いつもは、百鬼母さんの作る薬草(滋養回復と睡眠効果)を飲んで休むが『医師』が何か助けようとするならば、【知力】<応急処置>で薬を持っている事にする。塗り薬であり、棟などに塗って呼吸を楽にするもの。 喘息はたいした問題じゃない。薬を定期的に塗れば、大人になって体力がつく頃には直るだろう。 ○半妖 <妖であることは秘密><親からの愛情>夜、お風呂に入ることに、『半妖』はどうするのでしょう 「そういえばお母さんも、おいら達と一緒に入らないんだよなぁ」 ○殺気 その日の夜皆が眠った頃、【心力】<戦闘系技能>で気配感知をしてもらう1つ以上成功 気配を感じる 3つ以上成功 多数の気配を感じる 5つ以上成功 家が殺気に包囲されているのを感じる 成功したPCは目を覚ます。ちょうど百鬼が飾ってある名刀を持ったところ 百鬼は口元に指を置き、音を立てないように指示をだし 「皆さん、これだけの数が取り囲むというのは尋常ではありません」 「『傭兵』と『医師』さんは、子供達を起こして裏口から逃げて下さい」 「どうも多門家の者たちのようです。『半妖』さんと『ヨロイ乗り』さんは私と一緒にきて下さい」 PCに考えるスキを与えず ――ドンドンドン!! 戸を叩く音が聞こえる 「こんな夜更けにどうなさいました」戸をあけて百鬼が出て行く。珠刀は背中に隠すように持っている いるのは海豹率いる傭兵部隊、海豹は『半妖』達を見て驚き 海豹「こんな所におりましたか? 探したのですぞ!」 海豹「悪いですが、妖退治に来て、手ぶらで変えるわけには行かないのですよ。せめて"森に住むあやしい者どものを退治した"という結果ぐらいなければ、民衆は納得しませんからなぁ」 百鬼「ここには子供もいます。何にしろ穏便にして頂けないでしょうか?」 海豹「子供ねぇ、知ってるとも(ニヤリ)」 海豹「討ち取ったものには褒美をくれてやる!さぁやるのだ!!」 海豹の掛け声と共に、PC達に向かって矢が降りかかってくる。一度場を閉じる ※もし『半妖』や『ヨロイ乗り』が権力に訴えようと反論してきたら 海豹「ふんっ、どうやら『半妖』様は、妖の術にはまり、帰らぬ人となったらしい! みなの者『半妖』様の敵討ちだ!」海豹「邪魔なのですよ、あなた達は、あなた達がいなくなれば、俺様はもっと高い地位につけるのさ!」 ○脱出 家には火矢が放たれ、屋根が燃え出す。子供達を起こすと『医師』に弥生が「どうしたの?何があったの?」 また、五郎(赤ん坊)が泣き出す。(絶対泣き止まない) 最終的に裏口から森に逃げ込もうとすると、『トストストスッ!!!』雨あられと矢が降り注ぐ。 サイコロ15個を振り(技能は中級"矢"の武器修正は+3です)『傭兵』にも『医師』にも判定させる。 "全部自分が受けて子供達の盾になる"とでも言わない限り、目の前で子供達がバタバタ死んでいく。 また、自分が盾になろうとも、矢はその隙間を潜り抜け、トスッと子供に突き刺さる 「また、森に遊びに行きたかったなぁ・・・」 五郎(赤ん坊)も静かになる(死んだので) ○乱戦 裏手から声が上がり、百鬼が血相を変える。「あなた達…まさか!?」「怪しい餓鬼どもがいるらしいなぁ(ニヤリ)」 「よくも・・・よくも!!!」珠刀を抜いて傭兵部隊を切り捨てる百鬼。 「お前ら、さっさとそいつを殺せ!」 ここで、『傭兵』と『医師』に登場できることを宣言 『傭兵』が登場したら 「『半妖』様は妖に骨抜きにされ帰らぬ人となった」 「『傭兵』、お前がここで手柄を立てれば、今俺様がいる傭兵隊長の座が待っているぞ。もっとも、その時は俺様はもっと上にいるがなぁ」 海豹、傭兵部隊との戦闘に突入します。 ちなみに百鬼は傭兵部隊と戦います。 ※傭兵部隊との戦い方・・・ダイス21個で技能中級、武器は+3、1ターン毎に殺された傭兵人数分ダイスが減る。 ○目撃 PC達の中で、海豹ではなく、傭兵部隊と戦う決断をするものをいるでしょうその者たちに【感覚】<観察>で一番高い目を出した人1人に目撃させます。 ――敵に切られたのか、百鬼の背中の服が破れている、そこから"ウロコ"が見える。もっとも、すぐに百鬼は移動してしまい、敵の中へと見えなくなる。今のは、目の錯覚だったのだろうか・・・―― もしも、全員が海豹と戦うことになったら、全員に【感覚】<観察>で判定してもらいましょう。それでも気がつく のは一人だけです。 ○命乞い 海豹はPC達に負けそうになると、刀を捨て命乞いを始めます「頼む! 助けてくれ!」 「お願いだ、俺には故郷に妻と娘たちがいるんだ!ここで俺が死んじまったら、誰があいつらを育てるんだ!」 「頼む助けてくれ! もうこれ以降、こんな非道なマネはしない!」 「俺じゃねぇ、俺の娘たちを助けると思って、ここは目をつぶってくれないか!」 ※全部嘘っぱちです。ですのでGMは一生懸命、"子供"を強調して嘘をつきましょう。一言何かセリフを言うたびに、PCは動きを止めるでしょう。その時すかさず"娘"を強調して言いましょう。 ☆決断1:PCが海豹にとどめを刺す 気温のせいだけではない。血に塗れた刀を持つ百鬼を見た時、君たちには本当に寒気が走った。 ☆決断2:PCは海豹を助ける 「ありがてぇ、助かった。この恩は一生忘れねぇよ!」 海豹がいそいそと帰ろうとした瞬間。PCの後ろで"ザクッ・・・ブシャー"と音が (海豹を許したなら、きっとPC達は(少なくとも一人は)海豹に背を向けているでしょう) 振り返ると、そこには首を落とした海豹が、そして、返り血で真っ赤に染まった百鬼が立っている。 気温のせいだけではない。その声を聞いた時、君たちには本当に寒気が走った 「許せるわけ・・・ないでしょう?」 三幕の予告 多々良の街へと帰ってきたのはたった三人(四人)だった 領主への報告は妖を退治してきた事となり、君達は約束の報酬をもらった。 3日もしなかった・・・呪いが広まり、民草は祟りに苦しみ死んでいったのは・・・第三幕―――「祟り」。 [二幕の幕間] [1][業]の上昇――今まで消費した[気合]を[業]に追加します。 また、珠・カラクリ・蟲・装備の入手・技能の取得/上昇など[気合]の消費を必要とする作業ができます。 [2]諸行無常フェイズ――[因縁]の新規取得、昇華、段階の変更を行ないます。 [3][因縁ロール]――できるだけ[合気チット]を[気合]に変換するよう奨めて下さい。 [4]プレイヤーやGMと相談――軽い雑談などを交えて、他のプレイヤーがこのシナリオにどのような イメージを抱いているか聞き出しましょう。 [5]休憩――十分間ぐらい。 三幕『祟り』 ○初期情報(PCに無条件で伝えます)この街へ戻ってきてから2日がたった。 ○城内異常事態 今日は朝から雪が降っている。『半妖』と『ヨロイ乗り』は周りが騒がしいのに気がつく、しかし、どの人も忙しそうに走り周っており、取り合ってくれない。 強引に場を切る。他の人の場に登場可能だと伝える ○人体変化 雪がちらちらと降っている『傭兵』が今何をしているか聞き、その場にいそうな人を適当に考え、その人が『傭兵』に話しかける。 「そういや、お前、この前の妖を退治したんだってなぁ? しかし怖くないのかよ、あの森に棲むのは夜刀神(やとのかみ)って言って別名"祟ら神"って言われてるんだぜ? 退治して祟られたらとか考えなかったのか?」 などと話していると、途中で男が苦しみだす。見るとだんだん指の先からウロコが生えてきている。 男は苦悶の声をあげ倒れる。気絶してからもウロコは男の体に広まっていく。 強引に場を切る ○治療 『医師』の泊まっていた旅籠に病人が運ばれてくる。その子は、この街に来た時助けた女の子だった。母親は傘もささずに走ってきたのか、雪にまみれたままで言う 「お医者さま、この子は助かるんでしょうか?」 どんな判定をしてもこんな症状は知らない。もっともPCに心あたりはあるはずだが・・・祟りだと ※ウロコの呪い・・・全身の皮膚がウロコ(蛇)になり、身動きが取れなくなる。症状的には熱に浮かされたようになり、言葉もしゃべれなくなる。1日を過ぎると植物人間状態に陥り、数日後には餓死していく。 ○中期情報(PCに無条件で伝えます) さらに5日が立った。なぞのウロコ病は力の弱い子供や老人が優先的にかかり、その被害は留まる所を知らない。 呪いにかかった者は皆、身動きが取れなくなり餓死していく。 雪は降っては止み、止んでは降りと繰り返している。寒い日々が続いている。 ○報告 『半妖』『ヨロイ乗り』『傭兵』『医師』が領主に呼ばれます。『傭兵』と『医師』はしかるべき理由をあげれれば(「患者を放っては置けない」など)、断る事が出来ます。 謁見の間には領主のほかにも偉い人達が座っている。 「なにか忘れていることは無いか?」 「妖は本当に退治したのか?」 「ほう?クサたちは別の情報をもってきたがな」 「まぁよい、こうなってしまった以上、これよりわしの指揮の元、討伐隊を編成・出発する。よいな!」 『ヨロイ乗り』には「いくぞ!」と誘う。 『半妖』には「お前はどうする?」と自由にさせる またこの場に『傭兵』がいた場合、「妖に育てられし鬼子だ。地下に繋いで置け!」 抵抗しないのなら『傭兵』は牢屋に連れて行かれます。 ※傭兵が謁見を断った場合 「妖が死んでなかったらしいぞ。これから速攻で討伐しにいくんだと、お前どうする?」 とだけ仲間の侍から伝えられます。 ※医師が謁見を断った場合 「領主様が自ら指揮を取って、討伐に向かうらしい」 とだけ患者の付き添いから聞かされます。 四幕の予告 二度目の旅発ち、再度の退治 そこは子供の墓を作った小さな小山 待つは正体見せたり妖の母、呪いを撒きしは子供のためよと されど討たねば人が死ぬ 決断するは、その三人(四人) 天羅によくある物語・・・最終幕―――「血異(けつい)」。 [三幕の幕間] [1][業]の上昇――今まで消費した[気合]を[業]に追加します。また、 珠・カラクリ・蟲・装備の入手・技能の取得/上昇など[気合]の消費を必要とする作業ができます。 [2]諸行無常フェイズ――[因縁]の新規取得、昇華、段階の変更を行ないます。 [3][因縁ロール]――できるだけ[合気チット]を[気合]に変換するよう奨めて下さい。 [4]プレイヤーやGMと相談――軽い雑談などを交えて、他のプレイヤーがこのシナリオにどのような イメージを抱いているか聞き出しましょう。 [5]休憩――十分間ぐらい。 四幕『血異』 ○焼け跡にて PC達はたぶん家のあった場所までくるでしょう。家に到着するころには、雪がちょうど止み、焼け落ちた廃墟が真っ白に染まっています。 しかし、そこには誰もいません。 【感覚】<観察>の判定を皆にさせましょう。1つでも成功すれば聞こえます。また『半妖』は無条件で成功しますが、一応判定させてもよいでしょう。 「この子守唄は・・・」 ○子供の墓 子守唄が聞こえる場所に向かうと、街を見下ろせる小高い丘に着きます。そこは、いくつもの石を墓標とした子供達のお墓があり、それぞれにはお花とお線香がお供えしてあります。 そして、そのお墓の前に、一人の女性が手を合わせています。 真っ白な雪の中、同じような白い着物(別名:死装束)を来た百鬼が・・・ ○修羅 百鬼は2幕でPC達が帰ったあと、子供達のお墓を作り終えると修羅と化しました。これ以降、百鬼が[合気チット]を使う場合は、一気にチット数×【心力】点の[気合]に変換されます。 「呪い?そうよ多々良の町人たちを呪ったのは私」 「関係ない人? 違うわ、あの人達は私の子供達を助けてくれなかった。見殺しにしたのよ?」 「あの子達が望んでない。そんなこと無いわ、私には聞こえる! あの子達がすすり泣く声が!!」 「呪いを解く?それは無理よ。私が死なない限り、祟りは街の人々全員を殺すわ」 「邪魔よ。これから出迎えに行かないといけないの、せっかく、あの人が来てくれたんですもの」 ○過去 「こんな所にいたのか・・・百鬼」領主多門景雲が一人で登場 「街の人々を祟ったのはお前だね」 「すまないと思っている。けれど、僕は領主なんだ。・・・わかってくれ」 景雲が手を上げると、百鬼達を囲むように多々良兵達が現れる。 ※扱いは二幕の傭兵部隊と同じ ○最後 百鬼は正体を現す。下半身が蛇になる。景雲は部下に討伐の指示を出す。その時、PCはどちらにつくか?○エピローグ 最後に生き残ったプレイヤーにこれからどうするかを聞きましょう。これで今回のシナリオは終了です。お疲れ様でした。 [カーテンコール〜後始末〜] [1][裁定者]ボーナスの授与――それぞれのプレイヤーに[裁定者]をやった数だけ(チェック数だけ)[合気チット]を渡しましょう。 [2][業]の上昇――今まで消費した[気合]を[業]に追加します。 また、珠・カラクリ・蟲・装備の入手・技能の取得/上昇など[気合]の消費を必要とする作業ができます。 [3]諸行無常フェイズ――[因縁]の新規取得、昇華、段階の変更を行ないます。 [4][因縁ロール]――できるだけ[合気チット]を[気合]に変換するよう奨めて下さい。 セッション終了と共に[気合]も[合気チット]も消滅します。 [5][気合の使用]――技能や能力値の上昇などが出来ます。詳しくはp227を参照して下さい。 [6]後片付け――ごみの清掃はみんなでやりましょう。 [7]感想戦――今回のセッションについての感想をセッションに参加したメンバーでディスカッションしましょう。 |